(*‘ω‘ *) 猫と恩返しのようです

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:12:32.90 ID:MmiTHfycO

 昔々、雪の降ったある冬の日に。

「…………」

 今にも息絶えそうな子猫が、段ボールの中で眠っていて。
 それに偶然、四歳児が目を付けた。

「こんな、さむいひに」

「こんなところでねていたら」

「しんでしまいます」


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:15:03.26 ID:MmiTHfycO

「……にゃぁ……」

 それに対する猫の返事は、とてもとても小さなもので。

「しかた、ないですね」

「…………」

 少年は、段ボールの中からその子猫を抱き上げて。
 雪の降る道の中をざくざく、歩いて行った。

「ねて、いる」

 子猫は、その少年の腕の中で、ぐっすりぐっすり夢の中。


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:17:07.82 ID:MmiTHfycO

「にゃぁ、にゃぁ」

「はい、はい」

 暖かくて、広い、段ボールじゃない、場所。
 子猫は、少年の家にいた。

 ミルクと、キャットフードを目の前にして、ぺろぺろがつがつ。

「そんなに、あせらなくても」

「にゃぁにゃぁ」


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:19:57.18 ID:MmiTHfycO

 子猫はそれらを平らげると、少年に向かってよたよたと歩き、少年に頭を擦り付けた。

「なついて、いる?」

「ごろごろごろ」

 喉を鳴らす、すると同時に鈴も鳴る。
 少年がそれに目をやると、首輪に付いた鈴と、文字が見えた。

「ちんぽっぽ?」

「にゃぁにゃぁ」

「それが、なまえなんですか」


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:21:57.56 ID:MmiTHfycO

「っぽ」

 少年が聞くと、はいやいいえと答える代わりに、子猫は変な鳴き声で反応した。
 少年はくすりと笑って、猫を撫でるとこう言った。

「わたしのなまえは、わかってます、です」

「にゃぁ」

「わかり、ましたか?」

「っぽ」

「…………」


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:24:28.69 ID:MmiTHfycO

「また、へんななきごえ」

「にゃぁ、にゃぁ」

 子猫は、少年に頭を擦り寄せて、そのまま眠った。
 少年は子猫を起こさないように、ずっとそこから動かない。

「せっかく、ひろってあげたのに、かえない、なんて」

「ゆるして、くれますかね」

「…………」

 尻尾をぱたぱた、返事は、無い。


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:26:41.04 ID:MmiTHfycO

「あ、おかあさん、おかえりなさい」

「ただいま、わかってます」

「ねえ、おかあさん」

「ん? なにかな?」

「ねこ、かってもいいですか?」

 少年の問いに、悲しそうな顔をして母親は首を横に振った。
 少年はそれを、解っていたけれど、悲しんだ。
 母親は、少年を髪を撫でながら言う。


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:28:58.78 ID:MmiTHfycO

「ごめんね、わかってます、ここは、ねこやいぬをかっちゃいけないの」

「…………わかってます」

「ほんとうは、かってあげたいけど……」

「なら、おかあさん……いっしゅうかん、だけ」

 少年は、母親を見上げて言った。
 その顔からは、とても強い意志を感じて。
 母親も、つい首を縦に振る。

「ありがとう、おかあさん」


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:30:50.19 ID:MmiTHfycO

 それから一週間、子猫と少年は一緒に暮らした。
 子猫は最初、元気が無い様に見えたけれど、今ではすっかり元気になって。
 しかしそれでも、無情にも、一週間が過ぎるのは早かった。

「ちんぽっぽ」

「にゃぁ」

「ごめんなさい」

「?」

「わたしとは、きょうでおわかれです」


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:33:35.78 ID:MmiTHfycO

 そこは、一週間子猫を拾った公園。
 段ボールはまだ置いてある。
 少年は毛布を一枚だけ持って、子猫と毛布をその段ボールの中に入れた。

「っぽ」

「どうかだれかが、ちんぽっぽをひろってくれますように」

「っぽ……?」

 その日も雪が振っていて。
 少年はその中を走って行く。
 猫は、といえば。


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:35:08.32 ID:MmiTHfycO


 ――いつかきっと、恩返しをしよう。


 と、考えていた。




‐(*‘ω‘ *) 猫と恩返しのようです‐



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:37:25.80 ID:MmiTHfycO

 それからの、子猫は。


「今日も散歩か、ちんぽっぽ」

「っぽ」

「相変わらず、変な鳴き声である」

「にゃぁにゃぁ……っぽ」

「どこから、そんな声が出るのだ?」


 とある老人に拾われて、平和に暮らしていた。
 勿論、少年の事は忘れずに。


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:40:19.28 ID:MmiTHfycO

 老人の名は、杉浦ロマネスクと言った。
 子供がいなければ、孫もいない、死を待つのみの老人だ。
 彼は、猫が少年と別れた日、偶然公園まで散歩に来ていた。

 そして、

「にゃぁ、っぽ」

 という、鳴き声に気付く。

 振り返れば段ボールに入った一匹の子猫がじっとこちらを見ているではないか。

「お前も、一人なのか」


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:43:04.25 ID:MmiTHfycO

 彼も一人で、子猫も一人、というよりも一匹、正しくは一匹。

 そこに何かを感じて、彼は子猫を拾ったのであろう。

「今日も元気で、何よりである」

 ともあれ、子猫がまたしても生と死の境に立たされる事は無かった。

 そして、それから一年、二年、三年、と時が過ぎて行き。








27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:46:15.60 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「ぽっ、ぽっ」

( ФωФ)「む、何だ」

(*‘ω‘ *)「にゃー……」

 そして、十年が、いやそれとあと二年程経った。
 杉浦も、九十を越えて、ちんぽっぽも、人間で言えば杉浦程の年齢で。
 お互い、死を待つのみであった。

(*‘ω‘ *)(……)

 否、ちんぽっぽは違った。


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:48:51.07 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)(もう、長くない事は解ってるっぽ)

(*‘ω‘ *)(でも、まだ恩返しが出来て無いんだっぽ……)


 そう、ちんぽっぽは、十年と約二年が経ってからも少年の事は忘れなかった。
 あの日、杉浦に拾われてからずっとずっと、ちんぽっぽは少年を探し続けていたのだ。


(*‘ω‘ *)(……もう、時間が無いんだっぽ)


 けれど、彼は見付からない。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:51:24.90 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)(神様……が、いるのなら)

(*‘ω‘ *)(私にどうか、恩返しをさせて下さいっぽ)


 ちんぽっぽは、祈り続けた。
 太陽を見上げ、月を見上げ、来る日も来る日もそれだけを祈っていた。

 そして、それが何日か続いた頃だった。


(*‘ω‘ *)(神様……)


『ふぇぇ〜誰かが私を呼んでるよぉ〜?』


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:53:31.31 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「!?」


 それは夜、ちんぽっぽが月を見上げて祈り始めた時だった。
 突如として、何処からか女性の声が聞こえたのだ。


从'ー'从「どうしたのかなぁ〜?」

(;*‘ω‘ *)「にゃっ!?」

从'ー'从「あ〜可愛い猫さんだ〜」

(;*‘ω‘ *)「……」


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:56:07.57 ID:MmiTHfycO

从'ー'从「あ、もしかして〜」

从'ー'从「私を呼んだのは〜貴女なのかな〜?」

(*‘ω‘ *)(呼んだ? ……まさか)


 急に目の前に現れた女性は、ちんぽっぽに向かって私を呼んだ、と言う。
 ちんぽっぽの推測が正しければ、彼女は神様という事になる。


(;*‘ω‘ *)


 ちんぽっぽは、自分で頼んだ事でありながら、少々驚いていた。


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 01:59:11.60 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「か、か、神様っぽ?」

(;*‘ω‘ *)「ってあれ? 喋れてるっぽ……」

从'ー'从「そうだよぉ〜渡辺って呼んでねぇ〜、あとそれは神様の力なんだよ〜」


 何だか何処にでもいそうな名前の神様は、ちんぽっぽを一撫で。
 そして話を始めた。


从'ー'从「ちんぽっぽちゃんは、恩返しがしたいんだね?」

(;*‘ω‘ *)「そ、そうですっぽ、どうしてもしなきゃいけないんですっぽ!」


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:01:15.89 ID:MmiTHfycO

 恩返し、その言葉を聞いてちんぽっぽは顔色を変えた。
 ちんぽっぽにとって恩返しとは、それ程に重要なものなのである。


从'ー'从「そっかぁ〜……じゃあまず、ちんぽっぽちゃん」

(*‘ω‘ *)「は、はいですっぽ」

从'ー'从「貴女の寿命は、あと一週間よ」

(*‘ω‘ *)「はあ……」


(;*‘ω‘ *)「ってえぇっ!?」



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:03:47.50 ID:MmiTHfycO

 一週間、七日間、計算するの面倒だから何十時間か。

 確かにちんぽっぽは自分が長くない事を知っていた。
 しかし流石に、一週間は短過ぎるだろう。


(;*‘ω‘ *)「ちょ、ちょっと待って下さいっぽ! それじゃあ何も……」

从'ー'从「うん、そうだね、でも、まだ続きがあるの、聞いてくれる?」

(*‘ω‘ *)「……はいですっぽ」

从'ー'从「よしよし、良い子だね、神様気に入ったよぉ〜」


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:06:58.13 ID:MmiTHfycO

从'ー'从「本来は、ちんぽっぽちゃんはとっくに死んでいるの、あの十年と二年くらい前に、餓死、だったかな」


 十年と約二年、それはちんぽっぽが段ボールの中で寂しく一生を終えようとしたあの日。


(*‘ω‘ *)「じゃあ、何で…………」

从'ー'从「それはねぇ、貴女の恩返ししたい人が、その運命を変えたからなの」

(*‘ω‘ *)「え……?」

从'ー'从「だからちんぽっぽちゃん、貴女が恩返ししたいという気持ち、神様が全力で応援してあげる」


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:10:01.44 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)


 自分は本来、あの日で死んでいた。
 けれど少年のお陰でその運命はねじ曲がり今、彼女は本来の寿命より十年と約二年も多く生きている。
 恩返しをしないなんて……。


从'ー'从「まあ細かい話は後でしようかな、それじゃあちんぽっぽちゃん、準備は良い?」

(;*‘ω‘ *)「え!? 今からですかっぽ!?」

从'ー'从「だって時間が無いもの〜」


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:12:08.21 ID:MmiTHfycO

从'ー'从「……あ、その前にいくつか条件があるの」

(*‘ω‘ *)「は、はいですっぽ」


 ※ ――……


从'ー'从「……以上、良いかな?」


 時は既に草木も眠るなんとやら、渡辺とちんぽっぽは縁側に座って話していた。


(*‘ω‘ *)「……分かりましたっぽ」


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:14:10.63 ID:MmiTHfycO

从'ー'从「うん、じゃあ行くよぉ〜」


 神様こと渡辺は、ちんぽっぽを抱き上げて、


从#'ー'从「……そーぉれっ!」


 月に向かって、投げた。


(;*‘ω‘ *)「にゃああぁぁぁあっ!!」


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:16:23.55 ID:MmiTHfycO

  。。
 ゚●゜

       。。
      ゚●゜

    。。
   ゚●゜

         。。
        ゚●゜


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:18:22.22 ID:MmiTHfycO

(…………)

(…………、あ)


 目が覚めた。
 何だか変な感覚が彼女を襲う。
 周りは真っ暗、とりあえずそこから動いてみる。


「…………ぽっ?」


 そして次々に襲ってくる、違和感。

 がばっ、と起き上がる彼女は、信じられない光景を目の当たりにした。


(;*‘ω‘ *)「にん、げん、に……」


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:20:36.89 ID:MmiTHfycO

(;*‘ω‘ *)「人間になってるっぽ!?」


 もう一度大きな声で。
 まず彼女の目に写ったのは人間の手、あのふにふになにくきゅうはいずこ。


(*‘ω‘ *)「か、鏡っぽ!」


 まずこの部屋が何なのかについては突っ込みを入れず、部屋にあった鏡で自分の姿を確認した。


(;*‘ω‘ *)「こ、これは……」


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:24:07.21 ID:MmiTHfycO

 まんまるな目に、そこからちょんと跳ねた長い睫毛、そして髪型は誰の趣味なのか額が強調される様になっていてまあ色々省略。
 自分の想像も付かなかった人間Ver.に彼女は驚きを隠せずあたふた。


(*‘ω‘ *)「ゆ、夢じゃないっぽ……?」

(*‘ω‘ *>o「ふむ」

(*‘ω‘。*)「痛いだけっぽ、これはきっと現実なんだっぽ」


 ベタな確認方法を実行して、彼女は次に部屋へと目を向ける。
 ここはどこだ、と。


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:27:18.52 ID:MmiTHfycO

 部屋を一言二言で表すならば、狭くて綺麗、だ。
 渡辺の言う通りならば、ここは確か、少年の部屋になる。


从'ー'从『私はこれから、ちんぽっぽちゃんに恩返しが出来るようにする為に、ある事をしなくちゃいけないの』

(*‘ω‘ *)『ある事っぽ?』

从'ー'从『そう、一つはまず、貴女を恩返ししなきゃいけない人の所まで送り込む事、これは覚えておいてね』

(*‘ω‘ *)『は、はいですっぽ、で、も……もう一つは?』

从'ー'从『ふぇぇ〜それは教えられないよぉ〜』


60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:29:41.00 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「って事はあの時言っていたもう一つはこの事かっぽ……」


 ちんぽっぽは自分の姿をもう一度鏡で確認する。
 何処からどうみても人間だ。

 と、思いきや。


(;*‘ω‘ *)「あ、あれ?」


 なんだか、人間にしては違うものがあるではないか。


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:32:01.33 ID:MmiTHfycO

 それは元々被っていたフードによって気付かなかった猫の耳。
 そして尻尾だ。


(;*‘ω‘ *)「……これはマズいっぽ……」


 神様、しっかりしろ。


从'ー'从「あれれ〜取り替えたはずの耳と消したはずの尻尾が無いよぉ〜?」



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:34:25.12 ID:MmiTHfycO

(;*‘ω‘ *)「なんて中途半端な……」


 とりあえず猫耳はちょうど付いていたフードで何とか誤魔化すとして。


(*‘ω‘ *)「尻尾……」


 これはどうしようもない。
 無意識の内に動いているものだし隠す事も難しい。

 しかし下手したらそういう趣味の人間だと思われる。
 さて、どうしようか。


65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:37:45.85 ID:MmiTHfycO

(;*‘ω‘ *)「これじゃあまともに外歩けないっぽ……」


 そんな風に彼女があたふたしていると、部屋の先から、何やら物音がした。
 それはドアが開いて、閉じる音、と振動だ。
 つまり誰かが帰って来た、と。


(;*‘ω‘ *)(ま、まままマズいっぽもしワカッテマスだったら本当にマズいっぽくぁwせ;@ふじこlp)


