( ・∀・)定期テストのようです

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:23:15.80 ID:8TW0+XenO
川 ゚ -゚)「では」

ノパ听)「私たちは本拠地に帰るぞおおお!!」

無事に弁当をもらうことができた後、校舎前でクーさんとヒートが言った。

( ・∀・)「本拠地?」

僕は問う。

lw´‐ _‐ノv「東の森にある秘密基地」

o川*゚ー゚)o「そーなんだよ!」

と、今度はシューとキューが答えてくれた。
それを聞いたミセリは少し寂しそうにする。

ミセ*゚ー゚)リ「もうお別れかあ……」

(゚、゚トソン「ミセリ、私は一緒ですよ」

ミセ*゚ー゚)リ「そうだよね!」

( ・∀・)「じゃあ、また」

かくして、僕らは4姉妹と別れたのだった。


( ・∀・)定期テストのようです
*2話 1日目午後

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:26:15.84 ID:8TW0+XenO
(゚、゚トソン「そういえば、兄者さんは?」

食事するために比較的安全な場所を確保するため、東の森に行くことにした僕ら。
その途中で、トソンが口を開いた。

ミセ*゚ー゚)リ「クーさんに諫められた後、申し訳なさそうにどっか行っちゃったよ」

(゚、゚トソン「そうですか…ちっ」

あれ、何か舌打ちが聞こえた気がするのだけれど気のせいか。
うん、そうに違いない。
あのまま兄者にやられてればよかったのにとかまさか思ってるはずないもの。

( ;・∀・)「ははは…はは……」

ミセ*゚ー゚)リ「あれ?もら、どうかしたの?」

(゚、゚トソン「……………」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:27:36.52 ID:8TW0+XenO
……気を取り直して行こうか。
東の森は校舎から見て北東に位置する、西の森よりもはるかに大規模な森だ。
そのため、前にも述べたように下級生は近寄らないし、誰かに遭遇することもあまりない。
隠れるところもたくさんある。

( ・∀・)「というわけで、ヒートたちの真似をするわけじゃないけど、僕らも東の森に拠点を置こうと思う」

ミセ*゚ー゚)リ「あいあいさー!一番無難な場所だしね」

(゚、゚トソン「同意です」

よし。
全会一致。
といっても3人しかいないけど。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:28:21.65 ID:8TW0+XenO
ミセ*゚A゚)リ「もーっ、本当にお腹ぺこぺこー」

ミセリが言う。
まあ、お腹鳴ってたしね。

(゚、゚トソン「でもあと20分は歩かなければいけませんよ」

ミセ;ーAー)リ「えー…」

( ・∀・)「じゃあ何かゲームでもしようか。しりとりとか」

ミセ*゚ー゚)リ「やる!おにぎり!!」

先程までの表情はどこへやら、楽しそうにミセリは答えた。
次いで、トソンが言う。

(゚、゚トソン「リス」

( ・∀・)「んー、スミレ」

ミセ*゚ー゚)リ「レンタル!」

(゚、゚トソン「留守」

( ・∀・)「スイカ」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:29:44.01 ID:8TW0+XenO
ミセ*゚ー゚)リ「カラス!」

(゚、゚トソン「ストレス」

( ・∀・)「……姿」

ミセ*゚ー゚)リ「太鼓!」

(゚、゚トソン「コスモス」

( ・∀・)「…………相撲」

ミセ*゚ー゚)リ「えっとー、うさぎ!」

(゚、゚トソン「ギネス」

( ・∀・)「……………」

(゚、゚トソン「……フフッ」

こいつ…。

ミセ*゚ー゚)リ「次、もらだよ?」

( ・∀・)「うん。あ、あれ」

そう言って、僕は向こうに見えるビニールハウスを指差した。
確か、あそこには。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:31:24.33 ID:8TW0+XenO
( ・∀・)「ちょっと寄ってかない?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん?別にいいよ」

(゚、゚トソン「ミセリがそう言うのなら私も構いませんが」

ということで、急遽方向転換。
左手の方向に歩き出した。
僕らが歩いているこの辺りは、建物といった建物がない。
言い換えれば、敷地内の東半分はほとんど草原や森ということだ。
それに対して西半分には校舎、寮、食堂の他にも様々な物が建てられている。
話は戻るが、そんな東部に存在するビニールハウスは明らかに異質なものだった。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:33:34.52 ID:8TW0+XenO
入ってみると、中は意外と広い。
そしてそこには見渡す限りの野菜、果物、などなど。

