川 ゚ -゚) 少女は戦争犬と駆け抜けるようです

4 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:09:27.39 ID:J3vtaODM0

彼が背負う物は罪。

彼が望む物は少女の平穏。

彼が進むは戦場。

戦いの中でしか生きられぬ者達は彼を英雄と呼ぶ。
その背中に各々の望みを重ねて、彼らは戦争犬の背を守る。

戦争犬共の集まり、ウォードッグ隊。

彼らは終わることの無い戦いへと漕ぎだして行く。

その先頭を進む者は隻眼の戦争犬、高岡ドクオだ。


だが、勝利も敗北も、彼ら戦争犬達には許されることは無い。

5 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:12:00.86 ID:J3vtaODM0



       川 ゚ -゚) 少女は戦争犬と駆け抜けるようです



           第五話 続・続・戦争犬の戦い

7 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:16:00.91 ID:J3vtaODM0

******

5月30日 1044

俺達は車に乗って走っていた。

ウプスレッドから遠く離れたチューボーに入り、
その街並みの中を進み続ける。

シラネーヨ元司令の自宅は街から外れたところにある。

('A●) 「エクスト、バックに武器が入っている。確認しておけ」

<_プー゚)フ「了解」

エクストは助手席から身を乗り出してて、バックの荷台に載せた背嚢を探った。

<;プー゚)フ「おい、よくこんなに集めたなあんた……」

('A●) 「基地からパクってきたわけじゃないぞ? 金ならある」

<;プー゚)フ「軍で制式採用されているM16A4に、AK47。
        狙撃銃モシンナガンに……RPG−7が二門か。
        短機関銃のスコーピオンと、おまけに手榴弾と弾薬も腐るほどある……」

<;プー゚)フ「お前、戦争でもしに行くつもりか?」

('A●) 「違うのか?」

9 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:20:25.68 ID:J3vtaODM0

<;プー゚)フ「聞きにいくだけだろ!?」

('A●) 「エクスト、俺は冗談を言ってるわけじゃない。
     もし敵の部隊が待ち構えていたらどうする?
     武器を用意しておいて損は無い。むしろ、心許ないくらいだ」

<_プー゚)フ「かもしれねーが、ちっと司令に会いに行くには物騒すぎねーか?」

('A●) 「……エクスト、司令は敵だ。そう思っておけ」

<_プー゚)フ「わかってるさ……」

('A●) 「ボディーアーマーも用意してある。準備は万端だ。見ておくんだな」

<_プー゚)フ「はいはい」

('A●) 「"はい"は一回で良い」

<_プー゚)フ「はい!」

('A●) 「よろしい!!」

<_プー゚)フ「ヒィィヤッハー!! お褒め頂き光栄でありまする〜!!」

('A●) 「うるせー馬鹿」

11 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:22:29.53 ID:J3vtaODM0

<_プー゚)フ「馬鹿って言った方が馬鹿なんです〜」

エクストはもう一つの背嚢を探った。

装備を確認したのか、それから助手席に身を戻すと窓を開けてタバコを咥える。
片手でZIPPOを取り出して俺は火をつけてやった。

<_プー゚)y━~~「お、サンキュー」

('A●)━~~ 「俺も吸いたかっただけだ」

窓を開けて、取り出したタバコにそのまま火をつけて煙を吐き出した。

<_プー゚)y━~~「……」

('A●)━~~ 「……」

<_プー゚)y━~~「……なぁ、ドクオ」

('A●)━~~ 「ん?」

<_プー゚)y━~~「司令は敵だ」

('A●)━~~ 「あぁ……そう思え」

<_プー゚)y━~~「だとしたら、何故俺達を野放しにしている?」

('A●)━~~ 「……まだ、気付いていないんじゃないか?」

14 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:26:43.95 ID:J3vtaODM0

<_プー゚)y━~~「だとしても、アンタの正体には薄々気付いていても可笑しくは無いんじゃないか?
            当時カラマロスDNから脱出してきた少年兵なんて、そう何人もいるわけがない。
            ましてや、ニューソクで少年兵の存在は認められていない」

('A●)━~~ 「ましてや、俺は少女を連れていた。当時の、クーを」

<_プー゚)y━~~「よく覚えてはいないんだが、アンタと一緒にいた娘だな?」

('A●)━~~ 「あぁ、難民キャンプにつれていこうと思ったんだが、
        案内所の干渉を警戒してチューボー基地に送った。
        ハインに俺はチューボーへ向かうよう言われていたからな」

('A●)━~~ 「あそこには、GJの分隊が控えていた」

<_プー゚)フ「その一員が、フサギコと荒巻爺さんか」      

('A●)━~~ 「そういうわけだ」

('A●)━~~「今クーはダーウィン社に務めている。
       あの素直クールだ。あいつは、チャネラーだった」

<_プー゚)y━~~「あの女がお前が助けた少女ってわけかい。
           立派に成長しちゃってまぁ。
            特に胸とか尻とか……」

<_プー゚)y━~~「だが、チャネラーであるが故にちっとばかし目立ちすぎだな。
            お前も分かってると思うが、軍も彼女には一目置いている。
            あれじゃ、また襲われても可笑しくは無い」

16 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:29:49.39 ID:J3vtaODM0

('A●)━~~ 「その点は心配ない。フサに警護を依頼した」

<_プー゚)y━~~「あの人が? そいつは心強いな」

<_プー゚)y━~~「まぁ、トソンにもちゃんとお前と素直の関係を説明しておけよ。
           たしかに俺達は同じ基地にいたが、あの娘は親戚に引き取られていったんだからな。
            覚えていないのも無理は無い」

