- 5 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 19:47:35.82 ID:FussHKCbO
- 鳴り止まない蝉の声
照り止まない日の光
見渡す限りが草原に囲まれた山の奥深く
人里から離れた僻地に
世界最強と謳われた魔術師が住んでいた。
( ・∀・)モララーは隠居暮らしのようです。 双
- 6 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 19:50:53.20 ID:FussHKCbO
- 第一話「あれから一年後のおはなし」
(; ・∀・) 〜♪
麦藁帽子、開襟シャツ、長ズボン、白の軍手、首にはタオル。
どこからどう見ても農家の人間としか見えぬ彼の名はモララー=レンデセイバー。
柔和な顔の下に『大魔術師』と言う称号を秘めている青年だ。
季節は夏
天からの恵みに喜ぶのは植物くらい
人間や動物は誰もがグッタリとして、涼風の魔法がかかった部屋で寝転がっている。
しかし、背の高い植物に囲まれた中で作業をする彼だけは違った。
他の人間と違わず汗を垂らしながらも、表情だけは涼しげに農作業を行っている。
夏野菜である立派に育ったトウモロコシをちぎっては籠に入れるという行動を繰り返している。
ふとお腹が鳴ったので、一つだけ籠に入れず葉を向いて少し白身を帯び種子を見てみる。
ズラリと並んだ同形の果実は口内と胃に摂取体制を取らせるには十分な風貌をしていた。
大きく口を開けて一部を含んでみる。
街では決して味わえない甘さが一粒一粒からしっかりと感じる。
暑さも疲労感も忘れて彼は夢中でトウモロコシを食す。
すっかり茎と葉だけになったそれを彼は捨てることなく別の籠に入れた。
葉は肥料になるし、残された茎も堆肥になるし現在使用している籠の原料にもなる。
- 9 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 19:55:10.10 ID:FussHKCbO
- (゚、゚;トソン「そろそろ休憩にしませんか?」
草をかき分けて出てきたのは若い女性
モララーと同じような農業スタイルをとっているが、その容貌は美しいの一言にかぎる。
汗を拭いながら、土に汚れた軍手を外して空を仰ぐ。
(; ・∀・)「そうだね。」
一言そういって彼は女性を連れて畑を出た。
籠には一杯のトウモロコシ。
山中の気候や土は良質な野菜を生成してくれる。
下界の魔法栽培と比べると一目瞭然だ。
魔法を使用した栽培方法は、手間や人手がかからない代わりに人体に悪影響を及ぼす。
非常に些細なものであるし、普通の人にはまったく効果が表れないことが多い。
が、敏感な体質の人間は痒みや不快感などの症状を訴えることもある。
しかし、誰もそのことについて言及はしない。
人口の増えた世界では仕方の無いことなのだから。
もしも全世界を一挙に無魔法栽培にすると、食糧問題で暴動が起きるのは必至だろう。
- 10 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 19:58:42.89 ID:FussHKCbO
- それでも
そんな世界でも、懸命に努力をしているのがモララー=レンデセイバーだ。
彼は10年前の戦争でたくさんの人を殺した。
だから今度は逆のことを、少しでも多くの人を救えることをやりたい。
放浪を続けていた彼だがその結論に至った時、気がつけばこの山奥に居たそうだ。
少しでも多くの無魔法野菜を作って街に売り出す。
小さくてもいいから、助けになって欲しいと考えて行っていることだ。
(゚、゚トソン「大きくなりましたねぇ…。」
丘の上の芝生に腰をかけ、緑の生い茂る畑を眺めている女性は都村トソン。
名前でなんとなくわかるかもしれないが、彼女はこの大陸の人間ではない。
現在彼女らが居るのはVIP大陸。
長年の戦争で勝利をした大陸だ。
対する彼女は敗戦したラウンジ大陸の人間。
言語や文化が全く異なるのだが、モララーのかけた魔法によってカバーされている。
しかし、本来彼女はここにいるはずのない人間なのである。
- 14 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:01:53.32 ID:FussHKCbO
