- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 21:48:57.51 ID:gIcg+UgM0
大国を東西に横断する、東の都市部と西の開拓地帯を結ぶ唯一の電車。
必要な物資を西に送り、研究すべき対象を東に持ち帰る。
20XX年
11時55分
いつもより一車両多い上り電車が・・・・・・出発する。
( ^Д^)「こいつらで最後か」
銃を持った人間が、質素な服の男たちを後ろの車両に誘導している。
( ´_ゝ`)「そうだな」
从 ゚∀从「こっちも積み荷の最終点検が終わった。いつでも出発できる」
( ^Д^)「んじゃ行くか」
彼らは電車に乗り込んだ。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 21:51:50.17 ID:gIcg+UgM0
汚く、古臭い駅にその電車は止まっている。
特徴的なのはその大きさだ。
一つの車両が一戸分ほどもあろうか。
東西の交通手段を作るときに二つの案が出された。
一つは最新技術を駆使し、最速で東西を行き来するもの。
もう一つは従来の技術で開発コストを抑えるもの。
西の未開拓地からは次々と新種・新生物が見つかったため、
都市部にウィルスや病原体が勢い良く伝播することを恐れ、あえて旧技術を使った電車を作られた。
00時00分 電車が出発した。
( ´_ゝ`)「ふぅ・・・暇な仕事だな。何か起きねーかなー」
その電車の後ろから四両目の車両が彼等の場所だ。
男3人、女2人がそこで電車の見張りを行う。
(´<_` )「今まで通りじゃないか」
( ´_ゝ`)「まぁ、そうなんだけどさぁ・・・」
同じ顔の男たちが会話を始めた。
電車が動き出してから、既に数十分が経過しているが、先はまだまだ長い。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 21:54:04.39 ID:gIcg+UgM0
(´<_` )「この仕事が終わったら、俺は本格的に植物学者を目指す。アニジャはどうするんだ?」
( ´_ゝ`)「もう少し、この見張りの仕事を続けるさ」
(´<_` )「まぁ、好きなようにすればいいが、後悔はするなよ」
( ´_ゝ`)「わかってる」
各々が自由に座り込んでいる。
( ^Д^)「おい、アニジャ、オトジャ。ポーカーでもやろうぜ」
顔にはりつくような笑みを浮かべた男が、鞄からトランプを取り出した。
(´<_` )「ん? ああ。」
男たちは車両内の中心に集まり、トランプを回す。
( ´_ゝ`)「2枚チェンジで」
順番に山からカードを引き、手元のカードを開く。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 21:57:52.64 ID:gIcg+UgM0
( ´_ゝ`)「ワンペア」
(´<_` )「ブタだ」
( ^Д^)「フルハウスだ。ついてるぜ」
( ^Д^)「悪いね。フヒヒ」
プギャーのもとにコインが積まれていく。
( ´_ゝ`)「妹に誕生部プレゼント買う金が無くなっちまった・・・」
(´<_` )「だから、普段から貯めとけっていってるんだ」
( ´_ゝ`)「っくそ。・・・・・・今回運んでるのは何なんだ?」
別の話題を持ち出し、腹立ちを抑える。
川 ゚ -゚)「前から運転席、武器、植物、植物、鉱物、鉱物、私たち、労働者、労働者だ。最後尾にはコンテナがある」
すぐに女が答えた。
(´<_` )「コンテナの中に何が入ってるんだ?」
从 ゚∀从「あんなコンテナを運んだのは初めてだな」
壁際で寝ていた女も会話に参加する。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 21:59:41.25 ID:gIcg+UgM0
(´<_` )「コンテナに隔離するようなものか・・・・・・」
( ^Д^)「なんでもいいだろー」
( ´_ゝ`)「菌とかだったら嫌じゃねぇか・・・」
( ^Д^)「んなわけねーじゃん」
それぞれが、勝手に予想を口にし、会話はそれで途切れた。
男たちは、ポーカーに戻り、女達は居眠りを始めた。
────────
─────
──
川 ゚ -゚)「・・・騒がしいな」
最初に気づいたのは車両内の後ろ寄りで寝ていた女。
(´<_` )「ん?」
川 ゚ -゚)「隣の車両だ」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:01:50.44 ID:gIcg+UgM0
( ^Д^)「喧嘩でもしてるんじゃね?」
川 ゚ -゚)「さっさと行って見て来い・・・」
(; ^Д^)「わーったよ」
しぶしぶプギャーが立ち上がる。
彼等の仕事は、後ろの車両に乗っている労働者達の統制だ。
問題が起きれば、すぐに向かう。
扉を出てから、隣の車両までは数メートルの通路がある。
そこを別段急ぐことなく、歩く。
( ^Д^)「おい、何を騒いでいる?」
(´・ω・`)「隣の車両がさっきから騒がしいんだ」
( ・∀・)「なんとかしてくれないか?」
( ^Д^)(めんどくせぇーな)
カードキーを使い、最後尾車両への通路を開ける。
何一つ音がしないことを不審に思いつつ、最後尾車両への扉を開けた。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:03:12.98 ID:gIcg+UgM0
瞬間、鼻腔を腐臭が満たす。
( ^Д^)「なんだこりゃああ!!」
男の目に入ったのは車両を埋め尽くすような糸。
そして、後部に空いた巨大な穴。
( ^Д^)「どうなってやがる・・・生きてるやつはいるのか?」
糸は所々真っ赤に染まり、随所に人間であった者の欠片が落ちている。
小さな、子供を想像させるような手もあった。
それでも男が吐かなかったのは、生きた人間の声が聞こえたからだろう。
(メ ´ω`)「お・・・・・・」
