- 68 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:10:15 ID:ybSidoFEO
-
第二章
「 オオカミ鉄道 」
−1−
(‘_L’)「合同……と言いますと?」
すぐにフィレンクトが聞き返した。
(´・ω・`)「我々はとある誘拐事件の調査をしております」
( <●><●>)「警部!」
ショボーンが誘拐事件の話をしたので、若手はすぐに止めに入った。
確か、今現在ではこの事件は非公開、秘密裏で行われている捜査ではないのか。
しかし、ショボーンは「いいんだ」と言って、フィレンクトに続きを話した。
(‘_L’)「ゆ……」
能面のような表情が一変、フィレンクトは顔色をかえた。
しかし、まだ事態を呑み込めてないように思える。
(´・ω・`)「そして、その誘拐犯が、この殺人を犯したと見てまず間違いない」
(‘_L’)「……」
フィレンクトは、腕を組み、少し考え込んだ。
誘拐事件自体、そうメジャーなものではないため、フィレンクトは戸惑っているように見えた。
対応に困っているのか、誘拐事件に対する経験と記憶が足りていないのかはわからない。
少しすると、彼はそっと組んだ腕を崩した。
.
- 69 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:16:04 ID:ybSidoFEO
-
(‘_L’)「公式に合同捜査本部が置かれるかはわかりませんが、
こちらの事件でなにかわかったことがあれば、その都度連絡しましょう」
(´・ω・`)「何人か刑事を寄越しましょうか?」
(‘_L’)「いいえ、正式に協力依頼がないいま、その必要はありません。
それよりもあなたがたの話では、誘拐犯と思わしき人物は逃走に成功してるんですよね。
ここに長らく居ても、大丈夫なのですか?」
(´・ω・`)「……ふむ、それもそうですね」
あくまで、この事件と誘拐犯との関連性が証明されたわけではない。
しかし、状況だけで言えば、関連性は大いにあり得る。
こちらの事件はフィレンクトに任せて、ショボーンと若手は公園から覆面パトカーを出した。
二時、三二分を過ぎた頃の話である。
だが、深夜という実感はなかった。
まだ二〇時のような感覚だった。
.
- 70 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:19:01 ID:ybSidoFEO
-
( <●><●>)「わかりませんね」
運転席で、ハンドルをきるが訊いた。
(´・ω・`)「ひとつ、思い浮かんだ事があるよ」
ショボーンは、窓の外を眺め言った。
すっかり乗用車は通っていない。
高速道路でも走っているかのように、スムーズに走らせることができていた。
(´・ω・`)「あの店員、もしかすると、誘拐グループの一人じゃないかと思うんだ」
( <●><●>)「と、言いますと?」
(´・ω・`)「もし、店員が誘拐犯なら、すべての謎に合点がいくんだよ。
. 仮にそうだとすると、受け渡し現場に深夜のコンビニを選んだのは非常に合理的だ。
. なんせ、客がいなければ、完全に向こうの有利な場所だからね」
( <●><●>)「なるほど」
「しかし」と言って、ショボーンは怪訝な顔をした。
.
- 71 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:22:24 ID:ybSidoFEO
-
(´・ω・`)「なぜ、店員は死んだのか」
( <●><●>)「仲間割れ、ですかね」
(´・ω・`)「しかし、ボストンバッグを持ち出すのはなかなか骨だよ。
. 一億は、あんたの思ってる以上に結構重い」
( <●><●>)「二千万円が入ったバッグを、五つですものね」
(´・ω・`)「ほんとうなら、大人数でやった方が楽なのに。
. 皆で運び出し、片方がトランクに詰めている間に、片方が運転するよう動く」
( <●><●>)「え、車あったのですか?」
若手の言下の質問に「たぶん」と語尾に付け足したきり、ショボーンはだんだん話さなくなった。
自信はないようで、推測の域を越えないために、なにも言うべきではないと判断したのだろう。
また、彼には彼の考え事があるようなので、若手も、それ以上は言わなかった。
(´・ω・`)「(まず、あらかじめ犯人は店員と手を組み、店内に潜伏する。
. 伊達さんがバッグを置き去り、五分経ってから、店員が回収しようとするも毒殺される、か)」
(´・ω・`)「……ちょっと、待てよ?」
.
- 72 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:25:11 ID:ybSidoFEO
-
( <●><●>)「はい?」
ショボーンが急に呟いた。
彼の口癖のひとつに、自己の制止がある。
推理を中断させる際、つい言葉にして出してしまうのだ。
不思議そうに、若手がショボーンの様子を窺った。
( <●><●>)「どうしました」
(´・ω・`)「不思議なんだよなー。回収する直前に弁当なんか食うか?」
( <●><●>)「緊張を解そうとしたのでは?」
(´・ω・`)「いや、現に、害者は毒殺されたんだ。弁当を食わなければよかったのに」
( <●><●>)「促されたとか。『これからが正念場だぞ』、と」
(´・ω・`)「まさか」
と、ショボーンは微笑し、いよいよなにも話さなくなった。
覆面パトカーは、伊達宅に向かっていた。
等間隔に置かれた街灯の下を走り、明るくなったり暗くなったりがテンポよく続いていった。
それは、徐々に眠気を誘いもした。
.
- 73 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:27:42 ID:ybSidoFEO
-
照明を消し、乗り込むショボーンと若手を撒くために、ゴミ捨て場に通じる扉を開ける。
そちらに二人が向かっている間に、誘拐犯はトイレに向かい、五千万を持って、逃げ出す。
ショボーンが、この扉がフェイクであることに気づいて、店内に入るも、既に誘拐犯は去っていた、と。
ショボーンの推理は、だんだんとまとまってきていた。
問題は、その殺害に至るまでの筋道だ。
ここで、ショボーンに電話がかかってきた。
伊達邸にいる、東風からである。
(´・ω・`)「もしもし」
『伊達さんが帰宅しましたよ』
(´・ω・`)「無事だったか?」
『はい。といっても、本人は大慌てでしたけど』
東風が苦笑した。
とってつけたような笑いであると、すぐに察せた。
.
