- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:06:17.69 ID:Z1Q5Qt4z0
- 第八話
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:06:52.57 ID:Z1Q5Qt4z0
- フル・スロットル。
左右に大きくバンク。
最高速まで一気に翔け抜ける。
大きくターン。
開いた距離を利用して正面から真っ向に向き合った。
_
( ゚∀゚)「ブーン!!真っ向勝負と行こうや!」
(;^ω^)「うっ・・・」
ブーンは反転から、ロール。
キャノピィからジョルジュ機が見える形で機体を傾け急上昇。
ブーンの常套、臆病な戦法だ。
_
(#゚∀゚)「逃げんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!」
(;^ω^)「死ぬよかましだお」
追尾してきたのを確認すると、もう一度反転。
急降下して後ろに回りこむ。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:07:48.21 ID:Z1Q5Qt4z0
勿論この程度で背後を取られるほど甘くはない、が
_
(;゚∀゚)「うおっ・・・!?」
( ・∀・)「俺を忘れんなよー」
モララー機の牽制弾により、あえなく背後を取られる。
慌ててスロットルを引き絞り、速度を上げた。
_
(;゚∀゚)「くそっ!弾はあたらねぇくせにちょこまかと!」
(#・∀・)「俺は観測志望だって言ってんだろ!!」
モララーは叫びと共にもう一度機銃を乱射。
文字通りの乱射。
それが当たるはずもなく、容易に回避されてしまう。
( ^ω^)「隙ありぃっ!!!」
_
(;゚∀゚)「たっ、タンマ!!」
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/30(月) 00:08:51.85 ID:Z1Q5Qt4z0
トリガーを握る。
三秒。
旋回。
練習弾が飛び散り機体を汚した。
_
(;゚∀゚)「ちっくしょおおおお!!!俺のオカズがぁああああ!!」
( ^ω^)「おっお。トンカツいただきー」
( ・∀・)「何が二人まとめてやってやるだよ」
_
( ;∀;)「くっそぉ・・・」
先ほどとは打って変わり並走する三機。
しかしそれも束の間。
あるものは喜び、あるものは叫びながら縦横無尽に飛び回る。
そんな中、機関部にピンクのペイントをたくさんつけられたジョルジュ機は
やむなく着陸した。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:10:18.87 ID:Z1Q5Qt4z0
_
( ゚∀゚)「だいたいブーンはビビりすぎなんだよ」
(;^ω^)「お・・・。怖いんだお」
模擬戦闘を終え、三人は食堂に来ていた。
大盛りの飯を掻きこみながら語らう。
_
( ゚∀゚)「ふつー、垂直上昇したらストールだろ」
(;^ω^)「あんな死ぬか生きるか紙一重の技やりたくないお」
_
( ゚∀゚)「おめー、戦空士は死ぬ覚悟がなきゃだろうよ」
(;^ω^)「命あってのものだねとも言うお」
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:13:07.70 ID:Z1Q5Qt4z0
_
(;゚∀゚)「かーっ!お前チンコついてんのかよ」
心底あきれた様子でジョルジュは言った。
二人には隔たる違いがあるようだ。
( ・∀・)「おめーはやりすぎだけどな」
隣で静観していたモララーは、埒が明かないと
ヒョイッとジョルジュの皿からトンカツを取り上げた。
_
(;゚∀゚)「あ゛っ!俺のトンカツ!」
( ^ω^)「僕もいただきー」
一挙に寂しくなった自分の皿を見つめ、 ジョルジュは肩を落とした。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:15:39.88 ID:Z1Q5Qt4z0
- *****
捨松基地の裏手にある裏山に網羅モララーはいた。
ここならば捨松の全てが見渡せる。
今では自分しか来ることのない、思い出の場所。
( ・∀・)「続かねぇもんだな・・・」
そう、一人ごちた。
薄らと変わりゆく友。
それに焦りを感じている自分がいる。
空戦に執着し、刹那的に生きる友を止めたいと思う。
でもそれは戦空士としては至って普通のこと。
止めること自体が見当違いなのだ。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:17:25.87 ID:Z1Q5Qt4z0
それでもモララーは逡巡する。
誰よりも生に固着し、生きることを大前提としてきた友が
変わっていくことを看過すべきか。
答えの出ない問いを、自らに投げかける。
( ・∀・)「ブーンは、どうしちまったんだろうな」
突き立つ棒切れに投げかけた。
刻まれた名の元に。
かつての友は喋らない。
黙して、ここに在らず。
( ・∀・)「ったく・・・。誰が最高の戦空士かどころじゃねぇよな!」
どれだけ変わろうと、何があろうと友であることに変わりはない。
その言葉をふと、思い出し、
暗い思考を吹き消すように、高らかに笑った。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:19:07.07 ID:Z1Q5Qt4z0
( ^ω^)「モララーかお?」
( ・∀・)「内藤、お前・・・なんでここに?」
(;^ω^)「いや、なんとなく歩いてたらここに」
(;・∀・)「そ、そうか」
ふいに後ろから現れた内藤にモララーは驚いた。
もう今では、自分しか知らないはずなのに。
( ^ω^)「ここ、なんだお?」
内藤は隣に歩み寄り、なんとはなしに聞いた。
( ・∀・)「さぁな」
(*^ω^)「あ!分かったお!都村さん関係だお?」
(#・∀・)「ちっげーよ!!!」
(*^ω^)「かぁーっ!機銃は当たらないくせにハートは射抜いちゃうのかお!?」
○(#・∀・)=( #)≡○)ω^)・∴'.「黙ってろ!」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:22:14.57 ID:Z1Q5Qt4z0
(#)^ω^)「いってーお」
後頭部を思い切り殴り倒した。
内藤は頭を抱え、棒切れの前で蹲る。
( ^ω^)(何か書いてるお・・・。ジョージ?)
