- 6 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:00:11.38 ID:wKsBREFtO
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0ふんじゃった: 絶対にイジメをなくしてやる!
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- 9 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:06:50.89 ID:wKsBREFtO
-
/ ,' 3「お、もうチャイム鳴ったか」
ハハ ロ -ロ)ハ「起立!着席!」
(*><)「お昼なんです!」
今日の陽気は心地よかった。
窓から射し込んでくる、暖かな日光を浴びているのに、生徒があまり寝ていなかったのは、 お昼前の四限目だったからだ。
長いようで、いざ受けてみると短い歴史の授業は、授業の半分くらいが、先生の祖父の話だった事には誰も触れず、
お昼にありつきたい一心で、皆がそれとなく話を聞き流し、結果、先生の独り舞台で、四限目の授業が終わった。
先生がのしのしと退室し、チャイムが鳴り終える前に、皆がそそくさと机を囲んでいった。
午後の体育を嘆く声が聞こえたり、今の歴史の授業で疲れたとぼやく声も聞こえていた。
俺は、今日も、焼きそばパンを買いたいがために、はやく教室を出て、猛ダッシュで購買部に向かった。
階段を下りる前、窓から運動場にたたずむ購買部の様子を見ると、早速十人は並んでいた。
これじゃあ、今日も焼きそばパンは無理そうだ。
だが、だからといって諦めてはだめなのだ。
混んでいるように見えて、実は焼きそばパンは余っている、ということがごくまれにある。
俺は、今日もその可能性に賭け、一目散に駆けた。
ああ、今日こそは、焼きそばパンが買えそうだ。
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- 10 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:09:08.12 ID:wKsBREFtO
-
( ><)「焼きそばパンください」
爪゚ー゚)「ちょうど今売り切れました」
おにぎりを二個買って、早足で教室に戻った。
中庭で食べてもいいのだけど、あそこは、カップルがいちゃいちゃして、ご飯を食べる場と決まっているので、居づらい。
それぞれに鮭と昆布の入ったおにぎりは、まだ温もりを宿している。
これが逃げないうちに、胃袋に納めたいものだ、と思った。
(*><)「はやく食べよっと」
つ▲と
教室の扉を開き、いざ食べるべく、自分の席に向かおうとした。
おなかも鳴り、すっかり、胃も米を受け付ける準備をしていた。
そんな空腹感が、一気にぶっ飛ぶ光景を目の当たりにした。
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- 13 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:15:07.29 ID:wKsBREFtO
-
ミ,,゚Д゚彡「な、いいから!」
(;-_-)「困るよ……」
ミ,,゚Д゚彡「俺の言うことが聞けねぇのか?」
(;-_-)「とは言ってもさぁ……」
( ><)「(あれは……小森くんと擬古くん)」
クラスの皆が談話、食事を楽しむなかで、そこだけは明らかに空気が違っていた。
お弁当が載せられた机を挟んで、座っている小森マサルと、擬古(ぎこ)フサルが対峙していた。
いや、対峙という表現ではない。
ライオンがうさぎを睨むのによく似た視線で、擬古が小森を見下している。
擬古はがたいがよく、この中学校には珍しい長髪の、有名なヤンキーだ。
いっぽう小森は、見たままだが、背が低く痩身で、静かな男である。
その小森が、威圧的に接している擬古に対し、ただただ萎縮していた。
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- 15 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:20:28.73 ID:wKsBREFtO
-
ミ,,゚Д゚彡「どーして嫌なんだ?」
(;-_-)「悪い事できないよ……そんな……」
ミ,,゚Д゚彡「だから俺がいいっつってんだよって」
(;><)「(あわわ……)」
誰も、異様な空気を漂わす二人に、声をかけようとしない。
否、声をかけるというより、小森を庇おうとしないのだ。
おそらく、自分がこれ≠フ標的になりたくないから、あえて見て見ぬ振りをしているのだろう。
イジメかぁ……。
( ><)「はむ……はむはむ……っ」
つ▲と
今日食べたおにぎりは、いつもよりも美味しさが半減していた。
なんかおにぎりになにも具が入ってなかったけど、とりあえず、味はいつもの半分くらいしか味わえなかった。
なにもかも、このイジメのせいだと、食事を採っている間、ずっと考えていた。
いっぽうで、俺の食事の良きムードを壊された、とも思っていたが、これは逆恨みだな。
でも、やっぱりイジメは認めたくなかった。
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- 17 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:25:17.23 ID:wKsBREFtO
-
◆
( <●><●>)「由々しき事態だ」
( ><)「兄貴、イジメってなんで起こるの?」
部活の間も、俺の脳内からもやもやが拭えなかった。
部活のサッカーで、グラウンドを走り回り、クタクタで帰宅後、食卓を兄貴と二人で囲んで夕食を採っていた。
それを少しずつ口にながら、俺は言った。
すると、兄貴はまったく笑いもせず、俺が話している間も始終真顔だった。
目を細め、兄貴は自分の手づくりの肉じゃがを食べている。
肉じゃがは旨いが、互いに顔はぜんぜん笑っていない。
というのも、俺が、昼の出来事を話したのだ。
.
