- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 22:53:04.85 ID:Nq0d2IrT0
- 第四話
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 22:54:07.93 ID:Nq0d2IrT0
- *****
(;^ω^)(モララー、持ってくれお・・・)
焦りを胸のうちに押し込めて内藤は後方のシベリアを見やる。
距離的にはまだまだ安全圏だが水平速度で劣る分油断は出来ない。
内藤はスロットルを僅かに緩め、旋回行動を取った。
敵を真っ向から迎え撃つためだ。
依然として雲は多く天候には恵まれないが幾分霧の晴れてきた戦域は見通しがいい。
そのおかげで当初よりも相手の動きが読みやすくなった。
しかし逆に言えば対空砲火をかいくぐりつつ、自分を凌駕するパイロットの相手をしなければならないという事。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 22:56:22.14 ID:Nq0d2IrT0
- あまりに困難な状況だ。
しかし内藤は笑う。
(*^ω^)「ひひひ・・・」
(*^ω^)「望むところだお・・・!」
内藤は挑戦者として、敗北者として挑む。
失うものなど命意外に何もないのだ、気負いしなくてすむ。
そして自分の中では先の空戦の敗因は自らが先行しすぎたこと、そう思っている。
裏をかくことも無く素直に行き過ぎたのだ。
もしかしたら自分のなかに驕りがあったのかもしれない。
それを理解できた今、内藤の頭に負けという文字は無かった。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 22:59:11.51 ID:Nq0d2IrT0
- 迫るシベリアは機体を小刻みに左右に振っている。
さしずめライフル対策といったところだろうが、そんなものを使うつもりなどこちらには毛頭無い。
やるならば正々堂々と機銃でドッグファイトだ。
(#゜ω゜)「おおぉぉぉぉぉ!!!」
内藤は雄叫びを上げ、シベリアと正面からすれ違う。
しかし、両者の機銃とも唸ることは無い。
なんの小細工も無い単なる猛進だ。
決闘の前の一礼にも等しい行為。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:02:00.31 ID:Nq0d2IrT0
休むことなく内藤は先ほどのターンで稼いだ高度を利用して機速を上げ後ろにピタリとつく。
これで一方的にシベリアを攻めることが出来る。
(;^ω^)「ハイン樋木、敵機殲滅はいいから至急モララー機に戻れお!」
距離的に聞こえているかどうかは分からないがスピーカーに向かって叫ぶ。
自分が攻めている状況にも関わらず念のため命令を残したのは不安からか。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:04:42.72 ID:Nq0d2IrT0
- 一つ深呼吸をして前を飛ぶシベリアに向け機銃を撃つ。
無論当たるとは思わない、威嚇程度だ。
敵機は縫うようにしてその機銃を完璧にかわすと、新速の後ろにつくべく急旋回をしてくる。
(;^ω^)「かぁー、後ろに目でもついてんのかお」
頭では分かってはいるが、かの操縦士の回避の完璧さに改めて感嘆する。
しかしそれは内藤も同じことだ。
はるか後方から放たれた対空砲をすんでの所で回避しつつ敵機を追尾するなど並大抵のことではない。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:06:41.95 ID:Nq0d2IrT0
- 後ろだけではない、空全体を見渡す目を持っている。
技術などとは違ってどうやっても培うことの出来ない力。
それこそが二人がエースたる所以だ。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:10:06.53 ID:Nq0d2IrT0
- 撃てば避ける、そして後ろを取られまいと飛ぶ、その繰り返しだけが延々と続いた。
二羽の鷹は舞うように飛び続ける。
(;^ω^)(終わりが見えないお・・・)
せいぜい十分くらいしか経ってないであろう時間が永遠にも感じられる。
あまりに濃密で多大な緊張を要する時間だということだ。
だがこの勝負、焦れてしまった方が負けることは必然である。
辛抱強く内藤はシベリアの後ろを追い続けた。
はたから見れば誰も手出しが出来ない空間だっただろう。
