---

174 名前： ◆fTC5cA5YBU 投稿日：2012/08/18(土) 10:54:50 ID:jxGtLHAo0

爪'ー`)「アラヨット」ｶｰﾝ


（ ・□・）『打ったあああああああああーーーーー！！！ライト上段に突き刺さるグランドスラムーーーー！！！！』


敵地、東京ドームで迎えた開幕戦。
先発マリントンが3回に大量失点、打線も勢いを見せず惨敗だった。


（　　ω　）「……」


スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年も最下位だな」の声。
無言で帰り始める選手達の中、かつての三冠王杉浦は独りベンチで泣いていた。
ヴィッパーズで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト……。
それを今のファルコンズで得ることは殆ど不可能と言ってよかった。


（　　ω　）「どうすりゃいいんだ……」


杉浦は悔し涙を流し続けた。

175 名前： ◆fTC5cA5YBU 投稿日：2012/08/18(土) 10:56:10 ID:jxGtLHAo0

（　-ωФ）「……？」


どれくらい経ったろうか、杉浦ははっと目覚めた。
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した。


（　ФωФ）「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」


杉浦は苦笑しながら呟いた。
立ち上がって伸びをした時、杉浦はふと気付いた。


（；ФωФ）「あれ……？お客さんがいる……？」

176 名前： ◆fTC5cA5YBU 投稿日：2012/08/18(土) 10:57:28 ID:jxGtLHAo0

ベンチから飛び出した杉浦が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった。
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにヴィッパーズの応援歌が響いていた。


（；ФωФ）「……」


どういうことか分からずに呆然とする杉浦の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「杉浦さん、守備練習です、早く行きましょう」


声の方に振り返った杉浦は目を疑った。

177 名前： ◆fTC5cA5YBU 投稿日：2012/08/18(土) 10:58:35 ID:jxGtLHAo0

从 ﾟ∀从


（；ФωФ）「た……高岡？」


　彡⌒ミ
（　´_ゝ`）「なんだ杉浦、居眠りでもしてたのか？」


（；ФωФ）「さ……流石監督？」


(-＿-)「どうしたんですか杉浦さん、かってに流石さんを引退させちゃって」

178 名前： ◆fTC5cA5YBU 投稿日：2012/08/18(土) 10:59:18 ID:jxGtLHAo0

（；ФωФ）「陽木……」 　


杉浦は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた。
１番：高岡　２番：田中　３番：流石　４番：杉浦　５番：フォックス　６番：根野　７番：祐太郎　８番：稚内　９番：陽木
暫時、唖然としていた杉浦だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった。


（　ФωФ）「勝てる……勝てるんだ！」


ビコーズからグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走する杉浦、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった……。

翌日、ベンチで冷たくなっている杉浦が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った。


（　ФωФ）優勝請負人のようです　【完】

---

戻る