从 ゚∀从告白のようです

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/05(日) 22:16:12.82 ID:YZtIfCzh0
川 ゚ -゚)「――それで、私になんの用だ?」

放課後の教室。わたしは目の前にいる先生から目をそらせないでいた。
何故ならば、わたしはこれから彼女に告白しようとしていたから――

从;゚∀从「あ、あの!」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/05(日) 22:22:55.49 ID:YZtIfCzh0
从;゚∀从「わたしと、付き合って下さい!お願いします」

川 ゚ -゚)「ふむ?いったいどこに付き合えと?」

こちらの動揺などつゆしらず、冷静に対応してくる。
惚れた弱味がなければイラつくほどだ。

从;゚∀从「そうじゃなくて、恋人同士になって欲しいんです!」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/05(日) 22:28:25.21 ID:YZtIfCzh0
そう言い切ると彼女は溜め息をつき、

川 ゚ -゚)「確かに私は君の秘密を知ってしまったが、口外するつもりはないよ。口止めなどしなくてもいい」

そう。わたしは女性しか愛せない。いわばレズだ。
いろいろな事情から担任である彼女にそれがばれてしまった。
それも、恋い焦がれていた彼女に。

从 ゚∀从「口止めしたい訳じゃないんです!純粋に貴女が好きなんだ!」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/05(日) 22:38:12.43 ID:YZtIfCzh0
川 ゚ -゚)「君がそう言ってくれるのは光栄だが、教師と生徒が付き合うというのはどうだろうか」

それに、女同士だ。
普通に考えれば到底受け入れられない。
わたしは、半ば諦めていた。この思いを秘めたまま卒業までいようと思っていた。

だけど、ばれてしまった。
どうせ軽蔑されるならドン引きされてもいい。
そう考え駄目元で告白した。

从 ゚∀从「教師と生徒で駄目ならわたしが卒業したあとでもいい!なんだったら学校だってやめる!だから!」

目を真っ直ぐに見つめながらそう叫ぶ。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/05(日) 22:52:38.00 ID:YZtIfCzh0


川 ゚ -゚)「……かわいい生徒の真剣な願い、か。ならば私も真剣に向き合わないとな」

それを聞いた瞬間「ああ、断られるのか」という考えが頭を支配する。
だけど、後悔はしていない。
きっと、ずっと告白できずにいることの方がもっと辛かったはずだから。

川 ゚ -゚)「わかった。付き合おう」

从;゚∀从「ああやっぱり……ってえええええええええ!?」

川 ゚ -゚)「なんだ、君から告白してきたんだろう?」

从;゚∀从「そりゃそうですけど、まさかOKを貰えるなんて……」

川 ゚ -゚)「人生何事も挑戦だからな。しかし、ばれたら君も私もただではすまないぞ?」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/05(日) 23:10:03.66 ID:YZtIfCzh0
从 ゚∀从「わたしは覚悟出来てるからいいですけど、先生は……」

川 ゚ -゚)「なに、気にすることはない。決断したのは私だ」

川 ゚ -゚)「さて、もうそろそろ帰りなさい。他に用事はないんだろ?」

夢みたいだ。
ずっと憧れてた先生と付き合えるなんて。
跳びはねたいのをこらえながら帰路につく。

从 ゚∀从「やった……!やったぞ……!」

――――――――――

翌日、それこそ昨日のことが夢だったかのように全く普段通りに先生は接してきた。
でも、移動教室から戻ったら、わたしの机の中に先生からの手紙が忍ばせてあった。
それが昨日のことが夢じゃなかったことを証明してくれていた。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/05(日) 23:25:25.69 ID:YZtIfCzh0
その後、休日にデートに出かけたり、放課後にこっそりと会ったりした。
本当に幸せだった。
そう、「だった」。

从;゚∀从「な……んだよ、これ」

ある朝、登校してみると黒板に大きな文字で「ハインリッヒとクー先生は付き合っている」という内容の文章が書いてあった。
わたしとクー先生に対する罵倒で埋め尽くされていて、とても先生に見せられる様なものではなかった。