 がちゃ。


( <●><●>)「あー今日も忙し……」


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:39:58.65 ID:MmiTHfycO

( <●><●>)

(*‘ω‘ *)

( <●><●>)

(;*‘ω‘ *)


 見つめあうと素直にお喋り出来ない、じゃ無くて。
 そういう意味で喋れない訳じゃない、と彼女は心の中で思う。

 これは一大事である。


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:42:54.91 ID:MmiTHfycO

 まずは状況を整理しよう。

 帰って来たワカッテマスが部屋に入ると、見知らぬ人がいた。
 それも猫耳とご丁寧に尻尾まで付いた。
 顔は悪くない、だがしかし今はそういう問題では無い。


(;<●><●>)「あ、警察ですか、家に今泥棒猫?が……」

(;*‘ω‘ *)「待って下さいっぽ! 待って下さいっぽ!」

(;<●><●>)「……」


70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:46:15.66 ID:MmiTHfycO

(;<●><●>)「まあ、あの、お茶でもどうですか……」

(;*‘ω‘ *)「す、すみませんっぽ……、わざわざ……」


 ワカッテマスはおずおずとちんぽっぽに茶を勧めた。
 ここは乗るしか無いだろうとちんぽっぽは首を縦に振った。
 ぱたぱたと気まずそうに尻尾が揺れる。


(;<●><●>)「それで、あの……家にはどういうご用件で……」

(;*‘ω‘ *)「そ、それは……」


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:49:46.92 ID:MmiTHfycO

 ちんぽっぽはまた、渡辺との会話を思い出した。


从'ー'从『条件っていうのはね〜二つあるの〜』

(*‘ω‘ *)『二つですかっぽ』

从'ー'从『うん、まず一つ目は、自分がどうして来たのかを言ってはいけない、って事』

(*‘ω‘ *)『えぇっとつまり……恩返し云々については言っちゃいけないんですかっぽ?』

从'ー'从『そうなるねぇ〜、説明不足だけどこれからの事を考えるとこれ以上は言えないなぁ〜』


72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:53:26.35 ID:MmiTHfycO

从'ー'从『あと、これは最初から決まってる事なんだけど〜』

从'ー'从『期間は貴女の寿命と同じく一週間、これ以上は延ばせられませんって事ね』

(;*‘ω‘ *)『わ、分かりましたっぽ、あ、あともし一つ目の条件を破ったらどうなるんですかっぽ?』

从'ー'从『それも言えないなぁ〜ごめんねぇ〜』

(;*‘ω‘ *)『い、いえそんな事はありませんっぽ! むしろ感謝してますっぽ!』


 あの時、本当はどうなるのかを聞いてはおきたかったけれど。
 ちんぽっぽは仕方無いと思い、諦めたのだった。


73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 02:56:13.40 ID:MmiTHfycO

(;<●><●>)「あ、あの……」

(;*‘ω‘ *)「! す、すみませんっぽ!」


 とりあえず余計な事は喋れない、しかし頑張らないと間に合わない。
 自分がそんな不憫な状況に置かれているのだとちんぽっぽは思った。


( <●><●>)「そういえば貴女のお名前は……」

(;*‘ω‘ *)「ち、ちんぽっぽですっぽ」

( <●><●>)「ちんぽっぽ……?」


77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:00:15.60 ID:MmiTHfycO

 ワカッテマスは一瞬、何かが突っ掛かった様な顔をして、考え込んだ。
 恐らく今の彼は、ちんぽっぽの事を覚えてはいない。
 当たり前といえば当たり前だ。

 どんなにその時、ワカッテマスが悔しい思いをしたとしても、時が経てば忘れてしまうのが道理というものだ。
 いつまでも一つの事に縛られてる訳にはいかないのである。

 しかし、逆にちんぽっぽはいつかワカッテマスに恩返しする事だけを夢見ていた。

 そのショックが大きくても、無理は無い。


( <●><●>)「どこかで聞いた事がある様な……」


79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:03:30.60 ID:MmiTHfycO

(;<●><●>)「ってどうしたんですか!? 何で泣いてるんですか!?」

(*。ぅω; *)「そ、そりゃあ……覚えて……なんか、無い……っぽ……」

(;<●><●>)「え? いや、あの……!」


 泣いてばかりのちんぽっぽに、ワカッテマスはただただ戸惑っているだけで。

 ちんぽっぽが泣きやむ頃には、日が沈んでいた。


(*ぅω‘。*)「…………」


82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:06:33.11 ID:MmiTHfycO

(*ぅω⊂*) ゴシゴシ

(*‘ω‘ *)「……うう、ごめんなさいっぽ」

(;<●><●>)「い、いやこちらこそ申し訳無いというか……」


 入れてもらった熱いお茶は、すっかり冷めてしまっていて。
 それでもちんぽっぽは、ぐいとお茶を飲み干した。


(;*‘ω‘ *)「で、その、用があるんですっぽ」

(;<●><●>)「は、はい……」


83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:09:35.80 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)(そ、そうだ、確か渡辺さんから貰ったものが……)


 二度ある事は三度ある、と再びちんぽっぽは渡辺との会話を思い出す。


从'ー'从『ちんぽっぽちゃんにはこれを預けておくね〜』

(*‘ω‘ *)『……紙?』

从'ー'从『きっと誰かの家に居候する事になるだろうから、その時はこれを見て話すと良いよぉ〜』

(*‘ω‘ *)『あ、ありがとうございますっぽ!』


84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:13:10.78 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)(えーっと何々……)

(*‘ω‘ *)「ち、ちわーす、みかわやでーす、っぽ」


(;<●><●>)「え?」

(*‘ω‘ *)「え?」

(*‘ω‘ *)(わ、渡辺さん……)


 人間のアニメやら何やらの文化を知らないちんぽっぽでも、こればっかりは分かった。
 これだけは絶対に違うと、おかしいだろと。


从'ー'从「あれれ〜、渡したはずの紙が何であるのかなぁ〜?」


 神様しっかりしろ、むしろして下さい。


88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:16:56.02 ID:MmiTHfycO

(;*‘ω‘ *)(これはもうどうしようも無いっぽ……)


 ちんぽっぽは考えた、どうすれば良いのかを。
 しかし全くと言って良い程に名案が思い付かない。


(*‘ω‘ *)(こんなんじゃ恩返しにもならないっぽ……)


(;*‘ω‘ *)「あっ、そうだっぽ! 急用思い出しましたっぽ! それでは!」

(;<●><●>)「え? ま、待って下さい!」


89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:19:58.40 ID:MmiTHfycO

(;*‘ω‘ *)「な、なんですかっぽ!? もう恥ずかしくて死にそうなんで早く行かせて下さいっぽ!」


 勿論急用が出来たなど嘘である。
 用なんて一つしか無い、今目の前にいる彼への恩返しだ。


(;<●><●>)「いや、そっちは玄関じゃ無くて押し入れです……」

(;* ω  *)「は、はいですっぽ……」


 去り際までかっこよく纏まらない運の悪さってなんだろう。
 ちんぽっぽは心のどこかでそう思ったとか思ってないとか。


92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:22:58.73 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「はぁ……」


 結局そんな運の悪い彼女が来たのは、彼と出会って別れた公園だった。
 彼女の記憶から行ける場所は精々それくらいである。


(*‘ω‘ *)(こんなんじゃ、一週間なんてあっという間っぽ……)

(;*‘ω‘ *)「っくしゅん!」

(*‘ω‘ *)(寒いっぽ……)


93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:26:11.15 ID:MmiTHfycO

 季節は冬、しかももう夜になりかけている。
 なのに彼女の格好と来たら薄いフード付きの上着にジーンズくらいで。


(;*‘ω‘ *)(そ、そういえば耳と尻尾は一応隠さなきゃ駄目だっぽ……)


 そこで彼女は思いだし、慌ててフードを被ったが、尻尾はどうしようも無いので諦める。
 ベンチに座ってはあと溜め息を吐くと、それは白くなった。


(*‘ω‘ *)(寒いっぽ……それに……)


94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:28:46.78 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *) ギュルル

(;*‘ω‘ *)

(;*‘ω‘ *)(お腹も空いたっぽ……人間になってから何も食べて無いっぽ……)


 寒さと空腹と、そして一人でいる怖さ。
 何だかそれからはあの日と似た様なものを感じる。


(;*‘ω‘ *)(そういえばそうだったっぽ、あの日も寒くて怖くてお腹が空いてて……)


97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:31:11.89 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)(……だけど、あの日はワカッテマスがいたっぽ)


 確かに昔と今は似ていた。
 しかし、昔と今には決定的な違いがある。
 それがワカッテマスだった。

 きっと今は、自分を追って来てなんかくれないのだろう。


(*ぅω‘ *)(眠いっぽ…………)

(*ぅω‘ *)(どうせあの日亡くなってた命なら……別に……)


99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:33:44.70 ID:MmiTHfycO

(*ぅω‘ *)「はぁ…………」


 一度溜め息を吐くと、ちんぽっぽはベンチに横になった。
 そしてゆっくり目を瞑った、その時。


「こんな、寒い日に」

「こんな所で寝ていたら」

「死んでしまいます」

「……ちんぽっぽさん」


101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:36:34.21 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「……え?」

(;<●><●>)「探しましたよ、どうせ行く宛も無いのに何処に行くつもりなのかって」


 彼女が目を開ると、ワカッテマスがそこにいた。
 あの日の幼い彼じゃ無く、今の彼が。


(;<●><●>)「ほら、帰りましょう、話は後で良いですから」


 走ったのか、息苦しそうで、言葉はとぎれとぎれになっている。


103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:39:20.16 ID:MmiTHfycO

 そして差し延べられた、手袋をはめた手。


(;*‘ω‘ *)「い、良いんですかっぽ?」

( <●><●>)「公園で寝てしまう様な人を放っておく程、酷い人間ではありませんからね」

(;*‘ω‘ *)「……じゃ、じゃあ」


 彼女の冷えきった手が、手袋に重なった。


105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 03:43:26.88 ID:MmiTHfycO

( <●><●>)「あ」


 ワカッテマスは思い出したかの様に言うと、マフラーをちんぽっぽの首に巻いて、手袋も片方はめてやった。


(;*‘ω‘ *)「え!? い、いや悪いですっぽ! 冷えちゃいますっぽ!」

( <●><●>)「良いですよ、どうせ家ならすぐ近くなんですから」

(;*‘ω‘ *)「い、いや、でも……そうしたら……!」


 また一つ、世話になってしまう。



135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 11:38:48.55 ID:MmiTHfycO

(*‐ω‐*)zzz

( <●><●>)(…………)


 次の日、朝。
 ワカッテマスは起きると炬燵の中で寝ているちんぽっぽを見付けた。
 尻尾は時々ぱたぱた、と動き何処からかごろごろと喉を鳴らす様な音が聞こえた。


( <●><●>)(そういえば、そうでした)


 ワカッテマスはそれを見て、昨日起きた事を思い出す。
 今でも、信じられない様な出来事を。


137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 11:41:54.31 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)『えっと、その、詳しくは言えないんですっぽ、どうしても……』


 あれから二人は、ワカッテマスの家に帰り炬燵で向き合って話をしていた。
 ちんぽっぽはどうしても話せない事情をどう上手く説明しようかと考えて、うんうん唸っている。


(*‘ω‘ *)『そういえば、ワカッテマスさんの家族は……』

( <●><●>)『ああ、いませんよ』

(;*‘ω‘ *)『え?』


138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 11:44:43.40 ID:MmiTHfycO

( <●><●>)(あれ、そういえば何故私の名前を……)

(;*‘ω‘ *)『そ、それならっ!』

(;<●><●>)『は、はいっ?』


 ちんぽっぽはその言葉を聞くと、深くは聞こうとせずに炬燵をばんと叩いて立ち上がった。
 これにはワカッテマスも圧倒されて少々驚き気味である。


(;*‘ω‘ *)『それなら、手伝わせて下さいっぽ!』

(;<●><●>)『え?』


139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 11:48:07.79 ID:MmiTHfycO

(;*‘ω‘ *)『ひ、一人暮らしなんて大変ですっぽ、現にほら、部屋が!』


 そう言うとちんぽっぽは辺りを見回してもう一度ほら、と言う。
 部屋は足の踏み場もあるんだかないんだか、色んな物が散乱していてお世辞にも綺麗とは言えない。


(;<●><●>)『た……確かにそうですが……』

(*‘ω‘ *)『ならお任せ下さいっぽ! このちんぽっぽが一生懸命掃除しますっぽ! あとほらなんか、家事とかも!』

(;<●><●>)『は、はい……』


140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 11:51:00.02 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)『だ、だから……』


 ばたり。


(;<●><●>)『……え?』


 ちんぽっぽは急に、炬燵に身体を半分入れたまま意識を失った。
 というか、寝た。


(;<●><●>)(追い出す訳にはいきませんし……家に上げましたし……)

(;<―><―>)


143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 11:54:16.30 ID:MmiTHfycO

( <●><●>)


 そして、今に至る。
 恐らくあれから起きる事は無かったであろう彼女は、ぐっすりと幸せそうに眠っていた。


( <●><●>)(おっと時間ですね)


 土曜日の午前、ワカッテマスはコートにマフラー、手袋を身に付けて、家から出て行った。
 所謂バイトの時間である。


(*‐ω‐*)zzz

(*‐ω‘ *)「ぽっ?」


144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 11:57:08.01 ID:MmiTHfycO

(;*‘ω‘ *)「あ、あれっ?」


 ちんぽっぽが目を覚ましたのは午後、お昼時で。
 ワカッテマスが家から出て行った何時間も後だった。


(;*‘ω‘ *)「うぅ……昨日はどうしたんだっぽ……?」


 ちんぽっぽは昨日自分がどの様な経緯でここまでに至ったのかを思い出そうとする。


(;*‘ω‘ *)「そういえば寝ちゃったんだっぽ…………」


147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 12:00:36.46 ID:MmiTHfycO

(;*‘ω‘ *)(ってもうそれで一日経ってるんだっぽ、時間が無駄に……)

(;*‐ω‐*)「うぅむ……」


 残り六日間、果たしてちゃんと恩返しが出来るのだろうか。
 そして、ワカッテマスは自分の事を、思い出してくれるのだろうか。

 彼女の中では、その二つの不安が尻尾の様に揺れていた。


(*‘ω‘ *)(公園でも行くっぽ)


 気分転換、とちんぽっぽも家から出て行った。


149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 12:03:29.15 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)(人が少なくて良かったっぽ)


 耳を隠して尻尾隠せず。
 しかし幸いにも公園には人が少なかったので何とかなりそうだ。


『お姉ちゃん、誰?』

『見掛けない顔だゴルァ!』

『尻尾がある人間なんて初めて見たよ』

『猫人間モナー』

(;*‘ω‘ *)「!?」


150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 12:06:42.80 ID:MmiTHfycO

 何処からか声が聞こえる。
 それが人間の声では無いとちんぽっぽは無意識の内に感じ取っていた。


(*‘ω‘ *)「っぽ?」


(*゚ー゚),,゚Д゚)・∀・)´∀`)


(;*‘ω‘ *)「にゃっ!?」


 それはベンチの後ろにいる四匹の猫のものだった。
 猫達はじっとちんぽっぽを見ている。


152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 12:09:33.06 ID:MmiTHfycO

( ・∀・)『あ、やっぱり人間じゃないぞ!』

(,,゚Д゚)『怪しい奴だぜ』

( ´∀`)『おねーちゃん何者モナー?』

(*゚ー゚)『まあまあ皆そう言わずにさ』

(*‘ω‘ *)(猫が喋ってる……?)


