( ^ω^)達の中だるみな一年のようです

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 14:25:43.57 ID:q6XuIg3o0
プロローグ 「廃墟と爆炎」

―――頭は冴え、心身の感覚が研ぎ澄まされる。なかなか気分が良い。これなら結果を出せる.。いや、出すのだ。

無残に崩れ落ちた廃屋や、足元や壁に見られるチラシだったのであろう鮮やかさの面影を持つ紙片など、生を失ったかつて街だった場所に‘彼ら’はいた。
今回の任務は廃墟地帯への潜入ミッションで、その目標は要人の救出。
要人は誘拐、監禁されすでに衰弱しきっており、あまり時間はかけられない。
一刻も早く要人の保護が必要である状況、ということだ。
そんな中、‘彼ら’の中の一人、長身の男が声を荒げかけている。
  _
( ゚∀゚)「だから何回も言ってるだろ?俺が一点突破すりゃあ一瞬で終わるんだよ!」

( ^ω^)「駄目だお。たかがジョルジュでも死なせるとリーダーの僕が責任を取らなければならないお」

自分の立場が優先なのだろうか。怒鳴り散らす者にリーダーを名乗る男が淡々と言葉をつく。
  _
( ゚∀゚)「俺が死ぬわけねえだろ!だいたいこれはs――――」

ξ゚听)ξ「わかったわ」

やれやれ、といった様子で小柄な少女が口を開いた。

( ^ω^)「……ツン、いいのかお?危険かもしれないお」

そんな遠慮した様子を見せるリーダー。

ξ゚听)ξ「ええ。このまま考えても時間ばかりかかりそうだし」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 14:28:07.15 ID:q6XuIg3o0
彼女は皮肉をこめた表情で二人の方を向き、

ξ゚听)ξ「やりましょう。あなたの好きな一点突破で。
      といっても私のできることは限られてるし、あなたの作戦、万が一失敗したときの全責任はあなたに負ってもらおうかしら」

蛇のような目で言い放った。その眼にジョルジュは一瞬たじろいだが、そのまま口角を釣り上げ、
  _
( ゚∀゚)「おう!失敗はありえねえ!ソッコーで終わらせるぜ!」

などと腕を振りながら息を巻く。

( ^ω^)「作戦―――って言ってもこれは本当に単純だお。僕と彼女で突破にかかる君をサポートする。以上だお」

ジョルジュは頷く。ツンはため息をつき、端末に目を落とす。

ξ゚听)ξ「そうね、本当に単純。……敵HQまでここから約80メートル。このバカとあんたのあれなら、仮に被弾しても5秒切るでしょうね」

( ^ω^)「だお。そして僕らはあいつの特攻で開いた穴から進めばいいお。どうせ見張り程度しかいないはずだし、簡単だお」

ξ゚听)ξ「私は接近戦には向いてないから、拾うときの邪魔が居たとしたらあなたに任せるわね」

( ^ω^)「了解。ならあと20秒で開始だお」

告げる。

( ^ω^)「準備はいいかお?」
  _
( ゚∀゚)「バッチリだぜ!!」ξ゚听)ξ「大丈夫、問題ないわ」

温度差はあれど、二人の言葉には同じものを確認したリーダーは小さく笑い、号令をかける。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 14:31:15.00 ID:q6XuIg3o0
( ^ω^)「それじゃ、ベストを尽くすお!」

掛け声と同時、三人は行動を開始した。
  _
( ゚∀゚)「いくぜ!ブーン!」

長身が叫ぶと、彼の体はどこからかせり出してきた薄い鉄のような色をした組織に瞬く間に覆われていく。
そして全身がそれに覆われるか覆われないか、その瞬間ブーンも叫ぶ。

( ^ω^)「お!行って来るお!」

彼の手元には小さな爆竹。それを走り込みながら軽く上に放り、鉄のようになった男に挟むように蹴りつけた。
いてえお、と痛みを叫び、次の瞬間前方への爆発が起こる。
爆発の規模は人一人が扱うにしては大きく、前方の鉄の塊を吹き飛ばすには十分な程だ。
  _
( ゚∀゚)「いやっほおおうぅ!!!!」

絶叫ともとれるその声は、気づいて銃器やナイフを構えるなどしていた見張りの兵たちを廃屋や武器ごと一直線に吹き飛ばしてゆく。
傍から見ればそれは爽快に進撃を進め、やがて目標地点まであとわずかとなった。
が、その瞬間。
  _
(;゚∀゚)「な!こりゃまさk――っかは!」

