搭のようです

131 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:02:33 ID:ZQMb5ntkO

 そこは深く暗く、鬱蒼とした森の奥の奥。

 ぞろりと天を睨む様に聳える、蔦を這わせた灰色の塔。

 周囲には森があるだけ。
 聞こえるのは夜の鳥の声に木々のざわめき。

 緑と土の匂いが溢れるそこに住むのは、二人。


 一人は長身細身の、暗い顔をした魔導師。
 もう一人は、非常に美しく整った顔立ちの従者。



       【塔のようです】
   【最終話 これでこそご主人様だ。】



 そこはいつも、陰鬱とした空間に存在する。

132 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:04:13 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「クー、お隣さんから大量のくわいが届いたぞ」

川 ゚ -゚)「食べきれる気がしませんね」

('A`)「何か他にもいっぱい増えたらしいからあとで持ってくるって」

川 ゚ -゚)「八百屋さんにでもなるんですかね」

('A`)「その方が良いとは思う」

川 ゚ -゚)「くわい……正月にしか見た事ありませんね」

('A`)「あと餃子に入れたり」

川 ゚ -゚)「天さんごめん」

('A`)「餃子ー!」

川 ゚ -゚)「じゃ、お昼はお隣さんと食べましょうか」

('A`)「そうだな」

川 ゚ -゚)「餃子パーリィですね」

('A`)「包むのは任せろ」

川 ゚ -゚)「全部お任せします」

('A`)「うん、わかってた」

133 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:06:07 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「そう言えばモララー様も来ますよ」

('A`)「何で魔王軍の四天王そんなにしょっちゅう来れるんだろう」

川 ゚ -゚)「暇なんじゃないですか、戦争真っ只中ですけど」

('A`)「いつまでやってんだろうなあ戦争」

川 ゚ -゚)「ご主人様、なんかぱぱっと戦争が終わる魔法ありませんか」

('A`)「どんな魔法だよ」

川 ゚ -゚)「全員ホモになる魔法とか」

('A`)「それもう呪いだろ」

川 ゚ -゚)「アスキー大爆発とか」

('A`)「やめたげてよぉ!」

川 ゚ -゚)「両軍のトップが結婚するとか」

('A`)「魔王って男だよね」

川 ゚ -゚)「ですね」

('A`)「勇者は?」

川 ゚ -゚)「存じません」

134 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:08:36 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「まあ良いや、餃子作ろう」

川 ゚ -゚)「道具と材料持ってきます」

('A`)「うん、じゃあ他の準備する」

川 ゚ -゚)「ひとよーんであくまーのしょっかー」

('A`)「まだ引きずってたのそれ」

川 ゚ -゚)「あれから延々と頭に回ってて」

('A`)「俺はシャアが来るが回ってる」

川 ゚ -゚)「歳が出ますね」

('A`)「泣くわ」

川 ゚ -゚)「やめてください気持ち悪い」

('A`)「あんまりな返しだと思うんだけどクーはどう思う?」

川 ゚ -゚)「存じません」

('A`)「お前ってひどいよな」

135 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:10:43 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「あ、白菜と肉が無い」

川 ゚ -゚)「餃子のメインじゃないですか」

('A`)「買いに行く?」

川 ゚ -゚)「めんどくさいですね」

('A`)「メイドェ」

( ^ω^)「こんにちはー」

('A`)「あ、お隣さん」

( ^ω^)「どうもドクオさん、お野菜持ってきましたお」

('A`)「いつも悪いねー」

( ^ω^)「いえいえ、僕が増やしちゃうから」

('A`)「どうやって増やしてるのあのお野菜」

( ^ω^)「いや、さあ……」

('A`)「試しにやってみたらカリフラワーがブロッコリーに変化したんだよね」

( ^ω^)「何ですかそのミラクル」

('A`)「わからない」

136 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:12:21 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「あ、お隣さん」

( ^ω^)「こんにちはー」

川 ゚ -゚)「おや、それはまさか」

( ^ω^)「白菜ですお」

川 ゚ -゚)「やりましたねご主人様、買いに行かずに済みました」

('A`)「肉は?」

川 ゚ -゚)「お隣さんからこそぎましょうか」

( ^ω^)「いくら僕がふくよかだからってあんまりだお」

('A`)「野菜生活なのに何ですそうなるの」

( ^ω^)「ドクオさんこそ何でそんなに痩せこけてるんですかお」

('A`)

( ^ω^)

('A`)「餃子作ろう」

( ^ω^)「お手伝いしますお」

137 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:14:13 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「肉なし餃子とはヘルシーですお」

('A`)「買いに行くのがめんどくさくて」

( ^ω^)「さすがドクオさん……そういや街で騒ぎがあったみたいですお」

('A`)「ほー……ああクー、裏からニラ取ってきて」

川 ゚ -゚)「はいはい」

( ^ω^)「……あれドクオさんでしょ」

('A`)「バレてるだと」

( ^ω^)「この辺でメテオ撃てる人なんて他にいませんお」

('A`)「もっと下級魔法にすれば良かった」

( ^ω^)「でもあいつには僕も腹立たしく思ってましたお、天狗になりすぎで」

('A`)「ま、若いからねえ」

138 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:16:33 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「同年代ですがあれは嫌なもんですお」