 ちんぽっぽは一度そう思った、しかしそれにしては何処か不自然な声で。


⌒*リ´・-・リ「あ、猫……」

*(‘‘)*「猫さんだー!」


153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 12:12:14.93 ID:MmiTHfycO

⌒*リ´・-・リ「可愛いねー」

(;,,゚Д゚)『あ、ちょ、撫でるな! 撫でるな!』

*(‘‘)*「何処で飼ってるのかなー?」

( ´∀`)『モナ達は野良猫モナ』


(*‘ω‘ *)「?」


 ちんぽっぽには猫の言ってる事が分かり、この二人には分からない。
 ふと、頭についた自分の耳を触る。


(*‘ω‘ *)(もしかして私が猫だからなのかっぽ?)


154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 12:15:04.28 ID:MmiTHfycO

(*゚ー゚)『そうみたいだね、おねーちゃんは何て名前?』

(*‘ω‘ *)「ち、ちんぽっぽですっぽ」


 横で撫でられている二匹を気にする様子も無く、一匹がちんぽっぽに話し掛ける。


( ・∀・)『へー、僕はモララー、であっちの語尾が変なのはモナー』

(*゚ー゚)『私はしぃ、であっちの撫でられて困ってるのはギコ、よろしくね』

(*‘ω‘ *)「ど、どうもっぽ…………」


157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 12:19:25.87 ID:MmiTHfycO

(;,,-Д-)『死ぬかと……思った……』

( ・∀・)『撫でられたくらいで猫は死なないよ、ギコ』

( ´∀`)『全くだモナー、もうちょっとは喜べモナ』

(*゚ー゚)『ギコったら怖がりね』

(;*‘ω‘ *)「…………」


 やがて撫でられていた二匹も戻ってきて、四匹全員が揃った。


( ・∀・)『それじゃあ詳しく話を聞かせてもらおうか』


159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 12:22:34.47 ID:MmiTHfycO

(;*‘ω‘ *)「詳しくって言われても…………うーん……」

(*゚ー゚)『何か事情があるのかな?』


 しぃの言う通りである。
 神様との約束で本当の事をべらべらと喋る事は出来ないのだ。
 しかし四匹にはちんぽっぽが猫である事はバレていて、下手に誤魔化したりは出来ない。


(*‘ω‘ *)「詳しくは話せないっぽ……ただ恩返ししなきゃいけないんだっぽ……」

( ´∀`)『恩返しモナ?』

(,,゚Д゚)『猫の恩返しだゴルァ』


160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 12:26:54.79 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「色々、事情があって……どうしてもしたいんだっぽ、でも……」

( ・∀・)『ほうほう、話せる限り僕らに話してもらおうじゃないか』

(;*‘ω‘ *)「とりあえず恩返ししようとしてるんだっぽ、でもなかなか上手くいかなくて……」


 ちんぽっぽはそこで言葉に詰まり、黙り込む。


(*゚ー゚)『上手くやろうとしないで、とにかく相手の為になれる様な事を一つ一つしていけば良いんじゃないかな?』


 そこでしぃが一言、ちんぽっぽに言った。


(,,゚Д゚)『おう、しぃの言う通りだゴルァ!』

( ´∀`)『ギコはただ真似しただけモナー』


163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 12:31:50.14 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「……そうしたら、ちゃんと恩返しに……」

( ・∀・)『なれるさ、きっと』

(*゚ー゚)『そうそう、自信を持って頑張って!』


 しぃや、他の三匹も同じ様に大丈夫、と声を掛ける。
 ちんぽっぽは今まで悩んでいた事も馬鹿らしく思えて、ベンチから立ち上がった。


(*‘ω‘ *)「あ、ありがとうっぽ、早速やってみるっぽ!」

( ・∀・)『お、頑張ってね』

(*゚ー゚)『ちゃんと恩返し出来ると良いね』

(,,゚Д゚)『また来いよ!』

( ´∀`)『ばいばいモナー』


167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[きがさるっとる] 投稿日:2008/11/23(日) 13:00:25.14 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「まずは掃除するっぽ!」


 彼女は家に帰って早速、掃除を始めた。
 しかし何にせよ初めての掃除なのでそれはもう目茶苦茶なものだったのは言うまでも無い。
 というよりも部屋が部屋なのだ。


(;*‘ω‘ *)「うわっ、埃だらけっぽ!」


(;*‘ω‘ *)「虫が! 何かが! にゃぁああぁぁ!!」


(;*‘ω‘ *)「こ、これも捨てるっぽ……」

 *  *  *


(*‘ω‘ *)「…………終わったっぽ」


169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 13:04:34.34 ID:MmiTHfycO

 とりあえず部屋は綺麗になっていた。
 床に散乱していた物はほとんどが捨てられて、他にもキッチン等は溜まっていた皿が洗われている。
 多少というよりもかなり無茶苦茶なのは突っ込んだら負けである。


(*ぅω‘ *)「動き回ったせいで疲れたっぽ……」

(*ぅω‘ *)「ちょっとだけ寝るっぽ…………」







170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 13:07:32.12 ID:MmiTHfycO





 がちゃり、ばたん。


( <●><●>)「ただい……」

( <〇><〇>)


 その後、ワカッテマスが綺麗になった部屋を見て、色んな意味で驚いたのは言うまでも無い。


180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 13:40:14.40 ID:MmiTHfycO

(*ぅω‐*)「んー……」

(*ぅω‐*)


(;*‘ω‘ *)「あぁぁまた寝過ごしちゃったっぽ! 時間!」


 ちんぽっぽが目を覚ましたのはまたしても炬燵の中だった。
 窓から差す日の光をこれ程に憎らしいと思った事があるだろうか、とちんぽっぽは心の中で悪態をついた。


( <●><●>)「あ、起きましたか」

(;*‘ω‘ *)「ご、ごめんなさいっぽ……」


181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 13:43:01.65 ID:MmiTHfycO

( <●><●>)「いえいえ、気にしなくても良いのですよ」

(*‘ω‘ *)「でもそれじゃあ悪いですっぽ……」

( <●><●>)「それに部屋の掃除をして下さって、とても助かってます」

(*‘ω‘ *)+「ほ、本当ですかっぽ!?」

( <●><●>)「なんかいろいろなくなりましたけど…………」


 ワカッテマスがそう小さく呟いたが、今のちんぽっぽにそれは届かない。


185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 13:46:17.31 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「ほ、他に何か出来る事ってありますかっぽ?」

( <●><●>)「他に、と言われましても」

(*‘ω‘ *)「例えば料理とか、洗濯とか……あと掃除機使ったり……」


 実際にやってみた。


(*‘ω‘ *)「料理は火が、洗濯と掃除は音が怖くて無理でしたっぽ」

( <●><●>)「マジですか」

(;*‘ω‘ *)「一応猫なんですっぽ……」


188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 13:50:44.80 ID:MmiTHfycO

 猫、と言われてワカッテマスはふと気付く。
 今まで馴染み過ぎていたせいか、あまり意識していなかったのだ。
 ちんぽっぽはドジっ子な神様のせいで中途半端な人間になってしまった訳で。


( <●><●>)「……これ本物ですか?」

(*‘ω‘ *)「くすぐったいですっぽ……」

(;<●><●>)(なんというもふもふ、これは間違いなく本物……)


 突然始まった同居人との生活はとても変わっているなあとワカッテマスはしみじみ思うのであった。


189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 13:54:07.52 ID:MmiTHfycO

( <●><●>)「何故こんな事に……」

(*‘ω‘ *)「え゙……っとそれはですねっぽ……」

(;<●><●>)「…………」

(;*‘ω‘ *)「実は私、に、二次元からやって来たんだっぽ……」


 嘘が下手なのは今更な事だ。


(;<●><●>)「とりあえず深くは聞かない事にします」

(;*‘ω‘ *)「た、助かりますっぽ……」


190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 13:57:54.64 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「あ、今日は暇なんですかっぽ?」

( <●><●>)「ええまあ、日曜日なので」

(*‘ω‘ *)「じゃあ……何か予定とかありますかっぽ?」

( <●><●>)「特に……無いですね」

(*‘ω‘ *)「な、なら公園行きましょうっぽ、公園!」

( <●><●>)「公園、ですか? 良いですけど……」

(*‘ω‘ *)(よし)


192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:03:01.44 ID:MmiTHfycO

 *  *  *


(*‘ω‘ *)「うーんちょっと寒いっぽ」

( <●><●>)「風が強いですからね」


 からからと落ち葉が風に乗って舞い上がる。
 ちんぽっぽが辺りを見回しても昨日出会った猫達はいなかった。
 少し残念である。


(*‘ω‘ *)(確かここらへんっぽ)


194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:06:19.36 ID:MmiTHfycO

 ちんぽっぽは何処からともなく段ボールを座っているベンチの近くに置いた。
 そしてその中で体育座り。


( <●><●>)「…………あの」

(*‘ω‘ *)「はい?」

( <●><●>)「つかぬ事をお聞きしますが……それは一体?」

(*‘ω‘ *)「……見て分かりませんかっぽ?」

(;<●><●>)「分かる方が凄いと思いますが……」


196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:09:24.01 ID:MmiTHfycO

 ちんぽっぽの考えている事はこうだ。
 あの日と同じ様に姿形は違えど、段ボールの中にいれば、ワカッテマスも何かしら思い出してくれるだろう、という馬鹿馬鹿しい作戦である。


(*‘ω‘ *)(…………)

( <●><●>)「……もしかして」

(*‘ω‘ *)+「はい?」

( <●><●>)「段ボールの中が好きだとか、そういう……」

(*‘ω‘ *)


 作戦は大失敗に終わった。


200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:12:03.15 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「…………」

( <●><●>)「…………あの、ちんぽっぽさん?」

(*‘ω‘ *)「?」

(;<●><●>)「怒ってますか?」

(*‘ω‘ *)「そんな訳無いですっぽ」

(;<●><●>)「なら、何で無言でこっちを……」

(*‘ω‘ *)「…………」


203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:15:35.21 ID:MmiTHfycO

 ちんぽっぽは先程と同じ姿勢のまま、横でベンチに座るワカッテマスをじっと見つめていた。
 無言で、無表情に。
 怒っているのかと誤解されても無理は無いだろうに。


(*‘ω‘ *)「……怒ってませんっぽ」

(;<●><●>)「…………」

(*‘ω‘ *)「怒ってなんかいませんっぽ」

(;<●><●>)「な、何故二回も……」

(;*‘ω‘ *)「だ、大事な事だから二回言いましたっぽ」


206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:19:01.45 ID:MmiTHfycO

 と、その時。


( <●><●>)「あ、あれは……」

(*‘ω‘ *)「?」

( <●><●>)「誰か居ますね」

(*‘ω‘ *)「え? あ、本当だっぽ……」

( <●><●>)「こちらからではよく見えませんね……ちょっと行ってみましょうか」

(*‘ω‘ *)「そうしますっぽ」




210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:22:56.79 ID:MmiTHfycO

川 ゚ -゚)「……ん?」

( <●><●>)「あ、クーさんでしたか」

川 ゚ -゚)「なんだ、ワカッテマスじゃないか」

( <●><●>)「どうも、珍しいですね、こんな所に……」


 そこにいたのは素直クールことクーだった。
 ワカッテマスとは知り合いで、何でも素直に言う事で多少変わった人として周りから認識されていた。


川 ゚ -゚)「ところでそちらの女の子は誰かな?」


217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[クーでいくね、ごめんね……] 投稿日:2008/11/23(日) 14:27:24.59 ID:MmiTHfycO

 クーはワカッテマスを、正確にはワカッテマスの後ろを指差した。
 ワカッテマスが振り返ると、そこにはワカッテマスにしがみついて警戒心丸出しでクーを睨むちんぽっぽが。


( <●><●>)「大丈夫ですよ、クーさんは悪い人じゃありません」
  _,
(#*‘ω‘ *)

(#*‘ω‘ *)

(*‘ω‘ *)「……」

川 ゚ -゚)「難しい子だな」


221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:30:43.59 ID:MmiTHfycO

 ちんぽっぽはいつもよりフードを深く被ると、ワカッテマスの後ろからもっと顔を出した。


川 ゚ -゚)「私はクーだ、よろしくな」

(*‘ω‘ *)「……よろしくお願いします、っぽ」


 クーから差し延べられた手を、ちんぽっぽも握り返す。


川 ゚ー゚)「なんだ、可愛いじゃないか、フードなんて勿体ないな」

(*‘ω‘ *)「そ、そんな事無いですっぽ」


223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:34:16.65 ID:MmiTHfycO

 クーは一瞬だけ笑うと、すぐにいつもどおりの表情に戻った。


川 ゚ -゚)「しかしあれだな、ワカッテマスにいつの間にこんな可愛い女の子がな……時代とは変わるものだ」

( <●><●>)「何だか凄く嫌味を言われてる気がします……が、生憎ちんぽっぽさんとは別にそういう仲じゃありません」

川 ゚ -゚)「え? 違うのか?」

( <●><●>)「違います」

(*‘ω‘ *)「…………」


226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:37:33.97 ID:MmiTHfycO

 ちんぽっぽは何故か、それを寂しく感じた。
 当たり前の事だし間違ってもいないというのに。


川 ゚ -゚)「なんだ、つまらないな」

( <●><●>)「貴女を楽しませたくないのでそれで良いです」

川 ゚ -゚)「ちっ……じゃあ私は行くよ、またな」

( <●><●>)「えぇでは、さようなら」

(*‘ω‘ *)「さようならっぽ」


229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:41:03.79 ID:MmiTHfycO

( <●><●>)「はあ、ちんぽっぽさん、クーさんはあれでも良い人ですから」

(;*‘ω‘ *)「そ、そうですかっぽ」

(;<●><●>)「まあ初対面の人からすれば信じがたいとは思いますが……何とか仲良くやって下さると嬉しいです」

(*‘ω‘ *)「ワカッテマスさんはクーさんと友達なんですかっぽ?」

( <●><●>)「幼馴染みとやらです、年齢はあちらの方が二つ程上ですが」

(*‘ω‘ *)「なるほど…………」

( <●><●>)「最近は、元気が無いんですよね」


231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:44:26.50 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「あれで、元気が無い……?」

( <●><●>)「元々感情が表に出ないタイプなので何とも言えませんが……最近は確か親戚のお爺さんの調子が悪いとかで」

(*‘ω‘ *)「……」


 ちんぽっぽは、直接関係していない筈なのに、それに何処かとても不安な何かを感じた。


(*‘ω‘ *)(そういえば杉浦さん……、何も言わないで行っちゃったけど、大丈夫っぽ……?)


