('A`)がジョックどもをぶっ飛ばすようです/2/3

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 20:52:10.47 ID:0cvZ112T0
〜〜和やかな夕食の一時〜〜


(`・ω・´)「ドクオ、ちょっといいか」

('A`)「なんだい父さん」

(`・ω・´)「実は父さん、今朝起きたら指から電気を発射できるようになったんだ」

('A`)「へー凄いじゃん。そこのキュウリの漬物の皿とって」

(`・ω・´)「それで朝からついテンション上がっちゃって」

(`・ω・´)「会社を無断欠勤してご近所の皆さんに自慢していたら」

(`・ω・´)「案の定というべきかクビになってしまってな」

('A`)「は? ふざけんな」

(`・ω・´)「どうも前々から勤務態度について腹に一物あったらしくて」

('A`)「真面目に働けよ。どうすんだよ」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/31(日) 20:56:25.11 ID:0cvZ112T0
(`・ω・´)「大丈夫だ。心配することはない」

(`・ω・´)「ここからが本題でな」

('A`)「指からスパーク出しながら喋るなよ危なっかしい」

('A`)「それで本題ってなによ?」

(`・ω・´)「それがな、近所で電気出しまくってたら瞬く間にネット上で噂になったらしく」

(`・ω・´)「なんと父さんNASAの人にスカウトされちゃって」

('A`)「マジか」

(`・ω・´)「特異体質について研究するらしいんだよ」

('A`)「金くれんの? くれなきゃ君ないぞ」

(`・ω・´)「もちろん。それで来週からアメリカに渡ることになったんだけど」

(`・ω・´)「お前の転校届も出しておいたからついてきてくれ。な?」

('A`)「……は?」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 20:59:56.54 ID:0cvZ112T0
〜〜アメリカンなハイスクール〜〜


('A`)「はあ。今日から俺も在米高校生か……」

('A`)「突然の話すぎて戸惑ったが……」

('A`)「本当になんとかなるんだろうか? 分かんないことしかねーぞ」

('A`)「一応英語は一夜漬けでTOEICで950点取れるまでには鍛えたが……」

('A`)「しかし緊張する」

「ソレデハ テンコウセイノ ドックオサーン ハイッテキテクダサーイ!」

('A`)「おお呼ばれたか。んじゃ失礼しまーすっと」ガラガラ

ガヤガヤ

('A`)(うおお、外人の群れ……他民族国家……)

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/31(日) 21:04:10.31 ID:0cvZ112T0
ハハ ロ -ロ)ハ「ドックオサーン ハジメマシテ!」

('A`)「ああ、ども」

('A`)(金髪さん片言すぎる……)

ハハ ロ -ロ)ハ「タンニンノ ハロー ディス! ヨロシク!」

ハハ ロ -ロ)ハ「ソレジャ サッソク ジコショッカイ オーケイ?」

('A`)「あ、自分英語とか結構わかるんで」(流暢な英語)

ハハ ロ -ロ)ハ「ワット?」

('A`)「普通に喋ってもらったんで大丈夫です」(心地よいイントネーション)

ハハ ロ -ロ)ハ「Oh……フローレスイングリッシュ……」

ハハ ロ -ロ)ハ「……了解しました。それでは自己紹介のほう、お願いします」(ネイティブな発音)

('A`)「わかりました」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 21:09:51.25 ID:0cvZ112T0
('A`)「えードクオです。見ての通り日本から来ました。日系とかじゃなく」

('A`)「親の都合で転校してきたんですけどその辺はカットで頼みます」

('A`)「あと一年と半分くらいの付き合いですけど」

('A`)「まあよろしくお願いしますということで」

( ゚∀゚)「ヘイ! ジャパニーズ!」

('A`)(なんだこいつ挙手しやがって……うるせぇな……)

( ゚∀゚)「趣味とか特技とか、クラブどこ入るかとかも言っとけよ!」ニヤニヤ

('A`)「趣味……? 別にないっすね。特技は合気道かな……」

('A`)「クラブとか今から始めるのもめんどいんでパスです」

( ゚∀゚)「クラブやらない? そうか! ハハ! わかったわかった!」

HAHAHAHA!!

('A`)(おい、なんで数人笑ってんの。どこに笑えるポイントがあったのよ)

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 21:14:50.37 ID:0cvZ112T0
ハハ ロ -ロ)ハ「ドクオさん、どうもありがとうございました」

ハハ ロ -ロ)ハ「皆さん拍手のほどをお願いします」

パチ...パチ...

('A`)(まばらだなあ)

ハハ ロ -ロ)ハ「それではあなたの席を告げておきますが……」

ハハ ロ -ロ)ハ「窓際の一番後ろの席が空いてますので、そちらに」

('A`)「はあ、わかりました」

('A`)「んじゃ座りますか……よいせっと」

('A`)(それにしてもニヤニヤしてる奴らうぜぇな……)

( ^ω^)「おっ。隣よろしくだお」

('A`)「ああよろしく。なんていうのお前?」

( ^ω^)「ブーンだお。しっかり名前覚えてくれお」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 21:20:01.61 ID:0cvZ112T0
('A`)「ほほう、ブーンね。白豚みたいな奴がブーン。把握っと」

( ^ω^)「僕は寛大だから非常に失礼な記憶方法をとったことは見逃してやるお」

( ^ω^)「ところで日本人よ」

('A`)「なんだ?」

( ^ω^)「あんたどこのクラブ活動にも属さないって本当かお?」

('A`)「なんでそこで嘘つく必要があるんだよ。なんもやんねーよマジで」

( ^ω^)「ほう。そりゃあ……結構な覚悟で」

('A`)「なんだよ、そのご愁傷さまみたいな憐れんだ目は」

( ^ω^)「失敬な。末永き仲間を見る目だお」

('A`)「仲間? 意味わからん。どういうこっちゃ」

( ^ω^)「ま、そのうちわかるお」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 21:25:10.76 ID:0cvZ112T0
〜〜昼休み〜〜


('A`)「あー腹減った。この学校って昼飯どうなってんの?」

('A`)「俺片親だから弁当なんて無理なんだけど……」

( ^ω^)「食堂に行けば好きなものが食べられるお」

('A`)「形態は? 食券か?」

( ^ω^)「いんや、口頭で言えばおばちゃんが更におかず盛ってくれるお」

( ^ω^)「もちろん相応の金額は払ってもらうけど」

('A`)「なんだ金でなんでも買えるのか」

( ^ω^)「金銭的に余裕あるのかお」

('A`)「崩壊寸前のドルなんていくら使っても惜しくないし」

( ^ω^)「お前は僕らの経済状況をもっと労わるべきだお」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/31(日) 21:32:39.35 ID:0cvZ112T0
〜〜学生食堂(キャンティーン)〜〜


('A`)「というわけで学食にやってきたわけですが」

('A`)「やっぱり多いな、人。めっちゃ混雑してる」

( ^ω^)「早く並ぶお。できるだけ早くおかずを受け取るお」

('A`)「なんでそんな急いでるんだよ……まあいいか」

( ^ω^)「よし。無事に僕らの番まで来たお」

( ^ω^)「今日のメニューはどんな具合だお?」

('、`*川「メインはシーバスとポーク。いつものように好きなほう選んで」

('、`*川「スープは自分で適当についどいてね」

( ^ω^)「お肉とお魚……まだお肉は残ってるかお」

('、`*川「今のところは」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/31(日) 21:37:25.59 ID:0cvZ112T0
( ^ω^)「ほっ。安心したお」

('A`)「待て、野菜がないぞ野菜が」

('A`)「五大栄養素が欠けていたら成人病で死ぬ」

('、`*川「芋があるでしょ芋が。ほい」ドサッ

('A`)「おい山盛りによそうな! これは栄養学的に分類するなら炭水化物だろうが!」

('、`*川「あらやだ。ビタミンも豊富よ」

('A`)「だからって芋ばっか食わせんな……確実に午後に響く……」

( ^ω^)「ドクオ、くだらない言い争いしないで早くしてくれお」

('A`)「なんだよ、さっきから急かすな」

( ^ω^)「そりゃあ、だって……」

「ハハハ! それでギコの奴、派手にタックルくらっちまってさ!」

('A`)「ん? なんだあの声でけー集団」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/31(日) 21:43:10.18 ID:0cvZ112T0
( ゚∀゚)「聴いたか? チアどもの悲鳴!」

('A`)(んん……同じクラスの奴か……ジョルジュとかいったか)

( ・∀・)「もちろんさ! 彼の人気は本当に凄いね」

ミ,,゚Д゚彡「さすがは我が校のエースだな!」

( ゚∀゚)「だよな! まったく、モテる男は憎いぜ! ハハハ!」

(,,゚Д゚)「茶化すんじゃねーよ。あのせいで全身激痛だぜ?」

('A`)「おい」

( ゚∀゚)「ん?」

('A`)「なに会話でレスの行数埋めながらこっそりと列飛ばしてんの?」

('A`)「俺今から飯もらうところなんだけど」

( ^ω^)「ドクオ! 余計なことは……」

('A`)「なんだよ。明らかにこいつに非があるだろ」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/31(日) 21:48:46.90 ID:0cvZ112T0
( ゚∀゚)「……ハッハー! 傑作だ! こりゃ傑作!」

('A`)(なんだ突然爆笑しやがって……情緒不安定か……)

('A`)(ってか……俺以外誰もこいつらに何も言わないし)

( ゚∀゚)「ヘイ、ジャパニーズ」

( ゚∀゚)「わかってんの? 自分の立場って奴」

('A`)「立場ってなんだよ」

( ・∀・)「ダメだよ彼、理解してない。よそものだから仕方ないけどね」

(,,゚Д゚)「お前らナードに優先権なんてあるわけないだろ。どけよ」ドンッ

('A`)「いって!? ……おい、ふざけんなよ!」

( ^ω^)「ドクオ、大人しくひくお。彼らにさからうのはよくないお」

('A`)「はあ? どうしてだよ。こんな横暴許せるか」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/31(日) 21:54:04.87 ID:0cvZ112T0
( ^ω^)「彼らはジョックだお」

('A`)「ジョック? なんだそれ」

('A`)「……とか言ってる間にあいつらポークソテーもらってるけど……」

('、`*川「はいポーク売り切れー。待ってたみんなごめんねー」

('A`)「なっ! 選択権剥奪かよ!」

( ^ω^)「……ジョックの存在を知らないのかお?」

('A`)「知るかよ。それからよー、さっきのナードってのもなんだ?」

('A`)「悪いが俺のボキャブラリーにはそんな単語ないぞ」

( ^ω^)「まずはそこから話をしなくちゃいけないのかお……」

( ^ω^)「……とりあえずフィッシュもらって座るお。空席があるうちに……」

('A`)「気になる言い方しやがって……わかったよ」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 21:59:23.32 ID:0cvZ112T0
('A`)「この席でいいか。よっこらよっこら」

('A`)「……で、さっきの話だが」

( ^ω^)「うん。ひとつ質問いいかお?」

('A`)「なんだ?」

( ^ω^)「スクールカーストって聞いたことないかお」

('A`)「皆目。カースト制度ってのは耳にしたことはあるけど」

( ^ω^)「簡単に説明すると、学校社会におけるヒエラルキー……」

( ^ω^)「階層のことだお」

('A`)「階層? 馬鹿なことを。なんでそんなもんあるんだよ」

( ^ω^)「文化的な慣習……みたいなものかお」

('A`)「くだらねぇ風習だな。それで、どんなふうに別れてんの?」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 22:05:45.46 ID:0cvZ112T0
( ^ω^)「まず最上位にいるのが、ジョック」

('A`)「さっきの連中か……あいつらがトップかよ」

('A`)「今もバカでかい声で騒いでるな……」

( ^ω^)「彼らは学生の実質的な支配者として振る舞えることが許されてるんだお」

( ^ω^)「カーストの頂点であるジョックには誰も文句を言えないお」

('A`)「なんでさ」

( ^ω^)「ちょっとでも歯向かおうものなら学校中から総スカンをくらうお」

( ^ω^)「ジョックってのは要するに人気者で結成された派閥だから」

( ^ω^)「彼らの肩を持たない奴は憂き目に遭うんだお」

('A`)「ひでー話だな……それで、ジョックと呼ばれる定義みたいなのってあんの?」

( ^ω^)「基本的にはスポーツマンだお。特にアメフトをやっている者が人気になるお」

('A`)「ははあ、それで最初にクラブについて尋ねてきたのかジョルジュは……」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 22:12:19.37 ID:0cvZ112T0
( ^ω^)「そして女子の頂点のいるのが、クイーン」

('A`)「そのまんまなネーミングだな」

( ^ω^)「こっちはチアリーダーだお」

('A`)「またスポーツが絡むのか。なんとなくわかったぞ」

('A`)「そいつらが一番上なのはジョックとつるめるからだろ」

( ^ω^)「まあ、そんな感じ」

('A`)「だと思ったぜ。奴らが女はべらせて校内歩いてたら発狂しそうになるな……」

( ^ω^)「で、ジョックやクイーンの取り巻きがワナビーやプリーザー」

('A`)「そいつらは位置的にはどんなもんなの?」

( ^ω^)「大体、真ん中くらい……下層よりはマシ程度だお」

('A`)「金魚の糞のくせに随分いい身分だな」

( ^ω^)「仕方ないお。子分とはいえ親分の存在は無視できないから」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 22:19:33.88 ID:0cvZ112T0
('A`)「ふうん……そうか」

('A`)「それで、結局ナードってのはなんなんだ?」

('A`)「いつの間にか俺もナードとかいうのにされてたんだが」

( ^ω^)「ナードはジョックになれなかった目立たない学生の総称だお」

( ^ω^)「負け犬とでも言い換えようかお」

('A`)「俺は初日で負けたのかよ」

( ^ω^)「ナードにもいろいろ細かい分類があって……」

( ^ω^)「それはおいおいわかると思うお」

('A`)「でもよ、だからって負けっぱなしはいやだぜ」

( ^ω^)「ナードは虐げられる存在だから諦めるお……」

('A`)「誰が決めたんだよ」

( ^ω^)「アメリカ文化がそういう概念を生み出したんだお」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/31(日) 22:23:03.40 ID:0cvZ112T0
('A`)「なんていうか夢のない概念だな」

('A`)「体育会系と文系を極端にしたようなもんか……」

( ^ω^)「日本には似たようなピラミッドはなかったのかお?」

('A`)「確かに俺は日本でも底辺だったけどよ」

('A`)「でもこんな明確な形ではなかったぜ? イラっとくるわー」

( ^ω^)「文化の違いかお」

( ^ω^)「……だからといって変な揉め事は起こさないようにしてくれお」

('A`)「どうしてだよ」

( ^ω^)「だってナードの下には……」

ガシャーン!!

('A`)「な、なんだ?」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/31(日) 22:30:49.89 ID:0cvZ112T0
(-_-)「あ……」

( ゚∀゚)「おう、わりいわりい。肩がぶつかっちまったな」

(-_-)「僕の……ごはんが……」

( ゚∀゚)「ん? ああ、落としちまったのか」

ミ,,゚Д゚彡「仕方ねーな。俺のチリコンカンやるよ」

( ・∀・)「そりゃいい。僕のもあげるね。ほらほら」

(-_-)「い、いいよ……つけるパンもないのに……」

('A`)(うわ、トレイいっぱいに豆乗せてやがる……グロい)

( ゚∀゚)「なに、食えないの? せっかくやるって言ってんのに」

(-_-)「そ、それは……その……」

(,,゚Д゚)「まさかママお手製のチーズマカロニしか食えないっていうんじゃないだろうな?」

( ゚∀゚)「まさか! たぶんこいつのことだから砂糖たっぷりのピーカンパイだぜ!」

HAHAHAHAHA!!

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 22:34:36.89 ID:0cvZ112T0
('A`)「……おい、なんだよあれ」

( ^ω^)「ジョックに目をつけられた子だお」

('A`)「あれもナードか?」

( ^ω^)「あの子は……ターゲットだお」

('A`)「ターゲット? 標的ってなんだ、嫌な語感だな」

( ^ω^)「そのものずばりで、いじめのターゲットだお。ナードの更に下」

('A`)「そんなのが階層として存在してるのか?」

('A`)「クソったれにも程がある」

( ^ω^)「……かわいそうだけど、僕たちもいつああなるかわからないお」

( ^ω^)「だから大人しく、慎ましく生活するのが賢明だお」

('A`)「やりきれねぇな……」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 22:42:25.01 ID:0cvZ112T0
( ゚∀゚)「さて飯も食ったし、バスケでもやりにいくか!」

( ・∀・)「そりゃいいね。君たちもついてきなよ」

ξ゚听)ξ「いいの?」

ζ(゚ー゚*ζ「お供しまーす」

(,,゚Д゚)「俺のアリウープに見惚れるなよ?」

ξ゚听)ξ「やだー」

('A`)「あのミーハーくさい女どもがクイーンか……」

('A`)「なかなかこの高校のチアリーダーはレベルが高いな……」

( ^ω^)「……」

('A`)「ん? なんだその郷愁に耽るような遠い目は」

( ^ω^)「……別になんでもないお」

('A`)(ほほう)

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 22:47:11.36 ID:0cvZ112T0
〜〜放課後〜〜


('A`)「ジョルジュ含む運動部の奴らは練習に行ったか……」

('A`)「俺もそろそろ帰るかな」

ガヤガヤ

('A`)「……って思ったけど、なんでまだこんなに教室に残ってるの?」

( ^ω^)「僕たちが教室で自由にできるのはこの瞬間だけだお」

('A`)「そういうもんなのか」

('A`)「ということは今いる奴らはナードだけ?」

( ^ω^)「まあ、大抵は」

('A`)「なるほどな。よし、よし、わかった」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 22:54:56.73 ID:0cvZ112T0
('A`)「お前ら! ちょっとこの不細工なモンゴロイドに耳を貸せ!」

ザワ...

( ^ω^)「ちょ、いきなり何を大声で叫んでるんだお!」

('A`)「止めてくれるな親愛なる隣人よ」

ナンダナンダ

('A`)「よう、多くの友よ」

('A`)「ぶっちゃけお前らみんな迫害されてるんだってな」

ザワザワ...

('A`)「居場所がない、立つ瀬がない、権利がない」

('A`)「ジョックの奴らにでかい顔されても何ひとつ口答えできない!」

('A`)「俺もどうやらこのナードって階層に入れられたみたいだ」

('A`)「なーんも間違ったことなんかしてないのに」

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 23:01:49.46 ID:0cvZ112T0
('A`)「正直言ってむかつくだろ?」

('A`)「少なくとも俺はむちゃくちゃ腹立ってる」

( ^ω^)「……」

('A`)「というわけで、僕はここに宣言を打ち立てます!」

('A`)「題してスクールカーストぶち壊し宣言!」

ザワ...ザワ...

('A`)「やるぞー日本人はやるときゃやるぞーふふふ」

( ^ω^)「……なにとんでもないこと言ってるんだお!」

('A`)「止めるなよ。俺は決めた。一年半も我慢できるか」

( ^ω^)「ドクオはそうでも、他のみんなは……」

「アタシはのるよ」

('A`)「ん?」

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 23:06:14.39 ID:0cvZ112T0
从 ゚∀从「面白そうじゃん。現状変えられるんなら賛同するぜ」

('A`)「なんかやたらパンキッシュなガールが来たな」

('A`)「今時安全ピンファッションって……」

从 ゚∀从「悪いかよ。服でくらい自由を主張してもいいだろ」

('A`)「はあそうですか。ってかあんた、パっと見ナードっぽくないね」

('A`)「俺のイメージだとナードっていったら地味な奴なんだが」

从 ゚∀从「パンクはナード。メインストリームから外れたはみ出し者なのさ」

('A`)「そんなもんなのか」

( ^ω^)「学校で持て囃されるのは運動系だけだお」

从 ゚∀从「そういうこと。あそこにいるやつもそうさ」

(*゚ー゚)「わ、わたし?」

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 23:12:10.28 ID:0cvZ112T0
('A`)「誰このちっちゃい女の子」

从 ゚∀从「こいつはしぃ。日系人だ」

('A`)(日本人はロリに見えるとは言うが……)

('A`)「で、何をしてる生徒なの」

从 ゚∀从「うちの学校でブラスバンドやってるのさ」

(*゚ー゚)「そ、そうです。はい」

('A`)「日本じゃ吹奏楽部なんて女子の王道だったけどな」

从 ゚∀从「こっちじゃジョックの対概念の一種だぜ」

从 ゚∀从「バンドギークだったかな」

( ^ω^)「ギークってのは広義の意味でオタク、みたいなものだお」

('A`)「なるほど」

从 ゚∀从「マジモンのギークもいるぜ! ヘイ、ショボン!」

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 23:18:14.11 ID:0cvZ112T0
(´・ω・`)「なにさ」

从 ゚∀从「ヘイヘイ、いつまでノートパソコンとにらめっこしてるんだよ」

(´・ω・`)「うるさいな、今ちょうど企業側が用意したロックを潜れそうなのに」

('A`)「……なにしてんの?」

(´・ω・`)「ハッキング」

('A`)「平然と答えることなのかそれは。ってかお前すげぇな……」

(´・ω・`)「あっ、最終解除できた……やっぱり採用試験用のダミーか」

('A`)「なんだそりゃ」

(´・ω・`)「優秀なハッカーは雇用してもらえるからね」

(´・ω・`)「企業も僕らの力量を試してるってわけ」

(´・ω・`)「侵入からの時間が表示されてたけど僕はまだまだだったね」

('A`)「気合入ったギークだな……」

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 23:23:23.45 ID:0cvZ112T0
(´・ω・`)「それとさっきの話だけど僕も参加するよ」

('A`)「マジか!」

(´・ω・`)「刺激がありそうだしね」

('A`)「ありがてぇ、ありがてぇ」

从 ゚∀从「こいつさ、パソコンオタクだけど意外と熱い男なんだぜ」

(´・ω・`)「そんなんじゃないよ。ただ、面白そうなだけ」

从 ゚∀从「……で、しぃはどうすんの?」

(*゚ー゚)「わ、わたしは……」

从 ゚∀从「お前もクイーンを避けて歩く日々なんてこりごりだろ?」

从 ゚∀从「ジョックがいなくなりゃあいつらなんてただのハリボテだぜ!」

('A`)「そうだそうだ。あんなの単なるオツムの弱いビッチだ」

( ^ω^)「それは言いすぎ……」

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 23:31:16.19 ID:0cvZ112T0
(*゚ー゚)「……本当に、うまくいくの?」

('A`)「最悪俺が犠牲になる」

('A`)「どうせ日本人ってだけで差別されるし」

( ^ω^)「どんだけ被虐的なんだお」

(*゚ー゚)「……わたしだって」

(*゚ー゚)「ブラスを馬鹿にされるのは……もう嫌!」

从 ゚∀从「決まりだな」

(゚、゚トソン「ええと」

ミセ*゚ー゚)リ「わたしたちも」

( ><)「いるんですけど……」

('A`)「なに? こいつらはどういう理由でナードなの?」

从 ゚∀从「ああ、こいつらはほら……パっとしないってだけ」

( ><)「そうやってストレートに言われると胸が痛いんです!」

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 23:40:22.01 ID:0cvZ112T0
( ^Д^)「おいおい、なんか楽しそうになってきたじゃん」

('A`)「またいかにもなナードがきたな」

( ^Д^)「外見だけで言うな傷つくから!」

( ^Д^)「今はこんなんだけどステージじゃすげーから!」

(´・ω・`)「プギャーはギタリストなのさ」

('A`)「ギター弾いててモテないとか……」

( ^Д^)「仕方ないだろ! 俺の魅力を発揮する場なんてないんだから」

( ^Д^)「今年こそスクールフェスでのライブを認めてもらいたいんだよ」

('A`)「ジョック関係ないじゃん」

( ^ω^)「あるお。教師に口利きできるのも、ジョックか、ジョックと密接な学生だけだお」

( ^Д^)「その蜜月関係をなくすためならなんだってやってやる!」

('A`)「よっしゃ、その気概を買うぜ」

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/31(日) 23:46:22.14 ID:0cvZ112T0
川д川「あの……私も……」

('A`)「うおおお! びびった、だ、誰ですかあなたは」

('A`)「やたらゴテゴテした黒服を着てますが……」

从 ゚∀从「サダコはゴスだ」

('A`)「ゴス?」

(´・ω・`)「暗黒と退廃と怪奇を好む者さ。ファッションや思想でね」

('A`)「それはいいんだが暑苦しいな……」

川д川「ようやく……破滅の刻を迎えるのですね……」

川д川「うふふ……」

('A`)「な、なんか怖いけど、よろしく」

( ^ω^)「……まさかみんな、これほど鬱憤が溜まっていたとは……」

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/31(日) 23:51:51.21 ID:0cvZ112T0
('A`)「な? 言っただろブーン。全員同じ肚積もりだって」

