( ・∀・)定期テストのようです

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 18:43:53.90 ID:N6gJfA5YO
男子寮の更に向こう側に位置する、西の森と呼ばれる大きな森を、一人の男子生徒が歩いていた。

<ヽ`∀´>(森のどっかに隠れて、誰かが来たら先手をとるニダ)

辺りは薄暗く、テストはまだ始まったばかりなので誰かがいる気配は今のところは無い。
…はずだったのだが。


ズザッ―――――


<ヽ;`∀´>「なっ!!?」

森の木々の葉を鳴らし、勢いよく飛んできた何か。
ニダーは完全な不意打ちに呆然とする。
それが飛んできた方向を確認するが、誰もいない。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 18:45:01.94 ID:N6gJfA5YO
<ヽ`∀´>(どうなってるニダ…?)

ふと、その先程飛んできた何かを確認するニダー。

<ヽ`∀´>(鉛筆?)


ガサガサッ


彼が、真後ろの草が揺れる音を聞いた頃には時既に遅し。
首筋に冷たい何かを押し付けられた状態で、動くことさえできなかった。
そしてそんなニダーを見つめる2人の男女は、静かに呟く。

( ・∀・)「チェックメイト」

ミセ*ーー゚)リ「だよ」


( ・∀・)定期テストのようです
*1話 1日目午前

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 18:47:23.74 ID:N6gJfA5YO
始め、の合図と共に一斉に動き出した生徒たち。
テストは7年生以上12年生以下の生徒によって行われるので、それ以外の生徒がいる校舎や寮の使用は禁止。
主に運動場や体育館、または東西それぞれにある森を舞台に戦いは繰り広げられる。
ちなみに夜は寝袋で過ごし、勝利条件は相手の生徒証を奪うこと。
そしてテストが終了となるのは規定期間を過ぎた時、あるいは勝ち残っているのが仲間だけになった時である。

( ・∀・)「まあ、流石に開始直後から戦おうとする奴はいないわけだ」

僕は、隣を歩くミセリに声をかけた。

ミセ*゚∧゚)リ「そりゃあ、そんなことしたら他の人に背後とられちゃうもん」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 18:49:14.37 ID:N6gJfA5YO
口を尖らせてそう答える彼女は、何故か僕と目を合わそうとはしない。
何か悪いことしたっけか。

( ・∀・)「なんで不機嫌なの?」

ミセ*^―^)リ「別に不機嫌なんかじゃないよ」

明らかにひきつった笑いを見せる彼女は不機嫌以外の何ものでもない。
しかしミセリからは何も言おうとしないので、僕は少し記憶を遡ってみることにする。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 18:50:31.96 ID:N6gJfA5YO
まず朝登校して、教室に入ったんだ。
それから、えーと。

ζ(゚ー゚*ζ「モララーくーん!」

( ・∀・)「おはよう、デレ」

いつになく上機嫌なデレが僕の元へとやって来た。
デレの隣には双子の姉であるツンがいて、僕と一緒に登校したブーンに話しかけていた。
確か、ツンとブーンは3年程前から付き合っている。
金髪縦ロールという派手な髪型に、整った顔立ちのツンと、顔は普通だがめたぼりっくなブーン。
世界って上手くいくようになっているんだなあとか思いつつ、前を見れば僕の顔をじっと見つめるデレの顔が。

( ・∀・)「どうかしたの?」

ζ(゚ー゚*ζ「だって今日のモララーくんってば、いつもよりかっこいいんだもん」

( ・∀・)「デレはいつも可愛いけどね」
…あれ?
そういえばこの時から、いつもなら隣にやってきて元気に話しかけてくるミセリの姿が見えなかったような。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 18:52:04.40 ID:N6gJfA5YO
( ・∀・)「嫉妬か」