('A`)「お隣さん20代だっけ」

( ^ω^)「22歳ですお」

('A`)「スーファミ世代か」

( ^ω^)「ロクヨン世代ですお」

('A`)ギリッ

( ^ω^)「ドクオさん、本当に今の生活が好きなんですおね」

('A`)「うん」

( ^ω^)「普通なら、もう王室お抱え魔導師なのに」

('A`)「楽しくないでしょそれ」

( ^ω^)「かもしれませんおねー、好きに出来ないだろうし」

('A`)「お隣さんわかってらっしゃる」

( ^ω^)「でも、メテオの件で今までより強く城に来いって言われてるんでしょ」

('A`)「……」

139 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:18:22 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「一度くらい、ちゃんと断った方が良いですお」

('A`)「塔から出たくないなあ」

( ^ω^)「クーさんに行かせて、陰口言われたくも無いんでしょ」

('A`)「……うん」

( ^ω^)「だったら、ちゃんとはっきり言わなきゃですお」

('A`)「……」

( ^ω^)「服の仕立てなら任せて下さいお、洋裁は得意ですお」

('A`)「これじゃ駄目かな」

( ^ω^)「毛布にタオルはちょっと」

141 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:20:17 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「めんどくさいなあ……お隣さんは戦場行くんですか?」

( ^ω^)「行きませんお、僕が行ってもお野菜が増えるだけだし」

('A`)「ある意味才能だと思うよ」

( ^ω^)「八百屋に転職しろってみんな言いますお」

('A`)「それはしょうがないわ」

( ^ω^)「自覚してますお」

( ・∀・)「こんにちはー」

('A`)「あ、モララーさん」

( ^ω^)「お? 初めましておー」

( ・∀・)「あ、初めまして、モララーと申します」

( ^ω^)「ご丁寧にどうも、ブーンと呼んでくださいお」

('A`)「お野菜のお隣さんです」

( ・∀・)「ああ、あの」

( ^ω^)「えぇ……有名になってる……」

142 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:22:13 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「あ、これ遊びに来たお土産です」

('A`)「おお、これは……」

川 ゚ -゚)「ご主人様ー、ニラ無かった……ああモララー様、こんにちは」

( ・∀・)「こんにちは」

( ^ω^)「モララーさんの持ってきたの良いお肉ですおねー」

( ・∀・)「いやあ、ちょうど活きの良いオークが死んで」

川 ゚ -゚)「食欲無くしますね」

( ・∀・)「ごめんなさい」

('A`)「あとはニラかー」

( ^ω^)「ありますお」

川 ゚ -゚)「お隣さんは何者ですか」

( ^ω^)「野菜魔導師とでも呼んでくださいお」

川 ゚ -゚)「略して八百屋ですね」

( ^ω^)「なんと」

143 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:24:42 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「良い感じに餃子作れますね」

( ・∀・)「おお、良いですね」

( ^ω^)「餃子パーティーですおー」

川 ゚ -゚)「はい、皆さん各自ノルマきっちり作ってくださいね」

( ・∀・)「クーさんは?」

川 ゚ -゚)「見てます」

( ^ω^)「そうしていただけるとありがたいですお」

川 ゚ -゚)「白豚が」

( ^ω^)「あんまりだお」

('A`)「一人30個がノルマです」

(;・∀・)「多くないですか!?」

( ^ω^)「すみません」

(;・∀・)「えっ」

( ^ω^)「大食漢ですみません」

(;・∀・)「あ……じゃあ、しょうがないですね……」

144 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:26:27 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「しかし22歳かー、若いなー」

( ^ω^)「ここから先は早いですお」

('A`)「30代の前で言わないで」

( ・∀・)「あれ、ブーンさん22歳ですか?」

( ^ω^)「はいですお、モララーさんは……20の……?」

( ・∀・)「42歳です、綺麗な階段になってますねー」

( ^ω^)

('A`)

川 ゚ -゚)

(;・∀・)「えっ、えっ?」

( ^ω^)「20代前半のイケメンにしか……見えませんお……?」

(;・∀・)「あ、ああ……魔族ですから、人間とは成長速度が違うんです」

('A`)「魔族は長寿ですからね」

( ^ω^)「おー……同年代くらいだとばっかり……」

145 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:28:22 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「一応は俺が最年長ですか」

('A`)「ですね」

川 ゚ -゚)「中年が増えましたね」

('A`)「ぴゅう太もしらない世代は黙っているが良い」

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

( ・∀・)「懐かしいなあぴゅう太」

('A`)「ディスクシステム」

( ・∀・)「ポケコン」

('A`)「ツインファミコン」

( ・∀・)「ロムロム」

('A`)「ゲームギア」

( ・∀・)「アタリ2600」

('A`)「えっ」

( ・∀・)「えっ」

146 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:30:31 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「アタリ……?」

( ・∀・)「テレビゲーム15、とか……」

('A`)「えっ……?」

( ・∀・)

('A`)

( ・∀・)「……PONG」

('A`)

( ・∀・)「チャンネルF……」

('A`)

( ・∀・)「テレビ……テニス……」

('A`)

::( ∩∀∩)::

川 ゚ -゚)(何の話してんだろ……)

( ^ω^)(大人の話だお……)

147 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:32:09 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「なんか……ごめん……」