生きている者はいないと思われたその場所に、太った男が傷だらけで倒れていた。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:06:23.45 ID:gIcg+UgM0
(;^Д^)「なんだっ、何が起きた!?」
(メ ´ω`)「蜘蛛だお・・・・・・蜘蛛が来るお・・・・・・」
男の目に精気はなく、何かに脅えているかのように小刻みに震えていた。
(;^Д^)「蜘蛛?」
(メ ´ω`)「早く逃げるお! この車両はもう駄目だお!」
(;^Д^)「とりあえず、俺らの車両に来い。他の奴は?」
(メ ´ω`)「連れていかれたお・・・・・」
(;^Д^)「わかった」
肥った男を抱えて、最後尾の車両を後にした。
最後尾の車両のさらに後ろ。
その小さな穴から覗く無数の赤い玉に、男は気づかなかった。
(´<_` )「怪我してるじゃねえか。喧嘩か?」
すぐに待機車両に戻り、残りの人間に事情を説明した
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:08:21.50 ID:gIcg+UgM0
( ^Д^)「何があったのかわからん。こいつの他には誰ひとりいなかった。
糸のようなものが張りつめていて・・・」
一呼吸置き、言い放った。
( ^Д^)「肉片まであった」
川 ゚ -゚)「隣が?」
動揺が場を支配する中、一人の女だけが平然としていた。
( ^Д^)「いや、最後尾のひとつ前だ。コンテナの前の車両。
後ろに穴が空いていた」
( ´_ゝ`)「・・・いったい何が起きたんだ?」
太った男がかすかな、消えいる声で説明を始めた。
(メ ´ω`)「最初は、車両の上に少しずつ穴があき始めたんだお」
(メ ´ω`)「それで、でかい蜘蛛みたいなのが入り込んできたんだお」
男の声と一定間隔の揺れが続く。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:11:20.81 ID:gIcg+UgM0
( ^Д^)「・・・蜘蛛?」
(メ ´ω`)「あっという間だったお。ブーン以外の全員が噛まれたお」
(メ ´ω`)「でも、ブーンは引っ掻かれただけで済んだお」
从 ゚∀从「・・・噛まれて、どうなったんだ?」
壁際で寝ていた女も起きてきて、話に参加した。
(メ ´ω`)「わかんないお。痙攣し始めて、次々と部屋から連れ出されたお」
(´<_` )「プギャーと一緒にからかっているのか?」
(;^Д^)「悪いが、冗談じゃない」
プギャーの顔は血気が感じられないほど、青くなっている。
それを見て、残りのメンバーは、事実と確信した。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:14:20.50 ID:gIcg+UgM0
从 ゚∀从「どうすんだ? まずくないか? この電車は都市部に着くまで止まらねぇし」
川 ゚ -゚)「生物なら銃が効くだろう。別に慌てる必要はない」
女たちは冷静に話を続ける。
( ^Д^)「死にたくねぇよ・・・」
川 ゚ -゚)「ここまで来たときに対応すればいいさ」
クーがさも当然のように口にする。
後ろの車両の人間を無視するということを。
(#´_ゝ`)「後ろの車両の人間を犠牲にするのか!?」
アニジャが立ち上がり、噛みついた。
川 ゚ -゚)「当然だ。あんな労働者、掃いて捨てるほどいる」
怒りで顔を真っ赤にしているアニジャを前に、平然と続ける。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:15:52.75 ID:gIcg+UgM0
(´<_` )「それはそうだが、銃が効くなら、今から殲滅しに行けばいい話だろ」
从 ゚∀从「アタシは反対だ。わざわざ、危険を冒しに行く必要はねぇ」
(#´_ゝ`)「お前らッ・・・」
川 ゚ -゚)「そんなに行きたけりゃ、一人で行け」
クーから鋭い言葉が飛び出す。
車内のボルテージは最高潮まで高まっていた。
(´<_` )「俺も行くから、二人だ」
( ^Д^)「やめといた方がいい。アレは普通の生き物のやったことには見えない」
(メ ´ω`)「最後尾の車両二つを切り離すことはできないのかお?」
男の提案がヒートアップしていく車内の雰囲気を一瞬で元に戻した。
川 ゚ -゚)「それだ」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:18:50.03 ID:gIcg+UgM0
( ´_ゝ`)「そんな危険な生き物を野に放つのか!? 正気か!?」
从 ゚∀从「もともと野生にいたもんだろ」
(#´_ゝ`)「その野生から引っぺがして連れてきたのはどこのどいつだ!」
(´<_` )「落ち着けアニジャ」
(#´_ゝ`)「落ち着い・・・!!」
(; ^Д^)「隣が騒がしいな」
(#´_ゝ`)「行くぞ、オトジャ」
(´<_` )「ああ」
銃を構え、二人は後ろの車両に続く扉の前に立った。
川 ゚ -゚)「ちょっと待て」
川 ゚ー゚)「扉は閉めといてくれよ」
クーの言葉が終わる前に、二人は扉を閉じた。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:23:46.94 ID:gIcg+UgM0
通路の奥、後ろの車両につながる扉から、悲痛な叫び声が聞こえてくる。
勢いよく扉を開けた2人は、そこで地獄を目にした。
(#´_ゝ`)「なんだ・・・こいつら」
数匹の巨大な、人間の頭はあろうかというサイズの蜘蛛のような生き物が、人間を襲っていた。
車内には血と肉片と、異臭が漂う。
蜘蛛のような生き物が人を生きたまま喰らっていた。
脚は長く、目は赤い。
全身から細長い毛がびっしりと生えている。
(´<_` )「っくそ! 撃て!」
(#´_ゝ`)「わかってる!」
跳ねまわる生き物に向けて、引き金を引く。
弾が当たり、体液を飛び散らした個体は動かなくなったが、全個体が二人の存在に気づく。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:26:25.00 ID:gIcg+UgM0
