( ^ω^)達の運命はサイレンに狂わされたようです

1 名前: ◆7o4joIklfk 投稿日:2011/08/18(木) 20:45:23.57 ID:RifYS+NP0
絞りだした言葉が切れ切れになる。
段々と彼女の意識は朦朧としていく。
もう、渡辺の泣き顔も、輪郭がぼやけている。
その顔はまるで、忘れかけていた幼いころの自分のようだった。

目を閉じた彼女の脳裏に浮かぶのは、両親、姉、友達。
トソン、モララー。
そしてモナーの顔。
出来るなら、彼に直接お礼を言いたかったと、
そんなことを考えながら―――

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 20:50:43.35 ID:RifYS+NP0

モララー 美布小学校敷地内
         初日/09:55:00

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 20:54:19.79 ID:RifYS+NP0
少し前まで激しく降り続いていた雨足がようやく弱まった頃のことだ。

( ・∀・)「ん……?」

どこかで見たシルエットが、小学校の二階の窓に見えた。

胸が躍り、自然と口が笑う。
俺が求めていた、その人かもしれない。

入り口へと向かう。
武器は途中で拾った鉄パイプのみ。
銃に比べるとあまりにも貧相すぎる武器だが、背に腹は変えられない。

貧相ではあるが、近接武器として鉄パイプはなかなか優秀だった。
斬撃系の武器と違って打撲系の武器は「押す」のに役立つ。
突然敵に襲われた時も、敵を押すことによって一定の距離をとることができるのだ。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 20:58:50.36 ID:RifYS+NP0
校内に入ると、早速包丁を持った、農作業服の婆さんと遭遇した。
こちらを見るや否や、気味の悪い笑顔を浮かべて走ってきた。

(#・∀・)「っらぁ!!!」

すかさず鉄パイプで頭を横殴りにする。
いい声で悲鳴を上げ、殴った方向に面白いように頭が吹き飛ぶ。
首がなければ頭は廊下の向こうまで吹っ飛んでいるだろう。

実に愉快だ。

体勢を立て直した婆さんが懲りずに俺を狙って包丁を突き出してくる。
馬鹿が。
鉄パイプを槍のように構え、そのまま突き出す。
ダメージこそないものの、少し怯んだ。
その隙を狙って一歩で距離を縮め、もう一度殴る。
まだ足りない。
もう一度。もう一度。もう一度。

気がついた時には既に婆さんは地面に伏していた。
流れ出る赤い涙がまるで血のようにそこらへんに飛び散っている。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 21:03:16.42 ID:RifYS+NP0
その光景が、俺をどうしようもなく昂ぶらせる。

自分が目の前で丸まっているクズよりも強者である実感が湧くからだ。

「力」のない俺でもこいつらを軽くぶち殺せるんだ。

俺が「力」を持った時、最強になる。

その時は都村、今度こそお前を守れるんだ。

もうお前は逃げなくていいんだ。

だから、そこで待っていてくれ。


今、迎えに行く―――


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 21:07:30.68 ID:RifYS+NP0

引き戸の前に立つ。
都村の影が見えたのはこの教室だ。
ここに、都村がいるはずだ。

引き戸を開け、予想通りいた、中の人物に呼びかける。

( ・∀・)「都村」

ポニーテールがなびく。

ふわり、とまるで都村が動かしているかのように、
綺麗な曲線を描いて。

振り向いた都村が二コリと笑った。

ああ、やっぱり都村は可愛いな。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 21:11:14.37 ID:RifYS+NP0


「モラ、ラー……君、お、そ、い、よ」



(  ∀ )



わかっていた。
心のどこかではわかっていた。


外から見えた時。

都村はもう、赤い涙を流していた。


ただ、認めたくなかったんだ。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 21:15:04.37 ID:RifYS+NP0

(  ∀ )「はは、ははははは、はははははははははははは」

乾ききった笑いが漏れる。

手近にあった椅子を掴む。

都村は赤い涙を流しながら、こちらへ向かってくる。

両の手を、まるで俺に助けを求めるかのように伸ばして。

着ていたかわいい服は所々破けたり、赤い染みができている。

かわいそうになぁ。

赦せないなぁ。

( ・∀・)「俺以外の人間が、お前を傷つけるなんてなぁ」

椅子を振りかぶる。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 21:20:42.86 ID:RifYS+NP0

