- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 18:14:38.53 ID:dfM9Efge0
テレビのアナウンサーが異国の人に「日本語で一番好きな言葉は?」とインタビューしていた。
「”もったいない”だね。ものを重んずるこの言葉は素晴らしいよ!僕の国にはない文化だ」
そういったニュアンスのことをニヤニヤしながら流暢な日本語で話していた。
厭味を言ったのか、本気でそう思ったかは定かではないが、ひとつ言えることがある。
私がこの世で一番もったいないと思うものは、人間の脳みそだということ。
人間の脳みそってもんは生誕してから灰になるまで、ほんの数パーセントしか使わないらしい。
理由も根拠も知らない。そんなものは知りたいとも思わない。
それでもこれが真実であると、私は信じ切っている。
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 18:19:46.40 ID:dfM9Efge0
ζ(゚ー゚*ζおばかのようです
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 18:25:09.62 ID:dfM9Efge0
人間はすぐに忘れる。
今までのことを全て覚えていることなんかはできない、不可能、無理。
もちろん、何事にも例外はつきものだから絶対とは言えないけど、少なくても私自身はできないし、周りにもそんな人はいない。
こんなのってもったいなくない?
きっと脳みそをフル活用したら、どんなことだって全て正確に記憶することが可能だと思うんだよね。
すごく大切なことでも、些細なことでも
全部、ぜーんぶ!
ぜんぶ
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 18:29:33.30 ID:dfM9Efge0
――中学2年生の春――
( ゚∀゚)「わはは!まてこらー!」
( ・∀・)「ちょ、やめろって!」
ζ(゚ー゚*ζ「・・・・・・」
( ゚∀゚)「おらっ!」
( ・∀・)「やめろ、押すなってー!」
デレサンニブツカッチャウダロー
Σ( ゚∀゚)ノ( ・∀・)(゚ー゚*ζドンッ
ζ(゚ー゚*ζ「あ・・・」
(;゚∀゚)「は、早く教室いこーぜー」
(;・∀・)「お、おう」
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 18:35:05.24 ID:dfM9Efge0
―ドンッ
ξ゚听)ξ「ちょっとモララー! 今ぶつかったわよ!」
( ・∀・)「わりぃーわりぃー」
( ゚∀゚)「ツンなら問題なくねーw」
( ・∀・)「確かにw」
ξ+゚听)ξ「どういう意味よっ!!」
わいわいわい
ζ(゚ー゚*ζ「・・・はぁ」
( ^ω^)「おはようだおー」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、おはよー」
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 18:41:07.17 ID:dfM9Efge0
( ^ω^)「今日は早めの登校だおね」
ζ(゚ー゚*ζ「うん、早起きできたー」
( ^ω^)「へーできるんだおねw いつもギリちょんでドタバタ来るのにw」
ζ(゚ー゚*ζ「そっ! そんなことないもん!」
( ^ω^)「ははは」
( ^ω^)「あ、ドクオおはようおー」
すたすたすた・・・・・・
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 18:50:27.15 ID:dfM9Efge0
他人の目から見たら
地味で、静かで、目立たない
そんな子だった
特定の子としか会話ができないような
人見知りな性格だった
でも彼はそんなのおかまいなしだ
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 18:55:26.99 ID:dfM9Efge0
――中学2年の夏――
ミセ*゚ー゚)リ「あ、ジュース買いたい!自販機よっていい?」
ζ(゚ー゚*ζ「いいよー」
【自販機】
ミセ*゚ー゚)リ「あっ、ブーンだ!ついでにあたしのも買ってーw」
( ^ω^)「何でそうなんすかww」
ミセ*゚ー゚)リ「この間ノート見せたったじゃん!」
( ^ω^)「お前に借りなんか作るんじゃなかったおー」
ζ(゚ー゚*ζ「あはは」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 18:59:24.09 ID:dfM9Efge0
―ガコンッ
ミセ*゚ー゚)リ「まじでいいのっ?」
( ^ω^)「しゃーなしお」
ミセ*゚ー゚)リ「でも炭酸がよかった・・・」
