ξ゚听)ξはサイレントヒルで看護婦をやっていたようです

207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/05(火) 23:44:31.16 ID:6NvqvKA50

【epilogue】

210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/06(水) 00:02:56.87 ID:eR6hgeXe0
 その日、朝から珍しく霧が立ち込めていた。

 ある家の主は携帯電話の着信歴を確認してため息をつく。

 ベッドから抜け出して新聞を取りに行く途中のキッチンで、彼はコーヒーメーカーを起動させた。

 ペットの犬は主人の起床に興奮して付いてくる。

 ゴールデンレトリバーの豊かな毛を撫でてから、彼は玄関ポーチに下りる。

 霧の日でもお構いなしにガレージ前へ新聞を落とす配達人の仕事ぶりに閉口ながら、腰を屈めた。

 しっかり湿ってしまっている。

 彼は二度目のやれやれ、といった鼻息を吐く。

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/06(水) 00:09:21.37 ID:eR6hgeXe0
 室内のソファに腰掛け、犬が膝元に頭を乗せてきた上で新聞を広げる。

 一面には少し前まで住んでいた街での爆発事故が取り上げられていた。

 男は眉根を寄せて被害者の名前を探した。

 犬がぴくりと身体を動かした。

 家の外に向かって唸りながら、吼え声を上げようとする。

「?」

 彼は不審に思い、耳を澄ませた。

「――――」

「泣き声?」

 数十秒後、再び玄関ポーチに彼の姿があった。

212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/06(水) 00:14:20.92 ID:eR6hgeXe0
 捨て子。

 厄介事だ、などと彼は思わなかった。

 元来優しい気性であったので、寒いだろうと思いすぐに抱き上げて部屋の中に連れて帰ったくらいだ。

 その時、不規則な足音を背後に聴いて、霧中を見据える。

 なんとか見つかったのは、片足を引きずり、歩き去ろうとする誰かの背中だった。

 遠ざかる不審な人物にすら暖かい飲み物を勧めようとして、彼は赤子の泣き声にそれを止められる。

 揺すりながらあやし、犬が飛びついてくるのを避けながら、彼はソファに腰を下ろす。

「……これは?」

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/06(水) 00:17:44.52 ID:eR6hgeXe0
 彼の表情が固まった。

 赤子の手に握られたリング。

 それに見覚えがあったのだ。

「……」

 彼はまだ、何も知らない。

 ただ、静かに妻を想った。

( ^ω^)「ツン」

 小さく彼は呟く。

「あう」

 赤子が応えるように声を上げた。

214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/06(水) 00:19:02.80 ID:eR6hgeXe0

【epilogue end】


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