( ^ω^)達の中だるみな一年のようです

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 20:05:29.72 ID:y3LYUWpu0
第七話「羽の追跡者」

( ´ω`)「はぁぁ、始まってしまったお……」

(`・ω・´) 「どうせ暇だったんだからいいだろ?」

( ´ω`)「暇潰しに座学するやつはいないお……」

ブーン達は休み明け一発目の授業を受けていた。
三年生は二年生からただ学年が上がるのみで、それに関して学園側の説明は皆無である。
というか、必要がない。一年から二年に上がる際に進級についての説明は丸ごと済ませているのだ。
なので学年でのそういった集会なども当然無い。掲示板には今年度の行事予定と、中だるみに関して少し触れていた程度だ。

(`・ω・´) 「それは言えてるな。寝てるアホもいるし」

シャキンが指さすのはブーンの右後ろ。昨日ペ二サスに決定打を決め損ねたふがいないノッポだ。
頬杖をつき、アホな面を下げて呑気に惰眠を貪る。

( ^ω^)「まったく、あいつは今何の授業か理解してないのかお」

( ´∀`)「――よって、ひろゆきは今も危険人物として世界に認識されてるモナ。それに対するための我々V――」

現代史である。なぜブーンがそんなことを呟くのかといえば、この授業の担当、モナー先生が相当なスナイパーなのだ。
『チョークスナイパー・モナー』彼はこう呼ばれている。なにやら絞め技のようだ。
彼は寝ている生徒を認識すると、いかなる位置に居たとしても的確に対象の額を貫く正確さを持っている。
ましてや今日は今年度最初の授業。彼の自称するSBS(スリーピング・ブレイク・センサー)が活発でないわけがない。

( ´∀`)「ジョルジュ。聞いているかモナ」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 20:10:48.62 ID:y3LYUWpu0
捕まった。彼は捕まってしまった。
  _
( ‐∀‐)「……すぅ……」

頬杖に寝ている彼は当然返事などできない。モナーは無言で両手の指の間にチョークを構えた。
ジョルジュの周りの生徒は彼から距離を取った。巻き添えを食うかもしれないのだ。

(#´∀`)「ふん……。ならば新年度一発目の我がチョーク、受けるがいいモナ!」

両手を振った。凄まじい速度で投げ出された6つのチョーク。
一つ目と二つ目はジョルジュの机を跳ね返り、ジョルジュの額へ。
三つ目と四つ目はジョルジュの左右の机の縁に跳ね返り、ジョルジュの額へ。
五つ目と六つ目は天井をぶつかり、ジョルジュの机に落下、跳ね返り、ジョルジュの額へ。

連続でチョーク達はジョルジュの額に時間差攻撃を仕掛けた。
  _
(;゚∀゚)「ぐ、ぬうっ、あっ!」

座っていた椅子を吹き飛ばして、額を白く染めた男が立ち上がった。
モナーと目が合うと声だけで謝罪する。愚かな彼は頭は下げなかった。
  _
(;゚∀゚)「はっ!すいません!」

(#´∀`)「立つか!我がチョークの洗礼が足りんと見たモナ!」

モナーは追撃に備えていたのか既に手に幾らかチョークを握っている。
そして持った右手を素早く三回振った。当然チョークが飛び出す。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 20:16:11.69 ID:y3LYUWpu0
最初に投げられた三本は真っ直ぐジョルジュへ。
ついで投げられた二本のチョークは三本に追いつきそうな速度だ。
最後の一本はかなりの弾速である。そして先の二本に追いついた。
そこでチョークはぶつかり弾け、隣接した三本も弾ける。

それらはショットガンのように散らばり、既に白く染め上げられた額に迫った
  _
(  ∀ )「ドゥッ!」

白い破片と奇声とともに彼は倒されてしまう。
それからモナーは袖からチョークを取り出し、授業を再開した。

………
  _
( З∀З)「いやー不覚だったぜ……」

(`・ω・´) 「あのモナ野郎の授業で寝るなんて恥ずかしいな」

(,,゚Д゚) 「お前顔洗って来いよ。きたねえ」

( ^ω^)「あれ?しぃと一緒じゃなくていいのか?」

(,,゚Д゚) 「これから男女で授業分かれるだろ。先行った」

( ^ω^)「お、ツンは行かなくていいのかおー?」

彼らの近くにボーっと突っ立ってたツンに気付き声を掛ける。
少しの間を置いた後に、息を吐き出しつつ彼女は返答した。

ξ゚听)ξ「あ、のさ!昼は食堂来てね!絶対ね!」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 20:21:41.00 ID:y3LYUWpu0
小走りで走って行った。不可解な行動だ。なぜなら、

( ^ω^)「いつも一緒じゃないかお……」

('A`*)「グヒヒ、ツンたん萌えぇぇ」

( ・∀・)「ドクオは気持ち悪いな!行こうぜ!」

ペ二サス戦の面子が不本意にも集まってしまい、その流れでブーン達は移動する。

講義棟を出たブーン達。春の陽気に当てられながら、目的の第一運動場へ向かう。
すれ違う生徒はみな、(特に一年生と思しき生徒が)やたらニヤニヤしていて、新年度開始の浮かれっぷりが目に見えるようだ。

