( ^ω^)達の中だるみな一年のようです

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/12/19(土) 18:11:58.35 ID:1Ic95nvW0




第二十話「終局は突然に」





4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/12/19(土) 18:15:00.09 ID:1Ic95nvW0
/ ゚、。 /「大丈夫かなぁ……」

人が居なくなってからそれなりの時間が経った。
太陽が彼女の真上に来るにはまだかかりそうなほどではあるが。

ダイオードの背後の演習場は、中の二人が元気に駆け回っているのを示すように揺れ続けていた。

/ ゚、。 /「どうせ負けて僕に泣きつくんだろうけど、最後までは頑張ってほしいよなぁ……」

フサギコを実力的な意味で信頼している彼女は、客観的かつ的確な独り言。
入り口前でぼっーとしながら、その彼の帰りを待つ。

(´・ω・`)「四年生のダイオード先輩ですね」

/ ゚、。 /「……」

そのため、下級生の接触にも気付けない。

(´・ω・`)「あの、ちょっといいですか?」

/ ゚、。 /「……」

反応は無い。
この場にやってきたショボンは溜め息をつきながら、その肩をトントンと叩いた。

/ ゚、。;/「っ! 不意打ち?」

(´・ω・`)「断じて違いますが」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/12/19(土) 18:18:23.47 ID:1Ic95nvW0
(´・ω・`)「こっちに用があるんですよ、ダイオード先輩」

/ ゚、。 /「そちらは三年のショボン君だね」

腕章がついていないことを確認したのを見てショボンに向き直る。
それこそ、何事もなかったかのように。

(´・ω・`)「ご存知でしたか」

/ ゚、。 /「まあ、ね。フサギコの腕章が欲しいわけじゃないみたいだけど、なんだい?」

(´・ω・`)「非常事態のようなので近くのギコに応援を頼もうかと思いまして」

その言葉を聞くとダイオードは一瞬固まる。
申し訳ないような困ったような、なんというか微妙な顔をした。

/ ゚、。 /「む………フサギコは兄弟での決着を望んでいるんだよ」

その態度にぴくりと反応した。

(´・ω・`)「それは、介入は許されないと言いたいのですか?」

/ ゚、。 /「ああ」

答えは聞くまでもないものではあった。
しかし念のため、質問を続ける。

(´・ω・`)「そこに入ろうとする僕を止める、と?」

/ ゚、。 /「……ああ」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/12/19(土) 18:21:16.36 ID:1Ic95nvW0
二度、確認を取ったところで目の色を変えた。
感覚的にそれを受け取り、ダイオードは持ち前の長い髪を振り乱す。

(´・ω・`)「なら、さっさと通らせてもらいますね」

口を開きながらの彼が生み出した衝撃は、彼女を右から真横に吹き飛ばした。

/ ゚、。;/「………さすがに、こたえる……」

演習所横の芝を土ごと削りとり、その靴は踵から土塗れ。
だがその事実は、彼女がその衝撃から倒れなかったことを示している。

(´・ω・`)「おや、直撃の前に違和感があった……防いだ、いや、防げたのですか?」

わざとらしく目を丸くした。
何処の誰がどんな見方をしても、それは人を小馬鹿にするような態度。

/ ゚、。;/「君の力を僕は知っているからな……」

(´・ω・`)「なるほど。ハッタリではないのなら言ってくれても構いませんよ?」

いやらしく笑うショボン。そんな彼も知っている事がある。
自分の力が割れていても、彼女に遅れを取ることはまずないのだということを。
それは絶対的な自信、絶対的な力から来る笑みなのだ。

(*´・ω・)「ふふふふ、ほらほら、言えばいいじゃないですか」

(´・ω・`)「……ふふふ、言ってみてくださいよ、ふふっ」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/12/19(土) 18:24:14.47 ID:1Ic95nvW0
狂気を感じる呟き。
その時彼女は彼の触れてはいけない部分を突いた、ということを知らされる。
そしてそれは、本能からの恐怖で汲み取ったもの。

/ ゚、。 /「……君の力は無限の不可視の手、だろ?」

そこでさらに楽しそうに嗤うショボン。
この時点でダイオードは何かに額を何度も小突かれていた。

(´・ω・`)「ええ、よくご存じで。生徒間では神種の念動力ってことになっているはずだったんですけれど?」

/ ゚、。 /「僕の両親はその方面の科学者でね、知ってしまっただけさ」

(´・ω・`)「まったく……守秘義務もなにもあったものじゃないな、屑共め」

/ ゚、。 /「違う、僕が勝手に資料を覗いただけだ」

(´・ω・`)「ああそうですか。あれらはどちらにしろ屑ですけれどね」

含みのある言い方だ。
ダイオードは『その件』についての概要のみを知っているだけ。
それは彼女の引っ掛かりを生み、好奇心をくすぐるものであった。

/ ゚、。 /「いや、そんなことはいい」

だが、訊いて聞けるものではないことは間違いがない。
先程から明らかに態度が妙なものと化してきているのだ。
自身も彼の『犠牲者』にはなりたくはない、そんな想いで、話を逸らす。

/ ゚、。 /「力が割れてる以上、僕の方が有利じゃないか」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/12/19(土) 18:27:03.92 ID:1Ic95nvW0
次は残念そうな顔を見せるショボン。
ダイオードが想像していた以上に、彼の表情は豊かであった。

(´・ω・`)「なにを言っているんですか、あなた程度で」

/ ゚、。 /「これでも僕は弱者であるつもりは無いy――」

足が崩れた。
何かが来ることを察知できなかったのだ。
次の不可視は顎を突きぬけ、彼女の足を払った。

(´・ω・`)「聞こえなかったようですね。『あなた程度』じゃ、僕は止められませんよ」

/ 、  /「く……」

(´・ω・`)「僕は急いでいるんです」

そのまま演習所入り口、巨大な鉄の引き戸に手をかけようとする。
だが、

/ ゚、。;/「それ、でも――!!」

急いで跳ね起き、前屈みになりながらも足を地に踏み出す。
彼女が操ることのできる一つ、『踏み込みにより発生した体への加速』を用いて、高速移動をした。

(´・ω・`)「おい………退かないならぶち殺すぞ」

移動先はもちろん彼の眼前。
「通す訳にはいかない」。それは、彼女の稚拙で個人的な感情が主立ったものだ。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/12/19(土) 18:29:54.02 ID:1Ic95nvW0
/ ゚、。;/「待ってくれ! 今の彼にとっての最後の機会なんだ!」

(´・ω・`)「くだらない私情を挟むな。初等部の区域内にも妙な動きが見えたんだ」

ショボンは苛立ちを隠せていない、いや隠そうとしていない。
今のダイオードは何も見えておらず、ただ手元にある事物に釣られているのみでそれにも気付いていない。

/ ゚、。;/「一人くらい居なくてもいいじゃないか!」

(´・ω・`)「ギコがいないと初等部のバリケード作りに時間がかかるだろう、いいからどけ」

/ ゚、。;/「それなら私が行くから!!」

懇願する。
彼女自身がショボンの想定している働きができるか、そんなことは考えていなかった。
それよりも、一人の男のけじめを邪魔させたくなかったのだ。

/ ゚、。;/「お願いだ! なんだってするから!」

本当に、第三者からしてみれば馬鹿げたことだ。
緊急時での感情的な行動など、ニュー速に居る彼らには許されていないものだというのに。

(´・ω・`)「……わかりましたよ。なら、南東部からここまでの最短ルートをあなた達実行委員で確保してください」

その彼女の願いにショボンは折れた。
これ以上は本当に時間を無駄にすると考えたのだ。
駄々をこねる子供の相手をするのは、どうしても根気が要るのだから。

/ ゚、。 /「え……?」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/12/19(土) 18:32:45.27 ID:1Ic95nvW0
(´・ω・`)「人を集める足ならあるでしょう? 今の状況ならちゃんねるからそのうち応援が来るはずですから」

/ ゚、。;/「さっき言っていた初等部の件はどうするんだ……?」

(´・ω・`)「僕一人でなんとかしますよ。誰かがいれば手伝ってもらいますが、それは望めないでしょう」

赤の端末をかざし、ノイズが流れ続けていることを示す。

/ ゚、。;/「そんな……」

(´・ω・`)「応援が来たらここまで引っ張ってきて、繁華街と僕のところ、危険区域に人を寄せるように伝えてくださいね」

/ ゚、。;/「それまで一人で大丈夫なのか?」

(´・ω・`)「学園内ほどの数であれば、それほど苦労もしませんよ」

/ ゚、。;/「……」

(´・ω・`)「では」

/ ゚、。;/「あ……」

この場にもう居たくないと思わせるように、彼女をちらりとも見ずそそくさと立ち去るショボン。
また一人になった彼女は少しずつ冷静になりながら、今更にしての後悔を抱え込んだ。

/ ゚、。 /「急ごう……」

これは彼女の身から出た錆のようなもの。
挽回するには最大限、いや、それ以上の働きを。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/12/19(土) 18:35:42.54 ID:1Ic95nvW0
ミ,#゚Д゚彡「さっさと出てこい!!」

オフィスを模した演習所で吠えるフサギコ。
先程かかっていた全校放送は無視し、今もギコと対峙している。
威嚇のために六角棒を振り回し、机に置かれていた白紙が飛び回っていた。

(,,゚Д゚)「準備できた、っと」

ここは一階と二階を繋げて再現された場所である。
一階はそのままオフィスで、鬱陶しい機械やらが設置。
二階は壁に接した剥き出しの階段から伸びた先の、横に長いガラス張りの休憩室だ。

(,,゚Д゚)「ったく、あの放送聞いてなんで切り上げねえんだよ……」

ギコが居るのはその二階。
机を圧縮、解凍、さらに巻きあげた紙を用い逃げた結果、ここに辿りついた。
無論その行動に考えがなかったわけではない。

ミ,,゚Д゚彡「まさか袋小路の二階にいるのか……?」

そんなわけねえよな、と呟きつつ、不安定な階段に足をかける。

(,,゚Д゚)「きた……解凍解凍解凍解凍解凍解凍ぅ!」

ギコは部屋の端、つまり階段の最頂点にうつ伏せのまま、ミニチュアの台車とその上のミニチュアの机に触れた。
その結果、このようなことに。

ガコガコガコガコガコガコガコガコガコガコガコガコガコ

ミ;゚Д゚彡「ぅおいおいおいおいおいおいおい!!」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 18:38:22.62 ID:1Ic95nvW0
台車は階段を不格好に滑り降りた。
重力に負けてしまったのだ、なんということだろう。
下に居たフサギコは六角棒を盾に踏ん張ってはみたが、

ミ;゚Д゚彡「重すぎんだろ! っくそ!」

耐えきれず、階段を横から飛び降りた。
そしてその飛んだ瞬間。

(,,゚Д゚)「第二波!!」

ギコは様々な部屋の移動をする際にひたすら集めていた設置物を解凍させながら投げ落とした。
今滑らせていた机の余りはもちろん、ハリボテのコンテナ、タンスやダイニングテーブル、ストーブなど。

ミ;゚Д゚彡「うおおおおおおおおおおおお!!」

空中のフサギコに対処する手は無い。
そして雪崩のように降りかかる、もはや家具とは呼べない物たち。
彼がそれらと共に落下していくのは自明の理というもの。

(,,゚Д゚)「さっさと終わらせてやるぜ!」

まだ終わらない。今度は雪崩の発生源だ。
それはガラスを破壊し、手にアクセサリの束を構え、フサギコの方に向かって窓枠を踏み出した。

「来やがったな!!」

声は全力で張っていた。
だがもう完全に彼の声は埋もれきっている。
ギコは若干躊躇しながらそこに飛び乗り、声の発生源に向かって手の束を突き入れた。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 18:40:52.42 ID:1Ic95nvW0
(,,゚Д゚)「これで失神でもしやがれ!!」

