( ^ω^)は空に想いを馳せるようです

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:12:28.63 ID:+6QaV1Xg0
( ゚д゚ )「シノーツ、聞こえるか」

('A`)「聞こえます」

( ゚д゚ )「空母の直掩だ」

('A`)「なんでです?俺たちの管轄は兪鳥の陥落でしょう?」

( ゚д゚ )「敵の観測部隊が思った以上に優秀なようだ。すでに何機も堕とされている」

('A`)(もしかして・・・)

( ゚д゚ )「守るのは性に合わんが、無能が先に行った以上ほっとくわけにもいくまい」

(;'A`)「分かりました」



頭の中に蘇る先日の空戦。
二度と対峙したくないと願った相手によもや自分から会いに行くことになるとは。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:14:33.85 ID:+6QaV1Xg0
(;'A`)(ああぁ、早く終われよどっちでもいいから)

ドクオの恐れを知ってか知らずかミルナは呟くように口ににする。

( ゚д゚ )「・・・私はお前が嫌いだが腕は認めている」

('A`)「・・・」

( ゚д゚ )「だから堕とせ。勝つのはこちらだ」

('A`)「はい・・・」

( ゚д゚ )「急ぐぞ。そろそろ無能が死ぬかもしれん」

二機のシベリアは連れ立って空母へと向かった。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:16:04.81 ID:+6QaV1Xg0
ーーーーー
ーーーー
ーー

(´#・_ゝ・`)「死ね!ゴミ!」

( ゚д゚ )「なかなかやりますねあの観測機。普通なら十回は死んでる」

(;'A`)(やっぱあいつかぁ・・・)

(´・_ゝ・`)「うるせぇ敵褒めてんじゃねぇぞ!!」

( ゚д゚ )「チッ・・・」

(;'A`)「ど、どうしましょう。正攻法でやっても避けられそうですが」

いくらドクオと言えど回避に徹されれば撃墜は難しい。
ましてや周りに凄腕の直掩がいる状況だ。

無闇に突っ込むのは馬鹿でもしない。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:18:24.57 ID:+6QaV1Xg0
(´・_ゝ・`)「突っ込むぞ。お前らは後に続け」

( ;゚д゚ )「ハァ?」

(;'A`)「えっ?」

(´・_ゝ・`)「相手は野蛮人だ。負けるわけがねぇ」

( ;゚д゚ )「デミタス大尉!危険すぎます!」

(´#・_ゝ・`)「あぁん?俺が負けるってか?」

(;'A`)(あんたが勝てるならとっくにヒロユキは世界統一してるよ)

( #゚д゚ )「ですが大尉っ!そのような危険を冒さずとも所詮この艦は・・・」

(´#・_ゝ・`)「俺はなぁ、ムカついてんだよ!好き勝手されてんのによぉ!」

(´#・_ゝ・`)「次戯言ほざいたら銃殺刑だかんな」

( #゚д゚ )「クッ・・・。はっ」


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:20:12.60 ID:+6QaV1Xg0
ドクオは一人ため息をつく。

('A`)(ミルナ不憫だな)

どんな優秀な戦空士でも無能な上官の下では宝の持ち腐れだ。
ミルナ=エステルガーなどその典型だ。
まともな隊に所属していたなら今頃押しも押されもせぬ大ベテランだっただろう。

ドクオは伝声管を掴み、ミルナ個人に繋ぐ。

(;'A`)「デミタスはほっときましょう。命がいくらあっても足りません」

( ゚д゚ )「そういうわけにもいくまい」

(;'A`)「大丈夫ですよ。下手くそすぎて逆に死なない」

( ゚д゚ )「フッ、一応様子を見よう」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:22:07.54 ID:+6QaV1Xg0
(´#・_ゝ・`)「死ねやオラぁ!」