232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:47:09.97 ID:MmiTHfycO

( <●><●>)「さて、そろそろ帰りましょうか」

(*‘ω‘ *)「そうしましょうっぽ、今日はわざわざ……」

(;*‘ω‘ *)「に゙ゃっ!」


 お礼を言おうとしたまさにその瞬間、ちんぽっぽの額に冷たい冷たい雨粒がぽつり。


( <●><●>)「あ、雨が降って来ましたね……急ぎましょう」

(*‘ω‘ *)「は、はいですっぽ」


234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 14:50:33.45 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)(何でだろっぽ……)


 降り出した雨の中を二人で走りながらちんぽっぽは思う。


(*‘ω‘ *)(ずっとこんな生活が続けば良いのにって思ってるっぽ……)


 けれどそれは叶わない、だからこそ彼女は強く思ったのかもしれない。
 答えは雨に溶け込んでいく。
 きっと雨が止む頃にはもう、見付からなくなってしまう。


(*‘ω‘ *)(今は、それでも良いっぽ)


 雨は止まない。




264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 19:18:01.66 ID:MmiTHfycO

(;<●><●>)「げほげほっ」

(;*‘ω‘ *)「だ、大丈夫ですかっぽ?」


 翌日、ワカッテマスは風邪を引いていた。
 原因は言わずもがな、先日雨に降られたせいだ。
 先日はあれから、雨はどんどん酷くなり、家に着く頃は土砂降りになっていたのだ。


( <●><●>)「あ゙ー……」

(*‘ω‘ *)「冷えピタ探して来ますっぽ……」


266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 19:21:32.86 ID:MmiTHfycO

 月曜日、学校にはワカッテマスから連絡を入れて休みという事にし、ちんぽっぽがその面倒を見る事に。

 そんな中、ちんぽっぽは心配な反面、少しだけ嬉しく感じていた。
 やっと、恩返しらしい事が出来るのだ、と。


(*‘ω‘ *)(が、頑張るっぽ……)

( <●><●>)「ゔー……」

(;*‘ω‘ *)「あ、今すぐ持って行きますっぽー!」

(;<●><●>)「む、無理はしないで下さい…………」


268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 19:26:03.18 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「確かこの棚に……」


 そのせいか、ちんぽっぽは少し要らない緊張をしていた。
 張り切り過ぎている、とでも言うのだろうか。


(*‘ω‘ *)(まだこの棚ごちゃごちゃしてるっぽ……)

(*‘ω‘ *)「あ、あったっぽ!」


 爪先立ちで棚の中を漁るちんぽっぽは、その混沌の中から目的の物を見付けた。
 しかし下手に動かし過ぎれば今にも棚からぼたもちだけでなく何やら色々飛び出しそうである。


271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 19:29:15.83 ID:MmiTHfycO

(;*‘ω‘ *)(もう少しっぽ……ぐぬぬ……)


 しかしそんな事お構いなしにちんぽっぽは沢山の物の奥からそれを引っ張り出した。

 結果、


(;*‘ω‘ *)「に゙ぎゃっ!」


 棚から色んな物がどさどさ昨日の雨の如く降ってきてしまった。


273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 19:34:40.28 ID:MmiTHfycO

(;<●><●>)「だ、大丈夫ですか!?」

(メ*‘ω‘ *)「あたた…………」


 大きな物音がして、ワカッテマスがちんぽっぽの元へとやって来る。
 そこには尻餅をついたちんぽっぽと散乱した荷物やら何やらが。


(;*‘ω‘ *)「あ、ごめ、ごめんなさいっぽ!」

(;<●><●>)「怪我は無いですか?」

(;*‘ω‘ *)「え?」


311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/11/23(日) 20:58:12.68 ID:MmiTHfycO

 ちんぽっぽはてっきり自分よりも床に散らばった荷物が心配されると思っていたので、ワカッテマスの言葉に目を丸くした。


(メ*‘ω‘ *)「だ、大丈夫ですっぽ! ちょっと痛いだけで……」

( <●><●>)「って顔に傷が付いてるじゃないですか、ちょっと待ってて下さいね」

(メ*‘ω‘ *)「あ……」


 これじゃあどっちが病人なのか分かったもんじゃない。


312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/11/23(日) 21:01:16.20 ID:MmiTHfycO

(メ*‘ω‘ *)「し、しみるっぽ……」

( <●><●>)「あとちょっとの我慢です、絆創膏は……はい」

(ロ*‘ω‘ *)「あ、ありがとうございますっぽ……」

(ロ*‘ω‘ *)(せっかく恩返し出来ると思ったのにこれじゃあ逆だっぽ…………)


 ぴんぽーん。


(ロ*‘ω‘ *)「……ぽっ?」

( <●><●>)「ちょっと出て来ます」


313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/11/23(日) 21:04:25.72 ID:MmiTHfycO

川 ゚ -゚)「やあやあ、風邪なんだって? お見舞いに来たぞ」

( <●><●>)「ああクーさん、こんにちは」

川 ゚ -゚)「まあ立ち話もなんだから中に入れてもらおうじゃないか」

( <●><●>)「それ普通私の台詞なんですが」

川 ゚ -゚)「細かい事気にしてたらもっと体調悪くなるぞ、さあ入れてくれ」

(;<●><●>)「仕方無いです……ね?」

川 ゚ -゚)「?」


316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/11/23(日) 21:07:58.72 ID:MmiTHfycO

 そこでワカッテマスは思い出した、今、部屋にはちんぽっぽがいる事を。
 まずその事についてクーは何かしら言ってくるだろう、そして。
 何よりもちんぽっぽは今耳も尻尾も隠してはいなかったのだ。


(;<●><●>)「あーこれはマズいですね、どうしましょうどうしましょう」

川;゚ -゚)「は?」

(;<●><●>)「ちょっとこれはクーさんにも被害が出るかもしれませんね、げほげほっ」

川 ゚ -゚)(嘘だな絶対……)


317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 21:11:36.06 ID:MmiTHfycO

(;<●><●>)「とにかくこれはマズいなあクーさんに感染したらなんかもう色々大変な事になりますよ」

川 ゚ -゚)「……何か隠したい事でもあるのか?」

(;<〇><〇>)「あ、ある訳ないじゃないですか! ってあれ? ある訳ないじゃないってどっちでしたっけ……」

川 ゚ -゚)「よし、かなり重症なのは分かった、上げろ」

(;<●><●>)「あああそれは駄目です、絶対駄目です」

川 ゚ -゚)「大丈夫さ別にベッドの下を漁ろうとかそういう考えは無いよ」

(;<●><●>)「それはこの前一掃されたというかって違います違います! とにかく駄目です、死にますよ!」

川 ゚ -゚)「えー……」


319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 21:14:30.17 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「ワカッテマスさん遅いっぽ……」


 その頃ちんぽっぽはと言えば棚の片付けをしながらワカッテマスの心配をしていた。
 すぐ近くで繰り広げられている攻防戦など露知らず。


(*‘ω‘ *)(そういえば……)


 ふと、ちんぽっぽは部屋を見回した。
 普通といえば普通、だが狭いのだ。


320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 21:18:01.13 ID:MmiTHfycO

 ワカッテマスの家、正しくは部屋、はとあるボロアパートの一室である。
 昔、ちんぽっぽはここで一週間を過ごしたのだ。
 あの頃はちんぽっぽが小さかったという事もあってか、広く感じていた。

 しかし、今となっては一般家庭の半分も無いこの部屋は、ちんぽっぽにとっても狭く感じる程なのであった。


(*‘ω‘ *)(それに家族が居ないっていうのは…………)


 深く考えれば考える程に広がる謎、答えが出るのはいつになる事やら。


322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 21:22:45.30 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)(まあ考えるだけ無駄だっぽ、それよりちょっと様子見に行った方が良いっぽ)


 その考えが一番危険であると知らず、ちんぽっぽは部屋から出て行くのであった。
 そして玄関の二人はと言うと、


川 ゚ -゚)「いやそこはいのりだ、最後まで諦めるなよ」

(;<●><●>)「あ、あれ、通じなくなりましたよ!? これでも続けろと!?」

川#゚ -゚)「諦めるな! 続けろ!」


 何故かゲームに没頭していた。


324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 21:26:23.67 ID:MmiTHfycO

( <●><●>)「ん、誰でしょう……まだ何かキャラっていましたっけ……」

川 ゚ー゚)「ふふふ……」

(;<●><●>)「って何でこんな流れになってるんですか!」

川 ゚ -゚)「お前がこうしたんだろう」

(;<●><●>)「いやしてませんって…………クーさんが休憩しようとか訳の分からない事言い出して……」

川 ゚ -゚)「言い訳はそこまでだ、じゃあ上げてもらおうか」

(;<●><●>)「だから駄目ですって、気が済んだなら帰って下さい……」


325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 21:30:26.26 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「ワカッテマスさん大丈夫で…………」

川 ゚ -゚)「え?」

( <●><●>)「あ゙」


 ちんぽっぽは玄関で通せんぼするワカッテマスの後ろからひょっこり顔を出した。
 当然クーとも目が合う訳で、しかも耳と尻尾は隠して無くて。


川 ゚ -゚)「……ちょっと事情を説明してもらう為にも上げてもらおうか、ワカッテマス」


 ワカッテマスの苦労は無駄に終わった。


327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 21:33:32.05 ID:MmiTHfycO

(;<●><●>)

川 ゚ -゚)

(;*‘ω‘ *)


 その空間は非常に気まずかった、どれくらい気まずいのかと言えば顔と名前の一致しない人と話す時くらいに気まずかった。


川 ゚ -゚)「……まず、その、なんだ、ワカッテマスの趣味は…………」

(;<●><●>)「ちょ、違いますって! 私そんなに変な趣味ありませんってば!」


330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[さる] 投稿日:2008/11/23(日) 22:00:33.44 ID:MmiTHfycO

(;*‘ω‘ *)「ほ、本当は嫌だったんですっぽ……でもワカッテマスさんがどうしてもって言うので……」

川 ゚ -゚)「それは酷いな、ワカッテマス、見損なった」

(;<●><●>)「ちんぽっぽさん!? 何でそこで嘘吐くんですか!?」

川 ゚ -゚)「とりあえずワカッテマス、気持ちは分かるが事実は認めるべきだ」

(*ぅω⊂*)「ううぅ…………」

(;<●><●>)(えー…………)


333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 22:04:54.78 ID:MmiTHfycO

川 ゚ -゚)「とりあえずこれはワカッテマスの趣味として」

(;<●><●>)(納得行かない…………)

川 ゚ -゚)「何でちんぽっぽがここに?」

(;*‘ω‘ *)「そ、それはワカッテマスさんがこの姿で看病してほしいと……」

(;<●><●>)「まだそのネタ引き摺るんですか!?」

川 ゚ -゚)「ふむ、把握した、だから私には何も言わなかったんだな」


 一大事と思われていた事は、案外簡単に済まされてしまった。


(;<●><●>)(簡単じゃないって!)


336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 22:08:53.08 ID:MmiTHfycO

川 ゚ -゚)「まあワカッテマスも一応病人だからな、看病してやろうじゃないか」

(;<●><●>)「ど、どうも……」

川 ゚ -゚)「お望みならば猫耳も……」

(;<●><●>)「もういや!」

(*‘ω‘ *)「クーさんが来てくれて良かったですっぽ……」

川 ゚ -゚)b「よしちんぽっぽ、後は任せろ、私が代わりを勤めよう」

(;<●><●>)(あばばばば……)


337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 22:12:47.49 ID:MmiTHfycO

川 ゚ -゚)「ってな訳でワカッテマスは布団に戻れ」

( <●><●>)「言われなくても戻りますよ……」


 ワカッテマスは私のライフはなんとやらと呟きながら布団に潜って泣いていた。
 クーはそれを確認すると、台所に立つ。


川;゚ -゚)「む、すまないが手伝ってもらえないか?」

(;*‘ω‘ *)「は、はいっぽ! 勿論ですっぽ!」

川;゚ -゚)(やけにリアルな耳と尻尾だな……)


339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 22:16:17.31 ID:MmiTHfycO

 とんとんとん、と林檎を切る音がする。


川 ゚ -゚)「なあちんぽっぽ」

(*‘ω‘ *)「?」

川 ゚ -゚)「ワカッテマスとはいつ知り合ったんだ?」

(*‘ω‘ *)「……かなり昔ですっぽ」

川 ゚ -゚)「おや、そんなに付き合いが長かったのか」

(*‘ω‘ *)「う、正確には違いますっぽ……まあなんかややこしい事情が…………」

川 ゚ -゚)「ふむ、まあそこは置いておこうか……じゃあちんぽっぽは、ワカッテマスが好きか?」

(;*‘ω‘ *)「も、勿論ですっぽ! ワカッテマスさんにはとても世話になったんですっぽ」


341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 22:19:11.45 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「それに、今も凄く感謝してますっぽ…………ワカッテマスさんが居なかったら……」

川 ゚ -゚)「……ほう、ワカッテマスにそんなところがあるとはな、珍しい珍しい」

(*‘ω‘ *)「珍しいんですかっぽ?」

川 ゚ -゚)「ああ、現に君みたいな友人がいるなんて奇跡みたいなものさ」

(;*‘ω‘ *)「えぇ……?」

川 ゚ -゚)「なんだ、知らないのか?」

(;*‘ω‘ *)「は、恥ずかしながら…………」


343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 22:22:24.85 ID:MmiTHfycO

川 ゚ -゚)「まあそこらへんはアイツから聞いてやってくれ、私から勝手に話したら怒られそうだ」

(;*‘ω‘ *)「分かりましたっぽ」

川 ゚ -゚)「じゃあこんなもんかな、うさぎさん」

(*‘ω‘ *)(綺麗に切れてるっぽ……)


 クーとちんぽっぽが切った林檎は、一目で区別がついた。
 包丁なんて今まで握った事も無いちんぽっぽにすれば、良い出来ではあるけれど。
 彼女は劣等感を感じずにはいられなかった。


345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 22:25:13.84 ID:MmiTHfycO

川 ゚ -゚)「おいワカッテマス一回起きろ」

( <―><●>)「?」

川 ゚ -゚)「ほら食え、ちんぽっぽも手伝ってくれたんだぞ」

( <●><●>)「……頂きます」

川 ゚ -゚)「ちんぽっぽ、手伝ってくれてありがとう、君も疲れているだろう? 休むと良い」

(*‘ω‘ *)「あ、は……はいっぽ」

(*‘ω‘ *)(…………)