ミセ*゚¬゚)リ「食べ物いっぱい…」

(゚、゚トソン「ここは…学生寮用の畑ですね。中には始めて入りました」

( ・∀・)「うん」

そう。
ここで栽培された作物は学生寮の食事に使われるようになっている。
何しろ学生寮内の人数がとても多いのだ、費用削減のため、まあ何ら不思議はない。
と、ここで疑問がひとつ。
誰がこの広い畑の世話をしているか、だが―――。

(゚、゚トソン「あら?」

トソンの肩に小さな正方形に切られた紙が1枚、落ちる。
それを見たミセリは上を見上げるが、刹那、彼女の表情が真剣なものへと変わった。

ミセ;゚ー゚)リ「………っ」

右手のグローブを振り上げ、次いで僕らに向かって降り注ぐ紙吹雪を糸を操り一掃する。
突然の出来事に戸惑うトソン、そして次の場面に備えるミセリ。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:34:39.31 ID:8TW0+XenO
が、そんな彼女らとは対照的に、僕はすたすたと不用意に歩き出した。

ミセ;゚ー゚)リ「ちょ、もら?」

僕は焦ったような彼女の声に振り返ると、少しだけ微笑んでみせる。
そして。

( ・∀・)「モナー、僕だ」

姿の見えない相手に向けて、呼び掛けた。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:36:30.74 ID:8TW0+XenO
僕の言葉を聞き、モナーが僕らの前に姿を現す。

( ´∀`)「モラたちだったモナか」

モナーの気の抜けた声に、ミセリの緊張も一気に解けたようだ。
お腹すいた、と呟くと、その場に仰向けに寝転がってしまった。
どうやらもう限界らしい。

(゚、゚トソン「ああ。そういえばモナーは生徒会でしたね」

( ´∀`)「モナ」

もう分かっただろうが、ビニールハウスの管理は生徒会が任されている。
言うなれば、園芸部兼生徒会。
しかもこの学園、行われる行事がこの定期テストのような規模の大きいものばかりなので、大抵のことは教師が中心となっている。
つまり、生徒会とは名ばかりのもの、もう園芸部と言っても差し支えがないようなものだ。
その一方で、ハウスの管理を生徒にさせるのにも限界があるため、これもあって無いようなもの。
今はいないようだが、ちゃんとした業者が出入りしている。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:38:11.76 ID:8TW0+XenO
( ´∀`)「僕以外の会員は16年生の先輩と14年生の先輩だけモナ。まあ、ここに敵は来ないと思って大丈夫モナ」

まあ、ビニールハウスの使用が自由である分、生徒会に入るメリットもあるにはある。

( ・∀・)「ずっとここにいるつもりなの?生徒証とらないとあんまり点数もらえないよ」

( ´∀`)「赤点でなければそれでいいモナ」

おお。
マイペースここに極まれり。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:42:29.63 ID:8TW0+XenO
(゚、゚トソン「ちょうどいいですね。ここでお昼にしませんか?」

他の人がやって来ない、ということを聞いたトソンがそう提案する。

ミセ*゚ー゚)リ「うん!うん、早くおにぎり!!」

トソンの言葉を受け、寝転んでいたミセリは素早く体を起こす。
僕の背中のナップサックのひもをぐいぐいと引っ張る彼女。

( ;・∀・)「分かったから、引っ張らないで」

僕はナップサックを下ろすと、中から支給された昼食を取り出した。
笹の葉に包まれた、簡易弁当箱。
中身はおにぎり3個たくあん付き。

ミセ*゚ー゚)リ「いっただきまーす!」

手にとるや否や、ミセリはおにぎりを手にとり頬張った。
もぐもぐと、それはもう幸せそうな表情をしている。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:46:15.69 ID:8TW0+XenO
そういえば前に、1番幸せな瞬間は寝る時で2番目は食べる時がだとか何だとか言っていたっけ。
結局3番目は教えてくれなかったな。

(゚、゚トソン「具は梅干しですね」

ミセ*゚ー゚)リ「私のは鮭だったよ!あと1つは何だろう?」

( ´∀`)「あ、ツナマヨだモナ」

ミセ*゚ー゚)リ「ほんと!?やった!!」

( ・∀・)「…平和だなあ」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:48:28.32 ID:8TW0+XenO
(゚、゚トソン「あ」

おにぎりを3つ食べ終え、自身のナップサックを探っていたトソンがふと声を発した。

(゚、゚トソン「もうすぐ水が無くなりそうです」

今日は暑かったし、そういえば僕とミセリの水もそろそろ減ってきている。

( ´∀`)「あっちの水道は飲み水が出るモナ」

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ私汲んでくるよ」

(゚、゚トソン「私も」

そう言って、残り少ない水が入ったペットボトルを3つ持ってここを離れる2人。
それよりも飲み水まであるなんて、モナーはどんな快適な環境でじっとしてるつもりなんだ。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:50:45.69 ID:8TW0+XenO
( ・∀・)「あー、さっきのあれ、モナーの?」