圧縮された凶器、主に棒を巻き付けた束を解凍する。
それらは足元の有象無象を貫通、

ミ,#゚Д゚彡「ぐ! っまだだぞ!!」

(;゚Д゚)「タフすぎだろ……」

そのまま直撃。
解凍した際の鉄棒の直撃は、根元ならば人を突き破るほどの威力なのだ。
束先端ギリギリの距離でもなく、一時的に行動不能にできるレベルの位置で解凍をしたつもりのギコ。
しかしフサギコのこの声は、それではまだ軽いということを示している。

ミ,#゚Д゚彡「ぬあああああああ!!」

フサギコはそこから上に被さる物体の群れを持ち上げた。
それぞれが引っ掛かり合っているのだろう、めきり、めきり、と叫び出す。

(;゚Д゚)「あぶねっ!」

瞬く間、ほんの数秒も待たずにギコの足元は盛り上がった。
引っ掛かりを丸ごとぶっ壊したのだ。

ミ,,゚Д゚彡「ったく、俺の得物がねえぞ……」

(,,゚Д゚)「そっちの方が強そうだけどな」

そのまま対峙する二人の片方は、先程にはなかった黄色の毛に覆われていた。
百獣の王。その姿はまさに、それを意識させるもの。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 18:43:45.16 ID:1Ic95nvW0
ミ,,゚Д゚彡「じゃあギコ、俺とガチでやり合おうじゃねえか」

毛むくじゃらの腕を組む。

(,,゚Д゚)「やってるだろさっきから」

ギコも腕を組む。

ミ,,゚Д゚彡「違う!! ガチンコ殴り合いだ!!」

ちらりと指をさす。

(;゚Д゚)「いや……俺に分がねえよ……」

ミ,#゚Д゚彡「そんなもん!! やってみなくちゃわからねえだろ!!」

(;゚Д゚)「なんだ? 頭打ったのか?」

ミ,,゚Д゚彡「さあ! お前から来い!」

片手を小さくこまねき、仁王立ち。

(,,゚Д゚)「……」

ミ,#゚Д゚彡「来い!」

(,#゚Д゚)「だったら恨みっこなしだぜ? 俺の全身全霊っ!! 魂のナッコゥを喰らえぇぇぇぇぇぇっ!!」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 18:46:37.97 ID:1Ic95nvW0
不安定な足場を踏み散らし、魂をぶつけに走る。

(,#゚Д゚)「おらあああああああああああああ!!!!!!!」

構えた。
距離はゼロ。
振り切る。
拳は顔面だ。

ミ,, Д 彡「ぼっ……」

命中した。
顎を狙った拳は不器用ゆえに若干外れ、斜めから抉りこむように鼻にぶち当たった。
そして全力で振るった証として、鼻血を噴き出しながら崩れ落ちるフサギコ。

(,,゚Д゚)「な………お前……」

どさり。
足元はカオスであったが、気にもできずに倒れ込む。

ミ,, Д 彡「はぁっ……っ……立ってるので………っ……やっとだったぜ……」

(,,゚Д゚)「くたくたかよ……」

ミ,, Д 彡「この身体……燃費悪いんだよ……」

(,,゚Д゚)「ったく……」

ギコは緊張の糸を自ら切りながら、横に座りこんだ。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 18:49:22.32 ID:1Ic95nvW0
しばしの無言。

ミ,, Д 彡「――正直に言えば、今の俺がお前に勝てるとは最初から思ってねえんだ」

そして突然、鼻をつまみながら切り出した。

(,,゚Д゚)「じゃあなんでこんなことしてんだ……」

ミ,, Д 彡「やりあう前になんだかんだ理由付けしたが、結局アレだ、けじめだ」

(,,゚Д゚)「ヤンキー漫画かよ」

ミ,, Д 彡「それでもな、俺は振っ切っとかなきゃいけなかったんだ」

(,,゚Д゚)「……しぃか」

ミ,, Д 彡「お前が中等部にあがってすぐの喧嘩で、もし俺が勝ってたら、って考えたらな」

(,,゚Д゚)「…………」

ミ,, Д 彡「まぁ、最初からしぃはお前がずっと好きだったみたいだけどよ……」

(,,゚Д゚)「………」

ミ,, Д 彡「………ああもういいだろ、俺は少し休む。さっきの放送聞いてたろ?」

(,,゚Д゚)「ああ」

ミ,,゚Д゚彡「お前にもできることがあるはずだ。さっさと行ってくれよ、ギコ」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 18:52:16.54 ID:1Ic95nvW0

立ち上がった。


(,,゚Д゚)「さっさと復帰しろよ、クソ兄貴」

ミ,,゚Д゚彡「おう……」


踏み越え踏みつけ、ギコは演習場を後にする。
残ったのは静寂と、鼻をつまんだままの一人の男。

ミ,, Д 彡「はー……すっげーすっきりした」

鼻声は小さく、吐く息はとても大きかった。

ミ,, Д 彡「ダイオードには、色々迷惑かけちまってるなぁ……」

体の力を抜いていく。
うっかり眠ってしまわない程度に、彼は意識を天井に向けた。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 18:55:16.45 ID:1Ic95nvW0
从 ゚∀从「で? これはどういうわけ?」

スパゲティの片付けが一段落ついたところ、ようやく口を開いたのはハイン。

ζ(゚ー゚;ζ「すごい大変だったのよ? みんな暴徒と化したー! みたいな……」

('、`*川「……」

口に手を当て、先程から考え事をするような素振りのペ二サスはなかなか話そうとしない。

从 ゚∀从「先生?」

('、`*川「……あなた達は職員室にでも行って応援を頼めるかしら?」

从 ゚∀从「もうみんな疲れきってるみたいですけど?」

未だスパゲティに結ばれた数百人の生徒達を顎でしゃくった。

('、`*川「そうなんだけど……また暴れ出すかもしれないのよ。だからお願い」

从;゚∀从「はぁ……」

(*゚∀゚)「そっか! んじゃいこうぜー!」

ζ(゚ー゚;ζ「え? 私も? 外怖いってば!」

とても聞き分けのいいよい子のつーが率先して班員を引っ張りだし、てけてけと走ってゆく。

Ξ(*゚∀゚)「アヒャー!」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 18:58:12.79 ID:1Ic95nvW0
( ><)「行っちゃいましたね」

( <●><●>)「まあ、任せましょう」

(*‘ω‘ *)「ぽー」

('、`*川「あなた達、一年の中でもいまのところ成績は良い方よね?」

( <●><●>)「自分で言うのも……ですが悪くはありませんよ」

('、`*川「だったら、他の平気な子達と協力して手伝ってくれるかしら? ちょっと疲れちゃったのよね……」

ペ二サスゆびさす。
その先はスパゲティの山で、中に蠢いているものが一部。

(*‘ω‘ *)「余裕だっぽ! 体は暖まってるっぽ!」

( ><)「僕も行けます!」

('、`;川「そう……じゃあ、お願いね……」

( <●><●>)「わかりました」

そちらへ向く三人。
ペ二サスの顔色を覗うことなせずに、すぐさま準備を始めた。

('、`;川「あんまり使ってなかったからなぁ……反動が……」

ふらつく足は体を持たせられずにいる。
そしてゆっくりと背後の壁に体を預けた。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:01:10.49 ID:1Ic95nvW0
(*゚∀゚)「ふおおおおお! 変なのいっぱいいるな―!」

ζ(゚ー゚;ζ「つー……! まさかこれが目的っ!?」

(*゚∀゚)「職人室だろー? わかってるってー!」

从;゚∀从「そんな部屋があったとして、お前はそこに何しに行くの……?」

くだらない会話もしながら三人は駆け足だ。
屋内競技場からは職員棟までそれほどは遠くない。
なのでその辺の異形をスルーするような道のりで、現在移動中である。

(*゚∀゚)「ほらほら、ケルベロスケルベロス」

小声でデレに囁くつーはサファリパークにきた小学生のような調子。
囁かれた方は全力でそれらから目を逸らしている。

(*゚∀゚)っ「ルック!!」←いちおう小声

ζ(>−<;ζ「やめ、やめ、やめ」

そんなチキンのデレはつーに肩を掴まれた。
必死に蟹歩きしながら、出来る限りの抵抗を続ける。

从 ゚∀从「遊ぶなって、あんまり騒ぐと気付かれ……」

ハインは静止した。
彼女の時間は止まったのだ。

(*゚∀゚)「ん? どしたハイン」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:04:01.98 ID:1Ic95nvW0
从;゚∀从「……」

一点を見つめ続けるハイン。

ζ(゚ー゚;ζ「ちょっと、まさか……」

若干屈むハイン。

从;゚∀从「背中を見せて逃げなければいいはずだ……」

話しながらも目線は逸らさないハイン。

(*゚∀゚)「逃げたら弱い獲物だとおもわれるぞー!!」←小声

从;゚∀从「おう、ばっちりんこ……」

徐々に建物の陰に移動していくハイン。

从;゚∀从「うう、でもやばい、あいつの顔こわい……」

弱気なハイン。
先に居たのは大型犬、ドーベルマンであった。
顔はその体長から比べ、目算で二頭身くらいの大きさ。
完全にバランス崩壊した般若犬である。

ζ(>皿<;ζ「ひぃっ! 私は何も見てない私は何も見てない私h」

(*゚∀゚)「おおお!!! おおおぅ!!! おおおおおおぅぅぅぅぅぅ!!!」←小声

从;>∀从「のがまっ! ―――やっぱ無理!! ダッシュで逃げろ!!」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:06:46.59 ID:1Ic95nvW0
走り出した。
目的地とは到底違う方向に。

ζ(゚ー゚;ζ「しっかりしてよぉぉぉぉぉ!」

从;゚∀从「やばいんだって! 目力凄すぎ! 犬界の売れっ子ホストだよ!」

(*;゚∀゚)「ハインいみわかんないって!」

背後には先程の般若犬の太い声。
釣られるようにして伝播していく他の遠吠え。
三人はなんともいえない野生のプレッシャーを感じた。

ζ(゚ー゚*ζ「あ! 学園生の人居るよ!」

从 ゚∀从「上級生だな!! なんとかしてもらおう!」

(*゚∀゚)「すいませーん!」

彼女達の向こうには指定範囲ギリギリに陣取る集団が居たのだ。

(´・_ゝ・`)「次の獲物か!! 行くぞおまえら!!」

ζ(゚ー゚;ζ「こっちに銃口向いてない!?」

从;゚∀从「え!? あ! まさか参加者だと思ってるのか!」

どっしり佇む彼らは各々の武器を構え始めている。
それらはほとんどがやたらと砲身の太いものだった。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:09:38.98 ID:1Ic95nvW0
ヽ(*゚∀゚)ノ「アタシ達は参加者じゃないですよー!」

ヽ从 ゚∀从ノ「そうだ! 腕章ないことをアピールだ!」

ヽζ(゚ー゚*ζノ「そうね!」

    ノーボーダー   ノーウエポーン   ノースモーキーング
  Ξヽ(*゚∀゚)ノ Ξヽ从*゚∀从ノ Ξヽζ*゚∀゚)ζノ

(´・_ゝ・`)「禁煙アピールする奴には碌な奴が居ない! やれ!」

挙げた手を振り下ろす。
それは構えた得物の発射の合図だ。

(*゚∀゚)「デレ! 死ね!」

ζ(゚ー゚;ζ「だって平和っぽかったんだもん!」

从;゚∀从「みんななんか違う! なんかいろいろ間違ってる!」

ぼしゅ、と太い太いシャンパンを開けるときに発生しそうな音が鳴り、三人の上には網が飛んできた。

(*゚∀゚)「切る! ぶった切って逃げる!」

从;゚∀从「待て! 武器出したら――!」

包丁を出すつーに注意を促す声も断たれてしまう。
その原因は、網の飛んできた方向と同じところからやってきた。
大きな球、それはハインの目の前で拡散し、布端に強力な磁石の付いた捕縛兵器となり彼女を包みこんだのだ。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:12:19.75 ID:1Ic95nvW0
ζ(゚ー゚;ζ「ハイン!」