从;゚∀从「クソッ!!誰がこんな……」

先生が来る前に必死になって文字を消していると、まわりの生徒がこっちを見ていることに気付く。
とても冷たい、軽蔑するような目で。

从;゚∀从「なんだよお前ら!!こんな根も葉もない噂信じてんのかよ!」

勿論根も葉もない噂などではなく真実だが、その場を取り繕うために嘘をついた。
文字はなんとか先生が来る前に消せたが、わたしと先生が付き合っているという事実まで消えてしまいそうで怖かった。

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/05(日) 23:36:12.57 ID:YZtIfCzh0
次の日も、また次の日も、黒板に文字が書かれるのが止まることはなかった。
わたしは、黒板の文字をいち早く消すために登校を早くして、その傍ら犯人を探すことにした。
先生にばれないために秘密裏で。

だが、どれだけ探そうが犯人は影も形も見えない。
どんどんとわたしは追い詰められていた。

――――そして。

川;゚ -゚)「なんだ……これ……」

とうとう先生にばれてしまう時がきた。
疲れはてて寝坊してしまい、黒板を消すことが出来なかったからだ。

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/05(日) 23:49:50.66 ID:YZtIfCzh0
――――――――――

川;゚ -゚)「そう、か……覚悟はしていたがばれてしまったなら仕方ないか」

从;゚∀从「す、すみません……わたしが付き合って下さいなんてお願いしたから……」

川 ゚ -゚)「いや、君だけの責任じゃないさ。私もうかつだったんだ」

川 ゚ -゚)「しかし、こうなってしまっては私は教師を続けることは難しいな」

从;゚∀从「で、でも!まだ本当だってばれた訳じゃ……」

川 ゚ -゚)「こういうのは噂でもたってしまっては駄目なんだよ。いくらこちらが嘘だと言い張ろうが疑いは晴れない」

从;゚∀从「そ、そんな……」

川 ゚ -゚)「君に責任はない。私が強要した、ということにしよう。……もう、二度と会わないほうがいいかもな」

从;゚∀从「わ、わたしもやめます!だから、だから!!」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/05(日) 23:58:32.17 ID:YZtIfCzh0
川 ゚ -゚)「君には将来がある。私一人がいなくなればすむことに君まで巻き込む訳にはいかない」

彼女の意志は固く、わたしがどうこういったところで止められるものではなかった。
しかし先生の将来すらわたしのわがままのせいでぶち壊しになってしまう。これでいいのか?

从;゚∀从「うう…………」

川 ゚ー゚)「なに、別に死ぬわけではない。生きていればどこかで会えるさ」

そういって微笑んだ先生は、とても美しかった。まわりの景色が霞むくらいに。
だが――

川 ゚ -゚)「それとも、君のご両親の力でこの不祥事をもみ消してくれるのか?」

次にかけられた言葉は、とんでもないものだった。

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/06(月) 00:05:47.63 ID:OaaMZSbR0
从; ∀从「え?」

なにを、いっているんだ?

川 ゚ -゚)「もう一度聞こえるように言ってあげようか。『君のご両親の力でこの不祥事をもみ消してくれるのか?』……あのときみたいに」

動悸がする。
教室がぐるぐると回っているような錯覚に陥る。
なんで、なんでそんなこと、

川 ゚ -゚)「……『内藤ホライゾン』」

心臓が大きく跳ねる。

川 ゚ -゚)「どうやら忘れてはいなかったようだな。君の事だから頭の中から消し去っているのではと心配だったよ」

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/06(月) 00:17:32.20 ID:OaaMZSbR0
从; ∀从「そんなこと、川 ゚ -゚)「なんで知っているのか、だろう?」」

川 ゚ -゚)「確かに私はその頃君の中学にはいなかった。大学生だったからね」

川 ゚ -゚)「でも、私は『内藤ホライゾン』――彼とは面識があった。家庭教師をしていたから」

川 ゚ -゚)「それと――私と彼は恋人同士だった。教師と教え子、という関係だったが所詮バイト、問題はなかったよ」

清らかな交際だったけど、幸せだった。と言い放つ先生からわたしは目をそらすしかなかった。

川 ゚ -゚)「彼が自殺したと聞かされたとき私は絶望した。その後しばらくはなにもする気がおきなかった」

川 ゚ -゚)「だが彼が自殺などするわけがない、と考え、色々と調べるうちに君のグループがいじめをしていたことにたどりついたんだ」

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/06(月) 00:30:31.51 ID:OaaMZSbR0
川 ゚ -゚)「外傷が残りづらい陰湿ないじめだったようだね。担任の教師はおろか、君のクラスメイトすらそれに気付いていたものは少なかった」