( ´∀`)「モナ?」

( ・∀・)「紙吹雪」

( ´∀`)「ああ。そうだモナ」

モナーが僕の問いかけに答える。
紙吹雪、ということは、やはり武器は『紙』か。
……ものすごく定義広くないか。

( ´∀`)「まあ、あれはただの目眩ましモナ。攻撃する時はこれ」

モナーがポケットからトランプを取り出す。

( ;・∀・)「…確かに紙だけれども」

( ´∀`)「申請書なんて、考えたもん勝ちだモナ」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:52:45.10 ID:8TW0+XenO
確かに。
しかしまあ、僕の場合は『鉛筆』。
鉛筆と言えば文房具とか木とかになるのだろうが、それは流石に無理だな。

ミセ*゚ー゚)リ「はい」

帰ってきたミセリが、僕の分のペットボトルを差し出してきた。
お礼を言って受けとると、僕はキャップを外してそれを口へと持っていく。

( ・∀・)「…ふう」

一息つくと、ミセリの分も合わせて再びナップサックにしまった。

( ・∀・)「じゃ、そろそろ森に行こうか」

( ´∀`)「寝る時くらいはここに来るといいモナ」

(゚、゚トソン「そうですね、寝首を掻かれる心配はしなくてもいいですし」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:53:34.31 ID:8TW0+XenO
( ・∀・)「そうでもないよ」

僕はモナーの方を見る。
と、その視線に気付いた彼は慌てて両手を振って否定の意を表した。

( ;´∀`)「モラに手を出すなんて、そんな恐ろしいことできないモナ」

ミセ*゚ー゚)リ「もらだけ?私とトソンには攻撃しちゃうの?」

( ;´∀`)「モナモナ…」

自らの失言に焦るモナー。
なんてからかいがいのある奴なんだろうか。

( ・∀・)「冗談だよ。じゃあ、夜にまた来るかも」

( ´∀`)「待ってるモナ」

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあねー」

(゚、゚トソン「では」

腹ごしらえも済んだことだし、これからの目的地はとりあえず東の森。
ビニールハウスを出た僕らは、先程そうしていたように北東に向けて足を進め始めた。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:55:40.63 ID:8TW0+XenO
ミセ*゚ー゚)リ「今は何時くらいだろ」

(゚、゚トソン「時計類の所持はどうして禁止なんでしょうね」

ミセ*゚ー゚)リ「サバイバル!って感じにしたいからじゃない?」

何だそれ。

(゚、゚トソン「まあ、時間は…太陽の高さから見て3時くらいかと」

ミセ*゚ー゚)リ「お昼すごく遅かったしね」

(゚、゚トソン「西の森を出た時にはもう昼の少し前でしたし」

ミセ*゚ー゚)リ「ね、ね。ギコくんってしぃのことどう思ってるのかな?」

(゚、゚トソン「彼女はギコにベタ惚れですけど、彼がそれをどう思ってるのかは聞いたことがないですね」

ミセ*゚ー゚)リ「しぃ可愛いもん。あれだけ好かれて嫌な気はしないって」

(゚、゚トソン「でも男性は重いのは嫌がるんじゃないでしょうか」

ミセ*゚ー゚)リ「そうかなー」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:56:38.25 ID:8TW0+XenO
……なんだか、会話に入るタイミングを完璧に逃してしまった様子。
僕を残して、2人は人の恋愛話にすっかり夢中になってしまっている。

ミセ*゚ー゚)リ「もら」

( ・∀・)「はい?」

突如、ミセリに呼び掛けられる。
前方を指差しているが、どうやら何かを発見したみたいだ。
彼女の人差し指の延長線上を見ると、そこにいたのは。

(゚、゚トソン「兄者さんと弟者さんの妹さん?」

さん付けしすぎて何がなんだか。
とにかく、東の森のすぐ手前。
そこにいたのは、兄者と弟者の妹である妹者ちゃんだった。
……人を指差してはいけません。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:57:43.41 ID:8TW0+XenO
ミセ*゚ー゚)リ「妹者ちゃん!」