- 19 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:27:57.07 ID:wKsBREFtO
-
( <●><●>)「誰かをいじめる事で、己の優位性を示し、自分がいじめられないようにしたいのだ」
( ><)「それはわかるけど……
中学に上下関係なんてどうでもいいんじゃ……」
( <●><●>)「それは違ふぇ!」
( <●><●>)
( ><)
(#<●><●>)「それは違うぞ、テルナンデス」
( ;><)「俺にあたるな!」
口にじゃがいもを運びつつ、いちいち長く話したものだから、兄貴は箸を噛んでしまったようで、痛そうにしている。
そして、急に大声を出されたので、思わず俺も大声を出してしまった。
.
- 20 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:30:30.27 ID:wKsBREFtO
-
( <●><●>)「イジメなどどうでもいいのだが、テルナンデスの食事を妨害するのはいけ好かん」
( ;><)「おい! 前半撤回しやがれ!」
( <●><●>)「安心しろテルナンデス、私がイジメをなくしてやる!」
( ;><)「動機が不純すぎる!」
いつになく真面目に話を聞いてくれたと思ったら、結局はこのオチだ。
「なくしてやる」ってなんだよ、やっぱり先生にでも言うのか?
すっかり意気消沈した俺は、最後に一口肉をほおばり、食卓をたった。
もう兄貴はほっとこう。
◆
( <●><●>)「晒し首か電気椅子、どちらか選べ」
ミ;゚Д゚彡「はぁ!?」
( ><)
( ><) あぁ、本人に交渉するんだ……
.
- 21 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:32:51.78 ID:wKsBREFtO
-
やがて日が明け、俺も兄貴も学校に着いた。
登校すると、各々が授業の用意だったり、カコン(鹿威し)の用意だったりを、淡々としていた。
俺も、ロッカーの中やゴミ箱、放送室など校内を転々と巡り、兄貴探しに努めていた頃だ。
諦めて教室に戻ると、見慣れぬ光景が、目の前に広がっていたのだ。
白衣の男が、擬古に詰め寄っている。
その白衣の男の裏では、その男の写真を撮ったり、
握手をせがんだりしている者で、すっかり教室内が溢れかえっていた。
.
- 23 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:35:50.33 ID:wKsBREFtO
-
( ><)「って――」
( ;><)「兄貴、なにしてんだよ!」
( <●><●>)「おお、テルナンデス。
こいつが昨日した、テルナンデスの食事の妨害は、
兄法第二十六条『テルナンデスの私的時間確保』の項目に反する。
だから、罰そうとだな」
( ;><)「罰そう、って、いきなり死刑かよ! いいから帰れ!」
( <●><●>)「それではダメなのだ」
と兄貴が言うと、いきなり、どこからか分厚い本を取り出し、得意げに見せてきた。
その本は、紅色の表紙に、金文字で兄法とか書かれてあった。
なんのためらいもなく奪い取って破り捨て、帰れと言ったのだが、
この本には予備があったらしく、兄貴は二冊目のそれを、懐から取り出した。
( <●><●>)「わかるかテルナンデス、罪を犯した者が罰を受ける、これは世界の常識でもあるのだぞ」
( ;><)「その常識の根本が常識はずれだっての!」
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- 25 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:38:18.92 ID:wKsBREFtO
-
二冊目も噛みちぎってやったのに、今度は、尻ポケットから三冊目を取り出しやがった。
それを窓の外に投げ捨て、外から聞こえる悲鳴を無視して、俺は兄貴に最大限の譲歩をした。
( ><)「じゃ、じゃあ、擬古くんが謝ってくれたら、許してあげて?」
( <●><●>)「近代最高の法案だ」
兄貴がそういうと、ただ唖然としている擬古に一瞥を与え、
ポケットに手を突っ込み、髪を逆立て、大声で説教まがいに言った。
( <●><●>)「ギコ!」
ミ;゚Д゚彡「あンだよ……?」
( < >< >)「ふぅ」
兄貴がいったんうつむき、溜息を漏らした。
どう説得してくるのか、俺は心配で見ていた。
.