(*゚∀゚)「こんにゃろ!」

焦りの声も先の網に絡めとられる。
つーは包丁を振り回し暴れるが、脱出は到底叶わない。

(;´・_ゝ・`)「うお! あれ異形じゃん! 撤退!」

「「「「「おk」k」k」k」k」

そして彼女たちの逃走を阻んだ張本人達は蜘蛛の子を散らすようにさっさと逃げていった。
非道である。

ζ(゚ー゚#ζ「最……悪……っ!」

(*゚∀゚)「逃げられないー!」

迫る動物達。
動けない彼女達。
完全に手詰まり。

「なんも見えねー!」

一人は状況すら見える状態ですらないのだ。

ζ(>д<;ζ「来てる来てる来てるぅぅぅぅぅぅっ! 来ないでヘルプミーッ!!」

獣に言葉など通じない。
ただ人を襲うのみの目は、走る速度を落とさなかった。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:15:10.01 ID:1Ic95nvW0
  -=Ξ獣  ζ(>д<;ζ ○←ハイン             (-_-) ・・・


  !? ζ(゚Д゚;ζ ○←ハイン   -=Ξ獣         (-_-) ・・・

(*゚∀゚)「あれ?」

しかしそれらは、動けない彼女たちを通り過ぎる。

(-_-)「やはり操られているのか……? 行動パターンが同じになった……」

「やはり都市に点在する波が原因でしょうか? 三つほど強力なものがありますが……」

ζ(゚ー゚*ζ「へ? 誰?」

デレが気付いた先には白衣の集団が居た。
各々が大仰な機械を担ぎ、先頭の一人がマイクのような棒を持っている。
それは先端が丸まっていて人の頭ほどに大きく、よく見れば細かく振動している。

(-_-)「とりあえず排除しましょう」

獣達は白衣達に向かって駆けているよう。
彼らは怯むことなく、背負ったものを構える。

「では、出力を上げます」

その中、マイクから伸びた線に繋がる機械を弄る一人。
そして。

(*;>∀<)「うううううううなんだこれえええええ!!!

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:18:20.29 ID:1Ic95nvW0
(-_-)「ああ、そちらは異形の因子を覚醒させている生徒か……」

やってきた獣達にマイクを向けると、それらは次から次へと地面にへたり込んでいった。
中には痙攣をし始めるものや泡を吹くものまで出る始末。

(*; ∀ )「あたまわれるうううううううううっ!!」

ζ(゚ー゚;ζ「ちょっと! つー!?」

((○)) プルプル

ハハ ロ -ロ)ハ「ごめんね、ちょっと我慢してて」

腕に包帯が巻かれた白衣の女性に声をかけられる頃には、拘束されていた網が切られていた。
女性は手に電動歯ブラシのような音を発生させている刃の短いナイフを持っていたのだ。

ζ(゚ー゚;ζ「あ、え、はい……」


幾らかの時間。


(*;゚∀゚)「おさま、った……」

从;゚∀从「なんだったんだよ……」

ハハ ロ -ロ)ハ「普通の人には聞こえない音を大音量で流してたのよ」

ようやく少女達は平常運行を再開した。
白衣の集団は既に学園への道を歩き出し、残ったのは今の女性のみだ。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:21:15.32 ID:1Ic95nvW0
ζ(゚ー゚*ζ「二人は、ああそうか……あの、その白衣は技術局のであってますよね?」

ハハ ロ -ロ)ハ「そうよ。で、いきなりなんだけどあなた達、ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけど」

いきなり、が本当にあまりにも突飛すぎた。
デレを筆頭に、三人は?マークを浮かべざるを得ない。

ハハ ロ -ロ)ハ「多分人を捕まえることになるのよ、できるかしら?」

从;゚∀从「いや、あの、俺達ペ二サス先生に頼まれて職員室に応援を……」

困ったように髪をいじりながらハインは自分達の目的を話す。
と、それを聞いた彼女は口の端で微かに笑った。

ハハ ロ -ロ)ハ「必要ないわ。だってペ二サスに応援はいらないはずよ?」

(*゚∀゚)「んん?」

さて、と言いながら女性は白衣のポケットから黒のフナムシ型携帯端末を足元に落とし、起動。
三人の中心に座り、浮かび上がるホログラムディスプレイを次々と並べてゆく。

ハハ ロ -ロ)ハ「聞いてもらおうかしら、ちなみに私はハロー、ミンナカラハハローサントヨバレシタワレテオルヨ」

口を挟むことも躊躇われる超早口で突然話し始めるハロー。
三人も釣られて地面にしゃがみこんだ。

从;゚∀从「いいのかな……この人怪我してるし……」

ζ(゚−゚*ζ「なんか、もうどうにでもなれば良いと思う……」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:24:04.71 ID:1Ic95nvW0
ハハ ロ -ロ)ハ「見て」

地面に置かれたフナムシから表示されたウィンドウの一つを指した。
それは都市の地図で、気圧線のようなものが重ねて描かれている。
覗きこむ三人。デレの髪がやたらスペースを取った。

ハハ ロ -ロ)ハ「今ここね」

指したのは都市の西南西。
学生寮が近くにある場所である。

ハハ ロ -ロ)ハ「で、これわかる?」

動かした指はすぐ近くの低気圧の中心だ。
というか、学生寮である。

(*゚∀゚)「寮?」

ハハ ロ -ロ)ハ「そうよ、あなた達は私と一緒にここに行きます」

ζ(゚д゚;ζ「えぇ……?」

ハハ ロ -ロ)ハ「ここに今の異常を起こしている人がいるはずなのよ。電波障害とか、異形のコントロールかな?」

从 ゚∀从「あ、一年のみんながおかしくなった原因もそれですか?」

ハハ;ロ -ロ)ハ「え? 人にまで影響を……? そんな馬鹿な……いや、でも、…ブツブツ」

ハインの質問に答えず一人で喋り出す。
それもやはり、超早口であった。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:26:41.24 ID:1Ic95nvW0
ハハ ロ -ロ)ハ「いいや、行きましょう」

いきなりフナムシを拾い、すくっ、と立ち上がり早歩き。
三人もすぐさまその後をついていく。

ζ(゚∀゚;ζ「くへへへ、有無を言わさぬ、って感じねぇ、まさに」

从;゚∀从「危険じゃないのかな?」

(*゚∀゚)「楽しそう!」

从 ゚∀从「多分それだけはねーよ」

ハハ#ロ -ロ)ハ「楽しいわよ!!」

从;゚∀从「いやいやいや……ハローさんでしたっけ? あなたの腕を見る限りじゃバイオレンス系しか……」

ハインがそういうのも無理はない。
白衣は肩から千切ってあり、そこから肘を覆うくらいまで包帯がぐるぐる巻き。
そこから数本の赤がうっすらと滲みだしているのだ。

ハハ*ロ -ロ)ハ「うふふ、実はこれめっちゃきもちいから」

从;゚∀从「何言ってんですかもう……」

そんな調子で、四人は寮の分かれ道まで歩いてきた。

ハハ ロ -ロ)ハ「どっちかな………」

ζ(゚−゚*ζ「……(具体的な場所わかってないんだ……)」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:29:25.04 ID:1Ic95nvW0
ハハ ロ -ロ)ハニア「こっち!!」

男子寮を指した。

从 ゚∀从「どうしてですか?」

ハハ ロ -ロ)ハ「異性の寮にはロマンがある」

ζ(゚−゚ζ「………」

( ゚−゚)「……」

从;゚∀从「つー! お前はそれやっちゃ駄目だ!」

(*゚∀゚)「アヒャー!」

从;゚∀从「そう! それ!」

ハハ ロ -ロ)ハ「冗談よ。今は男子寮の方が人少ないでしょう? 居るならそっちかな、ってね」

从 ゚∀从「なーる」

ハハ ロ -ロ)ハ「行きましょう。波の発生源が近ければ私のこれが点滅アンドブザーを鳴らすわ」

と、ベルトに引っ掛けた緑色の機械を示す。
バッタのようなデザインで、おそらく目に当たる部分が六つあり、そこは赤のプラスチック。
点滅すると赤に光るのだろう。

ζ(゚−゚*ζ「……(なんかすでにうるさいんだけど……)」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:32:08.60 ID:1Ic95nvW0
(=゚ω゚)ノ「頼むから抵抗はしないでくれよぅ? リアルさが重要なんだよぅ」

手を赤く染めた男は四人に向かって手を伸ばす。

「おい」

しかし、

(=゚ω゚)ノ「!!」

それは阻まれた。

部屋に踏み込む直前、彼の視界の端から一本の筋が迫ってきたのだ。
油断がゆえに反応に遅れ、伸ばした手を引く前に筋は側頭部を命中。
軽くふらつき、放送機材に血を飛ばしながら男は振り返る。

(=゚ω゚)ノ「……」

ノパ听)「覚えてるぞ……これはドクオの血の臭いだ……」

そこに居たのは女生徒。
血が付いた刀型の鉄棒を構え、男を至近距離で睨みつけていた。

ノパ听)「その手……あいつを裂いたのはお前だな……?」

(=゚ω゚)ノ「? そうd」

ノハ# )「この野郎……」

その女生徒は開いている手で男の胸倉を、肉を抉りながら掴みとった。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:35:15.85 ID:1Ic95nvW0
(=;゚ω゚)ノ「馬鹿力……がっ……!」

二人は放送室外に飛び出した。
もっともそれは女生徒一人の力で引っ張りだしたもの。
勢いはそのまま、その手は廊下の壁面に叩きつけられた。

ノハ )「おまえは誰だ? 渋沢の方か? もう終わったんじゃなかったのか?」

(=;゚ω゚)ノ「何を言っt――!」

顔面ごと、刀の柄で言葉を叩き潰す。

ノハ )「とぼけるな……殺すぞ」

(=;゚ω゚)ノ「どういうk――!」

またも柄で殴る。鈍い音。

ノハ )「答えろ」

(=; ω )ノ「待t――!」

殴る。細く、しかし低い音。

ノハ#゚听)「答えろよ!!」

(;'A`)「待て、ヒート……」

放送室の入口にもたれかかるようにして、先程男が裂いた生徒が顔を出した。
男はその生徒に対して傷が浅くなるように裂いていたため、出血は肩の方がもう止まりかけている。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:38:02.27 ID:1Ic95nvW0
ノハ#゚听)「なんでだ! 渋沢の奴、もう自由だって言ってた癖に!」

駄々をこねるように叫ぶ。
顔だけでなく、肉ごと掴んだ男の胸からも血が垂れ始めていた。

(;'A`)「それはめちゃくちゃ昔の話だろ。それにそいつは違う、俺よりも速いくせに致命傷を与えなかった」

ノハ#゚听)「それが何だってんだ!」

(;'A`)「そいつには殺意が無いってことだ」

ノハ#゚听)「意味わかんねーよ! じゃあこいつはなんなんだよ!」

(;'A`)「それは、知らん……」

叫ぶヒートに対して、小さな声でドクオは答える。
そこでまた一人、この場に介入する者が居た。

ノハ;゚-)「うおっ!!」

突然頭に何かがぶつかる。
それによって怯んだヒートは思わず手元の男を放してしまった。

ノハ;゚听)「はぁっ!? なんだいまの!?」

意識を失いかけていたその男は倒れ込まず、何かにズルズルと引かれていく。
だが、ある程度距離を置いたところで床に崩れてしまった。
そこで彼の口が少し、動く。

(= ω )ノ「ミル……ナ……」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:40:48.79 ID:1Ic95nvW0
( ゚д゚ )「居るぞ、ぃょぅ」

