- 3 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:16:20.27 ID:FDqzpinb0
- ( ^ω^)「ぼくたちがわかるのはそれだけですお。」
ξ゚听)ξ「犯人の手がかりになるものは何も…。」
( ・∀・)「なるほどね…。」
モララーは、詳しく状況を聞いていた。
だが、得られる情報は少しだけ。
少女が倒れていたこと、共にあった荷車は中が空っぽで破損されていたこと
馬が一突きで殺されていたことだけだ。
特定できるものはとても少ない。
でも、モララーは誰がやったのかという目星はついていた。
( ・∀・)「ありがとう。ともかく、君達が居なければ彼女はそこで野垂れ死んでいたかもしれないからね。
それは非常に困るし、気分も良くない。」
( ^ω^)「お? モララーさん、あの子と知り合いなんですかお?」
( ・∀・)「うん。前に言ったよね? 僕の野菜を街で買い取ってくれる八百屋があるって。
あの子はそこの一人っ娘さ。君達と年齢は一緒だと思うけど…知らないのかい?」
ブーンとツンは同時に首を横に振った。
- 5 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:17:09.73 ID:FDqzpinb0
- ( ^ω^)「年齢は一緒でも、通う学校が違うなら知らないですお。」
ξ゚听)ξ「貴族の学校ですからね、V校は。
きっと、あの子は平民ですから学校が違うんでしょう。」
( ・∀・)「なるほどね。」
(* ∀ )「……うぅ……。」
( ・∀・)ξ゚听)ξ「!」(^ω^ )
屋根裏から小さなうめき声が聞こえた。
少女が意識を取り戻したのだろうか。
ブーンとツンが椅子を身体で引き下げたと思ったら、モララーは既に跳躍して屋根裏へ移動していた。
( ・∀・)「起きたかい?」
(*つ∀-)「…………ん?」
少女は目を擦りながらゆっくりと半身を起こした。
クレスト草のエキスを染み込ませたタオルが額から落ちる。
まだ完全ではないが、傷は塞がり始めていた。
薬茶のおかげで顔色も良い。
- 8 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:19:18.08 ID:FDqzpinb0
- (*゚∀゚)「……? ここ、どこだ?」
少女はキョロキョロと周りを見渡した。
知らない窓、知らないベッド、知らない人。
何が何だかさっぱりわからず、ツーは首を右に左に動かしていた。
( ^ω^)「大丈夫かおー?」
ξ゚听)ξ「あ、まだ起きちゃダメよ!」
少し遅れて少年少女が階段からやってきた。
(*゚∀゚)「? オレ、何してんだ?」
更に知らない顔が増えて、少女は更に疑問を深める。
何故自分はここにいて、何故ベッドで寝ているんだ?
その質問をしようとしたが、混乱して上手く言葉にならない。
( ・∀・)「ん〜…。あ、そうだ!」
ポンと手を叩いたモララーが背筋を伸ばした。
今までは腰を曲げて、顔を低くするという子供と対話する時みたいな格好をしていたモララー。
少しだけ詠唱をして、魔法を顔面にかけた。
- 10 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:21:36.04 ID:FDqzpinb0
- ( ・∀・)
( ´∀`)=3 ポンッ!
