- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 19:38:35.54 ID:nZTyu4LI0
第十九話「壁とのキャッチボール」
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 19:41:38.86 ID:nZTyu4LI0
- 最初は七対二程度の乱戦であったのだが、激戦がヒートアップするにつれて人は集まっていく。
二人の戦闘狂がひたすらに暴れた末、現在『何対何』などといった形式などとうに崩れ去っていた。
( #´_ゝ`)「フヒヒヒッ! 雑魚がタカってんじゃねえよ!」
(´<_` )「おい兄者! そこ代われ!」
( *´_ゝ`)「任せろ!!」
棍棒は人を踏みつけるわ消えるわ出てくるわで縦横無尽に駆け巡っていった。
右かと思えば下からモノが飛んできて、正面を防げると思えば数が増えたり。
兄弟を筆頭にした修羅場は止まることを忘れてしまったようで。
つまるところ校門は祭り開始直後より、さっそくの激戦区となっていたのだ。
('A`)「マンドクセ」
(`・ω・´)「トラップは仕掛けたから座っていようか」
( ・∀・)「どんだけー……」
('(゚∀゚∩袋←リュック「眠いよ」
ドクオ達は一応時間通りに校門へやってきており、眼前の祭りっぷりに調子を奪われる。
とりあえずシャキンが腰に構えたでかいトラップケースからとりあえずの罠を張ったので、それぞれ道の縁石に座ることになった。
(`・ω・´)「にしても人多いな……40はいるぞこれ……」
彼の呟きも金属音や発砲音にあっさり飲み込まれていく。やはり祭りこれぞ祭り。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 19:44:30.76 ID:nZTyu4LI0
- ('A`)「なんかこっち来てる……」
ドクオの見る方向には背の高い二人の生徒がいた。
彼らは手に槌のついた槍を構え、ニヤニヤとこちらに歩いてきている。
が、
(`・ω・´)「モララー、」
シャキンはモララーの名を呼ぶころに小さな手榴弾を投げた。
投げたモーションを見掛けた二人はすぐさまこちらに走ってくる。その先にはタバコの箱ほどの物体。
(`・ω・´)「よろしく」
彼の声と同時に箱から三本の紐が飛び出した。
三方に伸びた紐を中心にした四角は、そこで火花を勢いよく噴き出す。
その反動ですぐさまねずみ花火のように高速回転し、やってきた二人の足に絡みついた。
( ・∀・)「俺の使い方適当じゃね? 悪い意味で」
両足がぴったりくっついた二人にメガホンを向ける。
強震を向けられた二人は芋虫並みにもがくが、結局数秒で意識を飛ばすことになった。
(`・ω・´)「いやーあれに絡め取っても全然拘束できないからさ、安い繊維だし紐の先の金属も軽すぎるんだ」
( ・∀・ )「ま! 出番増えたからいいけどな!」
('A`)「いやこっちみんな」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 19:47:41.65 ID:nZTyu4LI0
- ('(゚∀゚∩「ところでみんなはどんな感じなんだよー!」
(`・ω・´)「さあね。ギコは先輩のとこに行ったのは確定だけど」
('(゚∀゚∩「連絡はとらないの?」
(`・ω・´)「面倒だ。どうせ誰も連絡待ちの姿勢じゃないだろう」
コンクリに転がるモララー。最近の彼は寝転がる癖がついてしまっている。
( ・∀・)「暇だ! ドクオ構ってくれよ!」
('A`)「あっち突っ込んで来い」
( ・∀・)「死ぬから無理」
('A`)「ったく……寮で寝てればよかった……」
( *´_ゝ`)「ラス2!!」
(´<_`# )「こっちは五人だぞ!! 代われ!!」
一方の二人はノリノリである。
(`・ω・´)「ホントかな? 周りにあと何人いるか探してみよう」
立ち上がり、動物的直感的超能力的超音波的電磁波を飛ばす。
コウモリとかイルカみたいな奴だ。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 19:50:58.96 ID:nZTyu4LI0
- (`・ω・´)「ん……?」
急にどこかに振り向いたシャキン。
( ・∀・)「どした?」
(`・ω・´)「うん、ここから離れよう」
珍しく、それでいて似合わないマジトーンだ。
('(゚∀゚∩「なんで?」
(`・ω・´)「無茶苦茶な数の生き物がここに向かってるっぽい」
( ・∀・)「マジで? カラーギャングか?」
(`・ω・´)「いや、違う。この密集具合は人間じゃ不可能だ」
('A`)「異形か?」
(`・ω・´)「本来あり得ないが………この数じゃそう考えるのが自然だろうな」
('(゚∀゚∩「アニマル大戦争だよ!」
( ・∀・)「危険区域だっけ? そんなにいるの?」
(`・ω・´)「わからないが、すぐに流石兄弟を捕まえて学園に入ろう。時間が無さそうだ」
('A`)「マンドクセ」
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 19:54:10.43 ID:nZTyu4LI0
- ('、`*川「ひま……」
彼女は競技場入口でボーっと机に突っ伏していた。
抜け出す生徒の監視ということでここに彼女は居るのだが、今のところ一人もそんな生徒は居ない。
('、`*川「まだ二十分……」
五時間の長丁場でここの張り付けられてしまうのだ。
どう好意的に受け取っても苦痛でしかないだろう。
新米の彼女は要領が悪く、なかなか生徒も懐かないので話相手もいないのだ。
新米、とは言えど歳は三十路への道まであと一歩というところまで来ているのも原因である。
年の割に融通が利かない、などと陰で言われていることを彼女は知らない。
('、`*川「はぁ……」
そんな折、女生徒が二人彼女のもとに駆けてきた。
「「先生!」」
('、`*川「なに〜?」
「あっちでお話ししましょうよ!」
指さす先には、三人の女生徒が平べったいソファにだらけきった体勢で手を振っている。
('、`*川「ん〜、いく〜」
ふらふらと立ち上がるペ二サス。
立ち上がってしまった、といっても間違いではない。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 19:57:18.21 ID:nZTyu4LI0
- 「ほらほら〜!」
手を引かれ、されるがままに連れていかれる。
('、`*川「へぇ〜え」
気の入っていない声だ。
そこに、
「隙だらけだぜ歳ン米!!」
四人の男子生徒が突撃に向かってきた。
一年坊主の癖に彼女に暴言を吐き、迫った。彼女ではなく出口に。
('、`*川「ぬわー」
棒読みの彼女はその場で腕まくり。
毛穴から汗腺から皮膚から伸び生える触手を限界まで広げ、まずは五人の女生徒を拘束。
さらには突っ走る四人の阿呆をその女生徒ごと、壁に叩きつけるようにぶっ散らかした。
「手加減……は?」
+('ー`*川「しない!! だって私が生徒とお話なんて、できない!!」
