( ^ω^)は空に想いを馳せるようです

2 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:29:40 ID:w11kCxqg0
第六話

3 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:31:43 ID:w11kCxqg0
機体を右に流しつつロールしする。
水平に戻し高度を上げんと上昇を開始した。


内藤は直前、ミサイルとミサイルの間を通過した。

通常人間は前方から物体が迫ると回避行動を取る。
脊髄反射、あるいは本能というものだ。
実際内藤も横に回避行動をとるつもりでいた。

しかし操縦桿を傾ける直前、何かが手の動きを妨げた。
飽くなき生存本能か空の女神の恩恵かは分からないが
それを可能にした内藤の技術も凄まじい。

5 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:32:41 ID:w11kCxqg0
迫る二機のうち一機は高度を下げ低空飛行へと移る。
駆逐艦の護衛に回ったのかいち早く楡鳥へと向かったのかは分からないが
こちらとしては同時に相手しなくていいから楽ではある。
ほっと安堵のため息をつく。


直後、背後で目標を失ったミサイルが互いの熱に惹かれあい衝突した。
爆風を受けた新速はバランスを崩しながら射線を逸れていく。

(;^ω^)「我ながらとんでもないことやったお」

なんにせよ首の皮一枚でつながった。
安堵感故か、押さえ込んだ感情が汗となって溢れ出る。

6 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:33:44 ID:w11kCxqg0


( ^ω^)(弾は・・・?)

念のため残弾数を確認する。
機銃は残り百数十発、ライフルは7発。
正直爆雷機と渡り合うには絶望的な数字だが仕方ない。

所詮機銃など焼け石に水であるしライフルがほとんど残っている分マシだろう。


内藤は前方を見据えると額の汗を拭った。
油断した隙を突けない以上マジレスの操縦士が驚愕におののいているうちにやらねばならない。
燃料も多いわけではない、体力も限界に近い、相性も悪い。
長引けばこちらが圧倒的に不利なのは分かりきっているのだ。

7 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:34:32 ID:w11kCxqg0
先手必勝、急降下を開始する。
強烈なGが体を襲うが止めはしない。
このチャンスを逃せば次はないのかもしれないのだ。

真っ直ぐに虚空を貫く銃弾を悠々回避し、マジレスに迫る。



本来空戦というのは上か後ろをとれば圧倒的有利に立てる。
それでも圧倒的なスペック差は覆らない。
足りない部分は数と技量で補うしかないのだが

(;^ω^)「援軍早くぅ!!」

いかんせん今は自分一人だった。

8 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:35:37 ID:w11kCxqg0
幸いにして新速はマジレスよりも遥かに小回りの利く機体だ。
容易に側面に回りこむことが出来た。
数瞬で距離を詰め、操縦席めがけて機銃を放つ。

しかし相手もそう簡単にやられてはくれない。
機体をロールし、弾丸を腹で受ける。

(;^ω^)「それ卑怯だお・・・」

頑丈な爆雷機だからこそ出来ることである。
もちろん損傷がないわけではないのであまり多用できるわけではないが
駆逐艦が前進するまでの時間稼ぎ、ましてや相手が単座機一機ならば問題はない。

9 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:36:17 ID:w11kCxqg0


内藤は歯噛みする。
このままではズルズルと楡鳥の元まで後退させられるのが関の山か。
自分が予想した以上に難敵であった。

埒が明かない、そう判断し後方に回る。
マジレスなどの爆撃機には大抵後部機銃がある。
そのためあまり距離を詰めることが出来ないが

( ^ω^)「時間がねぇお」

このままダラダラと弾を消費することに意味はない。
ここらで勝負に出る必要がある。

10 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:38:07 ID:w11kCxqg0



通常新速に積まれているライフル弾はごく一般的なものである。
威力が高いく命中率は低いため一般の戦空士にはあまり高価な兵装は渡らない。
第一爆雷機には集団戦が常識だからそれで十分なのだ。

