- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 16:37:37.30 ID:yCBJp5K70
…―大都市の大通りはこんなにうるさいものか?
手にした紙コップのコーヒーを飲みながら考える。
_
(;●∀●)「トラギコ社のコーヒーっつーのはこんなに薄いんだな…」
120ルフォで買ったコーヒーが、こんなにも不味いとは思ってなかった。
一応はブラックを頼んだつもりだったが、べらぼうに薄味だ。苦くもない。
同じ値段でドクターペッパーを買った方が得した気分になれた気がする。
これほどに故郷のコーヒーが懐かしく感じられたのはいつ以来だろうか?
_
(;●∀●)「もう絶対買うもんかよ」
彼は神とサングラスにそう誓った。
彼は一人、大都市を歩いていた。
観光に来た訳じゃないし、好きで来た訳でもない。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 16:38:47.03 ID:yCBJp5K70
- その顔には傷一つなく、ただ高価そうなサングラスが彼の雰囲気をより強烈にしている。
そしてサングラスには毎日の手入れの賜物である輝き。
服装は、空軍パッチが結構貼ってある黒いフライトジャケット。
ズボンはDTのカモ柄。
手にはハッチ社のSGKミリタリーグローブ。
シューズはOAKLEY社のA.S。
ジャケットの内ポケットには財布と予備のサングラス。
それに、腰のホルスターにはSIG SAUER P220が収められている。
この男、名をジョルジュという。
今年になって34歳。独身。
職業はVIP国防省輸送軍(VIP.Transportation Command)に所属するC-5輸送機の専属パイロット。
生まれはロビー州の田舎町のコーヒー焙煎店の長男。
この歳になって初めて故郷で父親が焙煎した以外のコーヒーを口にした男。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 16:40:42.39 ID:yCBJp5K70
- (;●∀●)「絶対に飲まないって決めてたのにな…」
空になった紙コップをそこらのゴミ箱に投げ捨てる。
_
(;●∀●)「親父は正しかったよ…」
「全ての物事は慣れが大事だ」
今は亡き父親の残した名言。
ジョルジュはこれに従って来た。
いつでも。どんなときも。
でもコーヒーだけはジョルジュなりのこだわりがあって、父親のコーヒー以外は飲まなかった。
上官に薦められたコーヒーもことごとく断り続けて、今じゃ輸送部隊の端くれになっている。
_
(;●∀●)「たかがコーヒー、されどコーヒーなんだよなぁ…」
慣れはここまで人生を左右する、恐ろしい毒薬だった。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 16:41:35.65 ID:yCBJp5K70
- 普通なら今日は出勤日。
いつもの様に自分の機体の状態を相棒達と確認して、
整備士達と愛機の馬鹿みたいにでかいエンジンのオーバーホールを手伝うハズだった。
でも予定が狂った。
今日ジョルジュが大国VIPの首都を一人で歩いている理由は二つ。
一つ目は、自分には到底関係ないような上階級の上官に呼び出されたこと。
二つ目は、車の免許と特殊航空ライセンスは持っているが、生憎彼のガレージには飛行機はおろか車さえ無いということ。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 16:43:10.85 ID:yCBJp5K70
- _
(;●∀●)「ったくよ…何も悪いことなんざやってねぇよ…」
お呼びが掛かったのは軍法会議系じゃないから、悪行関係じゃないのは確かだった。
今日はサブウェイと首都鉄で事故が発生したために、この時間は交通機関はバスとモノレールのみ。
ジョルジュもバス停でしばらく待っていたが、運悪く一部の渋滞で思うように動いていないらしい。
しかもモノレールは目的地の周辺には通っていないときた。
交通機関を使っていない分、足が疲れてきている。
_
(;●∀●)「世の中には電車にさえ乗ったこともない人々が沢山いるんでしたね!」
どこからともなく「そりゃぁそうじゃ!」と聞こえた気がしたが、振り払おうと努力した。
じゃあ自分より運の悪い人間はいるのだろうか?