( ^ω^)「わがまま言うなお! はい、こっちはデレちゃん」
ζ(゚ー゚*ζ「え、私にも?」
( ^ω^)「ついでついでー」
ミセ*^ー^)リ「ありがとっ☆」
( ^ω^)「お前がいうとなんかムカつくおww」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがとう、内藤くん」
( ^ω^)「おっおっ」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 19:05:43.84 ID:dfM9Efge0
人と人との輪に自然と入ることができなかった
面白いこと言えない
気の利く返事を返せない
そんな自分が嫌だった
彼はとても自然だ
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 19:08:45.15 ID:dfM9Efge0
――中学2年の秋――
ミセ*゚ー゚)リ「修学旅行楽しかったねー」
ζ(゚ー゚*ζ「うん、あっという間だったね」
ミセ*゚ー゚)リ「早く東京着かないかなぁ・・・バスん中つまんなーい」
( ゚∀゚)「ずっと乗ってっと暇だなー」
( ・∀・)「おいー誰か歌えよ」
ξ゚听)ξ「自分が歌えばいいじゃないの!」
( ・∀・)「やだしーw」
( ^ω^)コホン
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 19:12:40.71 ID:dfM9Efge0
♪〜♪〜♪〜〜
( ゚∀゚)( ・∀・)ξ゚听)ξ「 ! 」
( ^ω^)「栄光に向かって走るーあの列車に乗っていこうー」
( ゚∀゚)「歌ってるしw」
( ・∀・)「いいぞいいぞーw」
ξ゚听)ξ「しかしこのブーンノリノリである」
( ^ω^)「トレイン!トレイン!走って行け!
トレイン!トレイン!何処までも!」
ζ(゚ー゚*ζ「うまいなー」
ミセ*^ー^)リ「おもしろーいw盛り上がるねぇ」
( ^ω^)「トレイン!トレイン!走って行け!」
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 19:17:14.75 ID:dfM9Efge0
いつもみんな中心だった
空回りも多かったけど、
それも含めて
彼は楽しい空気を作る天才だった
私はいつも、隅で見ているだけだった
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 19:22:09.41 ID:dfM9Efge0
――中学2年の冬――
ζ(-ー-*ζ(ストーブ温かい・・・)ウトウト
ζ(-ー-*ζぐー
⌒○Σζ(-ー-*ζ ポコンッ! ←消しゴム投げられた
ζ(゚ー゚;ζ「っ!ななな何事!?」ガバッ
( ^ω^)「授業中に寝るなおww」
ζ(゚ー゚;ζ「! にぇ、寝てないもん!」
( ^ω^)「思い切り噛んでるw じゃあ今何してたお?」
ζ(゚ー゚;ζ「・・・か、考え事?」
( ^ω^)「いやいやw 疑問形で返されてもw」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 19:27:05.17 ID:dfM9Efge0
( ^ω^)「授業ついていけなくなっちゃうおーデレちゃんおばかなんだからw」
ζ(゚ー゚;ζ「大丈夫!ちゃんと聞いてるって!」
( ^ω^)「寝息立てながらっすかw」
( ・∀・)「ぶはっwデレさんって意外におバカキャラなんだなー」
ζ(゚ー゚;ζ「!? え?! ちっ」
( ^ω^)「まったくだおー」
ζ(゚ー゚;ζ「びっ、ばかじゃないっ!」
( ^ω^)「またですかww」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 19:31:27.03 ID:dfM9Efge0
焦ると噛むのが癖だ
彼はそれをよくからかった
にこにこしながら
おばか、と何度も言った
他のクラスメートと、少しずつ喋れるようになってきた
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 19:35:27.20 ID:dfM9Efge0
――卒業式――
( ^ω^)「お!」 ζ(゚ー゚*ζ「あ、」
( ^ω^)「デレちゃんどこのおばか高校行くお?」
ζ(゚ー゚*ζ「おばかって! ●●高校だよ」
( ^ω^)「おっ? 実はすごい高校行くんだおね!」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふっ、見なおした?」
( ^ω^)「でもかなりマイナーなとこだおw」
ζ(゚、゚*ζ「むーそういう内藤くんはどこいくの?」
( ^ω^)「ナ・イ・ショ!」
ζ(゚ー゚*ζ「イラッとするー」
( ^ω^)「おっおっおっ、まあ、せいぜい頑張るお」