(*゚∀゚)「おぉ!? 垂れ目のおっちゃんじゃん!?」
目を見開き、指をさしながら少女は興奮気味に言った。
やっと自分の知るものが現れたからだ。
( ´∀`)「とりあえず、僕達の知るキミの状況を教えてあげるよ。」
(*゚∀゚)「へ?」
警戒心と疑惑が薄らいだ少女へ、モララーは事の顛末を教えることにした。
(*゚∀゚)「……そっか…。」
モララーは、噛み砕いて状況を説明した。
倒れていたこと、積荷が無くなっていたこと、ブーン達が助けてくれたこと。
今まで野菜屋に来ていた男性は、ここにいるモララーということまでも。
ツーは話を聞くと、俯いて肩を落としてしまった。
( ・∀・)「大丈夫だよ。無くなった野菜なら僕が無料で補充してあげるから。」
(*゚∀゚)「マジか!? ありがとう! おっちゃ…あ、もうおっちゃんじゃないか。
えーと、モララーさん……でいいのか?」
- 16 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:24:52.08 ID:FDqzpinb0
- ( ・∀・)「何でもいいよ。君との仲は短くないからね。」
(*゚∀゚)「わかった。じゃあ…モララー兄ちゃんでいい?」
( ・∀・)「うん、構わないよ。」
( ^ω^)「そういえば、きみの名前は?」
(*゚∀゚)「あ、悪い。オレはツー=チェイルってんだ。お前達は?」
ξ゚听)ξ「私は、ツン=デ=ジェレイト。こっちは、ブーン=ホライゾネルよ。」
(*゚∀゚)「…おぉ? ジェレイト? ホライゾネル? なんかどっかで聞いた事あるぞ!」
ξ゚听)ξ「コレかしら?」
とツンは咄嗟に鞄から歴史の教科書を取り出した。
学校が違っても、扱う教科書は一緒なのだ。
その一ページに赤い下線の引かれた部分があった。
『白魔術師レイ=デ=ジェレイト』『白騎士ミーラン=デ=ジェレイト』
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ツンの両親の活躍が記載された部分であった。
- 18 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:28:01.62 ID:FDqzpinb0
- (*゚∀゚)「そーそー。コレこれ。 へぇ…じゃあ、あんたは貴族ってわけか?」
(; ^ω^)「ぼ、ぼくも貴族だお!」
慌ててツンから教科書を奪い取って、ロマネスク=ホライゾネルの活躍が書かれたページをツーに見せる。
(*゚∀゚)「聖騎士の息子さんかあんた!」
( ^ω^)「だお!」
と、ブーンは胸を張って答える。
それにツーも嬉しそうに反応してくれた。
(*゚∀゚)「オレの父ちゃん、黒騎士だったんだぜ!
ホライゾネル隊長の部下って言ってた!」
( ^ω^)「おー!」
(; ・∀・)「盛り上がってる所悪いけど、ちょっといいかな。」
このままでは駄弁って一日が終わってしまいそうだ。
とりあえず、ツーにこれからのことを聞かねばならないからモララー一度会話を止めた。
だがツーはモララーの顔を捉えてから制止する。
- 21 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:31:32.82 ID:FDqzpinb0
- (*゚∀゚)「……!」
(; ・∀・)「?」
頭の中の記憶と、目前の青年の顔があることに結びついた。
そしてツンから教科書を借りたツーがパラパラとページをめくる。
そして見つけた。
(*゚∀゚)「モララー兄ちゃんって…もしかして、本名はモララー=レンデセイバーだったりする?」
( ・∀・)「そうだよ。」
(*゚∀゚)「おぉおお!!! あんたが『大魔術師』モララー=レンデセイバーかよ!!
すげぇすげぇ! 教科書の写真は昔のもんだからわかんなかったよ!!」
ピョンピョンと跳ねて、教科書に映る15歳のモララーと現在25歳のモララーとを見比べて楽しんでいる。
この反応はブーンと似ている、年相応の幼い反応だ。
ちなみに以前にも出てきた彼の称号『大魔術師』とは
近衛魔術師を越える特例の称号のことだ
誰にも支配されず、あらゆる属性の魔法を使う姿から誰かがそう名づけたらしい。
それが広まりに広まって、いつの間にか国が公認するほどにまでなったのだ。
- 23 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:34:13.16 ID:FDqzpinb0
- (; ・∀・)「ははは…。ツーちゃん、それで…」
(;゚∀゚)「あぁああああああ!!!???」
(; ^ω^)「ど、どうしたんだお!?」
ピタリと跳躍を止めたツーは大声を張り上げる。
近くに座っていた彼らは一斉に耳を塞いでから、すぐに聞き返した。
(;゚∀゚)「な……ない…」