すぐさま駆け寄って行くミセリ。
妹者ちゃんは兄者たちの妹ということもあり、よく11年生の教室にも遊びに来る。
そのため、僕らの学年の人たちとは仲が良い。
しかも見た目が8年生にしては小柄で、人懐っこいときたもんだ。
先輩たちには男女問わずとても可愛いがられている。
本当、あの双子たちの妹とは思えないな。

l从・∀・ノ!リ「あ、ミセリなのじゃ!」

気付いた妹者ちゃんが言う。
次いでやって来た僕とトソンにも、明るい笑顔を見せてくれた。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 19:59:55.85 ID:8TW0+XenO
ミセ*゚ー゚)リ「こんなとこにいたら危ないよ?」

l从・∀・ノ!リ「妹者だってクラスでは強い方なのじゃ!」

しかし上級生がたくさんいるこの森の前に一人で立っているのは、確かに危ないだろうと思う。

( ・∀・)「一人で行動してるの?」

というのも、大抵の9年生以下は団体で行動するからだ。

l从・∀・ノ!リ「いや、おっきい兄者とちっさい兄者とはぐれてしまっ( <_ )「モー、ラー、ラぁー…………………………!!」



( ;・∀・)「………」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:00:54.59 ID:8TW0+XenO
妹者ちゃんの声に被って、誰かの恨めしそうな声が僕の耳に届いた。
しかも、ついさっき聞いたような台詞と声。

(´<_`# )「うちの妹者に手を出すとは、良い度胸だな……」

( ;・∀・)「は!?」

意味が分からない。
またまた身に覚えのない罪を被せられようとしているのか。
しかも今度は弟者………兄弟そろって一体何なんだこいつらは。

( ;´_ゝ`)「弟者、妹者は見つかったか…………って、うわ!」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、また兄者だ」

ミセリが呑気な声でそう言った。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:03:00.62 ID:8TW0+XenO
どこからか現れた兄者は状況を飲み込むことができないようで、しかし僕の姿を見た途端。

( #´_ゝ`)「お前…一度ならず二度までも!!」

青筋立てて何言ってんだ。
駄目だこいつら…早くなんとかしないと。

l从・∀・ノ!リ「………?」

(゚、゚トソン「………くっ……」

何が何だか分からない様子の妹者ちゃんと、明らかに笑いを堪えているトソンがこちらを見ている。
ってかトソンうぜえええ!!

( ;・∀・)「…………」

しかしそんなことに気をとられている場合ではない。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:03:54.44 ID:8TW0+XenO
( #´_ゝ`)「今度こそ仕留めてやる」

( ;・∀・)「ちょ」

そう言った兄者がどこからか取り出したのは、一枚の大きな布だ。
両端をそれぞれ持ったそれを、バサバサと音を立てて振るう。
僕は兄者から距離を取り、鉛筆を何本か同時に投げた。
が、案の定。


バサッッ


( ´_ゝ`)「そんなもの効かんわ」

全て布にはたき落とされてしまう。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:06:05.41 ID:8TW0+XenO
と、なればやはり接近戦――――

ミセ*゚ー゚)リ「待った!」

考えを巡らしている最中、ミセリの声が後ろから響く。
しかし前方の兄者と対峙しているために振り返ることはできない。

(´<_` )「く……」

ミセ*゚ー゚)リ「1対2になんてさせないよ。男なら正々堂々!」

……台詞から推測するに。
どうやら兄者に集中している僕に、弟者が攻撃をしかけてきた模様。
そして、ミセリの糸が風を切る音も聞こえた。
恐らく、糸を絡めて動きを封じたのだろう。
そういえば妹者ちゃんは、と思い、しかしすぐに考え直す。
こちらにはまだトソンが残っている。

( ´_ゝ`)「来ないならば、こちらから行くぞ」

兄者が言う。

( ・∀・)「どうぞ」

僕がそう言い終わるか終わらないかのうちに、兄者が僕の目の前に来た。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:07:27.51 ID:8TW0+XenO
しかしそれも予想の範囲内、と。
彼の右拳がこちらに届く前に、僕は彼の後ろに回り込んで右側からの蹴りを一発お見舞いする。

( ;´_ゝ`)「…ぐっ」

呻き声。
若干怯みはしたものの、蹴られた勢いを殺さずに素早くこちら側を向いた。
その手には、先程の布―――

( ;-∀・)「わっぷ」

顔にかかり、一瞬目の前が真っ暗になる。
その隙に強く引き寄せられ、彼の膝が僕のお腹に直撃した。

( ;・∀・)「…………っ」

息が、詰まる。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:08:25.12 ID:8TW0+XenO
しかし咄嗟に腹筋に力を入れたことで、致命傷とは程遠い。
そして僕は、腰を低く。