実際は客観的事実を述べただけなのだが、彼女の笑顔は何故か哀愁をそそった。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:01:55.90 ID:nZTyu4LI0
- 「先生!!」
('、`*川「な〜によ、もう」
次はどんな作戦で来るのかと思いながら、ペ二サスは先程捕まえた生徒を正座させていたところ。
「一番おっきい競技場に来てください!」
('、`*川「どうして?」
「いいから! モニターの調子が悪くなってからみんながいきなり戦い始めて!」
汗と乱れた髪、顔色もあまりよくないようで、必死に走ってきた様子はうかがえる。
なかなかの演技力じゃないか、と思った。
('、`*川「あら、大変ね」
「本当なんです! ロマネスク先生は居ないし、他の先生は止められないし、頼れるのは先生だけなんです!」
普通の人が見れば必死さが伝わってきただろう。
無視するのもかわいそうになってきてしまいそうなほどに。
しかし彼女はスルーを決め込んでいた。
('、`*川「ふぅん。で、何人仲間が居るの?」
「先生! ふざけてる場合じゃないんです! 怪我をしてる子も居るんですよ!!」
じゃあどうしてあなたは来れたのか、と聞きたくなったペ二サスだが、あえて聞かないことにする。
どれだけ嘘を引き出せるか、彼女は暇つぶしに試してみたくなったのだ。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:05:06.69 ID:nZTyu4LI0
- ('、`*川「ふうん」
「だから――!」
ペ二サスを見る目が少々赤く充血している。
彼女は本気で怒っているようだ。
('、`*川「………」
「ああもういいです! あなたなんてもう教師でもなんでもない! 無責任! 最低!」
顔を真っ赤にして捨て台詞を吐き、競技場に走って戻っていった。
戻っていくのを見る限り、そこまで危険じゃないんじゃないかな、と思うペ二サス。
('、`;川「そこまで言われちゃうかぁ……落ち込むなあ……」
むしろ、すぐに戻れ、と言わなかっただけ褒めて欲しいもの。
そんな時だ。
('、`*川「?」
競技場が揺れた。
足元にほんの少しのぐらつきを感じた、ような気がする程度の。
('、`*川「うーん……」
そこでようやく彼女は重い腰をあげた。
結局、彼女はまた動かされてしまったのだ。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:08:17.79 ID:nZTyu4LI0
- ζ(゚ー゚;ζ「え、なに……どうしちゃったの!?」
デレは一人で自販機のカフェオレを揺らしながら、のんびり休憩所に座っていた。
つい先ほど館内に大きな揺れを感じ、何の気もなしにその発生源へと足を運んでいたわけだが。
「……」
今のような声をあげたのにはもちろん理由があった。
廊下に同級生が倒れていたのだ。それも頭から血を流しながら。
デレは咄嗟に近くのトイレに駆けこみ、ハンカチを濡らして持ってくる。
ζ(゚ー゚;ζ「大丈夫? 喧嘩でもあったの?」
額の血を拭いながら、少しだけ手を震わせた。
年ごろの彼女だ、やはり暴力沙汰の匂いを感じると怖くなってしまう。
「急に一部のやつらが暴れ出した……それも数、多くて、先生を呼ぼうと……」
意識が朦朧としているのか絞り出すような声であった。
キョロキョロと見回すがパッと見たところ休ませる場所はなく、仕方が無いので人の少なそうなトイレへ向かう。
ζ(゚ー゚*ζ「呼んでくるからそのままね!」
何故か生徒は回復体位になるように言われ床にべたりと突っ伏すことに。
「きたない……」
彼の呟いた言葉は、意識とともに床の裏に沈んでいった。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:11:38.02 ID:nZTyu4LI0
- ζ(゚ー゚;ζ「先生は入り口かしら? 急がなきゃ……」
てけてけと。
( ><)「あ! デレちゃんじゃないですか!」
ζ(゚ー゚;ζ「ビロード! ちょっと来て!」
最中に遭遇したのは汗だくになった友人だ。自主トレだと聞いていた一人である。
タオルを首に巻き、片手にはスポーツドリンクだろうか細長い筒を持っている。
(;><)「ちょっと! 僕今から小休止なんです〜!」
デレは迷わず汗だらけの腕を鷲掴み、さっさと走る。走るや走る。
ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと危ないことになってるっぽいの! みんなはどこ?」
( ><)「闘技室です、みんなは組み手だと思うんです」
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ後でよさそうね、とりあえず先生を探しましょう!」
さらにグイッと引っ張る。
(;><)「え? 僕何も説明されてないですよー!」
ζ(゚皿゚*ζ「いいから! 冗談でやってるんじゃないの! 来なさい!」
大声と剥き出しにされた白い歯。
歯並びはなかなか素晴らしいようである。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:14:48.42 ID:nZTyu4LI0
- ( ><)「それでなにがあったんですか?」
結局なし崩し的に出口に走る。
ζ(゚ー゚*ζ「喧嘩? みたいな感じ? なんか血出てた人がいたの?」
(;><)「なんで僕に聞いてくるんですか!」
ζ(゚ー゚;ζ「だってわかんないんだもん! はやくペ二サス先生呼ぶの!」
( ><)「先生だってなんだかわからないと動きませんよ!」
dζ(>ー<*ζ「たしかに! ナイスビロっち!」
(;><)「いやいやなんの解決にもなってないです!」
不測の事態に対し咄嗟に行動するのはやはり難しいものである。
この二人はその対処へのプラン構築の難しさを証明してくれた気がする。
('、`*川「ちょっとー、走らないの」
そして出会った。噂をすればの遭遇。ミラコゥ。
ζ(゚Δ゚*ζ「ペニスのせんせい!」
Σ('、`;川「はうぜんっ! なんて不名誉な!」
(;><)「早くデレさんかくかくしかじか! はりあっぷです!」
ζ(゚ー゚;ζ「えっと、かくかくしかじか!」
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:18:05.69 ID:nZTyu4LI0
- ('、`*川「かくかくしかじか? ホワッツ?」
この反応はあまりに自然だ。
いきなり教え子に『かくかくしかじか』と言われてまっとうな返しができるのならば、教師なんてやらなくていい。
いったいどういう意味を持っているのかと、ペニスの先生は困ってしまう。
ζ(゚ー゚*ζ「かくかくしかじかです!!」
畳みかけるようにかくかくしかじかワンスモア。
('、`*川「把握! 急ぐわよ!」
(;><)「なんで!?」
以心伝心。きっと切羽詰まった人間は時として普段できないことを達成できるのだ。
三人は意味無くその場でくるりと一回転し、最初の競技場に走り出した。
('、`*川「で! ホントはどうしたの!」
(;><)「やっぱり伝わってない!」
ζ(゚ー゚;ζ「流血事件です! 大勢が暴動です! 嫌な世の中です!」
('、`*川「そっかぁ……あの子に悪いことしちゃった……」