- 74 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:31:20 ID:ybSidoFEO
-
しかしながら、東風も伊藤も、初対面の時、伊達のことを敬遠気味に見ていた。
そのことを思い出して、ショボーンは遅れて微笑した。
ショボーンたちも、少しして伊達邸に着いた。
外で東風が待っており、覆面パトカーを見て、東風は大きく手を振った。
車を止め、ショボーンと東風は降り、首尾はどうかと尋ねた。
結果、伊達の身にはなにも起こってない、と応えられ、ショボーンは胸を撫で下ろした。
|(●), 、(●)、|「……逃がしたのかね?」
(´・ω・`)「申し訳ありません。殺人事件が発生してしまい」
|(●), 、(●)、;|「ささ、殺人ッ!?」
伊達は紅茶を呑み、ショボーンに事件のことを逐一聞いた。
「ふーん」と鼻を鳴らし、孫が殺されたわけではないと知って、安堵していた。
寧ろ、驚いたのは、孫が殺されたのかと勘違いしてしまったのだろう。
(´・ω・`)「さて、ここからが問題だよ」
( <●><●>)「なぜです?」
(´・ω・`)「誘拐犯はこっちの姿を見たはずだからね。警察に知らせたこと、ばれたね、ありゃ」
|(●), 、(●)、|「な、なんと!」
伊達は即座に怒鳴った。
しかし、ショボーンは落ち着きながら「まあまあ、聞いてください」と言って、彼を宥めた。
.
- 75 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:34:19 ID:ybSidoFEO
-
(´・ω・`)「相手の要求は四億であり、まだあと三億が残ってるんですよ?
. 犯人がもう人質を殺すことはないでしょうな」
|(●), 、(●)、|「それはそうだが……」
(´・ω・`)「却って好都合だ。堂々と、VIP県警を総動員させようじゃないか」
( <●><●>)「しかし危険ですよ。一億でも、大金には変わりありませんからね。
もしかしたら、犯人は諦めてしまうかもしれない。
現時点にて、大々的に挑むのは、まずいと思われます」
興奮気味だったショボーンに対して、若手は冷静に言った。
続いて東風も「同感です」と言った。
若手が捜査一課に配属されるまでは、ショボーンは、よく東風と組んでいたのである。
そんな、冷静でベテランの東風がそう意見したため、ショボーンも聞き入れた。
.
- 77 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:37:27 ID:ybSidoFEO
-
('、`*川「警部、次の指令はいつ頃なんですか?」
(´・ω・`)「……わからないね」
('、`*川「相手はきっと警察を警戒しています。
ほっておくと、人質がなにか危ない目に晒されるのではないのでしょうか」
(´・ω・`)「しかし、いまの僕たちには手の下しようがないのも事実だよ」
伊藤が、控えめに意見した。
彼女はショボーンの部下で、数少ない女刑事である。
しかし、取り立てて美人というほどではなく、どちらかというと恐れられている。
彼女は、ところどころで『吐かし屋のペニー』と呼ばれているがゆえの所為だった。
一度、取調に彼女が同伴したことがある。
相手が卑怯な男で、苛立った伊藤が本性を顕わにしたのが、この異名の発端だった。
.
- 78 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:40:55 ID:ybSidoFEO
-
大人っぽい女性という印象の彼女が、鬼の形相になって取調をし、同伴していた刑事が先に震え上がったのだ。
相手もすっかり脅え、ぺらぺら話し始めたことから、彼女はよく男に尋問するようになった。
だが、女は尋問できないのが、彼女の弱点だった。
ちなみに、若手と同期ではあるものの、才能は平凡で、目立った活躍はしていない。
それでもショボーンは、伊藤の才能を信じている。
伊藤は、テーブルの上に置かれた電話を見てため息を吐いた。
彼女は、見張りも聞き込みも不得意なのだ。
怒りっぽい性分も手伝って、待つことが苦手なのだろう。
|(●), 、(●)、|「指令がないのなら、私は寝たいのだがね」
ショボーンは時計を見た。
それもそうだろう、もう、三時だ。
ショボーンは彼を寝かせ、残った皆に言った。
(´・ω・`)「いつ電話が来るかわからないし、万が一もあり得る。交代で寝よう」
( ゚д゚)「わかりました」
.
- 79 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:44:50 ID:ybSidoFEO
-
−2−
交代制で皆が眠りについたが、結局朝になっても電話も襲撃もなかった。
別に願っている要素ではないため、取り立てて不審に思うこともない。
日光に浴び、うんと背伸びをしたが、眠気も疲労もさっぱりとれなかった。
同日十六日、朝の六時になり、伊達が食事を用意してくれた。
食事と言っても、トーストに目玉焼きの、簡単なものだったが。
言うまでもないが、伊達は大層な金持ちだ。彼に仕えるコックもいる。
だからといって、伊達も料理ができないわけではないそうだ。
珍しいと思い、ショボーンたちは礼を言ってありがたくいただいた。
まずくもないが、取り立てて言うほどうまいわけでもなかった。
(´・ω・`)「そろそろ七時だな」
( ゚д゚)「イツワリさん」
(´・ω・`)「ん?」
( ゚д゚)「誘拐犯は、昨夜の〇時きっかりに電話を寄越したのですね?」
(´・ω・`)「ああ」
( ゚д゚)「ちょっと面白い仮説が浮かびました」
(´・ω・`)「ほう」
( ゚д゚)「ひょっとすると、誘拐犯は几帳面な性格なのかもしれないですよ」
.
- 80 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:52:34 ID:ybSidoFEO
-
(;´・ω・`)「は? …几帳面?」
ショボーンは、なんの話だと思った。
が、東風のほうは一貫して真面目な顔でいた。
( ゚д゚)「だって、考えてみてもくださいよ。
普通、身代金を要求するのに時間を気にする必要はないんです。
わざわざ時間を操作してまで指令を下すということは、
向こうの性格が几帳面であるのかもしれないですからな」
(´・ω・`)「はぁ。几帳面ねぇ……」
最初、言われてみてもさっぱりなままだったが、いざ言われてみると、尤もだ。
捜査の役に立つかはわからないが、特徴のひとつとして、ショボーンは脳に刻んでおいた。
以後も、電話の前で二人は話し合っていた。
今の東風の推理を踏まえるとすると、長針が十二を差すに近づくにつれ、自然と彼らの間に緊張が走るようになった。
そして、七時きっかりに、電話が鳴った。
.
- 81 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:55:37 ID:ybSidoFEO
-
東風の予想が的中したためか、ショボーンは少しばかし動揺した。
まさか、ほんとうに几帳面なのか。
ショボーンの動揺は、苦笑混じりなものだった。
(´・ω・`)「……伊達さん」
|(●), 、(●)、|「あ、ああ」
伊達が、落ち着きを保とうとしつつ、電話に出た。
通話先はボイスチェンジャーを使っていたので、
それが誘拐犯からの電話であることはすぐにわかった。
相手は、やはり落ち着いた、ゆったりとした口調で言った。
『まず、一億は確かにいただいた』
|(●), 、(●)、;|「次は、次はどこに運べばいい!」
伊達がつい大きな声を出すも、相手は微笑しながら、応えた。
『それよりも、警察を呼んだのはルール違反だよ』
(´・ω・`)「(……口調が変わってる?)」
.
