( ^ω^)は巨大ロボットを操縦するようです

70 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/21(土) 22:37:12 ID:LmfH4oIA0



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         ( ^ω^)は巨大ロボットを操縦するようです

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         第参話      遺されたCPU
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72 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/21(土) 22:45:33 ID:LmfH4oIA0
某月某日、荒巻製作所。

('A`)「失礼しやーっす」

(´・ω・`)「あ、どうも鬱田さん。いつもお世話になってます」

('A`)「こんちは。すいませんね、歯車王の請求書が滞ってて」

(´・ω・`)「気にしないでください。困ってるのおやっさんだけですから」

('A`)「そう言ってもらえると助かります。で、そのおやっさんは?」

(´・ω・`)「ここんところ歯車王にかかりっきりで、奥から出てこないんですよ」

('A`)「あーマジっすか。ちょっと話がしたかったんすけど」

(´・ω・`)「うーん、僕らが呼んでも返事してくれないですからね」

('A`)「それ中で死んでたりしないっすか?」

(´・ω・`)「ははは、だったら面白いんですけどね。ご飯は差し入れてますよ。何か伝言でもしておきます?」

('A`)「いや、いいですよ。また来ます」

(´・ω・`)「わかりました。またよろしくお願いします」


74 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/21(土) 22:53:59 ID:LmfH4oIA0
川 ゚ -゚)「…どうだった?」

('A`)「現場を見るのはキツそうだな。従業員も締め出されてやがる」

ξ゚听)ξ「本当に一人で分析してるのね…」

川 ゚ -゚)「だから分け前が減ると以下略」

('A`)「手前の道楽に周りを巻き込みたくないんじゃねぇの?」

ξ゚听)ξ「それもあるのかもね」

川 ゚ -゚)「ともかく、このままじゃ値段を吊り上げようにも埒があかない」

川 ゚ -゚)「少し手荒なマネに出るとするか」

(;'A`)「マジ?そこまでする必要あるのか?」

川 ゚ -゚)「ある。でないと倒産する」

ξ;゚听)ξ「わーそんなレベルなんだー…うちの会社…」

川 ゚ -゚)「内藤重工を潰すわけにはいかない。みんなにも手伝ってもらうぞ」

('A`)「はいはい。とりあえず社に戻ってブーンにも話そう」

75 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/21(土) 23:01:25 ID:LmfH4oIA0
( ^ω^)「――で」

川 ゚ -゚)「ん?」 カチャカチャ

( ^ω^)「マジで忍び込む気かお?」

川 ゚ -゚)「当然」 カチャカチャ

深夜。内藤たちは荒巻製作所の前に集まっていた。

('A`)「今更確認するなよ」

ξ゚听)ξ「そーよそーよ。一人だけいい子ぶろうったってそうはいかないんだから」

( ^ω^)「うん、いい子ぶるとか何とかの前に普通に犯罪だからね?」

川 ゚ -゚)「とかなんとか言ってる間に鍵が開いたぞ」

(;^ω^)「ゲゲェー!!何この子のピッキング技術!!」

('A`)「叫ぶなバカモノ。気付かれるぞ」

76 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/21(土) 23:08:44 ID:LmfH4oIA0


            ┌──┐
          ∪ |::━◎┥∪
           V|    |V
            |:日 日:|
            └┬┬┘
             亠亠


('A`)「おーおー歯車王や…こんなにボロボロになって…」

ξ゚听)ξ「おじいちゃんか。ていうか全然ご健在じゃない」

( ^ω^)「なんかすごく久しぶりな気分だお…」

川 ゚ -゚)「おい、荒巻さんの研究室の鍵開いたぞ」

(;'A`)「え、マジ?そこ電子ロックだぞ?」

川 ゚ -゚)「この程度チョロいチョロい」

ξ;゚听)ξ「敵に回したくねぇ…この女…」

(;^ω^)「全面的に同意だお」

77 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/21(土) 23:17:29 ID:LmfH4oIA0
キィ…