後悔の念か、呟く。
生徒達はきっとこんな教師を見て、世の中に嫌気がさしたのだ。
未熟者達に造られた生活に気付いて、この狂ってしまっている世界に嫌気がさしたのだ。
(;><)「なんか先生すごい深刻な顔してますけどだいじょぶですか!?」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:21:19.68 ID:nZTyu4LI0
- +('、`*川「問題ないわ。行きましょう」
顔を前に向け、キリッとした。
その横を走っていた二人はあまりにキリッとした普段の彼女とのギャップに惚れた。
ζ(゚ー゚*ζ「マジかっこいいっす!!」
(*><)「はいです!!」
+('、`*川「みんなどうしたの!! 大丈夫!?」
「「「せ、せんせえっ!!」」」
目前と迫った扉の手前、負傷した生徒が倒れている。
ペ二サスはしゅるりしゅるりと小さな手のように肌色を伸ばし、彼らを壁を背に並べた。
大きな怪我をした生徒は居ないようで、意識は全員あるようだ。さほど問題はない。
「だめですこの先はとんでもないカオスです! みんなキメちゃったみたいに危ないです!」
+('、`*川「でも生徒がいる、私の愛する生徒が。私の役割を守ることは、生徒を守ることに繋がるの。
それって、私の使命なのよ。遣わされた使命。果たさなきゃいけないの、どうしたって。
だから行くわ。どんなに悲惨な状況でも、どんな危険があろうとも、傷つく生徒は見たくない!」
「「「せ、せんせえっ!」」」
茶番である。
+('、`*川「二人はこの子たちの介抱を! 私はここを止めるわ!」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:24:42.75 ID:nZTyu4LI0
- ガラガラ
('、`*川「これは……」
飛び交う人、飛び交う怒号、飛び交う血。
たかだか能力調整終了後半年ほどの人間でも、大勢が全力で振るえば危険なもの。
ゆえに一瞬、彼女は開いた先の世界で一歩を踏み出すことを躊躇った。
無理に止めると予定外の結果を生み出すことになるかもしれないのだ。
「ペ二サスが来たぞ!!」
しかし踏みとどまるわけにはいかない。
どこかに原因がある、もしくは居るはず。
重い扉を閉め、向かってきた生徒に対し、構えた。
ワレモノ注意を意識。
視界に入った生徒十数人の攻撃意識の有無、距離、目線、周囲の音、背後の壁、各々の角度。
とりあえず拾える情報は適当に拾い、次への行動予測につなげる。
('、`*川「………」
顔は前に向けたまま、靴の側面から細い棒を取り外した。
その先端を引っ張ると、中から針が出てくる。
それをゆっくりと手の爪の間に刺し込み、棒を指で押し潰す。
('、`*川「いんすとーぅる」
針が刺さったままの手を軽く横に振るい棒を捨てた。
その行動と言葉は、彼女自身のための合図。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:27:53.77 ID:nZTyu4LI0
- 「おらああああああ!!」
一人の生徒の威嚇から、ペ二サスへの攻撃は始まった。
彼のように声を出してかかってくる者もいれば、無表情に構える者もいる。
それでも、次から次へと向かってくる未熟な生徒ということに変わりは無いのだが。
('、`*川「こうそく」
彼らに対し、掌を向けた。
広げた指に対してそれぞれさらに大きな腕が生え出したように、肌色が生まれる。
「ひゃい!!」
絡み取る。巻きつかせる。それはどこでもいい体のどこかに。
既に背後の壁には足からの触手を伸ばしてあるので準備はできている。
('、`*川「二十?」
それぞれに可能な限り巻き付けた。
両手を後ろの壁に叩きつけるように振るう。
手に連なった触手も伴って加速され、捕らえられた者は次々と壁に。
('、`*川「んー、人が多すぎる……どうしよ」
壁に張った無数の触手に巻きとり、二十人の生徒を一旦捕縛した。
しかしここだけでも生徒の数はかなり多いうえに、今の行動で注目を集めてしまう。
Σ('、`*川「全員止めればいいじゃない! よっし!」
そして競技場の中心に走っていった彼女は、あたかもすばらしい案を思いついたような笑顔になっていた。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:31:16.63 ID:nZTyu4LI0
- (`・ω(#)「……」
六人は校内を走っていた。
ちんたら移動している余裕がなかったためだ。
その理由は全くのイレギュラーであり、慌ただしいかった朝には想像もつかなかったもの。
(;・∀・)「絶対食われるぞあれ! 早く行けシャキン!」
('(゚∀゚;∩「口めっちゃでっかいよ! でも耳的にあれで犬のつもりなんだよ!」
('A`)「猫耳……」
(*´_ゝ`)「狐耳!」
(´<_` )「俺はエルフ耳でよろしくどうぞ」
四足歩行のバケモノに追われているのだ。
それは隔離され、人の手に負えなくなった動物達。
主に犬や猫が基本となって奇妙なかたちを成している彼らは、ひたすらに人を追い回しに来た。
(;・∀・)「なんでお前ら落ち着いてんの!? 萌え耳談義なんてどうでもいいわ!」パリーン
('(゚∀゚;∩「うわああぁあ窓からキター!」
逃げ込んだ屋内でも今のように執拗に追いかけ回し、なかなかうまいこと逃げられない状態である。
振り切るにはなにかしらの策が必須で、トラップ野郎の手も珍しく重要なのだが。
(`・ω(#)「………」
('A`)「つーかこいつまだスネてんのかよ………」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:34:25.81 ID:nZTyu4LI0
- (`・ω(#)「流石k」
( ´_ゝ`)「「事故だ!」」(´<_` )
(`・ω(#)「事故なのはわかってるさ……でもさ、それって謝らないのとはまた違うよね」
(#´_ゝ`)「うっせぇ誰が謝るか!」
(´<_`#)「ばーか!」
(`・ω(#)「くっそぅ、なんだコイツら……」
(;・∀・)「そんなのほっとけ! いまこいつらクライマーズハイみたいなもんだから!」
('(゚∀゚;∩「どこに逃げるんだよ!」
('A`)「とりあえず講義室入るか」
ガチャガチャ
(;・∀・)「開いてないよこの! やばい追いつかれる!」
(::=ω(#)「ねえ いま かまれた いたい」
('(゚∀゚;∩「シャキン! やだこれもう再起不能! 誰か助けてよ!」
('A`)「ふむ、ありっちゃありだな」
( ´_ゝ`)「これはないぞ。正気か」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:37:35.69 ID:nZTyu4LI0
- (゚<_゚;)「はっ!」
( ´_ゝ`)「どうした」
(´<_` )「兄者のアイデンティティーが崩壊している気が……」
( ´_ゝ`)「いや、そこはスルーで頼む」
('A`)「ぬぅぅ、確かに……」
(´<_` )「師匠もおかしいと思いますか……」
(;・∀・)「そこ掘り下げる気無いからこっち頼むわ!」
なおるよがシャキンを引っ張ってたとこに迫る犬!