从 ゚∀从「まあな。アタシらは機会が欲しかった」

( ^Д^)「うおおおおお、俺はやるぞおおおお!」

( ^Д^)「フットボールがなんだ! ベースボールがなんだ!」

( ^ω^)「……」

(-@∀@)「ちょっと待った、全員が全員同様みたいに言うのはやめてくれ!」

('A`)「ん? お前は違うのか?」

(´・ω・`)「彼もナードではあるけど」

(-@∀@)「僕はナードはナードでもインテリだよ!」

从 ゚∀从「ハァ? なにちょっと話盛ってんだよ」

从 ゚∀从「お前はせいぜいブレインだろ。ガリ勉のブレイン」

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/31(日) 23:57:19.94 ID:0cvZ112T0
(-@∀@)「ガ、ガ、ガリ勉だって!」

(゚、゚トソン「まあ……」

ミセ*゚ー゚)リ「テストはできるけど……

( ><)「それだけですし……」

(-@∀@)「ふざけるな! 僕は今でこそナードだけどいずれ上に行くんだ!」

(-@∀@)「ビル・ゲイツも言ってただろ! ナードはいずれジョックの上に立つって!」

('A`)「その時まで我慢すんの? 大学でも?」

(-@∀@)「そのくらいできる!」

('A`)「いずれじゃなくて、今だろ、やるなら」

('A`)「そういう気持ちがなかったらどっちにしても勝てねーよあいつらにゃ」

(-@∀@)「うるさいうるさい! 僕は君みたいな東洋人の口車には乗らないぞ!」

('A`)「お前も顔からしてアジア系だろ……」

168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 00:03:29.78 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「はあ……もったいない」

(´・ω・`)「君ほどの頭脳を誇る人材がいれば、大いに役立ったのに……」

(-@∀@)「……え?」

(´・ω・`)「誠に残念だ」

(-@∀@)「ショ、ショボンくん、僕の力が惜しいのかい?」

(´・ω・`)「ああ、惜しいよ。実に惜しい。君さえいてくれればな……」

(-@∀@)「……ふ、ふん、そこまで言うのなら、手を貸してあげてもいいけど?」

(´・ω・`)「本当かい? 助かるよ」

(-@∀@)「む、むふふ、いくらでも頼ってくれていいんだよ!」

('A`)「なんで簡単に心変わりしちゃってるの、あいつ?」

( ^ω^)「このクラスで一番頭いいのはショボンだから……」

('A`)「うまいこと劣等感を利用したな……」

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 00:10:06.14 ID:3o2jkgwK0
(-@∀@)「さてさてドクオくん。さっそく君の策を聞こうか」

('A`)「急に調子づきやがって……」

(-@∀@)「首謀したからには何かしらの案があるんだろう?」

('A`)「まあな。ブーン」

( ^ω^)「なんだお」

('A`)「とりあえず、ジョックと呼ばれる層の、その更に中心を教えてくれ」

( ^ω^)「僕はまだ賛成したというわけじゃないのに……」

( ^ω^)「……答えるだけ答えてやるお。ジョックの長はアメフト部の連中だお」

('A`)「例のあいつらか……」

( ^Д^)「まさか殴り合うのか? 無理だぜ、あいつら半端ないガタイだ」

('A`)「そんな原始的なやり方はしない」

179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 00:16:38.26 ID:3o2jkgwK0
('A`)「民主的な手段をもってあいつらを破滅させる」

(´・ω・`)「破滅」

('A`)「おう。要は奴らに力があって人気者だから誰も何も言えないんだろ」

('A`)「自分がハブられる可能性があるからな」

(*゚ー゚)「うん……」

('A`)「ならば逆にあいつらを学校中からハブにしてやればいいのだ」

('A`)「大衆からの支持を剥奪してさ」

从 ゚∀从「どうやるんだよ。アメフトはアメリカンスポーツの花形だぜ?」

从 ゚∀从「相手がアメフトに携わってる限り不可能だね」

(*゚ー゚)「アメフト選手の人気は凄いからね……」

('A`)「だったらそれを上回るネタをつかんでやればいいじゃねーか」

('A`)「なんなら捏造でもいい」

187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 00:25:23.23 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「捏造。それは面白い」

(-@∀@)「な、なんで僕を見ながら言うのさ」

(´・ω・`)「いや……得意そうだなって思って」

川д川「社会的に……抹殺するというの……?」

('A`)「その通り。ちょっとくらい報いを受けてもらおうぜ」

从 ゚∀从「ま、因果応報だわな。理不尽にアタシらの人権奪ってたんだから」

('A`)「ピラミッドの逆転だ。ナードの下にジョックを叩き落とす」

('A`)「ジョックが失墜すればクイーンの価値もなくなる。取り巻きも消える」

( ^Д^)「うおおお! なんか計画的なことのように思えてきた!」

('A`)「ジョックの更に上澄みをナードがぶっ飛ばすんだ」

('A`)「俺たちの力を示してやろうぜ」

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 00:28:20.02 ID:3o2jkgwK0
オー!!

('A`)(やばい……気持ちいい……)

('A`)「それじゃ、今日はひとまずの解散ということで」

(゚、゚トソン「了解」

ミセ*゚ー゚)リ「了承」

( ><)「したんです!」

ゾロゾロ...

( ^ω^)「……」

('A`)「どうしたブーン。黙りこくって」

( ^ω^)「……馬鹿げてるお」

('A`)「せっかくの船出の時に意気を削ぐようなこと言うなよ」

192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 00:31:49.87 ID:3o2jkgwK0
( ^ω^)「僕らじゃ何も変えられないんだお」

('A`)「あーもう、負け犬根性が染みついてんなお前は」

('A`)「やってみなきゃわかんねぇだろ?」

( ^ω^)「やらなくてもわかることだお」

('A`)「ったくよー、熱がない白豚だな」

( ^ω^)「さすがに白豚発言の三回目は許可しないと僕が冷静なうちに伝えておくお」

('A`)「お前は悔しくないのかよ」

( ^ω^)「何がだお」

('A`)「だって、お前、食堂でチアの一人をずっと見てただろ」

( ^ω^)「……」

('A`)「あれなんなんだよ」

193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 00:36:29.72 ID:3o2jkgwK0
( ^ω^)「あれは……」

('A`)「腹筋は割れてなくても腹は割れるだろ」

( ^ω^)「あれは……幼馴染のツンだお」

('A`)「ほう」

( ^ω^)「中学時代までは仲も良かったんだけど……」

( ^ω^)「高校に上がって、ツンがチアリーディングを始めてからは疎遠で」

('A`)(ははあ、惚れてるな)

( ^ω^)「だけどそれはツンが望んだことだお」

('A`)「ジョックのそばでいい思いをすることがか?」

( ^ω^)「……そうだお」

('A`)「すっかりスクールカーストとやらに惑わされちまってんだな、そのツンって奴」

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 00:43:22.84 ID:3o2jkgwK0
('A`)「ブーンよ、お前が救ってやるんだ!」

( ^ω^)「救う?」

('A`)「お前ゲームとか好きか?」

( ^ω^)「ぼちぼち」

('A`)「そりゃいい。ゲームの中の勇者になれるチャンスだぜ」

('A`)「ツンはスクールカーストの虜になってるだけなんだ!」

('A`)「スクールカーストを倒してプリンセス・ツンを救い出せ!」

( ^ω^)「アホかお。今更僕が出ていっても見向きもされないお」

('A`)「乙女心がわかってねーなーお前は」

('A`)「ジョックじゃなくて、ジョックという概念そのものに憧れてんだ、ツンは」

( ^ω^)「どうしてそんなことが言い切れるんだお」

('A`)「童貞の勘」

( ^ω^)「頼りにならねぇ……」

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 00:47:41.01 ID:3o2jkgwK0
('A`)「マジレスすると経験談」

( ^ω^)「経験?」

('A`)「概念に恋するなんてしょっちゅうさ」

('A`)「たとえば女教師もののAVを俺は好んで借りるが」

('A`)「それは女教師はエロいものであるという概念あっての選好だ」

('A`)「女教師という属性を取り払ったら何も残らないような女優でも概念さえあれば興奮する」

( ^ω^)「本当にひどい例え話だお」

('A`)「つっても似たようなもんだ、俺らみたいなガキが考えてることなんざ皆同じだ」

( ^ω^)「……正気かお」

('A`)「俺をイカれてると思うなら、ツンだってイカれてるはずだろ」

( ^ω^)「……」

210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 00:53:03.10 ID:3o2jkgwK0
( ^ω^)「……わかったお」

('A`)「本当か!」

( ^ω^)「ツンの目が曇っているというのなら、僕がなんとかしてあげたいお」

('A`)「その心意気、男だな」

('A`)「いやいい返事が聞けた。これで俺も安心して帰宅できる」

( ^ω^)「しかし本当英語うまいなお前」

('A`)「このタイミングで褒めるな照れる」

( ^ω^)「あ、そうだ、ついでに言っておくお」

( ^ω^)「スクールカーストの枠組から除外された学生もいるお」

( ^ω^)「ギャングとフローター。この際だから一緒に覚えておくといいお」

('A`)「へいへい、っと。それじゃあな」

( ^ω^)「また明日」

212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 00:57:28.01 ID:3o2jkgwK0
〜〜ディナータイム〜〜


(`・ω・´)「ドクオ、新しい学校はどうだった? 馴染めそうか?」

('A`)「まあそこそこかな」

('A`)「楽しくなりそうだよ」

(`・ω・´)「それはよかった」

('A`)「父さんこそNASAでどうだったんだよ」

(`・ω・´)「うむ、研究の結果、父さん超能力に目覚めちゃってるみたいでな」

('A`)「そうなんだ。そこのキューカンバーのピクルス入った瓶取って」

(`・ω・´)「どうもチャンネルというものがあるらしく」

(`・ω・´)「今までは無意識にやっていたがこれを切り替えることで放電できるそうだ」

('A`)「うん実演しなくていいから」

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 01:03:12.61 ID:3o2jkgwK0
(`・ω・´)「明日からは違うチャンネルの発掘に取りかかるらしい」

('A`)「へぇ。このピクルス酸っぱいね」

(`・ω・´)「忙しくなりそうだ」

('A`)「湯のみ空だけど煎茶つごうか?」

(`・ω・´)「おう、頼む」

('A`)「よいせっと……あっ、ごめん、指にかかっちゃった」

(`・ω・´)「うお! 危ないなっ……むっ?」

('A`)「どうしたんだよ」

(`・ω・´)「む、息子よ……今熱い茶をかけられた衝撃で……」

(`・ω・´)「火が……火が出たぞ! 左の薬指から……!」

(`・ω・´)「こんなところで新たなるチャンネルを開くとは……!」

('A`)「ふーん。あ、写メいい?」

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 01:10:35.50 ID:3o2jkgwK0
〜〜翌日、放課後(アフタースクール)〜〜


( ゚∀゚)「お、出迎え来てくれてるじゃん。んじゃ行くかね」テクテク...

シィン...

( ^Д^)「……行ったか?」

从 ゚∀从「行ったよ。ジョルジュで運動部の奴は最後だ」

(-@∀@)「一番厄介なのが一番長居するんだから、困るよ!」

('A`)「しかしバスケ部の奴って思ったより人気ないんだな」

('A`)「取り巻きの数はアメフトがダントツだ」

(´・ω・`)「カレッジバスケは大人気なんだけどね。ま、高校だとこの程度かな」

( ^ω^)「そんなことより今日の会議を始めるお」

('A`)「よし、みんな集まってくれ」

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 01:18:15.17 ID:3o2jkgwK0
('A`)「まずは個人の情報を収集することからだ」

(´・ω・`)「そうくると思って前もって準備しておいたよ」

('A`)「準備? そのノートパソコンに何かあるのか?」

(´・ω・`)「とりあえず四人。アメフト部の主要部員の情報をファイルしておいた」

(´・ω・`)「私的利用されてるコンピュータへのアクセスなんて容易い作業からね」

( ^Д^)「うお! こりゃすげぇ!」

('A`)「なんかお前能力ありすぎて怖くなってきたわ」

(´・ω・`)「重要なのはこれ。サイトの閲覧履歴だね」

(*゚ー゚)「履歴?」

(´・ω・`)「人間自身を特定の視点から見るよりもさ」

(´・ω・`)「人間が残したものから解析していくほうが客観的なデータがとれるよ」

('A`)「俺いらない気がしてきたんだが」

234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 01:24:47.29 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「いや、君は僕らナードのシンボルとして必要さ」

('A`)「ナードのシンボルとか不名誉な響きだな……」

川д川「それより早く……」

(´・ω・`)「ああそうだね。一人目から見ていこう」

(゚、゚トソン「なんだかどきどきします」

ミセ*゚ー゚)リ「覗き見してるみたい」

(´・ω・`)「まずはこの学生。フサ。長髪長躯の男子」

(´・ω・`)「うちのアメフトチームのディフェンシブタックルだね」

('A`)「こいつ特に体格よかったな」

(*゚ー゚)「いきなり危なそうな人がきましたね……」

( ^ω^)「ガチの喧嘩になったら確実に終わりだお」

239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 01:33:08.55 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「彼の履歴は……ESPNの結果速報ばかりだ」

('A`)「なんだそれは。スペインか」

( ^ω^)「馬鹿。アメリカのスポーツの専門放送局だお」

(-@∀@)「その公式はスポーツの総合情報サイトとして活用されてるのさ!」

(-@∀@)「もっとも僕はお世話になったことないけどね」

('A`)「いらない情報サンクス」

从 ゚∀从「マジで脳筋なんだなフサの野郎」

(´・ω・`)「確かにこの履歴からは応援球団と贔屓の選手ぐらいしかわからない」

(´・ω・`)「だけど逆に面白いことが判明した」

('A`)「なんだ?」

(´・ω・`)「アダルトサイトがない」

242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 01:37:40.11 ID:3o2jkgwK0
('A`)「……は?」

(´・ω・`)「だから年齢認証のいるサイトがないのさ」

(´・ω・`)「『それしかない』ということからは『これがない』という解が導き出せる」

(*゚ー゚)「えと……その……」

从 ゚∀从「無理して尋ねるこたないぜ、しぃ」

从 ゚∀从「ショボンよー、それ、アタシら全然意味わかんないんだけど」

(´・ω・`)「まあ君たちはわかんないかもしれないね」

(´・ω・`)「男連中はなんとなく察しがついてるみたいだけど」

( ^Д^)「いやあ、まあ、なんて言いますかね」

('A`)「男がネットやる目的なんて……九割がエロだからな……」

(´・ω・`)「別に十割と言い切ってもいいんだよ?」

('A`)「それは僕の沽券に関わるから勘弁してください」

245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 01:43:09.41 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「要するに彼には性的な欲求が欠けている」

(´・ω・`)「というより興味がないのかな」

( ^ω^)「なんか聞いてるこっちが恥ずかしくなってきたお……」

(´・ω・`)「暴君のように振る舞ってはいるけど」

(´・ω・`)「本来は生真面目で純粋な少年なんだろうな」

('A`)「純粋ってか……EDじゃねぇのか」

(-@∀@)「で、なにかそれに対する見解はあるのかい?」

('A`)「頭脳役を自称するならアサピーが分析してみてくれよ」

(-@∀@)「え……僕に聞くの?」

(´・ω・`)「どうかな? アサピーの意見は」

(-@∀@)「ええと、ええと……」

254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 01:48:20.83 ID:3o2jkgwK0
(-@∀@)「……女の子への抵抗がないとか?」

(´・ω・`)「うん、僕も同じ考えだ。フサはそういう性質なんだと思う」

(-@∀@)「ふ、ふふん、そうだよね。いや当然の帰着だけどさ!」

('A`)「だったらその汗はなんだよ」

川д川「女子に……慣れていない……」

('A`)「そういや、あいつだけ周りにチアが寄ってる間静かだったな」

(´・ω・`)「これは使えるネタだね」

( ><)「と、言いますと?」

(´・ω・`)「ハニートラップを仕掛けるのさ」

(゚、゚トソン「ハニー?」

ミセ*゚ー゚)リ「トラップ?」

256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 01:54:03.79 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「そう。彼は興味がないというのは正しい言い方ではない」

(´・ω・`)「『まだ』興味を持っていないという線が濃厚だ」

(´・ω・`)「そこで女子の刺客を送り込む」

( ^ω^)「で、罠にはめるのかお」

(´・ω・`)「そういう寸法ってわけ」

(*゚ー゚)「そんなにうまくいくのかな……?」

(´・ω・`)「女に耐性のない男なら簡単に引っかかるさ」

('A`)「女体に関心ありまくりの俺でも余裕で引っかかるだろうな……」

从 ゚∀从「こんな奴がリーダーだなんてアタシは悲しいよ」

( ^Д^)「だけどよ。そんなんで一気に人気墜落とかならねーだろ」

( ^Д^)「確かにフサの奴は女子人気それなりに高いけど、だからって」

258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 01:59:35.36 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「女子人気が高いなら、逆手に取るだけ」

( ><)「よくわかんないんです」

(´・ω・`)「女子からクズに思われるよう仕向ければいい」

从 ゚∀从「ははあ、わかったぜ、二股だな」

(´・ω・`)「ご名答」

从 ゚∀从「最低野郎のレッテルを貼りつける算段か」

('A`)「そりゃいい。公衆の面前で修羅場を繰り広げさせれば更に倍率アップだ」

川д川「公開処刑……」

(´・ω・`)「うん。そのために、二人の女子が彼に接近する必要がある」

(´・ω・`)「そこで重要な役目を担うのが……君たちだ」

(゚、゚トソン「私たち……」

ミセ*゚ー゚)リ「ですか?」

261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 02:06:33.70 ID:3o2jkgwK0
( ^Д^)「おいおい無茶言うなよ、ショボン」

( ^Д^)「こいつら地味さがウリになってるくらいの地味子だぜ」

(´・ω・`)「だけどルックスは悪くないだろう。むしろいいほうだ」

(´・ω・`)「完全に客観視した場合は知らないけど、僕の目に映る限りでは優れた容姿だと思うよ」

(゚、゚トソン「そっ、そんな、そうですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「そうやって言われると、なんか照れちゃうよ……」

('A`)(こいつ……無駄に女の扱いに長けてやがる……)

( ^ω^)「だけどジョックのフサがナードの二人を相手にするかお」

(´・ω・`)「するさ。そんな概念を気にかける余裕なんて彼にはないだろう」

从 ゚∀从「断言するねぇ」

(´・ω・`)「論理的帰結だよ」

268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 02:14:00.48 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「一応台本的なメモも書いてきたんだけど」パサッ

('A`)「手筈いいな」

(´・ω・`)「二人とも、この通りに動いてくれるかな」

(゚、゚トソン「でもなんだか……」

ミセ*゚ー゚)リ「ちょっと怖いかも……」

从 ゚∀从「勇気を出しな。お前らにしかできないことだぜ」

(´・ω・`)「それにも記してあるけど、同じ日に告白してほしいんだ」

(´・ω・`)「そしてトソンは明日答えを、ミセリは三日後答えを聞かせてくれとお願いする」

(´・ω・`)「一日感覚を設けることで、より煩悶とさせて、判断力を失わせるのさ」

( ^ω^)「どっちかか、もしくは両方とも断ったらその時点で終了じゃないかお」

(´・ω・`)「問題ない。この手のタイプの人間は無駄に相手の心中を気遣ってしまうんだよ」

(´・ω・`)「大抵ね」

270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 02:21:53.46 ID:3o2jkgwK0
( ^Д^)「煮え切らない返事をして、どっちにもいい顔をするのか」

(´・ω・`)「あとは、まあ、転げ落ちていくだけだね」

川д川「背徳的……うふふ……」

('A`)「まとまったな。フサへの作戦はこんなところか」

( ^ω^)「次の目標について語るお」

(´・ω・`)「了解。次はキッカーのモララー。色白の優男」

(´・ω・`)「精密なフィールドゴールから職人と呼ばれる選手だ」

(-@∀@)「彼の弱味はわかってるの?」

(´・ω・`)「うん。凄くシンプルだった」

('A`)「なんだなんだ」

(´・ω・`)「なにせ履歴以前に作成されたファイルを見るだけで判明したからね」

273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 02:27:33.02 ID:3o2jkgwK0
(*゚ー゚)「どういうこと?」

( ^Д^)「おいおい、一発でわかるんなら俺らにも見せてくれよ、そのファイルとやらを」

(´・ω・`)「見たいの? 見ないほうがいいと思うけど」

( ><)「余計に気になるんです!」

('A`)「ショボンよ、俺らも知る権利はある。盗んだデータだが」

(´・ω・`)「じゃあ、はい」

クリックッ

从 ゚∀从「こ」

(*゚ー゚)「こ……」

川д川「これは……」

('A`)「モララーの……コスプレ写真……」

(´・ω・`)「どうも彼は変身願望と女装趣味があるらしい」

277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 02:34:15.60 ID:3o2jkgwK0
( ^ω^)「この画像をプリントアウトしてバラまけば一発アウトだお」

('A`)「これだけでか? ネタとして弱くね?」

('A`)「俺が日本に住んでた頃は結構みんなオカマに優しかったぞ」

('A`)「アメリカじゃ違うのか?」

从 ゚∀从「その手の差別意識は薄れてはいるけどよ」

(´・ω・`)「ジョックの多くは差別主義者でね。根底とも言えるけど」

(´・ω・`)「ファゴットやトゥインキーには特に厳しいのさ」

('A`)「なるほど、ジョックからのけものにされるのか」

(´・ω・`)「そうなれば彼はもうジョックじゃいられなくなる」

川д川「この人……なかなかセンスのいい服飾……はああ……」

( ><)「なんでうっとりしてるんですか」

280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 02:40:38.05 ID:3o2jkgwK0
( ^Д^)「しっかし笑える写真だな!」

('A`)「こいつ痩せてるようで実は筋肉あるからキモイぞ」

( ^ω^)「こんなのバレたら詰むお」

(´・ω・`)「ま……受け入れてくれる世界もあるんだからそこに収まればいいよ」

(´・ω・`)「相応の立ち位置ってやつだね」

('A`)「南無南無」

('A`)「しかし単純すぎてインパクトが足りてない気がするな」

(´・ω・`)「杞憂じゃないかな」

( ^Д^)「おいこの写真、明らかに勃起してるだろ」

从 ゚∀从「うげ、スカートはいたままオナってる画像があるぞ!」

('A`)「ごめんインパクトない発言撤回するわ」

283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 02:51:36.95 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「三人目。ギコ。精悍なヒスパニック。ランニングバック」

(´・ω・`)「オフェンスにおける主役となるポジションだね」

('A`)「こいつの閲覧履歴には何が残ってたんだ?」

(´・ω・`)「残念ながら家族共用らしくて、履歴は綺麗に消されてた」

从 ゚∀从「んじゃモララーみたいに爆弾入ってなかったの?」

(´・ω・`)「ハードディスク上にも目ぼしいものは保存されてなかった」

(´・ω・`)「外付けに何かがある可能性はあるけど、推測の域は出ないな」

('A`)「ふうむ」

(´・ω・`)「まあキャッシュが残ってる時点で履歴削除とか意味をなしてないんだけどね」

(-@∀@)「この辺のポカが体育会系が体育会系である所以だね! 浅知恵浅知恵!」

('A`)「なんで微妙に嬉しそうなんだよ」

285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 02:59:28.33 ID:3o2jkgwK0
( ^Д^)「で、どんな様子よ」

(´・ω・`)「いろいろと巡回してるサイトが発覚したわけだけど……」

(´・ω・`)「……結論から言っていい?」

('A`)「どうぞどうぞ」

(´・ω・`)「彼は小児性愛者だ」

(゚、゚トソン「は?」

ミセ*゚ー゚)リ「へ?」

('A`)「……ロリコンか……」

(´・ω・`)「予想はしてたけどみんなドン引きだね」

从 ゚∀从「この事実が知れたら……完全に社会的に死ぬな……」

(´・ω・`)「ただモララーと違って、言いふらしたとしても、それを裏付ける証拠がない」

(´・ω・`)「風説を流しただけになってしまう」

289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 03:07:13.58 ID:3o2jkgwK0
( ^ω^)「じゃあどうするんだお?」

(´・ω・`)「証拠はこちらで用意する」

('A`)「証拠って……ネットでロリ画像拾ってギコのバッグにでも詰め込むのか」

(´・ω・`)「別にそれでもいいんだけど」

('A`)「いいのかよ」

(´・ω・`)「ただそれはリスクが高すぎる」

(´・ω・`)「ギコの性格からいって激昂するだろうね」

(´・ω・`)「身に覚えがないんだから」

( ><)「こっちに火の粉が降りかかってくるのはまずいんです!」

(´・ω・`)「一応は疑いの目は向くだろうけどそこで止まる」

(´・ω・`)「もし出所に気がついたら、その時は僕たちの学生生活が終わるね」

293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 03:14:22.45 ID:3o2jkgwK0
川д川「……」