从; ∀从「…………」

川 ゚ -゚)「気付いていたものも、君を敵に回すことを恐れて手出し出来なかった。――――君のお父上は地元の有力な国会議員、お母上はコメンテーターだから」

川 ゚ -゚)「というわけで誰にも邪魔されずにいじめが続けられた君は、ある日いつものように内藤ホライゾンをいじめていた」

从; ∀从「や……やめて、やめて下さい!」

川 ゚ -゚)「君は彼が、ブーンが止めろと言った時に止めたことがあったのかな?
――珍しく、彼はその日君たちのいじめに抵抗した。それを振り払おうとした君は、彼を階段の上から突き落としてしまった」

川 ゚ -゚)「君が、ブーンを、私の最愛の恋人を殺したんだ」

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/06(月) 00:45:17.30 ID:OaaMZSbR0
从; ∀从「う、うわああああああ!!」

川 ゚ -゚)「とりあえず正当防衛ということで片付けられるものであったが、君の経歴に傷がつくことを恐れたご両親がこの事件をもみ消した。――自殺という形で」

川 ゚ -゚)「これを知ったとき、私は絶対に君に復讐しようと思ったよ。
また、君が彼をいじめようとした理由が実にくだらないものだった」

川 ゚ -゚)「君のクラスメイトの津出デレが、ブーンに想いを寄せている。当時、彼女に惚れていた君はブーンを標的にいじめを始めた」

从#゚∀从「くだらなくなんか……川 ゚ -゚)「くだらないよ。少なくとも人一人の命と釣り合うものではない」」

川 ゚ -゚)「もう、わかったろう?私が今回のすべてを仕組んだ犯人だよ。……こうも簡単に引っ掛かってくれるとは思わなかったがね」

川 ゚ -゚)「このことを公表しようと思いもしたが、結局握り潰されたのでは意味がないから、君を直接狙ったんだ」

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/06(月) 00:58:15.35 ID:OaaMZSbR0
川 ゚ -゚)「君が私を慕ってくる姿――実に滑稽だったさ。『私はこんなに矮小な存在に復讐心を抱いていたんだ』と思うくらいに」

从; ∀从「くっ……!」

川 ゚ -゚)「私は君に直接的な危害は加えない。君と同類になりたくはないから」

川 ゚ -゚)「また、私は君に情を抱くことは決してない」

そういって携帯電話を開き、待ち受け画面をこちらに見せてくる先生。
そこに写っていたのは――

从; ∀从「子供……?」

川 ゚ -゚)「そう、子供だ。私と、ブーンのな」

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/06(月) 01:08:42.19 ID:OaaMZSbR0
从; ∀从「え……?」

さっきは、清らかな交際だったって、

川 ゚ -゚)「私と彼は直接性交渉に及んだことはない。だけど遺伝子的にはこの二人は私とブーンの子供で間違いない」

从; ∀从「まさか……」

川 ゚ -゚)「そのまさかだよ。姉が研究で確保していた彼の精子を提供してもらった。――君はこの二人から父親を奪ったんだ」

从; ∀从「あああああ……」

川 ゚ -゚)「私はこの件の責任を取り、教師を辞める。これで君と二度と会うこともあるまい」

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/06(月) 01:17:49.07 ID:OaaMZSbR0
从; ∀从「ま、待って!!待って下さい!!」

川 ゚ -゚)「なんだ?私の用はもう終わったんだが」

すがり付くように声をかける。
わたしは、わたしは――

从; ∀从「恋人でなくてもいい、この事件はもみ消して貰いますから、だから卒業までこの学校にいてください」

わたしは――
どんなことをされようがもう先生から離れることは出来なかった。
惨めなわたしを見て先生が笑う。

川 ゚ー゚)「くっくっくっく……あははははははは!!」

川 ゚ー゚)「君は、最低だな」

そう微笑んだ先生の笑みは、どこまでも冷たく、どこまでも美しかった――――

川 ゚ -゚)酷薄のようです 終わり


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