見た目シェパードっぽいけど雑種!
なおるよの肩に前足乗せてカクカク腰振ってる!
('(゚∀゚;∩「うわぁこの犬発情期だよ! こっちも雄なのに!」
(*´_ゝ`)「任せろぅい!」
走った勢いのまま鉄の棍棒でガラ空きの腹を振り抜く。
吹っ飛ぶ犬、吐き出されたのは子犬のような悲鳴、さらには精液と反吐。
('(;∀;∩「ちょっとついたぁぁぁ!」
(;・∀・)「いいから逃げるぞ!」
(´<_` )「………」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:40:40.18 ID:nZTyu4LI0
- ぶたれた痛みにのたうちまわる犬を見つめる弟者。
逃げるモララー達を無視し、彼はその姿を見つめていた。
('A`)「どうした? 行くぞ」
(;´_ゝ`)「まさか獣姦に目覚めたのか……」
(´<_` )「違う」
( ´_ゝ`)「?」
「早く来いって!」
廊下の向こうでモララーの声。
('A`)「なんなの……」
ドクオも駆け足でそちらへ。
それでも弟者は目を逸らさない。
(´<_` )「……」
(;´_ゝ`)「うわぁ……把握したわ。そういうことな、とりあえずまだついて来い」
分け知り顔で弟の手を引っ張った。
双子だからこそ窺い知れる無言の伝心。どっかのものとは別のものだ。
('(゚∀゚∩「放送室に近付いてきてるよ!」
(;・∀・)「でもこれじゃ振り切れないっつの!」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:43:50.40 ID:nZTyu4LI0
- ( ´_ゝ`)「講義棟からこっちに繋がってるのはこの廊下だけだよな?」
放送室があるのは講義棟にやはり隣接した事務棟である。
この棟には放送室に限らず学事務室や職員室やら、さらには校長室も置かれている。
('(゚∀゚∩「そうだよ! シャキンの罠をいっぱい張れば足止めになるよ!」
( ´_ゝ`)「いや、必要ないな」
( ・∀・)「なに言ってんの?」
( ´_ゝ`)「変態スイッチが入った奴の付き合いをしなけりゃいけない」
彼が手を向けた。
直立不動する弟者を指している。
(´<_`*)「だってさぁ! ちょっと興味あるんだもん!」
彼は振り返らずに叫んだのだが、その声で嬉々としている表情が容易に感じ取れた。
実際に見ると片手の棍棒を小学生が傘を振り回すように弄び、正面の獣の群れを見据えている。
(;・∀・)「あいつどうしたんだよ……兄者じゃあるまいし……」
( ´_ゝ`)「あいつは先天的な変態なんだよ」
(;・∀・)「そういうアレの話!?」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:46:45.99 ID:nZTyu4LI0
- (`・ω・´)「だったら任せるぞ」
そこでシャキンは突然の復活を果たした。
実際は顔の噛み後は消えていない。
(;・∀・)「無茶だろ!」
(`・ω・´)「冷静になれ。廊下の幅と二人の掌握できる範囲を考えれば十分だ」
その場で手を広げる。
この廊下はおおよそ人二人が両手を伸ばしてギリギリ届かない程度の幅だ。
( ´_ゝ`)「おろろ? 任せる、ってのは腹いせではないみたいだな」
(`・ω・´)「それはそれ、じゃないか? 簡単なトラップは渡しておくから限界が来たらこれで逃げるといい」
そう言うとひそかに背中に構えていたてのひら大の円盤を手渡した。
そんな彼らの後ろでは、
(´<_`*)「ぬはははははははっはははははぁい!! 兄者!! こいつ飛び散るぞ!!」
体中に骨がせり上がってるような不細工猫を棍棒で殴り飛ばす人がいる。
奥にはさらにそこそこの数が詰めてきていた。
(;`・ω・)「うわぁ……やっぱり丁度いい罰だと思うことにしよう」
(;・∀・)「おかしいよ君達ヘンダーヨ!」
(`・ω・´)「行こう」
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:50:05.58 ID:nZTyu4LI0
- シャキンの声をきっかけにさっさと三人は走っていった。
残ったのは一人、モララーだ。
(;・∀・)「前から思ってたけどおまえらなんでここまできっぱりしてんだよ……」
( ´_ゝ`)「方針が違うんじゃないか?」
(;・∀・)「なんだよそれ……」
( ´_ゝ`)「俺達は自分の定めた役割を重視するように教育を受けてきたんだ」
(;・∀・)「それはラウンジでも散々言われてきたぞ、でも」
( ´_ゝ`)「少し違うな。お前の発言を見る限りでは」
着地点は同じはずなのになぜ方針に違いがあるのか。
解釈の違いではないのか。その疑問の解消のため、ひとつ、聞く。
( ・∀・)「……なら、自分の持つ役割よりも大事なものは?」
( ´_ゝ`)「そんなものは存在しない。強いて言うなら、自らに課す役割を見誤らないことか」
( ・∀・)「………そうか……だったら、もうなにも言わない」
踵を返した。もう言えることは無くなった。
同じ学園系列に所属しているにも関わらず、明らかに違えている部分があることを知ったのだ。
単純に、たかが一留学生の彼ではどうにもならない話だ。
(´<_`*)「兄者! 早く来い!」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:53:20.51 ID:nZTyu4LI0
- で、ようやくやってきた放送室。
('(゚∀゚∩「やっぱり開いてないよ」
(`・ω・´)「まあ壊す気でいたしね」
('A`)「はよせい」
( ・∀・)「あー考えてみればこれ電波ジャックじゃないよなー、プチテロだよプチテロ」
なおるよとシャキンがペタペタと粘土を放送室の扉周りに貼り付け始めた。
紐のようなものがそこから伸び、なおるよの手元にある機械に繋がっている。
('(゚∀゚#∩「ボウリィァ!」
なんか粘土が爆発した。可動部の金具を吹き飛ばし、扉は手前に倒れた。
('A`)「ばれたら死ぬから急げよ……」
(`・ω・´)「見張りよろしく、って思ったけど考えてみたらこっちに人来ないよな」
投げやりに言い残し、ドクオ以外の三人は部屋の中に侵入する。
('A`)「はぁ……」
ひとり。今日のドクオはいまいちだ。