ξ;゚听)ξ「何がよ?」
(*;Д;)「か…母ちゃんの形見がないぃいいいいいい!!!」
(; ・∀・)「形見?」
急に涙が頬を伝い始めた。
ツーはまるで悪いことをして叱られた子供のように、突っ立ったまま泣いている。
(*;∀;)「か、母ちゃん…が…ずっと、ずっ、ずっと…大事にしてた…時計……なんだ…!」
腕を眼部に当てながら、シャックリまじりにツーは言う。
所々聞き取れないが要約すると上記のような感じであった。
- 25 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:36:46.65 ID:FDqzpinb0
- ( ・∀・)「…二人とも、ツーちゃんを助けたとき時計は落ちてなかった?」
二人は首を振る。
(; ^ω^)「で、でも動転してたから確証は持てませんお。」
ξ;゚听)ξ「すみません…。」
( ・∀・)「いいよ、ちょっと探してくるからキミ達はツーちゃんを見ててくれるかな?」
( ^ω^)「わかりましたお。」
ξ゚听)ξ「任せてください!」
モララーは立ち上がり転移魔法を発動させた。
そして光球となり街道の方へ飛んでいった。
(*;∀;)「…す…っげぇ…。」
その初めて見る光景に少しだけツーは落ち着きを取り戻した。
数分後
家の中に蒼い魔法陣が発生した。
- 27 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:38:27.25 ID:FDqzpinb0
- 少し待つと、そこに光の玉が飛んでくる。
それは徐々に人の形を作り上げると、最後にはモララーをその場に作り上げた。
ξ゚听)ξ「どうでした?」
( -∀-)「…。」
モララーは首を振った。
すぐに現場に行ってみたが、馬の死体は既に片付けられ積荷の残骸ももうなかった。
街道は定期的に清掃員が掃除をしている。
魔法を使用しているので、時間はほんの一瞬。
だからこそ、そういった『ゴミ』はすぐに廃棄されやすい。
街道で拾ったゴミはそのまま近くの街の廃棄所へ運ばれていく。
魔法で一気に行うので、時計程度ならば気づかれずに…という可能性は低くは無い。
(*゚∀゚)「…そっか…。ありがとう、兄ちゃん。」
ツーは落ち込みながら報告を聞いた。
泣きじゃくることはなくなったが、まだ気持ちの整理がついていないみたいだ。
( ・∀・)「ん〜…。」
ふと外を見る。
朱に染まっていた空の境界は紫色になっている。
一番星が見え始め、これから暗い夜の時間になるだろう。
- 29 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:40:36.34 ID:FDqzpinb0
- ( ・∀・)「そうだ。」
(*゚∀゚)ξ゚听)ξ「?」(^ω^ )
とモララーは玄関扉を開けた。
そして、ツーに手招きをして外へ来るように誘う。
疑問符を頭に浮かべながらも、ツーは素直に応じた。
( ・∀・)「あそこまで行こうか。」
と、モララーは芝生に覆われた丘を指差した。
(*゚∀゚)「? 何で?」
( ・∀・)「いいからいいから。」
とツーの背中を押して歩かせる。
後ろにツンもブーンもついてきていた。
しばらく歩くと、完全に日は暮れてしまった。
( ・∀・)「頃合かな。」
丘の上に立ったモララーはそう呟く。
- 31 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:42:42.28 ID:FDqzpinb0
- ( ・∀・)「じゃあみんな、目を瞑って。」
(*-∀-)「おう。」
ξ--)ξ「瞑りましたよ。」
(* -ω-)「なんだお? なにが起こるんだお?」
みんなが目を閉じたのを確認すると、モララーは次の指示を出した。
( ・∀・)「そのままゆっくり腰を下ろして。」
言われるがままに彼女らは腰を下ろす。
芝生と大地のヒンヤリした冷たさを臀部が感じ取った。
( ・∀・)「で、そのまま倒れる!」
軽い音がして、みんな一斉に芝生に寝転ぶ形になった。
やけに夏の虫の音が耳をつく。
( ・∀・)「はい。目を開けてごらん。」
- 33 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:45:56.07 ID:FDqzpinb0
- (*゚∀゚)「おおおお!!」
ξ*゚听)ξ「わ〜…すごぉい…!」
(* ^ω^)「チョー綺麗だお!!」
彼らの目に写るのは、漆黒の天に散りばめられた無数の星々だった。
街から見上げるそれとは全く異なる。
わかりやすく見ることの出来る星座。その間にすらも、小さな砂のように星が詰まっている。
雲に隠れる月もまた綺麗だ。
( ・∀・)「でしょう? 街中だと地上の明るさで星が全然見えないけど…
