チャットルームの悪夢のようです

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:50:52.99 ID:TEab1+dr0

(,,゚Д゚)「今日からいつものアレ、やるぞ」

六人の子ども達は教室の隅に集まっている。
放課後の教室は彼らの密談にはちょうど良かった。

(*゚ー゚)「さんせーい。帰ったらいつものチャットルームで」

この学校にテストが終わった後、残って勉強する物好きなどいない。
加えて明日は土曜日である。教師達は職員室で仕事を終わらせている頃だ。
他の生徒は皆、帰宅するか部活で汗を流していた。

<ヽ`∀´>「腕がなるニダ」

少年少女達は一つの目的のために集まっていた。

( ・∀・)「今回は誰が鬼をやるんだ?」

(*゚ー゚)「前と同じ方法で決めよ」

彼らは部活に入っているわけではなく、
皆、ギコとしぃの個人的知り合いだった。

( ^Д^)「じゃあ……じゃんけんを」

彼らは、とある遊びをするために集められた。

「最初はグー」

「じゃんけん」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:51:40.18 ID:TEab1+dr0







( ^Д^)『いつも通り、俺が一番か。まぁ、当然だな。家から近いし』


彼らがその遊びの拠点としているのは簡易なチャットサイト。
どこにでも転がっている普通のサイトだ。

(*゚ー゚)『早いねプギャー』

( ^Д^)『まーな。久しぶりだから楽しみで仕方がない』

普段、チャットルームの上限人数は六人に設定してある。
パスワードまでかけてあり、彼ら以外が参加することはできない。

<ヽ`∀´>『家がちけー奴はいいニダ@電車』

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:52:54.64 ID:TEab1+dr0

(*゚ー゚)『別に急がなくてもいいよ〜。どうせ夜になるまでは誰も来ないんだから』

( ^Д^)『呼ぼうと思えば呼べるけどな』

ルームの管理を行っているのはプギャーだ。
学校から家が最も近く、誰よりも早くパソコンを起動できるとギコが任命した。

この遊びを最初に考え出したのはギコだった。
それをしぃに話し、仲間を集め、より楽しくなるように改良を重ねてきた。
今までに引っかかってきた奴は2ケタに届かないぐらいだろうか。
最後まで楽しめたのは今のところゼロ。

(,,゚Д゚)『みんないつも通りだな』

( ・∀・)『今日は君の方が早かったか。後はニダーだけだ』

ギコとモララーの家は向かい同士に立っており、
毎回チャットにログインする時間を競っていた。

<ヽ`∀´>『まだ電車だ』

( ・∀・)『今日は石鹸が切れてたんだ。運が良かったなギコ』

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:53:17.40 ID:TEab1+dr0

(,,゚Д゚)『俺はおやつとジュースを用意する余裕があったぞ』

( ・∀・)『てめー嘘ばっかりっ!!』

( ^Д^)『チャットが読みにくくなる』

(,,゚Д゚)『そうだぞモララー。負け犬の遠吠えか?』

( ・∀・)『(#・∀・)』

(*゚ー゚)『ところで、テストのできはどうだった?』

チャットの収拾がつかなくなってきたところでしぃが話題をそらす。

( ^Д^)『大したことなかったな』

(,,゚Д゚)『↑嘘乙』

(,,゚Д゚)『楽なテストだった。一夜漬けでも余裕だったよ』

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:54:21.23 ID:TEab1+dr0

( ・∀・)『ふん、あの程度のテストに勉強する阿呆がいるとはね』

( ^Д^)『嘘じゃねぇよ。そう言うお前はどうなんだギコ?』

(,,゚Д゚)『別に普通だ。悪くもなし、良くもなし』

<ヽ`∀´>『てめーら頭良すぎるんだよ糞が!』

( ・∀・)『コイツ最高にクズ↓』

(*゚ー゚)『ハインは普段からずっと寝てるからだろ』

(*゚ー゚)『( ゚ー゚)』

(,,゚Д゚)『将来ずっと平社員で謝り続けるクズの図↓』

( ・∀・)『ごめん、しぃちゃん。orz』

(,,゚Д゚)『バカが引っ掛かったようだ(笑)』

( ・∀・)『(### ・∀・)』

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:54:47.42 ID:TEab1+dr0

( ^Д^)『君らいつまで喧嘩してんのさ』

(,,゚Д゚)『モララーが悪い』
( ・∀・)『ギコが悪い』

(*゚ー゚)『仲がいいんだか悪いんだか……』

( ・∀・)『悪い!!』
(,,゚Д゚)『悪い!!』

会話はつまらない日常の話に終始する。
毎日学校で会っていて、特別チャットでする話などほとんどないのだから。

<ヽ`∀´>『家についたぞ』

一時間ほど後、これ又いつも通りにニダーが家に着く。
僅かなタイムラグがあって、パソコンに交代する。

(,,゚Д゚)『全員そろったからそろそろ始めるぜ』

今までと全く同じ時間に遊びは始まる。
ギコ達はチャットからログアウトし、長々とあったログは全て消された。
パスワードを解除し、フリーの部屋に見せかける。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:55:18.54 ID:TEab1+dr0

( ^Д^)『食事AFK』

一人退出しなかったプギャーは一言だけ残し、晩飯を食べに部屋を出た。
30分後、食事を食べ終わったしぃが戻ってくる。

(*゚ー゚)『こんばんワぁ→あれ……食事AFK……?』

( ^Д^)『ただいまーっす。あ、うっす。PGって呼んでください』

(*゚ー゚)『よろしく。私は、猫猫です。PGさんは、いつもこのチャット利用してるんですか?』

( ^Д^)『たまにっすね。普段は音楽とかやってます』

(*゚ー゚)>>( ^Д^)
音楽wwwww腐れ音痴がよく言うわwwwww

( ^Д^)>>(*゚ー゚)
うっせwwwwただの設定だろうがwwwww

(*゚ー゚)『へー。私は音楽だめなんですよぉ〜』

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:56:27.11 ID:TEab1+dr0

△ 【モラ】が入室しました

△ 【コギ】が入室しました

( ・∀・)『こんー』


モララーとほぼ同時刻にギコもログインする。

(,,゚Д゚)『こんばんワ(ゝω・)vキャピ』

(,,゚Д゚)『コギちゃんって呼んで^^ください☆三』

( ・∀・)>>(,,゚Д゚)
死ねよ糞!精神衛生に悪いわ

(,,゚Д゚)>>( ・∀・)
黙れど腐れ包茎短小

( ・∀・)>>(,,゚Д゚)
テメっ何で知って……

(,,゚Д゚)>>( ・∀・)
え? マジで包茎? ひくわ……

(*゚ー゚)>>(,,゚Д゚)( ・∀・)
二人とも喧嘩してないで喋って!
不自然でしょ!