(;'A`)「……」

倒れたぃょぅの奥、一人の男が姿を現した。
それは深い土色の沼から人がゆっくりとあがってくるような。
徐々に明瞭になる彼の姿は、体の左側面が土で汚れていた。

( ゚д゚ )「俺の血を吸え」

(= ω )ノ「悪い、よぅ……」

ミルナはぃょぅの口元に首をもたげる。
そして、噛みつかせた。

(;'A`)「うわぁ……」

喉が鳴る音が聞こえる。
すると、ドクオの位置から見えた胸の傷が塞がっていく。

(=;゚ω゚)ノ「なんとか、助かったよぅ」

顔を離すと、ヒートによって潰された鼻や頬も元に戻っている。
そのまま自ら立ち上がり、彼はドクオ達を見据えた。

( ゚д゚ )「いい、お前は予定通り下に行け」

(=゚ω゚)ノ「へ?」

( ゚д゚ )「考えてみれば、どうせひろゆきは見ているだけだ。それはもう、いい」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:43:34.00 ID:1Ic95nvW0
一瞬その場が固まった。
ドクオ達はただ状況が把握しきれていないため。
もう二人は思考停止のような状態で。

(=゚ω゚)ノ「……わかったよぅ。さっさとやってくるよぅ」

が、小柄な一人はすぐに調子を取り戻し、身を翻して走っていった。

ノパ听)「待て!」

(;'A`)「いいって。お前が待てよ」

ヒートは後を追おうとするが、すぐに止める。
何か言いたそうな表情をするのを見て、残っている方の男に指をさした。

ノパ听)「……」

( ゚д゚ )「どうする気だ?」

(;'A`)「あんたらの目的が知りたい」

( ゚д゚ )「聞かせる気はないが……」

(#'A`)「んんん! なんだとこんにゃろ! ツンちゃんをストーカーしやがったくせに!」

怒髪天だ。
そう、ドクオはキレたのだ。
相手が例のストーカーだと気づいてしまったのだ。

(;゚д゚ )「あれぇ……? いきなり……えぇ……?」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:46:12.46 ID:1Ic95nvW0
(#'A`)ニア「声でバレバレなんだよカス!! あーよかったぁキモオタで!!」

ヒートは思った。
『ああ、このままなんか始まってしまうのか』と。

(#'A`)ニア「てめえみたいな汚いにーちゃんがツンちゃんに振り向くとでも?
       ありえませんから! なに? ん? ええ、僕にだって振り向きませんとも!
       でもねでもね、僕ツンちゃんの写真とか持ってるから! 肌身離さず持ってるから!」

(;゚д゚ )「すまん、そこの赤髪の、止めてくれないか?」

ノパ听)「むり」

(#'A`)ニア「だいたいいい年してストーカーなんてしてんじゃねえよバーカ!
      お前アレ? ビコーズとかと同じ感じ? フヘへへ! 就職失敗乙!
      働けよカス! その見えない能力と同じで社会的にも誰にも見られてませんか!?
      僕は能力なんて無くても誰にも見られてませんけどね! ええ、キモオタですから!!」

(;゚д゚ )「ねえ、君、頼むから……」

ノパ听)「むり」

(#'A`)ニア「なんか言いたいことある? 反論ある? 僕に処理できる範囲でよろしくどうぞ!」

(;゚д゚ )「……(何の話なんだ……)」

Σ( ゚д゚ )  アノトキノコトカ!

( ゚д゚ )「フン……あれはニュー速の索敵範囲の確認だぞ? 何を勘違いしているんだ」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:48:57.93 ID:1Ic95nvW0
(#'A`)ニア「は? 知らねえよウンコ! それがツンちゃんの髪に触って良い理由にはならねえ!
       なんなの? ロリコンなの? 真性なの? 包茎なの?」

( ゚д゚ )「それは貞子のアンテナを埋め込んだだけだ。それと俺はズルムケだ」

ノパ听)「ズルムケなの?」

( ゚д゚ )「……実は仮性だ!」

ブシュッ

ノハ;゚听)「ドクオ! 傷口から血がっ!」

(#'A`)ニア「血なんざ知らん! いつからやってやがった! いつからツンちゃんを苦しめやがったんだ!」

( ゚д゚ )「四月から俺はちまちま確認に出ていたが……」

(#'A`)ニア「ご苦労さんなこったぁこのクソ包茎野郎!! 途中でお前索敵確認しなくて済んだろお疲れ!!」

( ゚д゚ )「……なぜ知ってるんだ? 確かにそれからこちらに侵入するのが楽になったのだが……」

(#'A`)「うわやっぱり!! おいヒート!! シャキン連れて来い!!」

ノパ听)「うん」

キナヨー  ンー…  イイカラ  チョットマッテ…   セイッ   ドサッ

(;`・ω・)「うう、ついていけない空気だからおとなしくしてたのに……」

(#'A`)ニア「全部てめえがきっかけじゃねえかコラァァァァァァァ!!」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:51:42.47 ID:1Ic95nvW0
  ブシュ
ア)ω・´;)「いたたたた!! おい絶対そこから水出すなよ!! 絶対だぞ!!」

(#'A`)ニア「うるせえ! てめえがわけわかんねえ嘘つくからだろうが! 死ね!」

ノパ听)「なに言ったの?」

(#'A`)ニア「七不思議だよ七不思議! コイツのでっちあげで余計なことになったんだ!」

ノハ;゚听)「あれ嘘だったの!? ええええええ!?」

ア)ω・´*)「グヘェ……つい、ね。ヒートのキラキラした目が可愛くてさぁ……」

ノハ;;)「最低だ! 乙女の心を弄んで! でも別にキラキラしてなかったと思う! 最低だぁぁぁぁ!」

( ゚д゚ )「ああ、最低だな」

(#'A`)ニア「てめえはナチュラルに話に入ってくんな!!」
 ブシュ
ア)д゚;)「待て待て待て、お前これでコンクリートに穴開けてたろ!!」

('A`)「よし今だ」

ノパ听)「ああ」

(`・ω・´)「ん」

二人の動作は一瞬であった。
ヒートはドクオの爪が刺さったままのミルナを力任せに叩き伏せ、
シャキンはその体に一定時間放電するトラップのサポートを一つ接着。さらに、その周囲に小箱を数個仕掛けた。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:54:25.45 ID:1Ic95nvW0
( д )「これは……非道いな」

そして、ドクオは為すすべがない彼の両瞼にダメ押しの二爪を押し付ける。

('A`)「いや、アンタが甘い人間で助かった。最初から抵抗する気もないみたいだが」

ノハ;゚听)「私は正直シャキンに驚いたけど……」

(`・ω・´)「話自体は全部聞いていた。だから優先される行動は理解していたつもりだ」

('A`)「あの二人じゃなにも考えてねえだろうし、お前の手持ちも都合が良かったからな」

( д )「さすが、渋沢の開発を受けただけはある……彼らと同じ、良い眼だ……」

ノハ#゚听)「―――!!」

ミルナの首に乗せた刀に力が入った。

('A`)「そんなもんはどうでもいい。この騒ぎはお前らが起こしたんだろ?」

( д )「そうだ」

('A`)「貞子のアンテナ、って何だ」

( д )「……」

('A`)「答えろ」

( д )「……それを介して、刺さっている者の行動を操作する」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 19:57:24.91 ID:1Ic95nvW0
('A`)「解除方法は」

( д )「アンテナを取り除くか、貞子を止めるか。それだけだ」

('A`)「アンテナってのは?」

( д )「髪だ」

('A`)「ちっ……」

舌打ち。

今のところその操られた人間は見たことがないと思われるので、どう行動するかわからない。
アンテナが刺さっているはずのツンも、今は何処に居るかわからない。
有線放送でとりあえずの情報を流すのもいいが、今流しても混乱を招くだけだ。

今は祭りなのだ。
イレギュラーな、不穏な行動を取る人間なら山ほど居る。これでは生徒間での疑心暗鬼を引き出すだけ。
そのうえ事前の有線を聞いていない者が件のアンテナの情報を聞けば、ただの撹乱にしか聞こえないかもしれない。

この状況では、動くに動けないのだ。
なので、目の前のこの男からドクオは情報を引き出すしかない。

('A`)「まだある、職員棟に何かしたのか?」

( д )「………」

一度目の放送から職員が誰も来ないことを見ると、何らかの方法で縛りつけられている可能性がある。
学園、またはそれ以上の範囲で異形が暴れているにも関わらず、誰も祭りの中止を言いつけに来ないのだ。
この点に何かがあることを考えたドクオは、瞼に突きつけた爪に力を込めた。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:00:20.03 ID:1Ic95nvW0
その遭遇はあまりにも唐突であった。

▼・ェ・▼「第二十三次確認。電波は良好。異形の動向、想定通り。現状を維持」

男子寮屋上にて、この小型犬は電波を撃ち出していただけであったのに。
黄色の毛を風になびかせ、紺色の耳を所在なげにふよふよさせながら佇んでいたせいなのか。

从 ゚∀从「犬じゃん」

(*゚∀゚)「犬だなー」

この時、彼一匹と少女達二人は目を合わせていた。

▼・ェ・▼「人の子」

(*゚∀゚)「うん、喋ってるよな……しゃべってるよなー!!」

从;゚∀从「ちょ……おちつけつー……」

包丁を取り出す、尻尾を覗かせる、ニヤリと笑顔を叩きつける。
それを見た犬が判断した結果は、こうだった。

▼・ェ・▼「対象の攻撃意志を確認。現状維持の困難。送信地点の変更の必要。新規送信地点の確保を優先」

(*゚∀゚)「逃げるのか! 手足ぶった切って捕獲してやる!」

▼・ェ・▼「離脱する」

飛んだのだ。五階建てのこの男子寮屋上から。
猫ではない彼は、着地のことを考えているのかいないのか。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:03:15.00 ID:1Ic95nvW0
从 ゚∀从「俺は直接追いかける! つーは二人に伝えてくれ!」

(*゚∀゚)「わかった!」

二人の判断は間違ってはいないだろう。
ハインは早速両腕から自身の身長ほどの長い羽を展開し、屋上の縁を蹴った。

从 ゚∀从「逃がさないワン!」

ノリノリである。

从;゚∀从「っつーか学園の方に逃げるのか……走り抜ければ大丈夫……だよな?」

ハインは滑空の速度を逃がさずに着地、うまいこと駆けた。
しかし犬もなかなかの脚力で、尋常ならざるハインの足でも距離を詰められない。

▼・ェ・▼「後続の排除」

そこで、呟く犬。

从;゚∀从「やっぱ走り抜けられないじゃん!!」

すぐさま飛んできたハインに立ちふさがるばけもん。

(*゚∀゚)「ほおおおおら追いついたああああああああ!!」

猿女も追走。
彼女は走り込む勢いはそのまま、ばけもんに包丁を向けて体当たりを仕掛けた。
突っ込んだのはやたら足の多い猫、目が出っ張ってぐっちゃぐちゃの犬の固まったところ。
しかし包丁は無情にも刺さらず、頭突きだけが一匹にきれいに決まった。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:05:55.77 ID:1Ic95nvW0
一匹分のスペースが生まれる。
そこを一匹の犬とくんずほぐれつ、要するにぶっ転がりながらつーは進む。