- 26 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:40:20.41 ID:wKsBREFtO
-
( <●><●>)「テルナンデスに謝れ!!」
( ><)
(;><)「俺ぇぇぇ!?」
.
- 29 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:42:30.56 ID:wKsBREFtO
-
先程まで、兄貴を一目見たいと思って集っていた兄ファンクラブも含め、皆が皆、黙り込んだ。
擬古に至っては、呆然とか言うより、もうぽかーんとしている。
数秒、間を置いて、大拍手が起こった。
ハハ* ロ -ロ)ハ「兄、さすがです!」
爪'ー`)y‐「リスペクトだぜ」
▼・ェ・▼「わん!」
( <●><●>)「さぁ、謝れ!」
( ;><)「(小森くんに向かって謝らせろよ!)」
ミ;゚Д゚彡「え……あ」
完全に放心状態だった擬古くんは、兄貴の一声で我に返り、まじまじと俺をみた。
もうなにがなんだか理解ができない俺に、擬古くんは頭を下げながら言った。
ミ;゚Д゚彡「テルナンデス、すまん」
( ;><)「あ、あはは……」
.
- 31 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:44:25.00 ID:wKsBREFtO
-
( <●><●>)
ハハ ロ -ロ)ハ
爪'ー`)y‐
▼・ェ・▼
( ;><)「(どうしてくれんだこの空気ィィィィ!)」
( <●><●>)「よし、そろそろ絞首かギロチンか選べ」
ミ;゚Д゚彡「えぇ〜……?」
( ;><)「なにが『よし』だ!」
擬古くんにのしのしと近づく兄貴を後ろから抱え込み、これ以上前に歩ませまいと、全力で引っ張った。
まあ、やはりびくともしないのだが、兄貴も俺の気持ちがわかったのか、歩みを止めた。
.
- 32 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:46:22.86 ID:wKsBREFtO
-
( <●><●>)「この歳になって尚、愛する弟の抱擁にときめく私が悔しい」
( ><)「うわあ、キモッ!」
ミ;゚Д゚彡「えっと……」
≡(><; )「擬古くん今日の事は忘れていいよ! じゃっ!」
≡(<●><●> )「今日もテルナンデスは可愛いぞ」
≡( ;><)「顔を近づけんじゃねぇ!」
沈黙を貫き通した皆の視線になんとか耐え、兄貴を教室の外に追い出した。
案の定、なにかを勘違いしていらっしゃる兄貴だが、俺は構わず、言い切った。
( ><)「小森くんに謝ってほしいの! 俺じゃねーよ!」
( <●><●>)「小森か……」
兄貴を説得していると、そのちょうど核心部分でチャイムが鳴った。
仕方ないから、続きは家で言うとして、俺はそのまま教室に戻った。
なぜか、ファンクラブの皆から恨めしい目で見られたが、俺の顔に米粒がついているからだ、という事にしておく。
.
- 35 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:54:05.94 ID:wKsBREFtO
-
/ ,' 3「お、もう終わりか。歳をとると時間が流れるのが早」
ハハ ロ -ロ)ハ「起立!着席!」
(*><)「お昼なんです!」
今日は、先生が、自分の入れ歯をぼっとんに落としてしまった時の話を聞かされた。
体育のあとの授業だからか、クラスメートの半数が寝ていた。
また、もう半数がしゃべくり続けたのだが、それすらものともせず、先生は延々と続けていた。
楽しみのお昼休みだ、今日こそ焼きそばパンを食べようと思う。
そういえば、この前、クラスメートのヤンキーくんっていう、協調性がないけど
ちょっと変わってて、おもしろい子が、焼きそばパンを手にしたことがあった。
その時、一口だけもらった。
焼きそばはなかったが、さすが焼きそばパンというだけあって、凄くおいしかった。
( ><)「今日こそ焼きそばパンを……」
.