('A`)「……じゃあ、どうするってんだ?」

(´・ω・`)「現行犯の写真を撮影するしかない」

(゚、゚トソン「現行」

ミセ*゚ー゚)リ「犯?」

从 ゚∀从「おいおい、いくらなんでもギコは犯罪はやんないだろ」

( ^Д^)「仕向けろってことか? それも無茶な注文だぜ」

(-@∀@)「それに法律を破らせること自体がダメだよ、さすがに」

(-@∀@)「被害者も出るし……」

(´・ω・`)「もちろん実際に子供を襲わせろというわけじゃないよ」

('A`)「お前俺らがあえてマイルドな表現にしてたことを簡単に言うのな」

(´・ω・`)「ごめんね」

296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 03:18:31.47 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「ここは疑似餌でいく」

(´・ω・`)「ルアーフィッシングだ」

('A`)「なんだよ疑似餌って。ニセモンの餌かよ」

(´・ω・`)「この場合における本物の餌は正真正銘の児童だろう」

(´・ω・`)「それはいくらなんでも論外」

('A`)「まあな」

(´・ω・`)「そこで疑似餌を用意する」

从 ゚∀从「ということは……子供に見える大人か」

(´・ω・`)「そう。どうせ写真なんて明瞭じゃなくていいんだ」

(´・ω・`)「ギコであるということさえ判別できれば」

('A`)「そんな都合のいい人材が転がってるかよ」

(´・ω・`)「いるじゃないか、そこに」

(*゚ー゚)「……え?」

298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 03:28:17.08 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「失礼なのは重々承知だけど、言わせてもらうよ」

(´・ω・`)「しぃは一見しただけでは十二十三の少女と間違える」

(´・ω・`)「あるいはそれよりも下かも」

(*゚ー゚)「そうかな……」

( ^Д^)「まあ……ぶっちゃけクラスで初めて会った時は飛び級かと思った」

(*゚ー゚)「ひどいなぁ」

(´・ω・`)「だけど、この作戦にはうってつけの人物じゃないかな」

( ^ω^)「いやいや……ギコとは学校で顔合わせてるだろうお」

(´・ω・`)「そこはメイクで乗り切ろう」

(´・ω・`)「しぃ、君は普段化粧してないよね?」

(*゚ー゚)「う、うん……学校では一度も……」

301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 03:30:39.61 ID:3o2jkgwK0
( ^ω^)「それだけで大丈夫なのかお」

(´・ω・`)「女性というのはメイクや髪形や服装でがらりと印象を変えるのさ」

(´・ω・`)「そこのサダコだって、きつい口紅を落として真っ黒の衣服を着替えれば」

(´・ω・`)「案外かわいらしい純朴な女の子なのかもしれない」

川д川「うふふ……試してみる……?」

(´・ω・`)「それはまた後日のお楽しみということで」

('A`)「その前にガキが化粧するかよ」

从 ゚∀从「いや割と普通じゃね? 子供用の化粧品なんていくらでも売られてるし」

('A`)「アメリカのお子様は進んでるな……」

(´・ω・`)「日本でもあると思うけどね。ドクオの世界が狭いだけ」

('A`)「悪かったな」

304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 03:41:24.09 ID:3o2jkgwK0
( ><)「どう進めるつもりなんですか?」

( ><)「またなにか用意が……」

(´・ω・`)「いや、トソンやミセリのように下準備は要らない」

(´・ω・`)「というより、仕込みがあった方が邪魔だな。偶然を装うのがいい」

从 ゚∀从「町でバッタリってやつか」

(´・ω・`)「うん。しぃにはギコを誘ってもらいたいんだ」

(*゚ー゚)「さ、誘う?」

('A`)「もうちょい使用するワードは選べよ。同級生とはいえなんか変な気分になるわ」

(´・ω・`)「ええ、じゃあ……誘惑」

( ^Д^)「あんまり変わってねぇ!」

(´・ω・`)「まあいいじゃないか、言葉はなんでも」

306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 03:44:00.28 ID:3o2jkgwK0
( ^ω^)「ううん、まさにフィッシングだお」

(´・ω・`)「ああ。男の心理として、自分から手を出す時には自制が働いても」

(´・ω・`)「向こうから踏み込んでくると理性が決壊しやすいからね」

(´・ω・`)「それが法に触れるようなケースなら尚更」

('A`)「なんかもうお前恐ろしいわ」

('A`)「もう一人の頭脳班もこのぐらいやってくれたら……」

(-@∀@)「ぼ、僕だって善処してるよ! 僕なりに!」

(´・ω・`)「しい、お願いできるかな?」

(*゚ー゚)「う、うん……でも……」

(*゚ー゚)「怖いよ……」

(´・ω・`)「もしもの時は僕らが全力で止めに入る」

('A`)「暴走したらやべぇからな……ギコって精力みなぎってそうだし……」

309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 03:50:32.76 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「僕たち一同はしぃとギコを追う」

(´・ω・`)「そして頃合がきたら、カメラで決定的瞬間を撮影する」

(´・ω・`)「ああ、もちろん、寸前でだけどね」

(*゚ー゚)「頃合、って……」

(´・ω・`)「それはまあ、わざわざ言わなくてもいいんじゃないかな」

(*゚ー゚)「……」

从 ゚∀从「酷な任務だねぇ」

(´・ω・`)「当然、フラッシュが焚かれるからギコは逃げるだろう」

( ^ω^)「危害が及ばないように僕らが控えておけばいいってことかお」

(´・ω・`)「そういうこと。万が一に備えてね」

('A`)「久々に合気道の鍛錬をしておくか……」

313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 03:58:41.23 ID:3o2jkgwK0
(*゚ー゚)「……」

从 ゚∀从「しぃ、できないなら言っときな」

(´・ω・`)「無理強いはしない。君の意見を優先するよ」

(*゚ー゚)「……ううん、大丈夫。わたし、やるよ」

('A`)「強いな。強い」

( ^ω^)「お前さっきから何もしてないけど虚しくないのかお」

('A`)「発案者の発言権が少なくなるのはよくあることです」

(´・ω・`)「ありがとう。さて……フサ、モララー、ギコ」

(´・ω・`)「三人まではなんとかなりそうだけど……」

( ^Д^)「最後の奴はなんとかならないみたいな言い方だな」

(´・ω・`)「なんとかしてみせるよ。ただ、ちょっと難しそうなんだ」

315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 04:05:46.48 ID:3o2jkgwK0
('A`)「難しい?」

(´・ω・`)「最後の一人。アメリカンフットボールクラブキャプテン、ジョルジュ」

(´・ω・`)「文武に優れ、容姿も整っている。ポジションはクォーターバック」

从 ゚∀从「性格は腐ってるけどな」

('A`)「こいつのいいネタが割れなかったのか?」

(´・ω・`)「そうなんだ。履歴からつかめる人物像は健全そのもの」

(´・ω・`)「特殊な嗜好があるわけでもない」

(´・ω・`)「あえてわかったことといえば、趣味が水泳と漫画を読むことくらいかな」

(´・ω・`)「それと分厚いシカゴピザが好きみたいだ」

( ^ω^)「ここから辿るのはさすがに難解そうだお」

(´・ω・`)「僕の頭じゃ妙案は思い浮かばなかったよ」

316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 04:09:51.70 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「だから、みんなにもアイディアを出してほしいんだ」

(´・ω・`)「時間がかかってもいいから」

(゚、゚トソン「アイディア……」

ミセ*゚ー゚)リ「と言われてもなぁ……」

( ><)「わかんないんです! 情報が少なすぎるんです!」

(´・ω・`)「無論僕も引き続きリサーチはしていくよ」

(´・ω・`)「個人的にはアサピーに期待したいけどね」

(-@∀@)「ふ、ふん。いっ、一考はしておくよ。任せてくれ」

('A`)「本当に思いつくのか? お前」

( ^ω^)「ドクオこそ頼むお。名目上はナードのリーダーなんだから」

('A`)「俺もまあ頭悩ませてはしてみるけどさ……」

318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 04:16:49.75 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「とりあえず……こんなところかな」

( ^Д^)「いやよかったぜ。今後の指針が決まった」

(´・ω・`)「それはなにより」

川д川「うふふ……魂の夜の宴の支度は済んだみたい……」

从 ゚∀从「いよいよ動き出す時がきたか」

(゚、゚トソン「しっかり台本読み込んで……」

ミセ*゚ー゚)リ「注意して決行しないと」

(´・ω・`)「君たちにはなるべく早めに始動してもらいたいからね。頼むよ」

('A`)「まあモララーの件はさっさと完了させるとして」

(*゚ー゚)「わたしだよね……問題は」

('A`)「長い戦いはまだ始まったばかりだからな。慎重にいこうぜ」

('A`)「じゃあ今日は解散!」

320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 04:21:53.28 ID:3o2jkgwK0
〜〜貴重な親子団らんの時間〜〜


(`・ω・´)「父さんな、NASAの施設での訓練の結果」

(`・ω・´)「炎を意のままに操れるようになったんだ」

('A`)「わー凄い。このハムステーキ厚切りでうまいね」

(`・ω・´)「それとチャンネルを開く条件探しも並行して行ったんだが」

(`・ω・´)「どうにも五感が重要な役割を果たしているらしい」

('A`)「へえ」

(`・ω・´)「昨日は皮膚の触覚に熱を感じて火炎を司るチャンネルが開放されたが……」

(`・ω・´)「他にどういった感覚がきっかけになるかわからん」

(`・ω・´)「発動の種はなかなか見つからんもんだな」

('A`)「なるほどね。今日からはガス代節約できるね」

323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 04:27:49.30 ID:3o2jkgwK0
(`・ω・´)「もしやと思って冷水を浴びても見たんだが」

(`・ω・´)「対応する属性のチャンネルは開かれなかった」

(`・ω・´)「そううまいこといかないものだ」

('A`)「食後はティーでいい? 俺は就寝に備えてホットミルクにするけど」

(`・ω・´)「コーヒーだな。今日はコーヒーの舌だ」

('A`)「はいはい」

(`・ω・´)「そうだ。ドクオ、父さん二つのチャンネルを同時に開放できるようにもなったんだ」

(`・ω・´)「こんな具合に……人差し指から電撃を、中指から猛火を」

(`・ω・´)「集中すれば螺旋状に飛ばすこともできるぞ」

('A`)「わあ綺麗だね。砂糖やミルクどうする? いらない?」

(`・ω・´)「ああ、ブラックで頼む」

('A`)「夜眠れなくても知らないよ」


402 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 14:28:28.44 ID:3o2jkgwK0
〜〜一週間後、〜〜


(*゚ー゚)「……」

(-@∀@)「……」

ピッピロピロリロリン♪

( ^Д^)「きた!」

('A`)「二人とも、昨日フサに告白してきたんだよな、嘘の」

ミセ*゚ー゚)リ「うん」

(゚、゚トソン「アドレスを渡しておきました」

( ^ω^)「さて、返事はどうか……伸るか反るか」

('A`)「吉と出るか凶と出るか……」

从 ゚∀从「クレイジー。仏教文化の言い回しはイカれてるぜ」

403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 14:33:44.49 ID:3o2jkgwK0
(-@∀@)「直接返答しないのが実に男らしくないね!」

( ^Д^)「かーわかってねぇな、この繊細な機微が……」

从 ゚∀从「へいへいチェリーどもは黙ってな。それよりだ」

('A`)「なんて返ってきた?」

(゚、゚トソン「……ええと」

(゚、゚トソン「『まだよくわからないから、日を改めて話がしたい』だそうです」

(´・ω・`)「曖昧な返事だね。この調子だとミセリにも同じメッセージがくるだろう」

(´・ω・`)「ま、いずれにせよデートに漕ぎつけるための口実は出来たね」

( ><)「まずは第一段階クリアしたんです!」

川д川「崩壊への序曲……うふ……」

(´・ω・`)「今週末プライベートで会いましょう、って送っておいてくれるかな?」

(゚、゚トソン「は、はい」

406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 14:43:52.93 ID:3o2jkgwK0
('A`)「それでモララーだが……」

( ^Д^)「ビー・クワイエット! 声を落とせ、声を……」

( ^ω^)「な、あなんだお」

( ^Д^)「あっち見ろ、廊下のほう」

(´・ω・`)「あれは……」

('A`)「アメフト部とチアの奴らか……」

( ゚∀゚)「ヘイ、見ろよ。教室の隅で負け組どもが固まってるぞ」

(,,゚Д゚)「辛気臭い連中だぜ。用事が済んだんならさっさと帰ればいいのにな」

ζ(゚ー゚*ζ「もー聴こえるよー」

( ・∀・)「聴こえたところで別にどうってことないじゃないか」

ξ゚听)ξ「やだー」

409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 14:52:44.44 ID:3o2jkgwK0
( ゚∀゚)「ハハ! まあナードはナードで好きにさせてやれよ。行こうぜ!」

ゾロゾロ...

('A`)「……消えたか」

( ^Д^)「うっぜ! マジうっぜ! うっせーバーカ! アスホール!」

( ^ω^)「姿が見えなくなってから強気になってんじゃないお」

从 ゚∀从「しかしフサはいなかったな」

(´・ω・`)「その点に関しては色々と好都合だったね」

(´・ω・`)「頭を悩ませるあまり単独で行動しているという証明でもあるし」

(´・ω・`)「こちらの企みにも勘付かれずに済んだ」

(´・ω・`)「トソンとミセリが同時にいるところを見られると、少々まずくなる可能性がある」

( ^Д^)「あいつバカっぽいからそんなこと考えつかないだろうけどよ」

411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 14:57:28.42 ID:3o2jkgwK0
('A`)「とはいえ、さすがにずっと教室で会議するというのも無理が出てきたな」

(´・ω・`)「うん。彼らの目に留まらないようにすることが何より先決だからね」

(*゚ー゚)「目に留まらないところ……」

从 ゚∀从「じゃああそこだな。図書室」

从 ゚∀从「もっともジョック連中のイメージから遠い場所だろ」

( ^Д^)「お前も図書室なんて行ったことないだろ」

从 ゚∀从「うっせーな」

(-@∀@)「でもいいんじゃないかな? まず間違いなく寄ってこないよ」

( ><)「でも、図書室で女装写真広げるのは気が引けるんです……」

('A`)「まあ……取扱注意な代物だからな……これ」

从 ゚∀从「わざわざ見せてくんな!」

412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 15:01:56.72 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「念には念を押して下調べに行ってみようか」

(´・ω・`)「滞りなく利用できそうなら使わせてもらおう」

('A`)「じゃあこの後、俺とショボンと、あとブーンとで下見してみるか」

(´・ω・`)「あんまり人が多いようだと不自然さが目に付くだろうからね」

(゚、゚トソン「まあ図書室なんて」

ミセ*゚ー゚)リ「ナードしかいないけど」

(´・ω・`)「とはいえメッセンジャーがいるかも知れないから」

('A`)「なにそれ」

( ^ω^)「チクリとパシリだお」

('A`)「一番糞みたいな連中だな……」

(´・ω・`)「それより……しぃ」

415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 15:09:52.29 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「準備は進んでるかな?」

(*゚ー゚)「う、うん。子供っぽい服をサダコと買いに行ったんだけど……」

('A`)「こいつのセンスでかよ。やめとけよ」

川д川「無礼ね……コスメティックも私のセレクトよ……」

('A`)「まさか漂白剤ぶっかけたみたいなことになってるファンデーションじゃないだろうな」

川д川「うふふ……」

(´・ω・`)「あまり派手なもの、特徴が出すぎているものはやめておいたほうがいい」

(´・ω・`)「過去の性犯罪者の精神鑑定によると、あくまでノーマルな外観の子を好むとあるね」

(´・ω・`)「少女らしい少女、ありのままの少女のほうが強い性的興奮を呼び覚ますようだ」

('A`)「生々しい情報だな……」

( ><)「聞きたくなかったんです!」

419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 15:16:48.58 ID:3o2jkgwK0
( ^Д^)「ギコをはめるのはいつになる?」

( ^Д^)「俺はあいつが一番憎たらしいんだよ……」

从 ゚∀从「モテるからだろ?」

( ^Д^)「図星やめろ」

(´・ω・`)「順番がある。彼はできるだけ後半に回したい」

('A`)「なぜまた」

(´・ω・`)「まずは学校内で風潮を作り上げておかないとね」

(´・ω・`)「フサとモララーの権威を失墜させて」

(´・ω・`)「ジョックたちはこういう奴らだってことを示しておくんだ」

( ^ω^)「確かに……ギコは写真一枚で追い込まなきゃならないから」

( ^ω^)「その信憑性が深まるような空気を作っておかないといけないお」

420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 15:20:26.41 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「そう。ギコへの作戦は言い逃れの道が残っている」

(´・ω・`)「だけどあらかじめ外堀を埋めておけば、疑惑は真実味を増すから」

('A`)「なるほどねぇ」

(゚、゚トソン「それ」

ミセ*゚ー゚)リ「より」

( ><)「ジョルジュくんはどうするんですか?」

(´・ω・`)「そこなんだよね……相変わらずの膠着状態なんだ」

('A`)「おいアサピー。なんかグッドアイディアないかグッドアイディア」

(-@∀@)「そ、そういうドクオくんこそどうなんだい?」

('A`)「ない!」

(-@∀@)「自信満々に宣言することじゃないよ……ええと、ええと……」

424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 15:26:14.01 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「さすがに難しいよね。僕の責任だ」

(-@∀@)「いっ、いや、そんなこと……」

( ^Д^)「焦っとる焦っとる」

(´・ω・`)「一番簡単に、それも絶大な効果を及ぼして鼻を折る手段はあるけどね」

('A`)「なんだあるんじゃねーか。早く教えろそれを」

(´・ω・`)「ドクオ、君がジョルジュを殴り飛ばすんだ」

('A`)「は?」

(´・ω・`)「ナードを代表してね」

('A`)「待て待て待て。まったく意味がわからないんだが」

(´・ω・`)「ジョックの面目を潰す一番効率的なやり方だよ」

(´・ω・`)「体力自慢のジョックがナードと殴り合って負けたら、プライドなんてズタズタさ」

(´・ω・`)「周囲の人間の目も変わるだろうね。ジョルジュに対してと、君に対しての」

427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 15:32:11.88 ID:3o2jkgwK0
从 ゚∀从「ナード舐めんなってことか! 確かにそいつは面白ぇ!」

川д川「ジョックを打ち倒すナード……蠱惑的……」

(´・ω・`)「特に、ジョルジュはジョックたちの頂点、キングオブキングスだから」

(´・ω・`)「能率はいいよね」

('A`)「いや理論はわかるが、前提がおかしい。仮定が成り立ってない」

('A`)「喧嘩で勝てとか無茶ぬかすな!」

('A`)「見ろ、この俺のひょろひょろの肉体」

( ^ω^)「なんのための武道だお」

('A`)「合気道ってのはなー、腕力じゃなくてだなー、胆力が重要でなー」

(´・ω・`)「まあ、あくまでも最終手段だから。策を用意できなかった時のね」

('A`)「もし負けたら最悪のパターンだな……」

434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 15:39:15.76 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「とまあ……今日の報告はこのぐらいかな」

( ^ω^)「それじゃ一旦解散して僕らは図書室見に行くお」

(*゚ー゚)「あ、あの」

('A`)「なんだ?」

(*゚ー゚)「わたし、ちょっと思ったんだけど」

(*゚ー゚)「学校の外で集まるのが、一番安全じゃないかなあ……」

('A`)「ふうむ」

(´・ω・`)「なるほど。いいかもしれないな。親睦も深まるし」

( ^Д^)「本気かよ。貴重な休日の時間はそうそう割けないぜ!」

(´・ω・`)「だったら平日ならいいんだろう?」

('A`)「なんで俺を見るんだショボンよ」

438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 15:45:51.62 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「こうしよう。明後日、男性陣はドクオの家に集合」

(´・ω・`)「女性陣は別の場所でフサからのメールを確認した後話し合ってみてくれ」

('A`)「いや集まるのはいいが、なぜ我が家なんだ」

(´・ω・`)「いけないかな? 僕らとしては、君が来てからまだ一週間少々」

(´・ω・`)「君について知らないこともたくさんあるからね」

(-@∀@)「名案かもね」

( ><)「仲良くなっておきたいんです! チームワークが大切なんです!」

('A`)「ちょ、お前……鼻息荒くしてアフロをぶつけてくるな」

( ><)「え、僕おもしろ黒人枠だったんですか?」

( ^Д^)「まあ平日なら、どうせやることも少ないからいいけどよー」

( ^ω^)「じゃあ決まりだお」

('A`)「マジかよ……部屋の掃除めんどくせぇな……」

443 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 15:54:54.95 ID:3o2jkgwK0
从 ゚∀从「んじゃ、アタシらは別に集まっておけばいいわけね」

(´・ω・`)「ああ。お茶でもしながらね。ただメール内容は教えてよね」

(゚、゚トソン「お茶……ケーキ……」

ミセ*゚ー゚)リ「今日のうちにいいお店探しておこっと」

川д川「うふふ……彷徨う子羊どもの集会……」

(´・ω・`)「そして僕らはむさ苦しいドクオハウスで談合だ」

('A`)「むさ苦しいを追加する必要なかっただろ!」

( ><)「わかったんです!」

('A`)「言っとくけど日本語版ならお前の声の吹き替えは山ちゃんだからな」

(´・ω・`)「一応、見ておくに越したことはないから、図書室にも行こう」

('A`)「そうだな。んじゃ、解散ってことで」

( ^ω^)「行ってくるお」

从 ゚∀从「おう。張り切って調査してこい」

445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 15:59:20.84 ID:3o2jkgwK0
〜〜図書室(スクール・ライブラリー)〜〜


('A`)「……てなことで、到着したわけだが」

( ^ω^)「静かだお。あんまり声出して話せる雰囲気じゃないお」

(´・ω・`)「これだけ静まり返ってると会話に聞き耳立てられるかもしれない」

('A`)「だったら筆談すりゃいいだけだ」

(´・ω・`)「うわ、本格的な筆記体を書くね」

( ^ω^)「逆に僕らみたいなゆとりアメリカ人には読めないお」

('A`)「二十分ぐらいで習得したんだが逆効果だったか……」

('A`)「……ん?」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)(誰だ、あの端っこで読書してる奴)

448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 16:04:36.70 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「誰を眺めてるんだい」

('A`)「うお、後ろから顔出すなよ」

( ^ω^)「ははあ、一目惚れでもしたかお」

('A`)「違うって。ちょっと気になっただけだっての」

(´・ω・`)「好いた惚れたにしても、あの子はやめておいたほうが賢明だね」

(´・ω・`)「彼女は有名なブックワームだから」

('A`)「ブックワーム?」

( ^ω^)「本の虫。授業にも出ず一日中本読んでるんだお」

(´・ω・`)「どの派閥にも属していない……フローターの一人さ」

('A`)「フローター。スクールカースト外の人間か」

(´・ω・`)「だから彼女は自分から干渉してこないし、決して干渉もされない」

(´・ω・`)「そういう宙に浮いた存在なんだよ」

450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 16:11:48.49 ID:3o2jkgwK0
( ^ω^)「だから話しかけても相手にはされないお」

('A`)「そうか……」

( ^ω^)「なにがっかりしてんだお。やっぱそうなんじゃないかお」

('A`)「うっせーファッティ!」

(´・ω・`)「当初の目的を失念してないかい?」

(´・ω・`)「どうやら、図書室を活用する際は筆談が安定みたいだね」

('A`)「あ、ああ、そのようだな」

( ^ω^)「間違ってもモララーの写真とか机の上に広げられる空気じゃないお」

(´・ω・`)「でも逆に、こういう舞台だからこそ披露してみたいよね」

( ^ω^)「一理ある意見だお」

('A`)「意外とえげつないこと考えるな、お前ら……」

451 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 16:14:38.52 ID:3o2jkgwK0
('A`)「さて、用も済ませたし……帰るとするか」

( ^ω^)「そうするお」

(´・ω・`)「僕はせっかくだし、しばらく図書室で作業させてもらうよ」

(´・ω・`)「空調設備が教室より整ってるからね」

('A`)「お前いつもノートパソコン持ち歩いてるもんな……よくやるわ」

('A`)「……しかし……」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)(なんか気になるんだよな……)

('A`)(いやいや顔が好みだとか、欧米人の黒髪最高とかそういうんじゃなくてだな)

('A`)(……違うんですよ?)