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:56:50.90 ID:TEab1+dr0

( ・∀・)『おか』

(,,゚Д゚)『ヨロシク\(>_<)』

ζ(゚ー゚*ζ『こんばんわー』

(,,゚Д゚)( ^Д^)( ・∀・)(*゚ー゚)
来たッ!

彼らの遊びは大きな口を開けて獲物を待つことから始まる。
見知らぬ者同士を装い、何気ない会話をしながら。

(*゚ー゚)『こんばんわ』

( ^Д^)『っす』

( ・∀・)『女の子来た!?』

(,,゚Д゚)『こんばんワぁ。プロフィール見たけど女の子? *^^』

ζ(゚ー゚*ζ『女の子です。デレって呼んでくださいー』

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:57:15.17 ID:TEab1+dr0

( ・∀・)『女の子が二人も来るとは。はぁはぁ』

(*゚ー゚)『モラさん怖いよ』

ζ(゚ー゚*ζ『えへへ。気にしないでください』

( ^Д^)『今日さー同じサークルの奴が彼女に振られてさ』

( ^Д^)『うざいのなんのって。昔からお前嫌われてましたよってこと』

(,,゚Д゚)『最初から嫌ワれていたんだネ☆』

ζ(゚ー゚*ζ『お二人とも打つのが早いですね。羨ましいです』

(,,゚Д゚)『こうやってぇ→チャットで練習するといいョφ(・、・)』

(*゚ー゚)『慣れればだんだん早くなるよね。あの二人は随分早いけど』

( ・∀・)『僕も結構速いと思うんだ』

ζ(゚ー゚;ζ『モ、モラさんも早いんですね』

( ^Д^)『デレさん困ってるじゃん』

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:57:51.45 ID:TEab1+dr0

最初は馬鹿な話題で対象の緊張と警戒をとく。
チャットに参加している4人のうち1人が【語り】役となっており、そいつがいつもの話題を切りだすのを待つ。
今回はモララーが【語り】役であり、彼にとって初めての【語り】役だった。

( ・∀・)『ところでさ、面白い噂を聞いたんだけど』

( ^Д^)『ん?』

(*゚ー゚)『どんな噂?』

(,,゚Д゚)『勿体ぶらないでよぅ→→><』

( ・∀・)『友人から聞いた話なんだけど』

( ・∀・)『チャットの呪いって知ってる?』

(,,゚Д゚)『なぁにソれぇ〜→チョー面白そうジャン*・ω・』

( ^Д^)『チャット?』

ζ(゚ー゚*ζ『私はちょっと怖いなぁ』

(*゚ー゚)『大丈夫だよデレさん。呪いなんてあるわけないって』

( ・∀・)『あるグループがチャットをやってたらさ、一人が強制ログアウトしたんだ』

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:58:11.78 ID:TEab1+dr0

( ・∀・)『で、間を開けずにすぐにログインしてきたのは……その人じゃなかった』

( ・∀・)『名前欄は文字化けで読めなくて』

( ・∀・)『その人の書き込みもね、全部文字化けしていたんだよ。
      誰も解読できなかった』

( ・∀・)『そして、それから一人ずつチャットから消えていった』

( ・∀・)『彼らは死んだんだよ。チャットの呪いでね』

( ^Д^)『馬鹿らしい。だいたいチャットから抜けたのに、どうやって死んだなんてわかるんだよ』

(*゚ー゚)『んー思ったよりも大したこと無かったね。PGさんの言う通りだし』

(,,゚Д゚)『怖かったヨ→ぅ;_; デレちゃんは大丈夫ぅ?』

ζ(゚ー゚;ζ『私も・・・・・・怖かったです><』

【語り】役がの考えたストーリーを話すことで第一段階は終了する。
次は【鬼】役の出番である。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:58:51.22 ID:TEab1+dr0

【鬼】役は最初っからチャットには参加しない。
【語り】役の仕事が終わった後に携帯で連絡する。

(,,゚Д゚)「終わったぜ」

<ヽ`∀´>「おっ。今回は早かったニダね」

(,,゚Д゚)「プギャーがいつも通りに呼びこむから、頼む」

<ヽ`∀´>「いっちょ暴れてやるニダ」

(,,゚Д゚)「んじゃ、またあとで」

報告を終えると、今度はプギャーに連絡をする。

(,,゚Д゚)>>( ^Д^)
待機完了

( ^Д^)>>(,,゚Д゚)( ・∀・)(*゚ー゚)
始めるぞ

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:00:01.22 ID:TEab1+dr0


プギャーは管理者権限を用いてモララーをチャットから弾き出した。
ほぼ同時にニダーが入室する。

● 【モラ】が退室しました

△ 【塙兇サ??恟x?????瑪ゥ祷??歩??~尿ケ奧教ォ午??卅?ヌ゙???問???孝イ??衽ブ粃?楳楮】が入室しました

【鬼】役である彼は文字化けを意図的に行って入室する。
パソコン関連に多少なりとも詳しければ、すぐに意図的な変換わざとだと気づくだろう。
実際に数人はこれを看過し一言二言呟いて出ていった。

ζ(゚ー゚;ζ『え? え? そんな・・・・・・ね? 冗談・・・・・・ですよね・・・・・・?』

( ^Д^)『モラさん……? どういうことだよこれっ』

<ヽ`∀´>『?ァ??匿?字r???嵐??削佑佐w?????噛エ??簾????寔??モ??????彝ニ坑ィ??坐?????先?剏十?形?町』

(*゚ー゚)『冗談でしょ……。モラさん! ふざけてないでください』

(,,゚Д゚)『嫌……死にたくないよ……』

彼女の反応は上々だった。
かつてない怖がりように、ギコ達は面白がって不安を煽る。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:01:02.44 ID:TEab1+dr0

