( ^ω^)達の運命はサイレンに狂わされたようです

1 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 14:00:15.42 ID:vHJlMouk0



それが僕の最初で最後のわがままだ。



3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 14:05:34.10 ID:vHJlMouk0

ジョルジュ長岡    北美布通り
           初日/23:23:23

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 14:09:13.68 ID:vHJlMouk0
もう何度目かわからないが、ミセリが俺の前に姿を現した。
体の中心は穴があき、黒い服とは対照的な白い素肌が見えている。
  _
( ゚∀゚)「よぉ、ミセリ」

殺し合いは楽しい。
だが俺は本格的に疲れていた。
精神的、肉体的に。
既に死んでいる相手を殺し、最初のうちは充足感を得られていた。

しかし後に残るは空虚。
だんだん蓄積されていく空虚が俺を苦しめていた。
殺し合い中の麻薬のような高揚感はその場限りのテンションだと気づいた。

そんな俺を無視し、ミセリが俺目がけて走ってくる。
軽くかわし、代わりにネイルハンマーの一撃を食らわせる。
既にゴルフクラブは使い物にならなくなっていた。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 14:13:35.18 ID:vHJlMouk0

もういい。

疲れたんだよ、ミセリ。

それとも、俺にやられっぱなしじゃ嫌か?

  _
( ゚∀゚)「でもな、俺はそれじゃ嫌なんだよ」

追い打ちを食らわせる。

  _
( ゚∀゚)「こんな俺にしたのはお前だぜ?」

もう一発。

  _
( ゚∀゚)「今更だよなぁ、ミセリ」

もう一発。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 14:18:10.24 ID:vHJlMouk0

一度は地面に倒れ込んだミセリだが、少し時間をおいて再び立ちあがった。
その白塗りの顔は厚化粧がはがれたかのように血で汚れている。

何度殺してもこいつは俺を襲ってくる。

死んでも生き返るなら、どうすればいいんだろうか。

  _
( ゚∀゚)「……ん?」

俺のポケットが光っているのに気がついた。
膨らみの正体を確かめてみると、あのクレーターで拾った木の束だった。
自然物なのに光っている。
何だこれは。

断続的に光っていたそれが一際強く光った瞬間、
多量の「何か」が俺へと流れ込み、その木の束の特性を理解した。
いや、理解させられた。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 14:23:14.89 ID:vHJlMouk0
「願い」。

そうか、火仮。

お前は砲台だ。

願いを弾にして、火仮を媒介にして、撃ちだす。

そうやってあの光を生み出すんだろ?

その光は、永遠を消滅させるんだろ?


なら、いいだろう。

お前を使ってやるよ。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 14:27:28.52 ID:vHJlMouk0
「ミセリを消滅させたい」という「願い」を、火仮に装填する。
  _
( ゚∀゚)「じゃあな、ミセリ!」


火仮を掲げる。


ミセリが揺らめく光に包まれる。


  _
( ゚∀゚)「はっは!!!ざまあみやがれ!!!これで終わりだ―――」

ずぶり、と腹に違和感。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 14:32:00.32 ID:vHJlMouk0
 _
(;゚∀゚)「お……?」

腹が熱い。

目の前の光に照らされ、俺の体はよく見えた。


小さな「化け物」が俺の腹に包丁を突き立てていた。


「お、とうさ、ん、やっと、みつけ、た」


あの時、ミセリと同時に殺し、ミセリとセットで埋めた、俺の―――

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 14:36:46.10 ID:vHJlMouk0
 _
(#゚∀゚)「こ、のクソ、ガキャアアアアアアアアアア!!!!!」

ずぶり、と今度は足が熱を持った。

小さな手を引きはがそうとした俺の手は狂い、空を切った。

 _
(#゚∀゚)「こ、の、―――」

ずぶり、と。

 _
(# ∀゚)「           」

ずぶり、と。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 14:41:05.44 ID:vHJlMouk0

モナー 光風地域/根谷川上流
          第2日/03:33:30

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 14:45:20.83 ID:vHJlMouk0
モナーは渡辺の手を引いて川沿いを歩いていた。