彼はひたすらに罵る。
_
(;●∀●)「でもなぁ、中古車でいいから買っておけばよかったなぁ!」
その瞬間目の前を颯爽と銀色のアキュラ・NSXが駆け抜ける。
_
(;●∀●)「高級車バロスwwwwww」
今はひたすらに愚痴るしかストレス発散手段がない。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 16:47:43.06 ID:yCBJp5K70
- 今日の朝の4:00丁度に寝ていたベットの横で電子音が鳴り響いた。
お呼び出しは空軍特殊作戦軍団(Air Force Special Operations Command)の人材関係の首都支部。
素晴らしい目覚まし時計だと内心関心していた。
でも遠くの州にあるAFSOC司令本部に呼ばれなかっただけでも幸いだと思う。
と言うより、そう思わないと過労死してしまう気がしたから、仕方なくそう自分に言い聞かせている。
季節的に肌寒い。雪はちらついている程度だが、夕方から大雪になるとかならないとか。
_
( ●∀●)「さて、用事のついでに雪が降らないうちに晩飯の調達が出来るならそれでいいよな」
ジョルジュのプラス思考は止まらない。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 16:48:55.78 ID:yCBJp5K70
_
( ●∀●)「はい到着っと」
綺麗なオフィス系の高層ビル。内装もまんざらではない。
サングラスを外して色々といじる。
_
( ゚∀゚)(なんかあれだな…。冬季っていいよな)
美しい水滴の付いているサングラスを少し拭き、内ポケットに入れてカウンターへ向かう。
_
( ゚∀゚)「すんませ〜ん」
軽く声をかけてみた。
ミセ*゚ー゚)リ「どうされました?」
女性がにこやかに対応したきた。
_
( ゚∀゚)「支部長に呼び出されちゃって」
ミセ;゚ー゚)リ「え…」
戸惑う女性。
それも戸惑いようが半端ない。もしかしたら死ぬかもってくらいに。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 16:50:12.76 ID:yCBJp5K70
- _
(;゚∀゚)(え…?俺何かまずいことを…)
ミセ;゚ー゚)リ「あのぅ…言い辛いのですが…」
_
( ゚∀゚)「?」
ミセ;゚ー゚)リ「その…服装の方は…大丈夫でしょうか? というより、軍の方…ですよね?」
_
(;゚∀゚)「あ…」
急いで出てきたからか、つい私服で来てしまっていたのに気づかなかった。
今日の相手は仮にも空軍の上官である。これはちょっとまずい。
_
(;゚∀゚)(そりゃ戸惑うわな…)
_
(;゚∀゚)「まぁ…その…なんだ…」
こうなったらプラス思考全開で応戦だ!
頭の中のミニジョルジュが口に指令を出した。
_
( ゚∀゚)「俺支部長とマブ達だから!大丈夫!」キリッ
こうキリッと言ってあげた。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 16:53:56.97 ID:yCBJp5K70
- こうキリッと言ってあげた。
ミセ;゚ー゚)リ「そ…そうですか…」
ミセ*゚ー゚)リ「なら大丈夫ですね!」キリッ
…おお、素晴らしい天然さだ。
階級章を見ると上級軍曹となっている。結構高い。
ミセ*゚ー゚)リ「ではお名前と階級、認識番号をどうぞ」
_
(*゚∀゚)(いいおっぱおいいおっぱお☆)
ミセ;゚ー゚)リ「あの…」
_
(;゚∀゚)「ああああ、ごめんごめん」
_
( ゚∀゚)「ジョルジュ・N・アシュレイ、空軍中尉。認識番号849213」
ミセ*゚ー゚)リ「アシュレイ…ドイツ系ですか?」
_
(;゚∀゚)「え…ああ、違うよ」
_
(;゚∀゚)「ちょっとした小ネタさwはははwww」
ミセ;゚ー゚)リ「そうですか」(認識番号とか超パネェっす)
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 16:56:51.83 ID:yCBJp5K70
ミセ;゚ー゚)リ「…じゃあ今確認しますね」
慣れた手つきでタッチパネルを操作しながら女性が喋る。
