川 ゚ -゚)の人生は波乱に満ちてるようです

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/13(土) 23:09:19.31 ID:I+K6WaFg0
あの意味不明なマンスリー契約から早数日。

人間は忘れる生き物であるからして、例のリビング全壊事件もなんだか過去の出来事のようになっていた。

とりあえずツンは私と契約していればほぼ無敵状態らしいし。

また似たようなことがあっても何とかなるだろう…多分。

なんて思っているときに限って想定外の事が巻き起こるものなわけで。

私の面倒は増える一方です。


川 ゚ -゚)の人生は波乱に満ちてるようです

 二波目 「机の中からボワっと」



2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/13(土) 23:15:38.12 ID:I+K6WaFg0
カリカリカリカリ、と文字を書く音だけが私の部屋に充満していた。何を隠そう、只今絶賛テスト勉強中である。
自分で言うのもなんだが、私は意外と努力家だ。いつも定期テスト三週間前にはこうして勉強を始めている。おかげでテストはいつも良い点数であり、私の数少ない自慢ポイントの一つとなっている。ちなみに他には「舌が鼻にくっつく」などが挙げられる。

川 ゚ -゚)「…あ、間違えた」

消しゴム、消しゴム…あれ、ないな。ここまで順調に解いていたせいで出番がなかったもんだから気付かなかった。

川 ゚ -゚)「(確か机の中に買い置きがあったよな)」

ガラッ。


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   l  \          「よう」       \
   l\  \ _____      _____\
   l l .\.  l \      从 ゚∀从         \
   l l   \l   l ̄ ̄ ̄ ∪  ∪ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l
   l l    l\.l______________l
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ピシャッ!

私は机に鍵をかけた。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/13(土) 23:23:55.46 ID:I+K6WaFg0
「おいっ何すんだテメー!開けろコラ!」

どうやら消しゴムの件は私の勘違いだったようだ。ちょっとコンビニで新しいのを買ってこよう。
ついでに栄養ドリンクも買おうかな。なんか幻覚的な物も見えたし、幻聴的な物も聞こえたし、ちょっと勉強に根を詰めすぎたかもしれない。
それにしても最近の幻覚はリアルだなぁ。存在感が無駄にしっかりあった。
まぁ私が正気を取り戻せば雲散霧消するに違いないので、あまり気にしないことにしようそうしよう。

「っくしょー!こじ開けっからな!壊れても文句言うなよ!」

ははは、幻覚風情が何をほざいているのやら。
お前なんて私が本気を出せばイチコロなのだよ。私にはものすごい魔力も眠っているしな。
あ、でも、魔力の使い方わかんないな。今度ツンに教えてもら――

「ハイン様お手製スーパーミサイル発射ー!!!ドーン!!!」

はいドーン!!!私の机ドーン!!!耳痛ッ!!!

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/13(土) 23:29:53.96 ID:I+K6WaFg0
…いや、とっくにわかっていましたよ。この女が幻覚なんかじゃなくリアルな存在だってことなんて。
それでも私は目を背けたかった。こんな理不尽こそが現実だなんて、あんまりだ。神は死んだ。スイーツ(笑)

从 ゚∀从「ふぃー。やっと脱出できたぜ」

肩にミサイルランチャーのような兵器を抱えた女が、私の机…だった物の中から颯爽と現れていた。つーか、机…。

川 ゚ -゚)「(後でツンに直してもらおう…)」

無理やりとはいえ契約は契約だ、存分に利用させてもらうとしよう。魔法少女マジ便利。この機会に皆さんも契約してみてはいかがですか?今ならたっぷりの魔力だけで契約が可能です。興味のある方は須尚家までご連絡を!