454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 16:23:52.75 ID:3o2jkgwK0
〜〜家族のささやかな幸せを感じる瞬間〜〜


(`・ω・´)「父さん、今日は所長の家族の接待をさせられたよ」

(`・ω・´)「超能力に喜んでもらえたみたいでなによりだったがな」

(`・ω・´)「右手から稲妻を、左手から劫火を出してクロスさせた時は拍手喝采だったぞ」

(`・ω・´)「念動力のチャンネルはまだ練習中だから使わなかったが」

('A`)「そう。今日は俺風呂じゃなくてシャワーでいいや」

(`・ω・´)「そうそう、それから、父さん五感の探求を続けるうちに」

(`・ω・´)「共感覚にも目覚めてしまったんだ」

(`・ω・´)「五感の一つが、他の五感のどれかと接続する現象なんだがな」

(`・ω・´)「父さんな、目で見るだけでものの性質が手に取るようにわかってしまえるんだ」

('A`)「おめでとう。明日はパーティーだね」

460 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 16:31:08.76 ID:3o2jkgwK0
(`・ω・´)「たとえば、そこの器に盛ったバッファローチキンウィング」

(`・ω・´)「父さんまだ手をつけてないけど、味が伝わるぞ」

(`・ω・´)「かなりスパイシーな味付けがされてあるな。強烈に辛い」

(`・ω・´)「しかし後を引く辛さだ。度数の高い酒に合いそうだな」

('A`)「うん、大体合ってる。じゃあもう食べなくていいね」

(`・ω・´)「ただ……これは味覚ではなく触覚を刺激されているな」

(`・ω・´)「辛さを感じるのは触覚の役割だから」

(`・ω・´)「まだまだ錬度が不足しているな」

('A`)「ふうん。あ、そうそう、明後日友達来るから遅めに帰ってきたんで大丈夫だよ」

(`・ω・´)「土産はカップアイスでいいな」

('A`)「悪くないね」

465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 16:37:23.54 ID:3o2jkgwK0
〜〜二日後、ドクオ邸〜〜


( ^Д^)「つーわけで」

(-@∀@)「やってまいりました、ドクオくんの自宅!」

(´・ω・`)「意外といい家だね。まさか一戸建てとは」

( ^ω^)「こりゃ親父さんが相当稼いでるお」

('A`)(言えない……NASAから分譲された物件だなんて……)

( ^Д^)「ってかもう足疲れたんで、早く中に入れてほしんだけど」

('A`)「おう、上がれ上がれ」

( ><)「お邪魔するんです!」

( ^ω^)「うわ、なんか室内の大気がむわっとしてるお……」

('A`)「男家庭で悪いか」

467 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 16:45:19.52 ID:3o2jkgwK0
〜〜ドクオルーム〜〜


(´・ω・`)「さて、まずやるべきことと言えば……」

( ^Д^)「ポルノの所持チェックだな」

('A`)「おい離せ! なぜ羽交い絞めにする!?」

( ^ω^)「動くなお。これは友情のイニシエーションだお」

( ^Д^)「くそっ、ベッドの下にも机の引き出しにもねぇ!」

( ><)「トイレのタンクの中にジップロックに入れて隠してあったんです!」

( ^ω^)「お前凄いところに隠してるのな」

(´・ω・`)「これが噂のジャパニーズヘンタイコミックか……」

(-@∀@)「き、君たち! 今日はこんなことのために訪問したんじゃないだろう!」

( ^Д^)「そんなこと言いながら横目で見てんじゃねーよ、これだからむっつりは」

473 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 16:54:42.09 ID:3o2jkgwK0
( ^ω^)「こいつのストック、女教師とか女医とかそんなのばっかりだお」

(´・ω・`)「健康的で標準的な高校生男子といえるよ」

('A`)「性癖が暴露された今何も臆するものはない」

(´・ω・`)「だけど、人に知られたくない性癖の人たちもいるからなぁ」

('A`)「ああ、こいつな……」

( ^ω^)「いきなりうってかわって鍛えられた男の肉体を見せられると嘔吐しそうになるお」

('A`)「しかも女装してるからな……」

(´・ω・`)「この自慰に耽ってる写真なんて、左端に姿見が映ってる」

(-@∀@)「……視線がそっちに向いているね、完璧に」

( ^Д^)「鏡に映った自分見てシコってんのかよ……ひくわ……」

( ><)「これはヤバすぎるネタなんです……」

(´・ω・`)「問題はどういう手順で発覚まで至らせるかだ」

476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 17:04:42.59 ID:3o2jkgwK0
('A`)「んなもん、単純に学校の掲示板にでも貼ればいいだろ」

(-@∀@)「同意見だ」

('A`)「それが一番手っ取り早いじゃん」

(´・ω・`)「微妙だね。そうすることで皆の興味が向くのは」

(´・ω・`)「『誰がこの写真を貼りつけたか』って部分だから」

(´・ω・`)「もちろん無為というわけではないけど、違う謎を残すのは得策じゃない」

( ^Д^)「じゃあどうしろってんだよ。俺らにできることねーじゃん」

(´・ω・`)「彼自身の手によって公開させればいいんだ」

( ><)「どうやってですか?」

('A`)「まさかとは思うが……」

(´・ω・`)「そう」

(´・ω・`)「僕がウィルス組んで踏ませるんだよ」

481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 17:13:03.24 ID:3o2jkgwK0
( ^ω^)「うわあ」

(´・ω・`)「モララーはネット通販で衣装を買ってるみたいだからさ」

(´・ω・`)「彼のお気に入りショップの一ページを改竄して」

(´・ω・`)「.exeを踏ませる。そして自動アップロード」

('A`)「それモララー以外もひっかからねぇか? 善良な市民を巻き込むなよ」

(´・ω・`)「それは大丈夫。特定の発信源以外からのアクセスは無効にするから」

( ^Д^)「周到な奴め」

(´・ω・`)「さすがに全世界に流出させるのはかわいそうだから」

(´・ω・`)「学校のインフォメーション・ルーム内の端末でのみに留めておくけどね」

(´・ω・`)「前もって全機に自作の共有ソフト入れておいたから」

('A`)「俺はお前が味方で本当によかったと再認識してる」

488 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 17:20:31.51 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「どうする? 今日からでも取りかかれるけど」

('A`)「いや、もう少し経ってからでいい」

('A`)「フサの件と時期を一致させたい」

(-@∀@)「立て続けに事件を起こすわけか……」

(´・ω・`)「うん、それが最善だろうね。印象も相互作用で強くなる」

( ^Д^)「しかし喉乾いたな! ジュースとかねーの?」

('A`)「人んちでくつろぎやがって……待ってろ、持ってきてやるから」

( ^ω^)「氷も頼むお」

( ><)「グラスも冷やしてほしいんです!」

('A`)「注文が多すぎるわ! ってか今からグラスのセッティングなんてできるか!」

ガチャ

(`・ω・´)「おおドクオいたか。父さん飲み物運んできたぞ」

492 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 17:26:14.69 ID:3o2jkgwK0
('A`)「へ、父さん? なんでいるんだよ?」

(`・ω・´)「いやあ、今日はちょっと早めに業務が終わってな」

(`・ω・´)「おお、彼らがドクオの友人か。ドクオの父です」

( ^Д^)「あ、どうも……」

(´・ω・`)「平素より幾分早い帰宅みたいですけど、お仕事は何を?」

(`・ω・´)「NASAのほうに」

( ><)「NASA?」

(`・ω・´)「うむ。超能力についての研究に協力しております」

( ^ω^)「……何言ってんだこの人……」ボソッ

('A`)「……ははっ! 父さんったら冗談ばっかり言って!」

(`・ω・´)「冗談? ドクオには渡米前から話したはずだが……」

('A`)「まったく、テンションが上がっちゃったんだな! お茶目な父さんめ!」

496 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 17:33:31.37 ID:3o2jkgwK0
('A`)「ちょ、ちょっと話あるから、みんな待っててくれ!」バタン

('A`)「……はあ……はあ……」

(`・ω・´)「どうしたんだドクオ、突然」

('A`)「突然はこっちの台詞だよ」

('A`)「父さん、NASA関係者だとか迂闊に口走らないでくれよ」

('A`)「てか上から止められてねぇの?」

(`・ω・´)「特には」

('A`)「意外とぬるい機関だな……」

(`・ω・´)「それより父さん、今日は念動力を徹底的に特訓してな」

(`・ω・´)「自分の体重の二乗までの質量のオブジェクトなら動かせるようになったぞ」

('A`)「そう。片手でペットボトル二本抱えるの辛いでしょ。一本持つよ」

(`・ω・´)「すまない。最近四十肩がひどいんだ」

502 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 17:38:46.89 ID:3o2jkgwK0
('A`)「とりあえず、俺は部屋に戻るから」

('A`)「もう余計なことはしないでくれよ」

(`・ω・´)「わかったわかった。まったく、青春は素晴らしいな」

(`・ω・´)「そうそう、もう一つ判明したことがあるんだが」

(`・ω・´)「テレキネシスを発動させるときにも共感覚が役立ってるそうだ」

(`・ω・´)「視覚が触覚とリンクしているからな」

(`・ω・´)「見るだけで触れているのと同じ。つまり対象が手中にあるのと等しい」

(`・ω・´)「そういう暗示効果があるようだ」

('A`)「へえ。約束のアイス買ってきてくれた?」

(`・ω・´)「冷凍庫の中に」

('A`)「ありがとう。みんなと食べていい?」

(`・ω・´)「うむ。二十カップほどあるから好きなのを持っていきなさい」

510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 17:46:37.85 ID:3o2jkgwK0
('A`)「やあ、みんなお待たせ」ガチャ

( ^Д^)「なんだその気持ち悪い掛け声は」

('A`)「気にするな。ジュースと、それからアイス持ってきたぞ」

( ><)「容器が紙コップなんです……」

('A`)「贅沢言うな。飲めるだけありがたいと思え」

( ^ω^)「いやでも、コーラがおいしく飲める容器は」

( ^ω^)「瓶、缶、グラス、ペットボトル、紙コップ、陶器の順だお」

('A`)「知るかよ」

(-@∀@)「瓶で飲むコカコーラは最高だよね!」

(´・ω・`)「あ? ペプシこそが嗜好なわけだが」

( ^Д^)「やばいアイス溶ける! 早く食うぞ早く!」

515 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 17:54:25.12 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「このアイスおいしいね。バニラ・ビーンズのフレーバーが効いてる」

( ^ω^)「チョコミント以外食べる気がしないお」

(-@∀@)「よくそんな子供用歯磨き粉みたいなのが食べられるね!」

( ^ω^)「今なんつった! 今なんつったお! てめえええ!」

(-@∀@)「ちょっ、そんな本気で怒らないで……」

( ><)「僕はシトラスのシャーベットでいいんです!」

( ^Д^)「暑苦しいアフロヘアーでそんな爽やかなもん食うなよ、似合ってねぇ……」

('A`)「……」

( ^Д^)「どうしたんだよ、呆けた顔して。妄想でもしてんのか?」

('A`)「いや、なんかいいなって思って」

(´・ω・`)「まあね」

(´・ω・`)「僕たちみたいなナードが騒げるのは、こういうプライベートな空間だけさ」

521 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 18:03:25.60 ID:3o2jkgwK0
プルルルッルルルッルルルルッルルッルルッルルルルッルッルルルルルッルルッルルルッルルッルルッルッ

( ^ω^)「ん、鳴ってるお」

('A`)「俺の携帯か」

( ^Д^)「なんで着信音量マックスにしてんだよ! 騒音公害で訴訟するぞ!」

('A`)「慌てるなって。もしもし」

从 ゚∀从『おうドクオか、今何してんの?』

('A`)「ちょっと休憩。用件だけ手短に頼む」

从 ゚∀从『無駄にかっこつけんなよ。なんだその声色』

从 ゚∀从『いやな、さっきフサからミセリにメールがきたんだよ。その報告』

('A`)「ほう。して、どんな」

从 ゚∀从『トソン宛の文面とほぼ同じさ。また違う日に話がしたいってさ』

531 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 18:11:38.11 ID:3o2jkgwK0
('A`)「……だそうだが……」

(´・ω・`)「トソンと会うのは週末だったね。なら来週がいいかな」

('A`)「てなわけで、来週の休みに会うよう伝えておいてくれ」

从 ゚∀从『オーケイっと』

('A`)「てか受話器の向こうからキャッキャウフフな声が聴こえるんだが」

从 ゚∀从『あー、今アタシら、タリーズコーヒーにいるから』

('A`)「チェーン店じゃなくて、どうせならもっと洒落たとこに行けよ」

从 ゚∀从『いやーなんだかんだでみんな安定志向なわけよ』

('A`)「まあいいけどさ」

从 ゚∀从『そいじゃあな!』ピッ

('A`)「……という様相みたいですが」

(´・ω・`)「いいムードだね。フサの件は、女子たちに一任しても大丈夫そうだ」

535 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 18:17:57.55 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「とにかく僕はモララー専用のウィルスを組んで」

(´・ω・`)「彼ご贔屓のサイトにクラックして、これを仕掛けておく」

( ^ω^)「フサはトソンとミセリに任せるのかお」

(´・ω・`)「まあ、このまま脚本通りに進めてくれれば大きな支障はないだろう」

(´・ω・`)「ハインもリーダーシップを発揮してるみたいだし」

(-@∀@)「ギコは……」

( ^Д^)「あれはもう一発勝負だからな」

(´・ω・`)「すべてはしぃにかかってる」

(´・ω・`)「ただ、サダコが余計なことしなければいいけど……」

('A`)「あいつが趣味を押し出して来たら何もかもが水泡に帰しかねないからな……」

( ><)「あとはドクオくんがジョルジュくんとの戦いに勝つことだけです!」

(´・ω・`)「そうだね」

('A`)「おいまだ決定事項じゃないだろ。そのルートは全力で回避するぞ」

539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 18:22:14.52 ID:3o2jkgwK0
( ^ω^)「というか、本当に合気道なんてできるのかお」

('A`)「勘を取り戻しさえすればなんとか」

('A`)「なんせ高校進学してからは道場行ってねぇしな……」

( ^Д^)「頼りねーな」

('A`)「無力なリーダーですんません」

(-@∀@)「世話が焼けるリーダーだね、まったく!」

('A`)(お前が役に立った瞬間いつだよ)

(´・ω・`)「ドクオ、そんな卑下することはないよ。君はナードの旗手だからね」

('A`)「フォローが身に沁みる」

( ^ω^)「それじゃ、僕らはそろそろ家路につくお」

( ><)「お邪魔したんです!」

('A`)「おう、じゃあな」

543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 18:31:17.08 ID:3o2jkgwK0
〜〜二週間後〜〜


从 ゚∀从「なあ」

('A`)「なんだよ」

从 ゚∀从「狭いんだけど」

('A`)「仕方ないだろ、本来一人で使う部屋なんだから」

(*゚ー゚)「ベッドの上に座ってる人が三人……」

川д川「……床に……五人……」

(´・ω・`)「椅子に一人。座椅子に一人」

( ^Д^)「ひっくり返したゴミ箱に座ってるのが一人か」

( ><)「もっといい席がよかったんです!」

546 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 18:35:41.41 ID:3o2jkgwK0
('A`)「いつの間に俺の部屋はミーティングルームになったんだ」

(´・ω・`)「まあ何かと便利だしね」

(´・ω・`)「この時間帯なら、君以外の家族はいないし」

( ^Д^)「前はいたけどな」

('A`)「あれは忘れろ」

(-@∀@)「で……進展はどうなの?」

(゚、゚トソン「私は既に、休日平日会わせて四度フサと個人的に会いました」

ミセ*゚ー゚)リ「私はまだ先週の一回だけ。普通に遊んで終わっちゃった」

( ^ω^)「ほう」

('A`)「結構な長期戦にならないか、これ」

(´・ω・`)「じっくりと煮詰めていくことが肝要なんだよ」

550 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 18:43:09.95 ID:3o2jkgwK0
ミセ*゚ー゚)リ「結局、はっきりした返事はもらえなかったんだけど……」

(゚、゚トソン「私もです」

(´・ω・`)「でもトソンは何度も回数を重ねているんだろう?」

(゚、゚トソン「はい」

(´・ω・`)「……本当にフサという奴は男性的な面と女性的な面が同居しているな」

( ^ω^)「どういうことだお?」

(´・ω・`)「優柔不断なくせに妙に義理堅いんだよ」

(-@∀@)「どちらにもいい顔をしたいのに、先に接してきたほうに肩入れしてるのかな?」

(´・ω・`)「そういうこと」

(-@∀@)「へへへ」

('A`)「なんだその得意げな表情は」

554 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 18:49:03.97 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「決断力はないくせに信念だけは無駄にある」

('A`)「操を立ててるのか」

从 ゚∀从「クールな表現だな。気に入った!」

('A`)(どうでもいい)

(´・ω・`)「どうも、フサはある程度トソンに絞ってしまってるみたいだな」

(゚、゚トソン「ということは……」

(´・ω・`)「俗な表現になってしまうけど、君が本命」

(´・ω・`)「たぶん、フサは君に漫然とした好意を持つようになってる」

( ><)「選んじゃってるじゃないですか!」

( ^Д^)「じゃあどうすんだ、二股かけさせる作戦破綻してんじゃん」

(´・ω・`)「いや……その人格をあえて利用しよう」

559 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 18:56:05.71 ID:3o2jkgwK0
('A`)「利用?」

(´・ω・`)「ミセリ、君は明確な返事をもらったわけではないんだよね?」

ミセ*゚ー゚)リ「う、うん」

(´・ω・`)「じゃあ問題ない。もっと積極的に向かっていくんだ」

ミセ*゚ー゚)リ「どうして? もう無理じゃない?」

(´・ω・`)「はっきりと断ってない以上責任はフサにあるんだから」

(´・ω・`)「君の多少強引な行動にも正当性が与えられる」

(´・ω・`)「そして、おそらくは君の申し出を断るようなこともしないだろう」

( ^ω^)「なんでそこまでわかるんだお」

(´・ω・`)「簡単さ。直線上を駆け抜けている人間がどこに向かうのかを予測することなんて」

川д川「うふふ……断言するのね……」

('A`)「まあミセリの今後はわかった。じゃあトソンはどうする?」

564 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 19:05:57.83 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「トソンは逆に消極的になろう」

(゚、゚トソン「なぜですか?」

(´・ω・`)「どちらからデートに誘ってるのかな?」

(゚、゚トソン「初回を除いた三回のうち、二回は彼からの誘いです」

(´・ω・`)「フサから二回。なるほど、それはいい傾向だね」

(゚、゚トソン「……わかりません」

(´・ω・`)「言ったじゃないか、フサは君に惚れてるって。まさしくその兆候じゃないか」

(´・ω・`)「ミセリは向こうからはなんのアクションもないそうだから」

('A`)「だとして、どうする」

(´・ω・`)「泳がせてみるのさ。一度ね」

(´・ω・`)「しばらくの間、トソンはフサと接触を図らないでくれ」

(´・ω・`)「逆に、ミセリ。君は彼に毎日メールでやり取りをするんだ」

567 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 19:11:59.30 ID:3o2jkgwK0
ミセ*゚ー゚)リ「毎日? なんか必死な女みたいでいやだなぁ……」

(´・ω・`)「そのくらい強気でこられるほうがああいったタイプの男はなびくよ」

(´・ω・`)「角張った奴ほど押しに弱い。内面が脆いから外装で補おうとしている」

('A`)(こいつはどの分野まで精通しているんだ)

(´・ω・`)「ミセリと交流するうちに心境に変化が出てくるだろう」

(´・ω・`)「一方トソンからは放置されている」

(´・ω・`)「愚直な彼のことだから、胸の内を確かめるために、必ずトソンに連絡をとる」

从 ゚∀从「行動する以外じゃなんもできそうにないからな、あの手の男は」

(´・ω・`)「で、遊びに行かないかとでも言い出してきたらしめたものだ」

(´・ω・`)「トソンはその誘いを断ってほしい」

(゚、゚トソン「どうしてでしょう?」

(´・ω・`)「代わりに、フサが提案してきた日取りを教えてもらいたいんだ」

572 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 19:17:37.03 ID:3o2jkgwK0
(゚、゚トソン「ですから、どうして……」

( ^Д^)「ははあ、読めたぞ。その日にミセリにデートさせる気だな」

(´・ω・`)「ご名答」

(´・ω・`)「物知らぬ顔で勧誘してくれればいいんだ」

(´・ω・`)「彼の心中は穏やかではないだろうから、判断力も鈍ってる」

( ^ω^)「お前は悪魔かお」

(´・ω・`)「一度受け入れてしまったらもう後戻りできない」

(´・ω・`)「それが終わったら、トソンは普通に連絡をとるようにしてくれ」

('A`)「ますます複雑なことになるな……」

(´・ω・`)「ここに対等な関係が成立する」

(´・ω・`)「こうなれば、あとはもうずるずるといくね」

579 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 19:21:53.92 ID:3o2jkgwK0
ミセ*゚ー゚)リ「期間は?」

(´・ω・`)「三週間ほどもあればいいかな。あまり長すぎてもいけない」

(´・ω・`)「三週間後に、学校で修羅場を繰り広げるんだ。演技力が試されるけど」

('A`)「念入りな作戦だな」

(´・ω・`)「リアリティは必要だよ」

(-@∀@)「待ってよ、三週間後にフサの対処を終えるってことは……」

(´・ω・`)「うん。僕らの計画も、ちょうどその頃に完成を迎えるわけだ」

(*゚ー゚)「……」

( ^ω^)「モララーへのトラップは出来あがったのかお」

(´・ω・`)「とっくにね。あとはサイトを書き変えるだけだ。この猶予は一晩でいい」

('A`)「そして二人の事件を終了させて……ギコか」

582 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 19:28:22.02 ID:3o2jkgwK0
从 ゚∀从「しぃの変装の支度はバッチリだぜ!」

从 ゚∀从「まあ変装といっても限りなく素材を活かしてるけどな」

(*゚ー゚)「全然褒めてないよ……」

('A`)「おいサダコ、無駄に飾り立てたりはしてないだろうな」

川д川「私の意見は……大半が不採用……」

( ^ω^)「これほど安心できる一言が今までにあったかお……」

(´・ω・`)「みんな。もう引き返せない。始まってしまっているんだ」

('A`)「下準備も大方終わった……あとは……」

('A`)「その日に向けて覚悟を決めることだな」

( ^Д^)「おう! 奴らに一泡吹かせてやる! うおおおおお!」

('A`)「三週間……万が一に備えて筋トレもしておくか……」

590 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 19:36:30.66 ID:3o2jkgwK0
〜〜三大欲求の一つを解消するステージ〜〜


(`・ω・´)「父さん、共感覚が研ぎ澄まされすぎて」

(`・ω・´)「ついに他の誰かと感覚をシェアできるようになったんだ」

('A`)「そうなんだ。今日のシュリンプ・スキャンピは自信作だよ」

(`・ω・´)「他者の目を介して見ることができるし、他者の鼻を介して嗅ぐこともできる」

(`・ω・´)「これを応用してテレパスとしての才能も見出せたんだ」

(`・ω・´)「視線の交錯を通じて相手の聴覚に訴えかけられるわけだよ」

('A`)「ガーリックが効いててうまいなあ」

(`・ω・´)「今、ドクオの視点を借りてみたが、海老に注目しているな」

('A`)「うん。これマジでうまいよ」

(`・ω・´)「うむ。目で見ただけで味覚が大いに刺激されている」

('A`)「それはよかった」

599 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 19:45:48.32 ID:3o2jkgwK0
(`・ω・´)「ただ父さんな、能力者として覚醒しすぎて」

(`・ω・´)「連邦政府とFBIからマークされてしまったんだ」

('A`)「ちょっ……それはさすがに聞き過ごせない」

(`・ω・´)「父さん日本人だから、そのうちCIAの監視下にも置かれるだろうな」

('A`)「どんだけ危険人物として扱われてるんだよ」

(`・ω・´)「なんせ、パイロキネシス、エレキネシス、テレキネシス」

(`・ω・´)「高度な共感覚まで保持してしまったからなあ」

(`・ω・´)「おまけに疑似感応めいたことまでできるようになったし」

('A`)「まあ殺されないようにがんばって」

(`・ω・´)「努力するよ。しかしこのシュリンプ・スキャンピは本当にうまいな」

('A`)「うん。自信作だから」


631 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 20:59:00.24 ID:3o2jkgwK0
〜〜二週間後、図書室にて〜〜


('A`)「……」カキカキ

('A`)『で、どんな具合に進んでるんだ?』

(´・ω・`)「……」カキカキ

(´・ω・`)『順調そのものだ。トソンもミセリも首尾よくやってくれてる』

('A`)『あいつらの仕込みが一番時間がかかるからな……』

( ^ω^)『だけど、あと一週間』

(´・ω・`)『僕もそろそろサイト改竄に着手する』

(´・ω・`)『モララーの女装写真のアップが、最終章突入を告げる鐘だ』

( ^ω^)『それが合図かお』

('A`)『嫌な合図だな……』

635 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 21:02:33.22 ID:3o2jkgwK0
('A`)(……それにしても……)

川 ゚ -゚)「……」ペラッ

('A`)(あいつ、本当にずっと図書室にいるんだな)

('A`)(何度か図書室で話し合ったことはあったが……)

('A`)(毎回いる)

( ^ω^)「……」カキカキ

( ^ω^)「……」トントン

('A`)「なんだよ」

( ^ω^)『なに見惚れてるんだお、スケベ』

('A`)「……」カキカキ

('A`)『アホか。下心とかじゃねーから』

639 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 21:07:35.39 ID:3o2jkgwK0
(´・ω・`)「さて……そろそろ帰宅しようかな」

('A`)「ん? 今日は作業していかないのか」

(´・ω・`)「最近寝不足でね、ゆっくり休みたいんだ」

( ^ω^)「あんま無理すんなお」

(´・ω・`)「無理なんてしてないよ。全部僕の意志に基づいているんだから」

(´・ω・`)「好きなことをやることを無理とは呼ばないでしょ」

( ^ω^)「まあいいけど。僕も帰って撮り貯めしたドラマでも見るお」

( ^ω^)「そうだ。ドクオ、ちょっと帰りにマック寄っていかないかお?」

('A`)「いや……俺はもうちょいしてから帰るわ」

( ^ω^)「つれない奴だお」

(´・ω・`)「そうか。それじゃあまた明日」

('A`)「おう。んじゃな」

641 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 21:10:51.82 ID:3o2jkgwK0
('A`)「……」

川 ゚ -゚)「……」ペラッ

シン......