ミセ*゚ー゚)リ「はい、確認しました」
ミセ*゚ー゚)リ「AMC(航空機動軍団)所属のパイロットですか」
_
( ゚∀゚)「うんにゃ」
ミセ*゚ー゚)リ「前の湾岸には出撃を?」
_
( ゚∀゚)「そんときゃまだガキだったな」
_
( ゚∀゚)「実戦に突っ込まれたのは…98年の歯車王国攻勢から5年とちょいくらいかな」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 16:58:35.67 ID:yCBJp5K70
- ジョルジュ自身、実際には兵隊や機材を輸送していただけだが、一応戦場には出向いてはいた。
銃なんて訓練以外で撃ったことなんかない。ましては人なんて撃てない。
人を撃った瞬間に、自分が崩れてしまいそうだからだ。
自衛のために携帯はしているが、自衛が出来るだろうか心配だった。
ミセ*゚ー゚)リ「てことは見かけより若い…はっ!」
_
(;゚∀゚)(なん…だと…?)
見えない衝撃波がジョルジュを襲う。
「ついうっかり」とはこの事だろう。
いい見本のようにさらりと天然が出た。
_
(;゚∀゚)「うぼぁ」
今までもそんなことを言われてきた。
でも、いつ言われても嬉しくなんかない。
ミセ;゚ー゚)リ「…失言でした、すみません………」
_
(;゚∀゚)「…俺幾つに見える?」(失言っておまwwww)
恐そる恐そる聞いてみる。
そしてさらなる追撃がジョルジュを襲う。
ミセ;゚ー゚)リ「えっと…42」
_
(; ∀ )「―ッ!?」
この瞬間、ジョルジュの心の中で小さな種が割れた。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 16:59:49.54 ID:yCBJp5K70
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ支部長に今問い合わせますね」
そう言って女性は電話機を操作し始めた。
あれから少し無駄話をしていた。
お約束の時間にはまだ間に合う。
ミセ*゚ー゚)リ「…はい……わかりました〜…はい」
ミセ*゚ー゚)リ「おkです。ですが、今支部長は食事中だと秘書さんが言ってました」
_
( ゚∀゚)「すまんね、色々と」
ミセ*゚ー゚)リ「いいんですよ。元々話しを伸ばしたのは私の方ですし」
何かどんなときでもにこやかに話すってのは高等技術だな、とジョルジュは考えた。
ミセ*゚ー゚)リ「支部長室は37階のbフロア、お手洗いの近くになります」
_
( ゚∀゚)「あいよ」
ミセ*゚ー゚)リ「どうも〜」
_
( ゚∀゚)「そんじゃね〜」
そう言ってジョルジュは踵を返す。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:03:21.97 ID:yCBJp5K70
- _
( ゚∀゚)(結構感じのいい女性だったなー…)
_
( ゚∀゚)(エレベーター使おうっと)
エレベーターの操作ボタンを押して、この階に来るまで待つ。
_
( ゚∀゚)(しかし…、何の用で呼び出されたんでしょうかね?)
朝から自問自答しっぱなしの自分が馬鹿らしく思えてきた。
やがてドアが開き、ジョルジュはエレベーターに乗り込む。
37階のボタンを押し、ドアが閉まるのをただ見つめた。
_
( ゚∀゚)(支部長食事中かぁ…。美味いもん喰ってるんだろうなぁ)
_
( ゚∀゚)(じゃあ晩御飯は両面焼きの目玉焼きにしようかしら♪)
_
( ゚∀゚)(…でもさ、今日の朝もそれだったやん)
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:04:32.89 ID:yCBJp5K70
_
(;゚∀゚)(そう言えばマブダチって言っちゃったけどどうしよ…)
そう思った矢先、突然エレベーターが止まった。
15階だった。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:05:15.95 ID:yCBJp5K70
- _
( ゚∀゚)(確か15階ってレストランフロアだってお嬢ちゃんが言ってたよね?)