- 36 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:56:34.51 ID:wKsBREFtO
-
駆け足で教室を出て、
全速力で購買部に向かった。
購買部から一番近いクラスは三年生だ。
いつもは、人気商品の大半を三年生が買い占めていくから、それらは買えないのだが、
今日は、体育館で三年生全員出席での、進路の説明があった筈である。
そして体育館は購買部から遠い位置に在る。
だから、買える可能性は、高い。
実際、今日の行列は人がいつもより少なかった。
並んでいる人も下級生が多い。
(*><)「(あ、まだ焼きそばパンある!)」
俺が買う直前になり、購買部の棚を見てみると、三つも焼きそばパンが残っていた。
しかも並んでいるのは、俺とその前の人だけ。
これは、もしかしたら、と思うと、胸の高鳴りが止まなかった。
.
- 37 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:57:42.16 ID:wKsBREFtO
-
(*><)「(焼きそばパンげっちゅー!)」
( <●><●>)「焼きそばパンをあるだけくれ」
爪゚ー゚)「はい」
( ><) そ
爪゚ー゚)「たった今、焼きそばパンが売り切れましたー」
( ><)
( ><)
つ▲と
結局、いつものおにぎり二個を購入した。
それぞれに鮭と昆布の入った、このおにぎりの温もりだけが、俺を癒してくれた。
.
- 39 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 19:59:55.14 ID:wKsBREFtO
-
( <●><●>)「テルナンデス、どうしたまたおにぎりか」
( ><)「わざとだろ」
( <●><●>)「?」
大切におにぎりを抱えている俺に、
俺が買えた筈の、焼きそばパンを奪い取った兄貴が、そう話しかけてきた。
しかも嫌みを言われた。
言い返すと、兄貴は無垢すぎるほどに「わかんないんです」と言いたげな視線を、俺に向けた。
( ><)「はぁ……とりあえず、兄貴はこっち来ないでね」
( <●><●>)「謝らせるのではないのか?」
( ><)「兄貴がくると面倒なんだよ!」
( <●><●>)「テルナンデス……」
( ;><)「(あっ! 言い過ぎたかな……)」
.
- 40 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:02:07.16 ID:wKsBREFtO
-
俺が、大声で兄貴に怒鳴りつけると、兄貴は残念そうな顔をして、しょんぼりとし、肩をすくめた。
しまった。俺は、自分がパンを買えなかったのに苛立ちを感じ、その腹いせにと、兄貴にあたってしまったのだ。
はは、最低じゃないか。
( <●><●>)「そうか、そんなにアーンしてもらうのが恥ずかしいのか」
(><; )「(なんかいろいろと違う……)」
前言撤回だ。
驚くほどにポジティブシンキングな兄貴が
俺に怒鳴られた程度で、落ち込む柄ではないのは、
ほかの誰よりも、俺が知っている筈ではないか。
.
- 41 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:05:14.37 ID:wKsBREFtO
-
美味しそうに焼きそばパンを頬張る兄貴は、俺が、未だにおにぎりのラップを
開封しようとしないのに気づいて、俺からおにぎりを取り上げて、言った。
( <●><●>)「どうした、食べないのか?
なんならアーンしてやるぞ?」
( ;><)「教室で食べるんだよ、歩きながら食べるのは嫌なんだ!」
( <●><●>)「イジメを見ながら食べるのは嫌ではないのか」
( ><)「嫌だけど……」
( ;><)「でも、歩きながらって行儀悪いんじゃ……」
( <●><●>)「『立てば芍薬
座れば牡丹
歩く姿はテルナンデス』
って言うではないか」
( ;><)「おい三つ目なんとかしろ!」
( <●><●>)「テルナンデスが歩くだけで世界が救われるのだぞ」
( ;><)「(ごめん逆に歩けないっ!)」
.