罵声を浴びせかけながらデミタスは一直線に突進する。

当たるかどうかもわからない距離で乱射された機銃は敵の真下を潜り抜けて行った。

(;'A`)「あーあ、堕ちましたねこりゃ」

( ゚д゚ )「無能にもほどがあるな」

聞いていないのをいい事に二人は心ゆくまで上官をこき下ろす。

翻る新速。
先ほどの機銃は単に相手に自分の存在を知らしめただけだったようだ。

あえなく主翼に風穴を開けられたデミタス機はフラフラと漂い、パラシュートを射出して爆散した。

響き渡る爆音に二人は合点する。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:24:25.59 ID:+6QaV1Xg0
( ゚д゚ )「さて、そろそろ雲も切れる」

(;'A`)「いくら自陣とは言ってもですね」

二機のシベリアは雲を突き破り観測機へと接近する。

( ゚д゚ )「うっすらと見えて来たな・・・」

('A`)「この距離じゃまだ気づいてないだろうし応援を呼んだ方がいいですね」

言い切ったその瞬間、観測機の横にそうようにして飛んでいた新速が二機翻り、こちらへ向かって来る。
明らかにこちらに気付いている様子だ。

(;゚д゚ )「馬鹿なっ!この距離で気づかれるわけが・・・」

(;'A`)「言ってる場合じゃない!とりあえず別れましょう!」

二人は同時に機速を上げ、正反対の方向へと新速を誘導する。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:26:26.72 ID:+6QaV1Xg0
( ;゚д゚ )「なんという索敵能力だ・・・」

(;'A`)「遠くまでは追ってこないはず!ひとまず立て直そう!」

不意をつくはずがこちらがつかれている。
本来あってはならない状況に、ドクオの掌は汗が滲み操縦桿を握り締める手は自然と強くなる。



(;'A`)(大丈夫・・・。スピードもこっちが上だし追いつかれるような距離じゃない)

滲んだ汗をズボンに擦りつけ、操縦桿を握りなおす。

(;'A`)(大丈夫・・・。俺は希代のルーキーなんだろ?)

ドクオは呪文のように大丈夫、と自らに言い聞かせる。
自分の弱さを跳ね除けるようにして、シベリアは加速していった。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:28:14.71 ID:+6QaV1Xg0
ものの数百メートルで追尾は途絶えた。
深追いすると護衛対象を見失う踏んだのだろう。

状況の見極めも超一流、感情に左右されず目的を見失わない。

戦空機乗りにとってそれは最低条件であり、最も難しい鉄則だとも言える。


それをかの操縦士は見事といっていいまで遵守している。

(;’A`)「ミルナさん、応援を呼びましょう」

もちろんそういった感情がないわけではないだろう。

むしろエースとしてのプライドと情熱と天を突くような怒髪すら感じる。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:30:14.51 ID:+6QaV1Xg0
ただ彼がそれを抑えこんでいるのはそれ以上に大切な何か。

どれも自分には無いものだ。

あるのは空への愛だけ。

純粋に尊敬し、また羨ましいと思う。
と、同時に彼をもう一度完璧に撃ち落すことで自分も大きなものを得られる気もする。

全ては推測だが、ドクオには確信があった。


*****

深追いはしない。
あくまで自分の任務は観測機直掩だからだ。
だがそれでも、

( ^ω^)(やっぱり来たかお・・・)

待ち望んでいた好敵手の到来に内藤は密かに笑みを浮かべざるを得なかった。
やはり今までにない感情だ。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:32:16.07 ID:+6QaV1Xg0
だが今内藤を支配しているのは次こそ打ち落とすという決意で、そこに疑問など微塵も無かった。



(;・∀・)「やばいな・・・。どこから来たのか知らねぇが明らかに増えてきてやがる」

从 ゚∀从「・・・見えないぞ」

(-_-)「高岡・・・。モララーさんの目は悔しいけど本物だよ」

从#゚∀从「分かってるよ!」

( ・∀・)「樋木の方は見込みありそうだな」

(゚、゚トソン「モララー君!口が悪いです!」

(;^ω^)「モララー、茶化してやるなお・・・」


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:34:09.08 ID:+6QaV1Xg0
( ・∀・)「はっはっは、オラオラさっさと落としてこい。樋木と高岡で三機ずつな」