僕は呟く。
が、それはミセリにも聞こえたらしく。

ミセ#゚□゚)リ「何言ってんの!!違うもん!!」

( ;・∀・)「ちょ、声でかいよ」

ミセ#゚□゚)リ「もらのばかー!!!!」

叫びながら駆けていくミセリ。
というか、運動場中に『もらのばかー!』が響きわたってすごく恥ずかしいんだけど。
すぐに後を追いかけようとするが、小柄で足の速い彼女は西の森に入って、もう見えないところまで行ってしまっていた。

( ;・∀・)「はあ…」

溜め息をついて辺りを見回すと、まだ運動場にいた生徒たちがこちらをちらちらと見ながら話をしている。
何だかとても居辛いし彼女を放っておくのも良心が痛むので、一度止めた足を再び動かし始めたのだった。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 18:53:49.16 ID:N6gJfA5YO
朝だというのに中は薄暗く、足下もじめじめしている。
こんなところに一人で入って、極度の怖がりである彼女が無事なはずがない。
と、ほら。
入って少し歩いたくらいの道でミセリはうずくまっていた。

ミセ;゚ー゚)リ「もら…」

僕に気付いて彼女は顔を上げる。

( ;・∀・)「馬鹿はどっちだよ」

ミセ;゚ー゚)リ「ごめんー」

謝るミセリに手を差しのべると、それに捕まりようやく立ち上がった。

ガサッ…ガサッ…

( ・∀・)「……?」

草を踏む音が聞こえる。

ミセ;゚ー゚)リ「ゆ…ゆーれい…?」

( ;・∀・)「違うから」

突っ込みを入れつつも、気を取り直して音が聞こえてくる方向へと目を凝らす。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 18:55:22.11 ID:N6gJfA5YO
ミセ*゚ー゚)リ「ニダーだ」

ミセリが言った。
言われてみれば、確かにあのエラのはった顔は10年生のニダーである。

( ・∀・)「ついでだ。やろうか」

ミセ*゚ー゚)リ「おっけー!」

ミセリが制服のポケットから、指の第2関節から手首までを覆う形のグローブを取り出した。
それを右手に着け軽く上下に振ると、5指それぞれから白い刺繍糸が飛び出す。

ミセ*゚ー゚)リ「よしっ」

ミセリは準備万端、といったふうにそう呟くと、僕の方へ向き直った。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 18:57:22.68 ID:N6gJfA5YO
( ・∀・)「注意をそらして僕が背後をとろう」

僕はミセリに告げる。
力強く頷いた彼女は再び右手を振って5本の糸を出した。
それに僕の懐から取り出した鉛筆を巻き付け、ちょうどニダーの向こう側にある背の高い木に向かって飛ばす。

ミセ*゚ー゚)リつクイッ

と、ミセリが人差し指と薬指を引くと同時。


ズザッ―――――


風と葉を切る気持ちの良い音と共に、糸を巻き付けた鉛筆がニダーの足下に突き刺さった。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 18:59:40.21 ID:N6gJfA5YO
<ヽ;`∀´>「なっ!!?」

突然の出来事に驚くニダー。
その隙に、僕は彼の後ろに移動して2本目の鉛筆を取り出した。
それを、素早く彼の首筋に突きつける。

( ・∀・)「チェックメイト」

ミセ*ーー゚)リ「だよ」

ニダーは僕らにしてやられたことを悟り、背中を向けたまま降参したのだった。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:02:02.86 ID:N6gJfA5YO
<ヽ;`∀´>「先輩、ちょっとくらい手加減してくださいニダ」

ニダーの生徒証を持参したナップサックに入れながら、僕は彼に向かって口を開く。

( ・∀・)「寝言は寝てから言いなさい」

手加減なんてしていたらこちらがやられてしまう。
もちろん、ニダーにやられる気など微塵もしないわけだが。

<ヽ´A`>「あー…赤点確実ニダ」

悲しげに項垂れる彼に、今度はミセリが声をかけた。

ミセ*゚ー゚)リ「私たちが勝ち続ければニダーもそれなりの評価はもらえるよ?」

<ヽ`∀´>「そうですよね!頑張ってくださいニダ」

学園は16年生なので、同学年は言わずもがな、先輩とも後輩とも付き合いが長い。
そのため、必然的に他学年のこともある程度は知るようになる。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:03:16.28 ID:N6gJfA5YO
そういうわけで僕らとニダーは特に接点も無いが、しゃべったことくらいはある関係だ。