(*゚ー゚)『PGさん、チャット主催ですよねっ! 叩きだしてください!』

( ^Д^)『やってる! やってるけどできないっ!』

<ヽ`∀´>『??卅ニニニ?????問???孝???奠?q塑偕?恥゙?捨歩桧?敦???????變ア>?莅聾??畳????x??????祷??歩??~尿チ偐乎?乏????』

● 【猫猫】は退室しました

( ^Д^)『俺は何もしてないっ!』

(,,゚Д゚)『いやだ……』

<ヽ`∀´>『デ???????????ペ?嬾??腮?????衽?粃?楳?楮?楫?衷?袍?躑變??腥妄??咀?』

● 【コギ】は退室しました

<ヽ`∀´>『畍?筱??米?????束帷づ?????佛幟歛?繿?????晧幎????婚??????半卒?笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑』

( ^Д^)『死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
あああああああああああああああああああああああああああああ』

<ヽ`∀´>『笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑』

● 【PG】は退室しました

● 【デレ】は退室しました

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:01:37.50 ID:TEab1+dr0


ギコ達は予め示し合わせていた別チャットに集合していた。
退室した彼らは裏側で待機する。
最後にプギャーが全てのやりとりをコピペして貼り付けることになっていた。

(*゚ー゚)『ビビりすぎでしょwwwwww』

( ・∀・)『腹いてーwww』

(,,゚Д゚)『癖になるなwwwwwwww』

△ 【プギャー】が入室しました

△ 【ニダー】が入室しました

<ヽ`∀´>『乙かれニダ』

( ^Д^)『お疲れ。なかなか良かったぞ。笑はどうかと思うがなwwww』

<#`∀´>『ファッビョーン!!』

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:02:19.63 ID:TEab1+dr0

( ・∀・)『今日はもう寝るよ。明日の夕方にまた入る』

(*゚ー゚)『私も』

(,,゚Д゚)( ^Д^)<ヽ`∀´>『乙』

● 【モララー】が退室しました

● 【しぃ】が退室しました

<ヽ`∀´>『明日もやるニカ?』

(,,゚Д゚)『当然だ。この週末で何回成功するか楽しみだな』

( ^Д^)『今日みたいな頭の弱い女が来てくれれば楽でいいよな』

<ヽ`∀´>『今まではどうだったんだ?』

(,,゚Д゚)『男が6人、女が今日のをいれて2人だお』

( ^Д^)『基本的に男はつまらない。あんまりチャットに感情を出さないし、パソコンに詳しい奴も多いしな』

( ^Д^)『その点女は楽しいな』

(,,゚Д゚)『プギャー……変態みたいだな』

( ^Д^)『ちげぇよっ!』

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:02:44.87 ID:TEab1+dr0

(,,゚Д゚)『一回目の女の子は怖がらせ過ぎて、全員落ちる前に落ちちまった』

<ヽ`∀´>『なるほど。それは確かに微妙ニダ。さって……ウリもそろそろ落ちる。
      明日は夜集合でいいニカ?』

(,,゚Д゚)『おう』

<ヽ`∀´>『二人とも乙』

(,,゚Д゚)『また明日ー』

● 【ニダー】が退室しました

( ^Д^)『初めてうまくいったな』

(,,゚Д゚)『ああ。特に問題は無かったか?』

( ^Д^)『特には。あの女携帯で参加してたみたいだが、パソコン限定にするか?
      あいつ俺が落とす前に勝手に落ちやがったしな』

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:03:06.11 ID:TEab1+dr0

(,,゚Д゚)『んー。その辺はあんまり変わんないだろ。
    今のままでいい』

( ^Д^)『りょーかい。みんな落ちたし俺も寝るか』

(,,゚Д゚)『んじゃまた明日』

● 【プギャー】が退室しました

● 【ギコ】が退室しました

最後の二人がいなくなり、ルームは閉じられた。
誰もいなくなったルームは五分後に履歴をすべて削除される。


△ 【   】が入室しました

『               』

『                       』

『                     』

『       』
『 』
『  』
『』
『』
『           』

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:03:25.97 ID:TEab1+dr0

● 【   】が退室しました

その存在は誰に知られることもなく、記録はインターネットの海から抹消された。


(,,゚Д゚)「っと……もうこんな時間かお」

───それでは次のニュースです

(,,゚Д゚)「あーなになに。母さんは買い物ね」

───昨日夜、○×市の女子学生がトラックにひかれる事故がありました

(,,゚Д゚)「カップヌードルでも食うかお……」

───目撃者の証言によりますと プツン

(,,゚Д゚)「テレビつけっぱなしかよ」

誰も見ていないテレビの電源を落とし、ギコは二階の部屋に戻った。
パソコンを立ち上げ、いつものチャットにログインする。

● 【ギコ】が入室しました

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:04:19.65 ID:TEab1+dr0

( ^Д^)『おせーよ。ねぼすけ野郎』

(,,゚Д゚)『悪かった……』

( ・∀・)『もう始めるのか?』

(*゚ー゚)『いや、日が落ちてからだよ。適当にオンゲでもして時間を潰そう』

<ヽ`∀´>『把握ニダ』

5人はネット対戦形式のゲームで時間の調整をする。
日が沈む前に怪談話をしても何も怖くないからだ。

(,,゚Д゚)『そろそろか』

(*゚ー゚)『うん』

( ^Д^)『語りはしぃ、鬼はギコで。さっき決めた通りにな』

● 【ギコ】は退出しました

────ゲームが始まった。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:05:06.64 ID:TEab1+dr0


結論から言えば、凄惨たる結果だった。
罠にかかったのは男が二人、女が一人。

男はどちらもからくりに気付き、笑いながらチャットを退出していった。
女は【語り】が喋りはじめた瞬間に落ちてしまったのだ。

( ・∀・)『つまんね……』

<ヽ`∀´>『アイゴー! 時間の無駄ニダ。謝罪と賠償を要求するニダ』

(,,゚Д゚)『後一回だけやろう』

(*゚ー゚)『成功率を上げないと意味ないよね』

(,,゚Д゚)『ぐっ……鬼は俺がやる』

( ^Д^)『まぁそういうなよ。ラスト一回な。語りは俺がやろう』

( ^Д^)『ほらほら、ログ消すから出た出た』

最後だと納得したのか、反対していたモララーもすぐに落ちた。
誰もいなくなったチャットのログを破棄し、プギャーはログインし直す。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:05:36.25 ID:TEab1+dr0