('A`)「ヒィィィ・・・助け・・・」
(´<_` )「動くな!」
('A`)「助け・・・ギャアアアアアア」
やせ細った男にのしかかり、その腕を喰らっている個体を撃ち殺す。
しかし、それに気づいた次の個体が男を覆い、ついに男の抵抗はなくなった。
(#´_ゝ`)「キリがない!」
車内の個体が残り数匹になったと思われる頃、さらに数十匹が後部の穴から入り込んできた。
(´<_` )「撃ちながら下がるぞ!」
(#´_ゝ`)「わかった!」
(´<_` ;)「っ!!!」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:29:17.96 ID:gIcg+UgM0
後ろ手に開けようとした次の車両に続く通路への扉は動かない。
(´<_`; )「開かない・・・あいつら・・・ロックしやがった!」
(#´_ゝ`)「くそっ!」
その怒りを蟲にぶつける。
数匹が同時に液体を飛ばして弾け、動かなくなった。
(´<_`; )「ここまで・・・か?」
彼らの前には続々と蟲が現れる。
オトジャは深くため息をついた。
─────────
─────────
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:34:36.36 ID:gIcg+UgM0
( ^Д^)「静かになったな・・・」
アニジャとオトジャが隣の車両に移って十数分。
さんざん鳴り響いていた銃弾の音がパタリと消えた。
川 ゚ -゚)「どうやら、車両に進入することができるみたいだな」
从 ゚∀从「さっさと切り離しちまおうぜ」
アニジャとオトジャがさもいなかったように振る舞う2人。
しかし、誰もそれを咎めない。
(メ ´ω`)「そうしてくれお」
川 ゚ -゚)「しかし、問題があってな。この列車はかなり丈夫に作られていて、手持ちの武器では壊せない」
(メ ´ω`)「そんな・・・っ」
川 ゚ -゚)「それに先頭の制御室は、パスワードを打ち込まないと起動しない仕組みになっている」
( ^Д^)「お、俺らはみんな喰われて死ぬんだぁぁ・・・」
川 ゚ -゚)「黙れ」
銃を向けられ小さな悲鳴とともに黙るプギャー。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:37:50.56 ID:gIcg+UgM0
川 ゚ -゚)「前から二番目の車両に武器が積みこんである。もしかしたらだが、そこにあるかもしれない」
从 ゚∀从「んじゃ、お前、取りに行ってこい」
ハインがプギャーに銃を向けた。
( ^Д^)「お、俺が? 嫌だ」
从 ゚∀从「あぁん?」
ハインに睨まれ、プギャーは反論するのをやめた。
( ^Д^)「武器庫から何を持ってくればいいんだ?」
川 ゚ -゚)「火薬が詰まってそうなものだ。基本的には不良品や、壊れた武器が集めてある」
( ^Д^)「わかった。すぐにとってくる」
プギャーは進行方向の扉を開けて出て行った。
扉が閉まり、しばらくしてハインが問いかける。
从 ゚∀从「お前、なんでそんなに詳しい?」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:41:25.16 ID:gIcg+UgM0
今までハイン達とずっと同じ仕事をしていたクーが、
どうしてハイン達よりも詳しい知識を持っているのか。
クーは淡々と答えた。
川 ゚ -゚)「それは、私が都市部の研究者だからだ。
こんなところでウジ虫見たく死ぬわけにはいかない」
从 ゚∀从「っつ! じゃあ変な蟲を運んでいるのも知っていたのか?」
川 ゚ -゚)「そうだ。まさかコンテナを破って出てくるとは思わなかったが」
相変わらず表情を変えないクー。
対照的に、ハインの口調は荒くなる。
从 ゚∀从「そんなもの乗せてるんだったら、こんな仕事は請け負わなかった!」
川 ゚ -゚)「だろうな。だから言わなかった」
从 ゚∀从「てめぇ・・・」
クーの襟を掴みひねり上げる。
彼女の全く意に介しない様子がハインを尚更苛立たせる。
川 ゚ -゚)「離せ。薄汚い豚が」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:44:01.05 ID:gIcg+UgM0
从 ゚∀从「なんだと・・・?」
(メ ´ω`)「喧嘩はやめてくれお・・・・・・」
太った男が壁にもたれかかったまま仲裁に入る。
川 ゚ -゚)「そういうことだ。私は君とは違ってインテリなのでね」
从 ゚∀从「っけ」
(メ ´ω`)「あの蜘蛛、どういう習性があるとか、知らないのですかお?」
沈黙に耐えかねた男が、再び口を開いた。
川 ゚ -゚)「知らん。密林の奥深くにある洞穴の中に住んでたみたいだ」
从 ゚∀从「いらんもん連れてきやがって」
川 ゚ -゚)「我々人類の進歩のためさ。あんな汚らわしい害虫でも役に立つこともあるかもしれないだろ?」
从 ゚∀从「気にくわねぇ」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:47:26.00 ID:gIcg+UgM0
川 ゚ -゚)「言っとけばいいさ。
アイツは多量の睡眠剤を体内に埋め込まれて、何もできないはずだ」
从 ゚∀从「なら、こいつを襲ったのは?」
クーは一瞬考え、正しい答えを導き出した。
川 ゚ -゚)「腹の中いた子供が出てきたんじゃないか?」
(メ ´ω`)「あれより大きいのがいるのかお!?」
川 ゚ -゚)「捕まえた奴はコンテナにぎりぎり入るくらいの大きさだった」
从 ゚∀从「そうかよ」
時間は過ぎているが、外の景色は変化しない。
腕につけている時計の針は時を刻む。
从 ゚∀从「・・・・・・おせぇな・・・」
(メ ´ω`)「・・・・・・遅いお」