(*;∀;)「いてー!! でもここから抜けてやるー!!」

从;゚∀从「後で追いつくから!!」

開いた隙間はすぐに閉じられた。
ハインは素早くキョロキョロし、獣の壁を飛び越えるコースに決める。

从 ゚∀从「くっそ、柱でもあれば一気に蹴っ飛んでやるのに」

学園から寮までのルート、目ぼしいものは近くにはない。
純粋に脚力のみで抜けるしかないのだ。

右足を踏み込んだ。
彼女の前方右、獣の壁にギリギリ触れるところ。
至近距離で着地すれば、獣はそこに釣られてそれぞれ体を向けるはず。

从#゚∀从「っ!」

一旦の着地。至近距離からこちらに飛びかかる気配、やはり、来た。

从#゚∀从「そいやっ!」

跳んだ勢いを全く生かさず、今度は反対、最終的な移動の軌跡は稲妻を描くようなイメージで足を踏み切った。
その体を捻りながらの跳躍はさながら月面宙返りのようで、獣の頭上を通り過ぎる。
二度目の着地はふらつきながらも、結果的には若干のフェイントに成功した。

从*゚∀从「で、こっから走る!! ういーっし!!」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:08:49.63 ID:1Ic95nvW0
(*゚ー゚)「私達も動いた方がいいのかなー?」

シャキンの校内放送は第一運動場の長いポールについたしょぼいスピーカーからも流れていた。
シューはそれを聞いてからずっと難しい顔をしながら、キョロキョロと双眼鏡で下を見続けている。

lw´‐ _‐ノv「ん、あれはつーか?」

(*゚ー゚)「え? 一年生は体育館じゃないの?」

lw´‐ _‐ノvつω「でもあれはつーだ、あんの腹立つ笑顔、間違いない」

(*∩ω∩)「ほんとだ……っていうかこっち来てない?」

lw´‐ _‐ノv  ・・・

(*゚ー゚)つω「?」

lw´‐ _‐ノv「いや……。全力疾走でこっちに来てるなら何かあるのかもな、ちょい待とう」

(*゚ー゚)「だねー」

二人の居るグラウンドは静寂に包まれていた。
ここで過ごしていたほとんどの生徒は校内放送後にさっさと下に降りていったのだ。
彼女達と残っているのはのんびりと芝生の部分に座っている三人組など。
そんなのんびり族だからこそ、一匹の犬がそこに入ってくることに気付かなかった。

▼・ェ・▼「新規送信地点、到着。危険と判断される個体の存在、確認できず。送信準備を開始」

その犬が小さく人の言葉を話しているのにもかかわらず。

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:11:43.42 ID:1Ic95nvW0
(*゚∀゚)「ここからは逃げられないぜー!!」

つーが丘を昇り切ったのはそのたった十数秒後だ。
包丁は三本構えられ、完全に臨戦態勢。

(*゚ー゚)「あ、来た。なんで張り切ってるんだろう……」

とりあえず寄る二人。

(*゚∀゚)「あ、しぃシューせんぱい!」

lw´‐ _‐ノv「まとめて呼ぶな悟空」

(*゚∀゚)「悟空?」

(*゚ー゚)「いいのよ、シューは人を変なあだ名で呼ぶ変な子なの」

(*゚∀゚)「犬きました?」

(*゚ー゚)「犬? いた?」

シューを見る。

lw´‐ _‐ノv「知らん」

首をひねる。

(*゚∀゚)「ここ登ってたのは間違いないのになー……」

从; ∀从「はっ、はっ、よう、やく、到っ、着ぅっ!」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:14:23.32 ID:1Ic95nvW0
(*゚ー゚)「あ、ハイン久しぶりじゃない」

从;゚∀从「ども……っほ!」

(*゚ー゚)「何かあったの?」

从;゚∀从「ひぃ、ひぃ、今、犬追ってるんですよ。捕まえなきゃな犬です」

(*゚ー゚)「どんなの?」

从;゚∀从「はぁっ、黄色い毛のちっこい奴です。あの、説明は後でするんで捕まえるの協力してください!」

(*゚ー゚)「いいよー。ね、シュー」

lw´‐ _‐ノv「野生動物は特に得意だ」

从;゚∀从「どういう意味なんだろ……」

(*゚∀゚)「ハイーン! 木の上ー!」

話には参加せずにいたつーは遠くで腕を振り回していた。
そのあたりは植えられた広葉樹がもこもこしている。
グラウンド端の、夏場なんて特に重宝する植え込みスペースだ。

从 ゚∀从「おー! いまいくー!」

lw´‐ _‐ノv「よし、なら私の髪を掴め」

从;゚∀从「え? どうして……?」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:17:05.95 ID:1Ic95nvW0
lw´‐ _‐ノv「あー、しぃ」

(*゚ー゚)「うん」

しぃは長いシューの髪を一束掴み、勢いよく引っ張る。

从;>∀从「痛いたい!!」

lw´‐ _‐ノvb「余裕!」

しぃが引っ張った分、伸びた。
掃除機のコードのように。

从 ゚∀从「すご……。あ、もしやこれで捕獲作戦ですね!」

lw´‐ _‐ノv「もち」

頷いたのを確認して、ハインも一束掴む。

从;゚∀从っ「ちょっと気ぃ使うなぁ……」

lw´‐ _‐ノv「グイッといけぇグイッと」

从*>∀从彡「マルスコイっ!!」
    っ

伸びた。
バンジージャンプの紐のように。

lw*´‐ _‐ノv「さあ行こうかおいどんの包囲網! 文字通りのなぁっ!!」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:19:49.27 ID:1Ic95nvW0
(*゚ー゚)「行こう!」

从 ゚∀从「行きましょう!」

二人とも髪を鷲掴み。
そして、気遣いなど一切せずに走り出す。

lw;´‐ _‐ノv「ちょっと、勢い良いねぇ君達……」

トトトト タタタタ

(*゚∀゚)「なんだそれ縄か!」

从 ゚∀从「そんなとこ!! 犬は何処に居るんだ!?」

(*゚∀゚)「ん」

木の枝葉を指している。
見えたのは黄色の尻、犬の下半身だった。

从;゚∀从「ええっ!? 超バカじゃん!!」

(*゚ー゚)「頭隠して、ってやつね」

▼・ェ・▼  ・・・ ←安心して電波送ってる

しぃはすぐさま爪を伸ばし、木をするすると駆け昇った。
ハイン達もシューの髪を犬の下に幾重にも張り、落下の際に逃げられないように髪を網状に仕掛けた。

从*゚∀从「ふふふ、ばっちり完璧ゲッチュだな」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:22:39.21 ID:1Ic95nvW0
ハハ ロ -ロ)ハ「あら? もう捕まえたの?」

ハローがやってきた。

結局しぃが髪を後ろ脚に結びつけ、暴れた犬はその場で落下。
落ちた所は先に述べた状況のため、パニックになっていた犬はがんじがらめになってしまった。
そしてびくびくと体を動かしながら、エラーを起こした機械のように犬は呟き続けていた。

▼ ェ ▼「作戦行動に支障。異形の統制、統制、異形の統制、」

lw´‐ _‐ノv「なんて興味深い犬なんだ……部屋に一匹欲しいな……」

从 ゚∀从「あれ? ハローさん、デレ……っていうか一緒の子は?」

ハハ ロ -ロ)ハ「遅いから置いて来たわよ?」

首を傾げ、いかにも当たり前な表情。

(*゚∀゚)「……行ってくる!!」

从;゚∀从「危ないぞ!!」

ハハ ロ -ロ)ハ「いえ、多分さーっと行けば大丈夫よ。この子、異形の統制、ってもろに言ってるしね」

(*゚ー゚)「私も付いていくよ!」

从;゚∀从「ありがとうございます先輩! ……あ、ちょっと待てよつー!」

さっさと走り出してしまったつーの背を二人はついていく。
足の速い彼女達、それほど大きな問題は発生せずに事は済むことになる。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:25:24.67 ID:1Ic95nvW0
(´・ω・`)「な……」

初等部の敷地は学園から少し離れた、どちらかと言えば住宅が多い東部寄りの位置にある。
能力調整に必要な機材がある施設が都市北東に固まり、それらを扱う研究者の自宅も近いためだ。
もっとも、能力開発研究者が自宅に帰らない、などということはしょっちゅうだが。

敷地のほぼ中心には、病院のように巨大で真っ白な学生寮。
初等部の生徒は不安定さから全寮制を余儀なくされ、その全員がここで暮らすことになるのだ。

余談ではあるが、
ツンのように適切に能力を扱うことができ、かつ十分な学力を持っていれば飛び級が可能だ。
なので寮生活が嫌な生徒や、自由が欲しい生徒などは全力で勉学に励んでいたりもする。

ショボンが声を漏らした理由は、そんな寮を眺めて色々な過去を懐かしんだものではない。
今現在寮は、周囲の研究施設もろとも炎上していたのだ。

(´・ω・`)「あの集団……が……?」

半ば放心状態となりつつも、見渡す。
そんな彼の視界に真っ先に入ったのは、

爪'ー`)y‐「ごほっ、だいたい出てきた奴は殺したなー? 次は……」

タバコを吸いながら、軽装の男達に指示を出す者。
彼は寮を眺め、避難をしていたのであろう、幼さの残る生徒達を踏みつけていた。

(´・ω・`)「………」

歩み寄る。
頭の中を埋め尽くした彼らに対しての殺意は、無理矢理噛み潰した。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:28:18.27 ID:1Ic95nvW0
「学園の生徒か?」

(´・ω・`)「邪魔だ」

ショボンは目の前の男を殴った。
まだ立っていたので、さらに顔を十五発ほど殴った。それらはもちろん、全て不可視の腕で。
殴った男のもともと焦点の合っていなかった目はさらに妙な方向を向き、その場で潰れる。

「なんだてめえは!」

それに気付いた男達。
ボロボロの服に身を包み、少なくともいい環境では暮らしていない姿だ。

(´・ω・`)「火事じゃないか、中の生徒達を救出しなければいけない」

「今自分が何したかわかっていってんのかぁ……?」

爪'ー`)y‐「ごっほ、なんだそいつは」

おおよそリーダーであろう男も寄り歩いてくる。
ショボンはそれでも至って冷静だ。

(´・ω・`)「ここの指揮を執っているのはあなたですね? 
      この頭の悪そうな奴らに生徒達の救出を促すよう、お願いします」

爪'ー`)y‐「んなことするかよ、おい、こいつも始末しろ」

(´・ω・`)「……救える命があるなら、僕は救わなければいけないんだよ」

にじり寄る数人。ショボンは苛立ったように、今の言葉を呟いた。

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:31:03.98 ID:1Ic95nvW0
「悪いな」

ショボンの膝元に瞬時に一人が詰めていた。
彼はナイフを右手に構え、振りあげようというのか腕を低く垂らしている。

(´・ω・`)「状況的に消火は不可能か、壁を破壊していくしかないかな」

しかし全く気にせずに前へと歩き出した。
目の前の男は壁のようなものを感じ、軽く弾かれる。

「どうなってんだコイツ、神種か?」

(´・ω・`)「まずは上の階から……」

寮の目の前に立つ。

「おいガキ!!」

弾かれた男はすぐに跳び上がり、ショボンの首元を狙った。

(´・ω・`)「……」

無視。五階の壁面を剥がしてゆく。
前面に小さな手を高速で打ちつけるようにしたのだ。
べきり、べきりと亀裂は走り、崩れかけたところを勢いよく吹き飛ばしていく。

「くそっ、どうなってる……!」

こちらの人も同様に吹き飛ばされていた。
今や彼の周囲は暴風が発生したかのように人を寄せ付けないものになっていたのだ。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:33:53.13 ID:1Ic95nvW0
(´・ω・`)「……」