それほどまでに卓越した技能のせめぎあいだった。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:16:53.77 ID:Nq0d2IrT0
- *****
(;'A`)「くそっ・・・いきなりインメルマンだと?」
自分の読みが外れ、ドクオは早くもピンチに陥る。
大技は控えるものとばかり思っていたが早期戦を狙っているようだ。
(;'A`)「直掩だもんな・・・。そりゃそうか」
あくまで敵の目的は殲滅行動ではなく護衛。
ドクオ一人に時間をかけている暇など無い。
自分の思慮の浅さに少しばかりうんざりして、頭を垂れた。
これで墜とされようものなら素人もいいとこだ。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:18:08.79 ID:Nq0d2IrT0
- ドクオは後ろから迫る機銃をやり過ごしてチラリ、と窓から外を覗く。
('A`)(ミルナに任せればよかった・・・)
観測機のほうは自分と違って冷静に局面を判断できるミルナが担当しているので墜落の心配は無い。
そもそも観測機に撃墜されること自体稀有なことなのだ。
だから直掩機が戻ってくるまでに撃墜してくれればいいのだが、兪鳥の砲弾は着実にアフィーカスへと迫っている。
あまり、時間は残されていない。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:22:35.19 ID:Nq0d2IrT0
- (;'A`)「よし・・・やるぞ・・・」
ドクオは次々と襲い掛かる機銃を一切無駄の無い動きで回避していく。
もちろんその間後ろなど一秒たりとも見ていない。
敵パイロットが引き金を引く瞬間背中にちくりと悪寒が走るのだ。
その直感だけを頼りにドクオは飛んでいる。
逆に言えばその直感に耳を傾け信じてきたからこそ生き残ってきた。
ドクオは今までの数少ない空戦の中で直感の大切さをを肌で感じ取っていた。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:23:34.07 ID:Nq0d2IrT0
- 突如
左側から銃弾が飛来する。
いつの間にか側面に回りこまれていた。
(;'A`)「こえぇぇ!なんでそこまで的確に隙を狙って来るんだよこいつ」
口に出さずにはいられなかった。
まるでヘビに見込まれた蛙のような感覚。
空を通して伝わってくる鬼気のようなものがドクオの直感を鈍らせる。
ドクオは必死で空の声に耳を傾け、機銃をやり過ごしていく。
少しでも集中がとぎれればすぐに海の藻屑になるのは必至だった。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:26:01.81 ID:Nq0d2IrT0
- (;'A`)「しかも対空砲よけながらこれかよっ・・・!」
そのとき―――――
スピーカーから破裂音が鳴り響く。
いきなりの大音量に身を竦ませた。
(;'A`)「ミルナさんっ!?」
今無線が繋がっているのはミルナ以外にいない。
予想だにしなかった事態にドクオは動揺する。
だがあのミルナだ、そうそう落とされるはずが無い。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:28:12.53 ID:Nq0d2IrT0
- (;'A`)(まさか僚機が帰ってきたのか・・・?)
最悪の想定が頭をよぎる。
その一瞬の隙を狙い、機銃が咆哮する。
(;'A`)「やばいっ・・・!」
ドクオは瞬時に反応し、操縦桿を倒す。
フットペダルを蹴り飛ばし、横に滑らせることで回避行動を取る。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:30:17.58 ID:Nq0d2IrT0
- しかし、間に合わない。
確実に翼をめがけて機銃は奮われ、金属の弾ける鈍い音とともに数発の弾丸が穴を開ける。
(;'A`)「くそっ・・・。損傷は・・・?」
今でも飛行を続けている現状から機関部は無事なようだ。
念のため補助翼を動かしてみるが、しっかりと稼動する。
飛べないほどの傷ではないにしろ、大技はほぼ無理なようだ。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:32:48.15 ID:Nq0d2IrT0
ドクオは気を引き締めなおして操縦桿を真横に倒し、ロールする。
(;'A`)「くそっ・・・。ミルナさん!大丈夫ですか!」
叫んだものの返ってくるのは雑音だけだった。