プギャーが武器を取りに行ってから十分以上が経過していた。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:49:59.94 ID:gIcg+UgM0
川 ゚ -゚)「っち、武器もロクにとってこれんのか屑め」
从 ゚∀从「なぁ、何の音だ?」
何かを削るような音がする。
金属を引っ掻いているかのような。
その音は止むことなく、鳴り続ける。
川 ゚ -゚)「もう来たのか・・・」
クールが確認するように車両後部に歩み寄る。
从 ゚∀从「やめとけ!アタシなら近寄らねぇ!」
川 ゚ -゚)「小さいのがいきなり入ってこれるものか。
この車両はそんなにヤワ・・・」
引っ掻く音が止まり、不気味に静まり返る。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:52:38.21 ID:gIcg+UgM0
川 ゚ -゚)「ごほっ・・・」
一瞬だった。車両後部を黒い何かが突き破り、それは、クーの胸を貫いた。
真っ赤な血液が飛び散る。
車両に空いた穴からは、小さな、それでも人間の頭ほどあるのだが、生き物が同時に侵入してくる。
从;゚∀从「おいおい・・・なんなんだそいつは」
川 ゚ -゚)「おぃ・・・はゃあく、たすけ・・・あああああああ」
川 ゚ -゚)「こぉの ごm・・・が」
クーは一瞬で蟲に覆われて見えなくなった。
叫び声は、断ち消えた。
(メ ´ω`)「逃げるお!」
( ^Д^)「戻りましってぇえええぇ!!!」
蟲の標的がハイン達に向かう。
その時、プギャーが呑気に戻ってきた。
从;゚∀从「早く、そいつを投げろ!!」
( ^Д^)「は、はぃぃいぃ!!」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:55:04.83 ID:gIcg+UgM0
プギャー持っていた何かを投げつける。
从;゚∀从「っくそぉお!!」
それをハインが銃で撃ち抜く。
爆発音が耳を襲い、焦げたにおいが立ち込める。
煙が晴れたそこは、車両の後部が吹き飛び、そこには夜の闇が広がっていた。
从;゚∀从「はぁ・・・はぁ・・・」
(メ ´ω`)「やったかお?」
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
生き物とは思えない叫びが、爆発音で痺れている鼓膜をさらに揺らす。
(;^Д^)「・・・逃げなきゃ!」
走って、隣の車両に移動する。
前に詰め、後ろの様子を窺う三人。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 22:58:52.60 ID:gIcg+UgM0
从;゚∀从「何なんだよ一体・・・」
(メ ´ω`)「さっきの黒い何かが車両に引っかかってましたお」
外は真っ暗で何も見えない。
後ろの車両からは、不気味な声が響いてくる。
(;^Д^)「コンテナからあそこまで届くってだけで驚きだ・・・何メートルあると思ってるんだ」
从;゚∀从「とりあえず、あれはここには届かないのか?」
(メ ´ω`)「わかんないですお・・・・・・」
从;゚∀从「こんなとこで死んでたまるか!」
(;^Д^)「後二つ弾頭がある。これで列車を分離することはできるか?」
大砲の弾のようなごつい弾頭を取り出す。
(メ ´ω`)「できると思うお・・・・・・」
(;^Д^)「本当か? えっと・・・」
(メ ´ω`)「ブーンって名前だお。開拓地での鉱山の発破をやってたお。
連結を切り離すには、接続部を直接爆破しないと駄目だお」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:01:56.16 ID:gIcg+UgM0
( ^Д^)「接続部なんてわかるのか?」
(メ ´ω`)「外から見た時は、車両間の通路の上部と下部に一つづつ見えたお」
( ^Д^)「その二つを壊せば、化物とおさらばか!」
从 ゚∀从「よし! ・・・・・・なんか焦げくさくないか?」
( ^Д^)「見ろ!」
プギャーの指差した天井の一部が煙をあげて、溶解していく。
早くはないが、決して余裕のあるスピードでもない。
(メ ´ω`)「急ぐお! この車両ごと切り離すお!」
从 ゚∀从「ここは・・・鉱物貨物車両か・・・・・鉱山の化け物にはお似合いの手土産だな」
(メ ´ω`)「まずは、こいつを開かないといけないお」
連結区の通路の天井と床を剥がす。
しかし、素手では限界があった。
从 ゚∀从「アタシがやる!」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:06:00.74 ID:gIcg+UgM0
ハインが上下に銃を乱射し、壊していく。
(メ ´ω`)「十分だお!」
( ^Д^) 「せーのっ!」
(メ ´ω`)「せーのっ!」
ある程度壊れたのを見計らって、男二人が力を合わせ、通路の床を壊す。
その下には、金属の連結部が見えた。
(メ ´ω`)「できたお!」
( ^Д^) 「・・・・・・どうやって取り付けるんだ。上に乗せるだけじゃ下に落ちちまう」
(メ ´ω`)「服を破ってでも使えお!」
言われて、すぐにプギャーが上の服を脱ぐ。
袖の部分を破り、片方を結んで中に弾頭を挿入、それを連結部に結び付けた。
( ^Д^) 「よし・・・・・・できた!」
同時にブーンは上部の連結部に同様の仕掛けを施し終わっていた。
(メ ´ω`)「下から撃ってくださいお!」
从 ゚∀从「了解!」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:09:53.38 ID:gIcg+UgM0
ハインが言われたとおり、下の弾頭を撃つ。
耳を劈くような爆発音と共に、列車が大きく揺れる。
煙が風に流されて破壊された接続部が露わになる。
通路部分は跡形もなく吹き飛んでいる。
从 ゚∀从「よし、こいつで!」
上部の連結部に仕掛けた爆弾を撃ち抜く。
再び夜の闇に爆音と並び花火を咲かせた。
( ^Д^)「よっしゃあああ!! やってやたぜぇ!!