しかし例外もないわけではない。
内藤の愛機に装填されているのは炸裂弾。
着弾とともにはじけ飛ぶので、多少高価ではあるが威力が増す。


もちろん機体に突き刺さればの話だが前提問題を取っ払って考えれば
頑丈な機体相手にもかなり有効な攻撃手段といえる。

11 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:38:52 ID:w11kCxqg0


再びスロットルを引き絞り、後方から迫る。
威嚇程度に後部機銃を撃ってくるが勿論当たりはしない。


あくまで威嚇なのだ。

これは後ろに来たら容赦なく集中砲火を浴びせるぞという警告。


こちらとしてもそんなことは重々承知である。
歯牙にもかけず距離を詰める。
右に左に機体を揺らし、砲手を翻弄する。

12 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:40:31 ID:w11kCxqg0



内藤はここであえてフラップを使い減速する。
ギリギリ新速の機銃の射程圏外を保ち追尾。
こちらの攻撃が届かないということを伝えるためだ。

相手もそれは見極めているだろう。
だからこそ、そこに付け入る。


先刻、マジレスと対峙してから内藤は一度もライフルを使っていない。

勿論当てる機会は何度もあった。
ミサイル回避の直後や先ほどの格闘でも機銃ではなくライフルを撃ってもよかった。

13 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:41:11 ID:w11kCxqg0



あえてそれをしなかったのは意識させないため。



完全な有効打となるその瞬間まで



相手にライフルという選択肢は無いと思い込ませるためだ。

14 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:41:59 ID:w11kCxqg0
一呼吸おいて、トリガーに手をかける。
機銃とはまた別の、めったに引くことのないものだ。


一瞬のためらいもなく引き金は引かれた。
吸い込まれるようにマジレスへ向かっていく。


凶弾は空を裂き、マジレスの後部の砲手席へ命中する。

続けて二発、三発と連続で機関部へ
寸分の狂いもなく同じ箇所へ押し出すように突き刺さっていく

15 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:42:44 ID:w11kCxqg0


直後―――――





轟音を伴って炸裂した。

16 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:43:26 ID:w11kCxqg0
(;^ω^)「なっ、なんだお!?」

耳を劈くような音が響き渡る。
驚き前方を確認する。

放たれた炸裂弾は見事命中、砲手は血を流し倒れ伏している。
また機体からも少しではあるが黒煙が漏れ出している。
うまく突き破ってくれたようだが炸裂音がここまで聞こえるはずはない。

(;^ω^)「まさか・・・!」

内藤の頭に最悪の想定がよぎる。


高度を下げるとそこには、楡鳥が霧越しにも肉眼で視認できるほどに迫っていた。

17 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:44:22 ID:w11kCxqg0
*****

(‘、`*川「アフィーカス撃破確認しました。追撃を続けます」

爪’―`)y‐「おっしゃあ、ナイス・・・・」

(;^ω^)「六時方向から駆逐艦および爆撃機二機接近!!空母は囮だお!!!」

(;^ω^)「それからモララーに丹柴の準備を!!」

爪;’―`)y‐「へ?」

(‘、`;川「ちょっと・・・いったい何を!?」

(‘、`;川「切れた・・・。狐塚さんいったいこれは」

18 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:45:40 ID:w11kCxqg0


爪'ー`)y‐「ペニサス、艦内に放送つなげ」

('、`;川「でっ、ですが・・・情報は確かなのですか?」

爪'ー`)y‐「俺が責任を取る」

('、`*川「・・・失礼しました」

ペニサスは口をつぐんだ。
普段はちゃらんぽらんな上官だが、こういうときは信頼できる。

19 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:47:41 ID:w11kCxqg0

爪'ー`)y‐「あー、全艦に告ぐ。後方から駆逐艦と爆雷機接近、空母は囮だ」

爪'ー`)y‐「乗員は迅速な空母沈没および此艦の反転に全力を注げ。機体が無事な戦空士は燃料と弾丸の補給してさっさと飛びたて」

爪'ー`)y‐「それから・・・今内藤が一人で爆雷機と駆逐艦押さえてる・・・タブン。手柄独り占めさせんな!」


司令官室に反響するほど大きな声で檄を飛ばす。

士気をあげるためのものだが効果があるかどうかは疑わしい。
全員が疲労困憊なのだから無理もない。

20 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:48:38 ID:w11kCxqg0
从 ゚∀从「今の話本当すか!?」