「渡辺ちゃん、疲れたモナ?」

返事はない。
その代わり、彼の手を強く握ってきた。

「そう、疲れてないモナか、渡辺ちゃんは偉いモナ」

モナーの顔にははっきりと疲れが浮かんでいた。
前を見ながら前を見ず、渡辺に向けられた言葉は独り言。

これまでの戦いで彼は渡辺を庇いながら戦い、
傷も全て彼が一身に引き受けていた。
疲れや痛みに顔が歪もうとも、弱音を吐くことは一切しなかった。

もはやこれは約束と意地と、現実との戦いだった。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 14:50:48.52 ID:vHJlMouk0

前から明かりが見え、誰かが歩いてくることがわかった。
隠れる場所もなく、モナーは何度目かの戦いを覚悟した。

しかし屍人はこちらを確認しても襲いかかってくることはなく、
こちらをじっと見ている。

まるで、とモナーは思う。


まるで、屍人が屍人を見るような目だ。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 14:55:27.30 ID:vHJlMouk0

「や、だ、モナー、にいちゃ、こわ、い」

渡辺がモナーの腕を掴み、訴える。

「大丈夫、僕がついてるモナ」

強くその手を握りしめる。

渡辺の恐怖の対象が目の前の屍人一人ではないことを、

モナーは知る由もない。


「僕が、守る、モナ」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 15:00:30.35 ID:vHJlMouk0

内藤ホライゾン     中間世界
           第2日/04:44:44

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 15:05:34.01 ID:vHJlMouk0
( ^ω^)「うーむ、空に落ちるってのはなかなか奇妙だお」

おかしな世界に降り立った。
異界でも現実でもない世界。

地平線はどこまでも続き、空は曇り空。
たまに垣間見える空は赤い水みたいに真っ赤だ。
しかし地面は現実や異界と同じく、土だ。

ξ゚听)ξ「なんか、気持ち悪いわね……」

辺りを見渡す。
まるで生物の気配を感じない。
試しに幻視を行ってみるも、ツンの視界しか引っかからない。

少し歩いていると、薄暗い世界で光る、何かがあった。

( ^ω^)「あそこ、あれなんだお?」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 15:10:44.33 ID:vHJlMouk0
つーさんを殺した、ギコと呼ばれた男。
彼がまるで乗り捨てられたバイクのように倒れている。
呼吸はなく、普通の屍人のように丸まって傷を癒そうともしていない。
抜けがら。
そう表現するのがぴったりだった。

側に落ちていた、薄く光る刀を拾う。
血を浴びてもなおその輝きは失われていない。

( ^ω^)「……少し、借りますお」

「ギコ」に声をかける。


ξ゚听)ξ「ブーン、あれ、何かしら」

散策中、ツンの指さした地面には巨大なものがあった。

( ^ω^)「……行ってみるお」

近づくにつれてそれの全貌が明らかになってきた。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 15:15:50.37 ID:vHJlMouk0
今までに見たことのない生き物だった。
いや、もはやそれを生き物と呼んでいいのかわからない。

蛇のような首、蜥蜴のような顔、蜻蛉のような何枚もの羽、人のような体。
太い体からは不釣り合いな長細い腕、異様に短い脚。
そしてそれら全てが焦げている。
それにも関わらず呼吸をして、上下に動いている。

ξ;゚听)ξ「…………」

あまりの光景にツンが言葉を失っている。
しかしそれは僕も同じだった。

(;^ω^)「……こいつが本体、"おとしがみ"……ということっぽいお。
      恐らくギコという人にはこれが乗り移っていたんだお」

ξ;゚听)ξ「だからあんなところにギコさんが……」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 15:20:59.82 ID:vHJlMouk0

ξ;゚听)ξ「ブーン危ないっ!!」

僕がそれに近づこうとするとツンが叫び、思わず立ち止まった。
次の瞬間、目の前に何かが落ちる気配がした。

(;^ω^)「うおわ!」

刃が剥き出しの刀を振り乱し、慌てて距離をとる。

(;^ω^)「な、何が起きたんだお!?」

ξ;゚听)ξ「ブーン視えないの?」

最初に空に落ちた時のように、ツンは何かを目で追っている。

(;^ω^)「……?」

ξ゚听)ξ「あいつから、半透明の腕が伸びてるの」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 15:26:16.44 ID:vHJlMouk0
( ^ω^)「……なんだ、そりゃ」