<_プー゚)y━~~「俺も忘れてたしな」

('A●)━~~ 「了解だ」

<_プー゚)y━~~「ん?」

('A●)━~~ 「なんだ?」

<_プー゚)y━~~「じゃあ何か? あれは感動の再会だったわけかい?
           危機に現れたのはかつて自分を救ってくれた少年兵!
           なかなか夢のある話だな」

('A●)━~~ 「そんな綺麗なモンじゃないさ。もっと、血生臭い話だ」

<_プー゚)y━~~「なに、表現の問題だ。だがよぉ、
           それだけ特定できる材料があるのに、何故まだバレない?」

('A●)━~~ 「……バレていないのか。あるいは泳がされている、か」

19 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:32:15.96 ID:J3vtaODM0

<_プー゚)y━~~「そこまで、推測しなかったわけじゃないな?」

('A●)━~~ 「だからこそこの武装だ」

<_プー゚)y━~~「こんだけ武装するくらい警戒してるっつーのに、
            一人で行こうとしていたわけかい?」

('A●)━~~ 「あぁ」

<_プー゚)y━~~「呆れたぜ、この馬鹿め」

('A●)━~~ 「否定はしねぇ」

<_プー゚)y━~~「馬鹿な少佐を、きちんと部下がエスコートさせてもらいますよ」

('A●)━~~ 「……頼むぞ」

<_プ∀゚)フ「あいよ」

エクストはニヤリと笑みを浮かべ、タバコを窓から放り捨ててそう応えた。

22 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:36:47.46 ID:J3vtaODM0

******

閑静な住宅街、と言えば聞こえがいいが、はっきりと言えばここは過疎地だ。
シャッターを降ろした店も数多く覗け、空き地もよく目に付いた。

その街の外れにある場所に、シラネーヨ=シラン元少将の自宅はあった。

工業地帯であり、ここまでくれば家屋は少ない。

ただっ広い敷地を持つ、生垣に囲われた家だ。

家を真ん中に置き、U字型に開けられたスペースの左は庭となっており、
左には車が駐車されており、駐車場代わりであることがわかった。

もう一台停められそうだったので、俺はそこに車を停車させる。

エンジンを切り、武器装備は置いてエクストと共に車を出た。

('A●) 「行くぞ」

<_プー゚)フ「あぁ」

家のドアの前に立ち、インターホンを押した。

すると、監視カメラが取り付けられているのに気付いた。

小型のカメラが見難いように数カ所に渡って設置されており、
向こうに自分達が視られているのを感じた。

24 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:40:41.93 ID:J3vtaODM0

すると、

「タケシにエクストか。待ってろ、今開ける」

インターホンに備えられたスピーカーから、懐かしい声が聞こえ、
一分も経たないうちにドアは開いた。

( ´ー`)「よく来たなエクスト、タケシ」

皺の刻み込まれた頬に、短く刈られた白髪。
目に付いたのはそれだった。

しばらく見ないうちに老け込んでしまったな……。

('A●) 「お久しぶりです、少将」

<_プー゚)フ「司令久しぶり!」

( ´ー`)「あぁ、久しぶりだな。もう3年ぶりか。タケシ、退役の時のお祝いをありがとう」

('A●) 「いえ、お世話になりましたから。それに、あれはトソンが選んでくれた物です」

( ´ー`)「はは、そうかそうか……お前にあんなセンスは無いよなぁ……。
      まぁいい、ボサっとしてないで上がりなさい」

('A●) 「えぇ、失礼します」

俺とエクストは司令に招かれ玄関に上がると、そのまま居間へと招かれていった。
居間の真ん中には机が一つ置かれ椅子が二つにソファが置かれていた。

25 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:44:53.07 ID:J3vtaODM0

西側には庭の見える窓があり、北にはテレビとその傍に机があり、
ノートパソコンが置かれている。そして南側は台所になっていた。

司令は料理をするのだろうか……。

( ´ー`)「まぁ掛けろ二人とも。コーヒーで良いか?」

('A●) 「いえ、お構いなく」

<_プー゚)フ「貰えるのならなんでも」

( ´ー`)「エクスト、お前は正直でいいなぁ。タケシ、お前は遠慮するな。
      俺にコーヒーを淹れさせてくれ。退役祝いに貰ったミルを使いたいんだ」

( ´ー`)「トソンが選んでくれた、な」

台所にいった司令は食器棚からカップを三つとドリッパーを取り出す。
そこで、木製の台と黒色をした陶器の部分を持つミルが目に入った。
木目の模様が美しく、渋い茶と黒の色がよく栄えて、そのミルはとても格式高く見えた。

台所に置かれたそれはカップやドリッパーと豆と並べられ、
豆がミルに入れられると挽かれていった。

挽かれた豆はドリッパーに入れられていき、カップに乗せられお湯が注がれていく。

粉末が泡立っていくと香ばしい香りが居間にまで漂い、
特にコーヒーが好きなわけでもないというのに、
俺は思わずその香りに浸ってしまった。

26 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:47:55.51 ID:J3vtaODM0

('A●) 「良い香りだな」

( ´ー`)「だろう? トソンにありがとうと言っておいてくれ。
      お前も、トソンに後で礼を言っておけよ?」

('A●) 「了解。ですが、なんで俺まで」

( ´ー`)「副官なんだろう? 日頃の感謝の気持ちもついでに伝えてやりなさい。
      そうだな、デートにでも誘え。お前の顔じゃイマイチだろうが、
      金はあるんだろう鬱田タケシ少佐?」

('A●) 「よしてください。確かに給料はチューボーにいた頃より貰ってますが……」

( ´ー`)「これは冗談で言ってるんじゃない。あの子の傷はそう癒える物でもないだろう。
      だからあの時救いだしたお前達に、特にお前には並々ならぬ信頼を寄せている」