(* ><)「ぬふふー、中等部の訓練楽しみなんです!」

( <●><●>)「君がトチるのはわかってます」

(*‘ω‘ *)「早く行くっぽ!おくれるっぽ!」

なんか初々しいからおそらく一年生っぽい三人組がすぐ横を駆けてゆく。ブーン達にもあのような頃があったのだ。
それぞれ感傷に浸ったり浸らなかったりしつつ、どうでもいいことを喋りながら到着した。

( ^ω^)「遠いお」

学園の施設からいくらか離れ、緩やかではあるが長い階段を上った小さな丘の上。ニュー速第一運動場。
屋内競技場のついでのように併設された第二運動場とは違い、ここには整頓されたトラックや陸上競技用の設備が充実する。
今回ブーン達がここに来たのは陸上競技のためではなく、体育の授業のためだ。

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 20:27:00.16 ID:y3LYUWpu0

ニュー速学園、およびこの国の学園都市系列は一般的な教育機関に比べ少々特殊なもので、
行われている講義、授業も一般的でないものが多い。

しかし公的な教育機関である以上、学園としての義務である、
世間一般に行われる授業は最低限執り行わなければならず、それの一つとして今の体育が行われるというわけだ。
普段訓練でトレーニングや走り込みなどを頻繁に行うので、
この授業はほとんど意味を成さず、実質的には無駄、ただの遊びと化している。

この学園にはそういった無駄な部分が多い。特に後半になるにつれて授業内容の被り部分が増えている。
本来中学生のカリキュラムに当たる初等部が三年間なのに対し、
高校生のカリキュラムに当たる中等部が四年間であるのもここに少なからず理由がある。

(`・ω・´)「今日はなにやるんだ?」
  _
( ゚∀゚)「サッカーだぜ!」

(;゚Д゚) 「マジかよ……ああ、じゃあサッカーな」

適当に周りに声を掛け適当に開始。担当教諭はいない。律儀にやってくる生徒も暇つぶしが目的になっている。
テストなどしなくてもここの生徒はその年齢の運動能力の基準を大幅に上回っていることがわかっているためだ。

要するに、ごちゃごちゃ言ってはいるが結局ずさんな教育体制を持ってしまっている学園である。

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 20:32:39.31 ID:y3LYUWpu0
  _
( ゚∀゚)「いくぜ!黄金の右!」

(`・ω・´) 「いや抜くの早すぎだよ」

開始と同時にシャキンを筆頭にしたディフェンダーを瞬時に突き破ったジョルジュ。
三年では球技において最強を誇るその自慢の脚力をもって渾身のミドルシュートを放つ。

(,#゚Д゚) 「させるかよ!」

ジョルジュに対して球技全般がダメなギコは、いつも誰もやらないポジションを押し付けられる。今回はGKである。
彼はアホに蹴り飛ばされたボールに備え、槍を六本取り出しゴールを守護するように刺した。
  _
( ゚∀゚)「卑怯な!」

当然ボールは弾かれ、ゴール手前に落下する。ギコはそれを保守しに駆けるのだが、視界は暗い。太陽が誰かの陰で遮られている。

( ^ω^)「決めるお!」

(,;゚Д゚) 「やm――」

無常にも突っ込んできた奴は足を振り抜いた。

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 20:39:28.33 ID:y3LYUWpu0
至近距離で蹴りだされたボール。ギコとボールは対照的な軌道で吹き飛ぶ。
それでもギコは鼻血を噴き出しながら這いつくばり、ゴールの守備についた。

( ^ω^)「もう一発!」

浮き上がったボールはかなり高い位置まで舞い上がる。
ギコが立て直す間に、それを蹴り出す位置まで飛びあがっているブーン。

(,,゚Дメ) 「させん!」

大剣を取り出し、高所から蹴りだされたボールを剣の腹で正面に打ち返す。
その先には今の今までまでシュートを打ちこんでいた彼らとは違う相手。

(,#゚Дメ) 「くっそぉぉぉぉ!」

始まったチーム関係なしの怒涛のシュートの嵐は、防ぐギコの体をみるみるうちにボロ雑巾に変えていった。


そんな日常を満喫するブーン達の耳に、若々しいエネルギーを持った声が響く。

('、`*川「あなた達!先生はどうしたの!」

ペ二サスである。なぜかこんなところまでやってきていた彼女は、懸命にサッカーに勤しむ少年達を叱りつけた。
  _
( ゚∀゚)「いません!」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 20:45:06.92 ID:y3LYUWpu0
('、`*川「そんなわけないでしょ!言いなさい!」