△ 【PG】が入室しました

( ^Д^)『お暇な方、少し話しましょう』

暫くしてしぃ達が順に入室する。
最後のモララーと同時に来た客は誰も予想していない人物だった。

△ 【渡辺】が入室しました

从'ー'从『ふぇ〜こんばんわぁ〜渡辺ですぅ〜』

( ^Д^)『あ、ども。本名感バリバリのHNすね』

( ・∀・)『女の子なら大歓迎ですよー。いらっしゃい』

从'ー'从『HNてなんですかぁ〜?』

<ヽ`∀´>『ハンドルネームのことで、本名以外の呼び名のことニダ』

(*゚ー゚)『もしかして渡辺さん本名なの?』

从'ー'从『みんな、書くの早ぃ〜』

( ^Д^)>>(*゚ー゚)<ヽ`∀´>( ・∀・)
初心者キタ───ッ!!

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:05:58.67 ID:TEab1+dr0

(*゚ー゚)>>( ^Д^)( ・∀・)<ヽ`∀´>
決めてね

<ヽ`∀´>>>( ^Д^)(*゚ー゚)( ・∀・)
ニダニダ♪

( ・∀・)>>( ^Д^)(*゚ー゚)<ヽ`∀´>
wkwktktk

从'ー'从『そうだよ〜ぅ。渡辺晴海。25歳でぇ〜す。えへへ〜教師やってまぁ〜す』

( ^Д^)(*゚ー゚)( ・∀・)<ヽ`∀´>
渡辺先生じゃん!!!

5人の罠にかかったのは、彼らの担任である渡辺だった。

( ^Д^)『ほ、本名を使うのはあんまりよくないですよ……』

从'ー'从『そうなの〜? ありがとぅ〜』

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:07:55.45 ID:TEab1+dr0

<ヽ`∀´>>>( ^Д^)(*゚ー゚)( ・∀・)
っしゃーやろうニダ! 月曜日にネタバレして驚かしてやるニダ!