モナー 美布小学校/校門前
         初日/11:10:11

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 21:23:49.92 ID:RifYS+NP0
从 ゚∀从「あらぁ、なんだこりゃ」

校門は板で打ちつけられ、進入できないようになっていた。

( ´∀`)「誰がこんなことを……」

从 ゚∀从「屍人、だろうな。
      建物の入り口や窓を閉じることで
      あたしたちを外におびき出すつもりだろう」

お、恐ろしいことをさらっと言ってくれる人だ。

( ´∀`)「どうするんですかモナ?」

从 ゚∀从「ぐるっと回って、運動場側から入ろう」

( ´∀`)「了解ですモナ」

校舎の窓にも所々板が打ちつけられ、中がよく見えない。
そのせいで不気味な雰囲気が学校全体を取り巻いている。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 21:29:05.60 ID:RifYS+NP0
運動場側の門は閉まっていた。

从 ゚∀从「よし、モナー少年。ひょいと登って開けておくれ」

(;´∀`)「ええっ僕がやるんですかモナ」

从 ゚∀从「あたぼうよ。四捨五入でまだ30歳とは言え、体はもう疲れきってんだ。
      乗り越えるなんて高度な運動、あたしに要求しないでくれ」

( ´∀`)「わかりましたモナ……」

渋々門を乗り越え、閂を抜く。
ぎぎぃ、と古い音がして壮大な感じで門が開く。

从 ゚∀从「さんきゅーさんきゅー」

( ´∀`)「ん、運動場、誰かいますモナ」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 21:34:00.84 ID:RifYS+NP0
从;゚∀从「げ、マジか。あんまり戦いたくないんだがなぁ」

(;´∀`)「ぼぼぼぼ僕だって同意ですモナ」

僕たち二人とも腰が引けている。
幻視を巧みに使い、一応持っている武器二つ、ほぼ未使用のままここまで来た。
戦闘は不慣れだ。

从 ゚∀从「じゃーこそこそ行こう」

( ´∀`)「モナ」

それほど大きくない運動場の端を通り、校舎を目指す。

幻視をしてみて、僕はあることに気がついた。
一つは運動場の屍人の足元にもう一人誰かいること。
もう一つはその屍人は屍人ではなく人だということ。

その二人に僕は見覚えがあった。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 21:39:27.75 ID:RifYS+NP0
( ´∀`)「……ハインリッヒさん、ちょっと先行っててくださいモナ」

从 ゚∀从「はぁ?何言ってんだ?」

( ´∀`)「あそこにいるの、僕の友達なんですモナ」

从 ゚∀从「マジか。いいよ、あたしも―――」

( ´∀`)「いえ、僕一人でいいですモナ」

何が起こるか分からなかった。
何が起こっているのか分からなかった。
何が起こったのか分からなかった。


( ´∀`)「モララー」

友人の名前を呼ぶ。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 21:44:18.86 ID:RifYS+NP0
( ・∀・)「よぉ、モナー」

そう返事をするモララーはいつものモララーだった。

( ´∀`)「無事で良かったモナ」

( ・∀・)「ああ、俺は強いからな。生き残るくらい簡単だよ」

モララーが手にしていた学校の椅子を地面に置く。
足は丸まった誰かを踏みつけている。

( ´∀`)「……こんなところで何をしているモナ?」

( ・∀・)「都村が化け物になった」

(;´∀`)「!!」

( ・∀・)「まあ驚くだろうな」

モララーは自嘲気味に笑う。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 21:48:50.70 ID:RifYS+NP0
( ・∀・)「俺はここで都村を殺し続けている」

( ´∀`)「え、は?」

言葉の真意がわからなかった。
その時、唸り声が聞こえ、モララーの足元にいた屍人が動き出す。
むくりと起き上がったその人は、都村さんだった。

(;´∀`)「なっ……!!」

モララーは都村さんを踏みつけていたのか。
でも、何故?