- なぜかと言うと
VIP大陸もラウンジ大陸も、争い自体は終われど未だに仲は最悪。
どちらも相手の文化を受け入れようとしない。
手前勝手な都合により、特化している技術などは導入している。
子供はそんな差別はしないが、戦争経験のある人間は異様なほど別大陸の人間を忌み嫌う。
彼女も元々はその一人だったが…
様々な出来事を経て、彼と共に暮らすことを決めた。
( ・∀・)「今年も良い気候に恵まれたよ。
自然災害が起こりにくいから、やっぱり山の中は良いね。
動物に食べられちゃうのだけはちょっと嫌なことだけど、それは仕方ない。」
汗をタオルで拭い、持ってきた木製の水筒で喉を潤す。
中身はすぐ傍を流れる川から汲んで来た天然水だ。
適度に冷えたそれは身体全体によく染みわたる。
(゚、゚トソン「…これからも、こうやって過ごせるんですかねぇ…。」
ポツリとトソンが呟いた。
スローライフは悪くはないが、時折不安に襲われる。
このままこの世界が続くのだろうか、と。
- 15 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:05:31.39 ID:FussHKCbO
- 少なくとも…自分はこの小さな世界を終わらせようとした人物の一人。
可能性があるといえば…あるのだ。
( -∀-)「それ、前にも言ったね。」
( ・∀・)「大丈夫だよ。平和は自然に訪れるものじゃない。誰かが保とうとするから平和なんだ。」
( ・∀・)「まだまだ、そのために頑張っている人はたくさん居る。
僕もその一人だしね。」
( ・∀・)「そうやって、努力をしている人が居る限り…この生活はずっと続くよ。」
(゚、゚トソン「…そうですね。」
バカなことを言ったな、とトソンは思う。
安心していい。この人は世界で一番強い人なんだ。
もしも悪成る思惑が動こうものなら、最終的には彼が止めてくれる。
それに…
( ・∀・)「…おっ。」
(゚、゚トソン「?」
モララーがピクンと反応する。
何だろうと一瞬考えたが、すぐに理解した。
- 17 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:08:57.54 ID:FussHKCbO
- ( ^ω^)「やっほーですおー!」
ξ゚听)ξ「こんにちはー!」
(*゚∀゚)「おーっす!」
自分達が座った丘の後方から三人の子供が歩いてきた。
( ^ω^)「今日も精が出ますおね。」
一人はTシャツに半ズボンとハイカットの靴を履いた少年。
腰には少し長めのナイフを携えている。
名前はブーン=ホライゾネル。
VIP闘技学校に通う14歳の少年だ。
父親が高位階級である聖騎士ロマネスク=ホライゾネルなので、彼も違わず騎士を志している。
学問に関しては少し不安だが、実技に関しては騎士コースでトップクラスだそうだ。
去年に比べ全体的にほっそりとし、男らしく声変わりもした。
ちなみにいつもココに来るときは必ず瑠璃のペンダントを首からさげている。
理由は、そのペンダントには圧縮された空間転移魔法が秘められており、魔力をこめれば誰でも即座にこの山奥へと移動できるからだ。
魔法が不得手な彼がつけている理由は、魔法が得意なツンといつも一緒であるようにというモララーの配慮からである。
空間転移魔法はとても高度で繊細な魔法。その独特の波動を感じ取ったから、モララーは三人が来ることを理解していたのだ。
- 20 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:12:26.31 ID:FussHKCbO
- ξ゚听)ξ「これ、お母さんからの差し入れです。」
隣に居るのはブーンの幼馴染のツン=デ=ジェレイト。
同じく14歳のVIP闘技学校に通う少女だ。
二年生になり、魔術師コースを専攻したのでブーンとクラスは分かれてしまった。
母は白魔術師、父は白騎士のサラブレット。
近衛の階級を持つ親の生徒にも見劣りしない成績をたたき出している。
(*゚∀゚)「おー。今年も美味そうに育ったなー! こりゃバカ売れ間違いなしだぜ!」
普段と同じように、Tシャツと短パンのサロペットを着ている少女はツー=チェイル。
二人とは違い、一般の闘技学校に通っている。
母は他界し、父は戦時の傷が癒えず未だに寝たきり。