('A`)「お邪魔しまーっす」

ξ゚听)ξ「うわ、機械やら部品やら…すごい部屋ね」

川 ゚ -゚)「さしずめ大人のおもちゃ箱と言ったところか」

ξ;゚听)ξ「なんか嫌な言い方だなぁ」

('A`)「見ろよゴッグの爪だ!レアモンだぞ!」

川 ゚ -゚)「関係ないものは放っておけ。しかし暗いな…」

ξ゚听)ξ「ライト付けるわね」

( ^ω^)「待った」

ξ゚听)ξ「?」

( ^ω^)「…多分、これだお。歯車王のCPU」

川 ゚ -゚)「わかるのか?」

( ^ω^)「うん。なんとなく、呼ばれてるような感じがして」

('A`)「厨二乙。お、ジオングのモノアイ見っけ」

78 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/21(土) 23:26:29 ID:LmfH4oIA0
川 ゚ -゚)「ツン、ちょっと照らしてくれ」

ξ゚听)ξ「はいはい」 カチッ

川 ゚ -゚)「…ここを見ろ。歯車王の型式が書いてある」

( ^ω^)「合ってたみたいだおね」

川 ゚ -゚)「ということは、ここら一帯が性能試験に使ったパソコンか…ドクオ」

('A`)「はいはい、っと…当然のようにパスワードがかかってるな」

川 ゚ -゚)「そこのメモリにこれを接続しろ」

('A`)「あい」

ピローン

川 ゚ -゚)「通ったぞ」

(;^ω^)「…クー、うちなんかより他で働いた方が稼げるんじゃないかお?」

川 ゚ -゚)「内藤重工で働かなければ意味がない」

ξ゚听)ξ「ありがたやありがたや。ほらブーンも拝む」

(;^ω^)「はいお…」

79 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/21(土) 23:35:02 ID:LmfH4oIA0
川 ゚ -゚)「で、中身はどうだ?」

('A`)「試験は一通り済んだらしいな。成長のことにも気付いたみたいだ」

ξ゚听)ξ「私たちが気付かなかったことにこんな短期間で気付くとは…」

川 ゚ -゚)「いや、お前とブーンだけだからな。気付いてなかったの」

('A`)「…お、この辺のデータはうちの設備じゃ取れなかったとこだな」

川 ゚ -゚)「頂いておこう。証拠は多いほうがいい」

('A`)「ういっす」

( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「どうしたの、ブーン?」

( ^ω^)「いや、なんか…ドクオ、プロジェクターみたいなものってなかったかお?」

('A`)「そっちにあったけど」

( ^ω^)「このCPU、それに繋いでほしいんだお」

川 ゚ -゚)「なんだ?あまり無駄なことは」

('A`)「社長命令だ、俺は従うぜ。貸せ、ブーン」

川 ゚ -゚)「…まぁいい。私はこっちのデータをもう少し探るからな」

80 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/21(土) 23:40:13 ID:LmfH4oIA0
('A`)「…うし。これでCPUの中の映像データがプロジェクターに送れるはずだ」

ξ゚听)ξ「でも、そんなデータ入ってるの?これ?」

('A`)「普通に考えれば入ってない。しかしブーンの勘は当たる」

( ^ω^)「だお」

ξ゚听)ξ「まぁそれは経験上知ってるけど…」

('A`)「さて、何が出るかなーっと…」

カチカチ

( ^ω^)「……」

('A`)「……」

ξ゚听)ξ「……」

ξ゚听)ξ「何も出ない…わね」

('A`)「んー。やっぱり空っぽか…」

( ^ω^)「いや…違うお」

::::::::::::::::::::: ヴヴ…

81 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/21(土) 23:44:02 ID:LmfH4oIA0
:::::_ゝ:::::: ヴヴヴ…

('A`)「…人…か…?」

ξ゚听)ξ「もしかして、ブーンのお父さんじゃない?」

( ^ω^)「うん、そうかも…」

ヴヴヴヴ…

ヴヴ…

(´・_ゝ・`)

( ^ω^)

('A`)

ξ゚听)ξ

( ^ω^)

82 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/21(土) 23:45:42 ID:LmfH4oIA0





( ^ω^)('A`)ξ゚听)ξ「「「(誰…?)」」」




.