(-_-)「はい!」   从 ゚∀从「・・・はいよ」

( ^ω^)「深追いはすんじゃねぇお」

( ・∀・)「さーて、もっかい近づきますよっと」

(゚、゚トソン「砲弾は近づいていています。あと少しがんばりましょう!」


矢追は機体を傾け、雲から抜け出す。
その瞬間、待っていましたと言わんばかりにアフィーカスから連装砲が放たれる。

(;・∀・)「霧晴れてきてんじゃねぇかぁぁぁ!!」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:36:14.95 ID:+6QaV1Xg0
当初、一寸先まで見えなくなるほど濃くあたりを覆っていた霧は徐々に晴れてきている。

(゚、゚;トソン「戻っちゃダメ!あと少し!あと少しなんです!」

(;^ω^)「対空攻撃以外は何とかするからどうにかよけろお。」

(;・∀・)「言われなくてもっ・・・!」


左右に機首を振り、一秒たりとも直線行動を取らない。

自分が墜ちれば兪鳥は沈没する、そんなプレッシャーがモララーを突き動かす。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:38:15.63 ID:+6QaV1Xg0
(゚、゚;トソン「霧が晴れてきました!敵艦19ノット進路変わらず!」

喉が枯れるほどにトソンは叫ぶ。

内藤もモララーがいれば不要だとは思うが一応哨戒を続ける。

(゚、゚;トソン(私がしっかりしないとモララー君が・・・)

焦る気持ちを抑えつつ、冷静に戦況を見極める。

自分が焦ってしまえば一番迷惑をこうむるのはモララーだ。
本来なら泣き叫んでしまいそうな地獄の中でも、それが分かっているからこそ冷静でいられる。

( ・∀・)+「トソン、焦んなくていいぞ。俺はまだ余裕だ」

(゚、゚;トソン「・・・!はい!大丈夫です」

わざと涼しい声をだして見せるモララーに、クスリと笑みが零れる。

(゚、゚トソン(まったく・・・この人は心が読めるのでしょうか・・・)

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:42:19.69 ID:+6QaV1Xg0
モララーは周りの戦況だけではなく、パートナーの感情すらも把握する。

自分のことを誰よりもわかっている男だ。

(゚、゚トソン(ってこんなことを考えてる場合じゃないですね)

我に返り、自艦隊の砲撃を待った。



兪鳥の主砲が轟く。

放たれた四発の弾丸は、初撃はアフィーカスの少し手前に、残りは船尾をかするかかすらないかのところに落下した。

( ・∀・)+

(゚、゚トソン「夾叉!夾叉です!!」


(;^ω^)「やっとかお・・・」

弾けんばかりの声がスピーカーを通して聞こえる。

ついに兪鳥はアフィーカスを散布界に捉えた。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:47:06.93 ID:+6QaV1Xg0
(゚、゚トソン「やった!やりましたモララー君!!」

( ・∀・)「ナイスだトソン!」

二人は待ち望んだ事態に喜びを隠しえない。

(;^ω^)「下!余所見すんなお!」

(;・∀・)「うわっとぉ!」

スレスレのラインを銃弾が通過し肝を冷やす。
内藤の言うとおりだ、油断は出来ない。
これから着弾まで今まで以上に攻撃が激化するだろう。
モララーは唇を真一文字に引き締める。

(゚、゚トソン「モララー君、あと少しです。がんばってこの距離を保ってください」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:51:07.33 ID:+6QaV1Xg0
霧が晴れてきたとはいえまだまだ視界は不良だ。