そんな二人に代わり、実家の八百屋を切り盛りしている看板娘である。
ある事件以降、ブーンやモララーたちと交流を持つことになった。
( ・∀・)「あぁ、ありがとう。ちょうど休憩だったんだ。一旦小屋に戻ろうか。」
モララーはツンが差し出した木箱を手に取り、腰を上げる。
同時に立ち上がろうとするトソンへ手を差し出して、助勢をしてあげていた。
- 24 名前:◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:15:44.15 ID:FussHKCbO
- 実は、トソンは去年足を折っている。
魔法とクレスト草という薬草のおかげで完治したものの、まだ少し不安だとモララーは過保護になっている。
トソンはそんな彼の性格が嫌いではなかったし、おせっかいをされることも慣れたものなので快くその手に甘えた。
( ・∀・)「今日はメロンだよ。」
(* ^ω^)「ヒャッホゥ!!」
突然立ち上がって手を振り上げるブーン。
ξ゚听)ξ「みっともないから座りなさい。」
そんな幼稚な彼を制御するのが彼女、ツンの役目だった。
(゚、゚トソン「たくさんあるから、ゆっくり食べてね。」
(*゚∀゚)「いただきまーす!」
お皿の上に均等に切り分けられたメロンへ、ツーはフォークを突き刺した。
果汁がドロリと溢れて皿へと零れ落ちる。
口へ持っていこうとする最中でも滴り落ちるので、迎えてあげなければ綺麗に食べられなかった。
- 29 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:19:55.58 ID:FussHKCbO
- ( ・∀・)「何か、変わったことはあったかい?」
学校は夏休みに入っているが、二年生以降は補講がある。
ツーのよう一般学校はそんなものないが、名門であるV校は良い人材を輩出しようと力を入れているからだ。
( ^ω^)「特になにもないですお。」
モシャモシャと口いっぱいにメロンの切れ端を詰め込み咀嚼しているブーン。
溢れ出る果汁が端から零れてくるので、それをツンが拭いてあげつつ答えた。
ξ゚听)ξ「私の方も……特にはなにも。」
(*゚∀゚)「オレの方もダイジョーブだぜ! 万引きする奴も居なくなったしな。」
( ・∀・)「それは良い報せだ。」
ニッコリと微笑むモララーだが、かつて万引きを常習していた盗賊団を殲滅したのは他でもない彼。
移動中のツーを襲い、母の形見を奪ったあげく暴行を加えたので制裁をしたのだ。
今もアジトである洞窟の入り口は岩で覆われている。
脱出できたか、そのまま朽ち果てたかは彼の知るところではない。
(゚、゚トソン「けど、みんな立派になったね。
去年はまだ幼さが残ってたけど…やっぱり成長してるんだねぇ。」
( ^ω^)「それほどでもないですお。まだまだ父ちゃんには及ばないですお。」
- 31 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:23:49.21 ID:FussHKCbO
- ξ゚听)ξ「私もまだまだね…。ショボン君にもまだ勝てないもの。」
( ・∀・)「!」
( ・∀・)「そういえば…ショボン君はその後、どうなったんだい?」
初めてブーンがここに来たとき、彼は問題を抱えていた。
ショボン=ノーファルとその一味によるいじめを受けていたのだ。
親が聖魔術師シャキン=ノーファルなのを良いことに権力を振りかざしてイジメや暴力を振るっていた。
優しいブーンはその目標にされていたのだ。
結局、相手へキレることを覚えたブーンによる反逆に遭いそれ以降はおとなしくなったのだが…。
( ^ω^)「…ぼくは知りませんお。クラスが違うし。」
ξ゚听)ξ「以前よりはおとなしくなりましたよ。…ただ……」
( ・∀・)「ただ?」
ξ;゚听)ξ「今度は、逆に彼がいじめの対象になっちゃって…」
(; ・∀・)「えぇっ!?」
驚いた。
聖魔術師の息子がイジメにあっていると?
…いや、ブーンでさえそういったことがあったんだ。別に不思議なことではない。
- 34 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:26:51.90 ID:FussHKCbO
- 不思議なことではないが…ひっかかるものがある。
アレだけ子を溺愛していたシャキンが無関心なのか?