::( ∩∀∩)::「ううん……俺が、俺が思いの外オッサンだっただけ……」

('A`)「だから最初エルビス・プレスリーみたいな格好してたんですね」

川 ゚ -゚)「える……?」

( ^ω^)「シーッ、クーさんシーッ」

::( ∩∀∩)::「異様に突き刺さるなあ……なんか……」

川 ゚ -゚)「良かったですねご主人様、オッサンが増えましたよ」

('A`)「やめたげてよぉ!」

( ^ω^)「ほら餃子作って忘れましょうお、焼きたて食べれば幸せですお」

::( ∩∀∩)::「うん……」

川 ゚ -゚)「モララー様」

::( ∩∀∩)::「はい……」

川 ゚ -゚)「邪魔なのでそのボスっぽさ溢れるマントと肩当てを外してください」

( ・∀・)「あ、はい、すみません」

148 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:34:17 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「立派なマントと肩当てですおねー」

( ・∀・)「上司から渡される支給品なんですよ、四天王だからそれなりの格好をしろって」

( ^ω^)「おー四天王さんですかお、通り名なんかは?」

( ・∀・)「あ、白銀のモララエルです」

( ^ω^)「他の三名は?」

( ・∀・)「ギコエルとしぃエル、あと一人は永久欠番」

( ^ω^)「まず天使が魔王軍の四天王って」

( ・∀・)「色々あったんですよ…………たぶん」

( ^ω^)「そんななげやりな……」

('A`)「クー、俺のノルマ終わったから皿に並べてくれ」

川 ゚ -゚)「はい、ご主人様」

( ^ω^)「おっ、早く作らなきゃ」

( ・∀・)「ですね」

149 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:36:20 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「俺の分が終わったんで、ちょっと席を外しますね」

( ^ω^)「お? わかりましたおー」

( ・∀・)「行ってらっしゃいドクオさん」

川 ゚ -゚)「どちらへ?」

('A`)「屋上、そろそろ星が見えるから」

川 ゚ -゚)「真っ昼間ですよ」

('A`)「見えるんだよ八つ目の星が」

川 ゚ -゚)「ご主人様、それは見えてはいけないフラグ、絶対的なフラグ」

('A`)「こんな所に居てられるか俺は外の様子を見に行くぞなあにすぐ戻るさこれが終わったら幼馴染みを故郷の村へ迎えに行くんだ」

川 ゚ -゚)「詰め込みすぎですからやめてください、死んでしまいます」

('A`)「だが俺はフラグをへし折る」

川 ゚ -゚)「だから童貞なんですよ」

('A`)

川 ゚ -゚)

150 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:38:22 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「しかし、仮に星が見えたとしてどうなさるんですか」

('A`)「星詠み」

川 ゚ -゚)「月奏で」

('A`)「いや違う、なんか違う」

川 ゚ -゚)「ネタ振りだとばっかり」

('A`)「まあ良いや、一人で見るからお二人を頼む」

川 ゚ -゚)「何を頼まれれば良いのでしょうか」

('A`)「メイドなんだから頑張れよ」

川 ゚ -゚)「えぇ……」

('A`)「えぇ……」

川 ゚ -゚)「じゃあお茶入れます」

('A`)「冷蔵庫に麦茶あるから」

川 ゚ -゚)「結構寒いですよ今日」

151 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:40:14 ID:ZQMb5ntkO

('A`)

('A`)「んー、あの辺か……」

('A`)

('A`)「ああ……」

('A`)「そう言う戦争かこれ……」

川 ゚ -゚)(ご主人様の独り言がヤバい)

('A`)「あーはいはい……ああ、なるほど……」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「ご主人様」

('A`)「うわびっくりした」

川 ゚ -゚)「独り言が怖いです」

('A`)「お黙れ」

153 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:42:17 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「空見上げて何をぶつぶつおっしゃってるんですか」

('A`)「いや、ちょっと」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「降りますか」

('A`)「先に行ってて」

川 ゚ -゚)「お二人の命が惜しければ早めに来てくださいね」

('A`)「何をするつもりだ」

川 ゚ -゚)「お茶をお出しします」

('A`)「やめなさい」

川 ゚ -゚)「メイドにお茶を出すなと」

('A`)「お前は特例だ」

川 ゚ -゚)「照れますね」

('A`)「照れる要素が見当たらない」

154 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:44:14 ID:ZQMb5ntkO



( ・∀・)「それで、術式が発動して」

( ^ω^)「おー、それはきつい」

川 ゚ -゚)「何のお話ですか」

( ・∀・)「ああクーさん、この間の」

川 ゚ -゚)「なんと奇遇なやおい穴」

(;・∀・)「そうだけどやめて!」

( ^ω^)「大変でしたおね、モララーさん」

川 ゚ -゚)「お隣さんの魔法なら股間にパイナップルとか生えたかもしれませんね」

( ^ω^)「なぜ下半身にダイレクトアタック」

( ・∀・)「パイナップルとか生えたら自害したかもしれません」

( ^ω^)「行かなくてよかったあ」

川 ゚ -゚)「お隣さんはなぜお野菜ばかり量産なさるのですか」

( ^ω^)「好きで量産してるわけでは」

155 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:46:20 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「ふー、ただいま」

川 ゚ -゚)「お帰りなさいませ」

( ・∀・)「どうでした?」

('A`)「戦争の理由がやっとわかりました」

( ^ω^)「五年くらい戦争しててやって知ったんですかお」

('A`)「塔の外に興味がなくて」

( ^ω^)「なんてアグレッシブな引きこもり」

('A`)「そろそろ夕方ですね、餃子焼きますか」

( ・∀・)「お手伝いします」

( ^ω^)「お野菜なら任せろーバリバリ」

川 ゚ -゚)「やめないで」

( ^ω^)「制止されなかった」

川 ゚ -゚)「家計は大助かりです」

156 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:48:13 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「あ、ついでにお酒持ってきたんですけど飲みますか?」