84 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/21(土) 23:55:24 ID:LmfH4oIA0
( ^ω^)「え、いや、え?誰?」

('A`)「あ、やっぱお前も思ってた?」

ξ゚听)ξ「良かったー、私だけ誰かわかってないのかと思った…」

(´・_ゝ・`)『やぁ、久しぶりだね。君がこの映像を見ているということは、僕はもうこの世にいないのだろう』

('A`)「おい、何か語り出したぞ」

( ^ω^)「どうやら故人らしいということだけわかったお」

(´・_ゝ・`)『歯車王の調子はどうかな?自信作ではあるんだけど、動いているところを僕は見られなかったからね』

ξ゚听)ξ「あれ?歯車王ってブーンのお父さんが作ったんじゃなかったかしら?」

( ^ω^)「うん、僕はそう聞いてるけど…」

(´・_ゝ・`)『さて。僕がこんなメッセージをこのCPUに遺したのは他でもない』

('A`)「お、どうやらここからが核心部分らしいぞ」

85 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/22(日) 00:00:03 ID:S1YFnrGY0
(´・_ゝ・`)『他でもない』

(´・_ゝ・`)『他でもない』

(´・_ゝ・`)『ほっほほっほほほっほっ』

(´・_ゝ・`)『他でもななっなっななっ他他他他』

(;'A`)「調子悪くなったぞ」

(;^ω^)「まぁもう大分古いCPUだし…」

(´・_ゝ・`)

(´・_ゝ・`)『今のはちょっとしたジョークさ』

ξ;゚听)ξ「わざとだったのかよ!!」

('A`)「めんどくせぇ〜こいつめんどくせぇ〜」

( ^ω^)「まぁまぁ…」

(´・_ゝ・`)『さて、本題に戻ろうか。まずは怪獣のことだ』

( ^ω^)「!」

86 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/22(日) 00:11:47 ID:S1YFnrGY0
(´・_ゝ・`)『僕が奴ら…怪獣に対抗するために歯車王を作ったことは知っているね』

(´・_ゝ・`)

(´・_ゝ・`)『知ってるよね?』

('A`)「知らねーよ」

(´・_ゝ・`)『そうか、良かった』

ξ゚听)ξ「微妙に食い違ってるけど」

(´・_ゝ・`)『奴らにはある特長がある。それは、異常な成長スピードだ』

(´・_ゝ・`)『奴らは現れる度にバカみたいなスピードで成長していく』

(´・_ゝ・`)

(´・_ゝ・`)『どうでもいいけど、この言い方だと全然成長しないみたいだよね』

('A`)「このおっさん無駄話多いな」

( ^ω^)「こういうおじさん良くいるおね」

87 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/22(日) 00:30:01 ID:S1YFnrGY0
(´・_ゝ・`)『だから僕はこのCPUにちょっとした工夫を施した』

(´・_ゝ・`)『それは成長のプログラム』

(´・_ゝ・`)『健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも』

(´・_ゝ・`)『ひたすらひたすら勤勉にお勉強を続けるプログラムさ』

ξ゚听)ξ「そんなプログラムって組めるの?」

('A`)「自己学習AIは確かにあるが…歯車王の成長速度はそんなレベルを超えちゃってるんだよなぁ」

(´・_ゝ・`)『そう。このCPUには、人の脳を移植してある』

(;^ω^)「え…」

('A`)「脳をまるごとデータにして移植したっていうのか?」

ξ;゚听)ξ「それこそ可能なのかしら…」

(´・_ゝ・`)『人の脳の容量は約10テラバイトと言われていた。けど、実際にはもっと少なく済んだよ』

(´・_ゝ・`)『もっとも、僕のスカスカな脳を使ったからかもしれないがね』

(;^ω^)「……」

88 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/22(日) 00:37:30 ID:S1YFnrGY0
('A`)「そんないわく付きのCPUだったとは…」

(´・_ゝ・`)『といっても、データに変換できるのはあくまで人の考え方だけ』

(´・_ゝ・`)『僕の記憶は残せない。そういう結論に達した』

(´・_ゝ・`)『だから、この映像データを遺したんだ。君に…』

(´・_ゝ・`)『内藤に、僕の遺志を伝える為に』

('A`)「…ブーンの親父さん、ってことだろうな」

ξ゚听)ξ「多分…」

(´・_ゝ・`)『君は最後までこの方法に反対していたよね』

(´・_ゝ・`)『君の気持ちはわかる。僕がやったことは、ある種人間倫理に反しているだろう』

(´・_ゝ・`)『しかし、怪獣に対抗するためにはなんとしても必要だった』

(´・_ゝ・`)『人間の想像力を機械に宿す方法が』

89 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/22(日) 00:44:16 ID:S1YFnrGY0
(´・_ゝ・`)『僕は僕自身の末路を非業の死とは思っていない』