(;^ω^)「おいおい、そりゃ過酷だお」

(゚、゚;トソン「ですが・・・このチャンスを逃してしまえば・・・」

( ・∀・)「トソン、お前は心配するな。観測に専念してくれ」

(゚、゚トソン「モララー君・・・」

トソンにとってモララーの言葉は、何よりも安心する材料だった。
どんな過酷な状況でも彼が大丈夫といえば大丈夫なのだ。

いまだかつて体験したことのない大規模な海戦という不安要素をモララーの言葉が一息に吹き飛ばす。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:55:36.66 ID:+6QaV1Xg0
(゚、゚;トソン「私が言うことじゃないですけど・・・無理はしないでください」

(*^ω^)「言うじゃねぇかおモララー」

( ・∀・)+「お前みたいな醜男と一緒にするなよ」

(;^ω^)「ぶおっ・・・!?」

( ・∀・)(さてと・・・、樋木と高岡が帰ってくるまで乗り切れますかね)

こちらにはVIPのエース内藤ホライゾンがいる。
そしてモララー自身も操縦だけならば内藤を凌駕している自信がある。
そうそう落とされることは無い、たとえ何機襲ってこようとも。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 21:59:40.96 ID:+6QaV1Xg0
開戦より何度目か分からない全砲斉射が放たれる。

(゚、゚;トソン「まだですか・・・!」

トソンは声を押し殺すようにして、ツートン信号を送り続ける。
そしてその祈りが届く前に、それは現れた。

(;^ω^)「モララー・・・」

(;・∀・)「お前も気付いてたか・・・」

にわかに晴れたきりは、観測部隊に負の贈り物をもたらす。

(;・∀・)「さっきのやつらが帰ってきやがった・・・」

(゚、゚;トソン「そんなっ!?あと少しなのに!」

(;・∀・)「操縦荒れるぜ?舌噛むなよ?」

(;^ω^)「ハインと樋木はまだかお・・・」

後方からは先ほど追尾を振り切っていったシベリア二機が迫っていた。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:03:24.01 ID:+6QaV1Xg0
機速で劣る矢追はグングンと距離を詰められていく。

(;^ω^)「すまんお!あいつらは僕一人じゃ相手出来んお!」

(;・∀・)「分かってるよんなもん!」

二人の声に焦りが募る。
ただの空戦ならまだしも、ここは敵空母のすぐ上だ。
対空砲を避けつつ二人の凄腕の操縦士を相手にするなど不可能に近い。

(;・∀・)「トソン!わりぃけど機銃の準備しといてくれ!」

(゚、゚;トソン「はっはいっ!」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:07:57.54 ID:+6QaV1Xg0
(;・∀・)「じゃあお互いフォローしつつ離散だ!」

(;^ω^)「把握っ!」

それを合図にトソンは後方へと威嚇射撃を敢行し、距離を広げた。


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:11:38.43 ID:+6QaV1Xg0
*****

(;・∀・)「よっし、ヤバイ方は内藤のとこ行ったな」

不謹慎ながらもつい安堵する。
今の状態でかかってこられればさすがに落とされる可能性の方が高い。

(;・∀・)(しかしよくもまぁ見事に乗ってくれたな。普通なら一目散に観測機狙いそうなもんだが)

相手の判断ミスなのか何か思うところがあったのかは知らないがこちらとしては好都合だ。

(;・∀・)「トソン、俺が合図するまで絶対に打つな?」

(゚、゚;トソン「えっ、でも・・・」

(;・∀・)「俺を信じてくれ」

(゚、゚;トソン「分かりました」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:15:51.90 ID:+6QaV1Xg0
有無を言わさぬモララーの迫力に、トソンは思わず閉口する。

(゚、゚;トソン「モララーく・・・キャアッ!!」

機体がガタンと揺れ、急降下を開始する。
敵機の射線から逃げ出すようにモララーは矢追を動かしている。

もしこれが単座戦空機なら圧倒的な機動で直後に回り込み難なく撃ち落とす事ができるだろう。

致命的に下手な射撃というハンデが今になって響く。


(;・∀・)「黙ってろっ!舌噛むぞ!」

ほとんど落下するようにして行われた急降下は、海面スレスレで機首を持ち上げ、急上昇に変わる。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:19:31.84 ID:+6QaV1Xg0
しかしシベリアは追って来ない。
いや、追って来れないのだ。
空戦でこんなパフォーマンスが出来る者の方がどうかしている。