('A`)「あー、弱いんですよね」

( ^ω^)「僕はあんまり飲んだ事ないですおー」

川 ゚ -゚)「未成年なので」

( ・∀・)「なんて健全な空間……」

川 ゚ -゚)「お隣さん、お酒をジュースに変える魔法を」

( ^ω^)「えっ」

( ・∀・)「お、やってみてください」

( ^ω^)「えっ」

( ^ω^)

( ^ω^)「ドクオさん」

('A`)「俺は餃子焼いてますから頑張ってください」

( ^ω^)「四面楚歌、だと……」

157 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:50:06 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「じゃあ……オーディナリ・ホライゾンの名において命ず」

川 ゚ -゚)「内藤じゃないんですか」

( ^ω^)「それ芸名です」

( ・∀・)「ブーンさんって呼び名はどこから来たんですか?」

( ^ω^)「空中浮遊は得意なんですお」

( ・∀・)「なるほど」

川 ゚ -゚)「お隣さん」

( ^ω^)「お?」

川 ゚ -゚)「くっちゃべってる間にお酒が」

( ^ω^)

( ・∀・)

川 ゚ -゚)「立派なロマネスコに」

( ^ω^)「何これ怖い、主に見た目が怖い」

( ・∀・)「魔族にこんなの居た気がする……」

158 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:52:23 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「今焼いて……何それ怖い」

( ^ω^)「見た目が怖い……」

( ・∀・)「なんて見事なフラクタル……」

川 ゚ -゚)「ヤマカン大爆発(笑)がどうしましたか」

( ・∀・)「いえそのフラクタルじゃなくて」

('A`)「……料理しましょうか、それ」

( ^ω^)「これ食べたら体から生えてきそう」

川 ゚ -゚)「痒くてかきむしったら肌を突き破ってロマネスコが」

(;・∀・)「普通に怖い!」

('A`)「マタンゴを思い出すな……」

川 ゚ -゚)「何ですかそれ」

( ^ω^)「昔の映画ですお」

159 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:54:12 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「子供の頃、親に見せられた記憶が」

川 ゚ -゚)「DVDあったんですか」

( ^ω^)「クーさん、昔はビデオって言うのがあってね」

('A`)「ベータでしたか」

( ・∀・)「VHSです、マタンゴはわざわざ映画館で見せられました」

('A`)「まだやってたんですか」

( ・∀・)「親が魔王様と友達で、結構融通がきいたみたいです」

('A`)「すげえ」

川 ゚ -゚)「お隣さん、僕には何の話をしてるのか全くわからない」

( ^ω^)「うん、まあ、うん」

('A`)「若者は黙れ」

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

160 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:56:18 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「お、焼けた」

川 ゚ -゚)「お皿出します」

( ^ω^)「クーさん座ってて、僕が出しますお」

( ・∀・)「クーさん、机片付けましょうか」

川 ゚ -゚)「はーい」

('A`)「ロマネスコ、湯がいてサラダにしたよ」

( ^ω^)「ドクオさん……一株まるごとは……」

('A`)「見た目をいかすしかないと思って」

川 ゚ -゚)「さすがご主人様、狂ってますね」

('A`)「はは、お前は本当にひどいなあ」

( ・∀・)「何これ……なんか生まれるじゃないの……魔族に居たってこんなの……」

( ^ω^)「モララーさんが地味にダメージを……」

川 ゚ -゚)「自分の持ってきたお酒だったのに……」

161 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 21:58:43 ID:ZQMb5ntkO



( ^ω^)「みかん量産してきましたおー!」

('A`)「よーしジュースにするぞー」

川 ゚ -゚)「そのままだと苦酸っぱいですよ」

( ・∀・)「ガムシロ入れましょうか」

('A`)「良いオレンジジュースはそんな苦くないよ」

川 ゚ -゚)「へー、ゼリーとシャーベット作ってくださいよご主人様」

('A`)「もうじき冬だけど」

川 ゚ -゚)「お風呂上がりに食べます」

('A`)「腹壊すぞ」

川 ゚ -゚)「親ですかご主人様」

('A`)「保護者です」

川 ゚ -゚)「一緒に入りますか」

('A`)「ごめんなさい」

162 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:00:27 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「お風呂?」

( ^ω^)「クーさんデレ期ですかお?」

川 ゚ -゚)「僕は素直クールであってクーデレではありませんよ白豚様」

( ^ω^)「あんまりだあ」

( ・∀・)「? 取り敢えずご飯にしますか?」

('A`)「ですね、運んで貰えますか?」

( ・∀・)「はい、お隣さん行きましょう」

( ^ω^)「名前がお隣さんになりつつあるだと」

('A`)「ジュース注ぐから持っていってクー」

川 ゚ -゚)「子供だってーうまいんだもーん」

('A`)「飲んでも言うな」

川 ゚ -゚)「ボケを殺された」

('A`)「アイスとゼリーの下ごしらえするからさっさと行きなさい」

川 ゚ -゚)「はーい」

163 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:02:29 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「よし、と……餃子しかありませんね」