( ^ω^)「自業自得ですお。あいつも一片知ってみるべきなんですお。いじめられる側の心理を。」
( ・∀・)「こらこら。そんなこと言わないの。」
(; ^ω^)「ぅ…」
( ・∀・)「悪いのは彼じゃない。彼を育て、彼の性格を形成させたシャキンさんが悪い。
ショボン君自身に罪はないんだよ。子は親を選べないしね。」
( ^ω^)「…それでも…あいつがぼくをいじめていたのは事実ですお。
そう簡単に許しはしませんお。」
ξ゚听)ξ「……。」
( -∀・) =3
(*゚∀゚)「トソンねーちゃん、あ〜ん。」
(゚o゚*トソン「あ〜ん。」
- 40 名前:◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:31:57.16 ID:FussHKCbO
- ブーンとツン、モララーが真面目な話をする。
横でツーとトソンがお花畑なやり取りを行う。
いつもと変わらぬ、そんな日常。
誰とも関わらぬと決めたモララーが手に入れた
小さいけどたくさんの幸せ……。
( ´∀`)「…おや?」
ルナの日の午後。
ツーに野菜を届け、隠居小屋へと戻ろうとした時だった。
馬車の上から、とある少年を見かけたのだ。
- 43 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:35:58.79 ID:FussHKCbO
- (;´・ω・`)「……。」
こそこそと、何かに脅えるように歩いているのはショボン=ノーファルだ。
制服のまま路地裏に入ってく姿をモララーはしっかりと捉えた。
( ´∀`)(どうしたんだろう…たしかノーファル家はこちらの方角ではないはずだが…。)
様子がおかしいのに加えて、ショボンということもあったからモララーは馬車を置いて追いかけることにした。
ちなみにモララーの顔が違うのは変化呪文をかけているから。
下界に降りる際はそうやって正体をばれないように工夫しているのだ。
(;´・ω・`)「…」
(,,゚Д゚)「お、来たな。」
<ヽ`∀´>「遅いニダ。次遅れたら三割増しにするニダ。」
(;´・ω・`)「なっ…そんなの無理に決まってるだろ!?
これでも授業後にすぐ来たんだよ!?」
(#゚Д゚)「あ? 決まってるだろ…? てめぇ、何タメ口きいてんだゴルァ!!」
(;´>ω・`)「ッ!!」
拳がショボンの腹部にめりこむ。
顔はわかりやすいのでわざと目立ちにくい身体を狙っているのだ。
<ヽ`∀´>「ウェーハッハ!! 憂さ晴らしでもするニダ!!!」
- 46 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:38:07.75 ID:FussHKCbO
- ( ・∀・)(…そういうことか。)
そういえばこの前ツンが言っていたな。
ブーンがいじめの対象から外れたことにより今度はショボンがいじめられている、と。
あの事件以降、学校内の眼も厳しくなったのでわざわざこんな所にまで呼び出して…か。
会話を聞く限りでは、どうやら金をせびっているようである。
しかし不思議だ。
ショボンは聞くところによれば、成績はトップクラス
彼ほどの魔力なら、抵抗するのは簡単なはずだが…?
(,,゚Д゚)「あースッキリした。またよろしくな、ショボンおぼっちゃま!」
<ヽ`∀´>「わかってると思うけど、誰かにチクったらブーンと喧嘩したってお前の親に言いつけるニダ。」
(;´・ω<`)「うぅ…」
倒れても反抗的な目つきをしているショボン。
何か仕返しをしようと一瞬だけ魔力を手にこめたが…すぐにやめた。
先に体力が尽きて気絶してしまったようだ。
そんなショボンを気遣うこともなく、不良生徒の二人は金だけを奪ってその場を後にした。
- 55 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:42:51.64 ID:FussHKCbO
- ( ・∀・)「よっと。」
路地裏の壁と同化していたモララーは魔法を解いてショボンの前に立つ。
自業自得…ブーンはそういっていたけど…こういうことはやはり良くない。
けど、自分が手出しをしていいものなのか少し悩む。
このままでは結局、彼はずっと一人ぼっち。
それで良いのだろうか。
たとえモララーが助けても、得体の知れない何かが憑いているだとかその程度だ。
彼に近寄る人間はゼロになってしまう。
( ・∀・)「…良いわけないよね、そんなのが」
とりあえず、治療をしてあげよう。
偶々持っていたクレスト草の液体瓶を取り出す。
コルクの栓を抜いて、制服のボタンを外し腹部へゆっくりと青色の液体を垂らしていく。
染みるのか一度ピクンと跳ねたが、起きる気配はしない。
