- 1 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 13:16:37 ID:TJ.zLrhIO
- (-A-)
夜の地下鉄、一人の男が電車に揺られながら居眠りをしている。
(-A-)
彼の名はドクオ。しがない中小企業のサラリーマンだ。
(-A-)
このどこにでもいそうな男が、やがて世界を巻き込む戦いに身を投じていくのを。
('A`)「……ん?」
彼自身はまだ知らない。
(゚A゚;)「どわああああ!寝過ごしたああああああああ!」
- 2 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 13:19:35 ID:TJ.zLrhIO
('A`)はスペックに目覚めるようです
- 3 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 13:22:52 ID:TJ.zLrhIO
- ('A`;)「あー、まいったぜ、すっかり遅くなっちまった」テクテク
夜の住宅街を、ドクオが歩いている。
('∀`)「ま、遅くなっても誰も部屋で待っててくれないんですけどねw」
('A`)
('A`)「彼女か嫁さん欲しい」
('A`)「でも俺女にモテた試しがないからなあ……この際ペットでも……」
しょうもない事を考えながら急ぐでもなく家を目指す。
我が家はその辺にいくらでもある安アパート。
('A`)(大人になったら大豪邸に住む予定だったんだけどなあ……)
- 4 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 13:25:30 ID:TJ.zLrhIO
- 子供の頃は良かった。自分は何でもできると信じていた。
だが大人になるにつれ自分は特別な人間ではないと気付いていった。
少しショックだったが……まあそんなもんかと受け入れ、凡人は凡人なりに生きてきた。
('A`)(ブーンは良いよなあ……俺も警官になれば良かったかな……)
('∀`)(ま、俺みたいなチキンには無理かなwww)
ズン!ズン!ズン!ズン!
('A`)(んだようるせえなDQNが……どんだけ低音効かせて……)
キキーッ!!
(゚A゚)
- 5 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 13:27:11 ID:TJ.zLrhIO
- 何が起きたんだ。
音楽を馬鹿みたいに大音量でかけたDQNの車が来て……それで……
('A`)
俺にぶつかろうとしていた。
……なのに
('A`)「……え」
何でDQNの車が目の前で大破してるんだ?
- 6 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 13:32:24 ID:TJ.zLrhIO
- 「うーイテテ……」
「いたーい……」
ひしゃげた車の中からDQNカップルのうめき声が聞こえる。リア充氏ね。
(;'A`)「あ、あの……」
ん?
この臭い……
('A`)
……ガソリン?
あれ?ちょっと燃えてね?
(;゚A゚)「あひゃあああああああああ!!」
ドガアアアアアアアアアン!!
- 7 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 13:36:16 ID:TJ.zLrhIO
- 静かな住宅街に、爆発音が響き渡る。
強烈な光りを発し、気が付くと車の残骸が燃えていた。
(;'A`)「イテテ……」
俺はどうやら無事みたいだ。どう逃げたかは覚えてないが。
でも……
(;'A`)
DQNカップルはもう駄目だとすぐ分かった。
(;'A`)(確かにリア充氏ね!って思ったけどさ……)
ピーポー
ピーポー
- 8 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 13:38:24 ID:TJ.zLrhIO
- 〜警察署〜
( ^ω^)「大変だったおね、ドクオ」
(;'A`)「まいったぜ……まさか目の前で人が焼け死ぬとは……」
( ^ω^)「まあ現場検証ではDQN側が100%悪いって判断だから心配しなくていいお」
( ^ω^)「検死の結果DQN達は[ピー!]をやってたそうだし……まったくDQNには困ったもんだお」
(;-A-)「……しばらくうなされそうだな」
( ^ω^)「まあドクオは悪くないんだからそう気に病む事はないおwww無傷で良かったおwww」
('A`)「……」
( ^ω^)「お?どうしたんだお?」