(´・_ゝ・`)『だから君も、僕の死を気にしないでほしい』

(´・_ゝ・`)『あ、やっぱり年に一回ぐらいは気にしてくれ』

(´・_ゝ・`)『歯車王は自信作だけど不完全だ。それを完成させる役目を、僕は君に託した』

(´・_ゝ・`)『君の息子が大きくなる前に、怪獣をぶっ潰してしまってくれよ』

(´・_ゝ・`)『でないと化けて出てやるからね。末代まで呪うからね』

(´・_ゝ・`)

(´・_ゝ・`)『これはマジだからね』

ヴヴ…

('A`)「どうでもいいことを念押しして消えていったな」

ξ゚听)ξ「はー。機械に歴史ありね」

( ^ω^)「…思い出したお。この人、盛岡さんだお」

('A`)「知っているのか雷電」

( ^ω^)「雷電じゃないけど」

90 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/22(日) 00:52:09 ID:S1YFnrGY0
( ^ω^)「昔僕んちに遊びに来て、僕のおもちゃを壊して帰っていったおじさんだお」

ξ;゚听)ξ「サイアクな覚えられ方してる!!」

( ^ω^)「父さんは友達だって言ってたけど、道理であの後顔を見た覚えがなかったわけだお…」

('A`)「こんなちっこいCPUの中に眠っちまったわけか」

ξ゚听)ξ「…ねぇ、荒巻さんってこのCPU…どうすると思う?」

('A`)「さっき取ったデータじゃ、他の機械に転用できないか考えてるような節が見られた」

('A`)「歯車王にしか適合しなかったらしいけど。プロテクトが破られるのも時間の問題じゃねーの?」

ξ゚听)ξ「そっか…」

( ^ω^)「…よし」

('A`)「お、何か決断したな」

( ^ω^)「うん。クーには悪いけど、このCPUは売れないお」

川 ゚ -゚)「言うと思った」

(;^ω^)「うお!いつの間に!」

川 ゚ -゚)「あんまりうるさいんで途中から見ていた」

92 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/22(日) 01:01:40 ID:S1YFnrGY0
( ^ω^)「…このCPUは、僕が…僕たちが受け継がなくちゃ、ダメなもんだお」

('A`)「歯車王の本体はいいのかよ?」

( ^ω^)「よくないお。だから、いつか返してもらうお」

ξ;゚听)ξ「ちょ、マジ?」

川 ゚ -゚)「それも言うと思った」

( ^ω^)「質屋に入れるようなもんだと思えばいいお」

('A`)「随分でけぇ担保だな」

( ^ω^)「いつか…そう遠くないうちに。内藤重工を復興させて」

( ^ω^)「歯車王を、荒巻さんから買いなおすお!」

ξ;゚听)ξ「えー…すっごい金食うのにー…」

川 ゚ -゚)「諦めろ。社長命令だ」

( ^ω^)「その程度の維持費なんて気にならないぐらい稼げばいいだけの話だお!」

('A`)「言い切ったなぁ」

93 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/22(日) 01:14:14 ID:S1YFnrGY0
( ^ω^)「というわけで、CPUを持ってさっさと逃げるとするお」

川 ゚ -゚)「それじゃこれを代わりに置いておくか」

ξ゚听)ξ「何それ?」

川 ゚ -゚)「ダミーCPU」

('A`)「性能がダンチだからすぐバレるとは思うが。荒巻さんも踏み込んじゃこないだろ」

川 ゚ -゚)「パーツだけでも相当値打ち物だしな。コレクションには十分さ」

ξ゚听)ξ「…にしても、あっさり引き下がるのねクー。あんなに売る気マンマンだったのに」

川 ゚ -゚)「引き際も肝心と心得ているんでな。今からブーンを説得する暇はない」

('A`)「しても意味ないだろうしな」

ξ゚听)ξ「確かにね…」

( ^ω^)「僕って変な所で頑固だから」

ξ゚听)ξ「自分で言うんだ…」

( ^ω^)「さ、会社に帰ってお金稼ぎの方法でも考えるとするお!」

94 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/22(日) 01:15:57 ID:S1YFnrGY0



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         ( ^ω^)は巨大ロボットを操縦するようです

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         第参話      遺されたCPU
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          終
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