( ・∀・)>>( ^Д^)(*゚ー゚)<ヽ`∀´>
賛成だね。先生が安心して泣き崩れる姿を想像するだけでもうっ

( ^Д^)>>(*゚ー゚)<ヽ`∀´>( ・∀・)
まぁ、運が悪かったってことで

从'ー'从『今度から気をつけるねぇ〜』

( ・∀・)『渡辺さんは彼氏とかいるんですか?』

(*゚ー゚)『そう言うこと聞いたら失礼でしょ……』

从'ー'从『彼氏さんはねぇ〜いませ〜〜〜ん。募集中で〜す』

<ヽ`∀´>『ワタシには聞いてくれないんだな』

(*゚ー゚)『ニダーさん男じゃなかったの!? 性別欄書いてないし、男口調だし……』

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:08:32.18 ID:TEab1+dr0

<ヽ`∀´>『あー……そういえば性別欄埋めてねーな』

从'ー'从『あ、ちょっと電話でできますぅ〜』

( ・∀・)『いってらっしゃぁ〜い』

( ^Д^)『そういえばさ、このまえ面白い話を聞いたんだけど』

モララーが暴走しており、会話の区切りを見つけられなかったプギャーが強引に話を持ち出す。
渡辺が退席している間に場を整えるために。

(*゚ー゚)『面白い〜って話は地雷でしょ……』

( ^Д^)『そう言わずに聞いてくれよ』

从'ー'从『電話終わりましたぁ〜何の話ですかぁ〜?』

( ^Д^)『最近ネットでよく聞く話なんだけど』

( ^Д^)『チャットの呪いっていうのがあるみたいだ』

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:09:15.21 ID:TEab1+dr0

( ^Д^)『何気なくチャットで会話してたら、突然誰かが落ちるんだ』

( ^Д^)『そして、一人入ってくるんだけど』

( ^Д^)『名前は文字化け。チャットの言葉も全部文字化け』

( ^Д^)『その"何か"がチャットに入ってくると、他の人間が一人ずつ落ちていくんだ』

( ^Д^)『一人ずつ、呪い殺されていくっていう話』

(*゚ー゚)『胡散臭いなぁ……』

( ・∀・)『そんな馬鹿なことあるわけないじゃん』

<ヽ`∀´>『ちょっと怖いくらいニダ』

从;ー;从『そんな・・・・・・怖いじゃないですか・・・・・・面白くも何とも』

( ^Д^)『志村ー! 口調口調! あくまで噂なんだし、そんなにビビらなくてもさ』

(*゚ー゚)『なんでネットの先の人が死んだってわかるのか、みたいな突っ込みどころもあるしね』

● 【PG】が退室しました

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:09:54.44 ID:TEab1+dr0

(*゚ー゚)『え?』

<ヽ`∀´>『嘘……』

△ 【??ウィ癜ヌ姿並癖?v??キ煕?寿ア姿ウ】が入室しました

(*゚ー゚)『冗談でやってるだけなんでしょ、PGさん?』

从'ー'从『え?え?』

<ヽ`∀´>『やばいって……やばい』

『・?ケ、、、○ニ、ュ×市、ソ、ト、筅熙ヌ、ケ。」コヌカ扉亜・エ・隍熙マハ』

● 【ニダー】が退室しました

( ・∀・)『ニダーさんっ! くそっ何がどうなって』

从'ー'从『dどどうしたらいいんですか?』

(*゚ー゚)『○×市って見えるの私だけ……?』

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:10:16.28 ID:TEab1+dr0

『、筅ス、ホソ???高校ァ皃ヒヌ??网テ、ソ、隍ヲハ筅シ?』

● 【猫猫】が退室しました

从;ー;从『○×市って私の住んでる・・・いや一人にしないで』

『女女女ホ、隍ヲ蜊第ッ縺ァ縺吶<>縺ュ・育ャ托∬ヲ九◆縺・↑縲・死死死死死死死′縺」縺ヲ縺阪 、ス、・ネ。「シォハャ、マ?』

● 【モラ】が退室しました

『繝ウ繝医・・ア縺後>縺」縺ア縺・ゥー縺セ縺」縺溘し繧、繝医』

从;ー;从『みんなもどってきてういあやだしにあたくないしにたくない』

『泳ナイZ^ワkンィ逶ョ縺励縺゚rホユ酸索レ・k逋ス繝ッ+ヨ・ンァ』

●【渡辺】が退室しました


───別チャット───

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:10:58.54 ID:TEab1+dr0


( ^Д^)『先生吃驚してるだろうな。月曜日が楽しみだわ』

(*゚ー゚)『ギコ君、なかなか気が利くじゃない。市の名前を出すなんて』

△ 【ギコ】が入室しました

(,,゚Д゚)『大成功だ!』

( ・∀・)『乙』

その後ギコは全員から賞賛を受け、今日のゲームは終わった。
日曜日には集まらないことに決まり、彼らはチャットを解散した。


───月曜 学校───



/ ,' 3 「皆さんに大変残念なお知らせがあります」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:11:29.67 ID:TEab1+dr0

月曜日の一時間目の授業は無かった。
全生徒は体育館に集められ、全校集会が始まる。

/ ,' 3 「誠に残念なお知らせですが……。
     もうすでに聞き及んでいる生徒もいるとは思いますが、この週末、我が校から二人の貴重な命が失われました」

/ ,' 3 「渡辺先生と中神てれ、さんの二人です。非常に痛ましい事故でした。
     皆さんには命の大切さを再認識してほしいと思います。
     余り長いこと話すつもりはありません。三分間の黙祷で集会を終わりにします」


悲しみに涙する者。
隣と会話をする者。
様々な者がいたが、皆一様に死を悲しんでいる。

その中でギコ達だけは違った。
彼らは悲しみよりもずっと驚きの方が大きかった。

(,,゚Д゚)(どういうことだ……なんで渡辺先生が……)

( ^Д^)(たまたま……だろ……)

その日の授業は特別に午前中で終った。
クラスメートが帰宅した後、ギコ達は放課後の教室に集まる。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 23:21:10.22 ID:TEab1+dr0

(#・∀・)「聞いてないぞギコ! 本当に……人が……」

ギコの襟首をきつく握りしめるモララー。
温厚な彼が怒っている姿を見て、ギコもたじろぐ。

(,,゚Д゚)「お、俺も訳が分からん!」

<ヽ`∀´>「落ち着くニダ、モララー。偶然の可能性もあるニダよ」

( ^Д^)「そうだ。とりあえず誰かから話を聞かないと……」

(*゚ー゚)「残念だけど……」

しぃは教室に直接向かわず、図書館に行っていた。
昨日の新聞を取りに行っていたのだ。

( ゚ー゚)「ここに書いてあるの……。深夜いきなり部屋を飛び出してきたって。家族の話だと思う。
    事故が起きたのはそのすぐ後……」

(,,゚Д゚)「そんな……」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:22:11.12 ID:TEab1+dr0

彼らにとってチャットの呪いは、ただの遊びのつもりだった。
本当にそれで人が死ぬとは一片たりとも考えていなかったのだ。

( ゚ー゚)「このゲームはもうやめるべき……やっちゃいけないと思う」

( ^Д^)「しぃに賛成だ」

<ヽ`∀´>「直接的じゃないにしろ……こうなっちゃうと」

(,,゚Д゚)「わかった……」

彼らはゲームをやめると決断する。
それは誰がどう考えても懸命な選択だったろう。



しかし…………それは、あまりにも遅かった。



その夜、自然と全員がチャットに集まった。
誰一人として遊びをしようと思ったものはいないだろう。
ただ、話がしたかったのだ。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:23:27.69 ID:TEab1+dr0

人を死に追いやってしまった可能性があることに、誰も落ち着いていられなかった。
無言が続くチャットルームに、プギャーが書きこむ。

( ^Д^)『何か喋れよ』

<ヽ`∀´>『何を?』

(#・∀・)『渡辺先生は俺達が殺したんだぞ!』

(,,゚Д゚)『世間は事故死とするだろう。だが、モララーの言うとおりだ……』

(*゚ー゚)『ギコ君は考え過ぎだよ』


再びの長い空白。


それを破ったのは来るはずのない六人目。

● 【ニダー】が退室しました

△ 【     】が入室しました

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:23:56.47 ID:TEab1+dr0

( ・∀・)『ん? ニダーどうした?』

(,,゚Д゚)『そういう冗談は笑えないぞ』

 『      』

(*゚ー゚)『やめといた方がいいと思うけど』

(,,゚Д゚)『ん、電話だ』


<ヽ`∀´>「ギコニカ? 今チャットどうなってるニダ?」

(,,゚Д゚)「どうなってるも何も、こういう悪戯は駄目だろ」

<ヽ`∀´>「違う! ウリじゃない! ウリはいきなりチャットからたたき出されて」

(,,゚Д゚)「え? じゃあこれは誰だ? パスワードかけてるから他の人は入れないはずだぞ!」

<ヽ`∀´>「プギャーに聞いてくれ!」


(,,゚Д゚)『プギャー、ニダーじゃないって言ってる』

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:24:39.97 ID:TEab1+dr0

( ・∀・)『そんな馬鹿なことがあるもんか』

 『 t g #あn??d−wkお???s##』

(*゚ー゚)『私たち以外はパスワード誰も知らないでしょ』

( ^Д^)『これは……ニダーじゃない。IPが表示されてない……くそっ』

● 【     】が退室しました

△ 【ニダー】が入室しました

<ヽ`∀´>『やっと入れた……何があったニカ?』

(,,゚Д゚)『本当にお前じゃないんだよな?』

<ヽ`∀´>『何を言ってるのかわからないけど、ウリは今やっと入れた』

(;^Д^)『それは本当だ……どうなってるんだよ』

(*゚ー゚)『気味が悪い……。もう解散しよう』

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:25:22.28 ID:TEab1+dr0

( ・∀・)『賛成だね。また明日学校で』


───火曜 学校───


(,,゚Д゚)「おはよう」

( ^Д^)「ギコか……」

教室の黒板には一時間目の授業が学年集会に変更されたことが書いてあった。

そして、見慣れたはずの教室にある強い違和感。

その原因は、机の上にある小さな花瓶。

(#,,゚Д゚)「ニダーの席か……。こんな悪戯はしたやつは出てこい」

花瓶を片づけようとするギコをプギャーが止める。

(;^Д^)「ギコ……悪戯じゃ……ないんだ……」

(,,゚Д゚)「どういう……ことだ?」

大きな音がドクオの説明を遮った。
息を切らせながら駆けこんできたのはモララー。

( ・∀・)「クラスの奴が言ってたが……本当なのか?」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:26:06.38 ID:TEab1+dr0

