川 ゚ -゚)から始まる物語のようです

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 21:42:33.28 ID:35Xucnsw0
第二話



王都を出てはや一ヶ月。
二人は北へ北へと旅をしていました


川 ゚ -゚) なんか寒くなってきた

/ ,' 3 もう秋じゃしな

川 ゚ -゚) にしても寒すぎね?

/ ,' 3 北の地方はこんなもんじゃよ


てくてく。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 21:48:21.82 ID:35Xucnsw0

あたりは寒々とした森。
高い針葉樹が茂って、ちょっと薄暗くて、さみしい感じ

川 ゚ -゚) なあ、もう旅やめて帰ろうぜ

/ ,' 3 ならん。まだ一人の能力者も見つけとらんじゃないか

川 ゚ -゚) つってもこのへんぜんぜん人いないじゃん

/ ,' 3 北の地方は貧しいからのう

/ ,' 3 森と山ばっかりで耕地が少ないから、人口も少ないんじゃ

二人は能力者の手がかりどころか、
ろくに人と出会うことすらないまま、王国の果てに向かって足を運んでいました

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 21:53:12.30 ID:35Xucnsw0

川 ゚ -゚) だりー。喉かわいた

/ ,' 3 だったらお前の魔法で水でも出して飲むが良い

旅をしながらアラマキ先生に指導を受けたので、
クーは初歩的な魔法なら、使えるようになっていました

川 ゚ -゚) えーやだよ

川 ゚ -゚) 魔法使ったらさ、なんか後で疲れるじゃん。あれ嫌な感じでさー

/ ,' 3 まあ魔法は、精神力を消耗するからのう・・

と、森の道を歩いていると、
小さな川が流れていました

川 ゚ -゚) あっ川だ

/ ,' 3 フォフォ。これで水が飲めるの

クーは喜んで水辺に駆けて行きました。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 21:56:28.48 ID:35Xucnsw0

ところが・・


('A`) ・・・・


変な青年が、川のほとりでぼんやりと座っています。


クーはぴたりと歩みを止めました

/ ,' 3 ん? どうしたんじゃ

川 ゚ -゚) 何かいる

/ ,' 3 ほう・・青年が・・・

川 ゚ -゚) しかもめっちゃキモい 顔とか


さらさら流れる小川のほとりで、青年は座り込んでいます

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 22:01:36.61 ID:35Xucnsw0

/ ,' 3 もし、そこなお方・・


青年は振り返りました
クーの言葉どおり顔面は崩壊気味です

/ ,' 3 どうなされました? こんなところで一人で・・


('A`)


(;A;) もう村に帰れない

青年は言って、おいおい泣きました


川 ゚ -゚)(きめえ)

/ ,' 3(きめえ)


二人は思いましたが、口には出しませんでした。

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 22:07:02.55 ID:35Xucnsw0

青年は羊飼いでした

村で飼っている二十頭ほどの羊を連れて放牧に出ていたのですが、
なんと、その羊をみんな死なせてしまったというのです


川 ゚ -゚) あちゃー 全部死なせたのか・・ 100パーお前の責任だな

(;A;) 