(`・ω・´) 「本当ですよ。そんなところです。ここは」

('、`;川「そんな馬鹿な……最も歴史ある学園都市のニュー速がそんなに適当なわけないじゃない!」

('A`)「その崇高なイメージは取っ払っておくんだな。
    ここは国で五本の指に入る程適当な学園都市だと荒巻も言っているぞ。まあ、その様子だとやはり外面はいいみたいだが」

('、`*川「ちょっと確認してきます!」

サッカーをしながら受け答えをする生徒達に嘘をついている色は見られなかったようで、ペ二サスは身を翻す。

( ^ω^)「先生待つお!どうせ意味ないからキーパーでもするお!先生なら面白そうだお!」

さまざまな武器を出し、ボロボロになってゴールポストに寄りかかるギコを指しながらブーンが言った。

('、`#川「いやです!」

(ウдメ) 「確認はあとでもいいだろ……代わってくれなきゃ一生徒の俺が死ぬぞ……」

瀕死の男子生徒は悲壮な目で助けを求めている。捨てられた子猫のような弱弱しさだ。
そこに母性本能をくすぐられたわけではないが、ペ二サスは口をへの字に曲げ、

('、`;川「うう、解りましたよ!もう!」

ゴールの前に立つ。
その後の彼女は半ばやけくそで、20人ほどが次々とぶっ飛ばしてくるボールを全て弾き飛ばした。

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 20:50:11.81 ID:y3LYUWpu0
そして男子全員を完封したペ二サスは、終業のチャイムとともにどこかしらへ駆けていった。

('A`)「あの説明口調といい、忙しいねーちゃんだな」

( ^ω^)「鉄壁の守備だおー」

(`・ω・´) 「ギコ、大丈夫か?」

(,゚нメ)「意外と大丈夫だ……」

('A`#)「このッ!腑抜けがッ!」

○ 「死ね、河童……」

( ・∀・)「ブーン、食堂に急がなくていいのか」

( ^ω^)「ああ、そういえばなんかツン用事あるっぽかったお」

('A`)「なんだと?ツンちゃんが?」
  _
( ゚∀゚)「おめーには関係ねーだろドクオ」

('A`)「俺への告白の相談かもしれないだろ?」

( ・∀・)「無いな。そうだったらこの学園に居る野郎共全員の顔がゴキブリにすまんなんでもないうわ爪向けんなっておい」
o プシュー
щ('A`)「……ったく、誰かイケメンホイホイ作れよ」

( ^ω^)「うーん、早歩きで行くお」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 21:01:24.34 ID:y3LYUWpu0
講義棟前の横に長い平屋の建物。500人分の席が準備されており、昼食時には腹をすかせた学園生達が群がる。完全に食わせるためだけの場所だ。
五人を置いてブーンは先に到着し、入り口の奥でツンと合流するのだが、隣には見慣れない女の子がいた。

ξ゚听)ξ「あ、ブーン。いつもより早いのね」

( ^ω^)「全力疾走で来たお、ちょっと疲れたお。んで、そっちの子は?」

ξ゚听)ξ「そうそう、今日あなたを呼んだのはこの子が会いたかったからなの。ハイン、自己紹介よ」

ツンが促した相手の少女。髪は毛先のほうが茶色でてっぺんに行くにつれて白く、片目を隠すほど長い。
背丈は小柄なツンよりさらに少し低いぐらいであろうか。ブーンと頭の位置が遠いようだ。
緊張しているのかなかなか第一声が聞けず、ツンがつんつんと彼女の背中をつつく。つんつん。

从 ゚∀从「はっ!あの!私は一年のハインリッヒ高岡です!あの、ハインって呼んでください!」

ぶわっ、と突然髪を振り乱し、大声であいさつする。
幸い食堂は昼飯時の喧騒に包まれていたため、特別その声が目立つことはない。

(;^ω^)「うおぁ!びっくりしたお!」

从*゚∀从「えっと、それと、好きです!付き合ってください!」

ξ Д )ξ「馬鹿なッ!!」

そしてそのままのテンションで告白した。突然のことに、ツンは条件反射なのか唾を吐きだしながら低い声で唸った。

( ^ω^)「……は?」

从*>∀从「昨日のペ二サス先生との戦い、先輩凄くかっこよくて!私にも武術を手取り足とり教えてもらったりなんかしちゃったり!」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 21:06:45.59 ID:y3LYUWpu0
(;^ω^)「いや、ちょ、ま」

ξ;゚听)ξ「ハイン、落ち着いて」

从*゚∀从「先輩の足技凄いですよ!先生にすっごい連打入れて!あれで惚れちゃいました!きゃー!それでですね、あの――」

(#゜ω゜)「……やかましゃー!!」

从;゚∀从「わあぁ!」

怒涛のような彼女のアプローチを、おもむろに頭を鷲掴みにし強制的に止めたブーン。アイアンクローだ。
対してハインは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしている。