時期に効能が現れるだろう。もう大丈夫だ。
あとは壁にもたれさせて…おさらばしよう。
この問題は自分が直接関わるべきではない。
子供の問題は子供に
口ではああ言ってるけど、彼なら……なんとかしてくれるはずだ。
- 59 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:44:50.82 ID:FussHKCbO
( ^ω^)「え? 今なんて?」
( ・∀・)「うん。ぜひともショボン君を助けて欲しいなって思って。」
インドラの日
今日は朝から隠居へ来ていたブーンたちへ、モララーはお願いをした。
ξ゚听)ξ「…それ、本気で言ってます?」
先に反対の意志を示したのはツンだった。
ブーンは何を言っているんだこの人は、という視線を向けることで精一杯になっていたからだ。
( ・∀・)「本気も本気さ。君たちくらいにしか相談できないことだし。」
( ^ω^)「モララーさん…ぼくは前にも言いましたお。
こうなったのはあいつの自業自得。ぼくには関係のないことですお。」
ξ゚听)ξ「私もそう思います。いくら魔法が出来ても…私は彼を許したつもりはありません。」
( ・∀・)「まぁそう言わずに。」
(# ^ω^)「イヤったらイヤですお! なんでそんなことをモララーさんがお願いするのか全然わからないですお!!」
ブーンは机に拳を叩きつけて怒鳴る。
置いておいたシルムの紅茶カップが倒れないようにツンがさっと持ち上げていた。
- 62 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:47:50.33 ID:FussHKCbO
- ( ・∀・)「わからない…か。」
ξ゚听)ξ「えぇ。さっぱりです。彼を助ける義務も義理も、私達にはないじゃないですか。」
( ・∀・)「義務や義理で助けてあげてくれ、なんていわないさ。
でも、ブーンくんなら僕がなんでこんなお願いするかわかるだろう?」
(# ^ω^)「は?」
モララーは肘をついて組んだ手を顎に乗せて続ける。
( -∀-)「いじめられている時…君は何を思った?」
(; ^ω^)「!」
( ・∀・)「誰か助けてくれ、もうこんなのイヤだ。きっとこんなことを思ったでしょ?」
ブーンは俯く。その沈黙が肯定と理解してモララーは話す。
( ・∀・)「そして君は偶々ここを訪れ…心の拠り所を、救いを手にした。」
( ・∀・)「さて、ここで問題だ。ショボンくんは今現在、何を思っているでしょう?」
- 66 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:50:16.20 ID:FussHKCbO
- ( ^ω^)「……。」
ξ゚听)ξ「……きっと…あんたと同じね。」
納得いかない、でも気持ちはわかる。
心の葛藤がその拳に表れて、力強く握り締めているのだ。
そんな辛そうな彼を見ていられなくてツンは優しく、震える拳を握った。
( ・∀・)「今回の一番の問題はショボン君じゃない。親であるシャキンさんに問題があると思うんだ。
その点に関してだけは、僕が何とかしておく。
だから君たちは、君たちの世界の問題を取り払って欲しいんだ。」
( ^ω^)「…………とりあえず…」
一呼吸置いてからブーンは言った。
(; ^ω^)「…やってみますお。」
- 72 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:52:56.49 ID:FussHKCbO
- ( ・∀・)「本当かい?」
( ^ω^)「でも、差し伸べた手をあいつが拒否したら…ぼくはもう知りませんお。」
( ・∀・)「わかった。それを決めるのは僕でも君でもなく、彼自身だ。それについては文句は言わないよ。」
ξ--)ξ =3「ハァ…またお節介をするのね。」
( ^ω^)「お? ツンも手伝ってくれるのかお?」
ξ゚听)ξ「当然でしょ。クラスメートを助けるって意味にもなるわ。
別にあんたの為じゃないから、そこは勘違いしないでね。」
( ^ω^)「ありがとだお。」
( ・∀・)(こちらはもう大丈夫だね。)
残る問題は一つ
自分が関わるのはこれだけにしよう。
明日、また補講がある。
その時、何とかショボンを助けてあげよう
結論がまとまったことで、子供たちは外へ出て遊びに行った。
- 74 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 20:56:48.30 ID:FussHKCbO
- さて、じゃあ自分も…と身支度を整えて畑へ
明日はきっと仕事が出来ないからね。しっかりやっておかないと。
トソンさん一人じゃ大変だろうし。
……ん? 仕事ができない理由?