- 43 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:08:18.75 ID:wKsBREFtO
-
兄貴とおにぎり争奪戦を繰り広げている間に、気がついたら、もう教室に着いていた。
そこでは、皆が机を囲んで、和気藹々と語らい、箸を進めていた。
そんななか、やはり、擬古と小森が、対峙していた。
端から見ると、擬古がいじめっ子にしか見えないし、実際、そうなんだ。
( <●><●>)「お、あれが小森だな」
( ><)「うん」
( ><)
( ><)「なんで兄貴がここにいるの?」
( <●><●>)「言っただろ、絶対にイジメをなくしてやる」
こっちを見て、そう言って、にんまりと笑んだ。
しかし、正直言って、迷惑すぎる。
兄貴のせいで、俺が周りから白い目で見られるんだ。
.
- 45 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:11:13.09 ID:wKsBREFtO
-
なんて言う間もなく、
気がつくと、兄貴は既に二人の前に立っていた。
( ;><)「(早く止めないと…)」
( <●><●>)「なるほど、貴様が小森で間違いないな?」
(-_-)「う、うん……。あなたは、テルナンデス君の兄ですね?」
( <●><●>)「そんな事はどうでもいい」
( ><)「(どうでもよくねぇ!)」
( <●><●>)「貴様に如何なる過失が有るかなど知った事ではないが」
( ;><)「(さり気なくひどい事言っちゃってるよ!)」
( <●><●>)「それでも貴様は小森か!」
(; ; ><)「(小森だよ!!)」
.
- 46 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:12:50.36 ID:wKsBREFtO
-
兄貴が暴走しようとしているなか、肝心の小森は、おどおどして、
なるべく角が立たないような口振りで、兄貴に言った。
(;-_-)「えっと……僕、なにか悪いこと……」
瞬間、兄貴の眼が見開かれた。
髪も逆立っているし、室内が静まり返っている。
.
- 47 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:16:51.39 ID:wKsBREFtO
-
( <●><●>)「小森! 貴様は、それでいいのか!?」
(;-_-)「!」
ゴゴゴゴ…
( <●><●>)「人生という一本道において、選択肢は行くか戻るかのみだ!
そして、目の前に壁が立ちはだかっていたら、貴様は戻るのか!?
そうだと、今まで歩んできた道を、再び見るだけだぞ!」
(-_-)「!!」
( <●><●>)「壁など、乗り越えてやれ!
岩は砕け! 湖は越えろ!
ほんとうの『小森』を見せてやらぬかッ!!」
(;_;)「兄………僕が間違ってたよ!」
( ><)「兄貴……」
( ><)「(結局なにが言いたいんだよ……!)」
.
- 48 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:19:37.82 ID:wKsBREFtO
-
( <●><●>)「よし、じゃあその意気でテルナンデスに謝れ」
( ><)
( ><)「は?」
(ぅ_t)「ぐすッ……ごめんね、テルナンデス君」
( ><)
(>< )
(><; )「(だからなんで俺なのッ!?)」
なぜか、擬古が小森に――
ではなく、小森くんが俺に謝る
という、もはや元がどんなだったか分からない関係となっていた。
.
- 49 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:22:15.49 ID:wKsBREFtO
-
依然教室は静かで、皆の痛々しい視線が俺に突き刺さっているのが、悲しきかな、よくわかる。
そして、小森はすっかり兄貴にノセられ、自分が悪いんだ、と暗示してしまっている。
( ;><)「いや、小森くんは関係ないよ? 兄貴に騙されちゃ、だめだって」
( <●><●>)「実に感動的な仲直りだ」
爪'ー`)y‐「テルナンデス君を見直したぜ」
ハハ ロ -ロ)ハ「テルナンデス君の事勘違いしてました。ごめんなさいテルナンデス君」
( ;><)「(だから、なんなんだこの空気ぃ!)」
お涙頂戴シーンなんて一度もなかった筈なのに、
教室内は、すっかり鼻を啜る音で埋め尽くされている。
なんか、俺が一方的に被害者って感じがして、嫌だ。
.