内装は知っている。
なので、ほぼ手探りでも人を探すことは可能だ。

(´・ω・`)「居た、一人」

人らしき弾力、表面はかさかさとしたものが手に触れる。
それを包みこむように手を伸ばし、ゆっくりと引っ張りだした。

(´・ω・`)「……」

宙を舞うのは人型の黒。
小さなもので、彼の自力でも軽々と担げるような軽さ。
それを目の前に降ろし、抱えながら、先端の大きな球に付いた柱に手を添える。

爪'ー`)y‐「っふふ、死んでるよ」

笑いを含んだ声。

爪'ー`)y‐「もう二十分は前だぜ? 救助なんざ諦めな」

(´・ω・`)「……そうか、二十分もこうして、逃げてくる子達を、ね?」

足元を見て溜め息をつきながら、ショボンは独り言を一つ。

(´・ω・`)「自分勝手に子供を弄んで、その命を踏みつぶして、いったい何様のつもりなんだろうな……?」

また、深く深く溜息をつく。
そうしながらゆっくりと遺体を降ろし、男達に振り返った。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:36:46.82 ID:1Ic95nvW0
(´・ω・`)「あのな。この腐った世の中、屑が何処にでも居ることくらいわかってはいるんだよ……」

爪'ー`)y‐「?」

目の前の男達は息を飲んだ。
それは、自分達の体が自由に動かすことができなくなったから。

(´・ω・`)「僕がこうすることも、その屑共の一部が喜ぶことになるかもしれないんだってことも……」

爪;'ー`)「……!」

タバコを取り落とす。
他と同様に身動きが取れなくなったためだ。

(´・ω・`)「でも、だ。それでも僕は、今はこうせざるを得ない」

「――――――!!」

叫び声は幾重にも広がった。
理由は単純明快だ。その声を出すための部分以外が、音を立てて握り潰されたのだ。
降りだした血の雨は彼らと、彼らの殺した子供達の死体、そして雨を起こした張本人に降りかかる。

(´・ω・`)「この瞬間を噛み締めろ。人の命は勝手に毟り取っていいものではないことを知って、死ね」

近くの頭が爪先に触れた。絶命寸前の一つだ。
ショボンは感慨などなく、只それを踏み潰した。
それをきっかけに次から次へと潰してゆく。
数はおよそ三十にわたるものであった。

やがて彼は最後の一つを残し、微笑みを見せた。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:39:39.27 ID:1Ic95nvW0
爪;'−`)「死んじゃう……よ……」

彼が意図的に残したのは指揮を執っていた男だ。
既に虫の息と言えるが、確実にまだ生きている。
弱弱しい言葉は、その裏付けをしてくれた。

(´・ω・`)「ふふ、なあ、言いたいことはあるか? 屑にもそれくらいの権利をくれてやる」

(;'−`)「あぁ、あぁ……」

だが男は突然、粘土のように徐々に姿を変えていった。

(# ;;- )「たす、けて……」

(´・ω・`)「な……に?」

その変化の先に居たのは、一人の少女。
顔には刃物やヤスリなどでズタズタに引き裂かれたのか、裏表を履き違えたような肌が貼りついている。
それはまだ形を保った首、その下にまで達していて、あまりに痛々しい。

(;´・ω・`)「馬鹿な……体を変えて……? 子供が、そんな……嘘だろ……?」

(# ;;- )

ショボンが狼狽を見せる頃には、少女は痙攣していた達磨の体をピクリとも動かさなくなっていた。

   「違う、違う、違う、これは、違うんだ、僕は、違う―――」

腕を伸ばし尽くした反動か、それとも自分の行動への現実逃避か。
全身を赤に染めた彼は、自らの生み出した足元の血だまりに溺れていった。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:42:35.95 ID:1Ic95nvW0
( ゚∋゚)「貞子……」

川д川「あらぁ? 先生じゃないですかぁ……もう遊びは終わりってことかしらぁ?」

クックルがミニ荒巻についてきた場所は、大方学園方面とは全く関係の無いところ。
国立公園の噴水周りのベンチに、髪の長い女は本を片手に座っていた。

( ゚∋゚)「人形使いの力、随分伸びたということか」

川д川「ですよぉ、私も知識管理部ですからぁ」

飄々とした態度で答える貞子。
彼女はゆっくりとした動作で手元の本を横に置き、クックルを静かに見つめた。

( ゚∋゚)「どうした?」

川д川「世の中って理不尽ですよねぇ?」

するとあまりにも突然、彼女は切り出した。

川д川「欲しくもない力を掘り出されて、半強制的に決められた仕事に従事しなければいけないなんてぇ……」

( ゚∋゚)「………それが最良の形に落ち着いてしまったんだよ、貞子」

川д川「私はケーキ屋さんになりたかったのぉ……」

( ゚∋゚)「しかし、今の社会は幾度の失敗を重ね、この形なってようやく安定を得た。
     それに反抗しようだなんて、あまりにも身勝手だと言えるんじゃないか?」

クックルは教え子であった貞子に、当時そうしていたような声で諭しにかかる。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:45:41.02 ID:1Ic95nvW0
川д川「……先生も知ってるでしょぉ?」

( ゚∋゚)「何をだ?」

川д川「幾度の失敗を続けてきた社会、でもその失敗の根源は、やっぱり社会だっていうことよぉ」

( ゚∋゚)「言ってる意味がわからないぞ?」

川д川「だぁかぁらぁ……! 私達が妙な力を持つようになったのはぁ……!
       自然発生なんかじゃなく……人が仕組んだことでしょって言ってるのよぉ!!」

髪を振り乱し頭を掻き毟り、やはり突然に貞子はヒステリックを起こし、叫び出した。

( ゚∋゚)「……言ってる意味がわからんな」

川゚д川「知ってるんだから!! この国を中心に『何か』を振り撒いて人や動物に悪い影響を与えていること!!
     それはたった数人の人間が手を引いて、私達はそのたった数人に踊らされてること!!」

( ゚∋゚)「………」

川゚д川「ばかばかしい!! 全然関係のない私達をどうして巻きこむの!!
      どうして人の可能性を奪うようなことができるの!! 目的はなんなのよ!!」

( ゚∋゚)「目的? そうだな……俺の目的なら言えるな……」

川゚д川「―――――!!  ―――――――――!! ――――――!!」

( ゚∋゚)「一度壊れたものがある程度元に戻ったんだ。なのにまたそれを壊すなど、それこそ馬鹿げているだろう」

既に彼女の声も彼の言葉も届いていない。彼女の周囲には、全てを断絶する壁が敷かれていたのだ。

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:48:36.89 ID:1Ic95nvW0
('A`)「……」

ノハ;゚听)「……」

(;`・ω・´)「……」

( д )「これで俺の知っている情報は全てだ……さぁ、殺すなら殺せ」

(;`・ω・´)「信じられないな……」

ノハ;゚听)「辻褄はあってる、のか? どうなんだドクオ」

('A`)「……さーな。でも、こいつがこの状況で嘘をつく理由もねえし」

(;`・ω・´)「それにしても話が大きすぎる……僕らが聞いてどうこうなる話じゃない……」

( д )「俺達でも、どうにもならないことかも知れんから、な……」

('A`)「おまえ……」

突き付け続けたドクオの爪には、彼の話を聞く間もいくらかの水滴が発生していた。
それはドクオの操る体液ではなく、指先からの汗でもなかった。

( д )「………」

揺れ続ける学園の空気を感じながら、確認も取らずに四人はその場で黙ることを決める。
無論、それぞれの体勢は変えてはいない。

ただ時間が流れるのを待つように、彼らの動きは完全に静止していた。

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:51:33.90 ID:1Ic95nvW0
(,,゚Д゚)「うお! しぃ!!」

(*゚ー゚)「ギコ君! 大丈夫だったの!?」

しぃ達は無事にデレを救い出し、運動場にさあ戻ろう、というところであった。
ハインらはしぃ達が合流したのを見てなんとなく空気を読み、つーを引っ張りつつ丘に向かって走っていった。

(,,゚Д゚)「おう、でもあの馬鹿兄貴はやっぱり馬鹿だったぜ」

(*゚ー゚)「そういうこと言わないのー」

(,,゚Д゚)「いやー、ありゃ仕方ねえよ」

(*゚ー゚)「もう……あ、そだ。あっちにつー達が居るから一緒に来ない?」

(,,゚Д゚)「まあ、どう動けばいいか正直わかんねえしな……」

(*゚ー゚)「じゃあ行こ! 頼れるボディーガード!」

(,,゚Д゚)「妙に照れるわぁ……」

そ立ち話も切り上げ、二人も石階段を踏み出した。
結局兄から言われた彼の『できること』は、とても単純で小さなこと。
彼らの最愛だった、または最愛であるしぃを守ること、それだけだった。
所詮不器用な彼にはそれくらいのことで手一杯で、それこそが最も重要なものだったのだ。

ダッΞ(*゚ー゚)「上まで競争!」

= (;゚Д゚)「おい、だから勝てねっつの!!」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:54:28.21 ID:1Ic95nvW0
(=゚ω゚)ノ「っと、教師かよぅ」

ぃょぅは職員棟の地下に向けて走って来ていた。
途中何人かの人間とすれ違ったが、出来る限りスルーしてやってきたのだ。
そんな彼が一本道を潜り続け辿りついたのは、大きな鋼鉄の門だった。

( ´∀`)「モナ?」

暗い暖色の電灯が点滅している。
あまり使われていないのがすぐにわかるようなものである。
ぱちり、ぱちり、と時折切れそうになる電灯は、その下の男の存在をちらつかせた。

( ´∀`)「ここが君達の目的かモナ? それとも君の目的かモナ?」

大きな黒の箱に腰掛けたその男はぃょぅにふにゃふにゃした声をかける。
箱はべったりと黒塗りにされた立方体で、座る男の足裏が丁度ぴったり付くくらいの高さだ。

(=゚ω゚)「答える義理はない。五体満足でいたいならそこを退け」

ぃょぅの声は低くなる。それは自らの腕を噛み、血を吸い出した高揚によるものだ。
血を力にする彼にとってこの行動は両刃の剣でありながら、唯一の切り札、最大の攻撃姿勢である。

( ´∀`)「いやだモナ。これは僕の最高の役割なんだモナ」

(=゚ω゚)「そうか」

瞬間、散った。
ぃょぅの立っていた床は彼の生み出した衝撃のみで爆音を上げたのだ。
音は彼の最大限の速度を証明し、彼はその速度を物理的な力へと変えた。

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 20:57:17.98 ID:1Ic95nvW0
(;´∀`)「く……あぁ……」

力を受けたのは男だけではなかった。それは背後の門をも巻きこむ突進エネルギー。
巻き添えを受けた鋼鉄は人の体内を撃ち抜いたような穴が空き、二人はそこを通過していた。
男の座っていた箱は彼ののやや後ろに転がっており、一部に亀裂が走っている。

(=゚ω゚)「この先か………」

ぃょぅが侵入した部屋の中は、まさに純白であった。
門外とは違い壁と天井が強烈な光を発し続けており、彼は一瞬、距離感を完全に失った。

(;´∀`)「行かせないモナ……」

(=゚ω゚)「……正直殺す気でいたが、改変手術か? ならばむしろ、今までよく生きていたな」

(;´∀`)「世の中には、色々あるモナ……」

口元から溢れてきた血を垂らし、仰向けに倒れたまま男は箱に手を伸ばす。
そこで彼が呻きながらもごそごそと中から引っ張り出したのは、一本の注射器だった。
形自体は注射器といえど太さは男の腕ほどはあり、先の針もその指ほどの太さだ。