昨日の昼から部屋に引きこもり、徹夜で一本の泣きゲーをクリアしてしまったのだ。
EDを見終わって計り知れない喪失感が彼を襲ったのだ。言うまでもなくそれは、簡単に立ち直れるものではない。
('A`)「なんもしたくねえ……」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:56:30.68 ID:nZTyu4LI0
- ('(゚∀゚∩「これ四角い穴に繋いで!」
( ・∀・)「おう!」
なおるよはリュックからパソコンとマイク、さらに色んな線を引っ張り出した。
本来ここの機器を操作できるようにするには一本でいいのだが、八本くらいごっちゃにして持ってきた。
( ・∀・)「微妙に合わない、次!」
('(゚∀゚∩「こっちだよ!」
(`・ω・´)「おいなおるよ!」
('(゚∀゚∩「なに?」
(`・ω・´)「無線スピーカーからレスポンスが無い」
('(゚∀゚;∩「え? シュー達と連絡は?」
首を横に振るシャキン。
('(゚∀゚;∩「じゃあ中継も反応しないよね……なんで……?」
(`・ω・´)「うーん……短絡的に考えるなら、これはさっきの動物とも関係があるな」
( ・∀・)「どうする? 逃げるか?」
(`・ω・´)「いや……学施設内の有線は使えるよな? 職員にわかっている状況でも伝えよう」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 20:59:52.46 ID:nZTyu4LI0
/ ゚、。 /「ふう……」
襲いかかる生徒達を全てなぎ倒し、演習場の前に戻る。
祭りだとやはり血の気が多くなってしまうものであり、
一人二人と実力行使に出る者がいればその勢いは瞬く間に伝播していく。
ゆえに、彼女はキレた。鬱陶しくて。
現状で周囲に立っている者が居ないのはその結果だ。
/ ゚、。 /「フサ毛……」
もちろん未だ喧騒は響いている。
しかしそれは最初から、彼女には関係の無いことだ。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:02:57.63 ID:nZTyu4LI0
- (,,゚Д゚)「来たぞゴラァ」
第二演習場は狭い。
さらには一般的なオフィスや住宅、倉庫などを模した部屋がいくつかに分けられている。
それらドラマの撮影現場と言っても差し支えないもので、再現率は無駄に高い。
ミ,,゚Д゚彡「遅かったな」
そんな演習所入り口正面、そこにフサギコは居た。
まだどの部屋にも入っておらず、ど真ん中で仁王立ちをしていたのだ。
背中に背負った彼の身長大の極太六角棒がプレッシャーを放っている。
(,,゚Д゚)「いや遅くねえよ……名指しで俺に宣戦布告なんて何考えてやがる」
ミ,,゚Д゚彡「この機会を逃せば俺はお前に勝ったとは言えなくなるからな」
(,,-Д-)「まだ言ってんのか……」
ミ,,゚Д゚彡「てめえにはたいした問題じゃねえんだろうよ」
(,,゚Д゚)「当たり前だ。俺とお前じゃ根本的なあり方が違う」
ミ,#゚Д゚彡「そりゃあどういう意味で言ってんだ……?」
(,,゚Д゚)「わかってんだろ? 俺はお前とは違う」
ミ,#゚Д゚彡「だからどうしたってんだ!」
(,,゚Д゚)「だから、やめとけって言ってんだよ兄貴」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:06:13.43 ID:nZTyu4LI0
- 一方的に吐き出される怒りに対してギコまったくは怯まなかった。
その点も相手の怒りを増長させていることは彼自身もわかってはいたのだが。
ミ,,゚Д゚彡「やめねえよ、俺が実力で戦えるのは今日で最後になるだろうからな」
(,,゚Д゚)「いつだってできるだろうが、どっちかが死なねえ限りは」
フサギコは残念だ、と言いたげに首を振る。
ミ,,゚Д゚彡「おまえはまだ三年だから知らねえだけだ」
(,,゚Д゚)「なんだ? 下手な言い訳は聞かねえぞ」
ミ,,゚Д゚彡「高等部の一年間は実務訓練教習だってのは知ってるよな?」
(,,゚Д゚)「ああ」
ミ,,゚Д゚彡「そこだ」
(,,゚Д゚)「はぁ?」
言いつつ、背中の六角棒を持ち出す。
全ての面に金属の取っ手がつけられているのが見えた。
ミ,,゚Д゚彡「四年にしかいかない話だからな、これ以上は言えん」
(,,゚Д゚)「なんだよ、結局私怨じゃねえかバカくせえ」
ミ,#゚Д゚彡「てめえは……!」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:09:17.74 ID:nZTyu4LI0
- ミ,#゚Д゚彡「おいギコ、てめえには誇れるモンがあんのか?」
(,,゚Д゚)「そんなもんねえよ」
ミ,#゚Д゚彡「てめえに得意なことはあんのか?」
(,,゚Д゚)「ねえよ」
ミ,#゚Д゚彡「人望はあるか?」
(,,゚Д゚)「ねえな、特に変わった活動はしてねえ」
ミ,#゚Д゚彡「だったら何があんだよ……」
(,,゚Д゚)「さあな」
ミ,#゚Д゚彡「それで俺に勝てるってのか……」
(,,゚Д゚)「それは揺るがねえな」
ミ,#゚Д゚彡「……それが気に食わねえ」
(,,゚Д゚)「言いがかりじゃねえか」
ミ,#゚Д゚彡「どう考えてもおかしいだろうが! なんで俺がてめえに劣ってるところがあんだよ!」
(,,゚Д゚)「……」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:12:18.95 ID:nZTyu4LI0
- ミ,#゚Д゚彡「俺が勝ってるのはなんだ? 経験か!? それだけじゃねえ!!
成績も人望も才能も! 全部俺が上だろうが!
でもてめえは神種だ! 周りは神に愛された人類なんて馬鹿言いやがる!
それ以外は何も持ってねえてめえに対して! それにてめえもてめえだ!
たまたま生まれ持った力で見下したような態度取りやがって! ふざけんじゃねえ!」
突然捲し立てた。
手に持った六角棒が飛び出したのも突然だった。
(;゚Д゚)「うおっ!」
咄嗟に横へ飛び退く。
回避したものは床に命中することなく、引っ張られるようにしてフサギコに帰っていった。
ミ,#゚Д゚彡「ぶっ潰してやるよ! その鼻にかかる態度! 傲慢な言葉!