从 ゚∀从「おう、あんた。ちょっと聞きたいんだが」

川 ゚ -゚)「魔法少女のご用命ですか?」

从 ゚∀从「はぁ?何わけわかんねぇこと言ってんだ。それより今は何年だ?」

ガチャ、とミサランの発射口をこちらに向ける物騒女。そんな恐喝じみたことなんてしなくても今が何年かぐらい教えてやるともさ。

なぁ、未来人。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/13(土) 23:36:09.79 ID:I+K6WaFg0
从 ゚∀从「へぇ。なかなか察しがいいじゃねーの」

ちげーよ!お前がテンプレすぎるんだよ!机の中から出てくるとか!今が何年か聞こうとするとか!今時そんな未来人いねーよ!
いやお前以外の未来人に会ったことはないけども。

从 ゚∀从「お前の言うとおり俺は未来人さ。お前らから見れば、だけどな」

そう言ってウェポンを投げ捨て、床に座り込む自称未来人女。さらに、女は懐からタバコのようなものを取り出して火を着けた。
…私の部屋は禁煙なんだがな。

从 ゚∀从「細けぇことうるせーな。やっとポリ公から逃げきれたんだ、一服ぐらいさせろよ」

なんかまた不穏ワードが出てきたし…。ここはツッコまないのが吉と見た。
第六感こと『嫌な予感センサー』も反応しているし。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/13(土) 23:42:31.15 ID:I+K6WaFg0
(;'A`)「なんかすげー音したけど…うお!火薬臭ぇ!」

今更兄さんが部屋に駆け込んできた。ノーノックで。部屋に入るときはノックしろとあれほど言ったのに…。
デリカシーのない男性っていやね。

(;'A`)「いや、それどころじゃないだろこの状況は…なんかまた知らない人いるし」

从 ゚∀从「私はハインだ。ワケあって未来から逃げてきた、匿ってくれや」

('A`)「…どゆこと?」

知らん。そして知りたくもない。
ただでさえ魔法少女のどたばたに巻き込まれて大変だっていうのに、これ以上面倒を増やしてたまるか。

川 ゚ -゚)「というわけでお帰りください」

あ、でもタイムマシンは乗りたいかもしれない。修正したい過去も、一つや二つどころではないぐらいあるし。
未来に行くのもいいな。宝くじの一等賞の当たり番号を控えて帰ってきたい。

从 ゚∀从「そりゃ無理だ。タイムマシンはさっきので壊しちまったから」

じゃ帰れ。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/13(土) 23:48:48.58 ID:I+K6WaFg0
('A`)「いやだからそれもできないんだろ?この…未来人さんは」

从 ゚∀从「そーなんだよ。お前は話がわかるいいやつだな」

('A`)「いやいやそれほどでも」

だから何で打ち解けてるんだ。警戒心を持て警戒心を。絶対将来詐欺とかに引っかかるぞ。そして回り回って私に迷惑がかかるに違いない。最悪です。

川 ゚ -゚)「とにかく、これ以上私に面倒を回さないでくれ。頼むから」

なんなら土下座して頼み込んでもいい。この土下座が私の生涯最初で最後の土下座になるだろう。そんなレアな土下座をされては、さすがの未来人も引っ込まざるを得まい。
どのタイミングで土下座の体勢に入ろうか悩んでいると、未来人女はタバコを窓の外に投げ捨てた。ルールもモラルもあったもんじゃないな未来人。

从 ゚∀从「俺だって面倒だっつーの。逃げたくて逃げてるわけじゃねーし」

悪いことなんかしてねーんだけどな、と付け加え、二本目のタバコに火を着ける。
何やらワケアリらしいが、心底どうでもいい。
他人は他人、私は私。個人の領分を大切にして生きていくべきだと思います。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/13(土) 23:58:04.38 ID:I+K6WaFg0
('A`)「とりあえず話はリビングで聞くから」

川 ゚ -゚)「いや聞かなくていいだろ…」

リビングのドアは誰にでも開けていいものじゃないんだぞ。また窓とか割られたらどうするんだ。お隣さんもいい加減通報とかするぞ。
…ていうか前の時よく何も問題起きなかったな。

('A`)「ああ、さっき下でその話してたんだけど。ツンちゃんがなんとかしてくれたらしい」

MIBよろしく記憶の消去でもしたのだろうか。重ね重ね、魔法少女マジ便利。一家に一人魔法少女の時代も近いね!

从 ゚∀从「ん?この家、もう一人いんのか?じゃあそいつが同意してくれたら匿ってくれよ。多数決ってことで」

川 ゚ -゚)「絶対嫌だ」

('A`)「俺は別にいいよ」

良くねぇよ!フレンドリーシップ発揮しすぎだよ!人類皆兄弟かよ!