( ・∀・)「まあ、運が悪かったよね」

そう言うと、再びナップサックを肩にひっかけて僕は立ち上がり、ニダーを残して歩き出した。

ミセ*゚ー゚)リ「ねえ、もら」

彼女が言う。

ミセ*゚ー゚)リ「ここ隠れやすいし、他にも誰かいるよね?」

( ・∀・)「たぶんね」

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ人数稼いだりしないの?」

( ・∀・)「俺は構わないけど、ミセリは早く出たいんじゃないの?」

ミセ;゚ー゚)リ「うっ」

図星なのか、返事につまる彼女。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:04:07.77 ID:N6gJfA5YO
( ・∀・)「人数稼ぎなんて後からいくらでもできるよ。いったん森を抜けよう」

ミセ*゚ー゚)リ「あいあいさー…て、あ!」

( ・∀・)「ん?」

突然何かに気付いたようなミセリの声に、僕は聞き返した。

ミセ;゚ー゚)リ「…何か来る」

彼女は僕より感覚が鋭い。
恐らく、実際に何かがこちらに近付いてきているのだろう。


キンッッ―――


と、咄嗟に鉛筆を出し、飛んできた何かをなぎ払う―――

( ;・∀・)「びっくりした」

冷や汗が手に滲む。

ミセ;゚ー゚)リ「まだ!」

僕はミセリの声に反応して素早く腕を振るった。
木製の鉛筆ではまともに弾くとすぐに折れてしまうため、先程もそうしたように力を受け流すようにして追撃を打ち落とす。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:05:42.86 ID:N6gJfA5YO
そこでやっと相手の位置を判断することができた僕は、右手で迎撃しつつも左手で相手のいる方向へと向かって鉛筆を投げた。
きゃっ、というか細い悲鳴と共に、どうやら木の上に登っていたらしい人影が僕らの前に姿を表す。

(ー、゚;トソン「女の子になんて真似を…」

ミセ*゚ー゚)リ「トソン!」

親友の姿を見て嬉しそうにするミセリ。
なるほど、それで先程までの攻撃は全て僕の方にだけ飛んできていたのか。

(゚、゚トソン「流石、モララーは強いです」

( ・∀・)「ミセリがいなかったらやられてたけどね」

(゚、゚トソン「そうですか」

そう言った直後、再び僕に向けて何かを放つトソン。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:06:44.26 ID:N6gJfA5YO
( ;・∀・)「ちょっ」

何とか反応できた僕は、まだ右手に持っていた武器でそれを落とした。
全く。
油断も隙もあったものではない。
しかし、そこで始めて彼女の武器を視認することができる。

( ・∀・)「ビー玉か」

(゚、゚トソン「ご名答」

ちゃ、という効果音と共に、トソンの右手の指の間に4つのビー玉が現れた。
僕は思わず身構えたが、彼女の方に再び攻撃をする気はないようで、涼しい顔をしてミセリに話しかけている。

(゚、゚トソン「どうも、朝ぶりですね」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!トソンはもう誰かと戦ったりしたの?」

(゚、゚トソン「はい。下級生を5人ほど」

……下級生いじめイクナイ。
人のこと言えた義理じゃないけどさ。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:09:03.33 ID:N6gJfA5YO
(゚、゚トソン「しかし、西の森はいつ来ても下級生の溜まり場になってますね」