- 82 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 17:58:32 ID:ybSidoFEO
-
|(●), 、(●)、;|「頼む、まだ孫は殺さないでくれ!」
『ルール違反は、ルール違反だよ』
|( ), 、( )、;|「あ、あああ……」
伊達は、誘拐犯の声を聞き、うなだれた。
だが、相手はすぐに電話を切ろうとはしなかった。
話には続きがあったのだ。
『どうせ、そこに刑事がいるのだろう? 彼に代わってくれたまえ』
|(●), 、(●)、;|「? …ああ、わかった」
誘拐犯は、ショボーンと話したがっていた。
相手の思考が汲めず、一瞬伊達は動揺した。
戸惑いながらも、ショボーンに受話器を渡した。
ショボーン以外の刑事はみな、黙っていた。
(´・ω・`)「……もしもし、代わったぞ」
『おやおや、ほんとうにいたとは』
.
- 83 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 18:01:16 ID:ybSidoFEO
-
(´・ω・`)「待て、話をさせてくれないか」
『というと?』
(´・ω・`)「こちらはちゃんと三億用意している。払うつもりだ。お宅も、諦めるわけじゃあないんだろう?」
『……ふふ』
誘拐犯は微笑した。
ショボーンの食い下がりようがおかしかったのだろうか。
『いいだろう。警察がいようと問題ないのでな。君たちに、もう一度だけチャンスをやろう』
(´・ω・`)「! ありがたい。
(……やけに自信たっぷりだな)」
『今から、次の受け渡し場所と手順を言う。一度しか言わないから、よく聞きたまえ』
ショボーンは目配せして、東風にメモの指示を促した。
東風が手帳を用意したのを見て、ショボーンは肯いた。
(´・ω・`)「いいぞ、言ってくれ」
すると誘拐犯は、一度目の指令の時よりもやや早口で言った。
.
- 84 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 18:03:44 ID:ybSidoFEO
-
『今日の七時四七分に、オオカミ鉄道の「あさやけ4号」という列車が、シベリアホウエン地区のルグロラージ駅を発つ。
後ろから三両目、寝台車である九号車の、B−8のベッドの上に、一億を四つのボストンバッグに分けて詰め、載せろ。
そして、すぐに降りることだ』
(´・ω・`)「七時四七分に発つ『あさやけ4号』の九号車のB−8に、ボストンバッグ四つを、置けばいいんだな?」
ショボーンは、東風にメモさせるために、わざとゆっくり復唱した。
誘拐犯は肯き、続けざまに言って、一方的に電話を切った。
『ただし、金を持ってくるのは、あんただ、刑事さん』
.
- 85 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 18:07:25 ID:ybSidoFEO
-
(´・ω・`)「! おい、ちょっと待て!」
(´・ω・`)「……切られたか」
最後に、気にかかることを言われた。
時間を稼ぐという意味でも、その点を問おうと思ったのだが、先に切られてしまった。
切られたあとでなにを言っても仕方がない。
彼は口惜しそうに電話を戻し、東風のほうを見た。
要点を、箇条書きでメモし終えている。
ショボーンは「よし」と言った。
( <●><●>)「どうでした」
電話が終わり、若手がすぐに問いかけた。
すると、ショボーンは
(´・ω・`)「方法は、ぎょろ目に言ったとおりだ」
東風を見て、そう言った。
ショボーンにぎょろ目と呼ばれたが、東風は気にしていなかった。もう慣れているようだ。
(´・ω・`)「しかし、やはり妙だ」
( ゚д゚)「やはり、受け渡し場所が列車だから、でしょう。
全ての駅に検問を張れば、呆気なく捕まえることができます」
(´・ω・`)「それに、今度はボストンバッグを四つときた」
( ゚д゚)「電車だから、でしょうかね」
(´・ω・`)「それもあるのかなあ。
. それより、最後に、金を持ってこさせるのに、伊達さんではなく僕を指名したんだ」
.
- 86 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 18:09:29 ID:ybSidoFEO
-
ショボーンは、驚いたというより、むしろ呆れたと言いたげに溜息を吐いた。
全く、相手の思考が読めないからだ。
ボストンバッグの数については、東風の言うようにいくらでも説明はつきそうだが、
受け渡しの立ち会いに、相手はショボーンを選んできた。
そのことが気がかりで、ショボーンの思考を散漫させた。
ショボーンが金を渡す、つまり、警察との差しの勝負に、誘拐犯が自ら望んだというのだ。
まして、列車である。
ショボーンは「時間がないぞ」と、自分に言い聞かせるように呟いて、立ち上がった。
若手も彼に続いて立ち上がった。
(´・ω・`)「伊達さん、ボストンバッグと身代金の用意はお済みですか?」
|(●), 、(●)、|「ああ。と言っても、バッグは五つ用意してしまったがね」
伊達は申しわけなさそうに言った。
.
- 87 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 18:11:47 ID:ybSidoFEO
-
(´・ω・`)「よし。ぎょろ目とペニーは、伊達さんと一緒に四つのバッグに金を移し替えてくれ」
東風と伊藤は承諾し、伊達と一緒に、バッグの用意に取りかかった。
若手が「我々はどうしましょう」と訊くが、ショボーンは急に外に飛び出した。
なにがあったのだと思って、若手も一緒に外に出た。
覆面パトカーに乗り込み、ショボーンが言った。
(´・ω・`)「時間がない。VIP県警から、直々にオオカミ鉄道に協力を要請する」
( <●><●>)「はい」
(´・ω・`)「オオカミ鉄道本社に向かってくれ」
覆面パトカーは、ゆっくり動き出した。
時間が、ない。
その言葉が、若手の緊張感を増幅させた。
.
- 88 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 18:19:12 ID:ybSidoFEO
-
ショボーンは、覆面パトカーが出発すると同時に、VIP県警本部に連絡をとった。
部下の動揺の混じった声が聞こえたが、ショボーンの「誘拐事件」というワードを聞くと、
向こうは急に狼狽し、それに合わせて矢継ぎ早にショボーンが用件を言った。
誘拐事件の件や、オオカミ鉄道への協力要請の件だ。
そして「また連絡する」と言い、ショボーンは足下から、地図を拾い上げた。
( <●><●>)「それは、あのときの」
(´・ω・`)「役に立つとは思わなかったけど。
. こいつを見て、オオカミ鉄道の例の列車が停まる駅を、徹底マークする」
ショボーンがそう言うと、早速ページを繰っていった。
ルグロラージ駅から、オオカミ鉄道の『あさやけ4号』が停まる駅を、ひとつひとつチェックしていった。
列車が切り離される、シベリアジョウト地区のクロコーダイル駅に至るまでを、だ。
隣り合った地区といえど、朝から半日を費やして移動するほどの長い距離だ。
それは、クロコーダイル駅が、シベリアの北部にまで続いている所為でもあった。
切り離し以降は普通列車は運行停止とあったため、それ以降は見る必要もなかった。
向こうとしても、そうなる前に逃走を図るに違いないからだ。
.