計器を確認するがこちらが壊れたわけではないらしい。
(;’A`)「まさか・・・墜とされたのか?観測機に!?」
僚機は今他の編隊と交戦しているはずで帰ってくるには早すぎるのだ。
信じたくはないが、ミルナの身に何かが起こったと考えるのが妥当。
胸のうちで膨れ上がった不安はドクオの危機回避能力に拍車をかけた。
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:34:14.02 ID:Nq0d2IrT0
- *****
兪鳥の砲手は優秀なようだ。
モララーが気絶し観測が滞っていた最中でも砲弾はアフィーカスへ着実に接近していた。
沈むのも時間の問題といったところか。
トソンが伝声管とツートン信号を両手で握り締め心配そうにつぶやく。
(゚、゚;トソン「モララー君血が・・・」
(;メ∀・)「余裕余裕。ちょっとびびっただけだ」
言ってはみたものの正直なところかなり危険だ。
右目が見えないというだけでまず死角が大幅に広がるし出血も多い。
血を失えばそれだけ判断力も鈍る。
出来るなら長期戦は避けたいところだ。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:36:12.64 ID:Nq0d2IrT0
- (;メ∀・)「とりあえず合流しようか」
戦域を見渡すと、すぐに内藤機は見つかった。
シベリアと追いかけっこをしている。
新速はシベリアの後ろに密着し、時折機銃を放っている。
そしてそれを見越しているかのように動くシベリア。
( メ∀・)(内藤相手にこれかよ・・・)
内藤がこれほどまで長い間同じ敵と相対するのをモララーは見たことが無かった。
自分ですらここまで追われ続ければ危ういかもしれない。
素直に尊敬の念を抱き、しばし見とれていた。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:38:09.15 ID:Nq0d2IrT0
- (゚、゚;トソン「交戦中・・・ですね」
トソンの声にモララーははっと気付く。
護衛がいない今矢追はかなり危険な状態にある。
見とれている場合ではないのだ。
無線が届く距離まで近づき、叫ぶ。
( メ∀・)「内藤!こっちは大丈夫だ!戻ってきてくれ」
しかし、反応は無い。
繋がっている様子はあるのだが、時折つぶやくような声が聞こえるばかりで返事が無いのだ。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:41:12.41 ID:Nq0d2IrT0
( メ∀・)「どうなってんだ・・・?」
(゚、゚トソン「前席の無線が壊れているのでしょうか」
( メ∀・)「お前とは繋がってるしそんなことは無いと思うが、さっきの影響か・・・?」
そのときタイミングを見計らったかのように前席のスピーカーが鳴る。
从 ゚∀从「今戻った」
(-_-)「キャノピーが・・・!大丈夫でしたか!?」
背後には新速が二機近づいてきていた。
二人とも無傷というわけにはいかなかったらしく、所々銃創がある。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:42:39.36 ID:Nq0d2IrT0
- ( メ∀・)「あぁ・・・。けど右目負傷しちまった、右についてくれ」
滞りなくスピーカーから声が出てくる、異常は無い。
だとしたら考えられるのは別の機体ということだがあんな操縦が出来るのは自分と内藤ぐらいだ、見間違うはずも無い。
なにがあったのかは分からないが内藤が喋ることが出来ない状況にあるということだろうか。
(;メ∀・)「おいっ!内藤!おい!」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:44:05.34 ID:Nq0d2IrT0
- (;メ∀・)「仕方ねぇな・・・。おいブーン!!」
(;゜ω゜)「っふおっ!?」
( メ∀・)「やっとか・・・。何やってんだ戻って来い」
帰ってきた返事に少し安堵する。
集中しすぎていただけのようだ。
(;^ω^)「でもまだこいつが・・・」
( メ∀・)「ケツ取られてるわけでもねぇんだ。それに着弾も近い、離脱しろ」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:46:01.47 ID:Nq0d2IrT0
- 内藤の反応にモララーは違和感を感じた。
確かに彼は空戦に関してはストイックで甘さは無い。
しかしここまで勝負に拘る性格ではなかったはずだ。
( メ∀・)(・・・こいつどうしたんだ?)