(#゜ω゜)「うるせーお!もっと順を追って話せお!そもそも!僕のペースに合わなそうなお前と付き合えるかぁぁ!」

相手に主導権を握られたくないブーンはキレた。初対面の、しかも後輩に当たる女の子に。

ξ;゚听)ξ「ブーン落ち着いて!加減し……てる、か」

そう思うツンの目の前には、自分の頭を掴む手を、にこにこと嬉しそうに両手で握る前髪の長い女。
ブーンは不覚にもそのしぐさが可愛いと思ってしまった。

从*"∀从「ぐへぁ、先輩の手だぁ」

( ゜ω゜)「せーい!」

雑念の中、なんとか手を振り払うブーン。やたら勢いをつけた腕は横へ。
ハインはその反動でくるりと一回転し、きっちり止まるとニヤニヤしながらブーンを見つめた。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 21:11:49.28 ID:y3LYUWpu0
从*>∀从「せんぱーい!」

とりあえずサヨナラしよう。なんだか面倒そうな相手だ。
あとはツンに任せる。そうだ、そうしよう。ツン、すまない。
頭の中で見切りをつけた。さらば、あと、髪切れよ。

ブーンは食堂出入り口へ歩き出した。

从 ゚∀从「あ、待ってくださいよ!」

ξ゚听)ξ「……」

食堂を出たブーンは別のところで飯を食うことにした。それに付き合ってくれるであろう相手を捕まえに、先程来た道を戻る。

从*゚∀从「せんぱぁぁぁい!!」

奴が追いかけてきた。走っている。まずい。距離を詰められる。

( ^ω^)「っ!」

負けじとブーンも地を蹴る。

こうなったらイケメンのモララーに何とかしてもらう。
全力で走った。ジョルジュ達に合流するのももうすぐのはずだ。

桜を散らしながら駆けていると、ジョルジュ達の一団が見えてきた。
  _
( ゚∀゚)「あ?ブーンなんで走ってんだ?」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 21:17:25.15 ID:y3LYUWpu0
(`・ω・´) 「馬鹿だからなぁ」

( ^ω^)「いた!モララー!顔貸せお!」

(; ∀ )「なんどぅっふ!」

走り込んだままボディーブローで囮となる男を沈黙させ、走ってくるハインの対処に回る。
それにしても彼女もかなり足が速い。俊足のブーンとの距離を離されていないのだ。

(;^ω^)「ハイン!」

从*゚∀从「はい先輩!」

ぴたりと目前で停止。彼女の毛並みも相まって、まて、と言われた犬のようだ。

( ^ω^)「こいつはモララーだお。実況でいたの覚えてるかお?」

从 ゚∀从「はい!いい声のイケメンさんですよね!一年生のみんなが話題にしていました!」

( ^ω^)「こいつ、ハインのことが気に入ってるみたいなんだお。ちょっと構ってやってくれ、お!」

そしてブーンはノックアウトされたモララーをハインに蹴りつけた。

シュバァッ≡从 ゚∀从「いやいいです!」

横に素早く回避したハイン。モララーは支えるものもなく顔から地面に滑り込んだ。

(`・ω・´) 「あ、削れた」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 21:23:08.23 ID:y3LYUWpu0
从*>∀从「先輩の方がカッコイイです!抱きしめてください!」

ズバッと空を裂くように両手を開いて、ふにゃふにゃした顔をするハイン。
ブーンは不覚にもそのしぐさが可愛いと思ってしまった。

(#'A`)「なに?ブーン……てめえツンちゃんをたぶらかしておいて!」

(;^ω^)「落ち着けお!僕は何もしてないお!一方通行なんだお!」

(#'A`)「お前にならツンちゃんがなびいても許してやろうと思ったのによお!」
  _
( ゚∀゚)「あれ、ドクオ思ったより思考が普通だな。そうなったら殺す気でいたのかと思ったぜ」

(`・ω・´) 「意外と常識あるからな、変態だが。あ、モララー大丈夫か」

(;^ω^)「くぅぅぅ!逃げるお!」

ポケットから火薬を二つ取り出し、両拳で叩き潰した。
爆風が起こり、その隙にブーンが走りだす。

从*゚∀从「うわあ!先輩の爆発凄い!待ってください!」

('A`)「くっ!話は終わってねえぞブーン!」

くそう、追跡者が二人に増えたのか。なんと迷惑な。どこへ逃げよう。
とりあえず人の多い場所を駆け抜け続ければ捲けるだろうか。
一旦食堂の中へ潜り込むか。はっ!うまくいけば飯食いながらスルーできる!