- 89 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 18:22:46 ID:ybSidoFEO
-
そして、再びVIP県警のほうに連絡をとった。
しばらくコールが鳴り、やがて出た人の息遣いは荒かった。
忙しいのだろう、無理もない。
(´・ω・`)「今から駅名を言うから、それぞれに何人か寄越せ」
と、言って、矢継ぎ早に、駅名を告げていった。
『あさやけ4号』が停まる駅名である。
(´・ω・`)「ひとつでも構わん、紺色のボストンバッグを持った怪しい者がいれば、捕まえてなかを調べろ。
. 札束が入っていれば、重要参考人として署へ連行しろ。シベリア県警と連携をとって、な」
そして、ショボーンは、再び「また連絡する」と言った。
早口言葉のように次々言ったのに、平然としていた。
彼らを乗せた車は、オオカミ鉄道本社のあるVIPへ向かった。
幸い、そう遠い距離ではない。車で、十分前後の距離だ。
七時一〇分を過ぎた。
ショボーンが少しずつ焦燥に駆られてゆくのが、声を聞くだけで、わかった。
.
- 94 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 19:45:57 ID:ybSidoFEO
-
−3−
覆面パトカーが、オオカミ鉄道本社に着いた。
案内係と思われる人物がその玄関で待っており、すぐに総裁のもとへ案内してくれた。
時計を見ると、七時二二分だった。
総裁も、時間がないのを知ってのことか、すぐに顔を出した。
わりと細く、背の高い人物だった。
爪'ー`)「オオカミ鉄道総裁の、大神(おおがみ)フォックスと申します」
(´・ω・`)「県警のショボーンです」
( <●><●>)「若手です」
二人が頭を下げた。
向こうもそれに応え、会釈した。
.
- 95 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 19:49:24 ID:ybSidoFEO
-
爪'ー`)「やっていいかね?」
(´・ω・`)「あ、どうぞ」
大神は、キセルを取り出して、尋ねた。
常に吸ってないと落ち着かないのか、うずうずしている。
ショボーンは、ここに五分も居座るつもりはなかったので、了承した。
爪'ー`)y‐~~
爪'ー`)y‐「ふぅ。これがないと、ね」
(´・ω・`)「早速ですみませんが、予め電話で伝えたように、『あさやけ4号』のほうで
. 身代金の受け渡しが行われるので、そちらの協力を――」
ショボーンが全てを言う前に、大神が口を開いた。
煙を吹かし、どこか落ち着いていた。
爪'ー`)y‐「いいですよ。話はつけてますから」
(´・ω・`)「…ありがとうございます。
. (やれやれ、臭いな)」
- 96 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 19:52:32 ID:ybSidoFEO
-
爪'ー`)y‐「で、ここに来た用件は、それだけじゃないのでしょう?」
(´・ω・`)「まあ」
( <●><●>)「え?」
(´・ω・`)「我々は、『あさやけ4号』に同乗します。
. 車掌長にも話を付けていただきたい」
爪'ー`)y‐「そういうと思って、既に話はつけました」
(´・ω・`)「……!
. (妙に早いな)」
ショボーンの急な要請に、大神は驚きもせず、すんなり受け入れてくれた。
それだけでなく、なんら必要な手続きを挙げていっても、その全てを既に済ましていると言う。
妙だと思ったが、四の五の言っている暇はなかったため、
ショボーンと若手は礼を言って、足早にそこを去った。
この間、なんと三分だ。
.
- 97 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 19:55:22 ID:ybSidoFEO
-
覆面パトカーに乗り込み、若手が運転する間、ショボーンは東風と連絡を取っていた。
ボストンバッグを持ってすぐにショボーンと落ち合うよう、駅での待ち合わせを取り付けたのだ。
ショボーンの指示で、覆面パトカーはルグロラージ駅に着いた。
二人が降りると、丁度同じタイミングで、東風、伊藤と会った。
ボストンバッグを若手とショボーンで二つずつ持ち、停車している『あさやけ4号』に向かった。
( ゚д゚)「イツワリさん、乗車するんですか?」
(´・ω・`)「ああ。車は返しといてくれ」
東風が肯き、車はすぐに発った。
彼らを見送ることはなく、ショボーンは時計を見た。
七時三九分、そろそろ発車だ。
.
- 98 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 19:59:02 ID:ybSidoFEO
-
急ぎ足で、プラットホームへ出た。
ベージュの車体で、上の方に二本、赤のラインが横に伸びている。
九号車から乗車しようとしたのだが、乗降口がなかったので、仕方なく八号車から乗り込んだ。
既に何人かの乗客がいたのだが、なにぶん、若い客が多い。
そのせいか、皆の好奇の視線がショボーンたちに突き刺さり、それは痛かった。
(´・ω・`)「(このなかに誘拐犯がいるのか?)」
とショボーンは警戒しながらも、寝台車である九号車に向かった。
誘拐犯の言っていた通り、後ろから三両目で、上下二段式の、B寝台だった。
二列構成で、縦に四つの席があり、全部で十六の数の席が、並んである。
誘拐犯の指定では、右列であるBの、一番後ろの下段だった。
乗客だが、ここが寝台車であるだけあり、席のほとんどは埋まっていた。
昨夜から乗っているのであろう、特に気にはかからない。
朝だけあって大半はベッドを折りたたんでいるが、カーテンを閉めて寝息をたてんとする者もいる。
.
- 100 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 20:04:34 ID:ybSidoFEO
-
(´・ω・`)「(このなかに誘拐犯がいると思うんだけどなあ……)」
そう思いながら、B−8のベッドに、ボストンバッグを四つ置いた。
すると、ショボーンはとあることに気がついた。
(´・ω・`)「なるほど。このベッド、五つ突っ込むと、上に載せた一つがバランスを崩して通路に落ちそうだ」
( <●><●>)「『四つ』とは、ベッドの大きさに合わせたのでしょうか」
(´・ω・`)「おそらくそうだろう。頭のいい誘拐犯だ」
と、若手と小声で話した。
ボストンバッグを手早く積み、見られないうちに、カーテンを閉めきった。
おそらく、一般の乗客には見られていないだろう。
すると、前方の扉から、一人の男が駆け足でやってきた。
どうやら、言っていた車掌長のようである。
( ゙ゞ)「お話は伺っております。VIP県警のショボーン警部と若手刑事ですね?」
.