奇妙な文字を吐き、彼はその勢いを失った。あるはずのない‘壁’が確かにそこにあったのだ。
歩みを止めた者には、自身が一度吹き飛ばした敵兵が駆け寄ってくる。

\(^o^)/「はいじょします」

各々武器を構え、倒れた金属のような物体を囲んだ。
そして一斉に、持っている武器で転がる金属に攻撃を仕掛ける。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 14:34:20.28 ID:q6XuIg3o0
\(^o^)/「……!」

――しかし、それは叶わなかった。得物が何かに引っ張られている。それもかなり強く、だ。

ξ゚听)ξ「もうあなたたちの兵装は自由に使えないわ。だって、もう私の手にある金属だもの」

見張りの兵と同じものをぶら下げた少女の声が聞こえ始めた途端、兵達が構えていた武器は少女の右腕に引き寄せられるように集まって行く。
金属がぶつかり合う音が響き、黒い塊となって少女の支配下に置かれた自分達の得物。
その姿を見つめ一時的にエラーを起こした兵士たちは、一人の乱入者に気づかなかった。

(* ^ω^)「お!!ここは僕の出番だお!」

先ほどの真剣さなどとは全く結びつかない、明らかに種類の違う笑みを浮かべたブーンは、全身に火花を纏い混乱する兵士たちの中に割って入った。
兵士たちはすぐに脳内を整理すると、素手のまま火花男を取り囲み、胸から刃渡りの短いナイフを取り出しそれぞれ構えた。

\(^o^)/\(^o^)/

一息の間。そして二人の兵が先陣を切った。
彼らは相討ちにならないように左右から突っ込み、それぞれ軌道の違う刃を振る。
ブーンは刃の軌道が高いほうである右側から来た兵に向かい小さくスライディング、通り過ぎるところで相手の左足に手を掛けた。

( ^ω^)「くらえお!」

掴んだひざの裏を拳で突く。一瞬、がくりと崩れかけるがこの程度では倒れない。
だがその数瞬後、兵の左足が前方に振りあがった。爆発が起きたのだ。
衝撃にたまらず兵は転倒し、隙にブーンは地面に両手をついて跳ね起きる。

( ^ω^)「どんどん来いお!」

言いながら転倒した兵の頭を踏みつぶし、爆破させた。それに伴い兵を動かしていた回路が吹き飛んだ。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 14:37:48.74 ID:q6XuIg3o0
既に駆け寄ってきていた先のもう一人の兵の頭を見ると、今吹き飛んだものと同じ、無機質なものがある。
突きだされるナイフを屈んで避けるとそのまま両腕で挟み、ブーンの右腕が炎とともに弾ける。
そして彼と交錯した兵は腕を失い、バランスを崩したその体にブーンが右手で掌底を叩きこみ、爆砕する。

\(^o^)/「しになさい」

壊される同士たちに目もくれず、背後からブーンの両腕を固定する一体。

(# ^ω^)「うざってえお!」

ブーンは両足を正座のように折るようにして相手の両足、裏ももあたりを踵で蹴り、爆音とともに破壊。兵の足がちぎれ跳んだ。
そのまま背負う形になった上半身を、彼に固定されたブーンを狙うはずだったものに投げつけた。
破壊された鋭利な体が、万全であるもう一体を抉る。

( ^ω^)「あとは――」

まるで肉食獣の群れのように、残った四体が彼の正面から跳びかかってきている。
数歩先に出ていた兵の膝、腿、肩を一度に蹴り上り足場にし、ラリアットの要領で後ろの二体を叩き落とす。
左手のラリアットを受けた一体はその瞬間爆散するのだが。
高さの合わなかった一体は構わずスルー、そして着地。
地面に叩き落とした一体の腹部分には爪先を刺し込み、その場で一回転し足で投げ飛ばす。
飛んでいくそれは、接近してきていた先程足場になった兵にぶち当たる。
ブーンはそこから二歩で踏み切り、足を止めた彼ら二体にドロップキック。同時に発生した爆風で彼らの破片が飛び散った。

ξ゚听)ξ「はやく立ちなさいよ!」

ツンは爆ぜる男から逃げおおせており、倒れるのっぽをたたき起こす。
  _
( ゚∀゚)「ちっ、なんだかんだ言って一番暴れやがって」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 14:41:53.54 ID:q6XuIg3o0
ジョルジュは不服そうな声、楽しげな顔で呟いた。その間ツンは目の前の白みがかった透明の壁に触れている。

