塔と民話のサーガのようです
- 352 名前:◆R6iwzrfs6k:2013/03/04(月) 01:51:22 ID:Qi6qAOSA0
- 断章「出入口の国」
静まり返った書斎。
私を取り囲む背の高い本棚たち。
広さは十分あるはずなのに、息が詰まって仕方がない。
まるで牢獄のよう。
だから子供の頃は嫌いだった。
でも、デレは。
ξ ゚听)ξ「あ、」
ふらふらと、蝶が私のもとにやってくる。
ξ ゚听)ξ「……おかえりなさい」
そう言いながら、左手を差し出す。
手に触れた途端、それは紙に戻る。
ξ ゚听)ξ(……無事でよかった)
そんなことを考えながら、文字を追っていた時だった。
ξ ゚听)ξ「……え?」
思わず目を疑った。
最後に、こう一言書き添えられていたからだ。
「ツンは元気でしょうか?どうか近況を報告してください」
ξ;゚听)ξ「…………」
本来なら、こんなお願いを聞いてはいけないのだ。
ξ ゚听)ξ(でも、)
でも、少しでも関わりを持ちたかった。
だっていつも、一方的に送られてくるばかりだったから。
ξ ー匆)ξ(私とデレだけの秘密)
そう言い聞かせながら、私は真新しい紙を手に取った。
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