从 ゚∀从「じゃーそういうことで下行くか」

未来人女はドアを乱暴に開き、元気に階段を下りていった。それに続く兄。
…もしかして意見するだけ無駄ですか、私。もうやだこの人生。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 00:11:13.50 ID:TXuW4Stv0
…一人で部屋に篭っていても状況が好転するとは思えなかったので、とりあえず私も二人に続いて下へ降りることにした。

从 ゚∀从「で?どんなやつなんだ、そのツンって」

('A`)「魔法少女」

ピタ、と未来人女…ええと、ハインだったか。とにかく女の足が止まった。横をすり抜けて先頭に立つ兄さん。
ハインは兄さんを指差し、私の方を振り返った。

从 ゚∀从「…こいつ頭大丈夫か?」

少なくともお前よりはまともだよ。時々私も頭をかち割ってやりたくなるときがあるけどね。
こないだだって私の残しておいたプリンを勝手に食べやがって、ああ思い出したらまたムカついてきた。

从;゚∀从「いや、知らねーよ…俺に八つ当たりすんな」

八つ当たりっていうか、お前にもムカついてるんですけどね。

('A`)「ツンちゃん入るよー」

ノックをし、リビングを開ける。何で同じことを私の部屋に入るときにもしてくれないのか理解しかねるんですけど。
リビングでは、ツンが麦茶を飲んでいた。ついでに芋羊羹も食べていた。何その待遇。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 00:21:42.10 ID:TXuW4Stv0
ξ゚听)ξ「あ、ドクオさん。美味しいですねこの…イモヨウカン?でしたっけ」

何故か片言になるツン。芋も羊羹も彼女の世界にはないのだろうか。
次の一口を食べようとしたところで、ようやくハインの存在に気がついたらしく、ツンは小首をかしげた。
…そういえば小首をかしげる女って初めて見た気がする。

ξ゚听)ξ「後ろの方は?」

从 ゚∀从「おう、よく聞いてくれたな。俺はハインってんだ」

ξ゚听)ξ「ツンです。よろしくお願いします」

仲良くシェイクハンドする魔法少女と未来人。お互い素性を知らないのって怖いね。

ξ゚听)ξ「えっと…クーの友達?」

从 ゚∀从「いや、まだ知り合いレベルだ」

私としては知り合いレベルにもなりたくないのだが。
できれば赤の他人レベルがいい。今からでもそうなれないかな。ツンに記憶消してもらおうかな。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 00:31:49.73 ID:TXuW4Stv0
('A`)「ハインさんは未来人らしいよ。…あれ?クー、コップもう一個なかったっけ」

また麦茶出そうとしてるよこの男は…。麦茶出せば分かり合えると思ってるのか。思ってるかもしれない。
一方ツンの表情は石のように硬くなっていた。

ξ゚听)ξ「未来人って…えっと…ジョーダンですよね?」

魔法少女と未来人の二人から頭おかしい扱いを受ける兄さん。あ、私もいるから三人からか。いい気味である。
ま、これぐらいで堪えるような人じゃないんだけど。

('A`)「ジョーダンなの?ハインさん」

从 ゚∀从「いや、マジ。ハインさん嘘つかない」

川 ゚ -゚)「…私も認めたくはないが。この女がただの人間じゃないことは確かだ」

でなければ人の机からいきなり出てきたりした説明がつかない。
私は自分の目で見ていないことは信じないタイプだが、逆に言えば自分で見たことは信じるタイプだ。
あんな漫画みたいなことが出来る人間は、この時代にはいない。多分。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 00:42:20.20 ID:TXuW4Stv0
ξ;゚听)ξ「…それにしたって、未来人だなんて…信じられない…」

こういうときぴったりな台詞がある。
『お前が言うな』。

ξ゚听)ξ「だって、時を越える魔法は禁術なのよ?そんな魔法を使える人がいるなんて…」

そういう意味かよ!無駄に難解だな魔法少女!