(;・∀・)「よし、距離が開いたな。反撃に移るぞ」

とりあえず射程圏内からは抜けた。
あとはトソンの後部機銃に賭けるしかない。

(;・∀・)(やるなら限界まで引きつけてからだ)

空を仰ぎ心を落ち着かせる。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:23:29.13 ID:+6QaV1Xg0
(゚、゚;トソン「モララー君!下!何よそ見してるんですかバカァ!」

完全に意識の外にあった対空砲火が唸る。

(;・∀・)「やべぇやべぇやべえ!!」

左に90度回転して、連装砲をやり過ごそうとする。
すぐ目の前を銃弾が通り過ぎて行く。

そして、直後


バリィイィン!!

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:27:28.38 ID:+6QaV1Xg0
甲高い音がして

(゜、゜;トソン「モララー君ッ!!!」

操縦席のキャノピーが割れた。

(;メ∀・)「グッ・・・」

砕かれたガラスは凶弾となってモララーに降り注ぎ、意識は遠のいていった。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:30:22.04 ID:+6QaV1Xg0
(゚、゚;トソン「モララー君っ!!モララー君!!起きて」

後頭部やこめかみから血が溢れている。

( メ∀・)「うぅ・・・」

(゚、゚;トソン「私がやらなきゃっ・・・!」

トソンは操縦を後部席に切り替える。
もちろん観測官であるトソンの操縦はモララーとは比べるべくも無い。
機速も劣り、技術でも劣る。
落とされるのは時間の問題だ。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:33:59.47 ID:+6QaV1Xg0
(゚、゚;トソン「それでもっ・・・それでもっ!!」

モララーを死なせるわけにはいかない。
なんとしても生き延びてみせる。

(゚、゚;トソン「モララー君!だから起きてくださいっ!!」

自分がやるしかないのだ。
決意を胸にトソンは迫り来るシベリアを見据えた。


自信は無い。
が、やるしかない。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:38:20.53 ID:+6QaV1Xg0
アフィーカスの砲撃を危なっかしくかわしていく。

(゚、゚;トソン「来るッ・・・」

操縦桿をこれほどまでに強く握ったことがあっただろうか。

祈るように唇をかみ締める。


迫るシベリアは機銃を矢追の主翼に向けて放つ。

モララーにとってはたいしたことのない攻撃でもトソンには脅威だ。
それをトソンは紙一重で交わすと急旋回し、機銃を打ち込まんと握り締める。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:41:46.43 ID:+6QaV1Xg0
満を持して放った機銃は、シベリアが数瞬までいた虚空を穿つ。

(゚、゚;トソン「そんなっ・・・」

その一瞬の間にシベリアは矢追の後ろへと回りこんだ。
一撃必中の距離。

(゚、゚;トソン「ごめんなさい・・・モララー君」

観測も失敗、そして思い人すら守れなかった。
死への恐怖よりも悔しさだけがこみ上げる。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:42:55.82 ID:+6QaV1Xg0










そして、機銃が機関部に穴を穿つその瞬間。





43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:45:12.36 ID:+6QaV1Xg0
( メ∀・)「それじゃだめだ・・・」


操縦権は前部席へと移り、機体が重力を無視したかのような挙動を見せる。
二人を乗せた矢追は機首を軸にその場で左に捻りこみ



真空を発生せしめた。




――――――イスマエル・ターン!!

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:47:31.37 ID:+6QaV1Xg0
絶対によけられない銃弾をありえない挙動でモララーは回避する。
矢追の真下をシベリアは通過する。
操縦士の呆けた表情が見えるほどの距離だ。

( メ∀・)「トソン!!!!!」

瞬間、はじけるようにして我に返ったトソンはしっかりと握り締めた後部機銃の引き金を思い切り引いた。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/29(日) 22:48:18.51 ID:+6QaV1Xg0
第三話終わり


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