事情が呑み込めないギコにプギャーが説明した。
ニダーが昨日事故に遭って死んだことを。

( ^Д^)「トラックの荷台を積むロープが切れて……荷物の下敷きに……」

(,,゚Д゚)( ・∀・)「!!」

( ^Д^)「かなりひどい事故だったらしい……」

プギャーも朝、学校で他の生徒から聞いたそうだ。
ゆえにその詳細を知らない。

ニダーが巻き込まれたのは、言葉で表現できるほど生易しいものではなかった。
高架下を歩いてコンビニに向かっていたニダーは、
上から落ちてきた廃材に身体を貫かれた。

落ちてきた後続の車はニダーを押し潰し、衝撃で引火した。
肉片すらまともに残っていない惨状であったことを知らないのは、
彼らにとって幸せだったのかもしれない。

その日もまともな授業は行われなかった。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:26:46.82 ID:TEab1+dr0

放課後にいつも通り集まる彼らは、一人少ない。
チャットに参加したメンバーが二人連続で死ぬ。
偶然とは思えない一致に誰も言葉が出ない。

(,,゚Д゚)「まさか……」

( ^Д^)「そんなわけないだろ。あれは遊びだ、お前が作った。違うか?」

(,,゚Д゚)「そうだ……」

(*゚ー゚)「ギコ君、もう帰ろう? 話し合ってても答えなんて出ないよ」

ギコがニダーを呼んだのは頭数をそろえるためであり、
他の人間との接点がほとんどなかった。
その日は、ほぼ何も話すことなく解散となった。


異変に気付いたのは、二日目のチャットの時。
はチャットの設定を変えていた。
謎の侵入者が入ってこれないように、パスワードを変更し、最大人数を一人減らした。
それをメールで全員に送信する。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:27:27.94 ID:TEab1+dr0

( ・∀・)『これで入ってきたら』

(,,゚Д゚)『俺たちはどうなる……』

( ゚─゚)『死ぬの……?』

(; ^Д^)『嘘だろ……? 俺達が何したって言うんだよ!!』

(,,゚Д゚)『落ち受けプギャー。まだそうと決まったわけじゃない』

( ・∀・)『こういう"呪い"ってのは精神的な影響の方が大きいみたいだからな』

(#^Д^)『ふざけんなよ! ただの遊びじゃねえか! それがっ! 何でこんな……』

△ 【しぃ】が退室しました

● 【     】が入室しました

(,,゚Д゚)『ニダーは事故で死んだのか? それとも』

(,,゚Д゚)『!』

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:28:32.74 ID:TEab1+dr0

『      』

( ・∀・)『結局空白か……』

( ^Д^)『くっそ、何で管理者権限で追い出せねーんだよ』

 『                   』

( ^Д^)『ルーム閉じるぞ。明日学校で会おう』

プギャーがルームを閉じ、強制的に全員部屋から追い出される。
それからすぐにギコの携帯が鳴る。

(* ー )「ギコ君?」

(,,゚Д゚)「俺だゴルァ」

(* ー )「ごめんね……声だけ聞きたかったの。今日は家から出ないことにするね」

(,,゚Д゚)「あぁ。何かあったら呼んでくれ」

(*゚ー゚)「うん、それじゃ」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:28:59.05 ID:TEab1+dr0


───水曜 学校───


(,,゚Д゚)「……ッ!!」

学校へ向かう途中に人だかりがあった。
その向こうに見えるのは、焼け焦げた家の後。

(,,゚Д゚)「中の人は無事なのか!? おいっ!」

すぐそばにいた警官に詰め寄る。

「君、ここの家の人と友達かい? 昨日の夜、火事があってね……。
残念だけど……」

首を振る挙動で全てを察した。
しぃの家族は皆死んだのだ……。

(,, Д )「そんな……」

「放火じゃないみたいだけどね。火の元は家の中だったようだよ。
これ以上はまだ分からないんだ。早く学校に行きなさい」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:29:21.81 ID:TEab1+dr0

週の残りの学校が休みになった。
生徒が三人、教師が一人。
偶然とはいえ、不幸が重なり過ぎたからだ。

ギコの教室には二つの花瓶が置いてあった。
まだ瑞々しいプギャーの机のものと、今日新たに置かれたのであろうもの。

一時間目に再三の全校集会が行われ、その日は解散になった。
残された三人は、示し合わせたかのように集まった。

──静寂。

( ^Д^)「どうすればいいんだよ……」

( ・∀・)「家にいても、外に出ても殺されちまう……」

(,,゚Д゚)「……チャットに入らないのはどうだ……?
    今まではチャットにあのわけのわからんのが入ってきたからじゃないのか?」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:29:56.08 ID:TEab1+dr0

( ^Д^)「チャットに入らないってことか……」

( ・∀・)「連絡はどうやってとる?」

(,,゚Д゚)「寝る前にメールを一斉送信する」

( ^Д^)「それで決まりだ……。火の元は気をつけろよ」

三人は話し合いが終わって、すぐに帰宅した。
外にいること自体が危険なことのように思えたからだ。

(,, Д )(ただの遊びだったはずだ……なんで、なんでしぃ達が死ななきゃ……)

(#・∀・)(何が呪いだよ……ふざけんなよ糞が)

(;^Д^)(死にたくない死にたくない……いやだいやだ……)