从 ゚∀从「…ふぅ。なぁ、さっきこいつらからも聞いたんだけどよ。あんたこそ、魔法少女ってマジなのか?」

麦茶をグイ飲みしたハインが、ツンの方に身を乗り出す。
なんだ、魔法に興味があるのか。だが残念、ツンは既に私と契約済みである。
魔法少女のルールはよく知らないが、この手の契約は一対一でするものだろう。

ξ゚听)ξ「ええ。そういうあなたこそ、魔法が使えるんじゃないの?しかも禁術クラスの」

从 ゚∀从「使えるわけねーだろ。過去に来たのは魔法じゃなくて科学の力だ」

ξ゚听)ξ「かがく…この世界で発展している技術のことね」

なんかこいつらの会話聞いてるとしんどいな。
自分が本当に変な状況に巻き込まれてるんだって嫌でも認識させられるから。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 00:53:24.47 ID:TXuW4Stv0
('A`)「俺は面白いけどなぁ」

そりゃ兄さんがオタクで当事者じゃないからだろう。
変な契約もしてないし、机も破壊されてないし。

('A`)「死にかけたのは似たようなもんだろ。嘘みたいな出来事だったなぁ」

窓の方を眺めながら呟く兄さん。一回粉々になったはずの窓は、何事もなかったかのようにサッシにはめ込まれている。
…確かに、嘘みたいな出来事だった。あのデカブツの魔法も、リビングを直したツンの魔法も。
だが実際この目で見てしまったのだから、信じないわけにはいかない。

ξ#゚听)ξ「…だーかーら!この世の物は全て魔力のエレメントによって構成されているんだってば!」

从#゚∀从「あぁ!?アホかてめぇ!そりゃエレメントじゃなくて原子だっつーの!」

…なんか喧嘩してるし…。

('A`)「やっぱ面白いわ。うん」

面白いかこれ?

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 01:04:04.73 ID:TXuW4Stv0
その後も二人は小一時間ほど不毛な言い争いを続けていた。
私は飽きたのでテレビのワイドショーを見ていたのだが、そっちでは自民と民主が不毛な言い争いをしていた。
ちなみに兄さんは二人に良きタイミングで麦茶を注ぐ係と化していた。

ξ#゚听)ξ「うー…なんでわかってくれないのよ、もう!」

从#゚∀从「そりゃこっちのセリフだっつーの!」

もう一生喧嘩してればいいのに。うちの外で。
テレビの方の不毛な言い争いにも飽きたので、適当にチャンネルを回していると、兄さんが何かに気付いたように顔を上げた。

('A`)「…なぁ、なんか音しないか?」

川 ゚ -゚)「魔法少女と未来人の怒鳴り声なら聞こえるが」

('A`)「いや、そういうんじゃなくて…なんか飛行機みたいな音っていうか…」

耳をすませてみるが、特に何も聞こえない。ていうか、飛行機みたいな音ならそれは飛行機なんじゃないだろうか。そう提言しようと思った瞬間。
外から、とんでもない轟音が響いてきた。…何かが墜落したような音だった。

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 01:11:18.45 ID:TXuW4Stv0
ξ;゚听)ξ「な、何!?この音!?」

窓に駆け寄り、外を眺めるツン。その視線の先にあったのは――


  ┌──┐
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  |:日 日:|
  └┬┬┘
   亠亠


…なんだかわからなかった。
ええと、ロボットか?めちゃくちゃレトロな見た目だけど。

从*゚∀从「おおっ!ロボットじゃねーか!あれだよあれ、あれが科学の結晶だ!」

専門家の分析によるとロボットらしい。

ξ;゚听)ξ「ちょ、わかったから、そんな揺すらないで!」

胸倉を掴まれ、ぐらぐらと揺さぶられるツン。頭大丈夫か?物理的な意味で。

163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 01:19:19.67 ID:TXuW4Stv0
(;'A`)「またわけわかんないことになりそうだな…ロボットって。しかも二体も」

川;゚ -゚)「えぇ!?二体!?」

从*゚∀从「おお!!マジだ!!あれ見ろあれ!!」

ξ; )ξ「わ、わかったから…ぎもぢわるい…」

さっきのレトロなロボットの奥に、もう一体のロボットが立っていた。
こっちの見た目はなんというか…特筆すべきところもないような、ありがちな感じだ。
簡単に言えば、ザコっぽい。
等と考えていると。

从 ゚∀从「おい」

ハインの右腕が、私の左腕をがっちりホールドしていた。

川 ゚ -゚)「え?」

…『嫌な予感センサー』がフル稼働しだしたんですけど。

从 ゚∀从「もっと近くで見に行くぞ!!」

いや一人で行けよ!!!なんで巻き込むの!!!