( ´ー`)「力になってやれ。普段は、お前が支えられているのだろう?」

(;'A●) 「いや、わかってっけどさぁ……」

ガキの頃の記憶が蘇ったのか、俺は思わず敬語を忘れてしまっていた。

( ´ー`)「そして、お前自身の傷はどうだタケシ? 足は大丈夫か?」

('A●) 「問題ないさ」

( ´ー`)「その眼と同じく大きなハンデだ。身体には気をつけろよ」

('A●) 「分かっている」

29 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:51:13.85 ID:J3vtaODM0
( ´ー`)「強がってまぁ……だからこそ少佐にまで、
      こんな短期間の内に昇りつめることが出来たのかも知れんが……関心はせんぞ?」

(;'A●) 「はいはい……」

( ´ー`)「お前が少佐で、トソンが少尉。いやぁ、めでたいめでたい。二人とも出世してまぁ」

( ´ー`)「エクスト」

<_プー゚)フ「うん?」

( ´ー`)「お前も曹長になったそうじゃないか。曹長と言えば下士官をまとめる立場だ。
      タケシやトソンのように、一隊を率いることもある。
      お前は裏で面倒見のいい子だったしな。ピッタリだよ」

<_プー゚)フ「司令それ褒めてんの?」

( ´ー`)「あぁ、勿論だ。お前はそっちのほうが向いてるよ。現場で少人数を動かすほうがな。
      もっとも、タケシも本来そっちのタイプで、
      トソンは作戦を提案し全体を指揮するほうが向いているな。俺が見た所の話だが」

<_プー゚)フ「へー、そうかい。たしかに、大人数を動かす自信はあまりねーわ」

('A●) 「最前線で部隊を指揮する者が、必ずしも指揮官に向いてるというわけではない。
     逆もまた然りだ。俺の考えだけどな」

( ´ー`)「俺もそれに同意だよ」

話している内にコーヒーを淹れ終えたのか、
シラネーヨ司令は机に三人分のコーヒーを置いてソファーに座った。

33 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:55:19.32 ID:J3vtaODM0

<_プー゚)フ「司令は戦場に立ったらまあすごかったよな。
         冷静だし、機転も効いた。指示も的確だったし」

( ´ー`)「退役した老人にそんなことを言っても何も出ないぞ」

<_プー゚)フ「いやそんなんじゃねーさ。退役しちまうのは勿体ない。
         再入隊とかは考えなかったのか? 荒巻じーちゃんみたいにさ」

( ´ー`)「ははは、俺は荒巻さんみたいな元気は無いよ。
      それにな、俺には妻も子もいない。
      養子でもとって、ゆっくりと余生を過ごすつもりだよ」

('A●) 「家庭が欲しいのですか?」

( ´ー`)「あぁ、欲しいね。お前はいらないのか?」

('A●) 「……わかりません」

( ´ー`)「いずれ、お前にも分かる」

( ´ー`)「国を護る為に戦い続けて、敵を倒し続けて生き延びてもう30年が経ったんだ。
      俺の過去を振り返り、回りを見渡してみると何もない」

( ´ー`)「あるのは屍だけだ。俺の殺してきた敵の屍。死んでしまった仲間の屍。
      俺達兵士は、生き続ける限り多くの死を背負うことになる。何も作り出せやしない」

<_プー゚)フ「だけど、それで守れた物もあったんじゃないのかな?」

36 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 21:59:10.83 ID:J3vtaODM0

( ´ー`)「あぁ、たしかにそうだ。だが、俺達は確実に失い続けていくことになる。
      俺達の戦いが続く限りな」

('A●) 「戦いは終わることが無い。敵を倒せばまた新しい敵が出てくるだけで、
     昨日まで味方だった仲間も、時が移れば敵になる」

( ´ー`)「その通りだ、タケシ。俺達に絶対的な敵なんてどこにもいやしないんだ。
      政治が、時代が変わればそんなものひっくり返ってしまう。
      際限なく繰り返されるこの闘争に、俺達は生き続ける限り巻き込まれることになるんだ」

( ´ー`)「だから俺は銃を捨てたんだよ。
      それに、カラマロスDNのような地獄はもう見たくはない」

('A●) 「……」

ハインと似たようなことを言っている。

そして、俺と同じことを思っている。
司令はそんな気がした。まるで、自分の未来を見ているかのようだ。

妻も無く、子も無く、家族と呼べるものがいない孤独な生。

……俺も銃を捨てる時を見誤れば、こうなるのだろうか。

( ´ー`)「辛気臭い顔をしているぞタケシ。俺に同情でもしたか?」

('A●) 「いえ……ただ、考えていただけです」

39 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:02:12.29 ID:J3vtaODM0

( ´ー`)「ならタケシ。これ以上、失う前に何かをすることだ。行動を起こせ。
      失ってからでは取り戻せない物もあるんだ。たとえば命とかな」

('A●) 「わかりました……」

( ´ー`)「エクスト、お前にも言っているんだぞ?」

<_プー゚)フ「うぃー」

カップを手に取り、一口コーヒーをすすった。

芳醇な香りが鼻腔を満たす。
缶コーヒーなどでは絶対に味わえない香りだ。
酸味を含んだ苦みが熱と共に口の中に広がっていく。

美味い。

('A●) 「少将、今日はお伺いしたいことがあってお邪魔させていただきました」

( ´ー`)「せっかちな奴だなぁ。もうちょっとゆっくりしていけばいいものを」

('A●) 「自分達には時間がありません。少将」

( ´ー`)「それは存じているつもりだよ、少佐」

警戒する。

司令の身体の動きに注意を向け、不審な動きをしてもすぐに対応できるよう身構えた。
エクストにもすぐに対応できるようアイコンタクトを送る。

41 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:06:36.75 ID:J3vtaODM0

<_プー゚)フ

頷くのを視界の端で確認した俺は、言葉を継いでいく。

('A●) 「自分は10年前カラマロスDNを脱出する際、素直クールという少女と一緒にいました」

( ´ー`)「あのお前と一緒にいることが多かった娘か?」

('A●) 「えぇ、そうです。その少女と共にチューボー基地へ向かう途中、自分はある部隊と遭遇しました」

('A●) 「その部隊はこちらに接触してきて、自分達は国家総合案内所の部隊だと名乗りました。
     シラネーヨ少将。貴方は、この国家総合案内所について、何か知っていることはありませんか?」