ドアが開くと少しのコーヒーの香りと、肉料理特有の香りが混ざって漂う。
するとすらっとした中年の男が中に入ってきて、37階のボタンを押そうとして、
すでに押されていることに少し驚いた様子だった。
どうやら目的地は同じらしい。
見るからに軽装だが、ここで昼食を食べていたということは軍属だ。
万年歩兵というイメージもない。
ということは将校か、それに近い階級の者だ。
(´・ω・`)「君ずいぶんとラフな格好だねぇ…。軍属なの?」
中年男はジョルジュに唐突な質問をしてきた。
_
( ゚∀゚)「え…?ああ、まぁ一応そうです」
(´・ω・`)「37階で降りると言うことは、結構な用事かな?」
_
( ゚∀゚)「そんなもんです」
(´・ω・`)「ほう…」
男は何か探偵めいた顔をした。
エレベーターが止まり、扉が開く。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:05:55.97 ID:yCBJp5K70
何か清楚な感じの廊下に、下の階より高価そうな時計。
間違いなく将校クラスのフロアだった。
_
( ゚∀゚)(縦社会って素晴らしいですね)
もう愚痴しか出なかった。
(´・ω・`)「君行き先は?」
さっきの男が聞いてきた。
_
( ゚∀゚)「んーと、支部長室だっけかな?」
(´・ω・`)「へぇ」
その男は、心外そうにジョルジュを見つめている。
その口元が少し綻ぶ。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:06:38.30 ID:yCBJp5K70
- (´・ω・`)「じゃあ目的地は一緒か」
_
(;゚∀゚)「ありゃ?」
ジョルジュは目の前の男を凝視した。
(´・ω・`)「君、ジョルジュ中尉だろう?」
…どうやら面会予定人はこの男らしい。
ジョルジュは少し戸惑う。
_
(;゚∀゚)「えーとっ…あうぁ…」
(´・ω・`)「失敬、話が進みすぎたかな?質問あるかい?」
謎めいた男は軽く笑っていた。
取り合えずジョルジュは一番気になっている事を問う。
_
(;゚∀゚)「えぅあーと、貴方はいったい…?」
(´・ω・`)「ショボン様さ!」
…どうやら男の名はショボンと言うらしい。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:07:29.60 ID:yCBJp5K70
- _
(;゚∀゚)「貴方のことを産業でkwsk」
(´・ω・`)「名前と階級はショボン特務中佐
ここの支部長で、君を呼び出した張本人。
タバコはある作品へのオマージュとしてハイライト1mmが好き」
_
(;゚∀゚)「把握」
_
(;゚∀゚)「で、何故俺をここに?」
男がこっちに振り向く。
(´・ω・`)「取り合えず部屋の中で話そうか」
がちゃり、とショボンが目の前のドアを開けた。
ジョルジュもそれに続いて中に入る。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:08:43.22 ID:yCBJp5K70
整頓されている、というのはこういう事を言うのだとジョルジュは思った。
そうジョルジュは感じた。
小奇麗な部屋には大きい本棚と机。
椅子が数個に、天井には大きな照明器具。
全てに無駄がない部屋だった。
机の近くの椅子にショボンが腰掛ける。
反射的にジョルジュは直立不動になったが、ショボンに「楽にしていいよ」と言われたので椅子に座った。
(´・ω・`)「君今日は非番扱いなんだから、硬くなんなくていいよ」
そう言われたのでジョルジュは全身の緊張をほぐした。
(´・ω・`)「じゃあ本題に入ろうか」
双方が落ち着いたところでショボンはそう言った。
_
( ゚∀゚)「はい」
部屋に静寂が訪れる。
二人は目を合わせた。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:09:23.16 ID:yCBJp5K70
- ショボンが咳払いして、顔を近づけ、耳打ちの状態になった。
ジョルジュは音を立てて唾を飲みこむ。
(´・ω・`)「 や ら な い か 」
_
(;゚∀゚)「―なッ?!」
ジョルジュは一瞬体勢を崩したが、直ぐに立ち直る。