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 01:27:07.86 ID:TXuW4Stv0
从 ゚∀从「一人で見に行って一人で死んだら死にきれねーだろ」

この世で一番迷惑な道連れを画策しているらしかった。

川;゚ -゚)「ちょ、バカかお前!引っ張るなおい!」

腕力に全く自信がない私はテンションMAXのハインの腕を振り切ることができず、ずるずると引き摺られてしまう。
こういう時こそ魔法少女の出番だ!助けてツンちゃん!

ξ; )ξ「おええ…吐きそう…」

(;'A`)「ちょ、タンマタンマ!今エチケット袋持ってくるから!」

こいつ肝心な時に役に立たねえええええ!!!何のための契約だったんだよ!!!

从*゚∀从「っしゃ行くぜえええええ!!!」

アホみたいなスピードでレトロボットの下へ駆けて行くハイン。
あの、ちょっと、腕がもげそうなんですけど!!!つーかマジ嫌だって、これ以上何に私を巻き込むつもりなんだ!?

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 01:37:25.34 ID:TXuW4Stv0
必死の抵抗(主に叫び声)も空しく、私はロボットの足元まで引き摺られていた。
しかし、近くで見るとでかいな。これが倒れてきたら間違いなく圧死する。

从 ゚∀从「うーん。なんでこいつ動かねーんだ?あっちの地味なのはちょこまかしてんのに」

ハインはロボットを見上げながらうんうん唸っていた。今のうちに逃げようかな。
そーっと後退りすると、何か柔らかい物に足がぶつかった。

(; ー )「い…いたた…」

人が倒れていた。…これはヤバいパターンな気がする。この手の出会いはロクなもんじゃないと実証済みだ。
速やかにルートを変えて後退りを続けようとしたのだが、今の呻き声でこちらに気付いたらしくハインが向かってきた。

从 ゚∀从「なんだこの女?ロボットの関係者か?」

恐らく、というか十中八九そうと見て間違いないだろう。だからこそ私はこの場から早く離れたい。
なのになんでこの足元の女は私の足首をがっちり掴んでくるんですか?ゾンビ?ゾンビなの?

219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 01:44:04.11 ID:TXuW4Stv0
从 ゚∀从「おい、しっかりしろ。生きてんだろ」

顔をかるくはたき、ハインが意識の覚醒を促す。ナイス判断だ。
その調子で足首から手を放してもらいたい。

从 ゚∀从「手はそのままでいいぞー」

鬼!悪魔!

(;゚ー゚)「う…ここは…私…」

意識がはっきりしてきたのか、足元の女は私とハインの顔を交互に見比べた。

从 ゚∀从「何があったんだ?このロボット、お前のだろ?」

(*゚ー゚)「あ…はい…私のというか…まぁ、似たようなものですけど…」

うん、それより手を放してくれないかな。

从 ゚∀从「手はそのままでいいから、ちょっと話聞かせてくれ」

(*゚ー゚)「…わかりました」

前半部分はわからなくてもいいんですよ?ねぇ?聞いてる?

240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 01:54:00.13 ID:TXuW4Stv0
足首を掴まれながら聞いた話によると、彼女はしぃという名前らしい。
なんとかという軍に所属していて、このロボットはしぃがパイロットを担当していたそうだ。

(*゚ー゚)「機体の掃除をしていたら、あいつが攻めてきて…」

相変わらずうろうろと動いているロボットを指差す。ということは、あれはこのレトロなのと敵対関係ってことか。
ちなみにしぃは律儀にも手を放してくれなかった。

从 ゚∀从「んで気が付いたらここにいた、ってわけだな。なるほどなるほど」

何を納得したのか、ハインは何度も頷きながら私の腕を再びホールドした。

从 ゚∀从「もうそいつの足放していいぜ」

(;゚ー゚)「あ…あなた、もしかして…」

ぱっと手を放すしぃ。なんでハインの言うことだけ聞くんだよ!もう放さなくて良かったのに!
だって、こいつは――

从 ゚∀从「お前、クーだっけ?あのロボット、動かすぞ!」

川;゚ -゚)「やっぱりそういう展開かよ!!!」

――私を道連れにしようとしているのだから。

248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 02:00:40.94 ID:TXuW4Stv0
(;゚ー゚)「む、無茶です!私だって、まともに動かすのに何年もかかったんですよ!?」

そうだ無茶だ。車の免許すら持ってない私に、ロボットなんて動かせるわけがない。
しかしハインはそんな忠言も抗議も聞く気ゼロである。

从 ゚∀从「やってみなきゃわかんねーだろ。お、こっからコクピットに行けそうだ」

ロボットの足に付いていたボタンを押すと、エレベーターのようなものが降りてきた。
いや、これ乗ったらマジで逃げ道ないじゃねーか!