- 101 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 20:18:38 ID:ybSidoFEO
-
百六十五センチほどで痩身の、小柄な男がショボーンと若手に声をかけた。
顔のしわから察するに、歳は四十は超えていそうだ。
わりと甲高い声を持つ彼は、あわてて
( ゙ゞ)「申し遅れました。車掌長の、関ヶ原デルタと申します」
と、自己紹介を述べ、頭を下げるので、ショボーンも、半ば焦り気味に、礼をした。
車掌長と自称する関ヶ原は、ショボーンたちのことを存じていた。
総裁の大神から連絡が届いたと言っていた。
彼には、もし誘拐犯と思わしき怪しい人物が見られた場合、
その都度ショボーンに知らせるよう、頼んである。
「よろしく」と言って、ショボーンは時刻を確認した。
.
- 102 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 20:20:57 ID:ybSidoFEO
-
(´・ω・`)「(そろそろ発車か)」
車掌長は持ち場に戻るといい、ショボーンたちの前からそそくさと駆けていった。
彼の姿が見えなくなってから、若手は、ショボーンに小声で話しかけた。
( <●><●>)「さて、どうします?」
(´・ω・`)「降りる」
( <●><●>)
( <●><●>)
( <●><●>)「え?」
ショボーンは、いきなり降りる、と言った。
いきなりの決断、そして行動に、当然若手はたじろいだ。
ショボーンは急に九号車から八号車に向かい、乗降口を降りたのだ。
若手には、何のことか、わからなかった。
(; <●><●>)「警部!」
.
- 103 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 20:23:36 ID:ybSidoFEO
-
焦った若手が、先々歩くショボーンめがけて大きな声で叫んだ。
するとショボーンは、出口に向かうと思われたものが踵を返し、
七号車前方にある乗降口に乗り込み、半身だけを外にのぞかせて、若手に手招きした。
若手は混乱寸前だった。
彼が追いかけて七号車のデッキに踏み込んだ直後、扉は閉まった。
(; <●><●>)「どうしたのですか、急に!」
(´・ω・`)「ばーか、帰るわけないだろうが。今のは、芝居だ」
( <●><●>)「芝居?」
まだ、ショボーンの意図がわからなかったが、
彼が本気で帰るつもりではないとわかり、若手は胸を撫で下ろした。
一頻り若手を貶してから、ショボーンは本題に入った。
(´・ω・`)「誘拐犯は、九号車の人間だ。
. 僕らが金を置いて帰らないとばれては、なにされることややら」
( <●><●>)「……ああ、それで、一旦プラットホームに出て、帰ると見せかけて、七号車から乗り込んだわけですか」
.
- 104 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 20:25:59 ID:ybSidoFEO
-
(´・ω・`)「僕らが居座る方針でいるとわかったら、向こうは根城にいる仲間に連絡をして、人質を殺すよう言うだろう。
. 既に、五千万は奴らの手中にある。なんの躊躇いなく、殺してきそうなものだからな」
( <●><●>)「それも、そうですね」
と若手は苦笑した。
ショボーンは、彼とは対照的に、ニヤッとした。
(´・ω・`)「僕はね、コンビニの店員が誘拐犯の一人じゃないか、ってにらんでるんだよ」
( <●><●>)「まあ、考えにくい話では、ありませんね」
(´・ω・`)「そこで、だ。犯人グループ像が、自然と浮かび上がってきそうじゃない?」
( <●><●>)「と、言いますと?」
若手は、先を促した。
ショボーンの不適な笑みは、まだ失せてない。
.
- 105 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 20:31:58 ID:ybSidoFEO
-
(´・ω・`)「あとでぎょろ目たちに害者の人間関係を根こそぎ洗わせるつもりなんだ。
. 今回の誘拐事件は、裏でつながっている人同士で犯されたものに違いない。
. なにかそれらしい関係が浮かび上がれば、捜査もしやすいだろ?」
( <●><●>)「警部は、その犯人グループ像についてはどのようにお考えですか?」
ショボーンは、少し間を置き、考えてから
(´・ω・`)「若いね」
( <●><●>)「店員と、同じ年齢層の人物らで組まれたグループ、と?」
ショボーンは首をかしげた。
(´・ω・`)「いやあねぇ、グループで行われる誘拐事件って、チームワークが大切なんだよ。
. しかし、向こうは仲間割れしている。エゴイズムな、今時の若者の犯行という気がしてならんのだ」
( <●><●>)「店員は、見て呉れで言うならば学生でないことは確かです。
そう考えると、過激なフリーターたちで組まれたのでしょうかね」
.
- 106 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 20:35:48 ID:ybSidoFEO
-
ショボーンは「そうかもね」と言って、軽く笑った。
そして、大神総裁からいただいた時刻表を見て、若手にそれを押しつけた。
(´・ω・`)「これは長距離列車だからね、停まる駅も数多だ。いつ誘拐犯が動くかわからない。目を通しておけ」
( <●><●>)「はい」
シベリアのなかで南に位置するホウエン地区の、更に南に在るルグロラージ駅から
更にジョウト地区の北端に向かうだけあって、停まる駅の数は、確かに多かった。
そのなかに、乗換によく用いられる駅も幾つかあったので、これは大変だ、と若手は思った。
.
- 108 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 21:00:12 ID:ybSidoFEO
-
まず、八時一六分に、ホチクライナ駅に着く。
ルグロラージ駅から半時間近くかかるが、ホチクライナ駅からは、わりと小刻みで駅が点在している。
ショボーンは、これだときりがないと言い、その中の幾つかの駅をピックアップして、手帳に書き込んだ。
イルミネーゼ駅 九時三五分 発
クナックラー駅 九時五三分 〃
ラルトロス駅 一〇時四二分 〃
○ゴドーム駅 一二時〇三分 〃
ネイティリオ駅 一三時二九分 〃
カラスコマチ駅 一七時五二分 〃
それを見て、ワカッテマスは訊いた。
( <●><●>)「これは?」
(´・ω・`)「僕がにらんだ、誘拐犯が金をおろすのに使いそうな駅だよ」
( <●><●>)「なにを根拠になされたのですか?」
(´・ω・`)「この駅は、全てが三分停車なんだ。金をおろすのには、充分すぎる時間だろ?」
( <●><●>)「なるほど」
.
- 109 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 21:03:30 ID:ybSidoFEO
-
(´・ω・`)「あくまで、僕の予想だ。もちろん、三十秒で発つような駅でも、逆に相手が運び出すかもしれない。
. 僕たちが追いかけようとして、降りる前に扉が閉まったら、どうしようもないからね」
( <●><●>)「それはわかるのですが、ゴドーム駅にだけ、丸印がついてますが、これは?」
(´・ω・`)「ああ、これは、僕が一番にらんでる駅だ」
( <●><●>)「と、いうと?」
(´・ω・`)「ゴドーム駅も三分停車だけどね、ゴドーム駅に着く時間を考えてごらんよ」
若手は、ゴドーム駅発の一二時〇三分という時間を見た。
三分停車、という言葉で、若手は閃いた。
( <●><●>)「わかりましたよ。一二時きっかりに、到着するのですね?」
(´・ω・`)「そうだ」
.