( ´ー`)「……やはり、それが目的か」

('A●) 「えぇ、調査の結果貴方に辿りついたというわけです」

( ´ー`)「エクスト、パソコンを立ちあげなさい」

<_プー゚)フ「少佐?」

('A●) 「エクスト、パソコンを立ちあげろ。トラップがあるかも知れん、気をつけろ」

<_プー゚)フ「了解」

( ´ー`)「パスワードはさえじまだ」

腰に差したコルトパイソンをすぐに抜けるようにしながら、俺はエクストを見守る。
そして、シラネーヨ少将はこちらを見据えてきた。

44 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:10:54.90 ID:J3vtaODM0
( ´ー`)「さて、タケシ。俺はお前達を実の子のように思って育ててきた。
      そして見送った。俺がウォードッグ隊を結成し、お前を部隊長に任じたあの日に」

( ´ー`)「トソン、エクスト、ビロード、ワカッテマス、チンポッポ、兄者、弟者……。
      お前も含めて、皆俺の大事な子供だ。だが俺は、戦争で寄る辺を失くしたお前達を、
      戦争の犬に仕立てあげてしまった。それだけが悔やまれる」

('A●) 「俺達は孤児院に行くことも出来た。それでも、
     チューボーに残ったのは俺達の意思だ。少将のせいじゃありません」

( ´ー`)「もっと別の道があることを教えてやれなかった、俺の責任だよ。
      もっともタケシ、お前だけは違うようだ」

エクストがパソコンを立ち上げた。

そこで、少将はあいつのほうを振り向かずにこう伝える。

( ´ー`)「ドキュメントフォルダを開け。その中のファイルにお前達の知りたいことが載っている」

エクストはフォルダを調べだす。
少将はそのまま続けていく。

( ´ー`)「まさか、ここに来るとは思っていなかったよ。お前については、怪しいと思っていたが。
     素直クールがお前と親しかったのも、これで頷ける。
     ダーウィン社との実験で、社員以外の者が全員殺されたこともな」

(#'A●) 「国家総合案内所に、鮫島について何を知っている!?」

俺はじれったくなってコルトパイソンを少将に突きつけた。
銃口は少将の額を捉えており、撃鉄は既に起こされているのですぐにでも眉間に弾丸を撃ちこむことが出来る。

46 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:16:04.37 ID:J3vtaODM0

<_プー゚)フ「少佐! 案内所の文書らしい物があったぞ!!」

(#'A●) 「黒か! データを移せ!! 周囲を警戒しろ!!」

エクストはポケットからUSBメモリーを取り出すと、パソコンに接続しデータのコピーを開始した。
窓という窓のカーテンを締め、そこから外の様子を警戒する。

( ´ー`)「タケシ、いや高岡ドクオ。安心しろ、俺は話せる限りを話すつもりだ」

(#'A●) 「何故です!?」

( ´ー`)「息子を奴らに売り渡すわけにはいかなかった。俺は、お前達を応援したくなったのさ。
      お前と俺は敵だ。情報が回ってきた時、お前の正体に俺はすぐに気が付いた。
      だが、GJという家族を失い片目を失ってまで少女を護り抜いたお前を、裏切ることは出来なかった!」

( ´ー`)「だから口を閉ざし続けた! 俺が、この情報を墓まで持っていく!! そのつもりだった!!」

( ´ー`)「それでも、お前はここへ辿りついた! だったら……俺は全てを語ることにするよ」

('A●) 「……案内所の主要な構成員は?」

( ´ー`)「鮫島だ」

('A●) 「やはりそうなるか……」

( ´ー`)「私にも多くは知らされていない。そして、知っている者の名を口にしようとしてもこのザマだ。
      気をつけろ、タケシ。そいつはお前のすぐそばにいるよ」

('A●) 「了解……」

51 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:21:53.96 ID:J3vtaODM0

( ´ー`)「ただ一つ言えることは、鮫島はもはや単なる一組織などではない。
      奴らの構成員はニーソクにもパーソクにもオオカミにも浸透し、
      その首脳たちにまでも……」

<;プー゚)フ「少佐! 敵だ!! 隠れていてよく見えないが、
        奴ら確実にこっちに近づいてきてやがる。武器が見えた!」

('A●) 「ちっ、バレていたのか」

( ;´ー`)「たけし。お前達がここに来たのは失敗だったのかもしれん。
       俺達は言論統制を行われ、行われる全ての会話はコンピューターによってモニターされている。
       最新のナノテクノロジーによって作られた……ナノマシンによってな!」