(;´∀`)「モララー……どうしてこんなことを……?
     だってモララーは都村さんのことを」

ブンっとモララーが椅子を振り下ろした。
振り下ろした先には都村さんがいる。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 21:54:05.27 ID:RifYS+NP0
(;´∀`)「うわっ!」

思わず声を上げ、都村さんから目を逸らす。

焦点の合っていない目で都村さんを見つめながら、
モララーが口を開く。

( ・∀・)「なァ、こいつ可愛いだろ?
      だからさ、もし傷つくなら、傷つけていいのは俺だけなんだよ。
      俺はずっと都村を見てきたんだ。
      こんなことになって、もう都村は戻らない。
      決めたんだよ俺。
      俺がずっと都村を殺して殺して殺して殺して、
      殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺すんだ。
      俺が殺すんだ、都村もきっと幸せだろう?
      『力』を持ってないけど、それぐらい俺にはできるんだよ。
      俺は、都村を殺して、都村を守ってるんだよ。
      わかるだろ?モナー、なあモナー」


狂ってる。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 21:59:06.95 ID:RifYS+NP0
僕に語りかけながらも、モララーは椅子で
屍人になった都村さんを殴り続けていた。
何度も、何度も。
僕の足は自然と後退を始めていた。

再び動かなくなって丸まった都村さんを足蹴にする。

( ・∀・)「モナー。お前は俺の友達だ。だから」


――― お前も、な?


モララーが笑みを浮かべながらその言葉を発した瞬間、
全身の血の気が引くのがわかった。
ここまで焦点の合っていなかったモララーの目が、
その時だけ僕の目を真っ直ぐ見たのだ。

僕は悲鳴をあげながら運動場の門へ逃げる。
後ろからは笑い声とハインリッヒさんの静止を求める声が聞こえる。

(;´∀`)「ハインリッヒさんも逃げてくださいモナアアアアアアアア!!!」

遠くから、頑張れよーと割と無責任な返事が聞こえてきた。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:04:26.48 ID:RifYS+NP0

( ・∀・)「あはっははははははっははっはは!!!
      逃げるのか!?逃げられるのか!?競争だぁモナー!!」

門を走り抜ける。

( ・∀・)「お前もぶっ殺して、俺が守ってやるよ!!安心しなぁ!!」

必死で足がもつれそうになりながら走る。

(;´∀`)「狂ってる!正気に戻るモナ、モララー!!」

( ・∀・)「狂ってる!?この狂った世界で!!
     何が狂ってて!!何がマトモなんだァ!!?」

完全に我を見失っている。
もう僕にはどうしようもない。
でも僕も死にたくない。どうすればいいんだ。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:08:52.08 ID:RifYS+NP0
( ´∀`)「!!」

目の前は小さな崖になっていた。
足音と笑い声はまだ僕の背後に迫っている。

行くしかない。

意を決して跳ぶ。

モララーは都村さんに固執していた風だ。
だから、手の届かない場所に逃げれば都村さんの所へ戻るはず。

都村さんを餌にするのは少し気が引けた。
しかし彼女も化け物になってしまっていた。
もう、考えるのが面倒になっていた。
ただ自分が助かりたかったのだ。

着地は成功したとは言えない。
しかし、モララーは崖の上からこちらを見下ろすだけだった。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:12:48.29 ID:RifYS+NP0

ハインリッヒ高岡 美布小学校/昇降口
               初日/11:41:47

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:17:17.13 ID:RifYS+NP0
気の狂った友人を幻視し、あたしは一部始終を見ていた。
モナーはまだ無事らしい。
友人が運動場へ帰って来てあたしは慌てて校舎に入った。
遠目から見ててもあいつの行動は異常だった。
何をされるかわからない。

幻視を試みる。
校舎内に五、六人の屍人が確認できた。

一人になった今、隠れながら図書室へ向かうのが吉か。
それにしても、だ。

从 ゚∀从「図書室ってどこだ?」

基本的なことが分からなかった。
地元の小学校とはいえ、その構造なんて全然わからん。

そこで良いことを思いついた。
漫画なら頭の上に電球が出てくるレベルのいいことだ。

こそこそと近くのトイレに入り、幻視をする。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:22:15.91 ID:RifYS+NP0
 ふらふらと歩く。
 手には金づちと板きれ。
 廊下を歩いていく。
 窓辺で止まり、板きれを打ちつけはじめる。

他の屍人に移る。

 階段を上っている。
 上り終え、廊下を見る。
 教室の入り口のプレート。
 手前から、5,6年教室、視聴覚教室、図書室。

从 ゚∀从「みーっけ」

トイレから出て、様子をうかがう。
すぐ近くに階段がある。
今さっき、階段を上りきって廊下を見た、ということは
かなり近くに屍人がいる。
トイレの壁に隠れてやり過ごせるか?