/ ,' 3 にしてもいったいどうやって羊20頭もジェノサイドしたんじゃ

(;A;) おではなんにもしてねえ

(;A;) 羊がこの川の水を飲んだら、ぜんぶのたうちまわって死んじまっただよ

川 ゚ -゚) えっ


クーはぎくりとして、川を見ました
川の水は青く澄んでいて、さらさらと流れています

川 ゚ -゚) まさかそんな

/ ,' 3 とくに腐ってたり濁ってたりはしていないようじゃが・・

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 22:09:51.60 ID:35Xucnsw0

でも、嫌な予感はありました

クーの両親が聞いたという神のお告げに、
「水が毒まみれになって・・」という一節があったことを、二人は思い出したのです

川 ゚ -゚) するとあのお告げっての マジだったのかな

/ ,' 3 お前ここまできてまだ信用してなかったのかよ

川 ゚ -゚) うんまあ 半分くらいは寝ぼけて寝言言ってるのかと思ってた


(;A;) お願いです なんとかしてくだしあ

川 ゚ -゚) なんとかって言ってもなあ

二人はとりあえず、青年に案内してもらって、羊の死んだ場所に行きました

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 22:14:42.15 ID:35Xucnsw0

森を抜けて、川沿いに歩いて、草原に出ました
羊によさそうな緑の草が生い茂っています

('A`) ここです

開けた川原だった。

川 ゚ -゚) うわ マジで死んでる

羊が20頭。

あるものは流れに首を突っ込んだまま、
あるものはのたうちまわった形跡のある地面に変な格好で、倒れています

羊の体に変な紫色の斑紋が浮かんでいる個体もあります


これにはさすがのクーも、腕組みをして苦い顔。

川 ゚ -゚) なあ先生、私の能力で、なんとかならないかな。水の毒消しとか

/ ,' 3 それはわしも考えたんじゃが、うーん、どうもこれは鉱毒のようじゃ。
    だから水の神の力だけじゃどうにもならんじゃろ・・

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 22:22:48.68 ID:35Xucnsw0

('A`) お願いです この川の水が毒になったら、僕の村が全滅してしまいます

('A`) この川が僕らの飲み水だし、この川の水で畑を作ってるんです

/ ,' 3 うーむ そうはいっても、わしらとて鉱物には手も足も出んわい

二人とドクオは、とりあえずドクオの村に行きました
そして村長に事の次第を説明して、羊を失ったドクオをかばってやりました

(‘_L’) どうも村長です。ドクオの父です

川 ゚ -゚) はいどうも。かくかくしかじかで川の水ヤバイ

(‘_L’) なんと さっそく川の水使用禁止令を村中に出します

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 22:28:39.16 ID:35Xucnsw0

川 ゚ -゚) ところでこの家、ずいぶん豪勢なお屋敷ですね

クーとアラマキはゆったりとした素敵なソファに座っていました

(‘_L’) うちは腕のいい鍛冶屋として繁盛してますので、カネはあります

/ ,' 3 ほう

(‘_L’) この川の上流のほう、山奥には鉱山がいっぱいあるのですが

(‘_L’) そこで使われる道具なんかはだいたいうちで作るんで、それで大もうけしてますんで

川 ゚ -゚) すげー

川 ゚ -゚) 金目当てですけど結婚してください村長さん

(‘_L’) それはちょっと・・・子供と老人では年の差がありすぎでは・・

川 ゚ -゚) ちっ

(‘_L’) それより息子のドクオの嫁になって頂けるというのなら大歓迎ですよ

川 ゚ω゚) それはお断りします

(‘_L’) チッ

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 22:34:58.71 ID:35Xucnsw0

川 ゚ -゚) ところで上流に鉱山があるんですか

('_L') はい 鉄やら銀やら銅やら、そりゃもういろいろ

川 ゚ -゚) あんたらの川、どうやら鉱毒に汚染されてるっぽいんすけど

('_L') ガーン

('_L') 鉱毒か そいつは困った。川が使えなければ村がみんな死んでしまう

('_L') あんたらちょっと上流に行って、様子を見てきてくれないか

川 ゚ -゚) えー まんどくせ

/ ,' 3 まあクー、いいじゃないか

/ ,' 3 とくにアテのある旅でなし、ちょっくら人助けじゃ

('_L') おおありがたや

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 22:44:56.19 ID:35Xucnsw0

/ ,' 3 ところで村長、あんたは鍛冶屋じゃそうだが、

/ ,' 3 鍛冶屋の息子のドクオが、なんでまた羊飼いを?

この時代、子供は親の職業を継ぐのがあたりまえでした
親の、というより一家の仕事です

(‘_L’) うちの家系では代々、成人してから初めて鍛冶屋の仕事を教えるのです

(‘_L’) 成人するまでは、うちの一族に伝わる秘伝は教えられません

川 ゚ -゚) 秘伝・・

/ ,' 3 失礼ですが村長、お名前は・・

(‘_L’) わしはフィレンクト・ウルカヌス。息子はドクオ・ウルカヌスという名ですじゃ

/ ,' 3 ふむ

そして二人は村長の家を出た

村長の命令で、川の水の使用禁止を告げる看板が立てられていた
この村の住民は、しばらくは井戸水だけで生活するしかないが、
量が少ないので、家畜や農地に使うぶんまではない

/ ,' 3 こいつはいそがにゃならんな

川 ゚ -゚) うん・・

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 22:52:34.16 ID:35Xucnsw0

二人は村を出て、さらに北へ、山のほうへと歩いていった


/ ,' 3 ところで、村長とドクオの一家だが、

/ ,' 3 あいつの家、「能力者」かもしれんぞ

川 ゚ -゚) えっ

/ ,' 3 ウルカヌスってのは火と鍛冶の神の名前じゃ

/ ,' 3 家門名がウルカヌス、そして職業は秘伝の鍛冶屋・・・

/ ,' 3 ってことは、もしかして・・・

川 ゚ -゚) ・・能力者!

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 23:03:34.04 ID:35Xucnsw0

川 ゚ -゚) そっか・・

川 ゚ -゚) ついに、能力者を見つけたんだな

/ ,' 3 まあ、うん、まだ推測の域を出んがな

クーはうれしそうに笑った
笑うと、少女らしく可愛かった

/ ,' 3 なんじゃ どうした

川 ゚ -゚) だって嬉しいじゃん

川 ゚ -゚) 私と同じような能力を持ったやつを、ついにこの世に見つけたんだぞ

/ ,' 3 そうか

/ ,' 3 ・・何だかんだでお前は人とは違うから、ちょっくら寂しかったんだな

川 ゚ -゚) うん

アラマキはクーの頭をなでなでした

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/12(木) 23:11:00.25 ID:35Xucnsw0

/ ,' 3 だったらお前、あのドクオとかいう青年とイッパツどうじゃ

川 ゚ -゚) それはごめんこうむる 顔キモいし

/ ,' 3 ですよねー


紅葉の中、二人はてくてく。
上流の鉱山めざして歩いていきました。




第二話 おわり


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