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:30:33.40 ID:TEab1+dr0



夜、ギコは寝る前にメールを送信した。

(,,゚Д゚)「しっかり戸締りしたし、火の元も大丈夫だ。みんなも気をつけてくれ」

モララーはその時、本を読んでいた。
読書をすることで現実を忘れていたかったのだ。
不快なバイブ音で引き戻されたわけだが。

( ・∀・)「ぬるいな、ギコ……。俺は窓を開けたままにして、脱出経路も確保してるんだよ」

わざわざ階下に降りて家の安全を確認する。
そして携帯を手に取り、文字を打ち込んでいく。

( ・∀・)「呪いなんてあるわけないだろうけどな……」

彼の一言は強がりというより願いであった。

モララーのメールが携帯を振動させる。
その持ち主は部屋の中にいなかった。

(;^Д^)「はぁ……」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:31:04.90 ID:TEab1+dr0

プギャーはひたすらに検索をしていた。
2回の受信を無視し、パソコンに文字を打ち込んでは消していく。

【呪い】【解除の仕方】【チャット】【チャットの呪い】

それぞれのワードを試行錯誤するも、何一つ見つからない。
ギコのオリジナルだというのは本当だった。

( ^Д^)(どうしようもないだろ……。せめて何かヒントがあれば……)

( ^Д^)「【霊能力者】チャットの呪い【急募】」

大手匿名掲示板、そのオカルト専門の場所へ立てられるスレ。
プギャーの知る全ての情報を書き記したスレッドは、最初は伸びはしたものの、
すぐに減速した。

その書き込みのほとんどはプギャーを批判するものであった。

『PC影響を受けるなんてありえない』

『偶然乙』

『人殺しハケーン。通報しました』

(#^Д^)「くそっ……人の気も知らずに……」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:31:29.59 ID:TEab1+dr0

その中で唯一、プギャーに興味を持つ者がいた。

『あなたの方から強烈な霊の存在を感じます。やりたいことは早めにやっておいた方がいいですよ』

案の定、他の住民からは叩かれていた。
それも気にかけず、そのID持ち主は続ける。

『遊びのつもりだった……ですか。嘘から出た真という言葉もあります。
私があなたにかけられる言葉は、自業自得、ですけどね』

僅かに残る生存の可能性に必死にすがりつく。
騙されているかとも思ったが、我慢することはできなかった。

( ^Д^)「助かる方法はあるのか?」

『死んだ人がこう言ってきたらどうします? "生き返らせてくれるのか"とね。
人を呪わば穴二つ。既にあなたのための穴は用意されているのですよ。
いつ落ちるかはわかりませんが』

( ^Д^)「くそっ……役立たずが」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:32:28.02 ID:TEab1+dr0

パソコンの電源を落とし、ベッドに横になる。
誰かに見られている。
そんな錯覚から抜け出すために、頭まで布団をかぶって眠りについた。


─── 木曜 ───


( ^Д^)「くっそ……最悪の寝覚めだ……」

天気はどんよりと曇り空であり、湿度が高かった。
身体に張り付くパジャマの気持ち悪さが生を実感させる。

( ^Д^)「生きてる……か……。 他のみんなは……」

机の上に置いてある携帯を手に取る。

(;^Д^)「ギコ……出てくれっ……頼むっ」

十を超えるコールが鳴る。
最悪の想像を振り払うかのように、携帯を握る手に力が入る。

(,,゚Д゚)「プギャーか…………」

( ^Д^)「焦らすんじゃねぇよ……俺はてっきり……」
      後はモララーだが」

(,,゚Д゚)「……」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:32:50.86 ID:TEab1+dr0

電話先から返事が返ってこない。
絞り出すように出てきた声は少し掠れ、うまく聞き取れなかった。

(,,゚Д゚)「モララーは……今病院だ……」

( ^Д^)「嘘……だろ……昨日はチャットをしてないのに……」

(,,゚Д゚)「見舞いに……。行くか?」

( ^Д^)「……わかった」



─── 病院 ───



(  ∀ )「」

(,,゚Д゚)「生きて……るんだよな」

「彼は生きている」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:33:13.72 ID:TEab1+dr0

医者の声が胸に突き刺さる。
確かにモララーは生きているのだ。
心電図は鼓動を刻み、胸がゆっくりと上下する。

「二階から落ちた時に首の骨が折れ、脳に酸素が送られていなかった。
つまり今の彼は……植物人間状態だ……」

( ^Д^)「目を覚ますことはないのですか?」

「現代の医学では……奇跡を信じるしかない」

植物状態は眠り続けているようだと表現される。
は、まさにその通りだと思った。

(,,゚Д゚)「モララー……」


─── プギャーの家 ───


二人は病院から真っ直ぐプギャーの家に向かった。

( ^Д^)「どうすりゃいいのかな……。チャットに参加してもしなくても……死ぬ。
      俺達このままじゃ……」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:33:38.70 ID:TEab1+dr0

(,,゚Д゚)「…………」

オリジナルで考え出した遊び。
その解き方は考えていなかった。
考える必要なんてないと思っていたからだ。

( ^Д^)「ルールをつけ足したりってことは?」

(,,゚Д゚)「俺が呪いにしたわけじゃない。……だから……おそらくできない」

( ^Д^)どうすりゃいいんだよ……。このままじゃ死ぬのを待つだけ……」

(,,゚Д゚)「多分、一つだけ……」

自分が考えていた遊びの設定を思い出す。

一つ、ネット上のチャットに突然現れる。

一つ、そのチャットに参加していた者の命を奪う。

そのどちらも、頭の中で自然に想定していた前提があった。
それは───ネット世界が呪いを感染させるということ。

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:34:47.08 ID:TEab1+dr0

(,,゚Д゚)「つまり……ネットと関係ない所に行けば助かるかも……しれない……」

( ^Д^)「この辺だと……」

パソコンで付近の地図を検索する。
最も近く、最も電子機器から離れた場所。

( ^Д^)「ここか……」

街のはずれにある一軒の洋館。
今は誰も使われておらず、電気も通っていない。
近所では有名は心霊スポットであったが、他に一晩を凌げそうな所など無かった。

(,,゚Д゚)「あそこは……」

( ^Д^)「でもこのままじゃ確実に死ぬ……それしか助かる方法がないんなら……」

(,,゚Д゚)「……」

その洋館の噂は、この町の誰もがよく知っていた。
殺人事件が起きた場所だということを。
現在では立ち入り禁止となっていることも。

( ^Д^)「行くぞ……俺は母さんに言ってくる。お前も連絡しとけよ」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:35:32.58 ID:TEab1+dr0