('A`)(俺と、あいつ以外に誰もいない。司書すらどこかに行ってる)

('A`)(二人だけか……)

('A`)(それにしても妙に気になる)

('A`)(まさか……本当に恋なのか……?)

('A`)(童貞歴十七年……モラトリアムエイジ真っ只中……)

('A`)(俺は恋をしたというのか……?)

川 ゚ -゚)「おい」

('A`)「ふやひゃはいっ! なんでしょう」

645 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 21:15:27.39 ID:3o2jkgwK0
川 ゚ -゚)「気が散るからあまり視線をよこさないでくれ」

('A`)「ああ、はい……すみません」

川 ゚ -゚)「……」パラッ

('A`)(……怒られた……)

('A`)(てか声初めて聴いたわ。ん? それより)

('A`)(ブックワームはフローターの一種……)

('A`)(フローターは誰とも干渉しないんじゃなかったか……?)

川 ゚ -゚)「おい」

('A`)「べっひゃんはい! なんですかね」

川 ゚ -゚)「なにアホ面で考え込んでいるんだ」

('A`)「いやあ、特に何も想念だとかは浮かんでいなくてですね」

648 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 21:19:30.50 ID:3o2jkgwK0
川 ゚ -゚)「大方、私がなぜ口を開いたかとか、そんなくだらないことを考えているんだろう?」

('A`)「やっ、まさか、そんなことはなくてですね」

川 ゚ -゚)「こんな見分けやすい動揺は初めてだ」

('A`)「ごめんなさいそうです」

川 ゚ -゚)「……君が働きかけてきたからだ」

('A`)「はい?」

川 ゚ -゚)「君はずっと私を観察していたじゃないか。十分な介入だ」

('A`)(目でだけかい)

川 ゚ -゚)「私は自分から干渉することはないが」

川 ゚ -゚)「誰かから先に干渉してきた場合にはその限りではない」

('A`)「はあ、さいですか」

川 ゚ -゚)「まあ、誰もわざわざ私に関わってきたりなどはしないがね」

652 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 21:23:14.85 ID:3o2jkgwK0
川 ゚ -゚)「この頃君と、あと友人らしき男子二名か」

川 ゚ -゚)「よく図書館で見かけるな」

('A`)「あんたに言われたくないよ」

('A`)「あんたはいつもいるじゃないか、ここに」

川 ゚ -゚)「私の居場所はここだけだからな」

('A`)「ふうん」

川 ゚ -゚)「しかし、男三人集まって考えることなぞロクなもんじゃない」

川 ゚ -゚)「何やら文字で密談しているようだが、どんな馬鹿げたことをしでかすつもりやら」

('A`)「馬鹿げた……真剣だっつーの。これでも」

川 ゚ -゚)「ほう」

('A`)「……なあ」

川 ゚ -゚)「なんだ?」

654 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 21:30:32.01 ID:3o2jkgwK0
('A`)「あんたは、ピラミッドの外にいるんだろ?」

川 ゚ -゚)「ピラミッド……? ああ、スクールカーストか」

川 ゚ -゚)「くだらない概念だよな。君は聞いた話では日本から来たそうだが

川 ゚ -゚)「日本人であるなら一層そう思うだろう」

('A`)「外にいるってことは、内側の人間とは無関係なんだろ?」

川 ゚ -゚)「そういうことだな」

('A`)「そうか……だったら。おい、こっそりと教えてやる」

川 ゚ -゚)「何をだ?」

('A`)「俺はジョックの奴らに逆襲して、スクールカーストをぶち壊すつもりだ」

川 ゚ -゚)「大小が把握しにくい夢だな」

('A`)「しょぼかろうと夢は夢だ」

657 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 21:33:48.39 ID:3o2jkgwK0
川 ゚ -゚)「ははあ、そういうことか。あに二人は君のシンパか」

('A`)「同士と呼べ同士と」

川 ゚ -゚)「ナードのくせによくやるな」

('A`)「ナードだからやるんだよ」

('A`)「もっとも俺はナードになったつもりなんか微塵もなかったけどな」

川 ゚ -゚)「顔がナードだろ」

('A`)「うるせぇよ」

川 ゚ -゚)「だがしかし、そんなことを私に告げてどうする?」

川 ゚ -゚)「君のメリットがないわけだが」

('A`)「証人になってもらいたいんだよ」

川 ゚ -゚)「証人?」

('A`)「この先起こることが偶然じゃなくて、俺らの力だってことを知ってもらいたい」

659 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 21:38:20.74 ID:3o2jkgwK0
川 ゚ -゚)「意味が少々わからんのだが」

('A`)「スクールカーストの内側にいる奴は真実を一生知らないままだ」

('A`)「偶然として処理されるだろうし、第一それがそもそもの狙いだ」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「……でもちょい寂しいわけよ、俺は」

('A`)「ナードにだってこんだけのパワーがあるってのに」

('A`)「だから外側にいる人間のあんたにだけは、知ってほしい」

川 ゚ -゚)「私に歴史の目撃者になれというのか」

('A`)「そうだ」

川 ゚ -゚)「なるほどな。なかなか面白いことを言うじゃないか」

川 ゚ -゚)「その顔には似つかわしくないが」

('A`)「うるせっうるせっ」

667 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 21:42:19.09 ID:3o2jkgwK0
('A`)「まあそういうことだ! 終わりっ!」

川 ゚ -゚)「なにを半端に照れているんだ」

('A`)「たまに格好つけたことをいうと全身が痒くなるんだよ」

川 ゚ -゚)「まあいいがね」

川 ゚ -゚)「要するに君はジョックが支配する時代に幕を下ろすわけだな?」

('A`)「そうだ」

川 ゚ -゚)「それは偶発的なものではなく、作為的なものだと」

('A`)「ああ」

川 ゚ -゚)「……何をやるんだ? ラフファイトか?」

('A`)「それは今後のお楽しみということで」

川 ゚ -゚)「ラフファイトはやるのか!?」ハァハァ

('A`)「なんでバトル展開を異常に期待してるんだよ」

673 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 21:49:37.04 ID:3o2jkgwK0
('A`)「当たり前だろ。あいつら全員スポーツやってるからマッチョだけど」

('A`)「俺はご覧の有り様だ」

川 ゚ -゚)「率直な感想を述べさせてもらうと、貧相の一言だな」

('A`)「自覚しております」

('A`)「だから権謀術数を張り巡らせて勝つんだよ」

川 ゚ -゚)「意気地があるのかないのかわからんな、お前は」

('A`)「ハートは負けないぞ」

川 ゚ -゚)「まあ精々傍観させてもらうよ」

('A`)「じゃあ……そういうわけだ。俺はこの辺で去らせてもらう」

川 ゚ -゚)「待て。名前ぐらい教えてくれてもいいだろう。それが証人に対する礼儀だ」

('A`)「ドクオだよ。日本から来たドクオってんだ」

川 ゚ -゚)「そうか。その礼節に敬意を表して私も名乗ろう。クーだ」

('A`)「いい名前だな。じゃあな、クーさんよ」タンッ

680 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 21:57:28.20 ID:3o2jkgwK0
〜〜一日の最後を飾る食事〜〜


(`・ω・´)「今日も所長家族にサービスさせられたよ」

(`・ω・´)「まったく所長も躾がなってない。わがままな息子だった」

(`・ω・´)「一般企業で営業部として働いていたことを思い出すよ」

('A`)「大変だね。ミートローフが上手に焼けたよ」

(`・ω・´)「それから父さん、MITが連邦政府向けに発表した……なんだっけな」

(`・ω・´)「ああ、そうだ、地表上の生物ランキング。これで最上位に置かれたよ」

(`・ω・´)「つい最近まではアフリカゾウに負けていたんだが」

('A`)「ソースは何がいい?」

(`・ω・´)「普通のグレービーソースで構わないよ」

('A`)「付け合わせのマッシュポテトも添えておくから」

693 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 22:04:27.57 ID:3o2jkgwK0
〜〜週の始まり、早朝の教室(ウィークディズ・スタート)〜〜


ミセ*゚ー゚)リ「たっ、大変なんだよ!」

('A`)「どうしたんだよ……眠い」

从 ゚∀从「いつもより早く登校してくれ、だなんてメール回してきてさ」

( ^ω^)「まだ起きてるのか寝てるのかはっきりしてないお……」

ミセ*゚ー゚)リ「だから、大変なのっ!」

( ^Д^)「何がどう大変なのかを説明してくれよ」

(´・ω・`)「まさか勘付かれたのかい? ここにきて」

(´・ω・`)「そろそろ計画の最終段階に乗り出すところだったんだけど……」

ミセ*゚ー゚)リ「違うよ、そうじゃなくて」

ミセ*゚ー゚)リ「昨日、フサくんと約束して、出かけていたんだけど……」

699 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 22:10:23.99 ID:3o2jkgwK0
( ^Д^)「フサ『くん』だなんて、お前ちょっとその気じゃん」

ミセ*゚ー゚)リ「もう、茶化さないでよ、話が進まないでしょ!」

( ><)「それでどうかしたんですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「あのね、町でジョルジュたちと……鉢合わせしちゃったの」

('A`)「ハァ? マジかよ」

ミセ*゚ー゚)リ「フサくん……練習サボってたから……」

ミセ*゚ー゚)リ「凄い囃されちゃって」

川д川「女は……魔性……」

('A`)「お前朝だからってメイクさぼんなよ。普通になってんじゃねーか。キャラ維持しろ」

('A`)(しかもなんか微妙にかわいいし……)

ミセ*゚ー゚)リ「それでね、一緒にいるのがナードの私だってことにも気づかれて……」

704 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 22:16:49.64 ID:3o2jkgwK0
(-@∀@)「ああ、なんとなくわかっちゃったよ、その先が」

ミセ*゚ー゚)リ「フサくんみんなから笑い者にされちゃったんだよ」

ミセ*゚ー゚)リ「そんな女と付き合ってるのか、って」

从 ゚∀从「チアもジョルジュらと一緒にいたのか?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん……私のこと、凄く馬鹿にした笑い方で、指差してた……」

( ^ω^)「……」

('A`)「んで、どうなった? まさかそれだけで緊急呼出なんてことはないだろ」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、その後なんだよ」

ミセ*゚ー゚)リ「……フサくん、笑ってたアメフト部員をフィストで殴っちゃったんだ」

('A`)「うへぇ、ホントかよ」

(´・ω・`)「憤慨……キレちゃったわけか」

715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 22:24:26.23 ID:3o2jkgwK0
( ^Д^)「罠に本気になっちまったのか……後味わりーな」

ミセ*゚ー゚)リ「それで、大騒ぎになっちゃって」

从 ゚∀从「根は正義感の強い奴だったのか?」

( ^ω^)「でもあいつだってお気に入りのターゲットをいじめてたお」

( ><)「わかんないんです!」

('A`)「……おいショボン、どうすんだよ」

(´・ω・`)「ちょっと待ってくれ。今プロファイリングしてみる」

(´・ω・`)「うん……たぶん、そういうことなんだろうけど……」

(´・ω・`)「……ドクオ、彼のターゲットに対する行動を教えてくれないか」

('A`)「ん? 俺が見たのは、ジョルジュがヒッキーにぶつかった後」

('A`)「チリコンカンをヒッキーのトレイに乗せてたところかな……」

729 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 22:30:10.84 ID:3o2jkgwK0
( ><)「僕が見たのは、ジャージを窓からグラウンドに放り投げたりとか」

(*゚ー゚)「私は、ヒッキーが落とした財布を真っ先に拾って」

(*゚ー゚)「軟球の代わりにしてキャッチボールしているところを見ちゃったよ」

( ^Д^)「……おい、全部あいつが先陣切ってやってんぞ」

从 ゚∀从「やっぱクズじゃん」

(´・ω・`)「そうか……やっぱりだ」

(´・ω・`)「わかったよ、彼が先陣を切る理由が」

('A`)「なんだ?」

(´・ω・`)「ストッパーとしての役目だ」

( ^ω^)「ストッパー? 歯止めをかけてるのかお」

(-@∀@)「拍車をかけてるようにしか思いないけどね」

(´・ω・`)「そうじゃない。彼が一番に行動して方針を決定づけてしまえば」

(´・ω・`)「それ以上のことはヒッキーはやられない」

739 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 22:38:24.22 ID:3o2jkgwK0
('A`)「なんだそりゃ? 意味不明なんだが」

(´・ω・`)「いじめなんて陰湿なやり方はいくらでもある」

(´・ω・`)「チリソースなんてトレイじゃなくて頭から流せばいい」

(´・ω・`)「ジャージなんて切り刻んで排水溝に捨ててしまえばいい」

(´・ω・`)「財布なんて奪ってしまえばそれで終わりだ」

从 ゚∀从「待て待て、整理できん。お前の話は早すぎる」

(´・ω・`)「チリコンカンはパンやクラッカーにつけて食べるのが主流だけど」

(´・ω・`)「それだけでも十分食べられる」

(´・ω・`)「それに原材料はトマトと挽肉とインゲン豆。栄養価は豊富だ」

(´・ω・`)「タンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミンB、C、E、ミネラルの一種であるカリウム」

('A`)「うおお、五大栄養素……」

(´・ω・`)「行動を分析する限りでは、最低限の配慮である可能性が高い」

754 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 22:44:29.18 ID:3o2jkgwK0
( ^ω^)「んなアホな……」

(´・ω・`)「栄養学の知識は今やスポーツ選手にとっては必須だ」

(´・ω・`)「フサもたぶん、知っていた」

('A`)「まあ俺が本気で嫌がらせしようと思ったら芋を送りつけるな」

从 ゚∀从「ひでぇ」

(´・ω・`)「ジャージは汚れがついても洗えばいいだけ」

(´・ω・`)「財布なんて無事に返ってきさえすればいい」

(*゚ー゚)「じゃあ……もしかして」

(´・ω・`)「フサは悪い人間じゃない。僕の推理だとね」

('A`)「マジかよ……」

(´・ω・`)「彼がジョックに属しているのは、それこそアメフト部員であるからだろう」

(´・ω・`)「あの体格だ。入学と同時にスカウトされたんだろうな」

759 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 22:48:36.32 ID:3o2jkgwK0
(-@∀@)「それでもいじめはいじめだ!」

(´・ω・`)「そうしないと他のジョックたちから排斥されるからね」

(´・ω・`)「仕方なくだろう。だから出来る限り被害を少なくしてる」

('A`)「おい、ジョックからハブられるのを恐れてって……」

(´・ω・`)「ああ、ナード気質と同じだ」

(´・ω・`)「本来の彼の姿はそういう奴だと思う」

( ^Д^)「なんてこった」

川д川「罪悪感……贖罪の烙印……」

('A`)「……どうするんだよ」

(´・ω・`)「ミセリ、その話に続きはないのか?」

ミセ*゚ー゚)リ「う、うん、まだ続きがあるんだけど」

763 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 22:57:11.55 ID:3o2jkgwK0
ミセ*゚ー゚)リ「その事件以降、フサくんすっかり孤立しちゃったみたいで」

ミセ*゚ー゚)リ「昨日、フットボールクラブを辞めるってメールがあったんだ」

(゚、゚トソン「私も同じ内容のメールを受信しました」

(´・ω・`)「ふむ。やはりまだ二人とも平等に対応しているのか」

从 ゚∀从「とことん優柔不断な奴……しかし、退部か」

('A`)「なんか……予定より早く、勝手にジョックから脱落したな」

从 ゚∀从「きっかけはどっちにしてもアタシらだけどな」

('A`)「すっきりしねぇ……」

(´・ω・`)「だけど、終わりは終わりだ」

(´・ω・`)「フサの件は……ここで強制終了だよ」

772 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 23:02:46.16 ID:3o2jkgwK0
('A`)「……なあ」

(´・ω・`)「なに?」

('A`)「一個、すげー残酷なことを思い出したんだけど」

( ^Д^)「俺も」

(´・ω・`)「なんだい」

('A`)「あいつ、フサの奴、ミセリやトソンとの関係も終わるんだろ?」

从 ゚∀从「偽りの恋愛だったわけだからねぇ」

(´・ω・`)「そのことはまあ……これから先、僕らが関与すべきことじゃないんじゃないかな」

( ^ω^)「どういうことだよ」

(´・ω・`)「あれを見てみなよ」

('A`)「あれ?」

776 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 23:06:19.92 ID:3o2jkgwK0
ミセ*゚ー゚)リ「メールの着信はいつ?」

(゚、゚トソン「午後九時少し前です」

ミセ*゚ー゚)リ「少し前!? 後じゃなくて!?」

(゚、゚トソン「はい」

ミセ*゚ー゚)リ「私より先だなんて……」

(゚、゚トソン「ミセリこそ……大事にされてるようで」

(´・ω・`)「まさかここで修羅場を始められるとはね」

('A`)「……ここからは三人の意志で続けさせとくか」

( ><)「ところでモララーくんへのトラップはどうなったんですか?」

(´・ω・`)「ん? ああ、昨日確認したら針にかかってた」

(´・ω・`)「今日最初にインフォメーションの授業を受けるクラスが発見するよ」

('A`)「ご愁傷さまでーす」

784 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 23:11:57.62 ID:3o2jkgwK0
〜〜放課後〜〜


('A`)「予想を超える事態になった」

从 ゚∀从「やばい、今思い出しても笑える……くく……」

HAHAHAHAHA!!!!

( ^ω^)「笑っちゃ……笑っちゃダメだお……うぷぷ」

( ^Д^)「腹いてえええ! ぷぎゃあああああ!」

(´・ω・`)「まさか第一発見者となったのがモララーのクラスだったとはね」

('A`)「想像しただけで地獄絵図すぎて笑える」

(*゚ー゚)「……」

从 ゚∀从「ヘイヘイ、しぃ、笑っとけ笑っとけ。ファックな笑いもいいもんだぜ!」

(*゚ー゚)「じゃあ、遠慮なく……ふふふ!」

793 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 23:19:26.03 ID:3o2jkgwK0
( ^ω^)「大スクリーンに赤裸々な女装オナニーが映し出されるとか……」

(-@∀@)「よく自殺しなかったね……ある意味凄い精神力」

(´・ω・`)「そのぐらいメンタルが強くないとキッカーは務まらないんだろうな」

(゚、゚トソン「私たちの教室まで」

ミセ*゚ー゚)リ「断末魔の叫びが」

( ^Д^)「聴こえてきたもんな。やべぇわ」

( ^Д^)「『ぷおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!』って」

从 ゚∀从「声真似やめろ! またツボに入るだろ!」

('A`)「とにかく、これでモララーがクイーンどもから総スカンくらうことは確定」

('A`)「ジョック連中も付き合いをやめるだろうな」

川д川「いよいよ……終末は近いわね……」

(´・ω・`)「佳境だ。ギコへの罠を今週中に始めよう」

801 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 23:26:09.84 ID:3o2jkgwK0
从 ゚∀从「その前に、一旦集合かけとこうぜ」

从 ゚∀从「一度、作戦決行時のしぃの外見を確認してもらわねーとな」

( ^Д^)「そりゃ面白ぇ! どんだけロリコン魂に火をつけられそうか見とくか」

(*゚ー゚)「な、なんか恥ずかしいんだけど……」

川д川「デジカメ持ってこないと……」

( ^ω^)「お前らちょっとしたイベントみたいに思ってんじゃないお」

(´・ω・`)「もう時間は迫ってきている。やるべきことはすべてやろう」

('A`)「しぃも大丈夫だよな? お前の決意が一番必要だからな」

(*゚ー゚)「うん。覚悟は……できてるよ」

('A`)「おっし、いい返事だ」

('A`)「それじゃ、次の機会まで……解散!」

オー!!