( ・∀・)「東の森は入り組んでるからね。道を覚えていない下級生が入ると十中八九迷うからでしょ」

東の森の出入りが許可させるのは、7年生になってからだ。
そのため、授業で使うようになってからの日が浅い生徒は大抵西の森に潜んで行動する。
ここでやっと、向かい合った体勢からトソンが動いた。

(゚、゚トソン「ちょうど私も、そろそろ森を抜けようと思っていたところです。一緒に行動してもいいでしょうか?」

ミセ*゚ー゚)リ「もちろん!」

嬉しそうにするミセリを見て断るなんてことはできず、結局トソンも引き連れて行動することになってしまった。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:10:04.33 ID:N6gJfA5YO
っていうか、僕とミセリの話を木の上で聞いてたのか……。
まあ、そういうわけで。
僕らと彼女が会った地点は入り口付近だったため、3人はすぐに森から抜けることができた。

( ;ー∀・)「眩しいな」

ミセ*゚ー゚)リ「もうお昼だよ」

左手にの腕時計を見てミセリが言う。

(゚、゚トソン「ではお弁当をもらいに行きましょうか」

ミセ*^ー^)リ「やったー、ご飯だー!」

( ・∀・)「…………」

(゚、゚トソン「おにぎりなのは間違いないですが、具は何ですかね」

ミセ*゚ー゚)リ「ツナマヨだったらいいなあ」

( ・∀・)「……ちょっと待て」

(゚、゚トソン「何ですか?」

僕の呼びかけにトソンが答える。
心なしか、口には微笑を浮かべているような。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:12:05.13 ID:N6gJfA5YO
( ・∀・)「もう森抜けたんだけど」

(゚、゚トソン「はい、それが何か?」

( ;・∀・)「一緒に行動するのは森を抜けるまででしょ?」

(゚、゚トソン「私は森を抜けたいと思っていたことと一緒に行動したいと思っていたことを述べただけです。ちゃんと許可はもらいましたよ。」

( ;・∀・)「なっ」

彼女は『ちょうど私も、そろそろ森を抜けようと思っていたところです。一緒に行動してもいいでしょうか?』と、言っていた。
そしてどうやら前半と後半は全く関係のない話だったらしい。
つまり、ミセリが許可を出してしまっている以上、トソンの言っていることは正しいということになる。
…くそう。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:12:56.17 ID:N6gJfA5YO
ミセ*゚ー゚)リ「トソン一緒なの?嬉しい!」

(゚、゚トソン「ええ。どっかの馬鹿にミセリが汚されないよう監視したいので」

( ;・∀・)「ねーよ」

よく誤解されるのだが、僕はミセリにそういう感情は持っていない。
しかしそんな思いはトソンに通じることはなく。

(゚、゚トソン「どうだか」

そう言って、トソンは冷たい目でこちらを見る。

ミセ*゚ー゚)リ「……?」

当のミセリは状況をよく分かっていないようだったが。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:15:09.82 ID:N6gJfA5YO
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあちょっとお弁当もらってくる」

弁当は朝昼晩と、校舎から入ってすぐの職員室から支給される。
よほどお腹が減っていたのか、ミセリは校すぐに職員室へと駆けていった。
僕らはここで待っていろ、ということなのだろうか。
それにしてもトソンと2人きりにするのは正直勘弁してもらいたい。

(゚、゚トソン「やっぱりミセリは可愛いですよね」

突然こいつは何を言い出すんだ。

( ・∀・)「あー…、まあ。でも、僕はトソンが何を勘違いしてるのか分かんないけど、別にミセリに恋愛感情とかは持ってないよ」

(゚、゚トソン「嘘だッ!!!!!」

レナ乙。
いや…じゃなくて、嘘とかじゃないんだけどな。
それにしても、だ。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:16:53.36 ID:N6gJfA5YO
( ・∀・)「あのさ、トソンってレズなの?」

単刀直入に聞いてみる僕。
彼女の言動から見ても、そうと思えるようなものがいくつかあった。
しかしそんな僕の問いかけにを聞いたトソンは、ゴミか何かを見るような目つきで睨む。