( ;´_ゝ`)「…なっ!?」


右足を軸に、ちょうど彼に背を向ける形にする。
そのまま僕の右足のふくらはぎに兄者の体を乗せるようにして、右腕で襟元を、左手で左腕を引きつけ―――

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:12:55.01 ID:8TW0+XenO



( ・∀・)「っらぁ!!」




36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:13:35.64 ID:8TW0+XenO
足のバネを使って、思い切り、投げる。
ずん、という鈍い音と共に兄者が仰向けの状態で地に落ちた。
膝を打ち込み弱っていたはずの相手。
その予想外の攻撃に、一瞬、驚きの表情を見せはしたが、しかしこちらが押さえ込みに入る前に立ち上がって距離をとった。

( ;´_ゝ`)「全身いてえ」

( ・∀・)「上手く入ったからね」

( #´_ゝ`)「ちっ」

舌打ち。
再び、兄者が動いた。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:14:55.21 ID:8TW0+XenO
僕は最初そうしたように懐から数本鉛筆を取り出し、迫り来る彼に向けて投げつける。

( ´_ゝ`)「だから効かんっt」

( ´_ゝ`)「…………」

( ´_ゝ`)「…………」

( ;´_ゝ`)「……って、無い!?」

僕の腕の動きに反応し、布を取り出すような仕草を見せ、しかしその手には何も握られておらず。
当のそれは、先程僕が彼を投げた場所に虚しく落ちているままだ。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:17:10.62 ID:8TW0+XenO
そして彼がそのことに気付いた時には、もう鉛筆は目の前にまで来ていた。
払い落とす手段もなく、横に飛んで避ける兄者。

( ・∀・)「遅いって」

まあ、そうやって逃げることも予測済みなわけだ。
彼の軸足は右足だから、咄嗟に横に飛んだ時に軸となるのは右足。
つまり、左側に避けることになる。
と、いうことで。

( ・∀・)「はい、僕の勝ち」

真正面から、兄者の喉元に1本の鉛筆をつきつけて言った。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:17:55.14 ID:8TW0+XenO
の、だが―――


(´<_` )「残念、それはこっちの台詞だ」


僕の背後から、兄者と同じ声が聞こえた。
……弟者か。
何か、長い物の先端を首筋にあてられている。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:19:02.77 ID:8TW0+XenO
ミセ;゚ー゚)リ「あ、だから1対2なんてずるいってば!」

振り向けない。
多分、ミセリが目を離した隙に僕を狙ってきたのだろう。
弟者の手が僕のナップサックへと伸びる。その瞬間。


シュッッ―――――


(´<_`; )「……え!!?」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:20:45.23 ID:8TW0+XenO
……モララーの首を取っている以上、仲間は誰も攻撃してこないだろう、とか思っていたんだろうな。
驚きの声を上げ、弟者が僕の背後から離れたのが分かった。
いるんだよな、僕の身を案じていない奴が一人だけ。
弟者の手に向けて投げられたらしいビー玉が、ころころと僕の足下にまで転がってきたのが見えた。


(゚、゚トソン「ミセリの生徒証は取らせませんよ」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:21:46.21 ID:8TW0+XenO
あ、そういえば、ミセリの荷物類も全て僕が持ってたっけ。

l从;∀;ノ!リ「うわーんなのじゃー」

人質を引き連れたトソンが、弟者に向かって言う。

(゚、゚トソン「弟者さん、大事な大事な妹さんを傷付けられたく無ければ降参して生徒証を寄越すのです」

…不本意ながらも、勝ったみたいだ。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:22:49.53 ID:8TW0+XenO


ミセ*゚ー゚)リ「いやー、トソンかっこよかったね!」

( ・∀・)「そうだね」

僕には悪役にしか見えなかったけど、と心の中だけで付け加えてみる。

(゚、゚トソン「では、私は妹さんの生徒証だけもらいます」

そう言って、トソンが僕らに兄者と弟者の生徒証を渡す。
しかし実際にとどめをさしたのはトソン自身だ。

( ・∀・)「トソンがもらうのが妥当じゃないか?」

(゚、゚トソン「……ふっ」

馬鹿にした笑いを溢すトソン。
自分の荷物の中から5、6個の生徒証を取り出して僕に見せた。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/11(土) 20:24:06.89 ID:8TW0+XenO
(゚、゚トソン「私はもう数は稼いでいるので、そんなにいりません。あなた達はまだひとつも持ってないでしょう?」

ミセ*゚ー゚)リ「ニダーの持ってるよ」

(゚、゚トソン「まあ、何にしろ人の厚意はありがたく頂くものです」

( ・∀・)「……どーも」

何はともあれ、2つゲット。
素直に喜べないのは何故だろうか。


2話 終わり


戻る 次へ

inserted by FC2 system