346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 22:28:48.30 ID:MmiTHfycO

 それから、クーの看病は続いた。


川 ゚ -゚)「ワカッテマスちょっとこっち向け」

( <〇><●>)「つめたっ! 急に冷えピタ貼らないで下さいっ!」


川 ゚ -゚)っ「ほれ、粥作ったぞ」

( <●><〇>)「あっつ! 口に突っ込まないでくだひゃいあちちちち!」


(;*‘ω‘ *)(壮絶…………)


 まさにこの一言に尽きる看病だったそうな。


348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 22:33:08.78 ID:MmiTHfycO

 しかし、看病は多少乱暴なものだったが、ワカッテマスの調子は確実に良くなっていった。


(*‘ω‘ *)(二人を見てると何だかもやもやするっぽ……)

(*‘ω‘ *)「あ、あのクーさん」

川 ゚ -゚)「ん?」

(*‘ω‘ *)「ちょっと散歩してきますっぽ、後はお願いしますっぽ」

川 ゚ -゚)b「把握した、行ってらっしゃい」


354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[saru] 投稿日:2008/11/23(日) 23:00:24.97 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)「はあ……」


 ちんぽっぽは帽子を被って尻尾を上着の中に隠すと、部屋から出て行った。


(*‘ω‘ *)(こんな事してる内にもう四日も経っちゃったっぽ……)

(*‘ω‘ *)(時間……間に合えば良いけど……)


(*‘ω‘ *)「っぽ……?」


(*゚ー゚),,゚Д゚)・∀・)´∀`)


356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 23:02:47.71 ID:MmiTHfycO

 それはいつか(二日目辺り)出会った四匹の猫達であった。


(*゚ー゚)『久し振り! かな?』

(,,゚Д゚)『あれからどうなった?』

( ・∀・)『何かまたあった様な顔だね』

( ´∀`)『苦労が絶えないんだモナー』

(;*‘ω‘ *)「一気に聞かれましても……ていうか皆間違っちゃいないっぽ」

(*゚ー゚)『あららー』

(,,゚Д゚)『ここはまた俺らが力になってやるぞゴルァ』

( ・∀・)『ギコうるさい』

( ´∀`)『モナモナ』


357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 23:06:07.19 ID:MmiTHfycO






(*゚ー゚)『それはライバルってやつね』


 公園、ベンチに座るちんぽっぽとその横に並ぶ四匹。
 実に奇妙な光景である。


(;*‘ω‘ *)「そ、そんなつもりじゃ……」

(,,゚Д゚)『いーやそんなつもりは無くてもだ』

( ・∀・)『この際何のライバルかは言わないよ』

( ´∀`)『悟れモナー』


359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 23:10:07.35 ID:MmiTHfycO

(;*‘ω‘ *)「わ、私はただ役に立ちたいだけだっぽ…………」

(*゚ー゚)『そういえばそれでちょっと気になってたんだけどさ』

(*‘ω‘ *)「ぽっ?」

(*゚ー゚)『それって、恩返ししたいってだけの気持ちなのかな?』

(;*‘ω‘ *)「ええ、え?」

(;*゚ー゚)『いや、分からないなら良いんだけどね……』

(;*‘ω‘ *)「な、何なんだっぽ? 分からないならそれで良いって言われても……」


361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 23:15:31.49 ID:MmiTHfycO

 ちんぽっぽは、初めてクーに会った時のあの変な感覚を思い出す。
 妙に寂しい、この感覚は一体何なんだろう、と思い返す。


(*ぅω‘ *)「わかんないっぽ……自分でもよく、何をすれば良いのかとか、自分が何を考えてるのかとか……わかんないっぽ……」

(;,,゚Д゚)『え、ちょ、泣かなくても…………だ、大丈夫か?』

( ・∀・)『あーあギコが空気読まないから』

( ´∀`)『空気嫁モナ』

(*゚ー゚)『KY』

(;,,゚Д゚)『えぇ!?』


363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 23:19:57.61 ID:MmiTHfycO

 *  *  *


「おかあさん、おかあさん、なんでわたしたちはこんなせまいところにすんでいるのですか」

「……わかってます、それはね……、それは……」

「おかあさん?」

「ごめんなさい、おかあさんがもっとしっかりしていればよかったのにね」

「なかないで、おかあさん」


 おかあさんは つぎのひ いなくなった。
 おとうさんは もともと いなかった。

 ひとりぼっち ひとりぼっちは さびしいよ。


「……ス、ワカッテマス」

( <●><●>)「……ん?」


364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 23:22:22.17 ID:MmiTHfycO

川 ゚ -゚)「ほら、起きろ、あと体温計」

( <●><●>)「あ、あ、分かりました」

川 ゚ -゚)「ちんぽっぽはちょっと前に散歩行ったからな」

( <●><●>)「そうですか」

川 ゚ -゚)「良い子じゃないか」

(;<●><●>)「だからそういう訳じゃ……」

川 ゚ -゚)「ああ、分かってるさ」


365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 23:26:01.20 ID:MmiTHfycO

川 ゚ -゚)「……さて、私はそろそろ帰るとするか」

( <●><●>)「今日はありがとうございました」

川 ゚ -゚)「礼には及ばないさ、後で奢ってくれたらの話だが」

(;<―><―>)「分かりましたよ……」

川 ゚ー゚)「楽しみにしているよ……じゃあまた」


 がちゃんばたん、とクーは家から出て行って。
 そこにはワカッテマスが一人だけ。


366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 23:30:17.19 ID:MmiTHfycO

( <●><●>)(……一人、ですか)

( <●><●>)(何だか、思い出せそうだったのに)


 ワカッテマスは、ちんぽっぽの存在を昔から何処かで知っている気がした。
 ただ、そこで何かがつっかえて、なかなか思い出せないでいる。
 と、そこでクーと入れ替わるかの様にちんぽっぽが帰ってきた。


(*‘ω‘ *)「ただいまですっぽ」

( <●><●>)「おかえりなさい」


368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/23(日) 23:34:43.81 ID:MmiTHfycO

(*‘ω‘ *)(ゔー…………)

( <●><●>)「…………ちんぽっぽさん?」

(;*‘ω‘ *)「あ、はい?」

( <●><●>)「いえ、何だか顔色が悪かったので……何かあったのですか?」


 何かあった、むしろ大アリだ。
 とも言えず、ちんぽっぽはただ誤魔化す。


(;*‘ω‘ *)「そ、そんな事無いですっぽ! ちょっと外が寒かっただけで……」


374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[monkey] 投稿日:2008/11/24(月) 00:00:33.48 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「……そう、ですか」

(;*‘ω‘ *)「…………」

( <●><●>)「では私は、もう一眠りしますね、おやすみなさい」

(;*‘ω‘ *)「おっおやすみなさいっぽ!」


 何かが狂い始めて、何かが動き出す。


(*‘ω‘ *)(明日……ここを出て行くっぽ)



402 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 05:00:23.88 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)


 彼女は朝早くから家を出て歩いていた。
 行き先は全く決めていないしこの先に何があるのかも知らない。


(*‘ω‘ *)(寒いけど仕方無いっぽ)


 自分から出る白い息を見つめながら、また大きく溜め息を吐いた。
 何でこんな事をしてるんだろう、と。


403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 05:04:11.71 ID:oWhQ8Bi/O

 考えてみれば、こんな事をして一体何になると言うのか、無駄なだけじゃないか。
 しかしちんぽっぽは、そうせずには居られなかったのである。


(*‘ω‘ *)(恩返しなんて言っておきながら)

(*‘ω‘ *)(まだ何にも、満足に出来て無いんだっぽ……)


 既に今日で五日目、時間は無いと分かっていながらも、ちんぽっぽはこんな行動に出た訳であって。


(*ぅω‘ *)


404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 05:09:31.15 ID:oWhQ8Bi/O

(*ぅω‘ *)(そもそも、私は……恩返しだけの目的じゃなかったんだっぽ、きっと)

(*ぅω‘ *)(……私は)


 普通なら、例えどんな恩でもそれを十年以上も忘れずに、死ぬまでの一週間だけでもこんな目茶苦茶な形で恩返ししようなんて思わない。
 もっともっと、そこには違う感情があるからなんだ、とちんぽっぽはやっと気付いたのだ。


(*ぅω‘。*)「う、ぅ……」

(*ぅω‘。*)(こんなの、今更過ぎるっぽ……)


406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 05:12:38.06 ID:oWhQ8Bi/O

 彼女は泣きながら道を歩く。
 その先に一人の老人がいる事に気付かず、泣き続ける。
 そしてどん、とぶつかった。


( ФωФ)「お、おぉ、これは失礼した」


 老人は目が悪いのか、衝突してから目の前に人がいた事を知って、慌てて謝った。
 しかし、返事は来ない。


(*ぅω;*)「う、うぁ、ああぁ……」

(;ФωФ)「ん?」


407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 05:17:28.51 ID:oWhQ8Bi/O

(*ぅω;*)「好きなんだっぽ……っく……ワカッテマス、が……」

(;ФωФ)「え!? だ、大丈夫か?」


 返事が来る代わりに、泣く声が聞こえて、老人はあたふた。
 彼女はと言うと収まらない涙がどうしてこうも暖かいのか、と。


(*ぅω;*)「ご、ごめ……ん、なさい……っぽ……」

(;ФωФ)「い、いや謝る事じゃ無いさ……とりあえず泣きやめ泣きやめ」


408 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 05:21:42.76 ID:oWhQ8Bi/O

(*ぅω;*)

(*ぅω⊂*)ゴシゴシ

(*‘ω‘ *)「……あれ?」


 ちんぽっぽは視界がはっきりして、改めて老人を見た。
 それは自分のよく知る杉浦で、あの日から急に離れて行って、自分でもどうしてるのか心配した老人だった。


( ФωФ)「泣きやんだなら結構結構、家へ来なさい、大した物は出せないが」

(*‘ω‘ *)「は、いっぽ……」


410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 05:26:30.64 ID:oWhQ8Bi/O

 途端、ちんぽっぽは不安になった。
 杉浦が、自分の事をどう思っているのかと、それを考えると、彼女はとても不安になった。


(*‘ω‘ *)「お、お邪魔しますっぽ」

( ФωФ)「ほら、上がりなさい」

(*‘ω‘ *)(…………)

( ФωФ)「それにしても、君はこの辺りじゃ見掛けない顔だ、名前は?」

(*‘ω‘ *)「……ちんぽっぽ、ですっぽ」


413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 05:30:42.49 ID:oWhQ8Bi/O

 早速緑茶の準備を始めていた杉浦が、一瞬ぴくりと反応した。
 彼女にはそれに対する良い嘘も何も思い付かなかったので、正直に名前を言ったのだ。

 そりゃあ、何かしらの反応はあるだろうと覚悟していた……けれど。


( ФωФ)「……そうか、それで、一体何故こんな朝早くから、しかも泣きながら歩いていたんだ?」


 杉浦はほんの少し反応を示しただけで、猫のちんぽっぽについては何も言わなかった。


(*‘ω‘ *)「それは、話せば色々と長くなりますっぽ……」


414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 05:34:25.23 ID:oWhQ8Bi/O

( ФωФ)「ほう、話してみなさい」

(*‘ω‘ *)「私は……その、恩返しをしたいんですっぽ」

( ФωФ)「恩返しとは、また何で」

(*‘ω‘ *)「詳しくは、話せないんですっぽ、でも、命を救われたんですっぽ、その人には」

( ФωФ)「なるほど……」

(*‘ω‘ *)「それで、今、恩返ししようって毎日頑張ってるんですっぽ……なのに」


415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 05:37:41.96 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)「上手く、いかないんですっぽ、いつもいつも」

( ФωФ)「ふむ……」

(*‘ω‘ *)「それに、気付いたんですっぽ」

( ФωФ)「気付いた?」

(*‘ω‘ *)「私はただ恩返しがしたいってだけじゃ無かったんですっぽ」

(*‘ω‘ *)「……きっと、その人の事が好きだから、役に立ちたかったんですっぽ…………」

( ФωФ)「難しいな」

(*‘ω‘ *)「難しいですっぽ」


418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 06:00:22.39 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)「それに、それに、私はその為にとても大切な人を捨ててしまったんですっぽ……」

( ФωФ)「それは、仕方の無い事だったのか?」


 彼女は少し考えて、こくりと頷いた。


( ФωФ)「なら、君が全部悪いなんて思わなくて良いさ」

( ФωФ)「むしろその大切な人からすれば、その恩返しが出来ないまま戻って来られる方が辛いだろう」

(*‘ω‘ *)「そう、ですかっぽ」

( ФωФ)「あくまで私からすればだがな」


419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 06:05:06.80 ID:oWhQ8Bi/O

( ФωФ)っ旦「まあ、まずはお茶でも飲みなさい」

(*‘ω‘ *)っ旦~「あ、ありがとうございますっぽ」


 ちんぽっぽは杉浦から緑茶を受け取ると、ちまちまそれを飲み始めた。
 猫舌なのであまり一気には飲めない訳だ。


( ФωФ)「何にせよ、私は君がちゃんと恩返し出来る事を祈ってるよ」

(*‘ω‘ *)「ど、どうもっぽ……」


420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 06:09:09.57 ID:oWhQ8Bi/O

从'ー'从

从 ゚∀从

从'ー'从「ハインちゃんどうしたの〜?」

从#゚∀从「ちょっと渡辺お前何した」

从'ー'从「何もしてないよ〜?」

从#゚∀从「嘘吐け! だったらこいつはなんだこいつは!」

从'ー'从「あ、ちんぽっぽちゃんだ〜、上手くやってると良いな〜」

从#゚∀从「わ、た、な、べ!」

从;'ー'从「な、何かなハインちゃん……」


421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 06:14:00.78 ID:oWhQ8Bi/O

从#゚∀从「神様だからってこんな事していいと!?」

从;'ー'从「じゃ、若干思ってます……」

从#゚∀从「ンだとコラァっ!!」

从;'ー'从「そ、そんなに怖い風に言わないでよぉ〜……」

从 ゚∀从「よし、決めた」

从'ー'从「へっ?」

从 ゚∀从「オレちょっくらちんぽっぽをどうにかしてくる」

从;'ー'从「えっ? ちょっと待って! ハインちゃーん!」


422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 06:18:14.70 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)


 朝起きた時、既に彼女は何処にもいなかった。
 長い長い夢でも見ていたのだろうか、と自分で自分を疑ってしまう。

 ただ、これによって予想していなかった事が一つ。


( <●><●>)(何故、こんなにも寂しいのでしょうか)


423 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 06:22:35.64 ID:oWhQ8Bi/O

 ワカッテマスが彼女と過ごしたのは、たったの四日間で。
 しかもワカッテマスからしたら彼女は正体不明の存在。
 だが、それにも拘らずワカッテマスはそんな彼女が居なくなって寂しい、と思っていた。