从 ゚∀从「んなもんとっくにねーよ!しぃ、踏み潰されないようにどっか隠れとけ!」

(;゚ー゚)「うう…もう、知りませんからね!」

諦め早すぎるよ!!!もうちょっと引き止めろって!!!
…そしてエレベーターは上昇を始めた。今まで乗ったどの絶叫マシンよりも、この上昇が怖かった。

266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 02:13:58.29 ID:TXuW4Stv0
从 ゚∀从「ほっほー。なかなかいいコクピットだな」

川;゚ -゚)「うう…どうしてこうなった…」

ハインは上機嫌に鼻歌を歌いながら、かちゃかちゃと備え付けのキーボードを叩いている。
そして放置される私。必要なかっただろ私。なんで連れて来られたの私。

从 ゚∀从「しっかしわかりにくいインターフェースだな…ビギナー向けじゃねーぞこりゃ」

そりゃそうだろう。しぃのパイロットスキルがどれぐらいなのか知らないが、何年も練習がいるようなロボットだぞ。

从 ゚∀从「まぁあと30秒ぐらいでお前が動かせるように作り変えるからよ。ちょい待ち」

…え?

川;゚ -゚)「私が動かすのこれ!?」

从 ゚∀从「おう。んであいつ倒してくれ」

ハインがメインモニターらしき画面を指差す。
先程までうろうろしているだけだった例の敵ロボットが、今は完全にこちらを見据えていた。
完全にターゲットされてるよねこれ。ロックオンされてるよね。

269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 02:23:48.68 ID:TXuW4Stv0
从 ゚∀从「…うっし、改造完了だ!遠慮なく動かしてくれ!」

川;゚ -゚)「遠慮するわ!自分で動かせばいいだろ!」

なんでわざわざ私に動かさせるんだ!二度手間もいいとこすぎるぞ!

从 ゚∀从「人が動かしてるのを見るのがおもしれーんだよ!いいから早く座れ!」

無理やり引っ張られ、椅子状になっているところに座らせられる。
改めてメインモニターを見ると、敵は既に行動を始めていた。ナイフのような武器を携え、こちらにゆっくりと向かってくる。
このまま何もしないでいればお先真っ暗間違いなしの状況。

川;゚ -゚)「…クソ!動かせばいいんだろ動かせば!」

从 ゚∀从「おーしその意気だ!んじゃまずはこれを持て」

ハインに渡されたのは、プレステのコントローラだった。しかも私の部屋にあったやつ。
なんかもうツッコミ所多すぎて何も言えない…。

川 ゚ -゚)「で、何を覚えれば動かせるんだ?」

いくら簡略化したとはいえ、何年も練習がいるロボットだ。そう簡単には動かせないに違いない。
頭を暗記モードに切り替え、ハインの言葉を待つ。

278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 02:33:57.02 ID:TXuW4Stv0
从 ゚∀从「左スティックで移動して、右の四つのボタンで攻撃だ」

川 ゚ -゚)「…それから?」

从 ゚∀从「それだけ」

いや簡略化しすぎだろおおおおお!!!逆に不安だよ!!!

从 ゚∀从「んだよめんどくせーやつだな。じゃあハードモードにするか」

…しなくていいです。つーかそんなモード搭載すんな。
これ以上何かされると本気で動かせなくなるので、黙って操縦することにした。
えっと、左スティックで移動か…。

川;゚ -゚)「うお、本当に動いた!」

ズン、という振動と共にモニターの映像がゆらゆら揺れる。どうやらちゃんと前進できているようだ。

川 ゚ -゚)「…ちょっと楽しいなこれ」

ハッと我に返って振り返ると、ハインがニヤニヤしていた。不覚過ぎる。

298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 02:45:06.91 ID:TXuW4Stv0
从 ゚∀从「そうそう、攻撃は□が射撃だぜ」