- 9 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 13:41:49 ID:TJ.zLrhIO
- ('A`)「それなんだけどさ、ブーン……」
( ^ω^)「何だお?」
('A`)「無傷って……ありえなくね?」
( ^ω^)「……お?」
(;'A`)「あんだけの爆発なのにさ、俺だって大怪我してるはずだし、最悪死んでたろ」
( ^ω^)「ドクオがツイてたって事だお」
(;'A`)「それにDQNの車が向かってきてた所までは覚えてるんだが……」
(;'A`)「次の瞬間にはもう大破して燃えていたんだ……それも俺の目の前で……」
( ^ω^)
(;'A`)「なあブーン……DQNの車は一体何にぶつかって壊れたんだ?」
( ^ω^)「……それは今調べてる途中だお」
('A`)「……そうか」
- 10 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 13:44:30 ID:TJ.zLrhIO
- ( ^ω^)「とりあえず今日の所は帰って良いお、明日仕事で早いんだお?」
(;'A`)「まあな……事故に遭遇した次の日から仕事か……これだから社畜は……」
( ^ω^)「そうやって日本の景気を支えてくれてるんだおwww感謝するおwww」
('A`)「ブーンは良いよなあ……税金暮らしの警察官で」
( ^ω^)「頑張って税金納めてくれおwww」
('A`)「ちょwww」
- 11 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 13:49:54 ID:TJ.zLrhIO
- 〜ドクオのアパート〜
(-A-)
チックッタック
(-A-)
チックッタック
(-A-)
('A`)「……寝れん」
('A`)(そりゃそうだ……あんな事があったんだ……)
- 12 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 13:53:10 ID:TJ.zLrhIO
- チックッタック
('A`)(初めてブーンが仕事してる所見たけど……やっぱあいつは俺とは違うんだな)
ブーンとは小学校の時からの付き合いだが、奴は天才だった。
中学に上がる頃にはもう大学生が頭を悩ませる問題をスラスラ解けるようになっていた。
ブーンの将来は弁護士か政治家か……誰もが輝かしい彼の未来を頭に浮かべた。
だがとうのブーンは弁護士でも政治家でもなく……警察官となった。それもノンキャリアのだ。
まあすぐ刑事になれたのでやはりブーンは天才なのだけれども……
(-A-)(……こうして考えるとブーンって不思議な奴だな)
(-A-)(あいつの頭なら何にだってなれたのに……)
(-A-)(なん……で……)
(-A-)「…ZZZ」
- 13 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 13:56:25 ID:TJ.zLrhIO
- (-A-)
カサカサ
(-A-)
カサカサ
('A`)「……ん?」
カサカサ
('A`)
(;゚A゚)「どわああああああ!!ゴキブリイイイイイイイイ!!」
顔の上を、ゴキブリが這っていた。
(;゚A゚)「うわあああああああああああ!!」
ピキュイイイイイイン!
(;゚A゚)「!?」
- 14 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 14:06:29 ID:TJ.zLrhIO
- (;'A`)「な、なんじゃこりゃ……?」
自分の体の周りに薄い光りの膜のようなものが現れている。
(;'A`)「……?」
ゴキブリはその光りの膜に乗っかり、せわしなく足を動かしている。
カサカサ
(;゚A゚)「うわああああああああ!!あっちいけえええええ!!」
ドゴオオオオン!
(;゚A゚)「!?!?」
- 15 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 14:08:51 ID:TJ.zLrhIO
- (゚A゚)
何だ?
(゚A゚)
何が起きた?
(゚A゚)
ベッドが……吹っ飛んだ……?
布団の中の綿が辺りを舞い、自分はその中にポカーンと座っている。
木片が床に転がっているのも見える。ベッドのパーツだったものだ。
ゴキブリの姿などもうどこにも確認できない。
(;'A`)
……この感覚は
(;'A`)(事故の時と……一緒……?)
- 17 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 15:11:10 ID:TJ.zLrhIO
- ドン!