( ;´ー`)「お前達の正体はバレてしまった。口封じの為、鮫島は俺を殺すだろう……エクスト!」

<;プー゚)フ「はい!?」

( ;´ー`)「二階に武器が用意してある。クローゼットの中に隠されているから探して来い!!」

(#'A●) 「急げエクスト!!」

<_プー゚)フ「了解!」

エクストは走り抜けていき、二階へと向かっていく。
姿勢を低くし、少将は窓から離れていった。

54 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:24:12.94 ID:J3vtaODM0

だが、

( ;゚ー゚)「ぐっ!!」

少将は突如として身を硬直させ、呻きを上げた。
身体が小刻みに震えだし、額からは汗が滴り始める。

('A●;) 「少将……?」

( ;´ー`)「もう、長くは……もたないだろう。奴らは体内のナノマシンを使って俺を殺す」

('A●) 「そんな……」

( ;´ー`)「ふん、知っていたくせに。ウプスレッドで暴れたのもお前だな?」

('A●) 「えぇ……」

( ;´ー`)「だが、安心しろ。お前達にはまだ利用価値がある。まだ殺されやしない。
      もっとも……この場を生きて抜け出す事が出来ればだがな……タケシ」

('A●) 「何でしょうか」

( ;´ー`)「ジョン……ドゥを、探すんだ。手掛かりは……データの中にある」

('A●) 「ありがとうございます」

( ;゚ー゚)「ぐっ! ドク、オ……もう一つ、伝えなければならないことがある……」

('A●) 「……」

55 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:26:21.66 ID:J3vtaODM0

( ;゚ー゚)「お前の、母は……"戦士"は―――――鮫島の一員だ!!」

(;゚A●) 「なっ、そんな、馬鹿な」

( ;゚ー゚)「ジョン……と会えば、全てがわかる。高岡ドクオ! 
      私は戦場でもがき! 苦しむことしか出来なかった! だが、お前は―――」

( ;゚ー゚)「 こ の 戦 場 を 駆 け 抜 け て い け !!」

そう言い切った少将は左胸を押さえると、泡を吹きだして倒れていった。
首に手を当て、脈を測ってみるがやはり止まってしまっていた。

(;'A●) 「馬鹿な……そんな、そんな馬鹿な……」

俺は動揺しきっていた。

次々に明かされる謎に、生まれていく謎に頭がパンクしてしまいそうだ。

だって、ハインが……案内所の一員だって?

嘘だ、嘘だ……。
そんなことがあるはずがない。

<_プー゚)フ「少佐! 武器を持ってきたぜ!!」

エクストがM16を片手に一丁ずつ持ってきたのが目に入った。
そして奴は、少将の死体を見るとその眼を見開かせた。

59 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:30:19.97 ID:J3vtaODM0


<;プー゚)フ「司令……」

('A●) 「……エクスト、脱出するぞ。敵中を突破する」

冷静な声を出すように務めた。

恩人の死、ハインの謎、
たった短い間に二つの大きなショックを受けたが、
動揺している場合など俺達には無い。

<_プー゚)フ「……了解」

エクストは応え、M16を一丁投げてよこした。

宙に放られたそれを、右手で掴み取る。

見てみると、アンダーバレルグレネードランチャーにレティクルを備えた物だった。
シラネーヨ少将の形見となってしまった銃だ。

こいつを使って、俺達はこの場を切り抜けなくてはいけない。


('A●) 「行くぞ――――!!」


俺は、この戦場を駆け抜けていく。

61 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:33:05.57 ID:J3vtaODM0

******

5月30日 1240――――シラネーヨ=シラン宅。


敵の数は少なくとも10人。

案内所の連中は少将の下との会話を聞いて、
慌てて部隊を送り込んできたのだろう。

それほど大した人数では無い。

むしろ恐れるべきは、ここで足止めされることによって増援がやってくることだ。
速やかに敵を排除しこの場を切り抜けなければならない。

だが、二人だけでは戦力的に圧倒的に不利である。
そこは、腕前と機転でカバーしなければならなかった。

だから俺はガスの元栓を開き、チューブを引き裂いてガスを居間に充満させた。
その間にエクストと共に二階へあがり、屋根に昇っていく。

すると、ガラスの割れる甲高い音が響いて、
居間へと突入していく兵士達が見えた。

装備は都市迷彩の施された野戦服にボディーアーマーにヘルメット。
短機関銃UZIに……ここからじゃ見えんが恐らくはコルトガバメント。
そこで俺はタバコを咥え、ライターを取り出して火をつけた。

65 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:35:17.83 ID:J3vtaODM0

('A●)y━~~ ふぅー

煙を吐き出し、エクストに伝える。

    「何だ、この臭いは……」

('A●) 「対ショック、爆破後に降下して車へ迎え。援護する」

<_プー゚)フ「了解」

    「ガスだ!! 退避し―――」

タバコを庭へと放り捨てると、漏れ出たガスに引火して轟音が響いた。
火球が居間から生まれ、暴力的なエネルギーを持って発生した爆風が敵兵を弾き飛ばし、
衝撃に屋根が揺れて足元がぐらついた。

('A●) 「行け、エクスト!!」

手榴弾を門の方へ放り投げると、入口を固めていた兵士達が逃げようとし、遅れて爆薬が炸裂した。
破片が兵士の身体を引き裂き、爆発が敵を吹きとばしていく。

生垣の外に控えていた装甲車から敵が降りていき、俺はそこに威嚇射撃を行う。

姿勢を低くして縁に寄るが、長くは保たない。
足元が爆ぜ、目の前の縁に火花が散った。

68 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:38:05.93 ID:J3vtaODM0

破片が俺の頬を掠め、血が滴っていく。

ちらりとエクストを見てみれば、奴は既に屋根から降りていた。

……良い手際だ。

('A●) 「GOGOGO!!」

敵が怯んだ隙に、白煙手榴弾を放り投げて煙幕を張る。
そして俺はM16のマガジンを交換しながら屋根から飛び降りた。

エクストは既に駆けだしている。

壁の端に隠れ、俺は門へと向けて銃弾を送った。
銃声が響く。マズルファイアが銃口から吹きだし、薬莢が吐き出されていく。
そこで気配を感じ、背後へと振り返ると同時に引き金を引いた。