他にすがれるものも微力なたった一つしかないカスのてめえを!」
(,,゚Д゚)「な……てめ……」
ミ,#゚Д゚彡「覚悟しやがれ! 私怨だろうがなんだろうが、てめえを潰さねえと変われねえ!」
棒についた布を掴み、移動したギコに向けてまたも投げつける。
(,#゚Д゚)「……んなこといつまでも! 引きずってんじゃねえっつの!」
ギコは巨大なブーメランで飛んでくる正面からの大質量を斜めに滑らせるように防いだ。
さらにそれを今の言葉ごと投げつけ、走り出す。
フサギコが戻ってきた棒で防ぐころには、一旦逃げ出すことに成功している。
ミ,#゚Д゚彡「逃げんじゃねえぞ! 俺の我儘だろうがなんだろうが、ここで全部締めてやる!」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:15:30.92 ID:nZTyu4LI0
- (*゚ー゚)「ギコ君だいじょぶかな?」
運動場端のベンチに腰掛けるしぃ。
シューの語りを完全にスルーした結果だ。
lw´‐ _‐ノv「そんなことよりにゃんこよ」
(*゚ー゚)「フサ君とまた喧嘩するみたいだし……」
lw´‐ _‐ノv「おい」
(*゚ー゚)「うーん……」
lw#‐ _‐ノv「おいクラァ!!」
髪をぶん投げ絡み取り、無理矢理隣まで引っ張るシュー。
(;゚ー゚)「うわっ! ごめんなになになになになに!?」
lw´‐ _‐ノvつω←双眼鏡「下がカオスになってる」
(;пωп)「え……なにこれ……」
lw´‐ _‐ノv「……花火?」
(;゚ー゚)つω「何が起きてるの? サプライズ?」
lw´‐ _‐ノv「さぁ……」
(;゚ー゚)「みんな怪我とかしてなきゃいいけど……」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:18:40.11 ID:nZTyu4LI0
- こんどはひろい校長室。
/ ,' 3「ふむ……」
バッサバサ ボテ ボテ ボテ
从'ー'从「呼んできましたよ〜」
( ФωФ)「わざわざ直接とは……」
( ゚∋゚)「それに私達だけということは、急を要することなのでしょうな」
( ´∀`)「なら僕はさっさと下に行くモナ」
ギィ ズズズズ
( ゚∋゚)「私達はどう動きますか?」
/ ,' 3「外のわしについてゆけ。その先に居る者を排除すればよい」
( ФωФ)「では早速」
カツカツ ツカツカ
从'ー'从「私はどうします〜?」
/ ,' 3「任せる」
从'ー'从「わかりました〜」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:21:48.87 ID:nZTyu4LI0
- バタン
/ ,' 3「さて……」
/ ,' 3「わしが狙いか」
/ ,' 3「それにしては動きが少し不明瞭だが」
/ ,' 3「その点について、答えてもらおうか」
壁に向かって続ける老人。
( )「……なぜ俺が居ると?」
返答する壁。
/ ,' 3「わしじゃからな」
( ゚д゚ )「……なら、隠れる必要もないな」
霧が晴れるようにそこから現れたのは若い男。
その手には拳で隠れるほどに短い刃物を構えていた。
/ ,' 3「ここならひろゆきの眼は届かん。目的を話してもよかろう」
( ゚д゚ )「あんたを殺しに来ただけだが」
/ ,' 3「……くだらん嘘を吐くな」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:24:53.90 ID:nZTyu4LI0
- それは真に迫るような声。
気圧された彼は思わず口をついた。
これは言おうとも何の問題もない情報だろうと、その圧力に勘違いをさせられたのだ。
( ゚д゚ )「……いや、事実だ。それが第一目標というわけではないが」
/ ,' 3「なら、今のわしらの根本を潰しに来たのか?」
( ゚д゚ )「そうだ」
/ ,' 3「ひろゆきに命じられたのか」
( ゚д゚ )「違う。俺達の意志だ」
/ ,' 3「ふむ」
途切れる。
ミルナはそこで動き出した。
/ ,' 3「やめておけ」
( ゚д゚ )「……」
しかし一歩を踏み出す前に荒巻がミルナに絡みつく。
それは今話していた荒巻ではなく、腰ほどの体長しかない小さな彼。
/ ,' 3「ひろゆきはそれを望んではおらん」
( ゚д゚ )「俺達はもう、それしか望んでいない」
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:27:57.91 ID:nZTyu4LI0
- ミルナに絡みついた荒巻はその場で数を増やし、拘束を強める。
/ ,' 3「ならば今の世代はどうなる? それにこれからも増えるものかもしれぬ」
( ゚д゚ )「必要な犠牲だ。俺も含めてな」
/ ,' 3「……」
( ゚д゚ )「世界をあるべき姿に戻す」
/ ,' 3「むぅ……」
絡みついた荒巻達はミルナを窓へと連れてゆく。
/ ,' 3「ならば足掻いてみるがよい。
一度変わってしまったものを変えることは、あまりに難儀なことじゃがな」
( ゚д゚ )「くっ……」
窓枠に足を掛け、荒巻達は落下していった。
/ ,' 3「潮時なのかもしれぬの」
そこから覗く景色は普段とは全く違うものだ。
『嘘をついたな、荒巻』
/ ,' 3「どうしても聞きたくてのう」
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:30:59.99 ID:nZTyu4LI0
- 。。。
/ ,' 3「まあいい。それよりだ、今回は冗談では済んでおらん。他の都市にも手を回したじゃろう」
『この国はどうしても数増えるからさ、たまにはこういうのが必要なんだよ。それがもっとも自然じゃないか』
/ ,' 3「抜かせ……増えてもいいじゃろ。お前の目標はほぼ達成されているのじゃ」
『ほぼ、だろ』
/ ,' 3「……」
『俺達の異能の力が人類の歴史を塗り替えるものだって教えてやらなきゃならない』
/ ,' 3「自作自演の戯れもここまでじゃ。もう必要は無い、歴史は塗り替わったじゃろうが」
『だったらここからだ。俺達は正当に評価されなくちゃいけない』
/ ,' 3「ならば組織を解体するんじゃ。どうせロクデナシはちまちました悪事を働くのじゃから」
『それでもダメだ、俺の手の中にいなければいつか歯止めが効かなくなる』
/ ,' 3「先の会話は聞いていなかったのか? 彼らは既に貴様の手の上では動いておらん」
『…………それは……』
/ ,' 3「貴様は結局どうしたいのじゃ? 自称、知識の管理人」
『進歩しない"この"俺の意識じゃ、答えは出ないのかもしれないな』
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:33:55.52 ID:nZTyu4LI0
- / ,' 3「この大馬鹿ものめ……捻じ曲げたのは貴様が………」
『知識を持った動物を支配するのは神に愛された新人類の"神種"、俺達なんだ』
/ ,' 3「持たせた、じゃろ。それは独りを嫌ったわしら臆病者達の勝手な言い分じゃな」