ζ(^ー^*ζ「内藤くんこそねっ!」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 19:41:19.85 ID:dfM9Efge0
最後の日なのに
相変わらずの笑顔
会えなくなるのに
まったくそんな気がしなくて
すぐにまた会えると
心のどこかで考えていた
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 19:45:31.96 ID:dfM9Efge0
――高校2年の秋――
携帯「ピロリンコピロリンコ」
ζ(゚ー゚*ζ「ミセリからだ・・・はーい」ピッ
ミセ* ー )リ『デレ・・・』
ζ(゚ー゚*ζ「? どうかした?」
ミセ* ー )リ『ニュース見た?』
ζ(゚ー゚*ζ「え、見てないけど・・・」
ミセ* ー )リ『しんだって』
ζ(゚ー゚*ζ「・・・え?」
ミセ*;ー;)リ『ブーン・・・しんじゃったんだって』
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 19:50:06.60 ID:dfM9Efge0
何が起こっているか
まったく理解できなかった
久しぶりに聞いた彼の名前は
ミセリの声で震えていた
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 19:54:49.79 ID:dfM9Efge0
――式――
ξ゚听)ξ「・・・信じられない」
( ゚∀゚)「ああ・・・」
ξ゚听)ξ「あんな崖の近くで遊ぶなんて・・・小学せい、じゃ、ない」
( ・∀・)「でも・・・ブーンらしいよ。 あいつ、遊ぶの大好きだったからな」
( ゚∀゚)「・・・そうだなぁ」
ξ;;)ξ「ほんとっ・・・ばかなん・・・だから・・・」
( ∀ )( ;∀;) ううっ
ζ(゚−゚*ζ「・・・・・・」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 19:59:27.42 ID:dfM9Efge0
ミセ*゚−゚)リ「ブーン・・・」
ζ(゚−゚*ζ「・・・」
ミセ*゚ー゚)リ「でも、最後、優しい顔、してたね」
ζ(゚−゚*ζ「・・・うん」
ミセ*;ー;)リ「それだけは・・・グスッ」
ζ(゚−゚*ζ「ミセリ・・・」ナデナデ
「ブーン・・・なんで・・・ブーン、ブーン・・・いやだぁ、やだやだやだやだ・・・いやあああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ζ(゚−゚*ζ「・・・」
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 20:01:31.56 ID:dfM9Efge0
ミセ*゚−゚)リ「ブーン・・・」
ζ(゚−゚*ζ「・・・」
ミセ*゚ー゚)リ「でも、最後、優しい顔、してたね」
ζ(゚−゚*ζ「・・・うん」
ミセ*;ー;)リ「それだけは・・・グスッ」
ζ(゚−゚*ζ「ミセリ・・・」ナデナデ
「ブーン・・・なんで・・・ブーン、ブーン・・・いやだぁ、やだやだやだやだ・・・いやあああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ζ(゚−゚*ζ「・・・」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 20:05:04.63 ID:dfM9Efge0
誰もが涙をながしていた
誰もが彼の死を嘆いた
なのに私の目は乾いたままだった
どこかで
信じ切れていなかった
内藤くんの彼女の千切れるような悲鳴だけが
遠くから、聞こえた
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 20:11:46.16 ID:dfM9Efge0
――ミセリ宅――
川 ゚ -゚)「先日はその、いろいろ大変だったな」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、ブーンがいなくなったのは・・・すごくおおきい」
川 ゚ -゚)「そうだろう。 ミセリは幼馴染だったもんな」
ζ(゚ー゚*ζ「そっか、小さい頃から一緒なんだっけね」
川 ゚ -゚)「私も式には行かせてもらったよ」
ミセ*゚ー゚)リ「そうなんだ・・・あ、でも、」
川 ゚ -゚)「ああ、特に会話はしたことないさ。 内藤は私のことなど知らないだろう」
ζ(゚ー゚*ζ「そんなことは、ないと思うけど・・・」
川 ゚ -゚)「彼はよく目立つ人間だった、もちろんいい意味でだ。 仲良くなくとも寂しいものさ」
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 20:15:09.89 ID:dfM9Efge0
ζ(゚ー゚*ζ「そっか・・・そうだよね」