ここは山の中。滅多に見られない絶景だと僕も思ってる。」
(*;∀゚)「すげぇ……。」
と空を見上げて笑うツーの頬を一筋の涙が伝う。
モララーはそれを見逃さなかった。
まさか、フラッシュバックしてまたパニックを起こすのではないかと思ったのだ。
( ・∀・)「ツーちゃん?」
(;つ∀゚)「あ、いや大丈夫だ。…ちょっと思い出し泣きしちゃったんだ…。」
( ^ω^)「思い出し泣き?」
(*゚∀゚)「あぁ。昔、こんな感じの星空を母ちゃんが見せてくれたことがあってさ。
なんか無性に懐かしくなって……つい、な。」
- 35 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:47:24.42 ID:FDqzpinb0
- ξ゚听)ξ「へぇ…ここ以外にもこんな綺麗な景色が見れる場所があるのね。」
( ・∀・)「そうだよ。世界にはもっともっと美しい場所がたくさんある。
また、機会があったら見せてあげるよ。」
(* ^ω^)「ホントですかお!? やったぁ!」
一度起き上がって驚くブーン。
そのまま再び芝生に身を預けて空を仰いだ。
(*゚∀゚)「…兄ちゃん。」
( ・∀・)「ん?」
(*゚∀゚)「ブーンもツンも。助けてくれて、ホントにありがとな。」
( ^ω^)「気にすることでもないお。」
ξ゚听)ξ「当然のことしただけだもんね。」
(*゚∀゚)「ははは。ありがと。ぶっちゃけさ、オレ貴族の人に偏見持ってたんだ。
冷たくて、権力が無い俺達平民はガン無視をする。そんな偏見な。」
(*゚∀゚)「でも、お前らは全然違うのな! ごめんよ、勝手なこと思っちまって!」
( ^ω^)「そんなの全然構わないお!」
ξ゚听)ξ「わかってくれたのならそれで良いわよ。」
- 38 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:48:53.85 ID:FDqzpinb0
- ( ・∀・)「まぁ、正直…貴族にそういう人が居るのも確かだけどね。」
( ^ω^)「…。」
モララーとブーンは同時に同じ人物のを頭に思い浮かべた。
ノーファル家の人間は、ツーの言う偏見とほぼ同じ気質だからだ。
( ・∀・)「でも、こうやって手を差し伸べてくれる人も居る。
だから世の中に絶望だけはしないでね。」
(*゚∀゚)「…うん。わかったよ兄ちゃん!」
( ・∀・)「よし! じゃあ今日はもう帰ろうか!
完全に夜になっちゃったもんね。」
( ^ω^)「おー…流れ星見てみたかったお…。」
ξ゚听)ξ「そんなの街中でも見れるじゃない。」
( ^ω^)「いやいや、その流れ星をぼくが巨大大砲でぶっ壊す! ってのどうだお?」
ξ゚听)ξ「なにその妄想?」
( ^ω^)「わかんないお。きっとぼくの前世はロボット乗りだったんだお。」
( ・∀・)「二人とも帰るよー。街中まで送ってくから早くおいでー。」
( ^ω^)ξ゚听)ξ「「はーい!」」
- 42 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:51:13.43 ID:FDqzpinb0
- モララーは既に転移魔法の準備をしていた。
そしてその中に3人の子供達を入れて、魔法を発動。
三つの光球は、一斉に空へと舞い上がりまるで流れ星の如く街の方へ降っていった…。
( ・∀・)「……さて。」
グーッと伸びをしたモララーも家へ帰ることにした。
明日することはもう決まっている。
畑仕事でも洗濯でもない。
まずは街へ降りることだ。
情報収集をしよう。
どこから来て、どこへ行くのか
被害に遭ったのはツーだけではないはず。
他の人にも聞き込みをすれば、アジトの居場所がわかるかもしれない。
…待てよ。
ツーの時計…確か、高価な物と言っていたな。
純金で出来た魔法仕掛けの一秒たりともズレることのない懐中時計。
もしも、だ。
ただ単に荷物にまぎれて掃除されたのではなく
盗賊団が奪ったとしたら?
- 45 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:53:17.31 ID:FDqzpinb0
- ( ・∀・)「…手間がかからないね。」
モララーは呟いた。
もしも盗賊団が時計を奪っていたのならば、一瞬で奴らのアジトへは迎えるだろう。
それにはツーの協力も必要だが…きっと手伝ってくれるだろう。
モララーは家に入り、机の真ん中に置かれたろうそくに火をつけた。
そして階上へあがりベッドを持ち上げる。
吊るされた過去の遺物である黒衣は、揺ら揺らと燃える火に照らされて妖しげな光沢を放っていた。
( ´∀`)「やぁツンちゃん。」
( ^ω^)「こんちはだおー!」
ξ゚听)ξ「調子はどう?」
次の日。『チャクの日』の午後に、モララーがツーの八百屋を訪れた。