( <●><●>)(今日は、火曜日……ですか)

( <●><●>)(風邪も治りましたし、学校行かなきゃマズいですね)

( <●><●>)「……行って来ます」


 返事は無かった。
 昨日ならあった返事は、無かった。


424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 06:26:53.65 ID:oWhQ8Bi/O

( ФωФ)「……それにしても、君を見ていると猫を思い出すよ」

(*‘ω‘ *)「……猫ですかっぽ」

( ФωФ)「ああ、変な鳴き声の猫だ」

(*‘ω‘ *)「……」

( ФωФ)「最近、急にいなくなってしまってな……愛想を尽かされたのかもしれん」

(;*‘ω‘ *)「そ、そんな事はありませんっぽ!」

( ФωФ)「え?」


425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 06:33:10.34 ID:oWhQ8Bi/O

(;*‘ω‘ *)「う……そ、そんな事無いですっぽ、絶対、きっと十年以上も一緒なんですから…………」

( ФωФ)「いや別に変に疑っている訳じゃ……それと君は何で十年以上も私と猫が一緒だと知って……」

(;*‘ω‘ *)「わ、忘れて下さいっぽ……」

(;ФωФ)「……」

(;*‘ω‘ *)「で、でもきっと、愛想を尽かしたとか、そういうのじゃ無いはずですっぽ」

( ФωФ)「……ああ、ありがとう」


426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 06:37:08.42 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)(でも、杉浦さんに会えて良かったっぽ)

(*‘ω‘ *)(ちょっとだけ、安心したっぽ)

( ФωФ)「……そういえば、私の親戚にも、君くらいの歳の子がいたな」

(*‘ω‘ *)「……親戚?」


 ちんぽっぽは、親戚という言葉に反応した。
 ついこの前、ワカッテマスから聞いたクーの話の中に、それはあった。


427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 06:41:42.87 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)(確かクーさんの親戚のお爺さんが体調を崩しているとかどうとかで……)

(;*‘ω‘ *)(……まさか)

( ФωФ)「どうかしたか?」

(;*‘ω‘ *)「そ、その親戚ってもしやクーさんでは……」

( ФωФ)「なんだ、君もクーを知っているのか」

(;*‘ω‘ *)(やっぱりかっぽ!)

(*‘ω‘ *)「い、一応知ってますっぽ」


429 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 07:00:13.04 ID:oWhQ8Bi/O

( ФωФ)「そうかそうか……クーは変わってるだろう」

(;*‘ω‘ *)「いやそんな事は……」

( ФωФ)「いやいや、気は遣わなくて良いんだよ、それがクーでもあるからな」

(;*‘ω‘ *)「は、はいっぽ」

( ФωФ)「でも、それだからかあまり仲の良い人がいないらしくてな」

(*‘ω‘ *)「……」

( ФωФ)「よく、私の所へと来ていたものだ」


430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 07:04:49.77 ID:oWhQ8Bi/O

( ФωФ)「だからまあ、時々で良いんだ、会ったら何かしら話してやってはくれないか」

(*‘ω‘ *)「は、はいですっぽ! クーさんにはお世話になってますっぽ」

( ФωФ)「ほう、そうなのか」


 そこでようやくちんぽっぽは緑茶を飲み切って、立ち上がった。


(;*‘ω‘ *)「あ、朝っぱらからお邪魔しましたっぽ、そろそろ行きますっぽ」

( ФωФ)「おお、そうかいそうかい、ならこれでも持って行きなさい」

(*‘ω‘ *)「……蜜柑?」


432 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 07:09:17.66 ID:oWhQ8Bi/O

( ФωФ)「多少腹の足しになると思ってな」

(*‘ω‘ *)「な、何から何まで……ありがとうございますっぽ」

( ФωФ)「気にするな気にするな、じゃあまたな」

(*‘ω‘ *)「はい、また…………あ」

( ФωФ)「?」

(*‘ω‘ *)「今まで、ありがとうございましたっぽ!」


 ちんぽっぽはそう言うと、杉浦家から走って出て行った。


( ФωФ)「……ふむ、やはりそうなのか」


433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 07:12:52.49 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)(これからどうしようっぽ…………とりあえず公園で蜜柑頂くっぽ)

|゚∀从))

(*‘ω‘ *)「ぽっ?」

|彡 サッ

(;*‘ω‘ *)「……?」

|゚∀从 ソー

(;*‘ω‘ *)(ば、バレバレっぽ……)


434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 07:16:23.09 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)(声を掛けてみるべきかっぽ……)


 道端で、電柱からちょくちょくこちらの様子を伺ってくる少女。
 声を掛けようか掛けまいか、悩みどころである。


(*‘ω‘ *)「あ、あのー……」


 結局、放っておくのもアレなので、声を掛けてみる。
 すると。


| ミ 从 ゚∀从「よお」


436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 07:20:42.34 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)「ど、どうもですっぽ」

从 ゚∀从「オレはハインリッヒ高岡だ、よろしくな」

(;*‘ω‘ *)「は、はあ」


 そんな急に自己紹介されましても。

 ハインリッヒ高岡と名乗った少女は、銀髪に少々乱暴な言葉遣いが印象的な少女である。


从 ゚∀从「とりあえず、戻れ」

(*‘ω‘ *)「は、はい?」


438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 07:25:00.20 ID:oWhQ8Bi/O

从 ゚∀从「いやだから戻れって」

(*‘ω‘ *)「戻る……?」

从 ゚∀从「元の姿にだよ」

(;*‘ω‘ *)「なっ……貴女誰ですかっぽ……」

从 ゚∀从「よーくぞ聞いてくれました!」

(;*‘ω‘ *)

从*゚∀从「アンタ何様閻魔様! ハインリッヒ高岡でーっす!」

(*‘ω‘ *)(テンション高いっぽ……)


440 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 07:30:52.90 ID:oWhQ8Bi/O

(;*‘ω‘ *)「って閻魔様!?」

从 ゚∀从ノシ「そーそー、オレ渡辺の相方」

(;*‘ω‘ *)「そ、その相方さんが何かご用で…………」

从 ゚∀从「ん? あ、そうそう、ウチの渡辺が勝手な事したからねー君には悪いけど消えてもらうよ」

(;*‘ω‘ *)(消えてもらうって何処の中二バトルの台詞っぽ……)

(;*‘ω‘ *)「……え? 消える?」

从 ゚∀从b「ィェァ」


441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 07:34:56.91 ID:oWhQ8Bi/O

从 ゚∀从「まあそんな訳だから……」


 と言うとハインは何処からともなくチェーンソーを取り出した。
 なかなか様になるのは気のせいか否か。


从 ゚∀从「ごめーんねっ!」

(;*‘ω‘ *)「に゙ゃっ!?」


 チェーンソー特有の音と共に、ハインはちんぽっぽに向かって突っ込んで行った。



464 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 11:33:28.41 ID:oWhQ8Bi/O

川 ゚ -゚)「こんな所で何をしてるんだ? ワカッテマス」

( <●><●>)「貴女がここにいるだろうと思って、やってきました」

川 ゚ -゚)「ふむ、何か用か」

( <●><●>)「ええ」


 学校の昼休み、ちょうどハインとちんぽっぽが出会っている頃、ワカッテマスはワカッテマスで問題を抱えていた。


川 ゚ -゚)「大した物は無いぞ、図書室だからな」


466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 11:36:24.45 ID:oWhQ8Bi/O

 昼休みの図書室は、図書委員のクーと、クーに会いに来たワカッテマスしかいない。


( <●><●>)「最近、困ってるんです」

川 ゚ -゚)「kwsk」

( <●><●>)「何て言えば良いのでしょう、自分でも自分がよく分かりません」

川 ゚ -゚)「お前名前の割にそんな事言うなよ……」

( <●><●>)「良いじゃないですか……」


467 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 11:41:24.62 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「気になる人が、いるんです」

川 ゚ -゚)「ふむ、女か」

( <●><●>)「そうですけど……最初はただ心配なだけだったのに、段々放っておけなくなって……」

川 ゚ -゚)「ほう、実に興味深い」

(;<●><●>)「からかわないで下さいよ……でも、その人とはまだ会ってから一週間も経ってないんです」

川 ゚ -゚)「だから?」

( <●><●>)「だから……まあ何だか自分がおかしくなったんじゃ……」


468 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 11:45:19.71 ID:oWhQ8Bi/O

 クーには、言いたくても言ってやれなかった。
 それはもう、その人の事が好きなんだ、と。
 しかしクーはその反面、無自覚であろうと人を好きになったワカッテマスに、嬉しさが込み上げた。


川 ゚ -゚)「よし、お祝いだ」

(;<●><●>)「はっ?」

川 ゚ -゚)「だからお祝いだ、小岩井じゃないぞ」

(;<●><●>)「そ、そういう問題では……」


469 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 11:49:24.35 ID:oWhQ8Bi/O

川 ゚ -゚)「じゃあ今日お前ん家な」

(;<●><●>)「え、ちょっクーさん!?」


 クーがそう言って帰ろうとした瞬間、予鈴が鳴った。


川 ゚ -゚)ノシ「んじゃまた」

(;<●><●>)「……」


 ワカッテマスは一人取り残され悶々としていた。


471 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 11:54:08.38 ID:oWhQ8Bi/O

从#゚∀从「ちんぽっぽちゃん待ってー!」

(;*‘ω‘ *)「いっいいいいやですっぽー!!」


 ハインは猫撫で声でチェーンソーを振り回しちんぽっぽを追い掛けていた。
 昼間なので人通りの少ない住宅地はハインにとってまさに絶好の場所。


从#゚∀从「ちょっと消すだけだからさー! 良いよねー!?」

(;*‘ω‘ *)「良くないですっぽ――!! しかもそれ消すっていうか殺す方面ですっぽ!!」


472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 11:57:41.18 ID:oWhQ8Bi/O

(;*‘ω‘ *)「そ、それに私は恩返ししなきゃいけないんですっぽ! まだ消える訳にはいかないんですっぽー!」

从#゚∀从「恩返しィ!?」

(;*‘ω‘ *)「そ、そうですっぽ! ワカッテマスさんがいなかったら死んでたんですっぽ!」

从#゚∀从「…………」


 ちんぽっぽが振り返って止まる。
 ハインもチェーンソーを持ちながらその場で止まった。


473 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 12:01:05.65 ID:oWhQ8Bi/O

(;*‘ω‘ *)「そ、それに今日やっと気付いたんですっぽ! 私はワカッテマスさんが好きなんだって!」

从 ゚∀从「……」

(;*‘ω‘ *)「だ、だけどワカッテマスさんは私の事覚えて無いし、あと三日四日くらいしか時間が無いんですっぽ…………」

从 ゚∀从

从 ;∀从 ブワッ

(;*‘ω‘ *)「!?」

从 ;∀从 イイハナシダナー


474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 12:04:36.59 ID:oWhQ8Bi/O

(;*‘ω‘ *)「……え?」

从 ;∀从「感動したっつってんの! オレは感動した!」


 何か急に泣き出した閻魔様。
 案外涙脆い良い奴なのかもしれない。
 ハインはチェーンソーをしまうと、ちんぽっぽの肩をがしっと掴んだ。


从 ;∀从「よし! 頑張れよ!」

(;*‘ω‘ *)「は、はいっぽ」


475 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 12:08:21.60 ID:oWhQ8Bi/O

从ぅ∀从 ゴシゴシ

从 ゚∀从b「じゃあ閻魔様はいつも何処かから見守っているぞ! さらば!」

(;*‘ω‘ *)「えっ!?」


 じゃあ何で来たんだよ、と突っ込みそうになった時。


从 ゚∀从「と言いたいところだが腹が減った! ちょっと何か食わせて!」

(;*‘ω‘ *)「えー…………」


477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 12:13:18.18 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)「……どうぞっぽ」

从 ゚∀从「おー、林檎だ!」

(;*‘ω‘ *)(これしか作れないとは言えないっぽ)

从 ゚∀从「いっただっきまーす!」


 結局ちんぽっぽはハインを家に呼ぶはめになった。
 しゃくしゃくと林檎を頬張るハインを見て閻魔様って自由だなと感じる。


478 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 12:18:17.39 ID:oWhQ8Bi/O

从 ゚∀从「はー食った食った、ありがとー」

(;*‘ω‘ *)(食べるの早いっぽ……)

从 -∀从「さて、閻魔様はさっさと去るとしようじゃないか」


 時は既に三時、学校もそろそろ終わる頃である。
 ワカッテマスもきっともうすぐ帰って来る。


(;*‘ω‘ *)(出て行こうって決めたのに結局これだっぽ…………)

从 ゚∀从「……お?」


483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 12:27:27.71 ID:oWhQ8Bi/O

 と、ハインが玄関のドアを開けるとそこには学校から帰ってきたワカッテマスとクーがいた。


( <●><●>)「……ど、どちら様で……」

川 ゚ -゚)「お祝いだお祝いだー……って誰だ」

从 ゚∀从「え、閻魔様かなー?」

从 ゚∀从(ん? この男の方がワカッテマスか?)

从∀゚ 从「ちんぽっぽー、こいつがお前のワカッテマスー?」

(;*‘ω‘ *)「ちょっ、ハインさん!」


484 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[もうやだ訂正] 投稿日:2008/11/24(月) 12:28:55.96 ID:oWhQ8Bi/O

 と、ハインが玄関のドアを開けるとそこには学校から帰ってきたワカッテマスとクーがいた。


( <●><●>)「……ど、どちら様で……」

川 ゚ -゚)「お祝いだお祝いだー……って誰だ」

从 ゚∀从「え、閻魔様かなー?」

从 ゚∀从(ん? この男の方がワカッテマスか?)