ミセ*゚ー゚)リ「ブーンもきっと喜んでるよ」
川 ゚ -゚)「だといいがな」
ミセ*゚ー゚)リ「・・・あたし思うの」
ミセ*゚ー゚)リ「悲しむだけじゃ、だめだよね。 ブーンは人の落ち込む顔見るの好きじゃなかったし、人のこと元気にさせるの大好きだったから・・・きっと、こんなのいやがるかもって」
ミセ*゚ー゚)リ「もちろん、今はまだまだ悲しい気持ちは消えそうにないけど・・・ブーンが17歳までしか生きられなかった分、あたしたちは精一杯生きなきゃ」
ミセ*^ー^)リ「ブーンがくれたこの笑顔は、絶対忘れないんだっ!」
川 ゚ ー゚)「ああ」
ζ(゚ー゚*ζ「・・・」
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 20:19:30.51 ID:dfM9Efge0
―――――
―――
川 ゚ -゚)「さあ、そろそろ寝るか」
ミセ*゚ー゚)リ「そうだね! じゃあ電気消すよー」
ζ(゚ー゚*ζ「はーい」
「おやすみ〜」
――――
――
ミセ*-ー-)リ「グーグーグー」
ζ( ー *ζ「・・・・・・・」グスッ
ζ(;ー;*ζ「ううっ・・・」
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 20:25:56.19 ID:dfM9Efge0
川 ゚ -゚)「デレ、どうした」
ζ(;ー;*ζ「ク、クー・・・起きてたの?」
川 ゚ -゚)「泣いているのか?」
ζ(;ー;*ζ「・・・・・・」
川 ゚ -゚)「内藤のことか?」
ζ(;ー;*ζ「・・・・・・・」
川 ゚ -゚)「・・・今まで泣くことを我慢してたんだな」
ζ( ー *ζ「だってぇ、だってぇ・・・」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 20:29:04.79 ID:dfM9Efge0
ζ(;ー;*ζ「クラスで、ミセリ以外にちゃんと喋れるの、内藤くんだけだったの・・・あたし、ばかだし、喋るの下手くそだったし・・・う、まく返事返せないし」
川 ゚ -゚)「うん・・・」
ζ(;ー;*ζ「人とっ、会話が、続かなくなったりっ、困った、顔され、るのがっ、こわかった」
川 ゚ -゚)「そうか」
ζ(;ー;*ζ「自分でっ、勝手に壁作って、勝手に落ち、込んでたのっ」
川 ゚ -゚)「・・・」
ζ(;ー;*ζ「なのに、ないとうくんは、自然に接してくれた・・・こんなあたしにも、みんなと、みんなとっ、同じように・・・えがお、で」
川 ゚ -゚)「うん・・・」
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 20:33:20.46 ID:dfM9Efge0
ζ(;ー;*ζ「憧れてたっ・・・面白いこと、も言えてっ、みんなの中心でっ、あたしのこともクラスに繋いでっ、くれてた・・・誰にも、優しくてっ、誰にでもっ、意地悪だった・・・あたしも、あんな風になれたら、って・・・」
川 ゚ -゚)「そうだな・・・」
ζ(;ー;*ζ「でも、でももう、本当にいないんだね・・・」
川 ゚ -゚)「ああ」
ζ(;ー;*ζ「ほんと、に、もう・・・」
川 ゚ -゚)「・・・さっきミセリが言っていたろう? 彼からもらったものを忘れない、と」
ζ(;ー;*ζ「うん・・・言ってた」
川 ゚ -゚)「デレも彼からもらったものあるんだろう?」
ζ(;ー;*ζ「うんっ・・・いっぱい、あるよ」
川 ゚ー゚)「じゃあ、それを大切にしていけたらいいな」
ζ(;ー;*ζ「・・・うん!」
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 20:37:26.03 ID:dfM9Efge0
そうだ
私は
たくさんもらったんだ
楽しい時間
笑顔
友達の大切さ
いっぱい教わった
忘れないよ、君のこと
絶対に
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 20:44:07.71 ID:dfM9Efge0
――大学3年の夏――
ζ(゚ー゚*ζ(暑いー・・・)
ζ(゚ー゚*ζ(これだから夏はきらいっ)
ζ(゚ー゚*ζ(んー・・・あ・・・また・・・)
ζ(゚ー゚*ζ「はぁ・・・」
「デーレ! どーしたの?」
ζ(゚ー゚*ζ「・・・何でもないよ!」
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 20:50:43.65 ID:dfM9Efge0
私は毎年夏になると同じことを思う。
”もうそろそろあの日から――年経つんだ”と。
その都度、自分にがっかりする。
なんでこんなことになっちゃったんだろ。
あのとき私は確かに思った。
彼のことを絶対に忘れない、と。
でもこれじゃあ8月になるまでは忘れていて、しばらくするとまた忘れるってことじゃないの?