このロボット、射撃なんてできるのか?外から見た感じだと銃的なもの持ってなかったぞ。

从 ゚∀从「まぁ押してみろよ。この距離ならさっき付けたオートエイム機能で当たんだろ」

そんな機能も付けてたのか…。30秒で改造した割に本格的だな。
コントローラ以外は。

川 ゚ -゚)「よし、じゃ押すぞ!」

この一撃で倒せることを祈って、私は□ボタンを押した。


            ビー
  ┌──┐
∪ |::━◎==========>
 V|    |V
  |:日 日:|
  └┬┬┘
   亠亠


なんか出た。

315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 02:56:40.34 ID:TXuW4Stv0
なんか…なんか。なんかさぁ…。

川 ゚ -゚)「ショボくないっすか…」

しかし威力は十分だったようで、敵ロボットの装甲は一撃で貫かれていた。そして沈黙する敵ロボット。
…見た目と威力って大抵反比例するよね。

从 ゚∀从「機内の資料を漁ったところによると、プラズマ粒子を結束させて撃ち出す兵器らしいな」

それだけ聞くと凄そうだが、こうしてモニターで見ていると尖ったところてんが出てるようにしか見えない。
何が面白いのか、ハインは資料を読んでは「ほほー!」とか「この手があったか!」等と叫んでいる。
…で、どうしたらいいんだ、この後は。あのロボットも動かなくなったけど、放置するわけにいかないだろうし。

从 ゚∀从「お、そうだった。回収して解析するぞ」

川 ゚ -゚)「そうか」

……。

从 ゚∀从「早く回収しろよ」

やっぱ私がやんなきゃだめなのか、その作業は…。

334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 03:07:07.43 ID:TXuW4Stv0
回収したロボットをとりあえず家の庭に運び込む。
今乗ってるのと合わせてもギリギリ入ったのはいいが、これは流石に近所も黙認してくれないんじゃなかろうか…。

(*゚ー゚)「すごい…本当に倒しちゃったのね…」

しぃがひどく感心したような声をあげているが、私はスティックをちょっと倒してボタンを押しただけだ。
ここまで充実感ゼロのロボットバトルも珍しいと思う。他にロボットバトルしてる人がいるかは別として。

ξ ゚听)ξ「わぁ…これってやっぱり魔力で動いてるのかしら」

さっき給油口があったから、多分こいつはガソリンで動いていると思う。それはそれですごいけど。
まぁ高度に発達した科学は魔法と見分けが付かないというしな。科学でも魔法でもどっちでもいいのかもしれない。

('A`)「おー、これコントローラで動かせんのか。俺も動かしていいかな」

从 ゚∀从「動かせ動かせ。私が作った簡単インターフェースに酔いしれろ」

で、兄さんは相変わらずノリノリだし。

(*゚ー゚)「…ありがとう。二人のおかげで、被害を最小限に食い止められたわ」

うん、まぁ…墜落時の被害が一番でかかったかもしれんね。残念ながら。

346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 03:16:50.77 ID:TXuW4Stv0
川 ゚ -゚)「うん、じゃあ色々片付いたところでさっさと帰って欲しいんだが。三人とも」

ξ;゚听)ξ「あれ!?私も入ってるの!?」

ああ、ツンは便利だからいいや。さっきのでボロボロになった道路とかも直してくれたみたいだし。

从 ゚∀从「帰る方法がないって何回言わせんだよ。しぃだってそうだろ?」

(*゚ー゚)「そうですね…私の場合、なんでこんなことになっているのかもさっぱりですし…」

いや、私の方をちらちら見られても。私にもさっぱりだから。説明できないから。
ともかく、全員帰る気はないらしかった。そういうところだけ一致団結するよね。

('A`)「じゃ、全員とりあえずうちに居候ってことでいいのかな」

マジっすか。兄さんハーレムですね。変人しかいないけども。

('A`)「で、このロボットどうすんの?」

ξ゚听)ξ「私が透明化の魔法をかけておきます」

…やっぱツンは帰んなくてもいいな。便利だし。

350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/14(日) 03:19:13.07 ID:TXuW4Stv0


     川 ゚ -゚)の人生は波乱に満ちてるようです

      二波目 「机の中からボワっと」

        お わ り




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