扉を乱暴に開け放ち、高岡ハインが入ってくる。
続いて後ろには樋木ヒッキー。
二人とも内藤の僚機である。

(;-_-)「内藤さん・・・」

爪’―`)y‐「てめぇらいいところにきた・・・ってモララーは?」

( メ∀・)「ここにいますよっと」

二人に遅れてモララーも部屋に入ってくる。
トソンに体を預け、肩で息をしている。
こめかみや目には血が固まり、軍服も血に染まっている。

21 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:49:44 ID:w11kCxqg0

爪;'ー`)y‐「お前・・・大丈夫か・・・?」

( メ∀・)「大丈夫ですよ・・・。それより丹柴の出艦許可を」

(゚、゚;トソン「モララー君っ!?」


トソンの静止を遮りモララーは続ける。


( メ∀・)「新速じゃ爆雷の相手は無理だ。そうでしょう?」

('、`;川「内藤さんからも網羅さんのために丹柴の準備をしておけと言われてはいます・・・。いますがその傷では・・・」

22 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:50:33 ID:w11kCxqg0

(゚、゚;トソン「無茶ですよ・・・。早く手当てしなきゃ・・・」

( メ∀・)「内藤の方がよっぽど無謀だ」

( メ∀・)「それに・・・あいつに死なれたら困るんすよ」


その発言に誰一人言葉を発せなくなる。

静かな空気が司令官室を包み込んだ。
一時の沈黙を経てモララーは続ける。

( メ∀・)「観測に比べれば別に危険な任務じゃありません」

23 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:51:17 ID:w11kCxqg0


( メ∀・)「では・・・」

一礼し、踵を返す。
ふと、肩に手のひらが置かれる。

振り返ると、言葉の代わりに飛んできたのは拳打。

(;メ∀・)「おわぁっ!!」

死角をうまく突いてくる。
寸でのところでかわしたモララーはキッと睨み付ける。

24 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:52:28 ID:w11kCxqg0
爪'ー`)y‐「なんだ、ちゃんと見えてるじゃねぇか」

爪'ー`)y‐「俺が許可する。行け」


('、`;川「狐塚さん!?」
(゚、゚;トソン「司令官殿!?」


( メ∀・)+「あざーす」

( メ∀・)「ヒッキー。後席任せてもいいか?」

(-_-)「僕ですか?問題ありません」

モララーは返事を確認するとそそくさと部屋を後にした。
そしてヒッキーもその後に続く。

25 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:53:36 ID:w11kCxqg0

爪'ー`)y‐「死ぬんじゃねーぞー」

(゚、゚トソン「あ・・・」シュン

('、`#川「おい狐塚」

爪’―`)y‐「いいねぇ熱いねぇ・・・って伊藤さん?」

('、`#川「俺が許可する(キリッ。じゃねーよ!」


爪#)―`)y‐「ごべんばばい・・・」

26 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:54:18 ID:w11kCxqg0
―――――
――――
―――