いつも通りの馬車に、ブーンとツンが乗っている。
ブーンは荷台の上に乗っかって手を振って。ツンはモララーの脇から顔をひょっこりだしてツーの体調を気遣った。
- 49 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:55:34.45 ID:FDqzpinb0
- (*゚∀゚)「おー! この通りピンピンしてっぜ!」
腰に手を当ててふんぞり返る。
シャツとサロペットの肌の露出が多い格好に、包帯のオプションはもうついていない。
迅速な対処とクレスト草のおかげで、完治したようだ。
( ´∀`)「じゃあコレ。昨日約束した野菜ね。」
と後ろの荷台を指差す。
ブーンとツンは既にその中の物資を外に出す作業に移っていた。
(*゚∀゚)「あぁ、ホントにすまねぇな兄ちゃん。
ブーンもツンもありがとよ。」
( ^ω^)「気にすんなだお。力仕事は得意だお!」
ξ゚听)ξ「はい、じゃあこれもお願いねブーン。」
抱えた木箱の上にツンが更に木箱を重ねる。
急な重量増加にブーンはよろめくが、なんとか持ちこたえてカウンターへと運んでいった。
( ´∀`)「ところで、ツーちゃん。」
(*゚∀゚)「ん? なに?」
- 51 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 18:58:12.60 ID:FDqzpinb0
- ( ´∀`)「頭の中でいいんだ。キミが無くした時計…どんなものか細かく思い出せるかい?」
(*゚∀゚)「え? なんでだ?」
モララーが訪れた本当の理由はこっちだ。
野菜はある程度残っているので、今すぐ必要というわけでもない。
だが、時計の方はそうはいかないのだ。
もしも盗賊団に奪われてしまったとしたら、売り払われてしまった可能性もある。
廃棄所に捨てられた場合も、まだ時間はないとも言い切れない。
廃棄所はすぐにゴミを焼却処分するわけではなく、可燃不燃ゴミの選定を行うので少しだけ時間があるからだ。
どちらにせよ、時計を取り戻すならすぐに動くべきだろう。
だから次の日にわざわざモララーは街へ降りてきていた。
( ´∀`)「もしかしたら、時計の在り処がわかるかもしれないんだ。」
(*゚∀゚)「マジ!? ならいくらでも協力するぜ!」
( ´∀`)「じゃあ、想像できるかな?」
(*゚∀゚)「おうよ! 毎日見てるから傷の一つまで完全再現できるぜ!!」
( ´∀`)「わかった。じゃあ目を瞑って、やってくれるかい。」
(*-∀-)「オッケー。」
- 53 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:00:10.71 ID:FDqzpinb0
- 目を瞑ってツーは想像した。
金色の懐中時計。金色のチェーンでつながれたポピュラーなタイプの形だ。
裏に小さな傷が付いているのは、自分が小さい頃に床に落とした時のもの。
蓋を開けば、流動的な矢印がルーン文字で書かれた文字盤の上を移動している。
その小さな額にモララーはいつものように立てた二本の指をつけた。
( ^ω^)「ツン。モララーさんは何をやってるんだお?」
ξ゚听)ξ「さぁ…。想像してって言ったってことは…多分、干渉魔法を使ってるんだと思う。」
物陰から二人を除くブーンとツン。野菜を倉庫へ運んで帰ってくる途中のこと
なんだか邪魔してはいけないと思い、少しだけ様子を伺うことにしたのだ。
( ^ω^)「干渉魔法…?」
ξ゚听)ξ「この前授業でやったじゃないの。頭って特殊な波長を放っているのよ。
その波長と魔法の波長を合わせれば、対象の頭の中を除くことができるらしいわ。」
(; ^ω^)「えぇ!? じゃあ変なこと考えたらすぐバレちゃうのかお!?」
ξ;゚听)ξ「あんた普段からそんなこと考えてるの?」
( ^ω^ )「いや、男ならみんなそうだろ。」
ξ゚听)ξ「誰に言ってんのあんた? でも安心なさい。
その波長は普通の人間には絶対に解析できないらしいから。」
- 58 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:04:20.16 ID:FDqzpinb0
- ( ^ω^)「お? じゃあツンは干渉魔法使えないのかお?」
ξ゚听)ξ「当然よ。私のお母さんですら、低級な干渉魔法しか使えてないくらいよ?
元々、相手の兵士に対して強制的に情報を吐かせるために作り上げたいわば禁呪なの。
稀にだけど、相手の波長と自分の魔法の波長が混乱して自我の崩壊をしてしまった人も居るらしいわ。」
( ^ω^)「恐い魔法だおね。」
ξ゚听)ξ「自分の心は自分だけのものよ。相手に覗かせるもんじゃないわ。」
( ^ω^)「だおね。…でも、なんで干渉魔法なんだお?