ブーンは思考しながら今の道を往復する。今度は爆薬を用いながら移動した。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 21:28:54.47 ID:y3LYUWpu0
ハインの少し前を走るドクオ。
ブーンが向かっている方向は人がかなり多く、かき分けながら何とか追いかけることになるだろう。
しかし、ハインは速度を落とさずに人垣に突っ込んでいった。

从*゚∀从「逃がしませんよー!」

(;'A`)「なっ!」

ドクオの横の彼女の腕にはいつの間にか長い羽がついていた。
そして彼女は常人では到底届かない高さ、周りの建物の二階近くまで跳躍。
体を小さく丸めながらも羽は大きく広げ滑空した。
通行人を完全に無視して移動する彼女。もちろんドクオは追いつけない。

从*゚∀从「せんぱぁぁぁぁぁぁぁい!!」

('A`)「マジかよ……」

驚愕に闘争心を根こそぎ持っていかれたドクオ。
周辺の茫然とする生徒たちとともに、彼もその場に立ち尽くしていた。

('A`)「そうだ、腹、減ったな……」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 21:34:59.29 ID:y3LYUWpu0
ざわざわとやかましい食堂。いつもの騒がしいその場所は、非日常に苛まれたブーンにとって安心感をもたらした。

(;^ω^)「はぁ……はぁ……」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、ブーンだ!なにしてんの?」

自分を呼ぶ女性の声にびくり、と身を震わせるが、聞き慣れた声であることを判別し、安堵する。
ブーンが振り向くと、食堂の盆を持ってにこにこ笑うミセリが立っていた。

(;^ω^)「ゴホッ……ミセリかお。ちょっと面倒なことになってるお」

ミセ*゚ー゚)リ「なにそれー。ごはん食べた?」

( ^ω^)「まだだおー」

ミセ*^ー^)リ「じゃあ一緒に食べようよ!わたし今から注文行くの。クー達もう行っちゃったから来て!」

( ^ω^)「おk」

ミセ*゚ヮ゚)リ「やった!いこいこ!」

笑顔に返事をしながらブーンは昼食を受け取るための盆を取り、生徒たちの列に並んだ。

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 21:40:07.78 ID:y3LYUWpu0
―――これだけ生徒がいたら見つけられないかも。ツンに聞けば連絡してくれるかな。

从 ゚∀从「ってツン!いるじゃん!」

ξ゚听)ξ「あ、ハイン!ブーンはどうしたの?」

なんか美人さんと一緒だ。二人とも綺麗だなあ。実際ツンも可愛いしなあ、羨ましいな。

从 ゚З从「ここに入ったみたい。連絡してよー」

川 ゚ -゚) 「ツン。この子は?」

うわ、私のこと聞いてる。ちょっと恥ずかしい。

ξ゚听)ξ「私が初等部で仲良かった子、ハインリッヒよ。ハイン、こちらはクーとシューさん」

うお、こっちの人髪飾りいっぱいつけてる……重くないのかな?すごいなぁ。

lw´‐ _‐ノv「私は素直シュールだよ。よろしくなカーテン少女」

从 ゚∀从「え、あ、はい」

カーテン少女?なんかよくわかんない……。

川 ゚ -゚) 「私は素直クールだ。ちなみにたまたま名字が同じなだけでこっちのシュールとは近い親戚ではないぞ」

从*゚∀从「よろしくお願いします……」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 21:45:26.91 ID:y3LYUWpu0
わああ、この人すっごい綺麗。オーラ出てるよ……憧れるなあ。

ξ*゚听)ξ「どしたのハイン?クーにビビった?わかるよーその気持ち」

ツンがこう笑うの久しぶりに見たな。たまに会ってもちょっとしか話さなかったし。

从*゚∀从「いやぁ、美人さんだもん。お姉さまって呼ばせてください!」

川 ゚ -゚) 「私を?別に構わないが……」

从*゚∀从「いきなり質問です!お姉さまのその髪を維持する秘訣を!」

川 ゚ -゚) 「それだけは秘密だ。唯一の秘密」

ξ゚听)ξ「もう、ホントに誰にも教えない気?ミセリも知らないみたいだしね」

ミセリ?先輩かな?どんな人だろ。

川 ゚ -゚) 「あいつは前線に出るから髪はあんまり気にしないと言っていたが」

ξ゚听)ξ「ミセリの髪いじりたいなー」

lw´- _-ノv「ツン子!私の髪をいじるんだ!ほらほらぁ!」

ξ*゚听)ξ「うわぁ!シューさんやめてよー!」

おおう、あの頭で襲われてる!痛そう!

lw´- _-ノv「それにツン子!私も呼び捨てでいいと言ったろ?ハブられたくないぞー。ほれほれぇ!」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 21:50:56.78 ID:y3LYUWpu0
川 ゚ -゚) 「まあ、ハイン、でいいのか?こっちに来て座れ」

从;゚∀从「あ、はい」

隣だああ!近いよ!顔赤いかも!

川 ゚ -゚) 「もうすぐミセリが来るはずなんだが、遅いな」

从 ゚∀从「どんな人なんですか?」

川 ゚ ー゚) 「元気な奴だ」

笑顔可愛いなあ……くっついたら怒るかなあ……。

川 ゚ -゚) 「あ、来た。ブーンも一緒か」

くっついちゃおっかな……って先輩?

ミセ*゚ー゚)リ「ごめん遅れちゃった!めっちゃ混んでてねー」

( ゜ω゜)「げえっ!ハイン!なぜここにいるんだお!」

从*゚∀从「先輩!私関羽じゃないです!食べ物持ってるんだから走っちゃだめですよ!さあ!こっちへ!」

( ´ω`)「仕方ねえお……」

やったー!先輩とご飯!