( ・∀・)「俺は帰るぜ」
( ^ω^)「あぁ、お前また出撃だったおね」
内藤も立ち上がり、モララーに同伴した。
名を読んでか読まずかは分からない。
もし読んでいてもおそらく頭の隅にも残ってはいまい。
( ・∀・)「今度は直掩だけどな」
( ^ω^)「そうか。まぁ気張れお」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:23:38.89 ID:Z1Q5Qt4z0
( ・∀・)「なぁ内藤・・・。この場所・・・」
( ^ω^)「なんだお?」
内藤は強い。
どんな難敵も紙一重で競り勝つ。
自分の命すら囮にして鬼神の如き攻撃で撃ち落す。
だからこそ、危うい。
( ^ω^)「おい、モラ?」
国のために死ぬだとかそんな考えはどの戦空士も持っていない。
出来るだけ長く飛びたい、ただそれだけだ。
それはモララーも内藤も同じだった。
だけど今の内藤はその理念から逸脱している気がしてならない。
( ・∀・)「いや、なんでもねぇよ」
( ^ω^)「お?まぁいいお」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:24:45.61 ID:Z1Q5Qt4z0
再び、歩き出す。
捨松基地の格納庫の屋根が見えてきた。
( ^ω^)「そうだ!暇が出来たら久しぶりに模擬戦するお!」
( ・∀・)!「懐かしいな。もちろん勝ったほうがオカズだ」
( ^ω^)「おっお。望むところだお!」
( ・∀・)「高岡と樋木をカモるか」
( ^ω^)「あいつらナメない方がいいお」
そう、変わったとしても全てを忘れるわけではないから。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:27:08.71 ID:Z1Q5Qt4z0
*****
モララーと別れた内藤は、巨大なステンドグラスの前の身の丈ほどもある
十字架の前に佇んでいた。
先の敗戦で体中に傷を湛えたため、包帯が至る所に巻かれている。
骨が折れていなかったのは、さすがの技術というべきか。
両手を組み、御前に跪く。
( ^ω^)「・・…」
これは祈り。
撃ち落され、散華した仲間たちへの祈祷と、
自らが撃ち落した戦空士への礼賛だ。
断じて謝罪などではない。
死力を尽くし舞い踊った相手への賛意を捧げている。
/ ,' 3「戦空士ともあろうお方が礼拝ですかな?」
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:28:29.09 ID:Z1Q5Qt4z0
突如、背後から声がかけられる。
その言葉に少々ムッとしながらも内藤は答えた。
( ^ω^)「何ですかお?」
/ ,' 3「これは失礼、馬鹿にしたわけではないですじゃ」
振り返ると、物腰の柔らかく品位を感じさせる老人が立っていた。
背筋はピンと張り、年齢を感じさせない。
/ ,' 3「ただ神など素知らぬ修羅の者たちと思っていたのです」
( ^ω^)「はぁ・・・?」
/ ,' 3「して、何故あなたが神に縋るのですかな?その資格があるとでも?」
( ^ω^)「別に罪意で祈っているわけではないですお」
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:29:28.62 ID:Z1Q5Qt4z0
/ ,' 3「ほう?ではどういった意味g…」
ξ゚听)ξ「荒巻!何してるの!」
背後から甲高い声が響く。
/ ,' 3「これは申し訳ございません」
ξ゚听)ξ「もう・・・戦空士さんに迷惑じゃない」
老人の意地の悪い問答に苦言を呈したのは
車椅子に乗った金髪の少女だった。
途端に申し訳ない気持ちになり、慌てて言い返る。
( ^ω^)「いや、別に迷惑だとかそんなことは」
ξ;゚听)ξ「えっ・・・」
( ^ω^)「どうかしましたかお?」
ξ゚听)ξ「いえ…なんでもないですわ・・・」
少女が声を上げたことに、別段疑問は感じていない。
驕りではなく純粋に自分がそれなりに著名であることは自覚しているからだ。
重ねて先の大勝利で軍艦一隻を沈めたとなれば知らぬものはいないはずだ。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:30:22.45 ID:Z1Q5Qt4z0
ξ゚听)ξ「荒巻、行きましょう」
/ ,' 3「ええ、お嬢様」
一礼し、二人は去っていく。
内藤は二人ともどことなく不機嫌である気がしていた。
遺族に殉職した戦空士でもいたのだろうか。