それが時計とどう結びつくのかさっぱりだお。」
ξ゚听)ξ「それは…そうね。なんでかしら?」
などと解説をしていると、モララーはツーの額から指を離した。
( ´∀`)「はい、終わったよ。」
(*゚∀゚)「もう? なんか指当てられただけな感じがするけど…なんかしたのか兄ちゃん?」
( ´∀`)「キミの脳内にある時計のイメージを僕が受信したのさ。
ただそれだけだよ。」
(*゚∀゚)「へー。よくわかんねーけど凄いな兄ちゃん。」
( ´∀`)「じゃ、僕はここらで帰るよ。これで時計を探せるからさ。」
(*゚∀゚)「? おぅ、じゃあよろしくな!」
- 60 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:07:43.40 ID:FDqzpinb0
- ( ´∀`)「あぁそうだ。よかったらキミ達も手伝っていったらどうだい?
きっと学ぶことは多いとおもうよ。」
モララーは振り返り、ブーンとツンに聞いてみた。
( ^ω^)「お! いいですおね!」
ξ゚听)ξ「それでいいかしらツーちゃん?」
(*゚∀゚)「いいの!? じゃあちょっと頼んでいいか?
実際一人だとやりくり大変な時があるんだ。」
( ´∀`)「じゃ、オッケーだね。二人も、しっかり働くんだよ。」
( ^ω^)ξ゚听)ξ「はーい。」
モララーは一度だけ小さく手を振って馬車に乗り込み去っていった。
これでいい。
二人がここで手伝いをしてくれれば、きっと自分についてくるなんてことはないだろう。
後は…ツーちゃんから貰ったイメージを使って探索に出るだけだ。
できるなら…攻撃魔法は使うことのないように…。
モララーは心からそう祈りながら馬車に揺られていた。
- 61 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:10:33.06 ID:FDqzpinb0
- ( ・3・)「暇だぬぇ〜。」
人里から離れた谷の合間。
VIP街の領地の端にある誰も訪れることのない僻地の洞窟にNEETS盗賊団は居た。
一人の青年が入り口の所で見張りをしていた。
ここに拠点を置くことになって数週間。未だにアシはつけられていないようで、仲間以外は誰も見たことが無い。
だから彼は見張りだけど、心の内は全く持って別の方向を向いていた。
だから彼は見張りのくせに驚いた。
急に目の前に緑色の魔法陣が発生したからだ。
(; ・3・)「な、なんだぬぇ〜!?」
次に出てきたのは緑色の激しい閃光。
思わず目を瞑った見張りが、次に目を開けると
そこには、黒いマントを羽織った同じ年頃と思われる青年が立っていたのだ。
( ・∀・)「…廃棄所じゃない…か。にしても少し鈍ったかな?」
(; ・3・)「お、お前なんだぬぇ〜!?」
- 63 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:13:22.51 ID:FDqzpinb0
- ( ・∀・)「やぁ、聞いていいかい? キミはNEETS盗賊団かな?」
(; ・3・)「だ、だったらなんなんだぬぇ〜!!??」
モララーはそれが肯定と受け取った直後、視線を前方の青年に向けた。
(; ・3・)「!?」
その眼光を浴びた途端、青年は意識を失い口から泡を吹いて転倒した。
失神魔法を放ったからだ。
( ・∀・)「やっぱり、コイツは持ってないか…久しぶりに使ったからやはり失敗したようだ。」
そう呟いてモララーは洞窟の中へ歩き出した。
予想は当たっていたようだ。
こいつらはNEETS盗賊団。ツーの時計を奪ったのはこっちだったか。
爪'ー`)y‐「おいフサ。その時計はなんだ?」
ミ,,゚Д゚彡「昨日、街道を歩いてた貧相なガキから奪ったもんです。
どうです? 高そうでしょう?」
爪'ー`)y‐「ふむ…。そうだね、純金製の時計みたいだな。金にはなるぞ。」
- 66 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:15:25.49 ID:FDqzpinb0
- 洞窟の奥の奥。
長い髪と薄い顔をした、咥えタバコをしている青年がいた。
体躯の良さとその言動から彼が盗賊団の頭だということがわかる。
「なんだおま…ぎゃあ!!」
「お、おい! だいじょうわぁああ!!!??」
ミ,,゚Д゚彡「? どうしたんですかね?」
爪'ー`)y‐「いつもみたいに奪ったものを巡って喧嘩かな?