『俺達は素晴らしい存在だ』
/ ,' 3「それは貴様の妄想じゃ。人は人でしかない、それにじゃ、人を愛す神などというものは存在しない」
『なら、道理を捻じ曲げる俺達が神だ』
/ ,' 3「………その意識体ではもう会話になっておらんな……」
『だったら"俺"を見つけて説得しろよ。俺にはどうすることもできない、俺は変われないんだ』
/ ,' 3「答えに窮するとテンプレートを吐かせる方式。変わっておらぬ、くだらぬものだな、ひろゆき」
『そろそろ消えるよ、語り手は散らばった俺なんだからな』
/ ,' 3「勝手にするがよい」
『……それと、もうお前とは会えないかもしれない』
/ ,' 3「それは変わり始めた証じゃな。喜ばしいことじゃ」
『………… …… …
/ ,' 3「………」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:36:59.72 ID:nZTyu4LI0
- ノハ*゚听)「やー久々に本気出した!」
戦意を失った、もしくは一旦休憩タイムの生徒を残し、交差点の中心で腕を回すヒート。
その両腕は付け過ぎた腕章のせいで、気持ち悪い赤の包帯を巻き連ねたようなものになっている。
ノパ听)「そろそろドクオ達のとこでも行くかなー」
大破した託されものを眺めながら呟く。
あまりに多勢だった相手への遮蔽物に使っていたらスピーカーは無残な姿になってしまったのだ。
ノパ听)「よしっ! いこ!」
「………」
さあ立ち去ろうというその背後。
ノハ;゚听)「おおっ! 立った!」
彼女がボッコボコにしたり多数の競り合いで散っていった何十何百もの生徒が立ち上がった。
次々開くその眼は虚ろ、動きはデク人形のよう。
ノパ听)「でもゾンビとは戦わない! じゃあな!」
腕章を奪った以上やり合う理由はない。
当然ながらさっさとそこから撤退する。
「………」
しかし彼女の背後でボロボロのまま戦闘を再開する者達がいた。
それを止めようなどと言う人間は今のところ居ないようである。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:40:14.55 ID:nZTyu4LI0
- ( ФωФ)「これは……」
ロマネスクがミニ荒巻についていった先がそこだった。
ヒートが居たのはその数十分前で、いまや街中は完全な修羅場。
明らかに生徒ではない者の介入も見られ、これでは収拾がつかないと思わされる事態だ。
( ФωФ)「どこに居るのである………」
そんな状勢を無視しつつ、ミニ荒巻についていく。
彼はそれぞれをいちいち止めていくより、元凶を断った方が効率がいいと踏んだ。
( ФωФ)「……」
飛びかかる人はその場に叩き伏せる。
飛んでくる物もその場に叩き下ろす。
目視はしない、彼の周囲はそういうふうにできているのだ。
( ФωФ)「!!」
しかしながら防ぎきれないものもある。
例えば、圧倒的な質量で降ってくるものや、限りない高速で突っ込んでくるものだ。
そういったものは彼が無視できる許容を明らかに超えている。
今ロマネスクに反応をさせたのは前者、この街のオフィスビルだ。
( ФωФ)「ちっ」
真上に手をかざした。
それは降ってくるなという必死の抵抗のようにも見える姿だ。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:43:00.37 ID:nZTyu4LI0
- 崩れ散った粉塵が舞う。
コンクリが激突した轟音が響く。
( ФωФ)「誰だ」
などといったことは起こらなかった。
( "ゞ)「さすがはニュー速の、といったところか」
ロマネスクが手をかざした時には既に、ビルは一つの球に変えられていた。
厳密には変化ではなく、人智を超えた力で圧縮されたと言えばいいだろう。
それはピンポン玉ほどに潰れ、地面に鈍い音を立て深く深くめり込んでいったのだ。
( ФωФ)「貴様がこの状況を造り出したのか」
そしてどこからか降り立った男にロマネスクは問う。
( "ゞ)「運が悪い……そうは思わないか?」
( ФωФ)「……」
なんとこの短時間にした質問を二つともスルーされてしまう。
( "ゞ)「俺はな、その目の傷をつけた男を殺したんだよ」
( ФωФ)「……」
人の話を一切聞いていない様子である。
様子、というか確実に聞いていないが。
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:45:55.05 ID:nZTyu4LI0
- ( "ゞ)「悪い、そろそろ自己紹介だな。俺はデルタだ」
片手で長めの髪をかきむしるようにしながら名乗る男。
( ФωФ)「聞かん名だな」
( "ゞ)「まだひよっこでね」
( ФωФ)「そうか」
(;"ゞ)「リアクション薄っ!」
両手で顔を覆い、両膝を地面につける。
剃りかえった背中は弧を描き、『私は今嘆いています』を前面に押し出している。
( ФωФ)「やかましい奴だな……」
(;"ゞ)「ひよっこだぜ!? ひよっこがビルぶん投げたんだぜ!? 阿鼻叫喚だろ!!」
( ФωФ)「意味をわかって使っているのか? 貴様の行動で誰がどうなったわけでもあるまい」
( "ゞ)「ん」
声に対して、ロマネスクの背後を指差すデルタ。
( ФωФ)「馬鹿な………」
そこは一面ビルで作られた壁であり、後ろの音を認識していなかったロマネスクは思わず声を漏らす。
さらに気付いたことは、先程まで修羅場であった街が阿鼻叫喚などとはあまりに縁遠くなっていたこと。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:48:52.67 ID:nZTyu4LI0
- ( ФωФ)「殺したのか」
( "ゞ)「さあな、貞子のコントロールは確定行動が取れないもんで」
軽々しい声、全く興味のなさそうなそぶりであった。
( "ゞ)「で、どうする? 俺はお前の因縁をぶった切ったんだけど?」
( ФωФ)「もともと奴と因縁など存在せん」
( "ゞ)「現役を退いたのは視力が理由だろう?」
( ФωФ)「違うな。役割が変わった、それだけのことだ」
( "ゞ)「役割、か」
デルタは正面を見ながら後退してゆく。
( ФωФ)「む」
その先にあったのは電柱だ。
( "ゞ)「だったらもう一度役割を変えてもらうぜ」
手を添える。
すると電柱はダルマ落としのように分割し、下から順に次々飛んでいった。
無論それはロマネスクを狙っていて、かなりの速度を持っている。
( "ゞ)「ひよっこな俺の、礎になれ」
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:51:51.35 ID:nZTyu4LI0
- ( ФωФ)「無駄だ」
それも全て直撃の寸前で落下。
ロマネスクは走り出した。
( "ゞ)「足を使うのは疲れないか?」
デルタは道路の縁石の一つに座り込んだ。
縁石は身体ごと宙に持ち上がり、さらに背後のビル壁に吸い込まれるように接着する。
( "ゞ)「次のビル、発射するぜ!」