- 50 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:25:04.67 ID:wKsBREFtO
-
( <●><●>)「よし、ギコもだ」
ミ;゚Д゚彡「まだあるの〜……?」
( <●><●>)「小森をいじめていたのは問題だ。
ついでだし、謝っておけ」
( ;><)「(ついで≠ニか言ったな!? なぁ、言ったろ!!)」
ミ,,゚Д゚彡「え」
(-_-)「いじめって?」
( ><)「え?」
すると、擬古が再び頭を下げるはめになるのか、と思っていたのが一変
二人ともきょとんとした顔をして、兄貴を見つめている。
思わず、俺も同じように、きょとんとしていた。
.
- 51 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:26:41.60 ID:wKsBREFtO
-
( <●><●>)「とぼけるな。小森をいじめていたのは確定事項だ」
ミ,,゚Д゚彡「え、なんの話かわかんない」
(-_-)「……!」
(-_-)「もしかして、昨日のお昼の?」
( ;><)「お昼の? ……って聞かれても」
すると、小森が、顔を赤らめながら、ぼそぼそと何かを呟いていった。
それを聞いて、俺は驚愕した。
(;*-_-)「お恥ずかしい話ですが……」
そういう語り出しで、彼は、ぽつぽつと語り始めた。
昨日のお昼の事だ。
.
- 52 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:27:50.20 ID:wKsBREFtO
-
(-_-)『お昼だ…』
(-_-)
(;-_-)『あれ?』
(;-_-)『(お弁当がない……。忘れちゃったのかな)』
ミ,,゚Д゚彡『おーすヒッキー』
(-_-)『あ、フサギコくん』
ミ,,゚Д゚彡『中華弁当買ってきた……って、どうした飯は』
(;-_-)『その、家に置いてきちゃって』
ミ,,゚Д゚彡『そうか』
(-_-)『まあ一食くらい、抜いてもいいよね』
.
- 53 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:28:56.83 ID:wKsBREFtO
-
ミ,,゚Д゚彡
ミ,,゚Д゚彡『よし、じゃあ俺のンやるよ』
(-_-)
(;-_-)『え!? 悪いよ!』
ミ,,゚Д゚彡『いいから食えって。ただでさえ、お前チビなんだから、飯だけは抜くな』
(;-_-)『フサギコくんだって成長期じゃん! 悪いよ!』
ミ,,゚Д゚彡『じゃあ訊くが、どーして嫌なんだ?』
(;-_-)『悪い事できないよ……そんな……』
ミ,,゚Д゚彡『だから俺がいいっつってんだよって』
(;-_-)『ぁぅ……』
.
- 56 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:31:53.11 ID:wKsBREFtO
-
どうやら、小森は、うっかり自分の弁当を忘れてきてしまったようなのだ。
そんな、お昼を忘れた小森に、胸を痛めた擬古は、購買部で買った中華弁当を
半ば強制的に、小森にあげよう、としていたらしい。
でも、それだと擬古のご飯がなくなるから、と言って、頑なに拒んでいた小森、
そして、その二人のやり取りの、一部だけを見たのが、俺。
( ><)「じゃあ、イジメとかは……」
ミ,,゚Д゚彡「ハ? あるわけないじゃん」
(-_-)「フサギコくんとは小学校からの友だちだし…」
.
- 57 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:32:59.76 ID:wKsBREFtO
-
( ><)
( <●><●>)
爪'ー`)y‐
ハハ ロ -ロ)ハ
▼・ェ・▼
(-_-)
ミ,,゚Д゚彡
≡( <●><●>)「エマージェンシーコールが私を呼んでいる。
お暇させていただくぞ」
≡( ;><)「あぁ、兄貴待って!」
.
- 58 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:34:03.54 ID:wKsBREFtO
-
ミ,,゚Д゚彡っ「まあ待てよ」
っ< ><) そ
ミ,,゚Д゚彡「なんかよくわからんが、とりあえず俺とヒッキーに謝れよ、な?」
(;><)「謝らせたのは俺じゃな」
(-_-)「……」
ミ,,゚Д゚彡「……」
( ><)「……」
.
- 59 名前:1 投稿日:2011/11/28(月) 20:35:06.58 ID:wKsBREFtO
-
≡( 。><)「ごめんなさぁぁぁい!」
次の日から、俺は、いつも以上に周りから
白い眼で見られるはめになってしまった。
.
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