ξ;゚听)ξ「本当だって!
       ちょっと前に私達を叩き落としたのもあれよ!」

話によると、今も横たわっているおとしがみからうにょうにょと
四本の腕が伸びているらしい。
俄かには信じがたい話だけど。

( ^ω^)「……そうだツン、少し視界を見させてもらうお」

ξ゚听)ξ「え?う、うん」

 化物から伸び縮みする四本の腕。
 正確な太さはわからないが、ドラム缶ぐらいだろう。
 まるでろくろっ首のように伸び縮みしている。
 腕ではなく手首から先に重みがあるような動きで、
 本体を守っているようだ。

( ^ω^)「ふむ、確かにツンの言う通りだお」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 15:30:49.37 ID:vHJlMouk0
ξ゚听)ξ「でしょう?」

( ^ω^)「でも、あれをどうすれば……」

僕は視ることができない。
だから近づくこともできない。
しかし、近づかなければあいつを斃せそうにもない。

ξ゚听)ξ「その、幻視をしながら動くことって可能なの?」

( ^ω^)「一応は可能だお。
      でも感覚全部が視覚と聴覚に集中する感じがするから、
      普通は止まってやってるお」

ξ゚听)ξ「……ブーンが刀を振り回した時、あの腕を斬りかけたのよ。
      そしたらあの腕はまるで刀を嫌がるように、無理矢理回避した。
      だから、その刀ならあいつを斬れるかもしれない。
      ……決まり、ね」

ツンが僕に近寄ってくる。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 15:35:28.69 ID:vHJlMouk0

(;^ω^)「ななな何をしてらっしゃいます、お嬢さん」

ξ*゚听)ξ「う、うるさいわね!いい、私の言うことをよく聴きなさい!」

ツンが僕の左側から腰のあたりに手を回し、
ぴったりと体を寄せ、僕に抱きつく格好になっている。

ξ゚听)ξ「ブーンが私を幻視するの。
       私がブーンの『目』になるわ。
       そしてそのままあいつに近づいて、
       私にしか視えてない腕を、その刀で斬るの」

( ^ω^)「なるほど。僕はてっきりツンが壊れたのかと」

ξ;゚听)ξ「ち、違うわよ馬鹿!」

べしんと頭をはたかれた。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 15:40:40.43 ID:vHJlMouk0
あいつは僕達のところまで腕を伸ばせないらしく、
これ幸いと少し練習をしてみる。
右手に持った刀がツンに当たらないようにすれば、
確かにこの作戦は可能だった。


( ^ω^)「さて……では共同作業、行きましょうかお」

ξ゚听)ξ「……大丈夫、大丈夫よ。いつでもいいわ」

これをミスれば僕達はあの腕にいいようにやられてしまうだろう。
少しの躊躇が命取りだ。
腹を括り、左手をツンの肩に回す。


( ^ω^)「―――さあ、行くお!」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 15:45:31.07 ID:vHJlMouk0
幻視の中で動くのはやはり奇妙な感覚だった。
僕がいるのに、僕がいない。

一歩ずつ丁寧に歩いていく。

 一本目の腕が押しつぶそうと、頭上から落ちてくる。
 その腕を薙ぎ払うように、刀を頭の上で振るう。
 ズドン、と前後で音がした。
 真っ二つになった腕がテントのように円錐状に広がり、
 僕達は押し潰されるのを免れた。
 そしてそのまま腕は力を失い、砂のように消えた。


一本目。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 15:50:16.96 ID:vHJlMouk0
再び歩み寄る。

 今度は二本の腕が僕らを潰そうと、横から合掌するように襲ってくる。
 当たる寸前でツンに合図し、後ろに歩き回避する。
 パァン、と目の前で両手が合わさる。
 振動が手から腕へと伝わっているのが見える。
 片方の手首を斬り落とす。
 やはり腕は力を失い、役を終えた大縄跳びの縄のようになった。
 残された腕はさらさらと半透明な何かになり、空中へと消えた。