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:26:43.33 ID:RifYS+NP0
ぎし、ぎしと音が近づく。
さっきの屍人が下りてきたようだ。

床の音だけじゃなく、荒い息も聞こえてくる。
まるで猪か何かのような、荒い息。

すぐ隣を通っている。
ぴたり、とトイレの前で止まった。

まずい、のか?
そのまま荒い呼吸音だけが繰り返される。

つぅっと背筋を汗が流れていく。
生唾を呑む隙すらない。


再び廊下を、階段とは逆方向に歩いていく。
あの屍人が入ってこなくてよかったと心から思う。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:30:20.43 ID:RifYS+NP0

素早くトイレを出て階段を上る。
廊下の奥に幻視通り、図書室のプレートが見える。
しめしめ。

从 ゚∀从「さぁて、どうするかね……」

廊下には金槌で窓を打ちつけてる屍人が二体。
あの作業が終わったらまた新たな窓を探しにこっちへくるかもしれない。
それだけは避けないと。

5,6年教室へ入る。
幸い、ここには屍人はいない。
ベランダへ通じる窓を開け、ベランダから視聴覚室を通り抜け、
そのまま図書室へと向かう。
視聴覚室の窓は既に板が打ちつけられていたが、
図書室はまだだった。

開いたままの窓から侵入し、ドアの内鍵をかける。
これで、一安心というわけだ。
本を読むことに集中できる。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:32:28.97 ID:RifYS+NP0

ツン   美布村外れ
    初日/12:09:05

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:36:24.96 ID:RifYS+NP0
ブーンのバイト先の先輩のドクオという人を探して私たちは行動していた。
化け物とはなるべく会わないようにちまちま行動しているから、
すごく効率が悪いけどしかたない。

( ^ω^)「疲れたかお?」

ξ゚听)ξ「少し、でもまだ平気よ」

本当は今すぐにでも倒れ込みたい。
ふかふかのベッドで眠りにつきたい、アイスを食べたい、
クーラーのきいた部屋でのんびりしたい。
でもブーンは化け物を一人で引き受けて、頑張っている。
私が疲れたなんて言うと、ブーンに失礼だ。

( ^ω^)「……無理してないかお?」

ξ゚听)ξ「だっ、大丈夫だってば!馬鹿にしないでよ!」

思わず悪態をついてしまう。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:40:36.50 ID:RifYS+NP0
( ^ω^)「僕は少し疲れたお。だから、少し休むお」

ブーンの屈託のない笑顔。

今まで色んな笑顔を見てきた。
愛想笑い、苦笑い、冷笑、嘲笑、微笑。
そのどれとも似ていない、純粋な笑顔だ。
まるで子供が向けてくるような、そんな笑顔。

( ^ω^)「?」

座らない私を不思議に思ったのか、首を傾げている。

ξ゚听)ξ「あ、ありが、と……」

地面を見ながらそう呟き、さっとブーンの隣に腰を下ろす。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:44:25.43 ID:RifYS+NP0

ブーンは隣でがりがりと火かき棒で落描きをしている。
電気ネズミの絵を描いたり、ネズミーランドのマスコットを描いたり。
そのどれもがブサイクで思わず笑う。
じゃあツンが描いてみるお!とぷりぷり怒るブーンに従って描くと、
これまたブサイクなネズミ達が並び、二人声を上げて笑う。

そんな何でもないことがこの世界で出来るなんて、
私は思っていなかった。


「の、の、のわ、のわひゃあああああああ!!」

そんなことをしていると、どこからか叫び声が聞こえた。
声の感じからして化物ではない。
ブーンが素早く立ちあがり、辺りを窺う。

がさがさと草をかき分ける音が近くなってきて、ブーンが火かき棒を構える。
ざんっとその人が現れた。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:47:58.45 ID:RifYS+NP0
(;'A`)「ひええええぇぇぇ!!!
     あ?あ!!」