あばよ化け物ども! ひゃっほう!」
後ろの車両の速度が急に遅くなる。
(メ ´ω`)「助かったお・・・・・・」
しかし、一定距離を開けたまま、それ以上列車が離れない。
从 ゚∀从
( ^Д^) !?
(メ ´ω`)
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:12:31.22 ID:gIcg+UgM0
星も出ていないような真っ暗闇の中で、後部車両から前方に向かって何かが光っている。
それに気づいたのブーンはすぐに叫ぶ。
(メ ゚ω゚)「糸だお! こっちの車両に移ってくるお!」
从 ゚∀从「マジかよ!! 逃げろ!」
( ^Д^) 「し、死にたくねぇ・・・。お、おい。お前、俺のために死んでくれ。な?」
(メ ´ω`)「お前、何いってんd」
発砲音と同時にブーンが倒れた。
(メ ゚ω゚)「な!」
右太ももからは血が流れ出てくる。
( ^Д^)「ひひ。ふひひひ」
プギャーとハインは前の車両への扉をくぐて行った。
ブーンの後ろからは糸を伝って蟲が侵入してきている。
(メ; ゚ω゚)「お・・・お・・・お・・・」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:14:43.92 ID:gIcg+UgM0
─────────
─────────
从 ゚∀从「てめぇ・・・何てことしやがる!」
( ^Д^)「あのままじゃ追い付かれてたからな、餌をやるのが一番いい。
あんな労働者どこにでもいるじゃん」
从 ゚∀从「気にくわねぇな・・・」
( ^Д^)「おっと、銃を捨てろ」
プギャーが銃口を向ける。
完全に想定外だったハインは、言われた通り銃を放った。
从 ゚∀从「くそっ!」
( ^Д^)「口調に気をつけな。お前の命は俺が握ってるんだぜ?」
( ^Д^)「後ろの車両を全部切り離す。武器車両に行くぞ。前を歩け」
从 ゚∀从「覚えてやがれ」
後ろから銃で急かされ、前方の車両に向かう。
ハインたちがいるのは前から四番目の植物貨物。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:17:44.86 ID:gIcg+UgM0
そこに蟲は侵入していなかった。三番目も同じく植物貨物。
そこにも蟲の入った痕跡はなかった。
ハインが入り、虫がいるかどうかを調べ、その後プギャーが入る。
そうして、前から二番目の車両に至る。
( ^Д^)「さっさと探せ」
从 ゚∀从「わあってる!」
渦高く積まれた武器の山を漁るハイン。
その後ろでプギャーは呑気に見物をしていた。
从 ゚∀从「・・・っ!」
从 ゚∀从「死ねぇ!」
見つけた銃をプギャーに向ける。
(; ^Д^)「ひっ!」
しかしトリガーを引いても銃からは何の反応もない。
( ^Д^)「はははは。ここにある武器はまともに動作しねえんだよ! この! 雌豚が!」
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:19:21.57 ID:gIcg+UgM0
蹴りが腹に入る。口から胃液を吐き、蹲るハイン。
顔を蹴り、腹を蹴り、上から踏む。
从 ゚∀从「ぐえぇ。ごほぉ・・・がっ!」
( ^Д^)「ひひ・・・どうせこのまま死ぬんだ。犯してやっても・・・」
从 ゚∀从「おい・・・冗談・・・だろ?」
体中に青あざを作ったハインの顔がさらに青くなる。
( ^Д^)「ひひひひ・・・」
从 ゚∀从「やめろ! 来るな! 来るなぁ!」
( ^Д^)「ひひっ・・・」
「動くな、銃を下ろせ」
プギャーの手がハインの服にかかったところで、制止が入る。
( ^Д^)「あ? 誰だよ?」
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:27:09.18 ID:gIcg+UgM0
( ´_ゝ`)「俺だよ」
銃を持ったアニジャがプギャーを狙っていた。
( ^Д^)「お前っ!」
从 ゚∀从「お、お前・・・なんで!?」
( ´_ゝ`)「早く銃を捨てろ!」
死んだと思っていた人間に銃を向けられているプギャーはあっさりと銃を捨てる。
アニジャはそれを拾う。
( ^Д^)「・・・っくそ」
( ´_ゝ`)「よくも俺らを締め出してくれたな」
アニジャは銃を下ろさない。その向かう先はハインの胸。
从 ゚∀从「そのことはすまなかった」
( ´_ゝ`)「すまなかった? お前らのせいで・・・オトジャが!」
从 ゚∀从「・・・ほんとに悪かって!」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:30:56.32 ID:gIcg+UgM0
( ´_ゝ`)(・・・ここで、こいつを殺しても・・・何も・・・)
( ´_ゝ`)「行くぞ。ここにもすぐにあいつらが来る」
アニジャは銃を下ろすと後ろの車両に向かった。
从 ゚∀从「な、なら、あるだけの爆薬を!」
( ´_ゝ`)「爆発させてどうするんだ? 前も後ろも蟲どもの巣だ!」
从 ゚∀从「おい、何してるんだ?」
プギャーが銃を持ち車両上部に向かって発砲し続けている。
弾は出ていないが、ここには壊れていない武器がある可能性もある。