そこには辛うじて生き延びた兵士が俺にガバメントを向けており、
引き金が引かれようとしている。だが、ヘルメットを貫通した銃弾を受けた兵士は倒れてしまう。

引き金が引かれることは、なかった。

(;゚A●) 「くっ!」

だが、俺の左腕に銃弾が突き刺さった。

弾道を即座に割り出して、俺はまだ燃え盛る今の中へと退避する。

71 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:39:41.83 ID:J3vtaODM0

(;'A●) 「奴ら生垣から……くそっ!」

生垣のほうへと回りこみ、当てずっぽうに撃ってきたようであった。
鋭い痛みが腕にはあり、熱がそこに滞留していた。

……熱い。

(#'A●) 「クソッタレ!」

手榴弾は尽きた。同じく当てずっぽうに撃ちまくるつもりもない。
弾の無駄だ。だが放っておけば踏み込まれてしまう。
だから俺はそばにあった兵士達の亡骸から手榴弾を奪い取り、ピンを抜いて放り捨てた。

一拍の間を置いて、爆発。

生垣は爆炎に呑まれていき、爆風で葉が待っていき燃えていく。
数人が吹き飛び、腕や足がバラバラになっていくのが見えた。
煙がたち、亡骸からUZIを奪って俺も車へと向かう。

左手に構えたUZIを撃ちながら反対方向へと走り抜けていく。
銃声が響き、門から撃たれているのが分かった。
既に煙幕は薄れてしまい、敵の姿がはっきりとこの目に映った。

牽制の射撃を送るが、それでも敵が続々と現れ、生垣からも敵が現れていく。

UZIの弾が切れた。投げ捨てる。

74 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:43:27.64 ID:J3vtaODM0

('A●) 「ッ!」

門では敵が体勢を整え、こちらへ向けて銃を撃とうとしていた。

が、ライトバンが俺の前に滑り込み、全ての弾丸を盾となって受けた。
運転席には座ってRPGを構えるエクストがおり、

<_プー゚)フ「乗れ!!」

引き金を引いた。

白煙の尾を引いて進むロケット弾が門に激突し、生垣ごと焼き払って敵を吹き飛ばす。
血が跳ね散っていき、肉片が転がっていく。

その光景を視界の端に送りながら、俺は車に乗り込んで行き、
庭の方を見ると敵が飛びだそうとしてきていた。

M16を構え、引き金を引く。

飛びだした兵士は胸に弾丸を受けて転がっていき、
扉を閉めるとともにエクストが車を発車させる。
エンジンが唸りを上げ、ハンドルを慌ただしくさばくと急カーブを描いて門へと突進。

兵士を一人跳ね飛ばしながら、車道へとおどりだす。

車内は激しく揺られ、振りまわされそうになるが、
俺は思い切って後部座席へと身を乗り出し、背嚢からもう一門のRPGを取り出す。

そして窓から身を乗り出し、敵の装甲車へと照準を定めた。

75 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:46:10.59 ID:J3vtaODM0

(#'A●) 「くたばれ!!」

発射された弾頭が燃料タンクに激突し、
燃料に爆炎が引火して更なる爆炎を生んだ。

鉄片をばら撒き、身を拉げさせた車体は黒煙を吐き出し、
内部の部品が連鎖的に爆発を起こして破片が飛び散っていく。

装甲車を失った兵士達はその場に留まってこちらに銃撃を加えるが、
既に距離は100m近く開いており、当たることは無かった。

<_プー゚)フ「上手く逃げられたな」

('A●) 「あぁ、なんとか、な!」

Tシャツの袖を引きちぎり、俺は左腕を止血する。
弾は抜けていた。摘出する手間が省ける。

<_プー゚)フ「撃たれたのか?」

('A●) 「なに、かすり傷だ。お前こそ負傷してないか?」

<_プー゚)フ「お陰さまでノーダメージだ」

('A●) 「運のいい奴め」

そう言いながら背嚢を取り出し、ボディーアーマーを装着する。
更にリロードを行い、グレネードを補充し、狙撃銃も取り出す。

80 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:51:00.41 ID:J3vtaODM0

<_プー゚)フ「追手が来ると思うか?」

('A●) 「あの程度では終わるまい」

<_プー゚)フ「だが、もうそろそろ市街地に入る。
         奴らも街中でドンパチ起こして目立ちたくはないだろう」

('A●) 「だといいんだが……」

正直、案内所の部隊にしては手応えが無さ過ぎた。

確かに前もって用意された部隊ではなかったのだろうが、
これでは拍子抜けもいいとこだ。

油断はならない。

<_プー゚)フ「おいおい、そう言っている内になんか来たぜ!!」

('A●) 「!?」

バックミラーを覗くと、装甲服に身を包んだ兵士がバイクに乗っているのが見えた。

( ФωФ)

ヘルメットから覗く素顔には傷が多く刻まれており、
両目にまで深々と傷跡が残されている。
兵士の背中には身の丈を超える程の巨大な銃―――いや、砲が担がれていた。

81 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:53:02.89 ID:J3vtaODM0

見た事の無いものだが、嫌な予感がすることだけは確かだ。

距離は400m程と言ったところか。

('A●) 「エクスト、真っ直ぐ走り続けろ。揺らすなよ?」

<_プー゚)フ「やる気か? 頼んだぞ!!」

窓から身を乗り出し、モシンナガンを構える。
ボルトアクション式の狙撃銃だ。連射は効かない。一発で仕留める必要がある。

スコープを覗き、十字線にバイクを捉える。

装甲服に防がれるよりは、タイヤを撃って足を潰した方が効果的だ。
タイヤに照準を定めた。風を読み、当たると確信できたところで――――。
そうしているうちに、兵士は背中の砲を構えだした。

折りたたまれたそれは展開されていき、更に砲身を伸ばしていく。
基部から延びるチューブによって電力が供給され、発射される仕組みのようだ。

85 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:55:49.52 ID:J3vtaODM0

俺は悪寒を感じた。

砲口が灼熱を帯び、陽炎を生みだしていく。
バチバチと爆ぜる稲妻が砲身を這い、砲口に集まっていき―――。

咄嗟に引き金を引いた。

だが、装甲服に当たり虚しく火花が弾けてしまう。

まずい!!