二本目。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 15:55:31.97 ID:vHJlMouk0
残りは二本。

 二本の腕が本体の上空でうねうねと動いている。
 今度は行動が読めない。
 <きゃっ!?>
 ツンが悲鳴をあげた。
 半透明の手がツンの足を掴んでいる。

(;^ω^)「っ!ツン!」

ツンの足元を刀で刺す。
これでツンの足を掴む手は消えたはずだ。

ξ;゚听)ξ「ブーン、後ろっ!」

その声だけを頼りに、刀を抜き、
流れるような動作で後ろに刀を突き出す。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 16:00:25.20 ID:vHJlMouk0
何かが刀に刺さる感触があった。

ξ゚听)ξ「三本目も消えたわ!」

次の瞬間、ツンの体が後ろに吹っ飛んだ。
つられて僕も浮きそうになったが、体勢を崩し、地面に倒れた。

しまった、狙いはツンだったか!

(;^ω^)「ちぃっ!」

ツンが宙に浮いている。
腕が見えないと浮遊しているようにしか視えない。

ツンの体が高く持ちあがる。
あいつはツンを叩き落とすつもりらしい。

こうなったら賭けだ。
僕がおとしがみを斃すのが早いか、ツンが落ちるのが先か!

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 16:05:33.15 ID:vHJlMouk0

おとしがみに向かって走る。

両手で刀を持ち、走るのに邪魔にならないよう安定させる。

距離は50メートルもない。

五秒、いや四秒でいい。

一歩走る毎にどんどんおとしがみが近づいてくる。


ツンの体が降下を始めた。

僕は跳んだ。

そのままの勢いで、おとしがみの体に深く刀を突き刺す。

血が、いや赤い水が噴き出す。


悲鳴の代わりに、サイレンが鳴り響いた。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 16:10:17.11 ID:vHJlMouk0

刀を刺したまま素早くその場を離れ、ツンの元へ走る。

体中の意識全てを足に集中させる。

フォームだとか、歩幅だとか、そんなものは頭になかった。

ただ、ツンを助けることだけが頭にあった。


両手を出す。

間に合わない。

ヘッドスライディングの要領で跳び込んだ。

間に合ってくれ―――

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 16:15:31.86 ID:vHJlMouk0




響くサイレンと、衝撃。




41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 16:20:42.22 ID:vHJlMouk0

(;゚ω゚)「ぶはぁ!!」

顔をあげる。

僕の手の中にツンがいる。

確かな重みが、そこにある。

ξ;--)ξ「……」

ξ;゚听)ξ「……ブーン」

ツンがきょとんとした顔で僕を見る。

(;^ω^)「無事で何より、だお」

今度は先に立ちあがったツンが僕に手を差し伸べる。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 16:25:24.08 ID:vHJlMouk0


ξ;凵G)ξ「……うんっ!」


差し伸べられた手を握り、起き上がる。
顔を見合わせ、赤い水を噴射していたおとしがみの方を見る。


鳴り響くサイレンを切り裂くように、おとしがみが迫っていた。

あまりにも突然で、僕に何かできるはずもなかった。


短い悲鳴の後、隣にいたツンは影も姿もなくなっていた。


僕の体中から出る叫びに合わせるように、世界は音を立てて崩壊した。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 16:30:48.94 ID:vHJlMouk0

デルタ レインボーハイツ/105号室
                   後日

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 16:35:26.78 ID:vHJlMouk0
鳴き始めた蝉が嫌というほど夏を意識させる。
部屋の中の扇風機はフル稼働し、蝉と張り合うかのようにやかましく回っている。
朝とは思えないほどの、うだるような暑さの日。

テレビからヘリコプターの飛ぶ、独特の音が流れてくる。
そのヘリに乗っているアナウンサーが慌ただしく原稿を読み上げる。
最近こんなニュースばかりだなと思いながらデルタはトーストをかじる。