お隣りさんからの壁ドンだ。そりゃそうだ、こんな夜中にこんな大きな音を。
(;'A`)「ちくしょう……一体何がどうなって……」
もはやただの粗大ゴミとなったベッドに腰掛け、冷静に今の状況を考えた。
(;'A`)(車の事故の件……そして今のこの出来事……)
顔をつねってみる。痛い。
(;-A-)(夢じゃない……現実か……)
だが現実だと思えない。
頭には、ある答えが浮かんでいた。
(;'A`)(……特殊なチカラに……目覚めた?)
- 18 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 15:13:12 ID:TJ.zLrhIO
- 今まで自分が天才だと思う事なんて何ひとつなかった。
昔からどうしてもブーンと自分を比べてしまい、その度に凡人である事が悔しくなった。
('A`)(腹筋スレかどうかの見極めは俺の方が上だったけど)
そんな自分が特殊なチカラに目覚める?ありえない。
('A`)
だが……
(;-A-)「この部屋の状況……信じるしかないか」
頭がおかしくなったかもしれないがとりあえず信じよう。
自分は特別なチカラを得たと。
- 19 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 15:17:03 ID:TJ.zLrhIO
- (;'A`)(……でも一体どういうチカラなんだ?)
突然現れたあの薄い光りの膜。あれが特殊なチカラによるものなのは確かだ。
(;'A`)
自分の体を確認してみる。今はあの光りの膜は存在していない。
(;'A`)(発動条件は?どうすれば出せる?)
りきんでみる。何も起こらない。
(;-A-)(……分からない事が多すぎる)
あの大破した車……この破壊されたベッド……
(;'A`)
寒気がした。自分がとんでもない事になっているのに気付いたのだ。
(;'A`)(とにかくチカラの発動条件をはっきりさせないと……)
(;'A`)(もし人ごみとかでチカラが出てしまうと……考えたくもないな)
チカラの事はまた考えるとして、今日はもう寝よう。明日も仕事だ。
- 20 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 15:20:00 ID:TJ.zLrhIO
- 満員電車に揺られて、いつものディスクに座って、いつもの仕事をする。
そしていつものような時間で終わり、少し空いた電車に乗る。
('A`)(……チカラは出ないで済んだな)
(;-A-)(しかし爆弾を抱えているようなもんだな……落ち着かん)
電車の席に座っている自分。周りには自分と同じように仕事帰りのサラリーマンがいる。
('A`)(この中で……こんな事に悩んでいるのは俺だけなのかな……)
自分に現れたという事は他の人にもチカラが現れてもおかしくはないのだ。
世界のいろんな所でそういうチカラを持った人間が現れて……
そしてやがて彼らは人類の未来をかけた戦いを……
('A`)(……厨二病乙)
- 21 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 15:21:53 ID:TJ.zLrhIO
- 夜の住宅街を歩く。
あの事故現場は避けて通る。遺族に見つかったら逆切れされるかもしれないし。
('A`)「ありゃ……迷ったかな……」
ズキューン……ズキューン……
('A`)「……ん?」
ズキューン!ズキューン!
('A`)
は?
え、ちょ……
(;'A`)「じゅ、銃声!?」
- 22 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 15:27:39 ID:TJ.zLrhIO
- ズキューン!
(;'A`)
間違いない、銃声だ。
それなんてメキシコ。
(;'A`)「に、逃げた方が良いな」
銃声は近くから聞こえてきる、早く逃げた方が良い。そう思った時。
ξ#゚听)ξ
その発生源に出くわしてしまった。
('A`)
/('A`)\(ナンテコッタイ)
- 23 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 15:29:33 ID:TJ.zLrhIO
- ズキューン!ズキューン!
ξ#゚听)ξ「クソ!化け物め!」
いや、化け物はあんただよ、そんな拳銃を何発も撃って。
そういや何に向かって撃ってるんだ?