万に一つでも、それを手に入れられたら、厄介なことになっるのは目に見えていた。
( ゚Д゚)「ひゃはははははh」
从 ゚∀从「くそ! 狂いやがった」
( ´_ゝ`)「黙れ!」
銃弾がプギャーの肩を貫通し、血をまき散らしながら倒れた。
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:33:18.27 ID:gIcg+UgM0
( ゚Д゚)「がああああああああああ」
从 ゚∀从「おまっ!」
( ´_ゝ`)「お前も同じことをしただろう? アイツはここに置いていく」
从 ゚∀从「・・・・・・わかった」
武器車両を後にし、植物貨物車両に戻る。
( ´_ゝ`)「・・・・残り二両・・・」
どちらも言葉を発しない。
車両内には言い知れぬ絶望感が漂っている。
从 ゚∀从「お前、どうやって助かりやがった?」
( ´_ゝ`)「・・・」
从 ゚∀从「話したくねぇなら、別にいい」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:34:08.24 ID:gIcg+UgM0
( ´_ゝ`)「オトジャがな・・・囮になった。俺はその間に列車の下を張りついて移動した」
从 ゚∀从「なっ!」
( ´_ゝ`)「ありえないと、思うか?」
( ´_ゝ`)「必至だよ。今まで片時も離れたことのなかった弟が、俺を生かすために・・・死んだ」
( ´_ゝ`)「両親の、いない俺達は死ぬわけにはいかなかった・・・。
幼い妹が一人残されるからだ。だが、もう終わりだ」
从 ゚∀从「どういうことだ?」
( ´_ゝ`)「先頭車両に連絡用の電話があったんだ。そいつを使って助けを求めた」
从 ゚∀从「助けが来るのか!?」
( ´_ゝ`)「都市部に入る前に、化け物もろとも列車を吹き飛ばすそうだ」
从 ゚∀从「っくそ・・・終わりか・・・」
从 ゚∀从「あたしはな、フィアンセがいるんだよ」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:36:11.71 ID:gIcg+UgM0
从 ゚∀从「だからな、この仕事、今日で最後のはずだったんだ」
从 ゚∀从「まさか、それが最期になっちまうなんて、笑えねーな」
扉をたたく音が後ろから聞こえる。
( ´_ゝ`)「!?」
从 ゚∀从「ついに来やがったか」
それは一定のリズムで繰り返されていた。
( ´_ゝ`)「いや、これは違う!開けるぞ」
後ろの部屋に続く通路の扉を開ける。
(メメパωTメ)「お・・・・・・まだ、生きてたかお・・・・・・」
そこには傷だらけになったブーンが立っていた。
从 ゚∀从「お前、生きてやがったのか!」
(メメパωTメ)「はぁ・・・あいつは、どこだお? 殺してやるお・・・」
( ´_ゝ`)「動くな。とりあえず最低限の手当だけしてやる」
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:39:13.75 ID:gIcg+UgM0
(メメパωTメ)「お前・・・・・・生きて、たのかお」
アニジャが服の袖を破り、太ももの傷口を縛る。
( ´_ゝ`)「・・・・・・これで、最低限の手当はできた。まぁ、どの道誰も助からんがな」
(メメパωTメ)「・・・・・・すまん、かったお。ブーンは、お前たちを、見殺しに、したお」
( ´_ゝ`)「気にするな・・・・・・。お前は悪くない」
(メメパωTメ)「・・・・・・」
从 ゚∀从「どうやって逃げてきたんだ?」
(メメパωTメ)「何も、してないお・・・・・・」
(メメパωTメ)「あいつら、散々、引っ掻いた、だけで、噛みつこう、ともしてこなかったお」
( ´_ゝ`)「・・・・・・おかしくないか? お前の車両にいた人間も、その前の車両にいた人間も、みんな喰われた」
(メメパωTメ)「・・・・・・確かにそうだお」
( ´_ゝ`)「お前、何か変わったものは持ってないか?」
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:41:17.40 ID:gIcg+UgM0
(メメパωTメ)「そう、言われても・・・・・・」
(メメパωTメ)「そうだお! 今日は列車に乗る前に鉱山の近くの森で花をつんだお」
( ´_ゝ`)「どれだ?」
ポケットから取り出したそれは潰れていて、原形がをとどめていない。
(メメパωTメ)「これだお」
从 ゚∀从「粉々になってて、わからんな・・・・・・」
しかし、アニジャは何か思いついたように、貨物を漁り始めた。
( ´_ゝ`)「そうか! ここは植物貨物車両だ! この花を探せ!」
混乱気味に、ハインは手近な荷物を開け始めた。
从 ゚∀从「? ああ・・・・・・」
(メメパωTメ)「ブーンも、手伝うお・・・・・・」
( ´_ゝ`)「お前は休んどけ!」
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:45:42.91 ID:gIcg+UgM0
从 ゚∀从「黄色・・・黄色・・・あった! こいつか?」
積み上げられた植物から、ハインが取りだした一輪の花。
黄色の花びらが茎から咲いている。