それならば無理もないが、自分に当たるのはお門違いだと、少しだけ思った。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:31:04.75 ID:Z1Q5Qt4z0
(-_-)「内藤さん、どこ行ってたんですか」
( ^ω^)「ちょっと教会だお」
宿舎に戻ると、ヒッキーが待ちわびたように声をかけてきた。
談話室へと向かい辺りを見回すと、
そこにはなぜか都村もいた。
(゚、゚トソン「内藤中尉殿、網羅はご存知ありませんか?」
( ^ω^)「今朝会ったときに出撃だって言ってたから多分格納庫あたりにいるお」
(゚、゚トソン「そうですか。ありがとうございます」
( ^ω^)「それから・・・都村さん」
(゚、゚トソン「なんでしょう?」
(;^ω^)「堅苦しいのは無しにしてくださいお。むず痒くて・・・」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:31:53.23 ID:Z1Q5Qt4z0
- (゚、゚*トソン「ふふっ。分かりました」
(;^ω^)「なっ、なんですかお?」
クスリと笑う都村に内藤は困惑した。
可笑しいことを言った覚えはない。
(゚、゚トソン「モララー君の言ったとおりの人でしたから」
口調はいくらか砕けたが、なおも都村は微笑んでいる。
(;^ω^)「あいつ何言ったんだお・・・」
(-_-)「あ、それ気になります。内藤さんとどういった関係なんです?」
(-_-)「結局聞けず仕舞いでしたから」
( ^ω^)「関係も何も・・・昔馴染みだお」
(-_-)「あの時は気づきませんでしたけど、草柵基地の千里眼ってモララーさんの事でしょう?」
千里眼とは、モララーの異名だ。
圧倒的視力と勘から来る索敵能力を評価され、称されたものだ。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:32:30.18 ID:Z1Q5Qt4z0
( ^ω^)「そうだお」
(゚、゚トソン「モララー君は捨松でも有名なんですねぇ・・・」
(-_-)「そりゃそうですよ!観測で撃墜二桁なんてモララーさん以外にありえないんですから!」
( ・∀・)「なーんの話だ?」
(゚、゚トソン「あ、モララー君。探しましたよ」
喧騒とともに、談話室に入ってきたのはモララーとハイン。
なんとも珍しい組み合わせである。
从 ゚∀从「内藤さんこんにちわっす!」
( ^ω^)「おー。お疲れだおハイン」
( ^ω^)「ところでモララー、出撃はまだなのかお?」
( ・∀・)「おう。日没から三時間後だ」
(゚、゚トソン「確か、今回は爆撃機直掩でしたよね?」
( ・∀・)「その事なんだが・・・」
モララーは都村に向き直り、神妙な顔になる。
乱暴な手つきでハインを引っ張り出した。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:33:12.92 ID:Z1Q5Qt4z0
- ( ・∀・)つ从 ゚∀从「今回の後席は、こいつに任せる」
从;゚∀从「うっす」
(゚、゚トソン「高岡さん・・・ですか?」
内藤とヒッキーは思わず顔を見合わせた。
今までの犬猿の仲は何処に行ったのかと一瞬いぶかしむ。
( ・∀・)「あぁ、こいつたっての希望でな」
( ・∀・)「今回は観測は一切ないだろうし・・・内藤も構わないか?」
( ^ω^)「おっ、構わんお」
(゚、゚トソン「私も構いませんが…」
从 ゚∀从「ありがとうっす!」
( ・∀・)「ほいじゃオレはちょっと仮眠とるから時間になったら起こしてくれや」
从 ゚∀从「チッ・・・あいよ」
( ・∀・)ノシ
手を振り、個室へとモララーは去っていく。
ハインもまた後を追い、自室へと戻っていった。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:33:49.99 ID:Z1Q5Qt4z0
(;-_-)「何があったんでしょう・・・?」
( ^ω^)「あいつも成長したって事だお」
(;-_-)「へ?」
( ^ω^)「なかなかいいコンビかもしれんお」
(゚、゚トソン「モララー君も高岡さんの事気に入ってるみたいですしねぇ」
二人をそれぞれよく知る二人は、訳知り顔で話す。
一人会話についていけないヒッキーは手持ち無沙汰になり
その場でスクワットを始めたのだった。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:34:13.75 ID:Z1Q5Qt4z0