???「……」ワッサワッサ
('A`)
???「……」ワッサワッサ
何だこれ。
いやホントに何だこれ。
ξ;゚听)ξ「!しまった一般人!?」
暗闇の中、何やらワッサワッサしてる塊がうごめいていた。
- 24 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 15:32:48 ID:TJ.zLrhIO
- ξ;゚听)ξ「ちょっとそこの!早く逃げて!」
(;゚A゚)「う……あああ……」
???「……」ワッサワッサ
動けない。逃げた方が良いのは分かっている。だが体が石のようになってまるで動いてくれない。
ξ;゚听)ξ「くっ……!」
女はバッグからもう一丁の拳銃を取り出した。さっき撃ったのは弾切れしたのか。
ξ;゚听)ξ「逃げて!何やってんのよ!?」
(;゚A゚)
???「……」ワッサワッサ
暗闇の中のワッサワッサした塊のワッサワッサしてる所が動き、そして……
ビュンッ!
触手がこっちに向かって来た。
- 25 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 15:35:37 ID:TJ.zLrhIO
- 「きゃあ!」
女の悲鳴が響く。
ξ;--)ξ「ううう……」
俺を庇い、ワッサワッサしたのに叩かれて塀に激突したのだ。
ξ;--)ξ「にげ……て……」
無理だ、恐怖で体が動かない。
ξ;--)ξ
(;゚A゚)
何してる早く立ってくれ。
早く立ち上がって俺を守ってくれ。
でないと……
???「……」ワッサワッサ
- 26 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 15:38:37 ID:TJ.zLrhIO
- またもや暗闇の中の塊がうごめく。
くる。またあのワッサワッサしたのがくる。
(;゚A゚)
ξ;--)ξ
逃げないと、逃げないと殺される。
(;゚A゚)
駄目だ、体が動かない。蛇に睨まれたカエルだ。
……嫌だ。
???「……」ワッサワッサ
嫌だ嫌だ、何なんだお前は、何なんだお前は。
ビュンッ!
(;゚A゚)「嫌だああああああああああ!!」
ピキュイイイン!
- 27 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 15:42:17 ID:TJ.zLrhIO
- ξ;゚听)ξ「……え」
???「……!?」
(;-A-)
(;'A`)「……?」
グググ……
あの光りの膜だ。
それがまた現れて黒いワッサワッサした触手を止めている。
ベッドの時とは光りの強さが違う。
???「な、なん……だと……!?」
喋った?触手を伸ばしてきたこの黒いワッサワッサした塊は人間なのか?
人間なら……!
(#゚A゚)「……ふんっ!」
バチイイイイン!
- 28 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/05/26(土) 15:45:17 ID:TJ.zLrhIO
- 黒い触手を弾いた。弾かれた触手はバラバラに砕けた。
光りの膜がさらに強く光る。厚さも増した。
(#゚A゚)「う……うおお……」
???「クソ!まさか能力者に出会うとは!」
黒いワッサワッサした塊はうごめきながら曲がり角を曲がっていった。追い掛ける勇気は無い。
(#゚A゚)「……う」
スゥ……
(;-A-)「……ゼエゼエ」
光りの膜が消えた。
ξ;゚听)ξ
女は驚いた目で俺を見ている。そりゃそうだ、俺だって自分で自分を信じられない。
- 29 名前:無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY 投稿日:2012/05/26(土) 15:49:55 ID:TJ.zLrhIO
- ξ;゚听)ξ「……と、とりあえず礼を言うわ、助けてくれてありがとね」
(;'A`)「い、いや……」
ただ怖くて体が動かなかっただけだとは言えない……
ξ゚听)ξ「私はツン……警視庁で刑事をやってるわ」
そう言ってツンは警察手帳を見せた。
(;'A`)「警察……?」
ξ゚听)ξ「で、悪いんだけど警視庁まで来てもらえないかしら?」
(;'A`)「な、何でですか!?い、今のは正当ぼうえ……」
ξ゚听)ξ「あ、それは大丈夫、今あんたが撃退した男は連続殺人鬼だから」
('A`)「え」
ξ゚ー゚)ξ「あんた顔を覚えられた可能性があるわ、だから私と一緒に来て頂戴」
/('A`)\(…オワタ)
平凡だった男の人生が、変わろうとしていた。
第一話 おわり
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