何度も何度も、彼を忘れてしまっているの?
そんなの最低じゃん。
最低だ。
- 65 名前:訂正 8月× 夏○ 投稿日:2009/11/26(木) 20:54:30.68 ID:dfM9Efge0
もっと最悪なのは年々思い出すのが困難になっているということ。
少し低めな声、変な笑い方、大きな背丈
くっきりと焼き付いてたのもが、段々ぼやけてきてる・・・
あんなにも憧れてたのに・・・
そのうちあの笑顔まで思い出しづらくなるかと思うと、とても怖い。
怖い、怖い、怖い、
絶対に忘れたくない。
みんなを元気にさせる人
多くの人に愛される人
私たちの大切な人
ζ(;ー;*ζ「やだ、忘れたくない・・・」
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 20:59:15.49 ID:dfM9Efge0
こうやって泣く自分が大嫌いだ。
ふと”思いだし”て、勝手に涙を流して、また忘れていく。
何度も何度も・・・
泣くべき人間は私なんかじゃない。
私に涙を流す権利なんてないのに。
こんなのおかしいんだ
あーあ
もっとちゃんと記憶できたら
脳みそを全部使えたら
こんなことにならない・・・のかな?
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 21:04:21.44 ID:dfM9Efge0
川 ゚ -゚)「本当にばかだな、君は」
ζ(゚ー゚*ζ「・・・うん」
ミセ*゚ー゚)リ「そうだよっ、昔言ったじゃん! ブーンは落ち込んでる顔好きじゃないって! 自分のことでデレがそんな顔していたら悲しむよぅ」
川 ゚ -゚)「だいたいそれは忘れたとは言わんだろう」
ζ(゚ー゚*ζ「そうかな・・・」
川 ゚ -゚)「”内藤”という人間がいて、自分に大きな影響を与えてくれた。 デレはそれを忘れたわけじゃない」
ζ(゚ー゚*ζ「・・・・・・」
川 ゚ -゚)「大切なのは、彼の顔か?背の高さか?声の低さか?笑い方か? 違うよ、彼の存在そのもの。 そしてデレが何を思ったか、そうではないのか?」
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 21:07:36.38 ID:dfM9Efge0
川 ゚ -゚)「私たちはただの人間だ、忘れてしまうこともあるし、それを歯がゆく思うこともあるよ。 でもそれを悔やんで何になる? そうすればすべてを記憶できるようになるとでも?」
ミセ;゚ー゚)リ「ちょっと、クー!!」
川;゚ -゚)「! ああ、すまない・・・」
ζ(゚ー゚*ζ「ううん、ありがとう。 その通り・・・結局私は自分のことしか考えたことなかった」
ミセ*゚ー゚)リ「そんなことないっ! デレにとってもブーンが大切だってだけじゃない!」
ζ( ー *ζ「・・・うん」
川 ゚ー゚)「泣くのか?」
ζ(;ー;*ζ「な、泣かないもんっ」
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 21:14:10.63 ID:dfM9Efge0
彼がよく言ってた
わたしは「おばか」だと
否定し続けてきたけど
今言われたら
きっと何も言い返せないだろう
そしてしたり顔で笑われてしまうかな
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 21:19:42.61 ID:dfM9Efge0
苦手だとか
怖いだとか
自分が嫌いだとか
なりたいだとか
脳みそだとか
私はほんとうにおばかだ
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 21:27:47.16 ID:dfM9Efge0
――大学4年の秋――
ζ(゚ー゚*ζ「まだちょっとあついなー・・・あ、」
ζ(゚ー゚*ζ(誰かがもうお花飾ってる・・・)
ζ(゚ー゚*ζ(・・・きっとここにはいつ来ても、綺麗なお花が飾ってあるんだろなぁ)
初めて彼のお墓参りに来た。
私たちはお互いにとって特別な存在でもなければ、深い付き合いがあるわけでもない。
だから何となく、来ることができなかった。
でもそれは違う。
そんなことは、ない。
だって彼は誰にとっても愛しい人
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/26(木) 21:32:19.24 ID:dfM9Efge0
脳みそって実にもったいない。
全部使えたら、もっといろんなことができるんだろうな。
でも、このままでも悪くないのかも。
だってね
本当に大事なことだけ、とっておける
そんな気がするから
ζ(゚ー゚*ζ「相変わらず、笑顔でいるの?」
おわり
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