現れたのは顔面蒼白、センスの悪い文字Tシャツを着た、
汗だらだらのもやしのような人間だった。

(;^ω^)「ドクオさん!!無事だったんですかお!!」

あ、この人が例の。

(;'A`)「お前こそ、って俺今やばいんだって!生死の危機!!」

(;^ω^)「追われてるんですかお!?」

(;'A`)「当たり!助けて―――」

そこまで言ってドクオさんは言葉を呑みこむ。

(;'A`)「―――っ!やっぱいい!お前ら、俺とは逆方向に逃げろ!いいな!」

(;^ω^)「は、はあ!?」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:52:04.64 ID:RifYS+NP0
その理由を訊く前に、化け物が草をかき分け現れた。

(;'A`)「ふんぬぬぬぬぬぬぬ!!!」

ドクオさんがまた走りだす。
その後を化け物が追っていく。

(;^ω^)「あっ!ちょっと!」

ξ;゚听)ξ「ブーン、どうするの!?」

(;^ω^)「そんなの決まってるお!!」

ブーンがグッと火かき棒を握った。

(;^ω^)「ツンはゆっくりついてくるお!」

そう言ってブーンは二人の後を追って走りだした。
とてつもない速さだった。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:56:51.87 ID:RifYS+NP0

私が追いついた時には既に化け物は地面で丸くなっていた。
ドクオさんは地面に寝転がり、ぜえぜえと荒く呼吸していた。

(;'A`)「わ、わりい、ブーン、俺、俺、今度こそ一人、でなんとか、げほっ」

(;^ω^)「とりあえず休んだ方がいいですおドクオさん」

ξ゚听)ξ「よかった、間に合ったのね」

(;^ω^)「うん。なんとかね。」

ブーンが汗を拭う。
運動をした後の爽やかな汗、というやつだろうか。

( ^ω^)「会えて良かったですお、ドクオさん。
      とりあえずどっか安全なところ探して、落ちつきましょうお」

ドクオさんが息の漏れる音と共に、そうだなと返事をした。

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 22:59:59.19 ID:RifYS+NP0

ヒート    南美布通り
     初日/13:10:13

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 23:04:58.11 ID:RifYS+NP0
ヒートと渡辺は物陰に隠れながら安全な場所を目指す。
ヒート一人の力では二人以上のゾンビとまともにやりあうことは難しい。
おまけに幼い渡辺をつれている。
ゾンビに囲まれれば生存確率は大幅に下がる。
そのことをヒートは理解していた。

こんな状況下でも渡辺は恐怖に負けず、素直にヒートについてきている。
しかし時々泣きそうになりながら目を服の裾で拭っていた。
それにヒートが気づくと、抱きしめて背中をぽんぽんと叩いて
落ちつくのを待っていた。

不安定な状況下ながら、二人は生存できていた。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 23:09:27.92 ID:RifYS+NP0
二人は路地に身を潜め、通りを行く隙を窺っている。
それぞれ別の方向から二体のゾンビが行き来しており、
丁度二体ともこちらを見ていない隙が生まれる。

「行くよ、渡辺ちゃん」

声をかけ、通りへ飛び出す。
タイミングも二人の呼吸も完璧だった。

その時。

木々の向こうに、火のようにゆらゆら揺れる光が現れた。
突然の非現実的な出来事に二人は動揺し、足を止めてしまった。
そして辺りの街灯に明かりが点き始める。

この変化に動揺したのは二人だけではない。
ゾンビ達も同様であった。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 23:13:57.37 ID:RifYS+NP0
「しまった!!」

謎の現象で二体の行動パターンが狂ったのだ。
何事かと振り向いた先にはヒートと渡辺がおり、
そして追跡の対象となってしまった。

「っッ!逃げるよ!!」

ヒートが渡辺を背負い、走り出す。
渡辺は六歳、ヒートは高校生だ。
渡辺を背負って走れば、やはり速度は遅くなる。

ヒートの背後からゾンビ達の遠吠えが聞こえてくる。
背中には渡辺が乗っている。
渡辺に攻撃されないよう、細心の注意を払わなければならなかった。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 23:18:44.40 ID:RifYS+NP0
橋を渡った時、前方の路地からもう一体ゾンビが現れた。