*****
( ´_ゝ`)「はっはー。視界良好だな!これなら爆撃し放題だ」
(´<_` )「つまりそれは俺たちも的にされやすいってことだぞ、兄者」
飄々とした操縦士と眉目秀麗な副操縦士。
瓜二つな双子の戦空士、流石アニジャとオトジャは爆撃機『和露舵』を駆る。
( ´_ゝ`)「そのための直掩だろ。なぁ?」
(;・∀・)「無駄に無線使うんじゃねぇよ!もう基地も近いんだぞ!」
( ´_ゝ`)「そんな硬いこというなよー。こんなどでかい戦空機もうばれてるって」
(´<_` )「兄者、いいから前を見ろ」
( ´_ゝ`)「前方異常なーし!」
从;゚∀从(なんだこいつら・・・)
何とも緊張感の無い二人にハインは嘆息した。
この場に内藤がいれば間違いなく叱咤しているであろうこの状況は
ハインにとって少々むず痒い。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:35:14.04 ID:Z1Q5Qt4z0
( ・∀・)「あー、高岡気にすんな。いつもの事だから」
無線を切ったモララーが、高岡の心中を察し諭す。
从;゚∀从「なんで戦空士って変人が多いんだろうな・・・」
( ・∀・)「んなもん知るか」
( ・∀・)「それより奴さん来たみたいだな」
軽くあしらい、付け足すように言った。
念のため、高岡も目を凝らし確認してみるが、影すらも視認することが出来ない。
改めて、思い知らされる。
( ・∀・)「ぼさっとすんな。先行するぞ」
从 ゚∀从「チッ…了解」
丹柴は機速を上げる。
すれ違う際、手信号で先行する旨を伝えた。
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:35:36.32 ID:Z1Q5Qt4z0
―――――
―――
―
フル・スロットル
最高速に達した時点で、ターン。
有無を言わさぬ急旋回でシベリアの背後に着くと、射撃。
わずか一秒の射撃で敵機は屠られる。
流石の高火力にハインは頷いた。
( ・∀・)「やるじゃねぇの」
从 ゚∀从「よく言うぜ。あの距離で外すほうがおかしいだろ」
( ・∀・)「・・・つまんねぇやつだな」
从 -∀从「・・・」
爆撃機「和露舵」が計3機、
そして直掩機が各数機ずつが空を舞っている。
しかし目指す敵軍基地は遥かに遠い。
つまりここにいる敵機十数機を掻い潜らなければならないということだ。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:35:54.62 ID:Z1Q5Qt4z0
手始めに増槽を捨てた。
ハイ・ヨーヨーで追尾していたシベリアとの距離を瞬時に詰める。
射撃。
機関部を正確に撃ち抜き、爆炎と化す。
戦場で生き残るためのコツは、撃つ瞬間に次の敵を探していること。
内藤から教わったものだ。
从 ゚∀从(こいつからも色々と盗ませてもらわなきゃな)
从 ゚∀从「和露舵に一機迫ってる!」
( ・∀・)「アニジャなら一機くらい大丈夫だ」
( ・∀・)「あっち行くぞ。三機編隊がまだある」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:36:20.87 ID:Z1Q5Qt4z0
速度を上げる。
ターン。
続けてロール。
その間後部機銃は二度、火を噴いた。
あとに残ったのは残骸。
まっ逆さまに落ちていく。
残る一機。
( ・∀・)「気張れよ」
从 ゚∀从「おうよ」
一言言葉を交わして、翔ける。
狙うのは迫るシベリアの中でも一際キレのある動きだ。
自分達の背後で戦り合っているが
おそらくここにいる誰も、堕とせない。
自分達にしか、そうモララーは判断した。
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:36:42.01 ID:Z1Q5Qt4z0
- インメルマン・ターン。
稼いだ高度で加速。
旋回しつつ近寄り、背後を取る。
もちろん射程内ではない。
フル・スロットル。
念のため体を座席に突っ張って後ろを見た。
和露舵は既に基地目前で、群がるシベリアは無い。
完全にこちらが優勢だ。
前に視線を戻すと、シベリアは急上昇していた。
( ・∀・)「上がるぞ」
モララーは頭を下げ、息を止めた。
機首を持ち上げる。
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:37:10.88 ID:Z1Q5Qt4z0
- 徐々に、距離が詰まっていく。
シベリアは新速に比べ、若干遅い。
機体の重い矢追でもなんとか追えるほどだ。