- 110 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 21:06:27 ID:ybSidoFEO
-
( <●><●>)「しかし、それがどうしたのです?」
(´・ω・`)「僕も、ひょっとしたらって思っただけなんだけど、誘拐犯は、ぎょろ目の言うとおり几帳面な性格の持ち主かもしれない。
. 今までの指令の電話も、時刻に関しては無意味にきっちりしていた。
. それを考えると、どうも、一二時きっかりというのが、気にかかるんだ」
( <●><●>)「ほう」
(´・ω・`)「そして、ゴドーム駅の前の駅はラルトロス駅なんだけど、ラルトロス駅を一〇時五〇分に発ったきり、ゴドーム駅まで、どの駅にも停まらないんだ」
若手は、もう一度時刻表を見た。
確かに、ラルトロス駅からゴドーム駅までに、一時間以上間が空いている。
ショボーンは更に続けた。
.
- 111 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 21:09:04 ID:ybSidoFEO
-
(´・ω・`)「また、ゴドーム駅には『ゴドームドーム』というおおきなドーム球場があるし、
. それが在るのは『ゴドームパーク』という広大な面積を持つ公園だ。
. 陸上競技場も在ると聞くな。以上のことを踏まえると、ゴドーム駅が怪しく思えるんだ」
( <●><●>)「なるほど、確かにゴドーム駅は怪しいですね」
(´・ω・`)「まあ、あくまで予想だけどね。それより、そろそろ動くぞ」
時計を見ると、そろそろ最初のホチクライナ駅に着きそうだった。
七号車から八号車に渡り、ショボーンはデッキの扉の窓から九号車を覗いた。
(´・ω・`)「まだ、とられているわけではなさそうだが……」
ショボーンは、ボストンバッグを置く際、既にとられたかどうかをいつでも確認できるように、目印を残しておいた。
カーテンの端を折り、一度カーテンを開閉すれば、折れが直るようにしておいたのだ。
ショボーンは、その折れがまだあるのを見、そう言った。
( <●><●>)「到着まで、待ちましょうか。今見ても仕方がないですし」
(´・ω・`)「そうだな」
.
- 112 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/13(金) 21:12:49 ID:ybSidoFEO
-
寝台車である九号車、十号車には乗降口がない。
そこにいる乗客が降りようとするなら、デッキ、もとい八号車に向かわなければだめなのだ。
どの道自分らのいる場所を通らないとだめなため、焦る必要はない、と若手は言った。
十一両目だが、そこはそもそも客車ではなく、何らかのサービスを目的にした荷物車だと聞いている。
このことに、ショボーンは、オオカミ鉄道らしいなと思っていた。
(´・ω・`)「デッキで待つのもあれだし、八号車で待機しておくか」
( <●><●>)「車椅子用のスペースで待ちましょう」
デッキをでてすぐ隣に、車椅子を使用の乗客が居ることのできるスペースがある。
幸い、そこには人がいないので、そこで二人は待機した。
デッキから顔を出し、横目で九号車の様子を確認するが、B−8に近づく者はいない。
程なくしてホチクライナ駅に着いた。
すぐに、ショボーンは九号車を覗いた。
まだ、金はとられていない。
そして、九、十号車には降りようとする乗客も、いなかった。
(´・ω・`)「駅に着くたびに、こうしなくちゃいけないのか。せわしないな」
と、笑った。
.
- 118 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 17:24:57 ID:CbDEPBqwO
-
−4−
朝の日射しがなかなかに眩しく、一方で厳しい寒さが襲ってくるため、妙な気分になっていた。
どうも寒さは苦手だ。それが、シベリアの乾燥した大気となれば、尚更だった。
東風と伊藤はシベリアにいた。
誘拐犯により殺害されたであろうコンビニの店員について調べるためである。
向こうに着くと、フィレンクトが出迎えてくれた。
コンビニ店内のなかは、鑑識でごった返している。
東風たちが降りてフィレンクトと合流すると、近くにいた警官たちが敬礼してきた。
自分らをVIPの刑事とわかっているのかはわからない。
が、慌てて東風たちも敬礼した。
( ゚д゚)「VIP県警の東風です」
('、`*川「伊藤です」
伊藤が律儀に頭を下げる。
その姿の時だけ、淑やかに見えた。
フィレンクトも同様に軽く自己紹介をして、早速本題に入った。
(‘_L’)「誘拐事件のほうは、どうですか?」
( ゚д゚)「第二の指令があったので、皆そちらに総動員させています」
と言って、現状の首尾をさっくり伝えた。
彼は「なるほど」と肯き、労いの言葉をかけた。
.
- 119 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 17:29:07 ID:CbDEPBqwO
-
(‘_L’)「害者ですが、身元が判明しました。名前は御前(ごぜん)モカ。
一週間前から、ここのコンビニで働いていたようです。
時間帯は夜勤で、七連勤であることが確認されました」
( ゚д゚)「働き詰めなんですね」
矢継ぎ早に言ってくるフィレンクトの言葉を、手帳に次々メモしていった。
東風は、この御前モカという人物についてとことん調べ上げるよう、上司のショボーンから指示されている。
直接の事件解決にはつながらないだろうが、手がかりにはなる、とショボーンが言っていた。
( ゚д゚)「ここのオーナーは、どこへ?」
(‘_L’)「数分前にここに来て、今は、なかで害者に関する書類を探しています」
と、フィレンクトはコンビニの店内に指をさして言った。
まさか、オーナーも、彼が雇って一週間で事件に巻き込まれるとは、予想にだに思わなかっただろう。
慌てて、自宅から飛んできたらしい。
東風は同情すると同時に、軽く笑った。
(‘_L’)「話を聞きますか?」
( ゚д゚)「書類とやらが見つかってからで大丈夫です。
それまでに、こちらの事件の詳細をまず聞かせてもらっていいですかね?」
(‘_L’)「ええ、いいですよ」
フィレンクトは快く承諾した。
.
- 120 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 17:31:45 ID:CbDEPBqwO
-
( ゚д゚)「死因のほうは、やはり……?」
(‘_L’)「毒殺です。青酸だったようです」
( ゚д゚)「それは、例の弁当とやらに?」
と東風が聞くと、フィレンクトは少しにやけた。
(‘_L’)「そのことなんですがね、実におもしろいのですよ」
( ゚д゚)「と、言うと?」
(‘_L’)「弁当には確かに食べられた形跡があるものの、
毒は口から入ったわけではないそうなのです」
( ゚д゚)「ほうほう」
(‘_L’)「調べると、腕のほうを毒針で刺されたようなのです。先程死亡が確認されました」
( ゚д゚)「むう。生きていてくれると、こちらとしてもありがたいのですが……」
東風は口惜しく思った。
そんな顔を見せて、フィレンクトも苦笑した。
生きていれば、誘拐犯についてなにか聞けるかもしれない。
しかし、そのような希望は、絶たれてしまったのだ。
.