「げぇっ!!」

ヒートは方向転換が間に合わず、そのまま激突してしまう。
倒れこむが、ヒートは素早く立ちあがり、叫ぶ。

「こんにゃろおおおおお!!!!」

蹴る。

「渡辺ちゃん!!あそこ、教会、急いで!!」

肝試しのためにモナーと下見をした教会がもう見えていた。

「あたしも後で行く!だから早く!!」

立ち上がり、泣きそうな顔になりながら渡辺は頷き、
教会へと走っていった。

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 23:23:29.79 ID:RifYS+NP0
「鎌ぁ……?女の子相手に武器は卑怯じゃないか、ね!!」

塀に立てかけてあった箒を手に取り、槍のように押し出し、顔面に当てる。
人間ビリヤードのようだ。
勢いそのままに飛び蹴りを当てる。
女の子、と自称するには少々いきすぎた運動能力だ。

これでとどめだと言わんばかりに振りかぶり、頭に振り下ろす。
しかし、当たるより先に、敵の鎌がヒートの腹を切り裂いた。
自分の能力を過信していた。
大振りになった分、それだけ隙も多くなったのだ。

「ぐぅうぅうう……!!」

ヒートが激痛に顔を歪ませる。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 23:28:33.26 ID:RifYS+NP0
彼女はもう、目の前で誰かが死ぬのは懲り懲りだった。

小学校に上がるまでは彼女は今とは真逆の性格だった。
引っ込み思案で言いたいことも言えない、大人しい子。
いつも泣いてばかりいた。

そんな彼女を変えたのはモナーだった。
モナーは持ちまえの天然さでいつも明るく、そんなヒートにも平等に接していた。
そして次第にモナーの影響を受け、明るい、そして正義感の強い女の子へと変貌した。

自らの正義を曲げることはなく、
間違ったこととは真っ向から対立するようになった。
それでいて、情報を整理し、
冷静に問題へと立ち向かう正しさをも身に付けた。

当然そのような性格を疎む者も多かった。
しかしそれ以上に彼女は慕われ、周りには味方が多かった。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 23:33:21.08 ID:RifYS+NP0
そうして培われた正義感が、弟者の死をもって揺らいだ。
自分はこういう場面で、誰かを助けることはできないのか?と。
だが渡辺と出会い、神からチャンスを与えられたと彼女は感じた。

当然幼い渡辺を守る、純粋な意味もある。
しかしそれ以上に、彼女は彼女の正義感を守るために
敵へと立ち向かっているのだ。


それ故に、ここで斃されることは許されなかった。


「ぬううううううううがあああああああああああ!!!!」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 23:38:14.06 ID:RifYS+NP0
気力を振り絞り、箒で横っ面を往復で殴る。
箒は軽い。一撃では大したダメージも期待できない。
しかし軽さ故の利点、素早い攻撃が可能であった。
それを利用し、着実にダメージを蓄積させ、
なんとか鎌を持った敵を倒すことに成功した。

肩で息をし、腹に手をやる。
泣きそうなくらいの激痛が彼女を襲う。

地面に写る、伸びた影がヒートに近づく。
ハッとして顔をあげると、追いかけてきたゾンビが、
逆光で顔は見えないが、恐らくニヤニヤとしながらヒートを見おろしていた。

脂汗を拭うこともせず、相手を睨みつける。
彼女はまだ、死ぬわけにはいかない。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 23:41:58.36 ID:RifYS+NP0


「ヒートおねえちゃん!!!」

渡辺が駆け寄ってくる。
ヒートは腹や背中、腕に傷を負っていた。
渡辺の幼心にも、ひどいと分かるほどに。

「あ、あ゙あ゙、無事、だったんだ、ね、よかっ……」

そこまで言って教会の床に倒れこむ。
三体の敵を相手に戦って勝てた、
そして渡辺が無事だったことは自身を称賛するのに値した。

「おねえちゃん、いやだよう、おねえちゃん……」

ぐしゅぐしゅと泣き始める。
鼻水と涙でいっぱいの顔をヒートが撫でる。

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 23:45:56.88 ID:RifYS+NP0
「渡辺ちゃん、よく、ききな……。
 あたしが、守って、やれるのは、ここまで、……だ」