( ^ω^)「餃子が主食の本場形式ですお」

( ・∀・)「本場では水餃子らしいですけどね」

( ^ω^)「美味しいが正義ですお」

( ・∀・)「なるほど」

川 ゚ -゚)「!!ああっと!!」

(;・∀・)「毒吹きアゲハ!?」

( ^ω^)「そんな初心者キラートラウマNo.1を……」

川 ゚ -゚)「なーんてね、三頭飛南瓜でした」

(;・∀・)「魔法っ気ゼロ脳筋パーティ殺し!!」

( ^ω^)「バランス良く行かないから……」

164 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:04:09 ID:ZQMb5ntkO

(;・∀・)「あ……氷竜相手にパラディン育て直すはめになったトラウマが……」

( ^ω^)「ああ……育てすぎた……」

('A`)「世界樹はヌルゲーマー殺し」

川 ゚ -゚)「ご主人様はどの辺で」

('A`)「カマキリ」

( ^ω^)「アレはきつい」

( ・∀・)「鹿もなかなか」

川 ゚ -゚)「初見殺しばっかじゃないですか……」

('A`)「準備終わったから食べますかー」

川 ゚ -゚)「はーい」

('A`)「はい座ってー、手を合わせてくださいー」

( ^ω^)「合わせましたー」

('A`)「いただきまーす」


   「「「いただきまーす」」」

165 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:06:07 ID:ZQMb5ntkO



( ^ω^)「げぷ……あー、食べた飲んだ……」

('A`)「…………」

( ^ω^)「お、どうしましたおドクオさん」

('A`)「クーは?」

( ^ω^)「お風呂ですお」

('A`)「……」

( ^ω^)「……ドクオさん?」

('A`)「ちょっと、塔を出ます」

( ^ω^)「お、塔を……?」

('A`)「はい、用事が出来て」

( ・∀・)「洗い物終わりました……どうしたんですか?」

166 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:08:25 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「少し、塔を留守にする事になりまして」

( ・∀・)「え……でも、この塔は……」

('A`)「はい、俺が出たら機能しなくなります」

( ^ω^)「……クーさんは?」

('A`)「…………」

( ・∀・)「ドクオさん、まさか……」

('A`)「お隣さん、モララーさん」

( ^ω^)「はい」

( ・∀・)「は、はい……」

('A`)「留守の間、塔とクーを頼めますか」

( ・∀・)「でも、ドクオさん」

( ^ω^)「引き受けますお」

(;・∀・)「お隣さんっ!」

('A`)「……すみません、ありがとうございます」

167 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:10:22 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「……ドクオさん、どちらへ……?」

('A`)「ちょっと」

( ・∀・)「ちょっと?」

('A`)「戦争、終わらせて来ます」

( ・∀・)「ぇ……」

( ^ω^)「終わらせられるんですかお」

('A`)「はい」

( ^ω^)「絶対に、断言出来ますかお」

('A`)「はい」

( ^ω^)「誰かを殺しますかお」

('A`)「いえ」

( ^ω^)「ドクオさんは死にませんかお」

('A`)「はい」

( ^ω^)「なら、行って下さいお」

168 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:12:17 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「ドクオさん、そんな……」

('A`)「きな臭いのは、嫌いなんです」

( ・∀・)「でもっ」

( ^ω^)「大丈夫ですお、モララーさん」

( ・∀・)「……信用、なさってるんですね」

( ^ω^)「お隣さんになって長いですから」

( ・∀・)「……わかりました」

('A`)「すみません」

( ・∀・)「いえ……その代わり、ちゃんと帰って来て下さいよ」

('A`)「もちろん」

( ・∀・)「……終わったら、みんなでマターリしましょうね」

('A`)「もちろん」

169 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:14:53 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「明日出るんですかお?」

('A`)「はい、クーに文句言われますから」

( ・∀・)「黙って行くんですか?」

('A`)「……はい」

( ・∀・)「恨まれませんか……?」

('A`)「慣れました」

( ・∀・)「なんという」

( ^ω^)「じゃあ、身支度は」

('A`)「あーいりません」

( ^ω^)「えっ」

('A`)「そのままで良いです、お願いしますね」

( ^ω^)「……はいですお」

( ・∀・)「行ってらっしゃい、ドクオさん」

('A`)「はい、行ってきます」

170 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:16:14 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「お風呂出ましたよー」

('A`)「おー、んじゃお二人どうぞ」

( ^ω^)「一緒に入れと言わんばかりの言い方はどうかと思いますお」

('A`)「ははは、お好きにどうぞ」

川 ゚ -゚)「想像したら割と気持ち悪かったです」

( ^ω^)「あんまりだ」

( ・∀・)「いや気持ち良くてもちょっと」

( ^ω^)「確かに」

川 ゚ -゚)「ご主人様、アイス」

('A`)「まだ出来てないから明日」

川 ゚ -゚)「えー、ブリザガとかして下さいよ」

('A`)「無駄に魔力を使わせない、ほら寝なさい」

川 ゚ -゚)「一緒に寝ますか」

('A`)「ごめんなさい」

171 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:18:36 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「……」

( ・∀・)「……寝ましたね」

('A`)「はい」

( ・∀・)「ドクオさん」

('A`)「はい?」

( ・∀・)「…………ご無事で」

('A`)「なあに戦場の様子を見に行くだけさ、すぐ戻る」

(;・∀・)「そんな分かりやすい死亡フラグ!」

('A`)「しーっ」

(;・∀・)「あ、ごめんなさい……」

('A`)「大丈夫ですよ、……大丈夫」

( ・∀・)「……よろしくお願いします」

('A`)「え?」

( ・∀・)「魔王様を、お願いします」

('A`)「……任せてください」

172 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:20:12 ID:ZQMb5ntkO



川 ゚ -゚)「ふぁ……あー……ああ、よく寝た」

川 ゚ -゚)「ご主人様ー、おはようございますー」

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「あれ、まだ寝てるのかな……いつも僕より早起きなのに……」