(#'A●) 「エクスト! 車を捨てて飛びおりろ!!」

<;プー゚)フ「え?」

(#'A●) 「早く!!」

エクストがドアを開いて飛びおりるのを確認し、俺も遅れて飛びおりた。
左肩を激しく車道にぶつけてしまい、鈍い痛みが襲いかかる。
傷口が更に開いてしまい形容しがたい痛みを覚えた。

その直後、爆発が起きた。

載せる者のいない車が閃光に貫かれて爆散したのだった。

車道に転がったエクストと俺は、バイクに跨った兵士を見る。

87 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:57:51.51 ID:J3vtaODM0

<;プー゚)フ「くそ! なんだありゃ!?」

('A●) 「聞いたことがある。電磁誘導を用いて弾体を加速させ、威力を増加させる装置だ。
     一部の戦艦などには実用化され、既に配備されていると聞いたが……」

<;プー゚)フ「知ってるよ! だがよ、あんなに小さくはないだろ!?」

('A●) 「個人が携帯出来るレベルにまで小型化に成功した話は、聞いたことが無い」

<;プー゚)フ「実物が目の前にありますが……」

('A●) 「だったら破壊するだけだ!!」

既に弾を込め終えたモシンナガンを構え、レールガンに向けて発射する。
距離は250m程までに迫っていた。

おまけにでかい的だ。外す事は無い。

取り回しの悪いそれを庇う事も出来ず、レールガンは弾け飛んでいく。
レールガンはもう一撃を放とうとしていたようで、宙に浮かんだそれは暴発して地面に強大なエネルギーを叩き込んだ。
コンクリートが爆ぜて破片を撒き散らし、辺り一面を焼きつくしていった。

もう一発を薬室に込め、兵士にぶち込んでやろうと思ったがその前にバイクが突っ込んできた。
慌てて避け、振り返ってガバメントを抜いたエクストと共に銃を突きつける。

すると、バイクに乗った兵士は降りてきて、腰に差していた刀を抜いた。

90 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 22:59:58.58 ID:J3vtaODM0
( ФωФ) 「そこの眼帯が高岡ドクオか」

兵士は刀の切っ先を俺に向けて尋ねた。

('A●) 「人違いです。全然違います」

<_プー゚)フ「ちなみに俺も高岡じゃないぜ」

( ФωФ) 「ほう、ではシラネーヨ元少将の家にいたのは誰なのだ?」

('A●) 「あぁ、そりゃ俺達だよ。久々に会って団らんしてたところを邪魔しやがって。
     殺されたいのかお前は」

( ФωФ) 「では貴様が高岡であるな。間違いはあるまい」

('A●) 「いいや違うね。そんな奴は、知らん」

( ФωФ) 「とぼけても無駄だ」

( ФωФ) 「鬱田タケシ。鮫島は貴様を危惧していた。そして不審に思っていた。
         その若さにしてパーソクとの戦で数々の武功を上げていく貴様を」

( ФωФ) 「だが、"戦士""最強の兵士"と呼ばれたハインリッヒの弟子ならば、それも可笑しくは無い……。
        やはり貴様が高岡ドクオなのだろう。戦争犬よ!」

('A●) 「人違いです。消えてください」

( ФωФ) 「くどいわ! 我輩は貴様を殺す為にアンチウォードッグとして作りあげられた!!
        我が名はロマネスク! 貴様を殺す為に技を磨き肉体を鍛え抜いてきた!!
        貴様が高岡であろうとなかろうと、我輩にとっては敵であることにかわりはない!!」

94 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 23:02:43.32 ID:J3vtaODM0

('A●) 「随分嫌われているようで……。案内所はどちらにせよ俺を消す気らしいな」

( ФωФ) 「いや……それを試させてもらう!」

ロマネスクは叫び、俺に切りかかってきた。

装甲服のパワーアシストを得た、素早い身のこなし。
だが、俺が引き金が引く方が早い。

しかし、弾丸は装甲に阻まれ弾けてしまう。

('A●) 「チッ!」

刃を避ける。

俺の目前で振り切られたそれは、熱気を帯びていた。

('A●) (ただの刀じゃないな)

モシンナガンのストックを振りあげ、ロマネスクの手首を打ちつける。
だが、ストックが捉えたのは手首ではなく、左手であった。

ロマネスクは空いた左手でストックを掴まえたのだ。

銃を掴んでいた手を離し、ステップを踏んでその場を離脱。

コルトパイソンを抜いて右手で構え、左手にナイフを構える。
その途端、奴は俺へと上段から振り降ろす刃を食らわせようとする。
ナイフの刃で刃先をずらし、そのまま手首を返して装甲と布の繋ぎ目を狙って切りつける。

96 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 23:05:56.90 ID:J3vtaODM0

刃の狙う先は右肩だ。それは食らいつき肉を裂くかと思われたが、空をかくに終わってしまう。

ロマネスクは身を逸らして避けてみせたのだ。

次いで右足が繰り出され、俺の鳩尾に炸裂した。

(;゚A●) 「ガハッ!」

唾液を吐きだし、衝撃に身を屈めてしまう。
だが続けて繰り出される斬撃を避ける為に、形振り構わず身を投げ出した。

尻餅を道路の真ん中で突いてしまい、ろくに狙いも定めずに銃を撃つ。

金属音が響く。

装甲服に弾が弾かれたのだろう。厄介だ。
涙の浮かぶ目でロマネスクの姿を確認すると、既に奴は俺の間合いへ踏みこんでいた。
刀を振られれば、一刀両断されてもおかしくない距離だ。