从 ゚∀从「行くぜ」
しかし、だとしてもこうも追いつけるはずがない。
何か狙っている。
(;・∀・)「撃つなッ!」
モララーは知っている。
この次に何が起こるのかを。
幾度となく受けてきたこの技を。
从;゚∀从「うぉ!?・・・おう・・・」
ハインがトリガーを握ったその一瞬。
コンマ数秒。
その射撃が、空を駆りその先には背面のシベリア。
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:37:39.33 ID:Z1Q5Qt4z0
- (;・∀・)「クソッ!」
从;゚∀从「ストール・ターン!?」
モララーは瞬時に操縦桿を倒す。
機体は横倒しになる。
(;・∀・)「嘘ッだろォッ!?」
しかし搭乗している機体は矢追。
機動力に欠けるのだ。
从#゚∀从・∴'.「がっ・・・」
衝撃とともに銃弾が穴を穿つ。
(;・∀・)「ちっ・・・大丈夫か!?」
从#゚∀从「問題ねぇ!!」
(#・∀・)「ヤロウ・・・!!」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:38:01.37 ID:Z1Q5Qt4z0
从#゚∀从「多分コイツ内藤さん堕とした奴だ!」
負けじと機銃を乱射。
しかし空を切る。
怒号。
閃光。
と、共に無線から声が響く。
( ´_ゝ`)「あーあー。爆撃完了ー。他の和露舵も爆撃中」
(´<_` )「離脱する。直掩頼む」
从#゚∀从(#・∀・)「黙ってろッ!!」
(;´_ゝ`)「えぇ?」(´<_`;)
本来の任務を無視し、バンク。
機速はないが、後部に機銃がついている為尾行は不可能。
フラップを使い急旋回。
無理矢理に後背へとシベリアを回した。
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/30(月) 00:38:28.35 ID:Z1Q5Qt4z0
(#・∀・)「ぶっ放せッ!!!」
両足を目いっぱい突っ張り、機体は横に流れる。
そのままロール。
(´<_` )「おい網羅、撤退だ」
( ・∀・)「ちょっと待ってくれ」
从#゚∀从「やられっぱなしでいられるか!」
さらにフル・スロットル。
急降下。
横にピッタリとシベリアは付いている。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/30(月) 00:38:57.62 ID:Z1Q5Qt4z0
( ・∀・)「高岡、射程に入ったら迷わず撃ってくれ。引きつけはいらねぇから」
从 ゚∀从「でも避けられるんじゃねぇのか?」
( ・∀・)「あぁ、それでいいんだ」
从 ゚∀从「了解」
そろそろ限界速に至る。
メーターを確認。
異常がないことを確認し、フル・フラップ。
機体は大きく失速する。
とともにハインは機銃を連射。
瞬時に敵機は離脱する。
その一瞬の隙を突き、背後を取った。
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/30(月) 00:39:31.37 ID:Z1Q5Qt4z0
(;・∀・)(もしマジでイスマエルが来たら・・・)
寸暇も待たず、二度目の機銃。
しかし機銃すらもブラフ
瞬時にフットペダルを蹴り飛ばし、機体を横に滑らせる。
前方及び上部を確認。
シベリアは機首を軸に独楽の様な回転を始めていた。
( ・∀・)(この動きはやっぱ・・・)
( ・∀・)(ジョルジュッ!?)
目標を見失った敵戦空士は操縦桿を握り締めている。
一瞬でもラダー(方向舵)が遅れていれば、蜂の巣になっていただろう。
締め付けるGを堪えてもう一度機首を上げる。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/30(月) 00:39:47.02 ID:Z1Q5Qt4z0
( ・∀・)「高岡!」
从 ゚∀从「おうよっ」
握り、引き、離す。
刹那、シベリアは黒煙を上げ、堕ち始める。
錐揉み上にロールしながら。
从*゚∀从「やりぃっ!」
( ・∀・)「・・・」
何か物足りない。
手ごたえがなかった。
機速を緩め、シベリアのキャノピィを覗き込む。
目を凝らした。
その先にかつての友は乗っていなかった。
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/30(月) 00:40:11.39 ID:Z1Q5Qt4z0
- 終わり
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