( メ∀・)「樋木も高岡も帰ってきた。もし着いて来たら三機で迎撃だ」
(;^ω^)「・・・了解」
内藤は納得いかない様子で返事をするとシベリアを置いて引き返した。
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:47:30.00 ID:Nq0d2IrT0
――――――
――――
―――
(゚、゚;トソン「進路変更20度!着弾なし!」
叫びながらツートン信号を送る。
あと少しの距離がなかなか縮まらない。
アフィーカスも本気で逃げ回っているということなのだろう。
(;メ∀・)「九時方向シベリア一機!」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:48:25.48 ID:Nq0d2IrT0
- 先ほどは軽口を叩いていたが、見る限りモララーの体力も限界に近い。
トソンに余計な心配をかけたくないがために無理をしている。
だからこそ観測を的確に伝えなければならない。
(゚、゚;トソン「はやくっ!兪鳥・・・」
刹那――――――
その叫びを遮るようにして、待ち望んでいたものは降り注いだ。
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:50:09.12 ID:Nq0d2IrT0
- 飛来したのは四つの閃光、四つの砲弾。
視界を覆い隠すかのように飛沫が舞い上がり、空がはじける。
それと同時に黒煙が吹き上げ視界が赤く染まった。
(゚、゚;トソン「着弾!着弾です!!」
(;メ∀・)「ふぃぃ・・・」
( ^ω^)从 ゚∀从(-_-)「!!」
着弾の信号はツー・トン・ツー。
何度も何度も繰り返し送り続ける。
从 ゚∀从「やっちまえ!!」
待ちに待った砲弾の到来に皆が安堵の表情を浮かべた。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:52:05.13 ID:Nq0d2IrT0
- ( ^ω^)(んー。なーんか怪しいおね・・・)
内藤が一人、ことの成り行きに訝しむ。
うまくいきすぎている、そんな気がするのだった。
( メ∀・)「霧も晴れてるし離脱しても大丈夫か?」
(゚、゚;トソン「いえ、あと一発当たるまで待ちましょう」
ここで敵艦に逃げられては意味が無い。
あと少し、兪鳥の勝利が完全なものになるまでは観測を続けなければならない。
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:54:29.64 ID:Nq0d2IrT0
- ( ^ω^)「いや、もう撤退した方がいいお」
(;-_-)「さすがにそれはまずいんじゃ・・・」
(゚、゚トソン「まだ当たったのは一発だけですよ?」
( ^ω^)「いいから信じてくれお」
それだけ言って内藤は旋回を始めた。
皆が言葉を発せないでいると、モララーが沈黙を破る。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:55:50.18 ID:Nq0d2IrT0
- ( メ∀・)「こういうときのアイツは信じたほうがいい」
(゚、゚;トソン「でっ、でも・・・」
从 ゚∀从「内藤さんは最初に逆らうなと言った・・・。俺は行くぞ」
( メ∀・)「ちったぁ成長したじゃねぇか」
ひゅうと口笛を吹いて茶化すように言う。
それからモララーは後席を振り返り
( メ∀・)「まぁ俺はあくまでトソンの相棒だ。お前が観測を続けるってんなら無理にとは言わねぇよ」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:56:38.25 ID:Nq0d2IrT0
- (゚、゚;トソン「私は・・・」
モララーの言葉にトソンは逡巡する。
今この場で撤退すれば任務を逸脱した行為になる。
優等生気質なトソンにとってはなかなか難しい問題だった。
(゚、゚トソン「戻りましょう。兪鳥を信じます」
( メ∀・)「了解」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:58:20.51 ID:Nq0d2IrT0
- 背後では数十秒ごとに爆炎が吹き荒れている。
アフィーカスかなり大きな艦であるため耐久力は高い。
しかしそれがあだとなって消火活動などが困難になっているのだろう。
目を凝らすと甲板から海へと飛び込んでいる人がちらほら見える。
今回の海戦は勝ちと見ていいだろう。
トソンはアフィーカスをもう一度だけ振り返り、砲弾の行方を見届けた。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/04(土) 23:59:17.77 ID:Nq0d2IrT0
- ( メ∀・)「風防がないからあんまスピード出したくないんだが大丈夫か?」
(゚、゚トソン「ええ、その方が遠目からでも観測が続けられますし」
( メ∀・)「ありがとよ」
(゚、゚トソン「ところで・・・内藤さんとモララー君はどういう関係なんです?」
開戦直後からずっと気になっていた。
片やVIPのエース、片や自分のパートナーだ。
気にならないほうがおかしいというもの。
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/05(日) 00:00:58.69 ID:CAHuQdvA0
- ( メ∀・)「あー、あいつな。腐れ縁だよ」
( メ∀・)「あいつと一緒に入軍試験受けに来てな・・・」
(゚、゚トソン「お二人は小さい頃からお友達だったんですか?」
( メ∀・)「俺と内藤とあと一人・・・長岡ってやつがいてな。よく三人で馬鹿やったもんだ」
ぶっきらぼうにぽつぽつと話すモララー。
その言葉に反し口調は楽しそうに思えた。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/02/05(日) 00:01:55.67 ID:CAHuQdvA0
- ( メ∀・)「あ、さっきのブーンってのはあいつのあだ名だ」
(^、^*トソン「ふふっ」
気負うものがなくなったからなのか、自然と笑みがこぼれる。
まだ海戦が終わったわけではないが大分心にゆとりが出来てきたようだ。
(;メ∀・)「な、なんだよ?」
(^、^*トソン「なんでもないです。いつかその長岡さんにも会ってみたいなぁって」
( メ∀‐)「いつか・・・な」
そうか細くつぶやいたモララーの声は、心なしか悲哀が感じ取れた。
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