(゚、゚トソン「はあ?意味不明です。私はただ友人としてミセリが好きなだけですし、たとえあなたに行き過ぎた行動を見せていたとしても、それは保護者的な感覚から来るものです」

( ・∀・)「ああ、そう」

きっぱりと言い切られてしまい、安心したような残念なような気持ちが残った。
とはいっても、異性に恋のライバルとみなされるよりはよっぽどいい。
僕とミセリとは1年生からの付き合いだが、10年生になってトソンがミセリと同じ部屋になるまでトソンのことはよく知らなかった。
そしてそれは2年以上経った今も同じで、今も彼女のことはよく分からない。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:18:35.96 ID:N6gJfA5YO
( ・∀・)「にしても…」

(゚、゚トソン「遅い…ですね」

10分ほど待ってみたが、ミセリは一向に帰って来ない。
その理由あれこれと考えを巡らす僕をしり目に、トソンは校舎へと向かって歩き出した。
慌てて僕も後を追う。

(゚、゚トソン「誰かと戦っているのかも」

( ・∀・)「ミセリは強いから大丈夫だよ」

(゚、゚トソン「そのくらい知っています」

振り向かない彼女の後ろ姿を見ながら、僕は一人溜め息をついた。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:19:21.82 ID:N6gJfA5YO
( ・∀・)「あ、いた」

(゚、゚トソン「ミセリー!」

トソンの呼び声に、校舎前にいたミセリが振り向く。

ミセ*゚ー゚)リ「あ、トソンにもら」

ノパ听)「お!!?トソンじゃないかああああ!!!」

そしてミセリに続いて辺りに響く暑苦しい声。

(゚、゚トソン「ヒート?」

ノパ听)「そうだぞおおお!!お!?後ろにいるのはモララーかあああ!?」

( ・∀・)「久しぶり」

ヒートは11年5組の生徒で、ミセリと仲の良い友達No.2。
ちなみにNo.1は言わずもがなトソンである。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:20:21.39 ID:N6gJfA5YO
( ・∀・)「つまり、途中でヒートに会ったからしゃべりこんでしまった、と」

ミセ*゚ー゚)リ「ごめんなさーい」

悪びれた様子のないミセリを見て、僕は再び溜め息をついた。
確かに、僕らは1組でヒートは5組。
フロアも違うために会う機会もあまりないし、まあ本当に久しぶりだったのだろう。

(゚、゚トソン「姉妹の方々は一緒ではないのですか?」

lw´‐ _‐ノv「呼んだ?」

トソンがヒートに尋ねると、突然ヒートの後ろから小柄な少女が現れた。

ノパ听)「おお、シューいたのかあああ!!」

いたの知らなかったのかよ。
突如姿を見せた彼女は、ヒートの3つ下の妹のシューだ。

lw´‐ _‐ノv「どうも、ヒートのお姉さんです」

ノハ;゚听)「なっ、そうだったのかああ!?知らなかったあああ!!」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:21:32.43 ID:N6gJfA5YO
(゚、゚トソン「ヒート、シューはあなたの妹ですよ」

ノパ听)「何いっ!?シュー、嘘はいけないぞおおお!?」

lw´‐ _‐ノv「てへっ」

全く表情を動かさないシューに、バカ正直で騒がしいヒート。
ついつい本当に姉妹なのかと疑ってしまう。

ミセ*゚ー゚)リ「漫才みたい」

( ・∀・)「右に同じく」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:22:21.40 ID:N6gJfA5YO
そして、そんなヒートの姉妹はあと2人いる。