しかしまあ、それも仕方ないかとも思う。
あの美布村を局地的に襲った大地震からもう何日も経った。

死者0。
土砂災害での必死の救助活動も空しく、救出された人はいない。
しかし遺体も見つけることができないでいた。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 16:40:58.02 ID:vHJlMouk0
マスコミはこの事実に食いつき、
さらに過去の大地震でも同じようなことが起こったことを報道した。
連日有名な大学の教授や大層な肩書のコメンテーターが
偉そうに自身の見解を述べていた。

デルタもいい加減、飽き飽きしていた。
だからこの日も美布地震が主なニュースだろうなと判断して、
テレビを消そうとした。

しかしその時、突然スタジオが騒がしくなった。
どうやら現地リポーターのアナウンサーが連絡を入れたようだ。

これだけ見てテレビを消そう、とデルタは座り直す。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 16:45:25.88 ID:vHJlMouk0

「えー、美布地震の新情報が入ってきました!」

ヘリコプターの音が声を邪魔する。

「今まで沈黙していた今回の災害ですが、一つ動きを見せました!」

興奮気味のアナウンサーの声が、蝉も扇風機も掻き消す。

デルタは無意識のうちに生唾を呑んだ。

それほど興味なんてなかったはずなのに、

情報が画面に表示されるはずもないのに、

それでも目は画面に釘づけだった。

瞬間、世界の音が止んだ。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 16:50:49.69 ID:vHJlMouk0




「先程、身元不明の少女の遺体が発見されました―――」




51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 16:55:23.11 ID:vHJlMouk0

おとしがみ     中間世界
        第2日/05:34:25

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 17:00:13.93 ID:vHJlMouk0
おとしがみは47年前に美布村に堕ちてきた。

しかし地上はおとしがみを拒絶し、
そのためサイレンを鳴らし、自身と村の半分を異界へと導いた。
そして堕ちた衝撃によって溢れだした血液は異界の全ての水を赤く染め上げた。

おとしがみは"元いた場所"へ戻ろうとしたが、
村人の「願い」によって焼かれ、創りだした異界を破壊した。
同時に自らの精神を肉体と分離させ、肉体は赤い海を漂わせた。

傷ついた肉体から離れ自由を手に入れたが、
力の減少により、本来の力である「何かを操る能力」ではなく、
「何かに憑依する能力」に変わってしまった。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 17:06:12.89 ID:vHJlMouk0
時が経ち、力を少し取り戻したおとしがみは再度、村を異界へと導いた。
一刻も早く"元いた場所"へ戻るためだ。

精神体となっていたおとしがみは、初めは初老の男性、
その身体が朽ちた時に別の男へと乗り移った。

過去に異界から脱出し、赤い水の呪いを受け付けなくなった
二人の女性の血を引く、"守り子"。
おとしがみが最初に殺した守り子は双子であったため、
彼女の受け継いだ「守り」は半分だった。
このことはおとしがみにとって不測の事態だった。
しかし後にもう一人の双子を殺すことにより、事なきを得た。

守り子の、赤い水の呪いを受けていない汚れ無き血と
おとしがみの力によって黒い光と同時に作りだされた、不安定な中間世界。
黒い光は"元いた場所"へは繋がらず、その中間世界へと繋がった。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 17:10:15.61 ID:vHJlMouk0
おとしがみに対抗できる武器が異界に存在した。
"火仮"と"汰白刀"である。
「永遠を無に帰す」道具と、"守り子"とは逆の方法、
つまりおとしがみの血を直に浴びることで呪いを受け付けなくなった武器。

中間世界でおとしがみが内藤に汰白刀で突き刺され、
多大なダメージを負わされた後に、おとしがみはサイレンを鳴らした。

そのサイレンはおとしがみの最後の抵抗とも、
とっておきの切り札とも言えるものだった。

サイレンを鳴らすことは、空間の創造、もしくは空間の破壊に繋がる。

おとしがみは47年前と同じく、この中間世界を破壊しようとしたのだ。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 17:15:14.81 ID:vHJlMouk0
そして自分をここまで追い詰めた二人を殺す、最期の力を振り絞った。
おとしがみは人のようなプライドを持ちあわせていた。
空間の破壊によって彼らが死ぬのは赦せなかったのだ。