当然さ
お昼の間は、ノーファル家にお邪魔しているからね…。
つづく
- 82 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 21:10:39.17 ID:FussHKCbO
- キャラ紹介
( ・∀・) モララー=レンデセイバー ♂
・山奥で暮らす青年。年齢は26歳。
・かつての大戦を終焉へと導いた人物。
・『大魔術師』という世界最高峰の魔術師に与えられる称号を持つ。
・現在は隠居暮らし中。
・戦闘時は黒いマントを羽織ってあらゆる系統の魔法を駆使して戦う。
・二つ名は『黒風』
・名前の由来はrendとseverを無理やり繋げたもの。意味は『分ける』と『裂く』
( ^ω^) ブーン=ホライゾネル ♂
・名門、国立VIP闘技学校に通う少年。14歳。
・称号は『騎士』
・父親は聖騎士ロマネスク=ホライゾネル。母はクーレ=ホライゾネルで、こちらは一般人。
・学校に通い始めてからいじめられていたが、反発し克服
・優しいけど少しおバカ。でも空気はちゃんと読める子。
・ぽっちゃり系だけど、脂肪の下には筋肉モリモリ
・名前の由来は思いつき。騎士を英名にすると『ナイト』だから『内藤』とかけているのは秘密。
- 84 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 21:13:02.20 ID:FussHKCbO
- ξ゚听)ξ ツン=デ=ジェレイト ♀
・ブーンと同じくVIP闘技学校に通う少女。14歳
・称号は『魔術師』
・父親は白騎士ミラン=デ=ジェレイト 母は白魔術師レイ=デ=ジェレイト
・ブーンと幼馴染。
・少し我侭だが、魔法の才能はモララーが認めるほど
・名前は略してツンデレという名になるように。
『ジェレイト』は回転するという意味の『ジャイレイト』のもじり。巻き髪を意識して。
(*゚∀゚) ツー=チェイル ♀
・上記の二人とは異なる一般の闘技学校に通う少女。14歳
・称号は『騎士』
・父親は黒騎士ジョルジュ=チェイル 母は他界している。
・金の懐中時計が母の形見
・明るく自由奔放な子。年齢よりも少し幼い印象を持たせる
・街の小さな八百屋を切り盛りしている看板娘。
・名前の由来はは2ちゃんねる。ツー=チャンネルにしなかったのはいくらなんでも安直だったから。
- 85 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 21:16:03.89 ID:FussHKCbO
- (゚、゚トソン 都村トソン ♀
・ラウンジ大陸の女騎士。21歳
・記憶を失いモララーの所にやっかいになる。
・本当はモララーを暗殺しに来たのだが、彼の心の在り方に打たれ断念。現在同棲中。
・物静かな和風美女という感じ。
・名前は由来もなにもこれが公式ネームじゃないの?
(´・ω・`) ショボン=ノーファル ♂
・国立VIP闘技学校に通う少年。14歳
・称号は『魔術師』
・ブーンをいじめていたが、彼の反旗にビビり以降はおとなしくなった
・父親が聖魔術師なのをいいことに権力を振りかざしていたが……?
・名前の由来は高貴なという意味のノーブルとファミリーを合体させたもの。
- 89 名前:◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 21:20:45.08 ID:FussHKCbO
- ( ФωФ) ロマネスク=ホライゾネル ♂
・ブーンの父親。35歳
・年齢出生関係なく、強き者には常に敬意を払っている人
・称号は『聖騎士』 二つ名は『憤鬼』
・彼曰く生涯現役だそうだが、最近息子の成長に少しだけ畏怖している。
川 ゚ -゚) クーレ=ホライゾネル ♀
・ブーンの母親。35歳
・学校に通っていたが戦争には参加しなかった人。理由は育児。
・一応称号は『黒騎士』 戦闘力は低くない
・ロマネスクと幼馴染。昔は彼女の方が強かったらしい。
(`・ω・´) シャキン=ノーファル ♂
・ショボンの父親。39歳
・考えに間違いはないが、人の命を駒程度にしか思っていない
・称号は『聖魔術師』 二つ名は『氷星』
・妻は居るけど、これ以上キャラを増やしたくないから書きたくないです
- 92 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 21:23:04.96 ID:FussHKCbO
- ζ(゚ー゚*ζ レイ=デ=ジェレイト ♀
・ツンの母親。33歳
・おっとりした天然っぽい性格の人
・称号は『白魔術師』 二つ名は『風精』
・ボーッとしてるけど考え方はとてもしっかりした立派なお方
・ツンの名前を先に考えたせいでデレという名をつけにくいことに気づいた。だからごり押し
( ゚д゚ ) ミラン=デ=ジェレイト ♂
・ツンの父親。35歳
・体格や豪快な性格などザ・騎士という感じの人