川 ゚ -゚)「遅いぞヒート、何かあったのか?」

o川*゚ー゚)o「あっ!モララーくんとミセリちゃんとトソンちゃんだあ」

ヒートの帰りが遅いからか、次いで美人とロリっ子がやって来る。

ノパ听)「お姉ちゃん、キュー!!」

確か、ヒートの言うお姉ちゃんが美人の方、12年生のクーさんで、キューと呼ばれた方が7年生の末っ子だったはず。
噂に聞く美人4姉妹だが、流石に4人みんなが揃うと圧倒されるものがある。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:25:11.14 ID:N6gJfA5YO
ミセ*゚ー゚)リ「兄弟いるっていいなあ」

一人っ子のミセリがぼやく。

( ・∀・)「ひとりの方がいろいろと自由じゃない?」

ミセ*゚ー゚)リ「でも賑やかな方が楽しいよ」

( ・∀・)「まあ一理あるかな」

lw´‐ _‐ノv「だな」

( ;・∀・)「わっ」

……びっくりした。
気がつけば、僕のすぐ真横にシューが立っていた。
というか近い。

(゚、゚トソン「む?」

そんなことをしている間、トソンが小さく声を発した。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:26:30.12 ID:N6gJfA5YO
(゚、゚トソン「あれは…」


(  _ゝ )「モー、ラー、ラぁー…………………………!!」


( ・∀・)「え?」

恨めしそうな何者かの声を聞いた直後、鋭い蹴りが僕の頭目掛けて放たれた。
ぎりぎりで気付き、1歩後ろに下がって半身を横に反らす。

( ;・∀・)「え、なっ何?」

先程まで騒がしかった辺りが、僕を中心として静まりかえった。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:28:08.95 ID:N6gJfA5YO
そしてその沈黙を破ったのは、蹴りを繰り出してきた張本人。

( #´_ゝ`)「シューちゃんにまで手を出すとは!許さん!!」

( ;・∀・)「は!?」

lw´‐ _‐ノv「そんなつもりだったなんて、モララー酷いわ!」

( ;・∀・)「ちょ」

ノハ;゚听)「モララー!!お前シューになんてことをおおお!!」

( ;・∀・)「ああああ!くそ、ちょっと黙れよお前ら」

シューに限ってはわざとやってるだろ。
しかも何かと思えば兄者の完全な誤解じゃないか。
ミセリはぽかんとしてこちらの様子を眺めているだけだが、トソンはというとこちらを見てほくそ笑んでさえいる。

( ;・∀・)「ちょっとは落ち着きなよ」

怒り狂う兄者を落ち着かせようと声をかけるが、彼は攻撃の手を休める様子はない。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:29:09.92 ID:N6gJfA5YO
兄者が出した右拳でのストレートを、僕は左腕を使って外側に払う。
しかし予想されていたのかその直後に2度目の左足の蹴りが放たれ、けれどもそれが届く前に、僕は瞬時に後ろに飛んで蹴りを避けた。
離れた間合いをつめる兄者―――


川 ゚ -゚)「そこまでだ」


クーさんが僕と彼の間に割って入る。

( #´_ゝ`)「な……っ」

川 ゚ -゚)「君は勘違いをしている。そもそも私が、モララーがシューに手を出すのを黙って見ていると思うか?」

兄者に向けて話しかけるクーさん。
おっしゃる通りで。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:32:43.90 ID:N6gJfA5YO
( ´_ゝ`)「ああ…、すみません!」

と、クーさんの威圧感に負けたからか過ちに気付いたからか、兄者は彼女に詫びる。
いや、そこは僕に詫びろよロリコン。

ミセ*゚ー゚)リ「もら、大丈夫?」

( ・∀・)「ああ」

駆けよってきたミセリに僕は返した。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/28(日) 19:33:55.26 ID:N6gJfA5YO
ノハ;゚听)「何か、誤解してすまなかったああああ!!」

( ・∀・)「いや、それよりもさ」


グゥゥー……


ミセ*゚―゚)リそ

タイミングよくミセリのお腹が鳴るのが聞こえて、僕は続ける。

( ー∀ー)「お昼にしようか」


第1話 おわり


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