これは見事に成功した。
そう、力を持たない人間など、自らの肉体で体当たりすればいいだけのことなのだ。

しかし、ここでもおとしがみに不測の事態が起こった。

一度目のサイレンの時、時空を狂わせたことをおとしがみは知らなかった。
そのため、この二度目のサイレンも空間を破壊しただけでなく、
予期せず時間も狂わせてしまったのだ。


中間世界が崩壊を始めた今、彼らの時間が巻き戻る。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 17:23:47.70 ID:vHJlMouk0

ツン    北美布通り
    第2日/02:26:18


    終了条件2
   「火仮」の入手


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 17:28:04.54 ID:vHJlMouk0
屍人がニヤリ、と笑う素振りを見せた。

その屍人がブーンの正面にいた屍人に体当たりを食らわせた。

「!??」

屍人が屍人を攻撃するという突然で、今までの経験上あり得ない光景に
二人はぽかんと口を開けた。

いち早く我に返ったツンがちらりともう一体の屍人を見たが、
同じくぽかんと口を開けていて、笑いそうになった。

「あの人、私達を助けてくれてる!
 今のうちよブーン!」

そう叫んでツンは内藤の手を引き、包囲網から抜けだした。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/03(土) 17:30:29.63 ID:vHJlMouk0

「あいつは!?」

二人は辺りを見渡すも、ギコの姿は見当たらない。

「逃げられたかお……!」

「!見て、ブーン」

ツンが指さした地面には、かすれた血の跡がついていた。

「これを追えば……!!」

「急ぐお、ツン!」

懐中電灯で晒された血の跡を追い、二人は走りだした。

80 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 17:37:36.45 ID:vHJlMouk0

その時、ツンの視界の端に何かが光って見えた。

「待って、ブーン」

「新手かお!?」

「ううん違うの」

そう言ってその光へと近づく。

不気味なクレーターの近くに血だまりが出来ていた。
そしてその血だまりの外に薄く光る、木の束が落ちていた。
光の正体はこれだったのかとツンは一人納得するも、
何故これが光っていたのか腑に落ちなかった。

84 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 17:40:21.11 ID:vHJlMouk0
ひかり。
つーの話の中にそんな言葉が出てきていたことをツンは思い出した。
彼女は「おとしがみ」を焼いた「火のような光」の発生源は
これではないかと直感した。
しかし今一つ確証を得られず、それを握ったまま佇んでしまった。

「ツン、先を急ぐお?」

それを不思議に思った内藤が声をかける。
ハッと我に返り、その木の束をポケットへ入れた。

「う、うん!」

二人は再び血の跡を追い始めた。

94 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 17:43:14.16 ID:vHJlMouk0

ツン     中間世界
    第2日/05:34:25

103 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 17:46:53.14 ID:vHJlMouk0

「無事で何より、だお」

地面にうつ伏せになり、ツンを伸ばした腕に乗せ、
安堵した顔を浮かべる内藤。
ツンは堪え切れずボロボロと涙を零しながら立ち上がり、
今度は彼女が手を差し伸べる。

「……うんっ!」

ニコッと、やはり内藤は優しい笑顔を彼女に向けた。

内藤が差し伸べられた手を握り、起き上がる。
顔を合わせ、化け物の方を見る。

二人は驚愕に目を見開かせた。

106 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 17:49:21.31 ID:vHJlMouk0
ツンに化け物が迫っている。
その光景はツンに一瞬で幻覚を見せるほどの衝撃だった。
しかしツンが見たそれは走馬灯ではなかった。

 人々が木の束に願いを託し、
 炎のように揺らめく光を作りだした。
 そしてその光は化け物を焼き尽くさんと燃え盛る。

彼女はその映像が過去のものであると理解した。
過去に、おとしがみを退けた時の記憶。

体がまるで別の誰かに操られるかのように、勝手に動いた。
ポケットに入れていた木の束を取り出し、願いを乗せ、掲げる。

その間に流れた時間は実に僅かなものだった。

108 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 17:52:20.90 ID:vHJlMouk0