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 22:00:14.53 ID:y3LYUWpu0
ブーンが苦虫を噛み潰し、それを吐き出しさらにもう一度奥歯ですり潰したような顔で席に着くと、

ξ゚听)ξ「ハインも食事買って来なさいよ」

从 ゚∀从「そうだね。行ってくるよ!先輩!待っててくださいよ!」

立ちあがり、混みあう人を避けながらちょこちょこと走って行ったハイン。

( ^ω^)「ナイスだお!さすがツン!」

途端にブーンは持ってきたカレーをがつがつ食い始めた。
その様子に首を捻るクー。

川 ゚ -゚) 「なんだ?どういう意味だ?」

ξ゚听)ξ「あの子ブーンのこと気に入っちゃってて。それでなんかよくわかんないけどブーンは逃げてるの」

川 ゚ -゚) 「逃げるって、なぜだ?ブーンはあの子が嫌なのか?可愛いじゃないか」

( ^ω^)「外見の問題じゃないお。ちょっと変なんだお」

カレーから顔をあげて喋るブーン。その際少しカレーが飛び、汚ねえ花火だ、とシュールが呟く。

川 ゚ -゚) 「そうか。人は見かけによらないな」

ξ゚听)ξ「あの時はハインも勢い余っただけだよ。ハインは結構普通の子だよ」

( ^ω^)「そうかお?でもそこを差し引いても僕とは合わなそうだお」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 22:03:39.38 ID:y3LYUWpu0
川 ゚ -゚) 「合わなそう、なんて理由で逃げ回るなんて彼女が不憫じゃないか。話でも聞いてやったらどうだ?」

( ^ω^)「……あー、確かに言えてるお。言われてみればちょっと可哀想かもしれないお。うーん……」

そこでぴたりとカレーを食べるのを止め、スプーンを置くブーン。そのまま人込みのほうを眺めている。
彼の視線の先には、そわそわとした動きで列に並ぶハインリッヒがいた。
人混みに呑まれてしまいそうになりながら、食事を会釈しつつ受け取っている。

ξ゚听)ξ「……」

ミセ*゚ー゚)リ「どうしたの?ツン」

ξ゚听)ξ「え、いやなんでもないよ。ミセリそんなに食べるの?」

ツンが覗きこむ。
彼女の盆には山盛りのかつ丼と大きなボウルに入ったサラダが乗っかっている。

ミセ*゚ワ゚)リ「いやぁーだって安いんだもん!これ全部で380円だよ?正気かな?」

正気を疑うべきなのはミセリの満腹中枢ではないのかとツンはぼんやり思った。

从*゚∀从「せんぱーい!待ちました?」

ハインが跳びつくように席についた。
それに動じることなく、彼女の隣の男が聞く。

( ^ω^)「ハイン。さっき君は僕と付き合って欲しいと言ってたけど、具体的にどうしたいんだお」

从*゚∀从「え?私の申し込み受けてくれるんですか?」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 22:06:48.69 ID:y3LYUWpu0
目をきらきらさせながら上目遣いでブーンを見る彼女。片目がさらさらした前髪で隠れた。
しかし勢い余ってブーンとかなり接近してしまい、顔を真っ赤にして少しだけ彼から離れた。深呼吸して髪を整えつつ座りなおし、もう一度ブーンを見る。
ブーンは不覚にもそのしぐさが可愛いと思ってしまった。

( ^ω^)「まず僕の質問に答えるお」

从 ゚∀从「えっと、一緒に遊んで、一緒においしいもの食べて、一緒に訓練して……です」

( ^ω^)「今言ったことは恋人にならなくてもできることだお。友達で十分だお」

从 ゚∀从「それは――そう、ですね」

不安そうな目をちらつかせる彼女。ブーンはその目を気に掛ける様子は見せない。

( ^ω^)「だから、僕は君の申し出を断らせてもらうお。それに、普段の僕は少なくとも闘ってる僕に比べたらダメなやつだお」

从;゚∀从「でも、一部が好きなら他のところも好きになっていきますよ」

( ^ω^)「そんな詭弁は聞いてないお」

目前の冷たい声に目が潤ってきたハイン。ブーンの目には彼女の肩も震えているように見える。

从 ゚∀从「じゃあ……どうしたらいいんですか」

( ^ω^)「さっきも言ったお。僕とハインが友達になれば、ハインのやりたいことはできるんだお」

从 ゚∀从「友達、ですか」

( ^ω^)「だお。僕は友達の意見は最大限尊重したいし、一緒にいろんなことを楽しみたいお。そんな関係じゃ納得いかないかお?」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 22:10:06.62 ID:y3LYUWpu0
从 ∀从「……わかりました。要するに先輩は私を振った。私じゃダメってことですね。
     それで、私と後腐れが残るのが嫌だから、友達っていうなあなあの関係、言い訳で逃げようってわけですね」