ξ゚听)ξ「それにしてもこんなとこに‘断界’が仕掛けてあるなんて……」
  _
( ゚∀゚)「あいつ、おれたちが結局この手で来ると察していたんだろうな」

ξ゚听)ξ「だって私たちチームワークは最悪だもの。そんな私たちが取る行動なんて限られてるわ」

二人が言葉を交わす間に、中心部にいた危険人物は自身の一方的な暴力に満足したような顔で、軽い足取りを見せながら合流していた。

( ^ω^)「‘断界’があるってことは今回はあいつかお」
  _
( ゚∀゚)「まあ今ならいい勝負できるだろ、大体分かるし。行こうぜ」

ξ゚听)ξ「ええ」
  _
( ゚∀゚)「……お?一体居るじゃねーか」

呟きながらジョルジュは、笑顔でこちらへ走る兵の顔面に全体重を乗せた拳を合わせ、振り抜いた。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 14:45:22.78 ID:q6XuIg3o0
三人は目の前の壁を迂回し、崩れかかった敵本部、もとい要人の監禁場所へ侵入した。

( ^ω^)「……誰もいないのかお?不用心だお」
  _
( ゚∀゚)「つーことはさっきのやつらで雑魚はほぼ全員か。あんなもん何体居ようが変わらねーが」

ξ゚听)ξ「自信過剰ね……馬鹿よ馬鹿」
  _
( ゚∀゚)「それどっちに言ったの?もしかして俺?」

ξ゚听)ξ「うっさい、死ね」

悪態をつきながらも警戒は怠らない。相手はどんな手をつかってくるのかわからないのだから。
それにしてもやけに生活感がある。それほど利用していないはずなのだが。
  _
( ゚∀゚)「外から見た感じよりも内装はしっかりしてるな」

ξ゚听)ξ「結局罠も何もないのね、やっぱり自信過剰」

( ^ω^)「ここだお」

リーダーが指をさす。たしかにここはそこそこ広い平屋ではあるが、もっとも奥にありなおかつ監禁部屋としての体裁を保っているのはこの部屋ぐらいしかない。
ならばここに敵陣営の指揮官がいるだろう。それと要人の見張り一人か二人だろうか。彼らは中に気配が複数あるのを感じ取っていた。
事前に編成などを予測しておけば、おのずとその位置もわかる。火薬に不足もない。ツンは短銃を構え、ジョルジュは先ほどのように身体を硬質化させている。
  _
( ゚∀゚)「いくぞ」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 14:48:07.46 ID:q6XuIg3o0
\(^o^)/「侵入者ですね、わかります」

鉄塊となったジョルジュが真っ先に突入する。響く銃声。しかしこれで突入の瞬間の襲撃はほぼ無傷で乗り越えられる。
そのまま要人のもとに突っ切っていき、防弾、防刃、防炎、という何ともトンデモな布を被せ、特殊な金属で固定、同時に合図を送る。
布と要人はツンの力で瞬時に安全地帯まで引っ張られてゆき、それを確認したと同時、爆音とともにブーンが現れる。

( ^ω^)「行動遅いお!」
  _
( ゚∀゚)「うるせえ!」


先ほどの部屋が修羅場と化そうとしているのを無視し、包まれた要人をツンは解放する。
くたびれているかと思っていた要人は彼女の想定した姿ではなかった。
だが気にすることもなく、そのまま凛とした声で語りかけた。

ξ゚听)ξ「荒巻様、救出に参りました。申し訳ありませんが一刻も早く救出しろ、
      との命でしたので少々強引な手を取らせていただきました。あとは彼らが犯人を確保しますので、私たちはここから早急に離脱します」

/ ,' 3「そんなに簡単にはいかんよ」

ξ゚听)ξ「?」

/ ,' 3「いや……教官は強いじゃろう?」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 14:50:54.85 ID:q6XuIg3o0
( ゚∋゚)「さすがに一般兵では歯が立たぬか!ならば我が出よう!我こそは神に匹敵せし力‘断界’の使い手!貴様らなど取るに足らんわ!」

即座に雑魚を片付けた二人に仰々しい台詞を吐きだしながら、筋骨隆々の肉体を奮わせた敵の指揮官であろう男が上半身裸で笑っている。
  _
( ゚∀゚)「そんなキャラでいくのかよ!ボコボコにしてやるぜ!」