その瞬間、猛烈な勢いで迫っていたおとしがみに、炎のような光が襲う。

サイレンがさらにおぞましい音に変わった。

まるでおとしがみが悲鳴をあげているかのようだった。

体を焼かれているおとしがみのその巨体が宙を舞い、そして落ちた。

その光景を二人は呆気にとられて見ていたが、

我に帰った内藤が思い出したように呟いた。


「音が、サイレンの音がしないお……」

111 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 17:55:18.80 ID:vHJlMouk0



「サイレンが、止んだ……」



全てを狂わせたサイレンが終焉を迎えていた。



113 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 17:58:56.96 ID:vHJlMouk0

内藤ホライゾン     中間世界
           第2日/05:43:21

116 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 18:01:22.88 ID:vHJlMouk0

ξ゚ -゚)ξ「サイレンが、止んだ……」

ツンが呟く。

僕達の運命を狂わせたサイレン。
異界の象徴とも言えるそのサイレンを、奴の断末魔を食い止めた。
もう運命は狂わない。

( ^ω^)「ツン、ありがとうだお」

炎のような光は、まだ強い輝きを放っている。
あの光がなければ僕たちは、今頃どうなっていただろうか。

ξ゚ー゚)ξ「ふふ、どういたしまして」

素直に言葉を受け取るツン。
なんだか新鮮だった。

118 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 18:05:13.99 ID:vHJlMouk0
僕は今まで誰かのために行動してきた。
友達のために、責任を被る。
部活全体のために、部活を頑張る。
両親のために、大学に入る。
他人の顔色を伺い、自分のための行動などしていなかったのだ。

しかしドクオさんと出会って、僕は人のために行動するのを止めた。
彼のために行動し、彼の横暴さに応える自分が
あまりにも馬鹿馬鹿しいと思ったからだ。

結果的にそれは自分が嫌われないために、
他人のために行動するのを止めることにも繋がり、
僕の振舞い方を考えるきっかけになった。

そしてこの異界では他の誰でもなく―――

( ^ω^)「僕はツンのために、頑張っていたんだお」

119 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 18:09:15.53 ID:vHJlMouk0
ツンが大きな目をパチクリさせた。

( ^ω^)「君は、僕が本気で『他人のために』行動したいと思った人だお」

ツンの手を握る。
ツンも握り返してくれた。

( ^ω^)「僕は昔、人に嫌われたくなかったから、
      他人のために行動してたんだお」

今思えば愚かな、過去の話。

( ^ω^)「でもドクオさんと出会って、その考えはなくなったんだお。
      だから君と出会って、僕がそう願ったのは、
      なんというか、偽りのない、下心のない、本当の気持ち、なんだお」

言葉の意味を理解したのか、
赤みがかっていたツンの顔がさらに真っ赤になった。
多分僕の顔も真っ赤だろう。

121 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 18:13:46.29 ID:vHJlMouk0
ξ*゚ー゚)ξ「わ、私も―――」
( ^ω^)「でも、僕の話を聞いてほしいんだお」

ツンの言葉を遮る。
その先の言葉を僕も聞きたかった。
でも僕の言い逃げにさせてくれ。
聞いてしまうと、僕が辛くなるから。



それが僕の最初で最後のわがままだ。



僕の言葉を待つツンがじっと見つめてくる。
澄んだ、美しい瞳だ。
この瞳が今まで狂った世界を見ていたなんて、嘘みたいだ。

122 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 18:18:01.22 ID:vHJlMouk0



( ^ω^)「さよならだお、ツン」



ξ゚听)ξ「え?」




おとしがみを焼く光が役目を終え、少しずつ小さくなっていく。


124 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 18:22:21.52 ID:vHJlMouk0
( ^ω^)「多分君だけが現実に帰れるお」

僕は考えていたことを話す。

( ^ω^)「君のおばあさんのデレさんと、でぃさんが帰れた理由、
      それは二人が幻視を使えなかったということから、
      赤い水が体内に入っていなかったことだと思うんだお」

光が最後の輝きを見せる。

( ^ω^)「そして、君は幻視を使えないし、傷も治らない」

ξ;゚听)ξ「そ、そんなことって……」

にこり、と僕は微笑んだ。

光が完全に消え去ると激しい地鳴りと共に、
赤い津波が四方八方から迫ってくるのが見えた。

125 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 18:26:18.94 ID:vHJlMouk0
多分、ツンは現実へと帰れる。

僕は……僕はどうなるんだろう?