(=゚ω゚)「おい、やめておけ」

(;´∀`)「う」

針を腕に刺し込む。本体は片手で支えている。
そこで頭突きしピストンを押し込み、一気に中の黄色の液体が男に吸い込まれた。

(=゚ω゚)「自壊も覚悟の上、なのか」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:00:07.81 ID:1Ic95nvW0
(  ∀ )「ヒヒヒヒヒ!」

数秒もたたないうち、その様子は急変する。

(=゚ω゚)「……」

(  ゚∀゚ )「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

笑ったのだ。
注射器を勢いよく抜き去り、駄々漏れになった血液を顔に垂らしながら。

(  ゚∀゚ )「僕はモナーだよ! ヒャ! よろしく!!」

両腕を、床を跳ね飛ばすようにして叩きつける。
そして箱に向き直り、ひび割れた部分に腕を突き入れた。
木製だったのか木くずを散らしながら箱の外形は吹き飛んでゆく。
その中から姿を現したのは、身の長い一丁の銃であった。

(  ゚∀゚ )「避けてみ!」

大きな鉄の塊同士を打ちつけたような音。
モナーはすぐさま手に持った銃を撃ち出したのだ。
全く構えを取ったわけでもなく、たまたま指が引っ掛かっただけのようなもの。
床に対しての発砲、むしろ誤射と言えるような。

(=゚ω゚)「!!」

しかしその弾は、確かにぃょぅのあご付近を横から掠めていった。

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:02:59.77 ID:1Ic95nvW0
(  ゚∀゚ )「ヒャ!! ミスったぜ!!」

銃を腹で構えた。ぃょぅとは別の方向を銃は向いていた。
そのあまりに長い銃身は、そこから少しでも床に傾ければ接地しそうなほどである。
モナーは頭だけをぃょぅに向け、機を伺うように先端をふらふらさせている。

(  ゚∀゚ )「あと五発!!」

(=゚ω゚)「跳弾か」

ぃょぅに迷っている暇はなかった。
彼が引き金にかけた指に、力が入るのが見えたから。

(  ゚∀゚ )「ヒャ!」

モナーは突っ込んでくるぃょぅとは未だ別方向に銃を構えている。

(=゚ω゚)「さっさと退け」

低い姿勢で走り込み、先程のような加速でモナーまで一気に接近。
そこで次の銃声が聞こえた。

(=;゚ω゚)「なっ、に……?」

発砲された銃弾はぃょぅの足を貫通し、走る勢いは逃げずに床に滑り込んでしまう。

(=;゚ω゚)「あり得ない……どうなっている……」

銃の角度とタイミングだけを見ればぃょぅの体には、それも足には到底命中しないはずであった。
そうでなくては、ぃょぅも正面から突っ込んでいくこともない。

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:05:48.99 ID:1Ic95nvW0
動揺が走る。

(  ゚∀゚ )「あと四発!!」

(=゚ω゚)「……」

足の血を流しながらも、今の不自然を考える。

(  ゚∀゚ )「ヒャ!」

この間でモナーはぃょぅの隙をついて距離を取っていた。
ぃょぅが跳びかかるのに一秒は使いそうな遠さ。
既に次弾を撃つ気はまんまんらしく、今度は完全にぃょぅに向けている。

(=゚ω゚)「……(立ち位置?)」

先程のような芸当が常にできるならば、線が見えるようには構えない筈。
しかしモナーは真正面に銃を構えている。先程のようにふらふらさせてもいない。
これは挑発とも取れるが、残弾数の宣言が本当なら確実に当たるような行動をとるとも考えられる。

(=゚ω゚)「……!」

ふと、視界の端に不自然を発見した。
足を弾が貫通した際に飛んだ血の一部が、不自然に宙に浮いて見えたのだ。

(=゚ω゚)「……(床と壁、それと全く同色の柱か何かが点在しているのか……?)」

(  ゚∀゚ )「ヒャヒャ!!」

二度目の笑い声。このぃょぅの思考時間、彼にとってはあまりにも長すぎたのだ。

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:08:41.61 ID:1Ic95nvW0
銃声。

(=゚ω゚)「見えるぞ」

真正面、右手を振り、はじく。
体には命中せず。
小指と薬指を犠牲に、突進した。

(  ゚∀゚ )「ひゃっ――」

(=゚ω゚)「遅い」

高速を持ったぃょぅの左手が腹を穿った。
モナーはそのままだらりともたれかかる。
二人に引っ掛かるようになった銃口は真下を向いてしまっていた。
そして、穿たれた穴の隙間から溢れるのは血。

(  ∀ )「ヒ……あ……」

粘性を持つ血は、ぽたり、と床を幾度も叩いた。
それはモナーの熱が抜け出ていくことを明確に示している。

(=゚ω゚)「抵抗をしないと誓うなら、楽に殺してやる」

(;´∀`)「………誓い、は、他で立ててるモナ……」

(= ω )「そう、か」

目を伏せるが、即座にぃょぅは腹を突きぬけていた腕を素早く横に振るった。
腕は一瞬も止まらない。たかが人体、ぃょぅの力をすれば引き裂くのはあまりに容易かった。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:11:30.44 ID:1Ic95nvW0

(  ∀ )「………」

(=゚ω゚)「すまない」

二つに千切れかけた体、ぃょぅは右手でその頭を掴み、仰向けに叩きつける。
モナーの血はその場で広がることをやめず、白かった床は赤に染まり、部屋の光は赤をてらてらと照らす。
だがそれでも、モナーは引き金から指を外さなかった。

(  ∀ )「あと、三……」

銃の先端がピクリと動く。

(=;゚ω゚)「これでも、まだか!」

(  ∀ )「、、、も………な……!」

ぃょぅがモナーの頭を握り潰す寸前に、引き金には力が込められた。

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:14:23.28 ID:1Ic95nvW0
/ ,' 3「それにしても……渡辺は何処に行ったんじゃ……」

呟く荒巻。
対話も早々に切り上げ、校長室に一人籠っていた。

从'ー'从「何処って、ちゃんねるにここの掃除を頼みに行ってたんですよぉ〜」

窓から侵入してきたのは荒巻の呟いたその人であった。
羽毛まみれの背から六枚の翼をはばたかせ、普段のような軽い声で窓枠に腰掛ける。

/ ,' 3「そこまで急ぐこともなかろうが……」

从'ー'从「それと、生徒の補充ですかね〜」

/ ,' 3「む? どうしてじゃ?」

从'ー'从「えーっと〜、衛星からの画像です〜」

渡辺は胸ポケットから折りたたんだ紙を取り出した。

/ ,' 3「なんじゃこれは、よくわからんわ」

荒巻はそれを受け取り眺めるが、即座にポイ捨てする。

从'ー'从「だって一枚しかもって来れなかったんです〜。これすっごい火事なんですけど〜」

拾う渡辺。

从'ー'从「これで初等部の生徒が大分削られちゃったんです〜」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:17:07.93 ID:1Ic95nvW0
/ ,' 3「それは、随分気の早い者も居たものだな………」

从'ー'从「絶対に失敗しない気で居たんでしょうね〜? 
      他の学園都市でも同じように襲撃を受けたとの報告があったそうですよ〜」

/ ,' 3「しかし、何処も潰れなかった。そうじゃろ?」

从'ー'从「所詮寄せ集めですし、ニュー速のような祭りをしていない学園が大半でしたから〜」

そこで校長室の扉が開いた。

( ゚∋゚)「戻りました」

( ФωФ)「なかなか骨が折れたのである……」

/ ,' 3「御苦労じゃ。モナーはどうした?」

( ゚∋゚)「あそこは通信が届きませんから、放っておけば今日一日は座って待っているでしょうな」

从'ー'从「うん、ありそうだね〜。あの人変に律儀だから〜」

/ ,' 3「通信……ぬ? そういえば無線はまだ使えぬのかの? おじいちゃんは寂しかったぞい」

( ゚∋゚)「つい先ほど、うちのビコーズが技術局と組んで妨害電波を出す集団を捕まえたそうです。
     なんでも生徒のしわざであったとか。まったく、タイミングの悪い子らで困りますよ」

( ФωФ)「ところで校長、今後の対応についてはどうなさる?」

/ ,' 3「ま、それは今日明日中にでも宣言するわい」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:20:08.62 ID:1Ic95nvW0
('A`)

ノパ听)

(`・ω・´)

( д )

あれから二時間ほど、四人はその空間を維持し続けた。
外がまた騒がしくなりつつありながらも、そのまま。

('(゚∀゚∩「……(出るに出られないよね……)」

( ・∀・)「うん…………」

その間も二人は放送室で体育座り。
出て行けばどうしても間が悪くなってしまいそうであったのだ。

(`・ω・´)「ん……」

この間シャキンは申し訳程度に周りの動きを感じ取っていた。

('A`)「どうした」

(`・ω・´)「なんかいっぱい人が来る」

足音はその言葉を待っていたかのように講義棟から響いてくる。
それは幾つもの金具を擦れ合わせながら、ドクオ達の元に数人を残して走り去っていった。

( ´Д`)「ちゃんねるからきますた」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:22:49.72 ID:1Ic95nvW0

/ ゚、。 /「初等部はこっちです! 急いでください!」

ショボンに言われていた通り、彼女はちゃんねるからの応援にうまく対応した。
そして今、かなりの遅れを見せながらその彼のところに向かっていた。

/ ゚、。 /「無事だよな、無事でいてくれ……」

走る速度を合わせられない。
はやる気持ちは後ろの車両すら越えた速度を生み出してしまいそうになる。

それでもなんとか、目的地に先導することはできた。

/ ゚、。 /「え……」

しかしだ。
到着した彼女を待っていたのは黒ずんだいつか住んでいた寮。
その手前一面に広がる、真紅の海。

(‘_L’)「ここからは私達の仕事です。あなたはあまり見ない方がいい」

先頭のダイオードを押しのけ、彼女が連れだって来た男達は澄ました顔でその掃除を始めた。

/ ゚、。 /「なにが起きたんだ……これ……」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:25:46.24 ID:1Ic95nvW0

(‘_L’)「本部からの情報では、あの『神手』が単独でこの状況を、とのことですよ」

/ ゚、。 /「あのシンシュ、って、ニュー速の眉毛我ショボンのこと、ですか?」

(‘_L’)「よくご存じで。私達も彼の存在を噂では聞いていましたが、まさかこれほどの力があるとは驚きです」

/ ゚、。 /「彼が寮に放火をしたのですか?」

男はダイオードの表情を見て、はっとした顔をし、首を振った。

(‘_L’)「いえ、放火と子供達の殺害はそこの死体のようです。申し訳ない、誤解を招くような言い方でしたね」

/ ゚、。 /「……」

(‘_L’)「それでは、私もこちらの処理をしますので……」

彼は車内に戻っていった。
なにか道具を取り出しに行ったのだろう。
それを見たダイオードは振り返り、フサギコの元に走ることに決めた。

/ 、  /「……ぅ、なんだか、すごく疲れた気がする」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:28:40.64 ID:1Ic95nvW0

lw´‐ _‐ノv「ふーむ、あれは都市警備か? 随分遅いな」

ハハ ロ -ロ)ハ「装備からして違うわね、あれはお上の運営よ」

丘の上、シューは時々双眼鏡で下を眺めていた。
ほかの女性達+αはこちらに戻ってきて以来、気を抜きっぱなしで雑談をし続けている。

lw´‐ _‐ノv「運営? なんぞそれ」

ハハ ロ -ロ)ハ「首都最大の総合戦術部隊って話だけど、あの様子じゃよくはわからないわね」

lw´‐ _‐ノv「ほう……ならニュー速の都市警備は何をやってるんだか……」

ハハ ロ -ロ)ハ「きっとだらしないのよ」

lw´‐ _‐ノv「なる」

そんな状況、二人は地味に意気投合していた。

ハハ ロ -ロ)ハ「うーん……まだ時間かかるみたいだし、あの犬で遊びましょっか」

lw´‐ _‐ノvb「よし乗った!」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:31:35.91 ID:1Ic95nvW0
( ><)「あ、先生?」