808 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/01(月) 23:35:36.81 ID:3o2jkgwK0
〜〜なんかアメリカンな飯食ってる〜〜


(`・ω・´)「父さんアメリカを敵に回すかもしれない」

('A`)「ぶっ」

(`・ω・´)「NASAだけじゃなく、政府はいよいよ能力者の脅威を認め始めた」

(`・ω・´)「今はNASAが保護してくれているが……」

(`・ω・´)「だが今日の帰り道、何者かに狙撃されてね」

('A`)「ぶほっ」

('A`)「マジでやばいことになってんじゃねーか」

(`・ω・´)「父さんの力がどれほどのものかをテストしたようだが……」

(`・ω・´)「さすがにびっくりしちゃってね。いや歳なのもあるんだろうけどさ」

(`・ω・´)「動けなかったんだ」

814 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 23:38:52.34 ID:3o2jkgwK0
('A`)「生きてるじゃん」

(`・ω・´)「そうだな」

('A`)「動けなかったら直撃して死ぬだろ普通」

(`・ω・´)「いや、動けなくても見ることだけはかろうじて出来てな」

('A`)(銃弾を肉眼で見える時点でおかしいだろ)

(`・ω・´)「それで、父さんはな」

(`・ω・´)「睨んだだけで銃弾を内部から爆発させたんだ」

('A`)「はあ」

(`・ω・´)「どうやら父さん、ここにきてインパルスのチャンネルまで開いてしまったみたいだ」

(`・ω・´)「インサイドにまで作用できるだなんて思わなかったよ」

('A`)「いやーバターケーキはおいしいなあ! うん!」


871 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 00:36:42.87 ID:SC2BKzwa0
〜〜数日後(ア・フュー・デイズ・レイター)〜〜


('A`)「また俺の部屋かよ! 狭いわ!」

( ^Д^)「贅沢漏らしてんじゃねーよ」

('A`)「お前が言うな。俺の部屋だ」

( ^ω^)「さて……」

(´・ω・`)「あの扉の向こうにしぃがいるわけだね」

(-@∀@)「今、女の子総出でセッティング中みたいだけど……」

( ><)「男子一同待機なんです!」

('A`)「にしても長いな。あくびが出そうなんだが」

(´・ω・`)「そんな簡単に人は変身しないよ」

874 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 00:41:19.47 ID:SC2BKzwa0
コンコン

('A`)「ん?」

从 ゚∀从『お待たせしましたー! 稀代のキュートガールがここに誕生!』

( ^ω^)「この声はハインかお」

('A`)「前口上はいいから早くしてくれ」

从 ゚∀从『へいへい。それでは純情少女しぃちゃん登場でーす!』

ガチャン

(*゚ー゚)「ど……どうかな?」キャルンッ

( ^Д^)「ほう……」

(-@∀@)「これは……」

('A`)「なかなか……」

( ^ω^)「……」ピロリン♪

(*゚ー゚)「無言で写メはやめて! 壁紙に設定しないで!」

878 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 00:44:47.93 ID:SC2BKzwa0
(゚、゚トソン「どう見ても」

ミセ*゚ー゚)リ「小学生」

(*゚ー゚)「もう……恥ずかしいんだから」

(´・ω・`)「いやかわいらしいよ。うん。上出来上出来」

从 ゚∀从「良質な素材を活かさせていただきましたー」

('A`)「しかしこれは面白い話の種が出来たな」

( ^ω^)「同窓会まで保存しておくお」

( ^Д^)「十年後もあんまり変わってなかったりして」

(*゚ー゚)「もう! やめてよ、結構気にしてるのに」

('A`)「ちょ……マジでそのアフロうっとうしいから」

( ><)「僕今何もしてなかったんです!」

883 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 00:51:59.15 ID:SC2BKzwa0
(´・ω・`)「だけど、結構髪形は冒険したね」

从 ゚∀从「ああこれ? ウィッグだよウィッグ。お手軽変装」

(´・ω・`)「なるほどね」

川д川「髪が違えば……人は変わる……」

( ^Д^)「サダコも短くしたらどうよ? 意外と似合うんじゃね?」

川д川「うふふ……それはダメ……契約があるの……」

('A`)「呪いかよ」

从 ゚∀从「当日はこの格好で挑むぜ!」

(´・ω・`)「うん、これならいけそうかな。ギコの目を欺けそうだ」

(*゚ー゚)「うん……」

('A`)「よし。決行日は今週の日曜、午後五時だ」

('A`)「その日に全員で集まるぞ!」

892 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 01:02:57.62 ID:SC2BKzwa0
〜〜日曜、シチズンズパーク〜〜


('A`)「ついにこの時が来た」ガサガサ

从 ゚∀从「茂みに隠れるとか不審者全開すぎるぜ」

('A`)「しぃには単独行動をとってもらっているが……」

( ><)「なかなか接触のチャンスがないんです!」

(´・ω・`)「僕が得た情報だと、ギコはこの公園で習慣的にロードワークをしているようだけど」

('A`)「いるか?」

( ^ω^)「わからんお……人が多いお」

(-@∀@)「せっかくカメラを構えてるんだけどなぁ……」


(*゚ー゚)「……」


( ^Д^)「すげー不安そうにしてんな、あいつ」

('A`)「もう少し息をひそめるか……」

896 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 01:06:46.04 ID:SC2BKzwa0
(-@∀@)「……あっ、来た、来た!」

从 ゚∀从「マジか! ちょっ、どけどけ。よく見えん」ガサガサ

( ^Д^)「おわ! 押すな、前に倒れるだろ!」

(゚、゚トソン「うわっとっと!」ガサッ

ミセ*゚ー゚)リ「体重書けないで!」

( ^ω^)「もうちょっと視野を広げるお」ガサガサ

('A`)「草木だと思ってかきわけたらアフロだったわ」

( ><)「いじらないんでほしいんです」

(´・ω・`)「望遠鏡準備、っと……」スチャ


(,,゚Д゚)「……」タッタッタッ


('A`)「おお、獲物が呑気に走っておる」

903 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 01:11:35.10 ID:SC2BKzwa0
(´・ω・`)「しぃ、焦る必要はないからな」

(´・ω・`)「たぶん、ジョギングは何週か行うだろうから……機を伺うんだ」

('A`)「だけど、ただぼーっと突っ立ってるだけじゃ先には進めんぞ」

川д川「何か……アクションが……必要」

(´・ω・`)「それは指示してあるよ」

(´・ω・`)「目が合ったら微笑んでおけってね」

( ^Д^)「そんだけ?」

(´・ω・`)「サイコロジー的見地から考えると、これで十分な効果が得られるよ」

( ^ω^)「あっ、今目が合ったお」

('A`)「うわ、ギコの奴にやついてやがる……きめぇ」

从 ゚∀从「真顔がキモイよりマシだけどな」

('A`)「俺を見るな」

911 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 01:19:04.37 ID:SC2BKzwa0
〜〜一時間経過〜〜


从 ゚∀从「まだ走ってんのかよ、あの猪野郎」

(´・ω・`)「みたいだね。そろそろ暗くなってきた」

( ^ω^)「街灯がつき始めたお」

('A`)「人が減ってきたな」

(´・ω・`)「機は……熟したかな」

('A`)「お、ギコがベンチに座ったぞ」

( ^Д^)「休憩か? 大分息が上がってるな」

(´・ω・`)「よし、今だ。頼んだぞ、しぃ」


(*゚ー゚)「……」テクテク、トスン


(-@∀@)「あっ、隣に座った」

918 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 01:25:51.06 ID:SC2BKzwa0
('A`)「おお、なんか声をかけとる」

(´・ω・`)「『お兄さん、見てたよ』って話しかけるように言っておいたんだ」

(´・ω・`)「謎の少女しぃはスポーツマニアの女の子」

(´・ω・`)「公園で体を動かしている青年が気になった、っていうシチュエーションで」

(´・ω・`)「そしてそういう男性が好きという設定だ」

( ^ω^)「無駄に細かいお」


(*゚ー゚)「……」

(,,゚Д゚)「……」

(*゚ー゚)「……」


('A`)「クソッ、何喋ってんのか全然わかんねぇ……」

(´・ω・`)「会話の内容は重要じゃない。会話という行為自体が意味を持つ」

926 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 01:31:56.07 ID:SC2BKzwa0
( ^Д^)「うへ、ギコの奴だらしねぇ笑顔浮かべやがって」

(-@∀@)「一応この現場もカメラに収めておこう」パシャッパシャッ

('A`)「こうしてしばらくコミュニケーションをとらせるのか」

(´・ω・`)「そう」

('A`)「とか言ってる間に……」

川д川「もう……辺りは闇よ……」

从 ゚∀从「残るはカップルみたいな連中ばかりになってきたな」

(´・ω・`)「そろそろかな」

('A`)「何がだ」

(´・ω・`)「小児性愛者ってのは、理性があるうちは不思議と紳士的に振る舞うんだ」

(´・ω・`)「嫌われたくないからだろうね」

929 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 01:36:12.82 ID:SC2BKzwa0
('A`)「だから、それがどうしたんだ」

(´・ω・`)「そろそろギコは『もう帰らないのか』って尋ねるだろう」

从 ゚∀从「ハァ? なんでまた」

(´・ω・`)「相手のことを気遣ってさ」

(´・ω・`)「あくまで本性は隠して、ジェントルマンを貫くのなら、必ずそう問う」

( ^ω^)「あれかお、そこで家出してきたとでも答えるのかお」

(´・ω・`)「そうさ。憂いを帯びた瞳をしてね」

('A`)「そりゃかなりの威力を発揮しそうだな……」

(゚、゚トソン「あっ、今!」

ミセ*゚ー゚)リ「二人とも立ち上がりました!」

( ><)「ギコくんがしぃちゃんの手を引いてるんです!」

('A`)「なんだと! まずいな。おい、みんな追うぞ!」ガサガサッ

936 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 01:47:51.41 ID:SC2BKzwa0
('A`)「ハァ……ハァ……三分走っただけでバテた……」

川д川「ここ……木々に囲まれてる……深淵の森……」

('A`)「人気のないエリアに移動しただけか……」

( ^ω^)「今はまだ、普通に話してるだけだお」

('A`)「というか……後ろのエリアからアンアン艶めかしい声がするんだが……」

(´・ω・`)「ここはアウトドアセックスの名所だからね」

( ^Д^)「うおおおお! あそこの姉ちゃんケツでけぇな!」

从 ゚∀从「そっちを覗くなバカタレ。ギコとしぃにスポット当てろ!」

( ^Д^)「でもよー、この場所、街灯足りてなくて暗いんだよ」

(´・ω・`)「ギコめ、市民公園の特色を把握してるな」

(´・ω・`)「ただそこまで考えられるなら、まだ理性は保たれている」

('A`)「しぃ、最悪逃げ出すことも頭に入れておけよ」

944 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 01:54:57.51 ID:SC2BKzwa0
(*゚ー゚)「……」

(,,゚Д゚)「……」


('A`)「気になるな……どこまで会話が進んでるのか」

从 ゚∀从「ちょいショボン、双眼鏡貸せ」

(´・ω・`)「はい」

从 ゚∀从「……ダメか。唇の動きでわかるかと思ったんだが……」

(´・ω・`)「僕らにできるのはひたすら待つことだけさ」

( ^Д^)「ギャハ、どっちにしろハイン読唇術なんてできねーじゃんか」

从 ゚∀从「うっせ。悪いかよ、スキルなくて」

从 ゚∀从「やるだけやってみることもだな……おおっ?」

955 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 02:02:17.45 ID:SC2BKzwa0
( ><)「何か動きがあったんですか?」

从 ゚∀从「裸眼じゃわかんねぇだろうけどよ」

从 ゚∀从「今確かに、二人の距離がわずかに詰まったんだ」

('A`)「はぁ? ギコが体を寄せたのか?」


(,,゚Д゚)「……」

(*゚ー゚)「……」


( ^ω^)「あっ、今肩に手を掛けたお!」

('A`)「なんだって!?」

(゚、゚トソン「なんだか危険な」

ミセ*゚ー゚)リ「雰囲気」

( ><)「なんです!」

961 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 02:05:51.56 ID:SC2BKzwa0
( ^Д^)「しぃが身を引いて後ずさりした」

从 ゚∀从「だけどギコがさらに距離を縮めたぜ!」

川д川「情熱と悲壮の饗宴ね……」

(´・ω・`)「まずい。しぃが危ない! ここからは遠すぎる!」

('A`)「アホか! 遠いなら早めに行動するんじゃ!」ガササッ!

( ^ω^)「ドクオ!」

('A`)「未然に防げばいいんだよ!」

('A`)「起きちゃいけない未来がわかってんなら、遮二無二やって、全力出して」

('A`)「起こさなきゃいいだけだ!」

('A`)「アサピー! ばっちり撮影しておけよ!」ダダダッ

(-@∀@)「うっ、うん」

('A`)「クソがあああ! 乳酸溜まってるってのによお!」ダダダッ

968 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 02:17:04.30 ID:SC2BKzwa0
(,,゚Д゚)「なあ、どうせ行く当てもないんだろ? だったら……」

(*゚ー゚)「あの……その……」

ウォォォォォォォォォ!

(,,゚Д゚)「ん? なんだあのノイジーな人影は」

('A`)「うおおおおおおおおおおお!!」

(,,゚Д゚)「……こっちに向かってくる?」

('A`)「ぬおりゃあああああああああ!!」

ボゴンッ!!

(,,゚Д゚)「ワァァッツ!?」

(,,゚Д゚)「……って、全然力がこもってないから痛くねぇ! 助走なんだったんだ!」

('A`)「はあ……はあ……その子から手をはな……せ……」

(,,゚Д゚)「なんで登場と同時に疲労困憊なんだよ」

975 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 02:22:32.95 ID:SC2BKzwa0
(,,゚Д゚)「というかお前に殴られた勢いで手なんて勝手に離れたぜ」

('A`)「ああ……先制攻撃は成功したのか……」

(,,゚Д゚)「その前に……ん? お前、うちの高校のジャパニーズじゃねぇか」

('A`)「そうだ。ジャパニーズサムライだ」

(,,゚Д゚)「ハハハ! こんな貧弱な体で俺に敵うと思ってんのか!」

('A`)「黙れロリコン野郎。子供に手を出す真性ロリコンが人に指図してんじゃねぇ」

(,,゚Д゚)「なっ……チイッ、全部見てやがったか」

(,,゚Д゚)「だったら口封じもしておかないとな!」

('A`)「言っておくが俺の口はヘリウムよりも軽いぜ?」

(,,゚Д゚)「ナイスジョーク。ナイスジョーク」

(,,゚Д゚)「ナードがジョックに喧嘩売るとはいい度胸してるじゃんかよ!」

('A`)「俺は確率がゼロじゃないなら特攻するぞ!」

(,,゚Д゚)「ルナティック! 気が触れてるぜ!」

982 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 02:30:32.65 ID:SC2BKzwa0
(,,゚Д゚)「レディゴー!」ダッ!

('A`)(アメフト仕込みの猪突猛進のダッシュ……)

('A`)(ってか避けるの無理だろこれ! 身を翻すの無理!)

('A`)(だったら……)

('A`)(やるしかねぇ……!)

(,,゚Д゚)「WOOOOOOOOOAH!!」

('A`)(合気道に腕力は要らない……)

('A`)(必要なのは胆力だ)

('A`)(流れるような心で……湧き起こる衝動を鎮めて……)

('A`)(相手の力を利用して……大胆かつ、繊細に)

('A`)「受け流すように……投げるっ!」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 02:40:53.14 ID:SC2BKzwa0
('A`)(……)

('A`)(音はない。何も聴こえない。感覚がない)

('A`)(目は閉じている……)

('A`)(俺の渾身の天地投げは……成功したのか?)

('A`)(俺は……立っているのか?)

('A`)「……ん……」

(*゚ー゚)「……」

('A`)(しぃか……建前上は他人だから、話しかけないようにしてるんだな……)

('A`)(ん? 俺の目線のほうがしぃより高いってことは)チラッ

(,,゚Д゚)「……ファック、ファッキンジャップ……!」

('A`)「倒れてるのは……ギコか!」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 02:47:27.50 ID:SC2BKzwa0
(,,゚Д゚)「おいてめぇ、今どうやった……?」

(,,゚Д゚)「俺は……触れられてないというのに……」

('A`)「ふっ……合気道の神髄とは、無我の境地なり」ドヤッ

('A`)「ってかちょっとは触れたって。もうちょっと俺の握力を信じて」

(,,゚Д゚)「ぐほっ、全身が傷むぜ……」

('A`)「え、天地投げって護身術だからそんな大した技じゃないんだけど」

(,,゚Д゚)「リアリィ!? 今のが大技じゃないというのか!?」

('A`)「えっ、そうだけど」

(,,゚Д゚)「スケアリー……東洋の魔術か……」

(,,゚Д゚)「シット、こんな奴に勝てるかよ! ファック!」タッタッ

('A`)「あっ、逃げてった……ふふふ、臆病風に吹かれたようだな!」

('A`)「俺つえええ!」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 02:53:19.26 ID:SC2BKzwa0
ガサッ...タッタッタッ...

( ^ω^)「ドクオ! 無事かお!」

('A`)「おう、お前らか。見ての通り平穏無事だぜ」

('A`)「それより……おい、アサピー。証拠写真は撮れたか?」

(-@∀@)「バッチリさ! 一部始終がこの中にね」

(-@∀@)「もちろんドクオくんの活躍も」

('A`)「焼き増しよろしく」

(´・ω・`)「これがあれば、ギコの権力を奪うだけでなく」

(´・ω・`)「ナードの代表格であるドクオの株も同時に上がる」

('A`)「だからそれ称賛なのか貶してるのかわかりづれぇよ」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 02:55:23.29 ID:SC2BKzwa0
从 ゚∀从「しぃもよくやってくれたぜ! 今日のMVPだ」

(*゚ー゚)「……ふええん、怖かったよ……」

从 ゚∀从「おお、よしよし。お姉さんの胸で泣きなさい」

(´・ω・`)「だけど凄いね、ドクオ」

('A`)「なにが?」

( ^Д^)「決まってんだろ! お前今どうやって投げたんだよ!」

('A`)「ああそりゃ、合気道は力を込めずに投げるって武道だから……」

('A`)「激流を制するは静水ってやつですか?」

( ^Д^)「いやお前……力どころか……」

( ><)「ギコくんに触れてすらいなかったんですけど……」

('A`)「……へ?」

川д川「比喩とかじゃなくてよ……うふふ……」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 02:58:27.49 ID:SC2BKzwa0
(´・ω・`)「君のところに辿りつく前に、ギコは宙を舞っていたからね」

('A`)「……なーんか、凄く嫌な予感がするんですが……」

( ^Д^)「なあなあ、マジでどうやったんだよ! マジックか?」

('A`)「マジックだったらどれほど平和か……」

(゚、゚トソン「どういう」

ミセ*゚ー゚)リ「こと?」

('A`)「……ちょっと時間くれ。気持ちを落ち着ける」

('A`)「あと一度自分とも向き合ってみる」

( ^ω^)「それには深呼吸が効果的だお」

('A`)「わかってる。すーはー、すーはー、すーはー。よし」

('A`)「あー……ちょっと試したいことがありまして」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 03:03:26.61 ID:SC2BKzwa0
(´・ω・`)「何をだい?」

('A`)「あそこに違法駐車してあるオートバイでいいか……」

从 ゚∀从「なんだなんだ」

('A`)「……ふっ!」

フワッ...!

( ^Д^)「うおおおおお!? 浮いた!? 高度およそ十メートル!?」

(-@∀@)「まさか……ドクオくんが?」

('A`)「はい、えーと、どうやら自分、超能力とかいうのに目覚めちゃったみたいでして」

(´・ω・`)「本気で言ってるの?」

('A`)「嘘だとしたらこの現象は説明できねぇだろ……」

(´・ω・`)「……アメイジング」

('A`)(やはり俺も……父さんの息子だったのか……)

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 03:09:38.56 ID:SC2BKzwa0
〜〜なんか気まずいディナー〜〜


('A`)「……つーわけで、血は争えないみたいです」

(`・ω・´)「ドクオよ、お前のチャンネルは父さんのものとは少し違いそうだ」

(`・ω・´)「父さんの念動力はテレキネシス」

(`・ω・´)「その背景にあるのは共感覚。物体と感覚を共有させているんだ」

(`・ω・´)「最近の父さんは目だけで大抵のことは済ませられるようになってるからな」

('A`)「俺はなんなんだ」

(`・ω・´)「ドクオの場合、幼少から習っていた合気道の経験」

(`・ω・´)「その経験を糧にした物理的な面からのアプローチのほうが大きそうだ」

(`・ω・´)「つまりは、同じ念動力でもサイコキネシスと呼ぶべきだろうな」

('A`)「もうオニオングラタンスープの味もよくわかんないよ」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 03:14:01.62 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「それにしても……ドクオも発現してしまったのか」

(`・ω・´)「シャンパンでも開けようか?」

('A`)「いらない。ダイエットコークだけ飲んでる」

(`・ω・´)「そうか」

(`・ω・´)「ああ思い出した、父さん今日」

(`・ω・´)「NASAの全権のうちの三分の一を譲渡されたよ」

('A`)「ふうん」

(`・ω・´)「代わりに決して反目しないよう誓約させられたよ」

(`・ω・´)「そんな物騒なことを起こす気は微塵もないのにな。くわばらくわばら、だ」

('A`)「なんかもうどうでもいいわ」

177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 15:06:09.91 ID:SC2BKzwa0
〜〜週明けの図書室〜〜


ガラッ

('A`)「よう」

川 ゚ -゚)「……」パタン

川 ゚ -゚)「珍しいな、君一人とは。初じゃないか?」

('A`)「まあな……あー、それより」

川 ゚ -゚)「言わずともわかっている。私もスクールペーパーを読んだクチだ」

川 ゚ -゚)「驚いたよ」

('A`)「それはなにより」

川 ゚ -゚)「詳しく語ってもらおうか。ちょうど他に誰もいないしな」

180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 15:13:52.81 ID:SC2BKzwa0
川 ゚ -゚)「あの写真に映っている人物はギコで間違いないのだな?」

川 ゚ -゚)「女児と絡んでいる写真が数枚あったようだが」

('A`)(絡むとか別の想像をしてしまうだろ……)

('A`)「そうだよ。見ての通りだ。ギコの奴の顔は鮮明に映ってただろ」

川 ゚ -゚)「まあな。女子児童にはプライバシー保護のためか修正が入っていたが」

川 ゚ -゚)「そして救援に入った男のことも写真付きで載っていた」

川 ゚ -゚)「生憎、その男の面は『うまいこと』ぼやけていた」

('A`)「まあ、そんな感じ記事でしたね、ハイ」

川 ゚ -゚)「……あれは何もかも偶然の出来事のように書かれていたが」

川 ゚ -゚)「計算尽く……ということなのだな」

('A`)「そうだ」

186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 15:21:01.48 ID:SC2BKzwa0
川 ゚ -゚)「ギコは欠席しているから事の真相は誰も知らない」

川 ゚ -゚)「わかっているのは、記事を見たままのことのみ」

川 ゚ -゚)「これによりギコに軽蔑の念が集まっている。ただそれだけだ」

('A`)「ジョックから転落しちまうな」

川 ゚ -゚)「他人事みたいに」

川 ゚ -゚)「……それよりだ。女児を助けた男」

('A`)「あーそれね」

川 ゚ -゚)「あの人物が君だという噂も広がっているようだが」

川 ゚ -゚)「顔は明瞭には映っていないが、どことなく面影がある、と」

('A`)「まあな。朝からいろんな奴に詰問されたよ」

('A`)「全部曖昧に答えておいたがな」

188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 15:28:55.75 ID:SC2BKzwa0
川 ゚ -゚)「学校中がナードがジョックをビートダウンしたと盛り上がりを見せている」

('A`)「ほう、そりゃいいことですなー」

川 ゚ -゚)「……君は私に証人になれと言っただろう」

川 ゚ -゚)「ならば顛末のすべてを知る権利が私にはあると思うのだが」

('A`)「へいへい。教えますよ」

('A`)「噂の通り、ギコを投げ飛ばしてる男は俺」

('A`)「でもぶっちゃけるとあれはアクシデントだ。もしもの事態だった」

川 ゚ -゚)「アクシデント?」

('A`)「本当はロリコン魂が我慢できずに爆発しちまった現場を押さえるだけのつもりだったんだよ」

('A`)「あ、もちろんギコに仕向けた女の子はダミーね。うちのクラスのしぃって奴の変装」

川 ゚ -゚)「あの児童がか? 君の同級生なら私ともタメではないか」ハァハァ

('A`)「なんでちょっと興奮してるんだよ」

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 15:34:49.59 ID:SC2BKzwa0
('A`)「ところが爆発したその破片がしぃに振りかかっちまって」

川 ゚ -゚)「ほう」

('A`)「写真にもあったけど、体に触れちゃったわけだな」

('A`)「今にも身をかぶせそうな勢いで」

('A`)「さすがにこりゃまずいと思って飛び出したんだが……」

川 ゚ -゚)「そして君が撃退したのか」

('A`)「まあそういうこと」

川 ゚ -゚)「よくやるよ。そんなブロッコリー・スプラウトみたいな体で」

('A`)(俺だってまさか親父の力を遺伝しているとは思わなかった)

('A`)「でまあ、その様子も俺の仲間が撮影しててさ」

('A`)「これらの資料をどう活用するか話し合った結果」

('A`)「ショボンが案を出した」

195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 15:43:12.59 ID:SC2BKzwa0
川 ゚ -゚)「ショボン? 君と共に時折図書室に現れる男子か」

('A`)「そう。豚みたいなほうじゃなくてノートパソコン抱えてるほうな」

('A`)「ギコの写真をただバラ撒くだけよりも、もっと利用価値のある方法を考えついた」

('A`)「どのみち俺の顔はギコには割れてたしな」

('A`)「あいつがどう行動してもこちらに都合よく運ぶようなルートを選択しなくちゃならない」

川 ゚ -゚)「それが学生紙への掲載か」

('A`)「アサピーの奴が学生新聞の発行に携わっていたのは都合がよかった」

('A`)「偶然記者がギコが不義を犯す現場に居合わせたということにして」

('A`)「その上で、助けに入った俺を英雄に仕立て上げるようにもした」

川 ゚ -゚)「ほう」

('A`)「ただ、はっきり俺だとわかったのではあまり効果がない」

川 ゚ -゚)「どういうことだ?」

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 15:50:25.58 ID:SC2BKzwa0
('A`)「こっちから主張するより、見る側が己の意志で寄ってくる」

('A`)「そんな文章と写真を載せた」

('A`)「誰だか推測できる余地を残したんだ」

川 ゚ -゚)「遠回りなことをするんだな。なんの意味があるというんだ」

('A`)「こうしたほうが潜在意識に訴えかけられるんだよ」

('A`)「強制的に教えられる情報より、自発的に調べた情報のほうが頭に残る」

('A`)「勉強だって無理やりにやらされるより」

('A`)「自らやろうとした時のほうが集中できるだろ?」

('A`)「それと同じだ」

川 ゚ -゚)「ほう」

('A`)「……全部ショボンの受け売りなわけですけども」

川 ゚ -゚)「だと思ったよ」

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 16:00:44.68 ID:SC2BKzwa0
川 ゚ -゚)「しかし……偶然か。君の説明を聞いた後だと白々しい話だな」

川 ゚ -゚)「この分ならモララーの痴態画像流出も君たちの仕業らしいし」

('A`)「まあそうですね」

川 ゚ -゚)「あれはコラの類じゃないんだろう?」

('A`)「ええもう産地直送です」

川 ゚ -゚)「ひくわー」

('A`)「とはいえジョックの主要メンバーはズタボロになったぜ」

('A`)「おかげでナードの間でジョックを特別視する風潮も薄らいできている」

('A`)「なにせジョックが変な目で見られ出してるし」

川 ゚ -゚)「まあ、変態集団という悪口まで囁かれているようだからな」

('A`)「ヒエラルキー崩壊は目前だ」

207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 16:05:29.55 ID:SC2BKzwa0
川 ゚ -゚)「そういった予兆はひしひしと感じている」