滑走路には数機の新速が出艦準備をしていた。
艦載してきた戦空機の多くは先の邀撃戦での損傷が激しく、飛び立てる状態ではなかった。


モララーは操縦席に座り込み、計器や燃料をチェックする。

新速や矢追よりも大きいそれは扱いも難しく、
いくら急いでいるとはいえ点検は欠かせない。

( メ∀・)「ヒッキー、丹柴は初めてか?」

(-_-)「前席ならば訓練で何度か」

27 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:55:07 ID:w11kCxqg0

( メ∀・)「そうか。まぁ大半は俺に任せて機銃を頼む」

樋木自身射撃に自信はないが、今回は的が大きくもある。
モララーの操縦ならばそう心配することもないだろう。
樋木も乗り込もうと梯子に手をかける。

从;゚∀从「はぁっ、はぁっ・・・。待ってくれ!」

(-_-)「高岡・・・?」

从;゚∀从「はぁっ・・・。頼む!いや、頼みます!俺を乗せてくれ!」

(*メ∀・)「・・・・・・」

( メ∀・)「俺は別にどっちでも・・・」

28 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:57:19 ID:w11kCxqg0


突如、背後で爆発音が鳴り響いた。
甲板が揺れ、その場に立っていられなくなる。


とっさに背後を見るが、駆逐艦はまだ遥か先にある。
霧の濃さも相まってモララー以外は到底見えないであろう距離だ。

襲撃者がいたのは上空。
マジレスが一機、楡鳥へと攻撃をしかけていた。

思ったよりも遥かに早い襲撃に乗員はざわめいている。

(;メ∀・)「くそっ!早すぎんだろ!」

29 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/03(土) 19:58:01 ID:w11kCxqg0

(;メ∀・)「どっちでもいいから乗れっ!」

(;-_-)「無茶です!こんな揺れてるのに離陸なんて・・・!」

从 ゚∀从「準備完了だ。出してくれ」

樋木の言葉を聞こうともせずハインは後席に乗り込む。
モララーは一度後ろを振り返ると、ハインを確認した。
表情は硬く苦虫を噛んだような顔をしている。


( メ∀・)(少しは頭冷えたか・・・)

30 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:58:57 ID:w11kCxqg0

何か声をかけようかと一瞬の迷いの後、口を閉じる。
こういうのは自分には似合わない、内藤の仕事だ。


( メ∀・)「行くぞ。荒れるから舌噛むな」


甲板は揺れ続けとても離陸どころではない。

その状況の中モララーはまるで陸の滑走路を走るがごとく駆け抜け、
なおも続く斉射の中、丹柴はその身を空へと預けた。

31 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 19:59:44 ID:w11kCxqg0
*****

(;^ω^)「さっさととどめをっ!」

内藤は黒煙を上げるマジレスに肉薄し、がら空きの後部から機銃を注ぎ込む。
先ほどまではほとんど通じなかった攻撃がどんどんと機体に突き刺さっていく。
後ろにピッタリとついて最高のダメージが期待できる距離を離さないからだ。

チラリと楡鳥の上空を振り返る。
残念ながら戦空機の数は数えるほどしかなく、戦力は期待できない。

離陸する前にマジレスが到着し、攻撃が開始してしまったのだろうか。
どちらにせよ自分たちで撃墜するしか方法はなさそうだ。

32 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:00:24 ID:w11kCxqg0


前方をふらふらと飛ぶマジレスはもはや眼中にない。
内藤の思考は駆逐艦をどう止めるかにシフトしていた。


とどめと言わんばかりにライフルを放つ。
標的は先ほどと同じ部位、執拗に何度も機銃を浴びせ続けてきた箇所だ。

雨だれ石を穿つという言葉がある。
内藤が狙ったのはまさにこれだった。
どんなに頑丈であろうとも一箇所を執拗に突かれ続ければ脆くなる。

33 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:01:17 ID:w11kCxqg0

ライフル弾は吸い込まれるようにして損傷部へと突き刺さっていく。


瞬間、ライフル弾は炸裂し黒煙はその勢いを増す。


それをきっかけとして推力をなくしたマジレスは緩やかに下を向き始めた。

そのまま回転しながら楕円を描いてマジレスは落ちていく。
内藤はそれを一瞥すると、機体を反転させた。

34 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:02:19 ID:w11kCxqg0

(;^ω^)「マジレス撃破!駆逐艦の足止めに入るお!」

爪;'ー`)y‐「あと少し頼む!」


遠目で見た楡鳥はまだ動いていない。
乗員がもたついているのかまだアフィーカスが
沈没にいたっていないのかは分からないが絶体絶命である。



そのとき、背後に不穏な空気を感じる。
新速のプロペラ音とは違うけたたましい轟音が背後で響く。

35 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:03:18 ID:w11kCxqg0





迫っていたのは、熱感知ミサイル――――――

36 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:04:02 ID:w11kCxqg0


(;^ω^)「しまった!!」

撃破した後、完全に沈黙するまで背を向けるべきではなかった。
空戦では一瞬の油断が死を招く、そんなことは百も承知のはずだったのに。

駆逐艦に気を取られすぎていたことがあだとなった。



内藤はスロットルを限界まで引き絞る。

機関部の熱による警告音が鳴り響くが気にしない。
どうせ緩めたところで待っているのは死、無意味な行動だ。

37 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:04:50 ID:w11kCxqg0


(;^ω^)(チャフ今使って間に合うかお・・・?)