ξ;゚听)ξ「そんな、やだよ!私だけ戻るなんて!」

( ^ω^)「君だけでも戻れるんだお。
      僕にとって、これほど嬉しいことはないお」

繋いだ手が、段々と離れていく。

( ^ω^)「サイレンに狂わされた運命の中で、
      君と出会えたことは、僕の幸せだったお」

ξ; )ξ「やだ、やだやだやだやだ!!」

ツンが必死で手に力をこめる。

しかし二人の繋がりは無情にも断ち切られた。

126 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 18:30:23.82 ID:vHJlMouk0


赤い水が僕らの体を攫っていく。



( ^ω^)「ツン、君のことが――――――」



その言葉がツンに届いたかどうかわからない。


僕のわがままが、ツンに聞こえたかどうかはわからない。


泣き顔のツンが遠く、遠くなっていく。

127 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 18:33:54.93 ID:vHJlMouk0

内藤ホライゾン 光風地域/朽ちた教会内
                       後日

128 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 18:37:23.83 ID:vHJlMouk0
教会内には内藤以外、誰もいない。
おびただしい血だまりも黒い光も、何もない。
あるのは古びた椅子やガラス、十字架。
それに内藤とツン、それに荒巻、ギコ、しぃがここに来る前に、
既にあったと思われる小さな血の染みだけ。

彼の手には刀と木の束があった。
木の束、というのは正しくない。
彼はそれに、「火仮」という名前があることと、
大事な役割があることを教えられた。

彼が火仮にこめる「願い」。


それは、永遠に生きる全ての人間を、無である死へ導くこと。

135 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 19:00:11.52 ID:vHJlMouk0
これはただの彼のエゴだ。
全ての人間が永遠の生に苦しんでいるとは限らない。
しかし彼の体内の赤い水の量は多く、もはやまともに思考できていなかった。
それ故に、彼の単純な思考と破壊的な行動が直結したのだ。

内藤が教会の扉を開けた。
数時間前に見たのと同じ、
屍人や闇人の蔓延る、見慣れた"異界"が広がっていた。


「――― さぁ、もう一仕事、だお」


火仮を掲げる。

少しの後、彼の「願い」と共に異界は光に包まれた。

その中を彼は汰白刀片手に走り抜ける。

運命を狂わされた人々を救うために。

138 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 19:04:08.92 ID:vHJlMouk0

デルタ レインボーハイツ/105号室
                   後日

141 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 19:07:12.16 ID:vHJlMouk0
「先程、身元不明の少女の遺体が発見されました」


画面がスタジオに戻る。
暑苦しい顔の司会者が神妙な面持ちで情報を整理し始める。
美人で少し頭がいいだけの女性タレントが口を真一文字に結び、
司会者の話を聞いて頷いている。


「朝っぱらから嫌なニュースを聞かせてくれるねぇ」

明るいニュースではなくてデルタは少しがっかりした。
この地震が起こるまで、彼は美布という地名を聞いたことがなかった。
当然、美布の人間とも何の関わりもない。

しかしどうせなら、偽善でもなんでもなく、いい知らせがほしかった。

その点については勝手にヘリのアナを恨んだ。

143 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 19:11:12.31 ID:vHJlMouk0

再びテレビの中のスタジオがざわつく。

何事かとデルタが再びテレビを注視する。

またあのアナウンサーが写る。

何度も司会者が呼びかけるが、彼女は機材を装備するのに手間取っている。

「え、えー、え、あ、はい、現場のヘリカルです!」

呼びかけに答える。

「あ、はい、わかりました、えー、え?」

スタッフに耳打ちされたアナウンサーが怪訝な顔をした。

145 名前: ◆4I3Xd9Qzr. 投稿日:2011/09/03(土) 19:15:22.35 ID:vHJlMouk0


「――― え?救助者?それってどういう……

 あ、はい、たった今、土砂現場から別の少女がもう一名、

 今度は救助、保護されたという情報が入って―――」













( ^ω^)達の運命はサイレンに狂わされたようです 完


戻る

inserted by FC2 system