そしてショボンから一瞬で距離をとり、用心深く身構えた。
下半身、特に尻の辺りにアルミ缶を押しつぶすくらいに力を入れる。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:10:03.05 ID:yCBJp5K70
- (´・ω・`)「冗談だってw」
ショボンが大胆に笑った。
今日一番の笑顔だ。
(´・ω・`)「ちゃんと話すから座ってくれ」
_
(;゚∀゚)「…はぁ…」
渋々ジョルジュは椅子に腰掛けた。
(´・ω・`)「君にある任務を任せたい」
_
( ゚∀゚)「俺に…ですか?」
ジョルジュは内心ホッとした。
「戦闘機乗りに転属してくれ」みたいな事を言われなかったからだ。
(´・ω・`)「内容は、簡単に言うとフライトだ」
_
( ゚∀゚)「はぁ…」
つまり何かを輸送しろということだ。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:11:20.39 ID:yCBJp5K70
- _
( ゚∀゚)「じゃあ、何を運べばいいんです?」
気になったジョルジュがショボンに問いかけた。
(´・ω・`)「そうだね、うん、そうなるな」
ショボンの言葉が少し胸に引っかかったが、ジョルジュはあまり気にしなかった。
(´・ω・`)「話がちょっとだけ長くなるけど、いいかな?」
_
( ゚∀゚)「構いません中佐」
(´・ω・`)「だから硬くなるなってw」
そこでショボンはふぅ、とため息をついた。
何かを思い出しているようだが、なぜか口元が笑っている。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:15:15.46 ID:yCBJp5K70
- (´・ω・`)「けどその前に…」
何かを言いたげなショボンは、また耳打ちの状態に近づける。
多少は警戒しながらも、ジョルジュは耳を傾ける。
_
( ゚∀゚)(まさか天丼ネタはないよなぁ)
(´・ω・`)「僕のケツのなかでしょんべn(ry」
_
(;゚∀゚)「アーッ!!」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:17:53.15 ID:yCBJp5K70
- ジョルジュはまた一瞬体勢を崩したが、直ぐに立ち直る。
そしてショボンから一瞬で距離をとり、用心深く身構えた。
下半身、特に尻の辺りに鉄パイプを押しつぶすくらいに力を入れる。
(´・ω・`)「冗談だってw」
ショボンが大胆に笑った。
今日一番の笑顔だ。
(´・ω・`)「ちゃんと話すから座ってくれ」
_
(;゚∀゚)「中佐殿、【無限ループ】でググレでございますです」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:20:08.99 ID:yCBJp5K70
- (´・ω・`)「ここから冗談抜きで話そうと思う」
_
( ゚∀゚)「俺がホルスターに手を掛ける前にちゃんと話してくださいね」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:20:48.80 ID:yCBJp5K70
- (´・ω・`)「結構前、2ちゃんねる共和国が震災に襲われたろう?」
_
( ゚∀゚)「はい、結構でかかったらしいすね」
(´・ω・`)「それでさ、こっちから支援物資を運ぶんだよ」
なるほど…国交、援助作業ってわけだ。
ジョルジュは話題に一人で納得する。
だが、次のショボンの言葉が彼を貫いた。
(´・ω・`)「それの部隊長を頼みたかったんだ」
_
(;゚∀゚)「え…?部隊長すか?」
ジョルジュには、人をまとめた経験はない。
故に少し戸惑った。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:22:29.86 ID:yCBJp5K70
- そんなジョルジュの気持ちなどは構いもせず、淡々と物事を告げるショボン。
(´・ω・`)「そうそう、後ね、支援物資と一緒に、大量のお菓子を送るそうだよ」
_
( ゚∀゚)「?…お菓子ですか?」
(´・ω・`)「うん。現地の子供達に配るそうだよ」
そのときジョルジュは何か熱いものを感じた。
その何かはよく分からなかったが、とにかく何かを感じた。