- 121 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 17:35:50 ID:CbDEPBqwO
-
(‘_L’)「解剖結果については、また後ほどVIPのほうに電送しておきます」
( ゚д゚)「ありがとうございます」
(‘_L’)「それと、現場には、毒の件以外にもいくつかおかしいところがあるのですよ」
( ゚д゚)「おかしい……?」
(‘_L’)「まずひとつ、監視モニターの各種コードが切られてました。
おかげで、監視カメラから犯人を特定するのは不可能なのです」
( ゚д゚)「コードを切る……?」
(‘_L’)「最近の監視カメラには、様々な機能のものがありますからね。
用心深い犯人が、そうしたと見ていいでしょう。
ビデオのテープもぐちゃぐちゃで、再生不可能です」
それを聞いて、改めて東風は不思議に思った。
電源を切るまではよしとしても、コードをきったり、更にビデオテープまでをも
破損させるなどとすると、さすがに、店員の御前は気づくだろう。
前もって全てを破損させておいたと考えるなら、御前も誘拐犯の一味であると見て間違いない。
( ゚д゚)「(やはり、仲間割れなのだろうか?)」
と、東風は確信に近い推理を展開していた。
しかし、仲間割れするメリットがない。
強いて言うなら分け前が増える程度だが、同時にリスクも数倍に跳ね上がる。
.
- 122 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 17:37:44 ID:CbDEPBqwO
-
(‘_L’)「そして二つ目ですが、いま僕、ここのオーナーはモカの書類を探している、と言いましたよね?」
( ゚д゚)「言ってましたね」
(‘_L’)「不思議じゃないですか? すぐにパッと出てきそうなものが」
( ゚д゚)「確かに」
(‘_L’)「これはただの推測でしかないのですが、
もしかしたら、あらかじめ害者自身が処分したのかもしれないですよ」
( ゚д゚)「確かに、考えられますね」
(‘_L’)「そちらのほうでは、もしかして、害者は
誘拐グループの一味であるかもしれない、とみて捜査していますか?」
フィレンクトは、核心を突いてきた。
考えてみれば、わかる話だろう。
.
- 123 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 17:40:24 ID:CbDEPBqwO
-
誘拐犯は、身代金の受け渡し場所に、明らかに受け渡しには不向きであろう二十四時間営業のコンビニを選んできた。
しかし、そのコンビニだが、監視カメラは作動しておらず、また店員が殺されてしまった。
その店員、モカに関する書類が紛失されていて、また、犯人は店内のバックスペースに潜んでいた、と思われている。
実際、照明のスイッチに付着した指紋も拭き取られたし、御前を毒殺したのも、これはバックスペースでの話だ。
仮に御前が誘拐事件と無関係なら、監視モニターの件、受け渡し場所にコンビニを選んだ理由に納得がいかない。
だから、御前が誘拐犯の一味であると考えて、なんらおかしくはない。寧ろ、必然とみていいだろう。
フィレンクトも、この結論に至ったようだ。
( ゚д゚)「……」
(‘_L’)「あ、オーナーがきましたよ」
と言われ、東風は入り口を見た。
やけに大柄――というよりかは、背丈は確かにそうだが、横には細く
八頭身だ――で、職業がコンビニ運営のオーナーであるとは、想像しがたい。
.
- 124 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 17:45:42 ID:CbDEPBqwO
-
伊藤が、彼を舐め回すように彼の外見を刮目していると、
その男は伊藤の視線も気にかけず、フィレンクトに飛びついた。
落ち着きがなく、焦燥に駆られているのが、見てすぐに判る。
(;´Д`)「な、ないんです!
履歴書はおろか、御前くんが書いた紙すら失せてしまってます!」
(‘_L’)「書いた紙というと、メモ書きとかもですか?」
と興味深そうにフィレンクトが訊いた。
オーナーは、同じ口振りで続けた。
いい大人が、もう少し落ち着けないものか。
東風はそう思っていた。
(;´Д`)「うちのコンビニでは、自分が出勤できる日をレシートの裏にでも書いて
貼っておくのですが、そのレシートすらなかったのです」
(‘_L’)「確か、郵便とか受け付ける際に、店員がなにか伝票を書きますよね。そういったたぐいのものも?」
(;´Д`)「はい。もう、えらいこっちゃですよ」
と、オーナーは肩をすくめた。
本当にパニックに陥っているようだった。
.
- 125 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 17:47:50 ID:CbDEPBqwO
-
('、`*川「ミルナさん、これはどういうことなのでしょうか」
( ゚д゚)「害者が誘拐犯グループの一人だった、という裏付けだな。
犯人か害者自身かはわからないが、誰かが足跡を消すために犯行直前に持ち去ったとみていいだろう」
('、`*川「じゃあ、レシートとかは?」
( ゚д゚)「ひょんなことがキッカケで筆跡鑑定され、どこの誰なのかを特定されるのをおそれたのかもしれない」
('、`*川「でも、御前モカという名前で、身元も割れたのでは?」
と伊藤がきくと、東風は鼻で笑い、腕を組んだ。
( ゚д゚)「モカという人物はまぬけな誘拐犯であった、というわけだろうな」
.
- 126 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 17:50:28 ID:CbDEPBqwO
-
−5−
伊藤はきょとんとした。
彼女が、ここは笑うべきなのかどうかを考えている隙に、東風はオーナーに近づき警察手帳を見せた。
( ゚д゚)「VIP県警の者ですが、お話を聞かせてもらってよろしいですかね」
(´Д`)「え? あ、いいですよ」
( ゚д゚)「まず、あなたのお名前は?」
(´Д`)「八東(はっとう)ススムと申します。ここのコンビニのオーナーしております」
( ゚д゚)「モカさんのことについて、伺ってもよろしいですか?」
と聞かれたので、八東は腕組みをし、頭を傾げた。
視線は宙をさ迷っており、御前モカについて思いだそうとしているようだった。
八東は、そのままの姿勢で
(´Д`)「彼は、いわゆるそのフリーターでしてね。
定職につけるまでに、うちで少しばかし稼ごうと思っていたようです。
さすがフリーターというだけあるのか、コンビニの夜勤の経験は豊富だ、
と豪語していましたので、最初の三日だけ私も研修につきあい、あとは彼一人に任せていたのですよ」
.