(メメパωTメ)「そんな、花だったお」
( ´_ゝ`)「これ・・・・・・・」
从 ゚∀从「なんだ? 知ってる花か?」
( ´_ゝ`)「・・・・・・そうだ」
( ´_ゝ`)「開拓地で最近発見された新種だ」
从 ゚∀从「どうしてそんなこと知ってる?」
( ´_ゝ`)「・・・・・・」
( ´_ゝ`)「こうやって・・・・・・」
茎を引きちぎり、出てきた繊維を引っ張る。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:55:41.61 ID:gIcg+UgM0
- (メメパωTメ)「?」
( ´_ゝ`)「よ」
从 ゚∀从「え?」
花びらが閉じ、丸い玉状になる。
( ´_ゝ`)「これでいい」
( ´_ゝ`)「この花の花粉は虫が嫌うんだが、普通に置いておくと花粉が風に巻かれてすぐに無くなる」
( ´_ゝ`)「茎を千切って、中から出てくる繊維を引っ張るとな、花弁が丸まって球体上になるんだ」
( ´_ゝ`)「こうすると、花粉がすぐにはなくならない」
(メメパωTメ)「どうして、そんなに、詳しいんだお?」
( ´_ゝ`)「これに気づいたのが、オトジャだったからさ・・・・・・」
(メメパωTメ)「・・・・・・すまんお」
( ´_ゝ`)「いいさ。これでうまくいかなかったら、諦めるしかないな」
同じ棚から、花を取り出し、手際良く次々と球状にしていく。
( ´_ゝ`)「この車両にも来たようだな・・・・・・」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/24(木) 23:59:20.43 ID:gIcg+UgM0
焦げくさい臭いが漂ってくる。
(メメパωTメ)「どうするんだお?」
( ´_ゝ`)「こいつを使う」
( ´_ゝ`)「頼む・・・効いてくれ!」
アニジャが投げた花は壁に当たり、潰れて花粉をまき散らす。
( ´_ゝ`)「・・・止まった?」
焦げくさいにおいが止まり、車両の融解も止まっていた。
从 ゚∀从「入ってこねぇな」
(メメパωTメ)「やったお! これで生き延びれるお」
从 ゚∀从「駄目だ」
( ´_ゝ`)「そうなんだ。後十数分後にこの電車は爆破される」
(メメパωTメ)「!?」
从 ゚∀从「弱点が分かったと伝えたらいいんじゃねぇか?」
( ´_ゝ`)「苦手なだけで、効果的とは限らんだろ。それに、先頭車両は蟲どもの住み家だ」
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 00:01:35.89 ID:WPuy7/lU0
(メメパωTメ)「どうすればいいんだお・・・?」
( ´_ゝ`)「先頭車両の蟲を駆逐して、切り離して逃げる」
(メメパωTメ)「なら、行くお」
从 ゚∀从「さっさと行こうぜ。いつまでもこんなところにいられねぇ」
( ´_ゝ`)「ああ」
扉を開けて、武器貨物を覗くアニジャ。
从 ゚∀从「いるか?」
( ´_ゝ`)「うじゃうじゃいやがる・・・何か食ってるな・・・ああ、プギャーだろうな」
从 ゚∀从「あいつか・・・」
( ´_ゝ`)「いくぞっ!」
アニジャが花を何玉か放り投げる。
地面に当たった衝撃で花粉を放りだし、それに気づいたのか蟲達は算を乱して逃げ出していく。
从 ゚∀从「よっしゃ」
ハインとブーンが飛び出して走る。
すぐ後ろにアニジャが続いた。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 00:03:31.58 ID:WPuy7/lU0
(メメパωTメ)「いくお」
( ´_ゝ`)「ああ」
先頭車両を覗く。
扉を開けると、そこには一匹もいなかった。
( ´_ゝ`)「・・・いない」
从 ゚∀从「え?」
( ´_ゝ`)「奴等がいた痕跡はある、が、一匹もいない」
(メメパωTメ)「そんなことより、早く切り離すお! 時間もないお!」
( ´_ゝ`)「駄目だ・・・糸が絡み合って制御パネルが・・・」
从 ゚∀从「どうすんだよ!」
( ´_ゝ`)「後ろの車両を吹き飛ばす・・・・・・なんの音だ?」
何かが歩くような音。
生半可な大きさではない。列車全体が悲鳴を上げている。
从 ゚∀从「・・・・・・最悪だ」
窓から外を見ると、列車後方に無数の赤い光が浮かんでいる。
光が、叫んだ。
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 00:07:38.10 ID:WPuy7/lU0
ガアァァァアァァァァ
(メメパωTメ)「最悪だお・・・」
从 ゚∀从「鎖が・・・引きちぎられてやがる。でかいのが来やがった」
( ´_ゝ`)「後ろの車両を撃て!」
从 ゚∀从「駄目だ、小さいのが飛び移ってきやがった! 間に合わねぇ」
( ´_ゝ`)「っくそ! これで・・・どうだっ!」
(メメパωTメ)「こっち、来るなお!」
ギィィ
ギギィ
花粉を嫌って小さいのは近づかない。
しかし、後ろにいるデカイのは違うだろうことが、容易に想像できる。
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 00:10:29.98 ID:WPuy7/lU0