('A`)「な? 俺がこの前宣言した通りだろ?」

川 ゚ -゚)「今のところはな」

('A`)「……なんだよ、つれねぇな」

('A`)「あとは親玉のジョルジュだけってところまできてるんだぞ?」

川 ゚ -゚)「おい」

('A`)「なんだよ」

川 ゚ -゚)「君はジョックさえどうにかすればスクールカーストは終わると思っているようだが」

('A`)「そうだ」

川 ゚ -゚)「なるほど確かに、ジョックが消えればクイーンの存在意義も失せる」

川 ゚ -゚)「最上位層は崩れ去るだろう」

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 16:12:18.01 ID:SC2BKzwa0
川 ゚ -゚)「しかしその場合、その下の階層」

川 ゚ -゚)「ワナビーとプリーザーが一番上になるだけではないか」

('A`)「は?」

('A`)「確か……ジョックやクイーンの取り巻きたちの総称だったか」

川 ゚ -゚)「連中は地位の上昇を夢見る層だ」

川 ゚ -゚)「ジョックどものおこぼれにあずかりながらな」

('A`)「つくづく情けない奴らだな」

川 ゚ -゚)「私もそう思う。上昇志向はあるが、起こす行動といえば太鼓を叩くだけだ」

川 ゚ -゚)「ところがジョックが消えた場合はどうなる?」

川 ゚ -゚)「自動的に、ジョックが吸っていた甘い汁が中間搾取なく彼らに回るだけだ」

川 ゚ -゚)「つまり彼らが新しいジョックとなる」

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 16:23:28.39 ID:SC2BKzwa0
('A`)「だったら、そいつらも……」

川 ゚ -゚)「ぶっ飛ばす、と言うのか?」

川 ゚ -゚)「ならば今度は、その下に属するプレップスやセクレタリーが最上位になるな」

('A`)「なんだそりゃ」

川 ゚ -゚)「プレップスは家柄のいい優等生集団」

川 ゚ -゚)「セクレタリーはいわゆるブロンド、馬鹿だが容姿の優れた女子集団だ」

川 ゚ -゚)「これを排除すれば、次はメッセンジャー」

川 ゚ -゚)「上に媚びへつらい下をいびっていた奴らがでかい顔をしだすだけだ」

川 ゚ -゚)「この派閥までいなくなれば、もうその次は君たちナードだ」

川 ゚ -゚)「ナードが学園の頂点にくるんだ」

('A`)「……」

川 ゚ -゚)「君はトップになりたいのか? リベラルじゃなかったのか?」

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 16:31:04.90 ID:SC2BKzwa0
('A`)「俺が……」

('A`)「俺が主張しているのは、そんなことじゃない!」

('A`)「スクールカースト自体をなくすんだ! 最初に言っただろ!」

川 ゚ -゚)「ああ。言ったな。なんとも矮小な夢……夢物語だ」

('A`)「バカヤロー! 理想論だなんて知ってるよ」

('A`)「でもやるんだよ、俺は! こんなふざけたもんいらねぇんだ!」

川 ゚ -゚)「なら引き続き期待しておくよ」

川 ゚ -゚)「私は観測者であり歴史を見守る者だからな」

('A`)「そうかい」

('A`)「……じゃあな」

バタン

226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 16:37:04.43 ID:SC2BKzwa0
〜〜廊下(パッセージ)〜〜


ハハ ロ -ロ)ハ「ああ、ドクオさん。図書室で大声は控えてくださいね」(美しいイングリッシュ)

('A`)「スワセン、スワセン……」

ハハ ロ -ロ)ハ「廊下まで聞こえてきましたから……」(小気味よい子音)

ハハ ロ -ロ)ハ「何を叫んでいるのかまでは判りませんでしたが……」(伸びやかな母音)

('A`)「ハイ、スワセン……」

ハハ ロ -ロ)ハ「以後気をつけてくださいね」(完璧なブレスのタイミング)

('A`)「スワセン……」

229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 16:43:43.87 ID:SC2BKzwa0
〜〜教室(クラスルーム)〜〜


('A`)「……」ガララッ

( ^ω^)「ドクオ、遅かったじゃないかお」

( ^Д^)「トイレなげーよ。どんだけ出してたんだよ」

('A`)「いや、ちょっと他に用事もあって」

(*゚ー゚)「それより、今みんなでスクールペーパーを見返してたんだけど……」

(-@∀@)「いやあ、さすが僕の記事だ! よくできてるね!」

( ^Д^)「この明らかにドクオなんだろうけど他の誰かっぽくも見える角度が絶妙だよな」

(´・ω・`)「この手の偏向報道は得意そうだもんね」

(-@∀@)「な、なんだよ、その目は」

233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 16:52:41.46 ID:SC2BKzwa0
( ^ω^)「それよりドクオ、どうするつもりだお」

('A`)「なにが?」

( ><)「ジョルジュくんのことです」

('A`)「ああ、最終関門か……」

( ^ω^)「あいつ、相次いで周りの人間がジョックから脱落していってるから」

( ^ω^)「さすがに疑念を抱いてるみたいだお」

从 ゚∀从「誰かの意思を感じてるみたいだな、どーにも」

(´・ω・`)「で、君にその疑いの目が向いているみたいだ」

('A`)「ハァ? 俺かい」

(´・ω・`)「だって君が来てから急に起き出した事件だからね」

川д川「それに……写真でギコと対峙していた人物はドクオくんとの噂……」

(´・ω・`)「それはこちらの思惑があってのことだから仕方ないけども」

235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 16:58:24.99 ID:SC2BKzwa0
(´・ω・`)「彼、相当トサカにきてるっぽいよ」

('A`)「マジかよ……」

(゚、゚トソン「ただでさえナードが」

ミセ*゚ー゚)リ「ジョックを倒したって巷説が流れてるからね」

( ^ω^)「そのナードはドクオということになってるお」

('A`)「まあ実際俺なわけだけど……」

从 ゚∀从「ってか、全部の発端だからな」

(´・ω・`)「ジョルジュにとっては未だ予測の段階とはいえね」

(´・ω・`)「とはいえ真実に辿り着きつつある。さて……どうする?」

('A`)「どうするって、なにがだ」

(´・ω・`)「全面抗争を起こすなら、このタイミングだと思うけど」

('A`)「……ガチのラフファイトか……」

236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 17:03:40.57 ID:SC2BKzwa0
( ^Д^)「ついにこの瞬間が訪れたか……燃えてきたああ!!」

('A`)「いやー、あの、ちょっといいですか」

( ^ω^)「なんだお」

('A`)「ぶっちゃけ拳と拳で殴り合いとか全然オッケーなんですけど、はい」

('A`)「というか……負ける気がしないんですが……」

(*゚ー゚)「あの念動力があるもんね……」

(´・ω・`)「負ける要素はないよね」

( ^Д^)「ギャハ、だったらもうジョックとナードの逆転なんか余裕じゃん」

('A`)「逆転……」

('A`)(そういえば……ナードの下にジョックを叩き落としてるんだったな……)

('A`)(ジョルジュの座を失墜させれば、完全に終わりか……)

239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 17:13:19.39 ID:SC2BKzwa0
('A`)「……あー、ちょっといいか」

(-@∀@)「なに? 僕はもう整理券の作成に着手してるんだけど」

('A`)「小銭稼ぎに利用すんな。それよりだ」

('A`)「ショボン、ジョルジュの奴は俺にキレてるんだろ?」

(´・ω・`)「そうみたいだ」

('A`)「だったらいつか喧嘩をふっかけてくるよな?」

(´・ω・`)「まあ、このままならいずれそうなるだろうね」

('A`)「そうか……だったら」

('A`)「みんな聞いてくれ、俺は、その喧嘩ノータイムで買う」

( ^Д^)「おお! それでこそナードの代表者だぜ!」

('A`)「だから代表って呼び名のはやめろ。希望とかにしろ」

240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 17:15:52.51 ID:SC2BKzwa0
川д川「だけど……あなたの背中には必勝の剣……」

( ^ω^)「どう考えてもドクオが負けることはありえんお。見えてる勝負だお」

从 ゚∀从「成立しない賭けだな」

('A`)「確かに俺は勝つよ、間違いなく」

('A`)「で、勝った後」

('A`)「ジョルジュに一発殴ってもらう」

从 ゚∀从「ハァ? なんのためにだよ。その歳で白痴か?」

('A`)「俺と奴は対等だからな……観客にもそれを占めさねぇと」

(´・ω・`)「妙なところにこだわるね」

('A`)「ああもう、いいだろ! もう! この件についての話は終わり!」

('A`)「ショボン、今後について考えておいてくれ。それでもう今日は解散! お疲れ!」

(´・ω・`)「はいはい」

244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 17:28:29.60 ID:SC2BKzwa0
〜〜デリバリーのピザを囲む席〜〜


(`・ω・´)「父さん、ついに未来視に目覚めてしまったんだ」

(`・ω・´)「どうやら究極の能力らしいよ」

(`・ω・´)「先に起こる光景が見えてしまうだなんて父さんも驚いてる」

('A`)「そうなんだ。チーズが山盛りでうまいね」

(`・ω・´)「だけど父さん、さすがにビジョンスキルはなるべく使わないようにしたんだ」

(`・ω・´)「未来のことが全部わかってしまったらつまらないからね」

(`・ω・´)「本音を言ってしまうと、ドクオの将来のことを知りたい欲望はあるんだが……」

('A`)「はあ。アチッ、まだちょっと熱いな」

(`・ω・´)「父さんにも一枚くれないか。タバスコをかけてくれたら嬉しいな」

251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 17:37:29.05 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「そうそう、父さん、研究所での能力開発の功績が認められて」

('A`)「ピザにハラペーニョソースをつけるとまた違う味わいが……」

(`・ω・´)「報奨として臨時ボーナスをもらったんだ」

('A`)「ちゃんと円でもらった? ドルはもう信用できないぞ」

(`・ω・´)「いや、ドルだよ。六十万ドルだったかな」

(`・ω・´)「どうも父さん、経済とかにはてんで疎くて」

(`・ω・´)「未だにドルの金銭価値がどうなってるのかわからなくてなあ」

(`・ω・´)「六十万と言われても、なんだかサラリーマン時代と変わらない気がするよ」

(`・ω・´)「あの頃の賞与は大体五、六十万円だったからね」

('A`)「外資とか今更いらないのに……」

255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 17:41:29.66 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「はは、まだまだアメリカでの暮らしは続くんだから、いいじゃないか」

(`・ω・´)「父さん永住も考えてるくらいだよ」

('A`)「俺は日本のほうが気楽だよ」

(`・ω・´)「そうか? 米国式の生活も悪くないと父さん思うんだけどな」

('A`)「アメリカの風習ってやつがうっとうしいんだよ、俺」

(`・ω・´)「次第に馴れるさ」

('A`)「そうかねぇ」

(`・ω・´)「うむ。父さんが保証する」

('A`)「あんまり安心感がないな……」

(`・ω・´)「ははは。やっぱり父さんじゃ頼りないかな?」

('A`)「そんなことないよ。このピザうまいね。出前注文してよかった」

(`・ω・´)「ああ。うまいな」

260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 17:49:44.41 ID:SC2BKzwa0
〜〜三日後、食堂〜〜


ガヤガヤ

('A`)「うっひょう! 今日は久々に野菜にありつけたぜ!」

('A`)「器一杯のコールスロー……はああ……幸せ」

( ^ω^)「なんでおまけに感動してるんだお」

(´・ω・`)「普通はこっちだよね。チキンを選択できたこと」

( ^ω^)「ジョックが珍しく真面目に列に並んでてくれたおかげだお」

(´・ω・`)「彼らはいつ、自分のネタが暴かれるかを恐れているみたいだ」

(´・ω・`)「だから日頃の行いを正しているんだろうね」

( ^ω^)「モララーやギコみたいになりたくないってことかお」

('A`)「そんなやましいことばっか抱えてるのかよあいつら」

(´・ω・`)「誰にだって秘密はあるものさ」

261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 17:52:37.11 ID:SC2BKzwa0
ザワ...

('A`)「ん?」


( ゚∀゚)「……」テクテク

ξ゚听)ξ「でねーそれでねー」

( ゚∀゚)「ああ、うん……」

ζ(゚ー゚*ζ「ねー聞いてる?」

( ゚∀゚)「聞いてるっての。余計な心配はすんじゃねぇ」

ζ(゚ー゚*ζ「やーん」


(´・ω・`)「ジョルジュだ」

('A`)「まだ両サイドにクイーン二人を侍らせてるみたいだな」

( ^ω^)「……」

265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 18:02:24.37 ID:SC2BKzwa0
('A`)「ってか、見るからにイライラしてんな、あいつ」

('A`)「うわ、もう水がねぇ。注いでくるか……」ガタン

(´・ω・`)「君を探しているのかもしれない」

('A`)「へっ?」トコトコ

(´・ω・`)「いよいよなのかもね」

('A`)「突拍子もないことを……んっ?」

( ゚∀゚)「……」

('A`)(うげ、ジョルジュか)

('A`)(こいつとすれ違うルートを辿っていたのかよ)

('A`)(良い子は前を見て歩こうな……)

('A`)(目が前についているのはきっとまっすぐ歩くためだから……)

269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 18:11:09.52 ID:SC2BKzwa0
('A`)(てか目合わせたままだな……)

('A`)(お互いなんとなく足止めちゃったし)

ザワ...ザワ...

('A`)「なんかもう……空気がそうなっちゃってるというか……」

( ゚∀゚)「……おい」

('A`)(……きたか……)

('A`)「なんだよ」

( ゚∀゚)「あの写真に映ってた奴、あれお前だろ、ジャパニーズ」

('A`)「知らん。仮にそうだとしてもなんだってんだよ。お前関係ねーじゃん」

( ゚∀゚)「ハッ! ナードの分際で英雄気取りか! ハハハ!」

( ゚∀゚)「気にくわねぇ。ずっとだ。てめぇが転校してきた初日からそうだった」

271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 18:19:40.09 ID:SC2BKzwa0
( ゚∀゚)「偶然だぁ? ハハ! インポッシブル!」

( ゚∀゚)「ナードがそんな都合よくヒーローになれるかよ」

( ゚∀゚)「てめぇが仕向けたことなんだろ? ンン?」

( ゚∀゚)「モララーがあんなことになっちまったのも、何者かの作為を感じるぜ」

( ゚∀゚)「まあ俺も正直言うとあれにはちょっと引いたが」

('A`)(やっぱり引いたんだ……)

( ゚∀゚)「とにかくだ、ドクオさんよ。何か隠してやがるな?」

('A`)「イミフ」

( ゚∀゚)「思えば、放課後教室でナードどもが固まってたのも怪しかった」

( ゚∀゚)「噛んでるのはジャパニーズだけじゃねぇな?」

('A`)「何を言ってるのかさっぱり。妄言蜚語はやめてください」

273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 18:26:53.82 ID:SC2BKzwa0
( ゚∀゚)「しらばっくれんな!」

('A`)「仮にそうだとしても、モララーとギコの性癖は真実じゃねぇかよ」

('A`)「自画撮り漁られたモララーは言い訳の余地なんてねーし」

('A`)「ギコだって実際に手出してんじゃねーか。あいつはロリコンだろ」

('A`)「ずっと学校を休んでるのが何よりの証拠だ」

('A`)「中傷されるのが怖いんだろうな。マジでチキンだぜ。今日の飯みたいにな」

('A`)「おっと、お前は争奪戦に出遅れて、サーディンのフライなんだっけか」

クス...

( ゚∀゚)「おいそこの奴、何笑ってんだよ、ああ!?」

シィン...

('A`)「余裕ねぇな。この高校のトップを自負してるってのに」

( ゚∀゚)「そのアスホールと変わらねぇ汚い口を閉じな、ジャパニーズ」

278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 18:34:15.74 ID:SC2BKzwa0
( ゚∀゚)「ヘイ、ジャパニーズ。あんまり舐めた真似してんじゃねぇぞ」

('A`)「お前から絡んできたんじゃんかよ」

( ゚∀゚)「俺は今かなり頭にキてる。手を出しかねない」

( ゚∀゚)「殴られたくなかったらそこをどきな」

('A`)「上等」

( ゚∀゚)「あ?」

('A`)「殴りたかったら殴れよ。その代わり俺もお前をぶん殴る」

( ゚∀゚)「ハハ! 正気じゃねぇな、ハハハ!」

('A`)「なに馬鹿みたいに笑ってんだよ」

( ゚∀゚)「俺を殴るって言ってくる奴なんて、シッシー野郎のフサ以来だぜ!」

('A`)「……なに?」

282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 18:44:05.02 ID:SC2BKzwa0
( ゚∀゚)「あいつ、ちょっとからかっただけなのに」

( ゚∀゚)「囃し立ててたチームメイトの一人を思いっきり殴りつけてね」

( ゚∀゚)「その後、俺も殴ろうとしてきたんだよ。今でも笑えるぜ!」

('A`)「……で、どうなった」

( ゚∀゚)「あん? もちろん返り討ちよ」

( ゚∀゚)「奴のトロくさいストレートをかわして、一発腹に拳入れてノックアウトダウン」

('A`)「……」

( ゚∀゚)「俺さ、ガキの頃から英国式ボクシング習ってるわけ」

( ゚∀゚)「こっちじゃ成り上がりの象徴だが」

( ゚∀゚)「あっちじゃ紳士のスポーツだからな、ボクシングは」

( ゚∀゚)「ジェントルマンでありつつ、スターダムにものし上がりたい俺にうってつけだ」

290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 18:50:15.97 ID:SC2BKzwa0
( ゚∀゚)「あれだけ図体のでかいフサでも勝てない」

( ゚∀゚)「俺に挑もうってか? ハハ!」

('A`)「イエス、アイ、ドゥー」

( ゚∀゚)「いきなり下手くそな発音になりやがって……馬鹿にしてんのか」

('A`)「おい、喧嘩買ってやるって言ってんだろ。感謝しろよ」

( ゚∀゚)「面白ぇ……」

('A`)「ただここで戦いを繰り広げるのはさすがに脳なしのやることだ」

('A`)「今週土曜日の正午、誰にも迷惑がかからないグラウンドで思いっきりやりたい」

( ゚∀゚)「いいぜ。タイマンだ。ギッタギタにしてやるよ」

( ゚∀゚)「そうだな、それも観衆の面前でだ! おい、周りで聴いてる奴!」

ザワ...ザワ...

( ゚∀゚)「お前らも全員見届けに来な! いいショーが見られるぜ!」

297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 18:55:28.62 ID:SC2BKzwa0
('A`)「二言はないな。男の約束だぞ」

( ゚∀゚)「てめぇはてめぇの心配だけしときな」

('A`)「そうかい。じゃあな。ひとまずの戦略的撤退だ」

( ゚∀゚)「オーケイ」

('A`)「……」テクテク、トスン

(´・ω・`)「おかえり」

('A`)「ただいま。半端なく疲れた」

(´・ω・`)「でもよくやってくれたよ。これですべての準備は整った」

( ^ω^)「つーかお前、よくあんな啖呵をジョルジュに切れるお……」

('A`)「いやーなんか、母国語じゃないからな」

('A`)「台本読んでたような気分だ」

303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 19:00:30.38 ID:SC2BKzwa0
('A`)「というか、ブーン、お前もなんとかしろ」

( ^ω^)「え?」

('A`)「こんな状況になってもまだツンはジョルジュの元にいるんだぜ?」

('A`)「俺の力だけじゃ目を醒まさせられねぇ」

('A`)「幼馴染のお前の助力が必要だ。いや補助じゃない。メインはそっちだ」

( ^ω^)「僕が……だけど僕は無力だお」

(´・ω・`)「偶像信仰に近い状態だ。なかなか仮想洗脳は解けないだろうな」

('A`)「とりあえず俺はジョルジュに勝利する」

('A`)「で、ツンの奴が呆然としてるところに、なんかかっこいい決め台詞でも吐け!」

('A`)「それで現実に引き戻せ! 台詞考えとけよ!」

( ^ω^)「……やってみるお。出来る限りのことは……僕も」

('A`)「よっしゃ」

312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 19:07:49.00 ID:SC2BKzwa0
ザワ.......!

('A`)「んっ、どうした? なんかざわついてるけど」

( ^ω^)「あれ……」


(-_-)「あ……」

( ゚∀゚)「おい、てめぇ……どこをどう見て歩いたらそうなるんだよ!」


('A`)「なんだ……またジョルジュの奴が脅しつけてんのか」

( ^ω^)「そうじゃないお。今回はヒッキーからぶつかっていったんだお」

('A`)「なに?」

( ^ω^)「サルサソースが跳ねてジョルジュのシャツに付着しちゃったお」

(´・ω・`)「ただでさえジョルジュは苛立っているのに……まずいな」

314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 19:15:02.38 ID:SC2BKzwa0
( ゚∀゚)「……おい、どうすんだよ。どう落とし前つけんだ」

(-_-)「あ、あの……えと……」

( ゚∀゚)「はっきり喋れよ! ファッキンクリープ!」

( ゚∀゚)「ムカつくんだよ! 何から何まで……」

( ゚∀゚)「この……クソガキ!」

ガンッ

( ^ω^)「あっ、ジョルジュがヒッキーのトレイを蹴り上げたお!」

('A`)「宙に浮いた!」

(´・ω・`)「このまま垂直落下すれば辺りがぐっちゃぐっちゃなことになるね」

('A`)「……やるしかないの?」

(´・ω・`)「よろしくお願い」

('A`)「ですよねー」

317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 19:18:54.69 ID:SC2BKzwa0
('A`)「それでは……」

('A`)「うおおおっ!!」

('A`)「……とか特別気合入れなくても指先だけで出来るんですけどね」クイッ

トン、トン、ストン...

( ^ω^)「食器が全部……テーブルに見事着地……」

(´・ω・`)「したねぇ。軟着陸」

ザワッ.........!!

( ゚∀゚)「おい、てめぇ、今の……!?」

('A`)「ええと、はい、まあ、そういうことでして」

( ゚∀゚)「サイコキネシス……じゃねぇか、おい!」

('A`)「いやもう、こんな時僕はどういう対処をすべきなのわからないので……」

('A`)「……当日が楽しみということで」

350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 20:33:19.88 ID:SC2BKzwa0
〜〜運命の日(ドゥームズ・デイ)〜〜


('A`)「やってまいりました」

('A`)「我が校のグラウンド」

('A`)「今日のためにクラブは皆して練習を止め、全面開放された」

('A`)「ギャラリー多数」

('A`)「天候良好、体調万全」

('A`)「さて……チェックメイトをかけるか」

从 ゚∀从「もうかかってるようなもんだけどな」

( ^Д^)「もうあとは作業みたいなもんだぜ。駒を前に出すだけだもんな」

('A`)「まあな。さすがに持っている武器が違う」

('A`)「触りさえすればあいつの勝ちだろうが、そもそも触れずに終わる」

358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 20:41:10.47 ID:SC2BKzwa0
('A`)「しかし遅いな、ジョルジュの奴」

(´・ω・`)「もうとっくに十二時を過ぎてるんだけどね」

('A`)「逃げたか? まあ、それはそれで……」

バラバラバラバラバラバラ.......

('A`)「なっ、なんだこのうっせー音は?」

( ><)「う、う、う、上を見るんです!」

川д川「……あれは……」

(*゚ー゚)「ヘリ!?」

バラバラバラバラバラバラ......プシュー

('A`)「ちゃ、着陸した……グラウンドの中央に……」

( ^ω^)「側面の昇降口のドアが開いた……中から降りてくるお!」

ガタン、トサッ

( ゚∀゚)「ハハハ! 待たせたな、ジャパニーズ!」

362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 20:47:24.44 ID:SC2BKzwa0
('A`)「おい、なんだよこの無駄に派手な登場は」

( ゚∀゚)「いやヘリじゃないと輸送できなくて……それよりだ!」

( ゚∀゚)「ヘイ、ドクオ。先日はてめぇの超能力を見させてもらったな」

('A`)「そうだ。これがある限り俺は必勝。そしてお前は必敗だ」

( ゚∀゚)「それがお前の隠し玉の力なわけだ」

( ゚∀゚)「ならば今度は、俺が秘めていた力を見せてやる……それは」

( ゚∀゚)「ファイナンス・アンド・コネクション! カネとコネだ」

('A`)「はあ?」

( ゚∀゚)「経済力と権力こそ最強の力だ! 今それを証明してやる!」

ギギギギ...バンッ!