( ФωФ)「一般企業のものを破壊するのはやぶさかではないが……」
デルタが行動を始める前にロマネスクはビルに辿りついた。
走った勢いはそのまま、入り口横の壁面に手を触れる。
がくり、とビル周囲の地盤のみが揺れ、バランスを崩した地面から発生した亀裂が息が噴き出した。
次には空気が振動し、鼓膜を撫でまわすような妙な音が鳴り続ける。
( "ゞ)「おいおい随分だな……」
剛体であるはずのビルはみるみるうちに形を歪めていった。
デルタが下を向くころにはもう、ロマネスクの手に握れるほどに小さく潰れてしまっている。
( "ゞ)「ちょい逃げよ」
デルタは縁石に座ったままさらに浮遊移動する。
まるでそれはどっかの魔法使いのようだ。
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:54:54.16 ID:nZTyu4LI0
- ( ФωФ)「逃がすわけがないだろう」
視線は外さず、デルタを眺める。
それも手元の圧縮ビルを弄びながらだ。
( "ゞ)「次ー! こっちなー!」
届いた声は遠く、隣の建物の奥からする。
( ФωФ)「面倒だな……」
トコトコと移動。
ロマネスク的べスポジに立つ。
そして球を握りなおし、大きく振りかぶった。
(;"ゞ)「まさか……! おい、ここらってそっちのホームだろ……!?」
(#ФωФ)「吾輩の……大リーグボール三号!」
投げた。
ふざけた勢いで飛んでいくそれは、対する雑居ビルの五階付近に迫る軌道だ。
(;"ゞ)「ばっか! 待て!」
( ФωФ)「よし、解凍」
その言葉は一瞬、またも街の空間を歪めた。
本来あり得ない質量の極端な増加がその狂いの原因だろう。
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 21:57:54.41 ID:nZTyu4LI0
- 言葉では言い表わせない撃音が響く。
いくらなんでもビルがビルに投げつけられることがあり得ただろうか。
コンクリは崩れ崩れ砕き砕け、ガラスは爆散、鉄骨は歪み、擦れ、気持ちの悪い音を立てる。
(;"ゞ)「あっ……の野郎! イカレてやがる!」
その中をデルタは落下していた。
座っていた縁石から体を崩してしまったためだ。
彼は歪められた空間を中心に発生した突風で吹き飛ばされたのだ。
それはビルとビルがぶつかり合って発生したものなのかもしれない。
あるいは別の要因で起きた現象なのかもしれない。
(;"ゞ)「どこか……」
短い空中遊泳に抗うように四肢を伸ばす。
( ФωФ)「やはり貴様は渋沢より弱く、愚かで、浅はかだ」
その真下にはロマネスクが居た。
(;"ゞ)「くそっ!」
ロマネスクがデルタに手を伸ばす。
デルタの体は落下しながら不可視のものに何度もぶつかり、血反吐を散らしながら地面に帰ってきた。
(;"ゞ)「む、っちゃくちゃやりやがって……お前……zipじゃなかったのか……?」
( ФωФ)「そうだが、それだけではないぞひよっこ」
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 22:01:02.30 ID:nZTyu4LI0
呼吸も整わず、声も上手く出せない状態。
デルタは重なる落下の衝撃で内臓を潰し、肋骨は身体に刺さっているのを感じた。
実際の状態とはとは異なる可能性もあるが、それだけの衝撃を彼は噛み締めたのだ。
(;"ゞ)「な……力は、一人に一つってもん、だろ……?」
( ФωФ)「ふむ、吾輩は先天的なものと後天的なものの二つだな」
(;"ゞ)「くそ……そういうこと、か」
地に横這いになっていた彼は、意識を飛ばすとべたりとうつ伏せに倒れた。
一段落ついたロマネスクが崩れた周りを見ると、修羅場はところどころで再開され始めたようであった。
( ФωФ)「ぬ、こいつが主導の混乱ではないのか……」
案内のミニ荒巻も居ない。
通信機器は持たない主義。
彼の選択肢はとても狭まった。
( ФωФ)「はぁ、止めるか」
溜め息は軽く、迷わず喧騒に飛びこんでいく。
今日で過去最高の土下座数になることは間違いない、と彼は思っていた。
( ФωФ)「余計なものも紛れこんでいるようであるし、な」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 22:04:03.22 ID:nZTyu4LI0
- 从;゚∀从「つかれた! 休憩な!」
(*‘ω‘ *)「おっけーだっぽ!」
( <●><●>)「やはり銃は使えませんね……」
(*゚∀゚)「あっちになんか犬いるー!」
从 ゚∀从「あー、しょっぱい銃なら無力化できるって機械の話? よくわかんないけど」
(*‘ω‘ *)「そしたらワカッテマスはカスになるっぽ!」
(;<●><●>)「だからひどいって……」
ぴーんぽーんぱーんぽーん♪
『あー、あー、聞こえますかー?』
(*‘ω‘ *)「ん? なんだっぽ?」
(*゚∀゚)「シャキまゆせんぱいの声だ!」
『えー、今学内でお祭り気分で暴れるみなさんと、暇でだらけきった職員の皆さんにご報告です……』
从 ゚∀从「なんだろ……」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 22:07:09.35 ID:nZTyu4LI0
- 『―――という状況です。僕達はこれは危惧すべき事態だと……ちょ、おい! どうしたドk』
プツッ
( <●><●>) ・・・
(*‘ω‘ *) ・・・
从 ゚∀从 ・・・
(*゚∀゚) ?
( <●><●>)「出ましょう」
(*‘ω‘ *)「出るっぽ」
从 ゚∀从「出よう」
(*゚∀゚)「どしたの?」
从 ゚∀从「なんかいやーな感じだし、とりあえずみんなの居るとこに行こうぜ」
ガチャ
バタバタ
・・・・・・・・・・・・・
ウワナンダコレ センセイオッカナイッポ スパゲティデスネ
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/07(月) 22:10:14.83 ID:nZTyu4LI0
- (;・∀・)「ドクオ! 大丈夫か!」
(;'A`)「ああ……」
肩から胸にかけて裂かれた痕。
出血も並では無く、そのふらつく足もとまで流れ出している。
しかしそれでもドクオは意識を損なわず、放送室に飛びこんできたのだ。
(=゚ω゚)ノ「悪いよぅ、一応建前上は殺しておかないといけないんだよぅ」
放送室の入口には両手と口が赤く染まった男。
見た目は子供のような背の低さだが、顔には幾らか皺が刻まれている。
(`・ω・´)「……ドクオ、こいつはどっちから来た」
(;'A`)「お前の考えてる方、だな」
(`・ω・´)「ああ……そうか」
('(゚∀゚;∩「………」
(=゚ω゚)ノ「謝ることしか、今はできないよぅ」
男が四人に向かって歩いてくる。
逃げるには狭すぎるこの放送室では、接近までそう時間は掛からなかった。
第十九話「壁とのキャッチボール」・終わり
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