渡辺の嗚咽が教会に響く。 

「ごめんだけど、この先は、なんとか、がんばってちょうだ、い、ね」

絞りだした言葉が切れ切れになる。
段々と彼女の意識は朦朧としていく。
もう、渡辺の泣き顔も、輪郭がぼやけている。
その顔はまるで、忘れかけていた幼いころの自分のようだった。

目を閉じた彼女の脳裏に浮かぶのは、両親、姉、友達。
トソン、モララー。
そしてモナーの顔。
出来るなら、彼に直接お礼を言いたかったと、
そんなことを考えながら―――

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 23:51:12.42 ID:RifYS+NP0




「ありが、とう、モナー」




彼女の意識は途絶えた。




92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 23:55:42.50 ID:RifYS+NP0

ハインリッヒ高岡 美布小学校/屋上
              初日/13:49:51

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/19(金) 00:00:03.05 ID:za8IuyHM0
ハインリッヒが上ってきた階段と逆の階段は屋上へと繋がっていた。
小高い場所に建てられた小学校の屋上だから、眺めが良い。
屋上には自殺防止用の柵なんてついていない。
なら鍵くらいかけておけよとハインリッヒは苦笑いする。

彼女は久しぶりにタバコを吸っている。
いつでも吸えるようにと白衣のポケットに忍ばせてあったのだ。

彼女は学生時代には馬鹿みたいに吸っていたが、
クリニックを継いだ時を機会に禁煙を始めた。
とはいってもやはり止められず、週に一度吸うだけで我慢しようと
自分の中で決まりを作っていた。

学生時代を思い出しながら、二本、三本とタバコを消費した。
雨に濡れたため、湿気て吸えないかと思ったらそんなことはなかった。
赤い水は揮発性が高いのかもしれない。

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/19(金) 00:04:07.47 ID:za8IuyHM0
彼女はあの本を読んだ。

どうあがいても、必ず絶望へ直結するという現実が
彼女に突きつけられただけだった。


「あ、……タバコ、切れちったか」

箱を逆さまにしてタバコがなくなったことを確認する。
ハインリッヒは自らの半生を振り返るにはいいお供だったとタバコに感謝する。


本を読んだ後、彼女は光を見た。
この村で何が起こっているのか、もう彼女は考えることをやめた。
もはや何が起ころうと、自分には関係のないことだと思ったのだ。

一度そう思うと妙に心に余裕ができて、
こうして屋上でタバコを吸っていたのだ。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/19(金) 00:07:55.21 ID:za8IuyHM0
それももう終わり。
言わば走馬灯を見る時間も終わった。

彼女はこう思う。

どうせ死ぬしかないこの世界だ。
そしてこの体は、精神は、意志は自分のものだ。
どこの誰ともわからない誰かに殺されて、それ一つでも捻じ曲げられるくらいなら、
いっそ。


いっそ、自分で自分を殺す。


それが彼女の選んだ道だった。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/19(金) 00:11:16.23 ID:za8IuyHM0
淵へと向かう足取りは軽い。
死後、屍人になることも彼女は知っている。
だからこんな死に方をしたらどうなるのか、少し興味もあった。

医学部を目指したことも、クリニックを継いだことも、
他人の考えに同調して、他人の意志に決められたのではない。

そしてこうすることを決めたことは、
サイレンの意志でも、赤い水の意志でもない。

全て彼女の意志なのだ。

それはサイレンによって狂わされた運命かもしれない。

しかし、彼女は最期まで自分の意志に正直に、その生涯を終えた。

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/19(金) 00:15:12.14 ID:za8IuyHM0

ギコ 映州地域/月刊「H.O.W」支部周辺
                初日/13:51:03

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/19(金) 00:17:47.11 ID:za8IuyHM0
ギコとしぃは火が燃えているのを見た。
しかしそれは火というには火らしくない、不思議な光だった。
その不可解な現象を合図とするかのように、
街中の至る所の街灯に明かりが点いた。
その二つが関係ないとは思えなく、それ故に行動を開始したのだ。

二人の目の前には由緒正しい日本家屋が建っている。
そして一際存在感を放つものが地面にあった。

「ギコ君、これって一体……」

「な、なんだこれ……気味悪いな」

まるで小隕石でも落ちてきたかのような巨大なクレーターが出来ていた。
人影はもちろんない。
その中心辺りには刀が突き刺さっている。

「あの刀、使えるかもしれないな」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/19(金) 00:19:56.72 ID:za8IuyHM0
ここで何が起こったのか、ギコにはピンとこなかった。
しかし、何かが起こったのは明白だった。