地面を蹴り、その動作と共に立ち上がってナイフを振るう。
ロマネスクはそれを刀で受けてみせた。
だがこれでは終わらない。

刃を返し、弾かれ、その衝撃を使い身を翻して蹴りを首に極める。
よろけたロマネスクへとさらに追撃しようとナイフを袈裟掛けに振るった。

確かに俺はロマネスクの首を切断した。

100 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 23:08:55.77 ID:J3vtaODM0
だが、その手応えがあまりにも無さ過ぎた。

(;'A●) 「なっ!?」

気付けば、ナイフのグリップから先が、刀身がなくなってしまっていた。

( −ω−) 「その身体でよくやった―――」

ロマネスクは冷たい笑みを向け、鋭い刃を俺に降りかかる。

その刹那、奴は吹っ飛んでいき、電柱にぶつかってその動きを停めた。
電柱はロマネスクを受け止めたその場所に蜘蛛の巣状のひび割れを作り、
衝撃に耐えきれずゆっくりとロマネスクへと向けて折れていった。

破片をその身に受けたロマネスクのヘルメットは割れ、
肉も割れて血を垂れ流していく。
ロマネスクが先程までいた場所を見てみると、バイクに跨ったエクストがそこにいた。

<_プー゚)フ「俺達はバディだろ、少佐?」

(;'A●) 「こそこそと……援護もせずにバイクパクってたのか」

<_プー゚)フ「あぁ、逃げるが勝ち、だからな」

('∀●) 「まぁ、その通りだな」

モシンナガンを拾って肩に掛けた俺は後ろに乗った。
エクストはエンジンを唸らせて発車させ、車道を走りぬけていく。

それ以上の追跡は無かったが、俺達は警戒しつつウプスレッドへと向かって走り続けた。

102 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 23:11:20.55 ID:J3vtaODM0

******

5月30日 1800――――自宅にて。

俺とエクストは自宅に戻ると、すぐにパソコンを開いてシラネーヨ少将の遺したデータを見た。

そこには数多くの文書ファイルがあり、先日行われたダーウィンとの実験の報告文書も載せられていた。
たしかにこれは案内所から送られてきたデータで、疑いようの無い物だった。

文書を次々に読み上げていくと、一際目を引くものがあった。

チャネラーのリストだ。

ファイルを開き、エクストと共に見ていく。

カラマロスDNで実験の対象となっていた者達のリストであり、
現地で救助した者、避難民となっていた者に○をつけているようだった。
その他の者は死亡か、または行方不明になっていることが説明されている。

名前と生年月日に顔写真が載せられており、生存している者を俺は見ていく。

ジィ=G=バレンタイン 1952年 1月8日  爪゚ー゚)

見た事の無い、ダークブラウンブロンドの美しい短髪の女だった。
切れあがった瞳がどこか挑戦的であるように思える。

106 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 23:14:25.23 ID:J3vtaODM0


<_プー゚)フ「正直、俺は興奮した」

('A●) 「あ?」

<_プー゚)フ「なんでもないです、はい」

次に目に映ったのは、クーだった。

素直クール 1951年 10月7日 川 ゚ -゚)

幼い頃と変わらない、いや、むしろ更に鋭くなった瞳。
どこか涼しげな印象を与えるそれは、黒い真珠のように美しかった。
そして長く、艶やかな黒髪がとても似合っていた。

('A●) 「正直、俺は興奮した」

<_プー゚)フ「あ?」

('A●) 「なんでもないです、はい」

だが、次に見た生存者は、俺達二人に更なる衝撃を与えた。

<;プー゚)フ「おい、これ……」

(;'A●) 「ッ!?」

110 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 23:21:02.40 ID:J3vtaODM0

モララー=オブライエン 1945年 4月10日 ( ・∀・)

(;'A●) 「大佐……」

<;プー゚)フ「なんだって大佐がここに」

(;'A●) 「簡単なことだろうが。大佐も、チャネラーだったんだよ」

もっとも、本人が自覚しているかどうかまではわからんが……。
ファイルを閉じ、次の文書を見る。

これが、最も重要になるファイルだと思う。

ファイル名は、JDだ。

シラネーヨ少将の言い残した「ジョン=ドゥ(John Doe)」の略称の可能性がある。
少将は言っていた。ジョン=ドゥと会えば全てがわかると。

だが、ジョン=ドゥとは身元不明の死体のことを指す言葉だ。
もしかしたら、これも何かの暗喩かもしれん。

ファイルを開いた。

すると、そこにあったのは先程と同じく生年月日と名前に顔写真だった。
その者達の顔と名前は、見覚えがあった。

見覚えがあり過ぎた。

114 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 23:25:39.45 ID:J3vtaODM0


伊藤ペニサス 1939年 1月10日 ('、`*川


ショボン=ショボクレ 1928年 9月20日 (´・ω・`)


内藤ホライゾン 1941年  8月16日 ( ^ω^)          

                         _
長岡ジョルジュ 1938年 8月5日  ( ゚∀゚)


茂名モナー 1927年 8月29日 ( ´∀`)  



そして、文書にはこう書かれていた。

反政府武装勢力ジョン=ドゥの構成員。
中には元特殊部隊に所属したことのある者もあり、非常に危険であると。

115 名前: ◆K8iifs2jk6 投稿日:2011/09/23(金) 23:27:41.04 ID:J3vtaODM0


(;'ー●) 「なるほど、タチの悪い冗談だ……」

<_プー゚)フ「冗談? どういうことだ?」

(;'ー●) 「ジョン=ドゥと掛けてやがったんだよ」

<_プー゚)フ「少佐アンタ、何を知ってるっていうんだ?」

(;'A●) 「……いいか? 良く聞けよ?」

<_プー゚)フ「あぁ」

(;'A●) 「こいつらは、このショボンって男以外はなぁ……」




(;'A●) 「全員、死んでいるはずなんだよ」


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