長い髪が垂れる。淡々と話す彼女の表情はほとんど確認できない。
ブーンも感情を極力出さないように、押し込むような声で返す。

( ^ω^)「まあ、そういうことになるお」

そして、彼女は顔を上げる。

从*゚∀从「先輩!やっぱり好きです!」

ブーンに向けられたのは一点の曇りもない、満面の笑みだ。
固唾を飲んで二人のやり取りを見守っていた面々も、大きく口を開けたまま静止した。隙を見たシューはミセリのサラダにタバスコを振った。

( ^ω^)「……は?」

从*゚∀从「先輩って意外とドライなとこもあるんですね!さっきまでと違った魅力がありましたよ!クールです!カッコイイです!」

( ^ω^)「あのね、ハインちゃん?」

从*゚∀从「あ、先輩は友達っていう関係で私と接していただいてかまいません!でも、私はそんな先輩が好きですよ!」

( ^ω^)「うん……」

从*゚∀从「そこでですが!私はずーっと先輩にアプローチしちゃいます!先輩が私との友達って関係を崩したくなるくらいに!」

( ^ω^)「あー、」

从*>∀从「私の好きって気持ちが伝わるまでずーっとですよ!あ、でも彼女さんができたらやめます!多分今は私が一番なりたがってますけどね!先輩の彼女!」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 22:13:39.78 ID:y3LYUWpu0
(#゜ω゜)「……じゃかーしゃー!」

从 >∀从「はうっ!!」

怒涛のような彼女のアプローチを、頭を鷲掴みにし強制的に止めたブーン。やはりアイアンクローである。

(#゜ω゜)「うるせーお!!話聞いてたんだか聞いてないんだか!そんなやかましい女はい、や、だ、おぉぉぉ!」

相手に一方的に攻め立てられるのが嫌いなブーンはキレた。
本日二回目、同じ相手、同じような流れで。

ミセ;゚ー゚)リ「ブーン待って!暴力はダメだよ!」

ミセリはガタリと音を鳴らしながら席を立った。

ξ゚听)ξ「大丈夫。本気でやってるわけないでしょ?じゃれてるのよ」

ツンが呆れた声で彼らを指差す。正確には掴まれた彼女を、だが。

从*"∀从「うへへぇ、せんぱーい、痛いですよぉ……」

口が大変ヘラヘラしていらっしゃるハイン。そのあまりのだらしなさは今にも口から涎が流れだしてきそうなほどだ。
ブーンはそれを見てさすがにちょっとイラッときたのか、手に力を込めた。

从 Д从「いたたたたた!!割れる!パーンてなりますって!」

ぎりぎりと音が聞こえてきそうなほど手に筋が入っている。

ミセ;゚ー゚)リ「あ、あれもじゃれてるだけ?」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 22:17:07.44 ID:y3LYUWpu0
ξ゚听)ξ「そうよ。だから心配なんていらないわ」

あんなやつらどうでもいい、と言わんばかりに、ツンは目の前のスパゲティを睨みつけながら巻きとっている。
スパゲティにとってはいい迷惑である。

川;゚ -゚) 「おいブーン!ハインが泡吹いたぞ!」

彼らの様子をずっと見ていたクーが突然大声を上げた。
ツンは丁度口に入れたスパゲティを噴き出してしまった。なにがあったのかミセリはフォークで食べていたサラダを取り落とし悶絶していた。

(;^ω^)「お!やりすぎたかお!だいじょぶかおハイン!」

当然すぐさまアイアンクローを取りやめ、真剣な顔で肩を揺するブーン。彼に心配する資格は無い。

从*゚∀从「嘘です。先輩は優しいです!」

( ゜ω゜)「なっ!」

突如覚醒。肩を揺する手をすり抜け、彼女は驚くブーンに全体重で突撃を仕掛ける。冗談で泡など吹けるはずはないのだが。
椅子ではつっぱることはままならず、勢いよく床に倒れる二人。ブーンは咄嗟に彼女を抱きしめてしまった。

、、从*>∀从"「せんぱーい!」

そのまま嬉しそうに抱きつき、頭を横に振りながら擦りつける彼女を見降ろし、苦笑してしまう。
ブーンは不覚にも、そのしぐさが可愛いと思ってしまった。
彼が意識的に行っているかはわからないが、その手はハインリッヒの背中に乗せられ、いたわるように彼女を撫でていた。

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 22:20:26.73 ID:y3LYUWpu0
ミセ*;ο;)リ「は、解決ひたの?……ひょっほヒュー!みふもっへひなはい!」

lw´- _-ノv「全くぅ、世話の掛かるハネ子だぜぇ」

ξ゚听)ξ「みたいね。ほら、いちゃつくな馬鹿。起きるか死ね」

ツンは立ち上がり、絡みつく二人の片割れである男を蹴った。
蹴った。蹴った。蹴った。

(;^ω^)「ちょ!いたいお!起きれないお!待つお!」

蹴りが止まった。そして即座に立ちあがるブーンにハインがぶら下がっていたが、当然重力にはかなわず床に崩れた。
ここまででかなりの時間を食っていて、次の始業まであまり時間がない。ブーンが立ったついでに周りを見渡すと食堂の生徒たちはほとんど移動していた。