川 ゚ -゚)「ご主人様ー? 昨日はお楽しみでしたかー?」

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「あ、れ……?」

( ^ω^)「ふぁ……クーさん、おはようございますお」

川 ゚ -゚)「あ、お隣さん……」

( ^ω^)「どうしましたお」

川 ゚ -゚)「なんか、……変なんです」

173 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:22:14 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「ご主人様が僕より遅く起きるのも……なんか、塔の様子も、変で……」

( ^ω^)「……」

川 ゚ -゚)「ご主人様、ご主人様っ? ご主人様ーっ!?」

( ^ω^)「クーさん……」

川 ゚ -゚)「ご主人様っ! ご主人様っ!! 童貞ッ!!」

( ^ω^)(ひでえ)

( ・∀・)「あ、クーさん……お隣さん……」

( ^ω^)「おはようございますお、モララーさん」

川 ゚ -゚)「…………まただ」

( ・∀・)「え?」

川 ゚ -゚)「コンロ、火が点かない……水も出ないし……」

174 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:24:55 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「……ご主人様」

( ・∀・)「クーさん、テーブルに手紙が」

川 ゚ -゚)「へ……み、見せてください」

( ・∀・)「はい」

川 ゚ -゚)「え、と……」


     『少し出掛けるからお二人の世話になれ、アイスとゼリーは時限装置付きの冷蔵庫にある』


川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「…………馬鹿ですか、うちのご主人様は……」

( ^ω^)「クーさん……」

( ・∀・)「ドクオさんは……」

川 ゚ -゚)「僕だけアイス食べて、楽しいと思ってるんですか……」

( ^ω^)(あ、一人で食べるんだ……)

( ・∀・)(シーッ)

175 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:27:02 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「…………馬鹿ですよ……何考えてるか、わかんないし……」

( ・∀・)「クーさん、」

川 ; -゚)

( ・∀・)「あ……」

川 っ -;)

( ^ω^)「クーさん……泣かないでくださいお」

川 っ - )「泣いて……ません……」

( ・∀・)「……クーさん、ドクオさんは……」

川っ - )「馬鹿です、あの人は……僕置いて、拾ったくせに……」

( ・∀・)「拾った……?」

( ^ω^)「クーさんが小さい頃に捨てられていたのを、ドクオさんが拾ったんですお」

( ・∀・)「そう……だったんですか……」

川っ - )「何ですか、やっぱ僕なんていらないんじゃないですか……
     メイドとしても使えない、何も出来ない、死んだって悲しくない……僕は何ですか……」

176 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:28:41 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「違いますお、クーさん……」

川っ - )「結局、僕を捨てるんですよ……どうせ、僕はいらないんです」

(#・∀・)「クーさんッ!」

川っ - )「ッ」

(#・∀・)「そうやって投げ遣りになるのはやめなさい! ドクオさんの一番側に居たのは誰ですか!
     側に居たのはクーさんでしょ!? ならドクオさんを信じてあげたらどうですか!!」

(;^ω^)「も、モララーさん……」

(#・∀・)「信じようとしなければ、心を開かなきゃ誰もそれに応えません!!
     ドクオさんは戻ってくる、ドクオさんはクーさんを大事にしてる、そう信じられないんですかッ!?」

川 ; -;)「だって! だって僕は役立たずなんですよ!?
     どんなに頑張っても努力しても、メイドらしくなんてなれない!!」

(#・∀・)「なら家族になれば良いでしょう!?」

178 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:30:36 ID:ZQMb5ntkO

川 ; -;)「ぇ…………かぞ、く……?」

(#・∀・)「クーさんもドクオさんも一人で、けど側にはお互いが居るんでしょう!?
     一人は不幸かも知れません、でも常に誰かが側に居れば一人じゃない! それがどんなに幸せか!!」

川 ; -;)「だ、て……僕は……」

(#・∀・)「だって何ですか! メイドだからって距離を置くのはクーさんでしょう!!」

川 ; -;)「……家族、なっても……良いんですか……?」

(#・∀・)「家族の居ちゃいけない人間が存在しますか!!」

( ^ω^)「モララーさん、落ち着いて下さいお……あんまり子供に強く言わないで下さいお」

( ・∀・)「あ……すみ、ません……」

川 ; -;)「ご主人様……ご主人、様…………ッご主人様ぁあああああああッ!!」



 古びた塔、響くのはか細いメイドの悲鳴の様な泣き声。

 ぼろぼろと涙をこぼして、そこに居ない主人をただ呼んだ。

180 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:32:47 ID:ZQMb5ntkO

 自我もまだ芽生えない様な歳の頃に捨てられ、それを拾った主人。

 歳を貸さねども、主人を父とも兄とも呼べず、従者としての立場に落ち着いた。

 けれど家事全般は壊滅的に出来ず、出来ることは主人の代わりに外に出て仕事をする事。


 自分をメイドと言う子供。
 そのまま受け止める大人。


 たとえメイドとして役立たずでも、側に誰かが居た。
 一人にはなりたくなくて、いつもその存在を噛み締めた。

 誰かと一緒だと言う幸せを主人は知っていたので、全てを優しく受け止める。
 その優しさがまだ理解できなくて、胸を痛める従者の子供。


 僕はどうしてここに居るのか。
 僕はここに居ても良いのか。
 僕が存在する価値はあるのか。
 僕はいったいなんなのか。

 ご主人様と一緒に居ても、良いのだろうか。



 いいよ、と
 主人が笑った気がして。

181 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:34:20 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「ただいまー」