・称号は『白騎士』 二つ名は『岩壁』
・娘の心境の変化とうには疎いおっさん。でも悪い人ではない。
・否定の意味の〜ん(ex,いらん、とか、くわん)で、見らん。博多の方言だっけね。
他にもポツポツキャラがいるけど基本はこれだけ。
- 95 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 21:25:48.19 ID:FussHKCbO
- 用語紹介
『闘技学校』
・13〜15歳の少年達が通わなければならない傭兵養成学校。それ以前、それ以降は本人の自由。
・三年間で自分の適性にあった進路を決める。やけに体育と実習の多い学校と思っていただければ結構です。
・大陸各地にたくさん存在する。幼少学校と言う12歳未満の子が通える学校もある。もちろん後付け。
・名門と呼ばれる学校や弱小と呼ばれる学校など種類は様々
・1年時は合同で。2年以降はは騎士コース魔術師コースで分離
・卒業時に王都へ行って傭兵テストを受ける。本来はお金がかかるが、この時のみは学校負担なので無料。
- 97 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 21:27:16.33 ID:FussHKCbO
- 職業
これらの名前の前に階級名がつく。無名はまだ闘技学校の生徒。
『騎士』
・近接戦闘に特化した人
・様々な武器を使いこなす。もちろん、得意武器などは人によって異なる
・体育会系の人間と思っていただければおk
・戦士としての寿命が短いも、数は魔術師より何倍も多い。
『魔術師』
・遠距離戦闘に特化した人
・様々な魔法を使いこなす。
普通は得手不得手があるので、二つ名に得意とする名がつけられる。
・騎士と違って精神力を使うので年老いても心が持てば生涯現役
- 98 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 21:29:49.22 ID:FussHKCbO
- 階級表
『近衛騎士』『近衛魔術師』
・実績や能力が優れた者に与えられる最高階級
・王の側近を勤める最強の戦士。故に責任感は重大
・そのため数は非常に少ない
・若い人も居るが半数が老人。だから現役の『近衛騎士』は極稀な存在
・名誉監督的な称号でもある。引退しても名は永遠に語り継がれる
・戦時は戦場に参加するのではなく、やはり王の護衛に回ることが多い。
『聖騎士』『聖魔術師』
・戦場に出る中では最強の人たちに与えられる称号
・後に記述する騎士、魔術師たちを戦場で指揮する人たち
・数は近衛騎士、魔術師ほどではないが極少数
・戦えないとダメなので一定年齢間でしかもらえない称号
・言うなれば将軍の役割。バンバン前線に出る人も結構いる
- 100 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 21:32:02.04 ID:FussHKCbO
- 『白騎士』『白魔術師』
・雑兵をまとめる人たちの称号
・部隊長の役割
・数は常に一定。増えるのではなく、実力や実績で交代させられることも
『黒騎士』『黒魔術師』
・闘技学校を無事に卒業した生徒には皆与えられる称号
・だから数は非常に多い
・無双ゲーならば一振りで何人か殺されなければならない役割の人たち
特級
『大魔術師』
・モララー=レンデセイバーにのみ与えられた皇位に近い称号
・彼の性格ゆえにそういったことはしないが、もしも命令が出れば『近衛』の階級を持つ者ですら従わなければならない。
・元は誰かがポツリと呟いたモララーを指していった言葉
・いつの間にか広まり、王自身が認定してしまった
・今までも、多分これからも二度と冠する者は居ないとされる。
- 102 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/07/19(日) 21:34:51.85 ID:FussHKCbO
- 大陸説明
VIP大陸
・長きにわたる戦争に勝った大陸
・イメージは西洋文化
ラウンジ大陸
・戦争に負けた大陸
・イメージは日本文化
・大和魂は砕けない。意味はそういうこと。
魔法について…
『森羅万象あらゆるものを人は操れる。
それは己が心こそが世界であり、世界こそが己が心だからだ。』
偉い人が綴った一文。つまりはそういうこと。それっぽいこと書いたけどオリジナルなのよね。
炎や風や氷や大地。空を飛んだり、時空を移動したりもできる。
ただ、人を蘇生させることはできない。モララーでも無理。
それ以外は何でもできるものだと思ってもらって構わない
現実世界における、薬や人口物の役割も果たす。
つまりは万能ではない。自然は自然だからこそ自然なのだ。
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