从∀゚ 从「ちんぽっぽー、こいつがお前の好きなワカッテマスー?」

(;*‘ω‘ *)「ちょっ、ハインさん!」


485 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 12:32:57.30 ID:oWhQ8Bi/O

(;<●><●>)「は?」

川 ゚ー゚)(なるほどな)

从∀゚ 从「あ、その反応は当たりかー!」

从*゚∀从b「初めまして! 閻魔様ことハイン様です! よろしくな!」

(;<●><●>)「は、はあ……」

川 ゚ -゚)「ああ、よろしく」

从 ゚∀从「ではお邪魔虫は華麗に去って行くんだぜ! またな!」


486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 12:37:24.64 ID:oWhQ8Bi/O

 そう言うとハインは家から飛び出して行った。


(;<●><●>)「え、あの人何しに来てたんですか……」

川 ゚ -゚)「いやあ面白い人だったな」

(;*‘ω‘ *)「ちょ、ちょっとそこでばったり出会って昼飯をご馳走したんですっぽ……」

(;<●><●>)「閻魔様とばったりって……」

487 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 12:42:07.25 ID:oWhQ8Bi/O

川 ゚ -゚)「……さて、どうやらお祝いは今度になりそうだ、またな」

( <●><●>)「え? い、いや有り難いんですが……」

川 ゚ -゚)「有り難いとは失礼な……しかし私はそれでも帰る、急用ってやつだ」

(;<●><●>)(今日は厄日なんだか何なんだか……)

川 ゚ -゚)「じゃ、またな」


 クーはこの後の二人に期待しながら、ハインと同じ様に去って行った。


( <●><●>)「で、結局残されたのは私達二人と……」

(;*‘ω‘ *)「…………」


490 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 13:00:56.86 ID:oWhQ8Bi/O

(;*‘ω‘ *)「きゅ、急に出て行っちゃってごめんなさいっぽ……」

(;<●><●>)「い、いえ気にしてませんよ……無事で何よりですが」

(;*‘ω‘ *)

(;<●><●>)


 玄関先の沈黙。
 お互い何を話せば良いのやら、と必死で思考を巡らせる。


(*‘ω‘ *)「……ワカッテマスさんおかえりなさいっぽ」

( <●><●>)「ただいま、ちんぽっぽさん」



506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 14:00:39.47 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)「え、休み?」

( <●><●>)「学校の創立記念日なのはわかってます、なので今日は暇なのですよ」

(*‘ω‘ *)「あ、じゃあ一緒に何処か行きましょうっぽ」


 六日目、残すところあと一日とほんの少し。
 どんどん時間は無くなって行く、それでもまだ、恩返しらしい事が出来ていない。
 そもそも、恩返しと言っても何をすれば良いかすら分からないのに。


(*‘ω‘ *)(今日こそは……絶対に……)


508 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 14:03:42.65 ID:oWhQ8Bi/O

 という訳で。


(*‘ω‘ *)「からおけですかっぽ」

( <●><●>)「たまには歌を歌おうと思いまして」

(*‘ω‘ *)(曲とか詳しくないからワカッテマスさんに任せるっぽ)


 二人はカラオケに来ていた。
 とはいえちんぽっぽは歌えないも同然なのでワカッテマス一人で来ている様なものだが。


(*‘ω‘ *)「からおけにはよく来るんですかっぽ?」

( <●><●>)「時々クーさんと来ます」


510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 14:05:53.90 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「ちんぽっぽさんは何か歌えますか?」

(*‘ω‘ *)「多分無理ですっぽ、だから聴いてるだけにしておきますっぽ」


 ワカッテマスはちんぽっぽが首を横に振ったのを確認すると、曲を選び始めた。


( <●><●>)「じゃあまずはこれでも歌いますか……」

(*‘ω‘ *)(……これは……)

( <●><●>)「む」


511 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 14:09:23.44 ID:oWhQ8Bi/O

 ここからはちんぽっぽの感想だけお送りします。


 一曲目。

(*‘ω‘ *)「英語分かんないっぽ……」

 二曲目。

(*‘ω‘ *)「しーえいちえーあーるえー……?」

 三曲目。

(*‘ω‘ *)「ぽにょ……?」


513 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 14:12:59.48 ID:oWhQ8Bi/O

 四曲目。

(*‘ω‘ *)「テーゼって誰っぽ」

 五曲目。

(*‘ω‘ *)「一万年と二千年前からってどんだけ生きてるんだっぽ……」


 と、見ての通り歌われたのはちんぽっぽにさっぱりな歌ばかりだった。
 そして五曲目以降もそれは続き……







517 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 14:16:11.36 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「あー久々に歌えて楽しかったです」

(;*‘ω‘ *)(……聴いた事無い歌ばっかりだっぽ……)

( <●><●>)「ちんぽっぽさん?」

(;*‘ω‘ *)「はっはいっぽ」

( <●><●>)「何か飲みますか?」

(;*‘ω‘ *)「あ、よろしくお願いしますっぽ」


 ちんぽっぽにとって今日のカラオケは、ワカッテマスの意外な一面を知る機会になったという。



521 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 14:23:09.69 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「さて、注文したのでもうすぐ届くはずですが……時間が余りますね」


 ワカッテマスは大体歌い切ってしまったらしく、時間が無駄になってしまうと考えている。


(*‘ω‘ *)「……ぽっ?」

( <●><●>)「どうかしましたか?」

(*‘ω‘ *)「あの……これなら歌えそうですっぽ」

(;<●><●>)(これ!?)


527 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 14:42:45.85 ID:oWhQ8Bi/O

 ちんぽっぽが指差したのはそれなりに有名な曲だ。


(*‘ω‘ *)(杉浦さんがよく歌ってたっぽ! きっと歌えるっぽ!)

(*‘ω‘ *)「じゃあこれ歌っても良いですかっぽ?」

(;<●><●>)「え、えぇどうぞ」


 ピ、と一押しで送信、そして……。


(*‘ω‘ *)「じーんせいらくありゃくーもあーるさー」

( <●><●>)(無駄に上手い……)


530 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[( ゚д゚ )] 投稿日:2008/11/24(月) 14:45:22.20 ID:oWhQ8Bi/O






(;*‘ω‘ *)「……ど、どうでしたっぽ?」

(;<●><●>)「かなり上手でしたね……」

(*‘ω‘ *)「本当ですかっぽ!?」

(;<●><●>)「え、えぇ……」

(*‘ω‘ *)(よ、良かったっぽ……)


532 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 14:49:17.50 ID:oWhQ8Bi/O

 そして、ワカッテマスからもちんぽっぽの意外な一面を見る事が出来たとか。


( <●><●>)「ではそろそろお昼食べに行きましょうか」

(*‘ω‘ *)「あ、じゃあ行きたい所があるんですっぽ」

( <●><●>)「分かりました」


(*‘ω‘ *)「……確かここらへんですっぽ……」

( <●><●>)「もしかしてあれですか?」

(*‘ω‘ *)「あれですっぽ!」


534 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 14:53:31.43 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)「一度食べてみたかったんですっぽ……ありがとうございますっぽ」

( <●><●>)「いえいえ」


 二人が次に訪れたのは近所のファーストフード店。
 ちんぽっぽはハンバーガーを頬張って、自分の望みが叶った事を嬉しく思った。


(*‘ω‘ *)「あれ、ワカッテマスさんは食べないんですかっぽ?」


 すると、ちんぽっぽはワカッテマスが先程から何にも手を付けて無い事に気付く。


535 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 14:57:53.34 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「あぁ、何だかちんぽっぽさんが凄く嬉しそうなのでつい」

(;*‘ω‘ *)「そ、そうですかっぽ……」

( <●><●>)「さて食べますかね」


 平日の昼時でも、ここはそれなりに人の集まる。
 そしてそのほとんどが、男女だという事にちんぽっぽは気付いた。


(*‘ω‘ *)(……周りから見たら、もしかして……)


536 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 15:01:47.52 ID:oWhQ8Bi/O

 そしてちんぽっぽはもう一つ、気にしている事があった。
 昨日ハインが言った事を、ワカッテマスはどう思っているのかと。


『ちんぽっぽー、こいつがお前の好きなワカッテマスー?』


 きっとあの時、ワカッテマスはそれを聞いていた筈だ。
 しかし、それをどう思っていたかは分からなかった。


(*‘ω‘ *)(むむむむむ……)


538 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 15:05:51.69 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「……ちんぽっぽさん?」

(;*‘ω‘ *)「おうふっ! どうしましたっぽ?」

( <●><●>)「虚ろな目でハンバーガーを見つめていたので何があったのかと……」

(;*‘ω‘ *)「そ、そうでしたっぽ? 多分ちょっとぼーっとしちゃってたんですっぽ!」

(;<●><●>)「はあ……」


539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 15:09:57.80 ID:oWhQ8Bi/O

 話が続かない。
 話したい事はお互い山程あるけれど、それを言う勇気は無かった。


(*‘ω‘ *)「……ごちそうさまっぽ」

( <●><●>)「お腹もいっぱいになった事ですし、ちょっとここらを散歩でもしましょうか」

(*‘ω‘ *)「分かりましたっぽ」

( <●><●>)「公園、行きますか?」

(*‘ω‘ *)「は、はいっぽ!」


542 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 15:15:24.33 ID:oWhQ8Bi/O

(*゚ー゚),,゚Д゚)・∀・)´∀`)

(*‘ω‘ *)「……ぽっ!」


 公園に着くと、またしてもあの四匹が並んで座っていた。
 ちんぽっぽはそこまで駆け寄ると、そこでしゃがみ込んだ。


( <●><●>)「この猫は?」

(*‘ω‘ *)「お友達ですっぽ」

(*゚ー゚),,゚Д゚)・∀・)´∀`)ニャーニャー


543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 15:19:39.57 ID:oWhQ8Bi/O

(*゚ー゚)『また会ったね』

(,,゚Д゚)『元気にしてたか?』

( ・∀・)『この前はギコのせいであんな事になってしまったね』

( ´∀`)『代わりにごめんなさいモナー』

(;,,゚Д゚)『また俺!?』

(*‘ω‘ *)「気にしないでっぽ」

( <●><●>)「?」


544 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 15:23:53.17 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「話せるんですか?」

(;*‘ω‘ *)「な、何となく?」

(*゚ー゚)『あれ、そこの人は?』

(,,゚Д゚)『目がでけえなゴルァ』

( ・∀・)『もしかして恩返しとかの人?』

( ´∀`)『モナモナ』

(*‘ω‘ *)「そうだっぽ、ワカッテマスさんだっぽ」


546 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 15:27:24.31 ID:oWhQ8Bi/O

(;<●><●>)「私がどうかしたんですか?」

(;*‘ω‘ *)「えっ? い、いや何でも無いですっぽ!」

(*゚ー゚)『照れちゃってまたー』

(,,゚Д゚)『正直になれば良いのにな』

( ・∀・)『流石ギコ空気読まない答えをありがとう』

( ´∀`)『KYキャラ定着してるモナー』

(,,;Д;)『……』


549 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 15:32:40.05 ID:oWhQ8Bi/O

 しかしこの猫達とちんぽっぽの会話はワカッテマスからしたらただのにゃあという鳴き声にしか聞こえない。
 ちんぽっぽにとって都合は良かったけれど、変だと思われてないか少しだけ心配だった。


(*゚ー゚)『ワカッテマスさんワカッテマスさん』

( <●><●>)「?」

(#,,゚Д゚)『あ、てめえ俺のしぃに手を出すな!』

(;<●><●>)「は? はい?」

( ・∀・)『馬鹿だなあギコ、ワカッテマスさんには届かないよその声』

( ´∀`)『しかも誤解しちゃってるモナー』


551 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 15:37:18.45 ID:oWhQ8Bi/O

(<●><●>;)「ち、ちんぽっぽさん、何て言ってるんですか?」

(;*‘ω‘ *)「ぽっ?」

(<●><●>;)「ちんぽっぽさんなら分かるでしょう? 片方が何か怒ってるみたいなんですけど……」

(*‘ω‘ *)「いや、下らない理由で怒ってるだけですっぽ……」

(*^ー^)『あははっ、言うねえ』

(;,,゚Д゚)『えぇっ!?』

( ・∀・)『彼女の言う通りだね』

( ´∀`)『モナモナw』


554 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 15:41:52.31 ID:oWhQ8Bi/O

 それから二人は猫達と戯れ、時にギコがKY呼ばわりされたりした。
 ワカッテマスも、何処か楽しそうに見えた。


(*‘ω‘ *)「じゃあそろそろ行かなきゃっぽ」

( <●><●>)「ああ、もうこんな時間ですか」

(*゚ー゚)『暗くなるのって早いねー』

(,,゚Д゚)『おう、またな!』

( ・∀・)『頑張ってねー』

( ´∀`)『気をつけてモナー』


557 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 15:47:32.63 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)「今日は楽しかったですっぽ」


 午後四時頃、二人は家に帰ると炬燵に入って話した。
 ちんぽっぽはそういえば、と先日杉浦に貰って置いといた蜜柑に手を伸ばした。


( <●><●>)「ええ、今日はお陰様で」

(*‘ω‘ *)「こちらこそ奢ってもらって悪いですっぽ」

( <●><●>)「気にしないで下さい、連れ回したのは私なんですから」


561 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 15:51:19.45 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「それに、今日は、本当に楽しかったです」

(*‘ω‘ *)「……ぽっ」

( <●><●>)「久し振りに、誰かと一緒に歩き回って、自分でもかなり喜んでいるのが分かりました」

(*‘ω‘ *)「…………」

( <●><●>)「……ですが」

(*‘ω‘ *)「?」


 そう言うと、ワカッテマスは黙り込んでしまった。
 ちんぽっぽは蜜柑を一口。


564 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 15:59:23.70 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「……時々、貴女が悲しそうな顔をしているのを見ると、私も悲しくなります」

( <●><●>)「私は、力になれませんか?」

(;*‘ω‘ *)「そ、れは……」


 ワカッテマスは時折ちんぽっぽの表情が暗くなるのを分かっていた。
 今日だけじゃない、今まで何度も何度も、そんな表情を目にしてきた。
 はっきりと気付いてはいないが、ワカッテマスもまた、この六日間で自分がちんぽっぽと過ごす事で変わって行くのを感じていた。


( <●><●>)「私は、寂しいです」

( <●><●>)「やっと一人じゃ無くなったと、思っていたのに」


570 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 16:04:29.57 ID:oWhQ8Bi/O

(;*‘ω‘ *)「…………」

( <●><●>)「初めて、私に会った時、貴女は何かを手伝いたいと言ってくれました」

(;*‘ω‘ *)「そうですっぽ……」

( <●><●>)「……そんな事をしなくても良いです、私はただ、側に居てくれればそれで良いです」

( <●><●>)「駄目、ですか?」


 ちんぽっぽは知っている。
 自分の気持ちと、残された時間を。


572 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 16:09:27.86 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)「本当、は、何もかも話したいですっぽ」

(*ぅω‘ *)「でも、それはどうしても出来ないんですっぽ」


 ちんぽっぽの声が震えると同時に、今まで揺れていた尻尾が床へ力無く垂れ下がった。
 ワカッテマスは、表情を変えずにそうですかと呟いて、立ち上がった。


( <●><●>)「夕飯の買い物、行って来ます」

(*ぅω;*)「…………」


 ワカッテマスは返事を待たずに出て行く。
 部屋では啜り泣く声がずっと響いていた。




603 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 18:42:05.95 ID:oWhQ8Bi/O

 むかし、むかし。
 とある少年は今にも死にそう子猫を拾った、しかし、悲しい事に子猫を飼う事は許されなかった。


「あしたで、おわかれです」

「にゃぁ」

「つうじない、ね」

「にゃぁ……」

「ねえ、ちんぽっぽ」

「……にゃぁ」

「いつか、あいにきてくれますか?」

「……っぽ」

「やくそく、ですよ」


 少年の小指と、猫の右足がくっついて。
 少年は、ゆびきりげんまん、と小さく呟いた。
 小さな小さな、約束。


606 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 18:45:22.89 ID:oWhQ8Bi/O