(,,゚Д゚)「わかった……」

腕時計を見ると、数字は16:00と表記されていた。
母親の携帯にかけ、夜はプギャーの家に泊まると伝える。

( ^Д^)「準備できたか?」

部屋に戻ってきたプギャーは両手いっぱいに菓子を抱えていた。

( ^Д^)「飲み物も持ってきた。これで一晩くらいどうにかなるはずだ」

(,,゚Д゚)「もう行くのか?」

( ^Д^)「善は急げだ。進入できなかったら別の場所も探さないといけない」

二人は無言で自転車をこぎ続けた。
その籠には食料と殺虫剤、その他いろいろなものが詰め込まれている。

市街に住んでいる二人の家から洋館はかなり遠い。
その門の前についた時、時間はすでに18:00を回っていた。

(,,゚Д゚)「思ったより時間がかかったな……」

( ^Д^)「でけ……」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:36:14.40 ID:TEab1+dr0

巨大な機械仕掛けの鉄扉と高い塀の向こう側に、それはあった。
既に仕掛けは壊れ、窓ガラスは割れて外壁には蔦が張り付いている。

沈みゆく太陽に照らされ赤黒く染まり、不気味さを醸し出している。
夏場であるにもかかわらず身体が凍るような寒気が止まらない。

(,,゚Д゚)「入るぞ」

( ^Д^)「どこから……?」

プギャーが門を押すと、大きな音を立てながらゆっくりと開いた。
呻き声をあげるかのように。

( ^Д^)「開いてる……」

建物の中は想像以上に暗かった。
持参していた懐中電灯のスイッチを入れ、足元を照らす。
床板は痛み、歩くたびみしみしと軋む。
蜘蛛の巣が張り巡らされており、あちこちからカタカタと音が聞こえる。

(; ^Д^)「な、何の音だ?」

(,,゚Д゚)「鼠だな……二階でいいか?」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:36:48.52 ID:TEab1+dr0

階段の板は所々が腐り落ちていた。
踏み外さないようにゆっくりと登る。

(,,゚Д゚)「この部屋……はやめとこう」

細い光の先には壁に張り付く真っ赤な血液。

(; ^Д^)「うあああああああああああああ」

(,,;゚Д゚)「落ち着けよっ……」

胸に手を当ててギコは平常心を取り戻そうとする。
激しく脈を打つ心臓はすぐには収まらない。

(; ^Д^)「はぁっはぁっ……」

廊下の一番に奥にある部屋は他に比べ状態がよかった。
大きめのレジャーシートを敷き、快適に過ごせるように整える。

(,,゚Д゚)「これで一晩……か……」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:37:35.88 ID:TEab1+dr0

会話をしていなければ、外の音が響く。
風が木々を揺らす音。
窓が震える音。
建物全体が軋む音。

その一つ一つが精神を削っていく。



ガタンッ


窓に映った二つの小さな黄色い瞳。



(,,゚Д゚)「!?」
( ^Д^)「!?」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:40:05.42 ID:TEab1+dr0













「にゃーお」











( ^Д^)(,,゚Д゚)「ネコか……」

(,,゚Д゚)「はぁっ……」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:41:06.94 ID:TEab1+dr0


( ^Д^)「今何時かわかるか……?」

(,,゚Д゚)「……ちょうど18:50だ」

( ^Д^)「トランプを持って来たんだ」

二人の目的は明日一日を生き延びること。
今までの情報を総合すると、夜に死ぬ可能性が高い。

呪いから逃れるためにはネットから離れればいいと考えたブーンの案により、
この場所に来たことを既に後悔しつつあった。

暗闇に押しつぶされるような錯覚の中、ひたすら婆抜きを続ける。



肩に感じる違和感を振り払い


向こうにゆらめく姿を影と願い


足音の様な振動を空耳と信じ

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:42:13.04 ID:TEab1+dr0


( -Д^)「眠くなってきたな……今何時だ?」

片目をこすりながら聞く。
ギコはゆっくりと時計を覗き込む。

(,,゚Д゚)「23:55だ……」

( ^Д^)そうか……それが正確なら……後5分……か……」

(,,゚Д゚)「ずれるわけがない……電波時計だ……」


プギャーは脳が起きていくのを感じていた。
地面に水がしみこむかのように。

ゆっくりと、回転していく。

呪いはネットを介して広がっていく。

呪いはネットを前提に作られた。
だから、その影響である【死】はネット環境がなければ発現しない。

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:51:35.96 ID:TEab1+dr0

それが二人のたどり着いた結論。

生き残るための最後の抜け道。

それが、がらがらと崩れていく。

( ^Д^)「今、なんて言った……?」

(,,゚Д゚)「この時計は……電波時計だから……」

この時になって初めて気づいた。
電波時計がどういうものなのか。

( ^Д^)「早く外すんだ! ぶっ壊そう!」

腕から外した時計を、プギャーが奪い取り、壁に叩きつける。

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:52:59.96 ID:TEab1+dr0




ピピピッ



ピピピッ



衝撃で壊れたのか、アラームの音が鳴り響く。



ピピピピピ



ピピピピピ



ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ
ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:54:00.05 ID:TEab1+dr0



(#^Д^)「くそがっ!」


プギャーは床の上の時計を全力で踏んだ。


バキッ


砕けた────




────足元





              「プギャーっ!!!」



伸ばした手は届かない。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:55:04.78 ID:TEab1+dr0


「ああああああああああああああああ」



骨が折れる嫌な音と同時に、声は止まった。


(,, Д )「うあ……あ……あああああああああああああああああああ」


叫び声を上げて部屋をとび出す。
廊下を走り抜け、階段を飛びおり、闇雲に前に進む。

(,, Д )「がぁっ」

何かにぶつかって、尻もちをついた。
鼻に暖かいものを感じる。

だが、それを確認することができない。
ライトは置いてきていた。



(,, Д )「あ……あ……」

手さぐりで門扉を探し当てると、そこから夜の深い闇の中を駆け抜けていった。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:55:46.66 ID:TEab1+dr0



────────────




ザザ……





○×市で高校生が数日間の内に何人も事故で亡くなりました。
彼らは皆、死の前にインターネットでチャットをしており、
警察は事故との何らかの関係性を調べています。



ザ………






プツン


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