(´・ω・`)「…まぁかなり大雑把な説明だけど、どうかな?」
少し、ほんの少しだけ、ジョルジュはそれを考えた。
子供が嫌いなワケではない。寧ろベビーシッターとかならよろこんで受ける方だろう。
迷うまでもなく、ジョルジュの考えはまとまった。
_
( ゚∀゚)「…分かりました。それ引き受けますよ」
(´・ω・`)「おお、それはよかった。部隊長も引き受けてくれるのね?」
_
(;゚∀゚)「それはなんというか…、風の向くまま気の向くままです」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:23:58.01 ID:yCBJp5K70
- それを聞いたショボンの表情は笑顔だった。
(´・ω・`)「いいよ、風の向くまま気の向くままで」
_
( ゚∀゚)「分かりました」
(´・ω・`)「じゃあ今日の用件は終わりだよ。詳細は後日ね」
_
( ゚∀゚)「了解です中佐。いつでもお呼び出しください」
(´・ω・`)「硬いなぁ、もう」
ショボンは高価そうな万年筆を片手でいじりながら笑っていた。
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:24:38.10 ID:yCBJp5K70
- その後、軽く会釈して支部長室を出た。
ジョルジュはため息と感嘆の声を混ぜたような声を出す。
_
( ゚∀゚)「…なんだか落ち着かないな…」
嬉しいような、もどかしいような、なんだか分からない気分だった。
重要な任務を受けた自覚などさらさらない。
なぜなら彼にはもう一つ、気になることがあるからだ。
一階に下りると、カウンターの女性は変わっていた。
気にもせず出入り口のドアを開けて外に出る。
サングラスをポケットから出して、少し拭いてから掛ける。
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:25:19.70 ID:yCBJp5K70
世界観が変わり、あたりが薄暗く見える。
歩きはじめると、クラクションを軽く鳴らして、一台のNSXが近づいてきた。
ジョルジュが立ち止まると、エンジンを掛けたまま車も止まった。
運転席の窓が下にスライドし、運転士が身を乗り出す。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:26:05.81 ID:yCBJp5K70
- ミセ*゚ー゚)リ「丁度いいですね、乗ってきますか?」
_
( ●∀●)「おぉ、これはこれは、お嬢様じゃないですか」
予想外の人物の登場に、少しおどけて見せた。
ミセ*゚ー゚)リ「乗るんですかぁ?乗らないんですかぁ?」
_
( ●∀●)「もちろん甘えさせてもらうさ」
そう言うとジョルジュは助手席のドアを開けた。
いつもは車内でもサングラスを掛けている彼だが、今日は自然に外した。
彼女の顔が鮮明に、美しく見えるように。
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:27:55.67 ID:yCBJp5K70
- お互い顔をあわせ、お互いに笑いかける。
ちょっとぎこちない空気が漂う。
ミセ*゚ー゚)リ「ちょっとお肉買いたいので、お店寄りますね」
この女性は自分に丁度いいことしかしてくれないようだ。
_
( ●∀●)「じゃあ俺も、今日の晩飯は肉料理にしようかなぁ?」
彼の問題は、これで全て解決した。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/01(水) 17:29:33.35 ID:yCBJp5K70
数週間後、作戦決行日の朝。
基地には沢山のコンテナ、トラックが並んでいる。
それに、数機の輸送機とその護衛機と一緒に、ハンガーに数十人の人影があった。
前に出ている隊長らしき人物が、メンバーの点呼をしていた。
そう彼は…
_
(;●∀●)「なんで国交フライトなのに全員揃ってないんだよ!馬鹿なのかよ!アホなのかよ!!」
専用機のハンガーの中、人だかりの中央で。
いつものように愚痴っていた。
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