( ・∀・)「あ、お帰りなさい」

( ^ω^)「早かったですおね」

('A`)「いやー思ったより早く片付いて」

川 ; -;)

('A`)「あれ、クーどうしたの」

( ・∀・)「色々ありました」

( ^ω^)「色々ありました」

('A`)「ふーん、クー」

川 ; -;)「は、い……」

('A`)「腹減った、昼飯」

川 ; -;)「…………ご主人様……」

('A`)「うん」

川 ; -;)「葬儀場の予約をしておきます……」

('A`)「そこまで俺の死を望み始めたか」

182 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:36:20 ID:ZQMb5ntkO

川っ -;)「ご主人様……ひとつ、お尋ねします……」

('A`)「うん」

川っ -;)「僕は……ご主人様の家族に、なれますか……」

('A`)

川っ -;)

('A`)「そんなプロポーズまがいな事を言われるとは思わなかった」

川っ -;)「お隣さん、包丁持ってきて下さい」

( ^ω^)「犯罪の片棒は担ぎたくないですお」

('A`)「家族、家族なあ……なれんじゃね?」

川っ -;)「軽っ」

('A`)「だって俺も家族居なくなって長いから、どう言うものかもうよくわからないし」

川っ -;)「……」

('A`)「だから、なろうと思えばなれるんじゃない? 」

川っ -;)「……わかりました」

183 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:38:40 ID:ZQMb5ntkO



( ・∀・)「クーさん、ごめんなさい怒鳴って」

川 ゚ -゚)「ふぅ……いえ、僕も悪いんです」

( ^ω^)「ま、クーさんまだ子供ですからお」

川 ゚ -゚)「すぐ大人になりますよ」

( ・∀・)「大人になったらどうします?」

川 ゚ -゚)「ご主人様、嫁になって差し上げましょうか」

('A`)「いらん」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「無性に腹が立つ」

( ^ω^)「何とも言えない」

( ・∀・)「否定を出来ない」

184 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:40:08 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「ま、大人になったクーさんは綺麗でしょうね」

( ・∀・)「ですね、将来有望は間違いないです」

川 ゚ -゚)「だってのに、僕を拒絶するとはご主人様」

('A`)「いや、いや無いわ」

川 ゚ -゚)「無性にムカつくわ」

('A`)「いやだってお前……」

川 ゚ -゚)「家事が出来ないのは愛嬌でカバー」

('A`)「突っ込みたいけど家事出来ないのは横に置いといて、まずお前は12歳だ」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「そうですけど」

185 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:42:12 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「この国の法律では16歳からしか嫁にはなれん」

川 ゚ -゚)「何とかなりますって」

('A`)「そんなに嫁になりたいのか」

川 ゚ -゚)「いえ全然」

('A`)「こやつめ、ははは」

( ・∀・)「ドクオさん、ドクオさん」

('A`)「あ、はい?」

( ・∀・)「戦争は?」

('A`)「ああ、終わりました」

( ^ω^)「そんなあっさり」

( ・∀・)「いったい、どうやって?」

('A`)「元々あの戦争、恋煩いだったわけで」

( ・∀・)

('A`)「恋煩いを拗らせて戦争」

( ^ω^)「迷惑すぎる」

186 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:43:10 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「え、と……つまり……?」

('A`)「まあ細かいところはすっ飛ばしますが、幼馴染み同士が小さい頃に離ればなれになったけど
     その頃にはもう初恋と言うフラグが建設されてて成長に従いその幼馴染みを探すように
     しかし片方は勇者で片方は魔王と言う立場になっててなかなか探す事も出来ずにいて
     もやもやする日々の上に敵軍が突っついてくるからムカついて戦争になって長引いてた」

(;・∀・)「長い!」

( ^ω^)「しかもロマンスを感じさせないその言いぐさ」

川 ゚ -゚)「さすがはご主人様」

('A`)「昨日、星からそれを知って解決しに行きました」

川 ゚ -゚)「あ、そう言うあれですか」

( ・∀・)「なるほど戦争を終わらせてくる」

( ^ω^)「どこの一級フラグ建築士かと」

('A`)「良いじゃん実際に戦争終わらせたんだから……」

(;・∀・)「そうですけど……」

187 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:44:31 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「え、と……つまり……?」

('A`)「まあ細かいところはすっ飛ばしますが、幼馴染み同士が小さい頃に離ればなれになったけど
     その頃にはもう初恋と言うフラグが建設されてて成長に従いその幼馴染みを探すように
     しかし片方は勇者で片方は魔王と言う立場になっててなかなか探す事も出来ずにいて
     もやもやする日々の上に敵軍が突っついてくるからムカついて戦争になって長引いてた」