考えても仕方がない。

どうせ食らってしまうのなら脱出の限界まで出来ることをやるべきだ。
そう判断し、チャフの噴出をしようと手を伸ばす。

38 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:05:45 ID:w11kCxqg0


触れる直前、策とも言い難い考えを思いつく。
いささか非現実的ではあるがうまくいけばすべてが丸く収まる方法だ。

( ^ω^)(このままワークテイカーに突っ込む!)


ミサイルから逃げつつ対空砲を回避する、無謀な作戦だ。
思いついたときに湧き上がった感情は興奮。


平常時の内藤なら馬鹿げていると笑い飛ばすだろう。
何が内藤をここまで駆り立てるのかは本人さえ知る由もない。
ただ純粋に力を試したくなったのだった。

39 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:07:11 ID:w11kCxqg0



速度はそのままに操縦桿を傾け機体を降下させる。
位置エネルギーによりぐんぐんと機速は上がっていく。


分厚い雲をつきぬけ、駆逐艦上空へと躍り出た。
直掩機の類は一切なく、真っ青な海が広がる。

対空砲が奔る。
内藤は極力旋回せず、ロールなどの小さい動きで回避する。

40 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:07:53 ID:w11kCxqg0

次々に迫り来る砲火を掻い潜りながら内藤は突き進む。
決してスピードは緩めず、なおかつ回避をこなす。

尋常ではない集中力だけが内藤を支えていた。


(;^ω^)(とはいえこれはきついおね・・・)


飛行というよりは落下に近い挙動は容赦なく内藤の体を蝕む。
もちろんこんなところで死ぬつもりはない。

時折飛びそうになる意識を押し戻し必死で操縦桿を握る。

41 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:08:42 ID:w11kCxqg0

中空で対空砲が幾度となく破裂する。
しかし新速の降下角度に間に合わない。
全ては新速が通り過ぎた後で爆発している。

甲板まであと100メートルを切った。

あとはもう落ちるのみ。



(;^ω^)「腹括れお、僕」


一つ、言葉を落として前を見る。
限界速を遥かに超えた状態で新速はまっすぐに突っ込んだ。

42 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:09:23 ID:w11kCxqg0

甲板スレスレで新速は機種を上げ上昇を開始する。

真っ白な光が視界を包み込み、轟音を上げる。
着弾を確認したいところだが背後を見ている暇はない。

視界と意識を手繰り寄せ、集中力を全て操縦につぎ込む。

そのまま飛行に戻るはずだったのだが

(((#゜ω゜)))「ウグッ・・・」

43 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:10:04 ID:w11kCxqg0


――――――視界が歪む。


少し、ミサイルをひきつけすぎた。

爆風で機体が揺らぎ、甲板へその身を擦り付けたようだ。


とてつもない衝撃が体を襲う。

そのまま激突しないように必死に機首を持ち上げる。

44 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:10:45 ID:w11kCxqg0

(#゜ω゜)「おっ・・・おっ・・・おおぉぉぉぉぉぉ!!!」



――持ち上がれ



――上昇を


意識が浮遊していく。
否、体までもが浮遊している。
暗転する視界の中内藤は考えることをやめた。

45 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:11:30 ID:w11kCxqg0
第六話終わり

46 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/03/03(土) 20:13:54 ID:w11kCxqg0
マジレス
爆雷機
兵装・・・爆雷。後部機銃


丹柴
複座戦空機
兵装・・・固定機銃。アヴェンジャー


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