( ^ω^)「だお!」

三人は睨みあいもそこそこに、組み合う隙を見定める。先手を取るか、後手に回るか。相手の能力は知っているので後手に回る意味は薄いのだが。
やがて痺れを切らしたのか、ブーンが前に出る。目の前の巨大な男を見上げ、睨みつけた。

( ゚∋゚)「ふはははは!やはり貴様からか!二人同時に来ても構わんのだがな!」

( ^ω^)「僕は共闘向きじゃないし、一対一で僕が駄目ならどうせジョルジュも駄目だお。だから僕から行くお!」

そしてブーンは足を床に擦りつける。くくりつけた火薬が発火すると同時、小爆発を起こし、その反動を利用して筋肉野郎に飛びかかった。

( ゚∋゚)「相も変わらず直線的だな!見えるぞ!」

( ^ω^)「誰が!」

勢いはそのままに、ブーンは両手の甲を叩き合わせる。発火が見られると甲を後頭部より少し上に持ち上げ、やはり爆発。

( ゚∋゚)「目くらましか!?甘いわ!!」

筋肉は左手をかざし爆風を防ぎ、そのまま手を引き力を込めた右手を突き出す。
しかし、拳が目標を打ち抜くことはない。彼の姿はなかったのだ。そして癇癪玉の弾けるような音とともに、尾てい骨に衝撃が走った。

( ゚∋゚)「ぐっ!」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 14:56:35.25 ID:q6XuIg3o0
背後からの衝撃に揺れるなか、そのまま腰、背骨、脇腹、肩、とがむしゃらに打ちこまれる爆音と蹴撃が彼の体勢を崩しにかかる。

(♯゚∋゚)「小賢しい!」

それでも彼は倒れず、丸太のような右腕で跳びつくブーンを薙ぎ払った。
なすすべなくそのまま壁に激突する。呼吸が詰まり、背骨が軋むような痛みが走った。
しかしすぐに顔を上げ、闘争の意志が消えていないことを示す。筋肉はブーンに向き直り、余裕をもった顔で口を開く。

( ゚∋゚)「ずいぶん器用になったようだな。視界外からのスプリングキック、そこからの連繋。
     滞空時間も長くなった。以前に比べれば幾らかマシになったようだな。しかし粗い」

楽しそうに話す筋肉にブーンは焦点を合わせていない。視線はその背後にある。
  _
( ゚∀゚)「器用になったのはそいつだけじゃねえよ!」

( ゚∋゚)「愚か者め!不意打ちで叫ぶとは!」

筋肉はジョルジュの拳が迫る寸前に右手をかざす。
すると彼の掌よりひと周りほど大きな半透明の板が出現、拳を防いだその接点からは火花が散った。

( ゚∋゚)「おお、ようやく身体の一部を硬質化することができるようになったか!それより貴様は近接格闘術に問題があるがな!」
  _
( ゚∀゚)「言ってろ!」

ジョルジュは半ばがむしゃらに拳を振り回す。
硬質化している拳を全力で振るならば、とりあえず一発でも当たればそれなりの衝撃を与えることはできる。
しかし彼の拳は、筋肉が掌から召喚し続ける頑丈な板にことごとく阻まれているのだ。
筋肉はまさに赤子をあしらうようにジョルジュの拳をいなしてゆく。
その傍ら、筋肉男は自分の後ろでぱちり、と弾ける音がするのを感じ取った。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 14:59:32.71 ID:q6XuIg3o0
( ゚∋゚)「悪いな、ジョルジュ」
  _
( ゚∀゚)「なっ……!」

筋肉は遊んでいたジョルジュの腕を握りつぶしてしまそうな勢いで掴み、
そのまま力任せに振りまわすと頭から壁に叩きつけた。ぱらぱらとくたびれた壁の破片が吹き飛んでゆく。
軽々と壁に打ちつけられたジョルジュは直前に身体の硬化に成功していたのか流血はしていない。
しかし、彼が即座に動き出すことも無かった。
ジョルジュを沈めた彼は体に付着した土埃をほろい、小さく溜息をつく。

( ゚∋゚)「……やれやれ」

筋肉が振り向くと部屋の一角では火花が立ち上がっており、一瞬で壁が一面吹き飛んだ。
その爆発により圧倒的な初速を得たブーン。彼の目は筋肉野郎の頭部に向けてあり、体は飛びひざ蹴りの姿勢であった。