- 127 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 17:54:00 ID:CbDEPBqwO
-
( ゚д゚)「一週間前から勤めだした、ということは、十二月九日からですか?」
(´Д`)「いち、に、さん……えっと、そうなるのですかね」
( ゚д゚)「(随分と、あやふやなんだな)」
言葉を濁す八東を見て、東風は不審に思った。
オーナーである以上はぱっと言えるだろう、と。
しかし、あらためて考えてみれば、それは仕方のないことだった。
御前に関する書類はすべて紛失しており、また逆算しようにも、夜勤と言うと、
日を跨ぐことが前提となる仕事だ。八東の記憶が混乱していても、おかしくない。
探せば、シフト表などを見つけ、いつから勤めだしたのかはわかるだろうが。
( ゚д゚)「働いていた時の、彼の様子を詳しく教えてください」
(´Д`)「はい。確かに経験があるだけあって、レジうちや揚げ物は上手でしたよ。
ただ、備品の場所などは当然ですが把握できていないので、最初は少し戸惑っていました。
が、二日目からは順調でしたよ。郵便や収納代行も、手際よくこなしていたので」
( ゚д゚)「なにかを探っていたとか、妙な行動はありませんでした?」
(´Д`)「いえ、特には――」
と八東は言ったが、間髪入れず、自分でその発言を取り消した。
東風はすぐに反応した。
(´Д`)「あれ。そういえば、あったといえばあったよ」
.
- 128 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 17:56:23 ID:CbDEPBqwO
-
( ゚д゚)「なんですか?」
(´Д`)「いや、たぶん事件とは関係ないことなんですがね」
( ゚д゚)「構わないですよ、是非仰ってください」
東風が促すものだから、八東も、本題に入る前に軽く咳払いした。
大層な話でもなかろうにここまで追求してくるのが、変だったからである。
相変わらず腕を組んだまま、首を傾げている。
(´Д`)「二日目あたりですな。客足が減って暇な時に、
御前くんがこんなことを聞いてきたのですよ。
『普段の、深夜二時ごろの客足はどうですか』と」
( ゚д゚)「………二時か」
.
- 129 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 17:58:46 ID:CbDEPBqwO
-
二時と言えば、誘拐犯が指定した時間と合致しているな、と東風は思った。
八東は腕組みを解いて、言った。
(´Д`)「二時と言えば、仕入れがきますからね。
あのときは、二時には仕入れがあるから客足を知っておきたいのかな
程度にしか思ってなかったのですが、いま思うとおかしいですよ。
仕入れが来るのは二時だけではないですから。
それに、御前さんが殺されたのは、二時なのでしょう?」
( ゚д゚)「はい。二時です」
(´Д`)「二時に、なにかあったのですかね」
( ゚д゚)「監視カメラが生きていればいいのですが……」
八東に同情するように口惜しそうに言ってみると、八東は更に残念そうな顔をした。
.
- 130 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 18:02:18 ID:CbDEPBqwO
-
( ゚д゚)「あなたが店を見て、不思議に思うことはなにかありませんでした?」
(´Д`)「不思議?」
( ゚д゚)「備品の位置が変わっていたり、見たこともないものがあったり」
と聞くと、再び、八東は腕を組んだ。
どうやらこれは、彼がなにかを思い出すときにとる癖らしい。
実にわかりやすい、面白い癖だ。
(´Д`)「監視カメラのコードがきられたりもあったけど、ほかには……」
( ゚д゚)「ありませんでした?」
(´Д`)「あっ」
( ゚д゚)「なにか、思い出しました?」
八東が、手をたたいた。
乾いた音が、周囲にこだまする。
(´Д`)「椅子」
( ゚д゚)「椅子?」
(´Д`)「椅子が二個、机の前に置かれていましたね」
( ゚д゚)「えっ」
(´Д`)「いま思い出した。椅子が二つありました!」
( ゚д゚)「ペニーっ」
東風は、伊藤に至急そのことを調べるよう指示した。
一分経たないうちに戻ってきて、椅子について報告した。
('、`*川「確かに、椅子は二個でした」
.
- 131 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 18:04:28 ID:CbDEPBqwO
-
八東は、更に苦い顔になった。
ぽりぽりと、面目なさそうに頭を掻いた。
(´Д`)「無断で部外者を入れてたみたいだな……
そんな不真面目な人とは思えなかったが」
( ゚д゚)「と言うと、彼は好青年だった、ということですか?」
(´Д`)「私の見ている限りでは。
今時の若者にしては、敬語もうまかったし、お客様を第一に思う人だったものですから」
彼を褒めている時の八東は、なんとも言えない複雑な表情をしていた。
そんななか、「若者」という言葉に反応した東風は、ここぞとばかりに八東に質問した。
( ゚д゚)「そういえば、年齢はいくつなのでしょうか?」
(´Д`)「私は三十七です」
(;゚д゚)「いや、被害者のほうです」
八東は「わかってますよ」と、微笑した。
隣で見ていた伊藤は、八東を見て「若いな」と思っていた。
確かに、コンビニのオーナーが三十台とは、世間的に見ると若いほうではないのか。
八東は背が高く、そのせいか余計に若く見えるのだ。
まあ、少ししわが見えるので、若いと言っても二十台には見えなかったが。
.
- 132 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 18:06:36 ID:CbDEPBqwO
-
(´Д`)「聞いた話、二十後半だったと記憶してますが、
今となると、それは虚偽だったかもしれませんよ」
( ゚д゚)「いえ、名前は虚偽ではなかったため、おそらく年齢も真実を告げているでしょう」
(´Д`)「それにしても、二十後半でうちのバイトをするなんて珍しいですよ。
だいたいは学生か、パートのおばちゃんだから」
( ゚д゚)「アルバイトの動機ですが、そのなかに、失業したとか言ってました?」
(´Д`)「失業……」
やはり腕を組んで、八東は考え込んだ。
即日で雇ったわけでないのなら、面接を行ったのは一週間以上も前の話となる。
思い出すほうが難しいだろうが、それでも東風は聞いてみた。
こういうとき、ちゃっかり思い出すことがあるのだ。
長年刑事をしている東風は、それを知っている。
.
- 134 名前: ◆wPvTfIHSQ6 投稿日:2012/01/14(土) 18:09:58 ID:CbDEPBqwO
-
(´Д`)「さあ。でも、仮に失業していても、恥ずかしがって言わないでしょう」
( ゚д゚)「それもそうですが」
(´Д`)「職を探すと言っていたので、失業者か、もしくは脱ニートなのでしょうな」
( ゚д゚)「今後そういう若者が増えたら、警官でもしないかと言ってやってくださいな」
(´Д`)「それはおもしろいですね」
と、八東は笑った。
イツワリ警部の事件簿
File.2
(´・ω・`)は偽りの根城を突き止めるようです
第二章
「 オオカミ鉄道 」
おしまい
.
戻る 次へ