欲しいなら奪ってこいって言ってるのに…。」
ロッキングチェアに座っていた頭が立ち上がる。
もちろん、この椅子も奪ったもの。
この洞窟で暮らす彼ら盗賊団の生活品や食料はすべて盗品なのだ。
( ・∀・)「失礼、あなたが盗賊団のリーダーかな?」
爪'ー`)y‐「!」
ミ;゚Д゚彡「!?」
最奥地の薄明るい室内の入り口から、見慣れない人物が出てきた。
黒いマントに劣らない漆黒の瞳をもつ青年だった。
- 69 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:18:09.22 ID:FDqzpinb0
- 爪'ー`)y‐「…いかいにも、僕がNEETS盗賊団のリーダー、フォックス=レナードだけど…
キミは誰だい? 何のようでここへきた?」
( ・∀・)「単刀直入に聞くよ。昨日、馬車を襲った際に少女から時計を奪わなかったかい?」
爪'ー`)y‐「時計? …これのことかな?」
ポケットからチェーンの摺れる音を響かせて、フォックスが金色の時計を取り出した。
クルクルと回転する姿から、全容が把握できる。
裏に傷があったのも確認した。間違いなく、フォックスの手に握られているものがツーの時計だ。
( ・∀・)「それ、実は僕の大切な友人の私物なんだ。
悪いけど返してもらえるかな?」
ミ;゚Д゚彡「てめぇ! 何勝手に入ってきて勝手なこと言ってr」
そばにいた昨日の実行犯の青年が、モララーに掴みかかろうと飛び出した。
その瞬間、青年の身体は縦に一回転し天井へ叩きつけられた。
ミ; Д 彡「あがっ…」
重力に負けぬくらい深く天井に突き刺さった青年は意識を失った。
だが、落ちるその瞬間に一度だけ聞いたことのある声を耳にした。
『忠告を聞かない低脳めが』 という悪魔の一声を。
- 72 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:20:34.69 ID:FDqzpinb0
- 爪'ー`)y‐「…あんた、ただもんじゃないね。」
その光景を目にしたフォックスだが、眉一つ動かさずにモララーを見据えていた。
何度も盗みをはたらく度胸、それを実行に至らせる体格。
勉学の教養はないフォックスだが、その点に関しては自信があった。
( ・∀・)「そんなのはどうでもいいよ。質問に答えてくれるかな?」
爪'ー`)y-「その前に…あんた、どうやってここへ来た?」
誰も来たことの無い場所のはず。
事実、仲間以外には誰もここを訪れたことは無い。
バレた形跡も無い。
なのに、何故こいつはここを知っているんだ?
( ・∀・)「『物質認識転移魔法』ってのがあってね。それを使ったんだ。」
爪'ー`)y-「ぶっしつにんしき…転移魔法? なんだそれは?」
( ・∀・)「頭の中にあるイメージの物の所へ瞬時に移動する魔法のことさ。
多分、僕オリジナルの魔法だと思う。」
爪'ー`)y-「へぇ…あんた魔術師かい。」
( ・∀・)「まぁね。で、時計は返してもらえるのかい?」
- 75 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:23:58.56 ID:FDqzpinb0
- 爪'ー`)y‐「…残念だけど、無理だね。『盗んだものは自分のもの』って信念があるからそうそう返すわけにはいかないよ。
特にこの時計は久しぶりに高価で売れそうだしね。ちょっと傷が気になるが、まぁ大丈夫でしょう。」
( ・∀・)「どうしても、返す気はないと?
爪'ー`)y‐「ないね。」
( -∀-)=3「そっか。…仕方ない」
モララーはため息をついて目を閉じた。
その隙をフォックスは見逃さない。
魔術師だから、腕力はあまりないはずだ。
特に接近戦を嫌うこいつらならば、飛び込んでしまえば勝ちは確定。
実力では黒騎士に劣らないと自負しているフォックスは椅子にかけてあった剣を引っこ抜いて飛び出した。
( ・∀・)「容赦はしないよ。」
爪;'ー`)y‐「!?」
目と鼻の先まで剣は迫っていた。
だが、モララーが目を開けた途端にそれは重力と推進力に反し、まるで反発するようにして天へと飛んでいった。
そして無防備になったその腹部へ、モララーは指を立てる。
爪;'ー`)「がっ!!」
- 77 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:27:32.65 ID:FDqzpinb0
- 瞬間的に衝撃が伝わり、フォックスは壁の方へ一気に飛んでいった。
岩壁を崩すほど身体がめり込み、フォックスは吐血した。
同時に加えていたタバコが落ちる。
( ・∀・)「なんであろうと、人のものを盗るのはダメだよ。
それは、その人かその人の親が汗水たらして手に入れたものなんだ。」
爪;'Д`)「ぐあぁあああ!!」
( ・∀・)「キミ達も汗水垂らして手に入れたんだろうけど…これは間違ってるよね。」