( ´_ゝ`)「後ろの車両を・・・早く・・・」
从 ゚∀从「・・・なぁ、あんた・・・」
( ´_ゝ`)「なんだ!?」
从 ゚∀从「こいつを・・・頼む」
ハインは薬指から指輪をはずし、オトジャに預けた。
( ´_ゝ`)「おい、どうする気だ!」
从 ゚∀从「ここから撃っても爆発させられるかわかんねぇ。だから・・・隣の列車に行ってくる」
(#´_ゝ`)「死ぬ気か!?」
从 ゚∀从「そうしないと、みんな死んじまう」
(メメパωTメ)「あんたが行く必要はないお!」
从 ゚∀从「アタシは三人も見殺しにした、危機に陥れた! これはアタシがやらなきゃならねぇ」
(#´_ゝ`)「しかし!」
从 ゚∀从「・・・悪ぃな。我儘な性格なんでね。それに、時間もねぇ。必ず戻ってくる!」
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 00:13:57.15 ID:WPuy7/lU0
アニジャとブーンは制止の声をかける。
が、同時にその方法しか助かるすべがないのも気づいていた。
(メメパωTメ)「お! やめるお!」
从 ゚∀从「じゃあな、しばしのお別れだ・・・」
(#´_ゝ`)「やめ・・・っ」
ハインは後部車両に向かって走る。
通路には蟲が溢れている。
从 ゚∀从「ウジャウジャと・・・おりゃ・・・っ!」
残った花を全て頭の上でつぶした。
蟲の群れはハインから一歩下がる。
目の前のご馳走にありつけない怒りが、赤く輝く目から見てとれる。
ハインは冷汗が止まらない。
从 ゚∀从「遠隔操作で爆発できるもの・・・」
足音は秒刻みで大きくなっていく。
焦りが心を焦す。
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 00:16:23.14 ID:WPuy7/lU0
从;゚∀从「やべぇやべぇやべぇ・・・」
遠距離から爆発させられそうなものが見つからない。
遂に車両後部に巨大な穴があいた。
从;゚∀从「う・・・」
真っ赤な水晶は浮いているようにしか見えない。
黒い体は夜の闇にまぎれているからだ。
細長い脚。巨大な口。そこから覗く真っ赤に染まった牙。
細い毛が生えているのか、全身が常に揺れているように見える
从;゚∀从「逃げなきゃ・・・っ」
後ろへの扉は蟲が固めていた。
近寄ってもても逃げたりはしない。
親が目の前にいるからだろうか。
从;゚∀从「くそぉ・・・」
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 00:18:31.76 ID:WPuy7/lU0
前にも後ろに行く場所がなくなった。
蟲の大群の中に立ちすくむハイン。
蟲の親玉が口を開けた。
从;゚∀从「死にたくねぇ・・・」
何かが勢いよくハインに巻きついた。
从 ;∀从「離せぇぇぇぇ!」
口から出た舌はハインを強く締め付ける。
从 ∀从「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あああああ」
そして、舌はハインの口から無理やり体の中に侵入する。
喉を通り、胃の中で膨れる。
从 ∀从「お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙おぉぉぉぉ」
無理やり口内に異物を挿入され、掃き出すこともできない。
意識はすでに落ちかけていた。
暗き瞳に映るのは、腹から生えている異物。
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 00:21:55.66 ID:WPuy7/lU0
从 ∀从「あおぉあああ・・・」
ハインは残った力で懸命に銃のトリガーを引き続けた。
激しい衝撃。
音は鼓膜を通り越し、脳に直接響く。
ブーンとアニジャは吹き飛ばされ、車両の端にぶつかって止まった。
(メメパωTメ)「ううっ・・・」
(#´_ゝ`)「くそっ!」
(メメパωTメ)「どうなったお?」
(#´_ゝ`)「さあな・・・」
(メメパωTメ)「何の音だお?」
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 00:23:38.76 ID:WPuy7/lU0
別の種類の音が聞こえてくる。
上空からだ。
( ´_ゝ`)「時間だ」
(メメパωTメ)「おおっ?」
巨大な振動と、音。
終わることはないと思われるほどの光が降り注いだ。
( ´_ゝ`)「忌々しい化け物はこれでお仕舞いだ」
(メメパωTメ)「助かったのかお?」
列車から出た2人の目の前は火の海になっていた。
( ´_ゝ`)「・・・そういうことみたいだな」
( ´_ゝ`)「ただ、これから山のような検査を受けるようになると思うが・・・」
(メメパωTメ)「助かったんならいいお・・・っ」
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 00:26:30.81 ID:WPuy7/lU0
ブーンは傷口に痛みが走るのを感じた。
その頬の傷の奥深く。
そこには
無数の白い小さな卵。
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