今の速度なら、奴はどうあがいても間に合わない。

( ^ω^)「届くお!」

とった、そうブーンは確信した。

( ゚∋゚)「悪いな」

(;^ω^)「うぁ!!」

ごすん、とブーンの体に響く音。目に見えない壁がゆらゆらと揺れる。
そして先の勢いが一瞬で止まってしまった。いつの間にか仕掛けられた‘断界’に彼は正面衝突したのだ。
そもそもブーンは完全に見誤ってた。ジョルジュに彼の足止めなどできるはずがなかったのだ。
ブーンは自分が一撃を入れることを優先し、冷静な判断力に欠けていた。自分がおとり役を買って出ればもう少しチャンスがあったのではないか。
いまさら考えながらもその膝の激痛は、結果を得られなかった事実を残酷にも押し付けていた。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 15:02:33.82 ID:q6XuIg3o0
( ゚∋゚)「‘断界’が揺らぐとは思わなかった。褒めてやろう」

( ^ω^)「もう火薬が足りないお。次で終わらせてやるお」

( ゚∋゚)「終わってしまった、だろ?ブーン。その膝じゃ俺には勝てんぞ?やめておけ」

( ^ω^)「負けないお」

これで最後となるであろう闘争に対して笑う膝を押さえつつ立ち上がり、無理矢理にボルテージを上げるブーン。
だが筋肉は先ほどジョルジュやブーンに破壊された入り口を見て、なんとも渋い顔を見せた。

( ゚∋゚)「いや、もうお前らの負けだな」

( ^ω^)「?」

ブーンも見ると、両手に手錠をされ荒巻に短銃を突きつけられるツンがいた。

ξ゚听)ξ「ごめんなさい。油断してた」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 15:06:13.59 ID:q6XuIg3o0
( ゚∋゚)「やれやれ、詰めが甘いなおまえら。残念だがこれでテストは終了だ。
     このままだと犠牲者しか出ないからな!」

筋肉は笑いながら告げて、通信機を取り出しどこか話をしている。
ブーンは残った火薬の正確な量を確認、ジョルジュはいつの間にか復活をし、眉をしかめ崩れた部屋を転がっている。
  _
( ゚∀゚)「納得いかねー。何で要人がテロリストに加担してんだよ!」

( ^ω^)「あれだお。吊り橋効果?」
  _
( ゚∀゚)「それでもテロリストに加担するような思想持っちまうようなやつには国を任せられねーし助ける義理もねーな。試験する側も皮肉でやってんのか?」

( ^ω^)「実際どうしたら合格なんだお今の」

ξ゚听)ξ「ごめんなさい。私の詰めが甘かったわ。要人役の服装や血色もちゃんと見ておくべきだった。あんな健康的なはずないもの」

ツンは俯き、悔しそうに呟いた。
  _
( ゚∀゚)「いやおまえは悪くねーよ、こんな現実味のない試験なのにそこまでするか?」

( ^ω^)「でも今後は気を付けてほしいお。もしもの時君には……絶対に死なれたくないお」
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( ゚∀゚)「…………」

ξ゚听)ξ「ごめんなさい」
  _
( ゚∀゚)「いやだかr――」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 15:08:51.62 ID:q6XuIg3o0
通信機との会話が終わった筋肉がこちらに近づいてきた。ニヤニヤした面持ちで話しかける。鬱陶しい教官だ。

( ゚∋゚)「おまえら、合格だとよ。まだまだ粗削りだが、伸びしろはありそうだしな。おじさんも納得!」

バンバンと力任せに男二人の背中を叩く。痛い。
  _
( ゚∀゚)「え、合格?あれで?マジかよクックル!」

頷く。
  _
( ゚∀゚)「よっしゃあああ!!」

( ^ω^)「ジョルジュは今回対して働いてないお?」

ξ゚听)ξ「むしろ今回はブーンしか働いてないわ。本当にありがとう。あなたのおかげ」

(;^ω^)「それは言い過ぎだお……」
  _
( ゚∀゚)「まー俺もそれには賛成だな!でも次はおれの出番だからな!」

その後もあーだーこーだと言い合う三人は、それぞれ年相応の笑顔を見せた。
これにてようやく彼らニュー速学園中等部二年の、最終実技試験がが終了した。

プロローグ「廃墟と爆炎」・おわり


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