刀を抜き、その刀身を見る。
錆を知らないその刀は、どこかから光を受けて鈍く光っていた。

「うん、フライパンよりは強そうだこれ」

「……ギコ君、フライパン嫌だったの?
 私の包丁使う?」

「や、ま、まあそういうわけじゃないけど……なぁ」


ギコの視界の端でちらりと何かが光った。
そこには木の束が落ちていただけで、他に光りそうなものはない。
気のせいだろうと結論付け、その場を後にした。

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/19(金) 00:23:53.76 ID:za8IuyHM0

モナー     映州地域
      初日/13:57:19

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/19(金) 00:26:06.54 ID:za8IuyHM0
驚いたことに、僕の傷はもういい感じに治っていた。
挫いた足も、地面と体の下敷きになった右腕も、
そこら中にできていた切り傷擦り傷も。

僕はどうしてしまったんだろう?
なんだか不思議な気分だ。

こういう不思議なことは図書室にあるという本を読めば一発なんだろうけど、
流石にもうモララーとは会いたくない。
あんなに狂っているとは思わなかった。
友人がおかしくなってしまった現場を見て、
ヒートもああいうふうになってしまったのだろうかと考えると、
少し怖い。

ハインリッヒさんも無事だろうか。
モララーはあの様子だと無差別に襲ったりはしない、とは思うんだけど。
でも逞しそうな人だから、どこかで会えるだろう。

ふと、この場所は四人で歩いていた道だと気づいた。

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/19(金) 00:29:39.30 ID:za8IuyHM0
( ´∀`)「……懐かしいモナ」

もうあの時から何日経ったのだろう、と思ってしまった。
ついでだから教会へ行こう。

ヒートと二人で下見に行ったっけ。
あれは紛れもなく、二週間ほど前のことだ。
うん、記憶は大丈夫だ。

近づいていくと、誰かのすすり泣くような声が聞こえてきた。
不思議に思って教会の扉を開ける。

そこには幼い少女が座り込んで、涙目でこちらを見ていた。
そしてその少女の目の前には人が倒れている。

(;´∀`)「ひ、ヒート……!?」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/19(金) 00:34:00.05 ID:za8IuyHM0
傷だらけで痛々しい姿になっているが、
着ている服や髪の毛からしてヒートに間違いない。

急いで駆け寄り、体を仰向けにし、半身を起こさせる。

(;´∀`)「ヒート、おいヒート!大丈夫かモナ!!」

いつもの元気な返事はない。

ヒートの浮かべた少しの微笑みは、生気のない顔に似つかわしくない。

(; ∀`)「お前までこんな、こんな、」

目の前が歪む。

今までのヒートとの思い出が、次々と呼び起こされる。

項垂れ、ただただ涙が流れた。

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/19(金) 00:36:51.97 ID:za8IuyHM0
从;−;从「おにいちゃん、おねえちゃんのおともだち、なの?」

隣に座っていた少女が問いかける。
涙を拭かずに僕は短く返事をする。


从;−;从「おねちゃん、さいご、に、『ありがとうもなー』って……」


その言葉を聞いて、僕の張り詰めた最後の感情の線が切れた。

子供みたいに、馬鹿みたいに泣きじゃくった。

その背中を、少女は優しく叩いてくれた。

まるで、ヒートが背中を叩いているような、そんな優しさに包まれていた。

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/19(金) 00:39:54.55 ID:za8IuyHM0

多分、ヒートはこの少女を全力で守ろうとしたんだろう。
あいつらしい。
最後までヒートはヒートの正義を貫いたんだ。

僕にできることは何だ?
ヒートの守ろうとしたこの子を、最後まで、
何をもって最後とするのかはわからないが、それでも最後まで守り抜くこと。

それだけしか僕にはできない。
しかし、それだけは必ずやってみせる。

やり遂げて見せるから、ヒート。
君はそこで、笑いながら僕を見ていてくれ。



( ´∀`)「行くモナ、渡辺ちゃん」

从'ー'从「うんっ」


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