指を突きたて続けるモララー。
強力な重力がフォックスの身体全体にかかり、何も無いはずなのに押しつぶされている感覚に陥る。
( ・∀・)「もう一度言う。時計を返すんだ。」
冷たくモララーが言う。
重力波を解いて、相手に自由を与える。
爪;'ー`)「がふっ…ぐっ…!!」
手と膝をついて、大きく咳をするフォックス。
たまに唾に混じって血が出ている。
( ・∀・)「聞こえなかった? はやくしなよ。」
爪;'ー`)「ぢっ……ほらよ!!!!」
- 79 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:30:15.79 ID:FDqzpinb0
- 目の前まで歩いて来ていたモララーへ、フォックスは何かを投げつけた。
一瞬、それが時計だと思ったが…違う。
鈍い輝きに鋭利な先端。
フォックスが隠し持っていたナイフだった。
( -∀・)「返す気はない…か。」
モララーは呆れて呟いた。
爪;'Д`)「ぎゃあぁあああ!!??」
途端、支えていた手のひらに凄まじい痛みが走る。
ナイフがその手に突き刺さっていたのだ。
だが…明らかにおかしい。
普通は柄が手の上にくるはずなのに…ナイフの刀身だけが手に突き刺さっている。
つまり、地面の下からナイフが刺さってきているのだ。
( ・∀・)「反省する気もないみたいだし、忠告も聞かない。
どうやら、生かしておく必要もないみたいだね。」
爪;゚Д゚)「うぉあああああ!!???」
- 80 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:31:27.85 ID:FDqzpinb0
- 更に痛みが増す。
両の手のひら、膝、足先全てにナイフが突き刺さったのだ。
これはモララーの空間転移魔法の効果だ。
先ほど飛ばされたナイフは、瞬時にフォックスの手の平へ。
他のナイフは、まだ隠し持っていたフォックスが所持していたナイフを転移させて突き刺したのだ。
( ・∀・)「時計は返してもらうよ。
仲間もろとも、ここで朽ちるがいいさ。」
時計をポケットから奪い取ると、モララーは痛みで叫ぶフォックスを残して洞窟出て行った。
( ・∀・)「…。」
入り口へついたモララー。
見張りの青年を衝撃魔法で内部へ飛ばす。
それからモララーは念じ始めた。
応じて周囲が地鳴りを始めて大きく揺れる。
すると、突然ヒビ割れる音が聞こえた。
そして次の瞬間には、激しい音と共に洞窟の入り口が崩壊を始めた。
土砂の壁の完成である。
( ・∀・)「じゃあね。」
- 82 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:34:59.20 ID:FDqzpinb0
- 青色の魔方陣を発生させてモララーは飛んでいった。
時間は夕方。そろそろツーの仕事が終わる頃だろう。
先回りするか。
(*゚∀゚)「よし、じゃあ今日はここまでな! 二人ともサンキュー!」
( ^ω^)「おうともよ! ツーちゃんもお疲れだお!」
ξ゚听)ξ「じゃあ、私達も帰るね。お疲れ様ー。」
手を振り合って別れを告げる子供達。
ツーは今日の売り上げを確認し、在庫の確認もしてから家の中へと入っていった。
(*゚∀゚)「お?」
そして入ってすぐそこにある机の上に何かがあることに気づいた。
いつも綺麗にしているし、自分以外は家に入らないのでそんなものを片付けないわけがない。
疑問に思いながらもツーはその何かを確認する。
(*゚∀゚)「あ…。」
夕焼けに照らされるそれは、母の形見の金色の時計だった。
裏を確かめると、傷もある。間違いない。
- 85 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/12(木) 19:37:16.21 ID:FDqzpinb0
- (*゚∀゚)「? 手紙?」
時計を重しにするように置かれていたのは小さな手紙。
誰のものだろうと、手にとって読んでみる。
『ツーちゃんへ。
無事に時計は見つけたよ。良かったね。
もしも、また何かあれば力になるからいつでも相談してほしい。
今度からは包み隠さず、ちゃんと…ね!
また暇があれば、綺麗な景色の所へも連れて行ってあげるよ。
僕の所へ来たかったら、ブーン君とツンちゃんと一緒においで。
いつでも歓迎するよ。
垂れ目のおっちゃん より』
(*゚∀゚)「……兄ちゃん……。」
(*;∀;)「あ…ありがとな…。」
ポタポタと手紙に涙の雫が落ちる。
ツーは返ってきた母の形見を抱きしめながら、大声で泣いた。
モララーへの感謝の気持ちが一杯になったことによる涙は、夜が更けるまで止まることがなかった…。
つづく
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