(;・∀・)「長い!」

( ^ω^)「しかもロマンスを感じさせないその言いぐさ」

川 ゚ -゚)「さすがはご主人様」

('A`)「昨日、星からそれを知って解決しに行きました」

川 ゚ -゚)「あ、そう言うあれですか」

( ・∀・)「なるほど戦争を終わらせてくる」

( ^ω^)「どこの一級フラグ建築士かと」

('A`)「良いじゃん実際に戦争終わらせたんだから……」

(;・∀・)「そうですけど……」

188 名前:名も無きAAのようです[>>186間違えた] 投稿日:2011/11/06(日) 22:45:32 ID:ZQMb5ntkO



('A`)『魔王モナファーさん、こんちゃーっす』

( ´∀`)『モナ? あ、ドクオさん?』

('A`)『ちっす、戦争終わらせに来ました』

( ´∀`)『軽いなあ……じゃあ魔王軍に手を?』

('A`)『だって飲み仲間だし、手は貸さない』

( ´∀`)『えぇー……』

('A`)『その代わり勇者連れてきました』

(;´∀`)『何してるの!?』

|゚ノ ^∀^)『モナー……君……?』

( ´∀`)『えっ……レモナ……?』

('A`)『魔王と勇者で世界を幸せにー』

( ´∀`)『歌わない』

189 名前:名も無きAAのようです[色々間違えた] 投稿日:2011/11/06(日) 22:47:22 ID:ZQMb5ntkO

( ´∀`)『勇者って、レモナ……?』

|゚ノ ^∀^)『魔王って、モナー君だったの……?』

( ´∀`)『そんな、探してた人と争ってたなんて……』

|゚ノ ^∀^)『モナー君、ごめんなさい……レモナ……』

('A`)『俺の前でラブロマンスるな』

( ´∀`)『うわびっくりした』

('A`)『はいはい、んじゃ見つめあっても素直にお喋り出来る魔法かけますから』

|゚ノ ^∀^)『ドクオさん……』

('A`)『リリカルト☆カレフキ☆ルゼムオール』

|゚ノ;^∀^)『呪文がひどい!?』

( ´∀`)『レモナ気にしちゃ駄目モナ、この人こう言う人だから』

|゚ノ;^∀^)『ああ……』

('A`)『素直にお喋り出来るのと無遠慮になるのは違うよモナファーさん……』

( ´∀`)『ごめんドックン』

('A`)『ドックン言うな』

190 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:48:53 ID:ZQMb5ntkO

('A`)『取り敢えず戦争の理由ってそれでしょ、だったらもう終わらせてよね』

( ´∀`)『はーい』

|゚ノ ^∀^)『あ、でも……今さら「戦争終わりましたーwwww」とは言えないわ……』

( ´∀`)『大丈夫大丈夫』

('A`)『平気平気』

|゚ノ ^∀^)『えぇ……軽すぎる……』

( ´∀`)『ドックン、手伝って』

('A`)『そう呼ばれる内は手伝わない』

( ´∀`)『黙れ』

('A`)『ごめんなさい』

|゚ノ ^∀^)『……元通りにしちゃうの? この五年間を』

( ´∀`)『なあに、魔王と大魔導師にかかれば簡単な事モナ』

('A`)『チート性能うめぇ』

191 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:50:20 ID:ZQMb5ntkO

|゚ノ ^∀^)『でも、この五年間は人の心に成長ももたらしたわ……』

( ´∀`)『あー大丈夫モナ、レモナ』

|゚ノ ^∀^)『え……』

( ´∀`)『何も元通りにするわけじゃないモナ、それは難しいモナ』

|゚ノ ^∀^)『じゃあ……』

('A`)『憎しみとか悲しみをしまっちゃおうねぇ』

|゚ノ;^∀^)『トラウマっ!?』

( ´∀`)『じゃあ強欲な壺を用意したので、ドックンやるモナ』

('A`)『あーはいはい、いっくぞー』

( ´∀`)『モナー』

|゚ノ;^∀^)『なんだろ……この、異様な軽さ……』

( ´∀`)『おーわったー』

('A`)『あーつかれたー』

|゚ノ;^∀^)『早いっ!?』

192 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:52:13 ID:ZQMb5ntkO



('A`)「と言う事が」

川 ゚ -゚)「途方もなく下らない」

('A`)「そんなずんばらばっさり」

( ^ω^)「つまり、戦争からなる負の感情をしまっちゃうおじさん?」

('A`)「あと被害を被った地域とかそう言うの直した」

( ・∀・)「ドクオさん」

('A`)「はい」

( ・∀・)「チートですよね明らかに」

('A`)「ちがうもん」

川 ゚ -゚)「ご主人様」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「気持ち悪い」

('A`)「否定しない」

193 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:54:10 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「で、戦争終わり……ですか」

('A`)「終わりました」

( ・∀・)「弊害は?」

('A`)「知らん」

( ^ω^)「アフターケアェ……」

('A`)「それより腹減った」

川 ゚ -゚)「じゃあ何か作ります」

('A`)「俺も作る」

( ^ω^)「お野菜持ってきますお」

( ・∀・)「手伝います」



 そこは深く暗く、鬱蒼とした森の奥の奥。

 周囲には森があるだけ、外から聞こえるのは夜の鳥の声に木々のざわめき。

 緑と土の匂いが溢れるそこは、いつも賑やかな空気が包むそこは───。



【塔のようです おわり】

194 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:56:03 ID:ZQMb5ntkO



('A`)「クー、あとな」

川 ゚ -゚)「はい?」

('A`)「男は、男の嫁にはなれないから」

川 ゚ -゚)「当然ですよ」

('A`)「お前は男だ」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「ご飯にしましょう」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「ロマネスコ残ってますから」

('A`)「もうやだあれ怖い」




【おしまい】

196 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/11/06(日) 22:57:17 ID:ZQMb5ntkO
ttp://imepic.jp/20111106/800230


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