('、`*川「あら……」

ペ二サスが目を覚ましたのは休憩室であった。
寝転がる横長の椅子、その側の自販機の光がぼんやりした頭を起こそうと網膜をつつく。

( <●><●>)「あ、起きましたね」

('、`*川「……どうしたの?」

(;><)「それはこっちの台詞なんです! みんながおとなしくなったと思ったら先生もなってたんです!」

('、⊂川「あ、そうか、私倒れてたのね……」

目をこする。

('、`;川「……はっ!! それで結局どうなったの!?」

(*‘ω‘ *)「きっとハイン達が人を呼んでくれたんだっぽ、なんか来たっぽ」

( <●><●>)「何人かはその人たちに連れていかれましたが、他は問題なくそれぞれで休んでいますよ」

('、`*川「そう……」

息を吐く。
彼女には先の出来事がどのようなものあったかの判断はできなかった。
今はただ、理由もなく安心しているこの頭に波風を立てぬよう努めた。

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:34:17.57 ID:1Ic95nvW0
ミセ;゚ー゚)リ「いや……なんで二人ともぼろぼろなの?」

(:#ω(#)「こいつが中二病をこじらせてたから成敗したんだお」
  _
( #∀;)「だってだってだってぇ!」

川 ゚ -゚)「おいジョルジュ、服を着ろ」

ξ;゚听)ξ「話が読めない……」

(:#ω(#)「かいつまんで言えば、
       こいつはちょっと精神年齢高い小学生の思考でここまで来ちゃったんだお」
  _
( #∀;)「ちげーよ! お前が予想外に達観してたんだよ馬鹿!!」

(:#ω(#)「そっちがガキすぎるんだお!! うだうだ言い訳ばっかすんなお!!」

⊂ミセ*゚Д゚)リ⊃「あーもうストップストップストォォォーップ! ツン! やっちゃって!」

ξ゚听)ξ「へ? あ、うん」

ジャララララ ←鎖
  _
( #∀;(#ω(#)「いたい!」「おっ!」

鎖→∞⊂ミセ*゚ー゚)リ「よし! これで連れ帰ろう!」

川 ゚ -゚)「だな。ツン、肩」

ξ゚听)ξっ「うん、ありがと」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:37:15.28 ID:1Ic95nvW0
 ぴーん♪
        ぽーん♪
               ぱーん♪
                      ぽーん♪

『教頭の渡辺ですよ〜。
 
 知ってる人は知っていると思うんだけど〜、今日のお祭りはパニックマンデーだったね〜。
 なので今回は三時で切り上げちゃいま〜す。そのパニックについても、明日集会がありますよ〜。
 
 場所は第一運動場で、一時からだよ〜。いろいろあると思うけど、全員来るようにね〜。
 来なかった人は除名するかもしれないよ〜。あ、もう帰りたい人は寮に行ってもいいよ〜。
 
 今回のお祭りは成績にいれないからね〜。
 それでは〜。     ブ――――――――     あれ? どうやって切るの?  』

ブツッ

( ・∀・)「……」

('(゚∀゚∩「………」

从'ー'从「ありがと。じゃね」

トコトコ

( ・∀・)「ドクオ達連れて帰るかぁ……」

('(゚∀゚∩「それがいいよ……」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:40:09.24 ID:1Ic95nvW0
割愛して翌日。

从'ー'从『みんな集まってるね〜。なんだか実行委員さんが頑張ってくれたみたいですけど〜』

ザワザワ

(:□ω^)「なんだか昨日は凄まじかったみたいだお……」
 _
(;゚∀メ)「人の事言えるのかよ……いてて……」

从'ー'从『今日はそんなに時間は取らないから安心してね〜』

(;゚Д゚)「おいドクオ……その傷どうしたんだよ……」

('A`)「階段から落ちた」

川 ゚ -゚)「絶対違うだろう、そんな階段があるなら紹介してくれ」

从'ー'从『それでは校長先生からのお話だよ〜。重要な話だからちゃんと聞いてね〜』

ミセ*゚ー゚)リ「あれ?シャキン君居なくない?」

(*゚ー゚)「なんか昨日の夜から居ないみたい、ギコ君も連絡とれないって言ってたよ」

lw´‐ _‐ノv「ふーむ………眉毛め、私から逃げたな……?」

/ ,' 3『キィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!』

(:□ω^)「なんかめちゃくちゃうるさいお……ハウリングかお……」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:43:00.64 ID:1Ic95nvW0
/ ,' 3『びっくりしたじゃろ、今のはわしの地声じゃ』

(;・∀・)「うっわぁ超うぜえ……」

/ ,' 3『冗談はさておき、今言ったように今日は話を簡潔に済ませようと思う』
  _
( ゚∀゚)「なんだろーなぁ」

ξ゚听)ξ「一週間くらい休みになるとかかしら?」

( ^ω^)「確かにそれくらいは休まないと体が突然爆発するお」

/ ,' 3『ニュー速はこれより四月まで、学園としての機能を一旦凍結する』

( ^ω^)  ・・・
  _
( ゚∀゚)   ・・・

ξ゚听)ξ  ・・・
  _
(;゚∀゚)(;^ω^)ξ;゚听)ξ「「「え?」」」

/ ,' 3『詳細は今後学園掲示板に随時追加しておくので、興味のある者は覗くといいじゃろ』
  _
(;゚∀゚)「ちょ、ま、やべえよこれさすがの俺もうまいこと反応することが出来ねえよ」

(;^ω^)「なんでだお? 内情はそんなに酷いのかお?」

ξ;゚听)ξ「これから半年どうするのよ……」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:46:12.86 ID:1Ic95nvW0
ザワザワ

从'ー'从『はーい静かにー。次は生活指導のロマネスク先生からもお話がありますよ〜』

('A`)「……なぁ」

ノパ听)「……ああ。やっぱり教職員の大半は入れ替えがあるのかな」

('A`)「あいつの言ってたことが本当ならそうだろうな。多分都市内の他んとこでも洗い出しがあるんじゃねえか?」

ノパ听)「そう考えるとなんか、ニュー速も信用できないよな……」

('A`)「ま、世の中ってそういうもんなんじゃね? 俺達ガキにはわかんねえ世界だよ」

( ФωФ)『静かにせんか』

ピタ

( ФωФ)『諸々の事情でそうなったのだ。つべこべ言わずに受け入れろ』

( ・∀・)「……(オウボウダー オウボウダー)」

( ФωФ)『これから半年間学園の機能を凍結するとは言ったが、ここは学園都市ニュー速だ。
        皆在籍していることには変わりなく、間違いなく本校の学生である。
        今のところ四月からは祭り終了後に予定していた講義等を元通り再開するつもりだ。
        なので最低でも、前期末及び今学期当初以上の状態、学力を維持するように努めろ。

        ちなみに今から半年分の予習をするのも大いに結構。手は少ないが対応は確実にする。
        言っておくが、半年の間遊び呆けているような輩が居れば、吾輩が直々に粛清するのである』

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:48:58.43 ID:1Ic95nvW0
( ФωФ)『吾輩からは以上。質問は面倒だから禁止だ』

从'ー'从『は〜い、ありがとうございました〜。
      というところでうん、今日の集会は終わり。みんな帰っていいよ〜』

ザワザワザワザワ

(;^ω^)「え、なんかすごい勢いで終わったお……」
  _
( ゚∀゚)「まーいーじゃねーか! 自由な時間が半年も伸びたんだぜ!」

ξ゚听)ξ「確実にだらけるわね……」


( ・∀・)「あれぇ? 俺達はどうなるんだ……?」

ミセ*゚ー゚)リ「わたしあとでクックルさんに聞いてくるねー」

川 ゚ -゚)「一緒に行こうか?」

ミセ*゚ー゚)リ「いや、ちょっと聞きたいことあるし、一人でいいや」

( ・∀・)「そういやなんで教官と親しげなんだ?」

ミセ*゚ー゚)リ「お父さんの同僚だったからねー」

( ・∀・)「ふーん、そうなのか」

川 ゚ -゚)「なんと、知らなかったぞ」

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:51:47.32 ID:1Ic95nvW0
('A`)「んー……」

ノパ听)「どうした?」

('A`)「いや、やっぱなんでもねえわ」

ノパ听)「無意味に意味ありげな態度見せるなよー」

('A`)「そのほうが裏がありそうでかっこいいからな。……よし、ブーン達とじゃれ合いに行こう」

ノハ*゚听)「……うん、そーだな!! 久々にヒャッホウしなきゃやってられない!!」

(*'A`)「行くぜ!」

ノハ;゚听)「ちょっと待て走るな! 傷口開くぞ!!」

(#'A`)「まだ致死量じゃない! 逝ける!」

ノハ;゚听)「だろうね! 逝くよね!」


( ^ω^)「珍しくドクオからこっち来たお」
  _
( ゚∀゚)「ついに攻勢に出たか! ツン! 逃げろ!」

ξ;゚听)ξ「え!? あのテンション私に向かってるの!? 最悪!!」

( A )「ほそぁっ……」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:53:57.71 ID:1Ic95nvW0
( ^ω^)「うわ、血やばいお」
  _
( ゚∀゚)「あのまま死ねばいいのに」

( ・∀・)「死ねエロガッパ!」

(;'A`)「ぅぅ……死ぬならてめえは最低でも殺す……」

(;・∀・)「なんでだろう絶対俺のポジションおかしい……」

ミセ*゚ー゚)リ「確かにねー。どこでやらかしたんだろうねー」

川 ゚ -゚)「夏」

ノパ听)「うん、夏だな!」

ξ゚听)ξ「そして今も続く終わりの見えない残暑のせいね、モララーの頭の中だけ」

( ^ω^)「それより半年何するか考えるお」
  _
( ゚∀゚)「だな! 人もっと集めようぜ!」

(*^ω^)「だおー。一旦みんな集めるお!」
  _
(*゚∀゚)「あふん! テンション上がってきたー! これから毎日がエブリデイって狂ってるぜ!!」

(*^ω^)「だおだお! 僕達の中だるみはこれからだお!」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:56:27.06 ID:1Ic95nvW0






第二十話「終局は突然に」・終わり





118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/19(土) 21:58:01.02 ID:1Ic95nvW0
さいご「断線。。。」

階下から爆音が聞こえる。

その理由は全て知っていた。見てきたのだ。
世界のどこにでも居る、自らの思念の欠片を介して。
少し、私の欠片は余計なものを多分に見過ぎた気もするが。

ああ、どうしてこうなってしまったのだろうか。
私自身、間違いが多かったのはわかっている。
荒巻の言う通り、人は神に成れはしないことも。

しかし、私はその真似事を一時的にすら為せる器でなかったようだ。
その事実はあまりに虚しく、あまりに悲しい。一体どこで、彼らと違えてしまったのだ。

発現からの六十年、私は一体何のために道化を演じてきたのだろうか。
何のために、世界から炙られかけていた仲間を守ってきたのだろうか。

部屋の扉が吹き飛んだ。

こちらへ向いた銃口は答えを知っているのか。
この不完全な選択の結果を示してくれるのか。

私は溺れ流された時間に覗いた一本の藁を掴むため、手を伸ば―――

おしまい。。。


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