「そうだ」

「……っぽ?」

「わたしが、わすれてしまわないように」

「にゃぁ」

「おかあさんに、しゃしんをとって、もらいましょう」

「っぽ」


 少年はカメラを持って、母親に頼んだ。
 母親は頷くと、子猫と、子猫を抱いた少年に向かってぱしゃり。


「いいですか、ちんぽっぽ」

「にゃぁ」

「いつか、あうときがきたら」

「にゃぁ」

「あなたに、このしゃしんをあげましょう」

「……っぽ」

607 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 18:47:58.70 ID:oWhQ8Bi/O

从 ゚∀从「おい、渡辺」

从'ー'从「ん〜? 何かな〜?」

从 ゚∀从「ちんぽっぽって、あの日死んでた筈なんだろ?」

从'ー'从「そうだね〜」

从 ゚∀从「もし、その通りになってたら、どうなってたんだ?」

从'ー'从「人間として、生まれ変わってたよぉ〜」

从 ゚∀从「…………なあ、渡辺、お前は」

从'ー'从「えへへ〜」

从 -∀从

从 ゚∀从「お前が、そのつもりなら」

从 ゚∀从「オレもそれでいいと思う」

从'ー'从「そっかぁ〜、良かった〜」

从 ゚∀从「さて、どうなる事やら」

从'ー'从「私は信じてるよぉ〜」


611 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 18:52:41.69 ID:oWhQ8Bi/O

 ワカッテマスに元々、父親はいなかった。
 恐らく彼が生まれてからすぐに両親は離婚したのだろう。
 母親はそれについて何も言わなかった。


( <●><●>)「…………」

川 ゚ -゚)「ん、またお前か」

( <●><●>)「図書室にいて何が悪いと」

川 ゚ -゚)「ここは図書室じゃあない、私の城だ」

( <●><●>)「勝手に私物化しないで下さい」


613 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 18:54:54.51 ID:oWhQ8Bi/O

 そして、母親はというとワカッテマスが小学校に上がる頃、自殺した。
 当時借金を抱えていた母親は、自分が死ぬ事で保険がどうこうと考えていたのかもしれない。
 結果、ワカッテマスは中学まで親戚に引き取られ、高校生になった今年から、元々住んでいたアパートに戻ったのである。


川 ゚ -゚)「あ、そうだ」

( <●><●>)「?」

川 ゚ー゚)「ちんぽっぽとは、どうなったんだ?」

( <●><●>)「……彼女は」


614 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 18:57:53.31 ID:oWhQ8Bi/O

 そして、ちんぽっぽがやってきた。
 彼はすっかり昔の事を忘れてしまっていたけれど。
 何処かで覚えていたのだろうか、不思議と彼女を拒絶する気にはなれなかったのだ。


( <●><●>)「…………」

川 ゚ー゚)「…………」

川 ゚ -゚)「?」

( <●><●>)「彼女、とは……」

川 ゚ -゚)(え、何この嫌な空気)


618 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 19:00:59.21 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「……お別れ、します」


 そして、今、ようやく彼は気付く。
 彼女がいなくなる寸前で、自分の気持ちにようやく気付く。


川;゚ -゚)「は!?」

(;<●><●>)「ちょっ……耳に響くんですけど」

川;゚ -゚)「今はそれどころじゃないだろう! どうしてだこの馬鹿!」

(;<●><●>)(心折れそう)


621 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 19:07:32.74 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「でも……仕方無いじゃないですか」

川 ゚ -゚)「……」

( <●><●>)「私がもっと、自分の気持ちに早く気付いて」

( <●><●>)「彼女の事を思い出す事が出来たとしても」

( <●><●>)「きっと、彼女とは別れなくちゃいけなかったんです」

川  - )「……そうか」

( <●><●>)「そうです」


623 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 19:09:20.67 ID:oWhQ8Bi/O

馬鹿野郎ッ!
川#゚ -゚)っ 三 っ#)<●><●>)
         ぐえあっ!


川#゚ -゚)「何が仕方無いだ、死ね! 氏ねじゃなくて死ね!」

(#)<●><●>)「ひどっ!」

川#゚ -゚)「アイツだって本当は嫌だったろうに! 離れたくなかっただろうに!」

(#)<●><●>)「…………」

川#゚ -゚)「どんな事情があったって、お前も離れたくないんだろ!? なら引き止めろ! 馬鹿かお前は!」


624 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 19:12:31.61 ID:oWhQ8Bi/O

(#)<●><●>)「…………」

川#゚ -゚)「ったく……本当はこんな奴の為に、話してやりたくは無いがな」

(#)<●><●>)「……え?」

川 ゚ -゚)「お前、昔私に一つだけ自慢してきた事があったんだよ」

(#)<●><●>)「自慢……?」

川 ゚ -゚)「それくらい自分で考えろ、写真まで撮って約束したって言ったくせに」

(#)<●><●>)「……写真」


626 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 19:15:53.21 ID:oWhQ8Bi/O

川 ゚ -゚)「……仕方無いな」

(#)<●><●>)「?」

川 ゚ -゚)「約束、したんだろ? いつか、アイツから会いに来るって」

(#)<●><●>)「……あ」


 それは何年も昔の話。
 それは幼い頃の一つの思い出。


(#)<●><●>)「……クーさん」

川 ゚ -゚)「何だ」


628 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 19:18:40.53 ID:oWhQ8Bi/O

(#)<●><●>)「ごめんなさい、ちょっと急用が」

川 ゚ -゚)「ああ、分かってるさ」

(#)<●><●>)「昼休みの間で間に合いますかね……」

川 ゚ -゚)「ふん、知るか」

(#)<●><●>)「じゃあ、また後で」

川 ゚ -゚)「さっさと行け、馬鹿」

(#)<●><●>)「クーさん」

川 ゚ -゚)「今度は何だバカッテマス」


630 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 19:21:10.68 ID:oWhQ8Bi/O

「ありがとうございます」


 ワカッテマスは走って図書室から出て行った。
 クーはカウンターに頬杖をつくと、溜め息を一つ。


川 ゚ー゚)「本当に馬鹿だな、ワカッテマスは」

川 ゚ー゚)「……」


川 ー )「ま、私の方がもっともっと、馬鹿だな」



631 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 19:24:49.61 ID:oWhQ8Bi/O

(;<●><●>)(あーもうこんな時に片付けられてないとか酷過ぎますね)


 ワカッテマスは家にいた。
 ちんぽっぽは既に居ない、もうあの場所へと行ってるのだろう、とワカッテマスは思考を巡らせた。


(;<●><●>)「あ、あった……」


 片付けられてない本棚の中から、一冊のアルバムを引っ張り出して、乱暴に捲る。
 その中の一枚を引き抜くと、ワカッテマスはアルバムを元に戻さずさっさと家から去って行った。


642 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:00:09.66 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)「……」


 ちんぽっぽは、公園のベンチで時間が来るのを待っていた。
 ワカッテマスとは、昨日の夕方からろくに会話していない。


(*‘ω‘ *)(結局、恩返しは一週間じゃ足りなかったんだっぽ)


 彼女は溜め息を吐くと、そこから出来た白い息を見上げた。
 そうしていると、どうしようもない様な気分になっていく。


643 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:02:13.34 ID:oWhQ8Bi/O

(*ぅω;*)「……」


 頬を伝う暖かい涙を、彼女は初めて心底憎いと思った。
 ふと、足音が聞こえる。
 砂を踏む音が自分の目の前まで来て、止まった。


「……ちんぽっぽさん」

(*ぅω;*)「ぽっ……?」

( <●><●>)「ちんぽっぽさん、泣かないで下さい」

(*ぅω;*)「ワカッテマス、さん?」


645 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:04:17.67 ID:oWhQ8Bi/O

(*ぅω;*)「な、んで……」


 ちんぽっぽは涙で歪んだ視界に写る、ワカッテマスを見つめた。
 ワカッテマスはここまで走って来たのか、制服のままで、息切れを起こしている。


( <●><●>)「……まず、忘れててごめんなさい、あと、約束を覚えていてくれて、ありがとう」

(*ぅω‘。*)「遅いですっぽ……」

( <●><●>)「……これ、どうぞ」

(*ぅω‘。*)「……これは……写真ですかっぽ……?」


 一枚の古い写真が、ちんぽっぽの手の中に収まった。
 写真の中には小さな猫と、笑顔の少年。


( <●><●>)「……それと」

(*‘ω‘ *)「?」


648 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:07:07.63 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「行かないで、下さい」

(*‘ω‘ *)「ぽっ……」

( <●><●>)「どんな事情があろうと、私は貴女と離れたくありません」

(*‘ω‘ *)「……な」

( <●><●>)「?」

(*‘ω‘ *)「何でですかっぽ……?」

( <●><●>)「……それを聞きますか、普通……」

(;*‘ω‘ *)「う……」

( <●><●>)「……貴女が、好きだからに決まっているでしょう?」


 ワカッテマスがそう言うと、ちんぽっぽは話し始めた。


(*‘ω‘ *)「……私もですっぽ……あの日から、ずっとずっと、だから神様に頼み込んで、人間になって……」


649 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:10:28.34 ID:oWhQ8Bi/O

 ちんぽっぽは、全てを話した。
 条件を破る事になったとしても、構わないと、そう思ったのだ。


( <●><●>)「……なるほど」

(*‘ω‘ *)「だから私は、今日までの命なんですっぽ……だけど、離れたくありませんっぽ……」


 二人共、どうしようも無いという顔をして、溜め息を吐く。
 すると、何処からか声が聞こえた。


『それは無理な話だなぁ〜』


653 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:13:58.42 ID:oWhQ8Bi/O

(;*‘ω‘ *)「渡辺さん……」

从'ー'从「えへへ〜盗み聞きしちゃった」

从 ゚∀从「オレもー」

(;<●><●>)「あ、貴女はこの前の……」


 二人の前に、神様と閻魔様が現れる。
 しかし渡辺もハインも、何故かそれを喜んでいるように見えた。


从'ー'从「……さて、ちんぽっぽちゃん」


662 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:19:09.73 ID:oWhQ8Bi/O

(*‘ω‘ *)「……私は約束を破りましたっぽ……だから何でも受け入れますっぽ」

从 ゚∀从「よしよし、まず単刀直入に言おう、お前は生まれ変われない」

从'ー'从「やり直してもらうの」

(*‘ω‘ *)「やり直す……?」

从 ゚∀从「そこのギョロ目がお前さんの運命を捩じ曲げて、本来は生きるはずも無い分まで生きたのは知ってるだろ?」

从'ー'从「だからね、今度は貴女が、あの時死んでいたらって事になるのよ」

(;*‘ω‘ *)「え?」


667 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:22:34.30 ID:oWhQ8Bi/O

从 ゚∀从「あの時もし、筋書き通りお前が死んでいたら、お前は今頃十三歳の人間なんだ」

从'ー'从「まあ簡単に言っちゃうと〜」

( <●><●>)「約十三年前に戻って、人間として生まれる、って事ですか?」

从;゚∀从「あ、台詞取られた!」

(;*‘ω‘ *)「え? よ、よく分かりませんっぽ……」

从'ー'从「そうね……今から二年後かしら」

从 ゚∀从「そうしたら全部分かると思うぞ」


673 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:25:16.02 ID:oWhQ8Bi/O

(;*‘ω‘ *)「って事は……また、ワカッテマスさんに会えるんですかっぽ?」

从'ー'从「うふふ〜貴女の頑張り次第かな〜」

从 ゚∀从(渡辺って案外策士だから気を付けよう)

(*‘ω‘ *)「あ……ありがとうございますっぽ……」

从'ー'从「さてワカッテマスくん」

( <●><●>)「……はい」

从 ゚∀从「何かこいつに、言っておく事はあるか?」


676 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:28:09.80 ID:oWhQ8Bi/O

( <●><●>)「……ちんぽっぽさん」

(*‘ω‘ *)「……はいっぽ」

( <●><●>)「私は二年後まで……いやそれからもずっと待っています」

(*‘ω‘ *)「……」

( <●><●>)「まあ二年くらいですから、私もそんなに変わっていないはずです」

(;*‘ω‘ *)「変わってたら困りますっぽ……」

( <●><●>)「そうですね、では……」



「二年後までさようなら、ちんぽっぽさん」


682 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:31:07.63 ID:oWhQ8Bi/O

 ワカッテマスがそう言った瞬間、ちんぽっぽの身体は光に包まれた。


(*‘ω‘ *)「二年後、必ず会いに行きますっぽ」

(;*‘ω‘ *)「その時はきっと、耳も尻尾も無いでしょうけど……」

(*‘ω‘ *)「とりあえず今は、さようならっぽ」


 ワカッテマスは、より一層光が強まった時、一瞬だけその光の中で猫を見付けた気がした。


「にゃぁ、っぽ」


685 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:34:07.07 ID:oWhQ8Bi/O

从 ゚∀从「お仕事かんりょー」

从'ー'从「じゃあね〜」

( <●><●>)「どうも、ありがとうございました」


 ワカッテマスは二人が消えるのを見届けてから、空を見上げた。
 二年後にまた、会えると信じて。

 彼女はきっと、次こそ恩返ししようと、考えているはずだ。
 何故か強く、そう思った。


END


698 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:37:35.64 ID:oWhQ8Bi/O

「あー……そうですか、また」


 ピッと携帯のボタンを押して、彼は会話を終えた。
 相手は彼の幼馴染みで、今日は暇かという彼の問いに対して、親戚の墓参りだと言われたのだ。


「あれからもう、二年ですか」


 あれ、とは彼女と別れた事と、幼馴染みの親戚が亡くなってしまった事の両方で。
 どちらもとても、悲しい事だった。


708 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:40:22.76 ID:oWhQ8Bi/O

「散歩にでも、行きましょうか」


 一人でそう呟くと、彼は家から出て行った。
 目指すは公園、もしかしたらあの四匹の猫達に会えるかもしれない。


⌒*リ´・-・リ「あ、待ってー」

*(‘‘)*「早く来なよー! 猫さんいるよー!」


(*゚ー゚),,゚Д゚)・∀・)´∀`)


715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/24(月) 20:43:41.14 ID:oWhQ8Bi/O

 ほら、やっぱり、と彼は思う。
 あの四匹の猫は、二人の少女と戯れていた。
 すると彼は、ベンチに横たわる人の姿を見付けた。


「……こんな寒い日に、こんな所で寝ていたら」

「風邪、引きますよ?」

「……ん? ああ、ありがとうございますっぽ」


(*‘ω‘ *)「……ワカッテマスさん」

( <●><●>)「どうも、ちんぽっぽさん」


 恩返しはまだまだ終わりそうに無い。



‐(*‘ω‘ *) 猫と恩返しのようです‐

(今度こそ)おわり。



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