川 ゚ -゚) 「そろそろ昼休憩も終わりだ。ハイン、急いで食べないと間に合わないぞ」

从*゚∀从「あ、はい。お姉さま」

すぐに手つかずのざるそばをすすり始めるハイン。それにならってブーン達も自分の昼食の残りと向き合う。
シューは涙目のミセリに叱られながら、自分の巨大ないなりずしにかぶりついていた。

从*゚∀从「先輩!授業が全部終わったら男子寮に行きますから!」

( ´ω`)「あーそうかお……」

その後は特に何事も無く、帰り際に傷だらけのギコがロマネスクに止められた程度だ。

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 22:23:41.30 ID:y3LYUWpu0
ξ゚听)ξ「え、ホントに行くのハイン?」

从 ゚∀从「だって会いたいもん!」

ξ゚听)ξ「一人で男子寮は危ないわ。けだものしかいないのよ」

从 ゚з从「じゃあついてきてよー」

ξ;゚听)ξ「ええぇ……?わかったわよ……」

こちらは男子寮ロビー。長いソファに腰掛ける男子4名が顔を突き合わせ語り合う。
  _
( ゚∀゚)「結局よー、あのハインって子はどうなわけ?あの様子じゃずいぶん好かれてるみたいだな」

( ^ω^)「どう、ってちょっと合わないと思うお。よくわかんないけど」

(`・ω・´) 「ブーンまでモテ男属性ついたらもう顔を言い訳にできないな……」

( □∀・)「ブーンにはツンちゃんがいるしな!くくく、面白いぜ」

笑うモララーの顔には大きめの絆創膏が貼ってあった。顔から地面に滑り込んだような傷跡が少しはみ出している。
この傷の原因についてモララーは記憶がないそうで、ブーン達に聞いても誰も知らないと言われたので彼は気にしないようにしていた。

( ^ω^)「ツンはいもうと…………みたいな、感じ、だお……」

ぎこちなく言うブーンの目はどこを見るわけでもなくひたすらに泳ぐ。
ジョルジュはそれを見なかったように言う。
  _
( ゚∀゚)「じゃあミセリとかいーんじゃね?おまえら結構二人で話してるだろ」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 22:26:36.28 ID:y3LYUWpu0
( ^ω^)「ミセリとは白兵戦の立ち回りとか話したりするだけだお。まあミセリは明るいし、話してると楽しいのは事実だお」

(`・ω・´) 「なんだかなあ……こいつ死なないかな……」

きっちり眉毛は物騒なことを恨めしそうに呟く。しかしいつものこと、と誰も気にとめなかった。
そこで寮の扉が開く音が響いた。この時期は出入りが多いので彼らが特別気にすることは無いのだが。

( ・∀・)「なるほど。そういうタイプが好みか」

从( ^ω^)「でも元気過ぎるのも考えものだお。ハインとかいい例だお」

そこで、ジョルジュだけが玄関の方を見ながらブーンに質問を投げかける。
  _
(*゚∀゚)「ドゥフ、じゃあお前はハインちゃんがどうなったら惹かれるよ?」

゚∀从( ^ω^)「なんで笑い堪えてんだお。あそこからもうちょっとストイックな感じになってくれればいいお。実際ちょっと可愛いし」

从 ゚∀从つ「先輩」Σ( ^ω^)

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 22:29:38.69 ID:y3LYUWpu0
(;゜ω゜)「……」

ブーンの肩を叩く声。突然のことにびくつくブーン。
彼が振りかえるとそこには本日散々困らされた少女が立っている。その眼にはなにやら決心したような色。ちょっとキリッとしてる。

从 ゚∀从「あの、私、いや……この俺、ハインリッヒをこれからよろしくお願いします!ツン!帰るぞ!」

ξ;゚听)ξ「は?あんたなにいって……わあぁぁぁぁぁぁぁ」

彼女はその後ろにいたツンの肩をがっしり掴むと一気に加速し、気付いた時にはツンの悲鳴が遠くから聞こえていた。

(;^ω^)「あいつ……いつからいたんだお……」
  _
( ゚∀゚)「『ストイック』をああ解釈するか。いやあー、つくづく変わった子だぜ」

( ^ω^)「おま、気づいてて言わせたのかお……」

( ・∀・)「妙な子に懐かれちまったな。『俺』ってなんだよ、くくく」

いやらしい笑みを浮かべる二人の男。あと一人はと言えば、

(`・ω・´) 「あんなにいっぱい女の子いるんだ、ひとりくらいおこぼれがきたっていいよな……」

ぶつぶつと人として最低なことを呟いていた。

第七話「羽の追跡者」・おわり


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