(´・ω・`)「後部ハッチが開いた……」

トサッ

(`・ω・´)「あっ、どうも皆さん。本日はよろしくお願いします」

371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 20:51:08.91 ID:SC2BKzwa0
('A`)「とっ、父さん!?」

(`・ω・´)「なんだ、ドクオじゃないか」

(`・ω・´)「となると……例の相手とはドクオなのか?」

( ゚∀゚)「そういうことだ」

('A`)「おい待て。俺にもわかりやすく説明しろ。パニック一歩手前なんだが」

( ゚∀゚)「ハハ! まあせいぜい拝聴しな」

( ゚∀゚)「俺のダディはNASAの所長なんだよ」

( ゚∀゚)「そしてこのミスター・シャキンは、NASAで調査対象として雇われているエスパーだ」

( ゚∀゚)「……てめぇらが親子だとは俺も知らなかったが」

('A`)「じゃあ……父さんがサービスさせられてた『所長の息子』って……」

('A`)「こいつのことかよ……」

375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 20:54:50.86 ID:SC2BKzwa0
( ゚∀゚)「ダディに頼んで能力者を派遣してもらった」

( ゚∀゚)「さすがに能力者の相手は能力者にやってもらわんと身が持たない」

('A`)「卑怯だぞ! 正面からぶつかってこいよ!」

( ゚∀゚)「卑怯? ハハハ! 何が卑怯なものか!」

( ゚∀゚)「これも立派な『フォース』だよ!」

川д川「現代の召喚術……」

('A`)「それっぽいことを呟くな! 納得しそうになるだろ!」

('A`)「ってか、なんで父さんも引き受けたんだよ」

('A`)「NASAの三分の一は父さんのものなんじゃなかったのかよ」

(`・ω・´)「研究所長は父さんにとっては直属の上司に当たるからな」

(`・ω・´)「せっかくの依頼を断るのは無礼にあたる。サラリーマン時代から続く鉄則だ」

('A`)「最悪だ……」

384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 20:59:54.49 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「ああでも、ちゃんと休日出勤手当は出るぞ」

('A`)「いくらだ。ドルか」

(`・ω・´)「もちろんドルだよ。七百万ドルだったかな」

('A`)「ぶはっ」

(`・ω・´)「父さん、通貨単位だとかレートだとかよく知らないけど」

(`・ω・´)「さすがにこれは結構な額だってことくらいはわかるぞ?」

(`・ω・´)「七百万というと、単位が円なら日本時代の年収とほぼ同じだからな」

(`・ω・´)「確か、一ドルは一円より大きいのだろう?」

(`・ω・´)「その時点でかなりの大金だということは父さんにも理解できたよ」

( ^ω^)「……ドクオ、お前の父ちゃんって何者なんだお……」

('A`)「いわく……地上最高位に属する生命体です……」

(´・ω・`)「つまり生物界におけるジョックなわけだね。そりゃ恐ろしい」

393 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 21:05:23.04 ID:SC2BKzwa0
( ゚∀゚)「それじゃあミスター・シャキン、後のことは任せたぜ」

( ゚∀゚)「俺は観覧させてもらうんで」ツカツカ

(゚、゚トソン「よくよく見ると」

ミセ*゚ー゚)リ「ヘリからツンとデレも降りてきてたのね」

从 ゚∀从「相変わらずの両手に花かよ」

( ^ω^)「それじゃあ、ドクオ……」

(´・ω・`)「がんばってね。僕らは見守っているよ」

('A`)「ちょっ、お前ら、観客の中に混じるな! 俺を孤立させないで!」

(`・ω・´)「息子よ」

('A`)「なんだい父さん」

(`・ω・´)「まさか、こんなところで子が父を超える場が設けられるとはな」

('A`)「百パー超えられないけどな」

403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 21:10:29.67 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「しかし父さん、所長の息子さんから概要は聞いたぞ」

(`・ω・´)「なんでもお前、スクールカーストとかいう慣習をなくすために」

(`・ω・´)「戦うそうじゃないか」

('A`)「やっぱりジョルジュの奴、俺の目的察してやがったか」

('A`)「そういうところだけ妙に目ざといな……」

(`・ω・´)「スクールカーストなるものが一体なんのことだか知らなかったから」

(`・ω・´)「父さん柄にもなくパソコンつけてグーグル使ってみたぞ」

('A`)「よく出来たね。検索なんて」

('A`)「いつもはソリティアしかしないのに」

(`・ω・´)「時間はかかったがな」

(`・ω・´)「それにしてもグーグルアースという機能は面白いな」

(`・ω・´)「父さん二時間くらい遊んじゃったよ」

410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 21:17:03.18 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「調べてみたらば、アメリカの学校独特の風習のようだな」

('A`)「そうだね」

(`・ω・´)「ドクオ、お前はこの高校の階層社会を破壊しようというんだな?」

('A`)「ああ、そういう腹積もりだよ」

(`・ω・´)「つまりアメリカ自体に唾を吐きかけるようなものだ」

(`・ω・´)「……ドクオ、よく聞きなさい」

('A`)「どうしたんだい、父さん。急に改まって」

(`・ω・´)「ドクオよ、父さんはただの人間だ」

('A`)「違うけどな」

(`・ω・´)「ただの人間一人乗り越えられないで」

(`・ω・´)「国に刃を突きつけることは、絶対に出来んぞ!」

('A`)「その国に警戒されてるあんたを倒せたらアメリカとか余裕だわ」

418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 21:23:57.90 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「いくぞ、ドクオ!」

('A`)「ちょい待て、待って! 勝手に話進めんな!」

('A`)「なんなのこのイベント。ボタン押さないでもオートで進行するのか」

('A`)「まさか……強制敗戦バトル……」

(`・ω・´)「お前も能力に目覚めたのであれば遠慮はいらないな!」

('A`)「父さんは何個俺の上位互換の能力を持ってるんだよ!」

(`・ω・´)「はあっ!」

......シュガンッ!!!

('A`)「うおおおっ、右手の指全部から放電!?」ザサッ!

(`・ω・´)「よくぞ回避した、ドクオ。だがまだまだ序の口だぞ!」

('A`)「死ぬ!? 殺される!?」

424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 21:29:39.23 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「最初から全開でいかせてもらう!」

シュガンッ!! バファッ!! ズバィン!!

('A`)「うごごご! 逃げることしかできねええええ!」

('A`)「ってか火と雷を当たり前のように扱うな!」

ピロリロリン♪

('A`)「ギャラリーも写メ撮ってる場合か!」

ドックン ピースピース

('A`)「するか!」

(`・ω・´)「ああ、すみません。撮影等は控えてください……機密事項ですので」

('A`)「目撃されちゃった時点でもうダメだろ」

(`・ω・´)「障りないぞ。戦闘終了後に全員の記憶を消させてもらうから大丈夫だ」

('A`)「まさかNASAの技術でか……」

(`・ω・´)「いや、マインドクライムの能力を持つ人物がヘリにまだ控えている」

('A`)「NASAは何と戦うつもりなんだよ」

431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 21:35:14.53 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「一時的な休戦は終わった。再開!」

ドッ......グォォォォォン!!!!

('A`)「不意打ちの一撃が威力でかすぎるだろ!」

('A`)「まだグラウンドに火柱立ってるぞ!」

('A`)(落ち着け……俺の能力は念動力……)

ガゴンッ!! ザッサ

('A`)(父さんの身体を浮かせて地面に叩きつけることができれば……)

('A`)(……まあ気絶くらいはするかな……)

ヌッゾオン!! サッ

('A`)(父さんの防御面がどの程度のものかは知らないが……)

シュババンッ!! ササッ

( ^Д^)「あいつ結構避けてね?」

(´・ω・`)「子は親に似るからね」

436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 21:39:21.86 ID:SC2BKzwa0
('A`)(とにかく目は見ちゃダメだ!)

('A`)(父さんの目はこちらの感覚を支配できる……)

(`・ω・´)「動きが遅い!」

シュビュゥゥゥン!!

('A`)「ぶおおおっ!? 直線状の電光!?」バタッ!

('A`)「あ、あぶねえ……とっさの判断で倒れこまなければ頭が吹っ飛んでた……」

('A`)「父さん、俺、死んじゃうぞ?」

(`・ω・´)「お前は死なない。父さん信じてるぞ」

('A`)「根拠は!?」

(`・ω・´)「親子の……絆だ!」

('A`)「非科学的!」

442 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 21:44:25.77 ID:SC2BKzwa0
('A`)「というか、俺身体能力とかまったく自信なかったのに」

('A`)「なんでこんな動けてるの?」

(`・ω・´)「それはドクオの念動力がサイコキネシスだからだ」

('A`)「知っているのか父さん!」

(`・ω・´)「サイコキネシスは物理的アプローチ……」

(`・ω・´)「父さんのテレキネシスのように、対象物体との相互理解手順を介さないでいい」

(`・ω・´)「つまり自己をターゲットにもできるんだ」

(`・ω・´)「お前は今、自分自身をサイコキネスで動かしている!」

('A`)「マジかよ完全無意識だったわ」

(`・ω・´)「意識と同時にチャンネルが自在に操れるようになるのだぞ」

(`・ω・´)「父さん、そういうふうに教わったんだ」

('A`)「ナイスアドバイスだね」

448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 21:49:46.93 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「続けるぞ!」

シャンッ!!

('A`)「狙いが正確すぎる!」

('A`)「父さんの目は見てないぞ! 見たらテレパシーで思考を読まれるが……」

('A`)(そういや父さん、共感覚にも目覚めてるんだったな)

('A`)(目は鼻であり、耳であり、舌であり、皮膚でもある)

('A`)(そして他の器官も同様……どこからでも情報を得ることができる……)

('A`)(つまり今の父さんは、常人より五倍感覚が鋭い!)

(`・ω・´)「まだまだいくぞ!」ババババッ!!

('A`)「なんだよこいつ化け物かよ」

(`・ω・´)「痛っ、いてて、ちょっと肩を上げすぎた……」

('A`)「あっ、でも本体はおっさんだったわ」

457 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 21:56:22.27 ID:SC2BKzwa0
('A`)(どうやら運動能力自体が向上してるわけじゃなさそうだ)

('A`)(ならスタミナ切れを狙えば……)

(`・ω・´)「らああああっ!!」

ドザザッ!! ドガガッ!! ズクァァァンッ!!!

('A`)「……」サッ サッ ファサンッ

('A`)(でも父さんまったく移動してないからな。固定砲台じゃん)

('A`)(ってことは俺にできるのは逃げるだけ……)

('A`)(……えっ、詰み? マックスで引き分けのゲーム?)

ピィィィィィン....!!

('A`)「うほあっ!? ええい、贅沢言ってられん!」

('A`)「もう引分けでいいわ! なんとかドローに持ち込むぞ!」

463 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 22:03:55.44 ID:SC2BKzwa0
〜〜三十分後(イン・ア・ハーフ・アワー)〜〜


ジュララッ!! フババッ!! チュダダッ!!

サッサッサッ サッサッサッ スッスッスッ

( ^Д^)「とんでもねー鬼ごっこだな」

从 ゚∀从「鬼は追ってないけどな」

(*゚ー゚)「だけど、あれ……ドクオくん勝てるのかな? かわす一方だけど……」

(´・ω・`)「無理だね。ドクオには攻撃する気配がない」

(゚、゚トソン「やっぱり」

ミセ*゚ー゚)リ「自分のお父さんだから?」

(´・ω・`)「そういう美しい親子愛が起因しているならお涙頂戴な話だけどね」

(´・ω・`)「単に攻撃を加える隙がないんだろう」

466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 22:12:59.88 ID:SC2BKzwa0
(-@∀@)「凄い光景だ……トリックなんかじゃないぞ!」

(-@∀@)「カメラに収められないのが残念だ……」

从 ゚∀从「しっかしジョルジュの野郎、とんでもねー奴連れてきたな」

(´・ω・`)「NASAが何を隠しているかなんて誰もすべてを把握していない」

(´・ω・`)「僕もまだ、一枚目のゲートすら突破できてないからね」

(´・ω・`)「ハッカーにとっての最終定理だよ」

( ^ω^)「……おおっ!?」

从 ゚∀从「どうした? 素っ頓狂な声なんて上げてよ」

( ^ω^)「あれ見るお。校舎の方向……」

( ><)「校舎ですか? 野次馬がガラス越しに見てますけど……」

( ^ω^)「違うお。中じゃなくて、外。校舎一階の前だお!」

471 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 22:21:26.58 ID:SC2BKzwa0
从 ゚∀从「どれどれ……」


(-_-)「……」


( ^Д^)「なんだヒッキーじゃねぇか……あいつも観に来たのか?」

从 ゚∀从「そういや、予定ではジョルジュがやられるはずだったんだよな」

川д川「ヒッキーくん……ドクオくんの超能力……間近で見てたから……」

( ^ω^)「ああ、ヒッキーもジョルジュが負けると踏んでるのかお」

( ^Д^)「それでジョルジュの敗北を笑いに来たのか。気持ちはわかるぜ」

(´・ω・`)「待って。様子がおかしい」

(´・ω・`)「いつもおどおどと震えているヒッキーが、随分……落ち着いている」

(´・ω・`)「肝が据わっているように見える」

475 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 22:24:08.66 ID:SC2BKzwa0
( ^Д^)「こっからでもわかるのか?」

(´・ω・`)「様子がおかしいことくらいなら、遠目でも十分データとして信頼できる」

(-@∀@)「どれどれ、ちょっとカメラのズーム機能で望遠してみよう」

(-@∀@)「……ああっ!!」

( ^ω^)「どうしたんだお、そんな狼狽して……」

(-@∀@)「ひっ、ひっ、ひっ、ヒッキー、のっ」

从 ゚∀从「何言ってんだかわかんねーぞ。ちょっと落ち着け」

(´・ω・`)「騒ぐ心を鎮めて話すんだ」

(-@∀@)「ハァ……ハァ……ひっ、ヒッキーの」

(-@∀@)「ヒッキーの背中に……ライフルがっ……!」

(*゚ー゚)「え……?」


バーンッ!!

483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 22:29:20.59 ID:SC2BKzwa0
('A`)「な、なんだ今の轟音は!?」

バーンッ!!

('A`)「まただ!」

(`・ω・´)「何があった? 父さんこんな人工的な音出せないぞ?」

キャアアアアアアアア!!!!

('A`)「悲鳴……なんだ、どうしたってんだ!」

(`・ω・´)「学生たちが蜘蛛の子を散らしたように逃げ惑っている……」

从 ゚∀从「どっ、ドクオ!!」タッタッタッ

('A`)「みんな……どうした? 何が起きたんだ?」

(´・ω・`)「大変なことになった」

( ^ω^)「ヒッキーが……アメフト部員に向けて……発砲したんだお!」

('A`)「なんだって!?」

490 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 22:34:32.54 ID:SC2BKzwa0
(´・ω・`)「ターゲットによるジョックたちの復讐だよ」

(゚、゚トソン「ジョックを消滅させようとしていたのは」

ミセ*゚ー゚)リ「どうやら私たちだけじゃなかったみたい!」

(-@∀@)「それも……こんな強硬な手段で!」

(´・ω・`)「テキサスやコロラドの再来だ」

('A`)「いっ、今ヒッキーはどこに?」

(´・ω・`)「わからない。みんな見失っている」

(*゚ー゚)「とにかく、逃げないと!」

(´・ω・`)「校舎に残っている生徒が危ない……」

(´・ω・`)「彼らの逃げ道は限られている」

川д川「うふふ……意味深に笑ってる場合じゃないわ……」

501 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 22:40:04.35 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「私が行こう」

('A`)「父さん!」

(`・ω・´)「他に適任者はいない。私が出るしかないだろう?」

('A`)「父さん、俺も行くよ」

(`・ω・´)「ドクオ」

('A`)「俺の力も何かの役に立つかもしれない」

('A`)「だったら俺も行かなきゃダメだろ?」

(`・ω・´)「……わかった。ついてきなさい」

( ^ω^)「まっ、待ってくれお!」

('A`)「ブーン……」

( ^ω^)「僕も行くお! 行かせてくれお!」

505 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 22:46:56.35 ID:SC2BKzwa0
('A`)「なんでだよ、死ぬほど危険だぞ? 最悪死ぬぞ?」

( ^ω^)「たぶん、ヒッキーが一番に狙っているのは……ジョルジュだお」

( ^ω^)「ジョルジュの近くにはツンがいる、だから……!」

('A`)「……そうか。なら仕方ねぇな」

(´・ω・`)「僕もお供するよ」

('A`)「ショボン!」

(´・ω・`)「自ら進んで乗った船だ」

(´・ω・`)「参謀は最後まで大将のそばで仕えないとね」

('A`)「本当にお前って奴は……頭がいいのに、最高に馬鹿だな」

(´・ω・`)「そうさ。僕も君に負けず劣らずの、愚か者だよ」

('A`)「了解したぜ。俺は考えることは苦手だ、今回もばっちり知恵を貸してくれ」

(´・ω・`)「慎んでその申し入れを受諾するよ」

513 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 22:52:01.68 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「君たち、耳を貸しなさい」

( ^ω^)「ドクオの父ちゃん」

(`・ω・´)「会うのは今日で二回目だね」

(`・ω・´)「危なくなったら私の背後に隠れなさい」

(´・ω・`)「あなたに直撃しますよ?」

(`・ω・´)「しないさ」

('A`)「冗談抜きに父さんに銃弾なんて命中しないから安心してくれ」

(´・ω・`)「それじゃあ、遠慮なく」

(`・ω・´)「グラウンドにいた人間は……まだ半分ほどしか避難していないようだな」

('A`)「残った皆で手分けして先導してくれ」

('A`)「ハイン、お前が指揮を取ってくれ! 頼りにしてるぞ!」

从 ゚∀从「任せろって、リーダーさん」

520 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 22:57:18.36 ID:SC2BKzwa0
('A`)「じゃあな。ちょっくら出かけてくるぜ」

(゚、゚トソン「怪我のないように……」

ミセ*゚ー゚)リ「してよね! 絶対だよ!」

(*゚ー゚)「みんな……無事で帰ってきてね」

川д川「うふふ……ドクオくん、守護印を腕に書いてあげる……」

('A`)「なんだこの禍々しいデザインは。呪術にしか思えんぞ」

川д川「これでもう安心……」

('A`)「なんかこえーよ」

(´・ω・`)「急ごう。事は一刻を争う。早くヒッキーの居所をつかまないと」

( ^ω^)「大至急だお!」

('A`)「よっしゃ……それでは」

(`・ω・´)「行くぞ!」

('A`)「俺に言わせてくれよ」

539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 23:03:18.12 ID:SC2BKzwa0
('A`)「……」タッタッタッ

('A`)「ん?」

ミ,,゚Д゚彡「全力で走るんだ! 正門は向こう、裏門はこの道を直進だ!」

('A`)「フサの奴が逃走経路を開いてるのか」

(´・ω・`)「よくやるね。ブレーキを踏む役割だったとはいえ

(´・ω・`)「いじめに加担した当事者の一人なんだから撃たれる率は他者より高いのに」

(`・ω・´)「私は彼の勇気に敬意を表するよ」

( ^ω^)「だけど……逃げずに余裕かましてる学生も結構いるお」

(´・ω・`)「ジョックしか標的にされないと思ってるんだろう」

(´・ω・`)「自分の身には火の粉がふりかかってこないと、そう楽観視してる」

('A`)「野次馬根性丸出しだな……」

544 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 23:10:23.69 ID:SC2BKzwa0
(´・ω・`)「だけど……」

バーンッ!! バーンッ!! バーンッ!! バーンッ!!

( ^ω^)「う、うわあっ! 血が、血がっ……!」

(´・ω・`)「やっぱりだ。無差別狙撃をしている!」

('A`)「どういうことだよ!」

(´・ω・`)「もうヒッキーは冷静な判断力なんて、とっくに失っているんだろう」

('A`)「なんてこった……」

(`・ω・´)「……よし、今の音の出所から脳内でマッピングできたぞ」

('A`)「さすが父さんだ! 聴覚で『視る』ことができる!」

(`・ω・´)「あの少年は……校舎の中にいる!」

(´・ω・`)「やはり見晴らしのよさを重点に置いたか。急がないと」

('A`)「おっしゃあ!」ダダダ!!

551 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 23:15:48.46 ID:SC2BKzwa0
〜〜校舎近辺〜〜


('A`)「なんとか……ここまでは無事に辿り着いたが……」

(´・ω・`)「校舎の中にはまだ多数の学生が残っている」

( ^ω^)「一階にいた人たちはなんとか逃げ出したみたいだけど……」

(´・ω・`)「それより上の生徒は身動きとれないようだね」

('A`)「階段を下りている途中で鉢合わせたらもうおしまいからな……」

(´・ω・`)「うん、その場で撃たれるか、あるいは命からがら上階に逃げるか」

(`・ω・´)「しかし上に逃走したところでなんの打開にもならない……か」

(´・ω・`)「二階にいた、体力に自信のある学生は飛び降りられるけど……」

('A`)「それでもまだかなりの人数だ!」

554 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 23:23:12.47 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「私に任せてくれ」

('A`)「父さん」

(`・ω・´)「百人単位でいけるか……学生諸君! 聴こえるか!」

ザワ...ザワ...

(`・ω・´)「聴こえたなら、窓を開けてくれ! 全部だ!」

ザワ..... ガラガラガラガラッ!!

( ^ω^)「全開になったお」

(`・ω・´)「ならば……」

フワッ...!! キャーキャー!

( ^ω^)「浮いたっ!? 二階の教室にいた人間全員が!?」

('A`)「あーうちの父さん、俺と似た能力も駆使できるから」

561 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 23:27:28.38 ID:SC2BKzwa0
(`・ω・´)「そして……はっ!」

フワ...フワ...

( ^ω^)「窓から出てきたお、浮遊したまま……」

(´・ω・`)「宙に浮いてるね。およそ百人」

(`・ω・´)「さらに、へやっ!」

ストン...

.........ウオオオオオオオオ!!

(´・ω・`)「お見事な軟着陸。歓喜の渦が出来てます」

('A`)「百人って……一人ひとりに念動力使ってんだろ? よくやるよ……」

(`・ω・´)「父さん総量二十トンまでなら自在に飛ばせるからね」

(`・ω・´)「アフリカゾウ二頭分だ。それに比べれば、造作もないことだよ」


564 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 23:33:19.89 ID:SC2BKzwa0
('A`)「……で、父さんの迅速な作業な末」

('A`)「教室にいた全員の批難が終わったわけですが……」

(`・ω・´)「お前も念動力が仕えるんだから手伝いなさい」

('A`)「俺、そこまで器用に操れないから」

( ^ω^)「だけど中にジョルジュたち一行はいないお」

(´・ω・`)「もう逃げたか、グラウンド側にいたか」

(´・ω・`)「あるいは……教室以外の場所に隠れているか」

('A`)「それは奴らだけに限らないな。見に行こう。ヒッキーもまだ中だ」

('A`)「父さん、急いで……」

(`・ω・´)「いや、ドクオ……聞いてくれ」

(`・ω・´)「お前だけで行くんだ」

570 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 23:37:54.29 ID:SC2BKzwa0
('A`)「どうしてさ!?」

(`・ω・´)「父さん腰が痛くなっちゃったよ。もう一歩も動けない」

('A`)「中年め……」

(`・ω・´)「さすがに私のガードなしに、ドクオの友人二人は任せられない」

(`・ω・´)「だからドクオだけで行くんだ」

('A`)「んな突然……」

(´・ω・`)「えっ、僕はついていくつもりですけど」

( ^ω^)「僕もだお! ツンがもしかしたら……!」

(`・ω・´)「さすがに未熟なドクオに二人分のお守は荷が重いよ」

('A`)「二人……か……」

('A`)「……なあ父さん。一人なら構わないよな!」

(`・ω・´)「む?」

572 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 23:42:00.18 ID:SC2BKzwa0
('A`)「二人は無理とか、一人なら平気だと、そう見積もってんだろ?」

(`・ω・´)「まあ、一人分ならなんとかなるとは思うが……」

('A`)「だったら……ブーン、来いよ」

( ^ω^)「ドクオ!」

('A`)「お前には目標があるからな」

( ^ω^)「恩に着るお」

(´・ω・`)「やれやれ、見せつけてくれるね。僕の出る幕はここで終わりか」

('A`)「感謝してるぜ、ショボンよー」

(´・ω・`)「礼はいらないから早く行っておいで」

(`・ω・´)「ああそれと、救出された学生たち」

(`・ω・´)「これ以上下手に動くと危ない。全員私の背後にいなさい」

577 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 23:45:53.80 ID:SC2BKzwa0
( ^ω^)「え、そんなこと言っても人は壁にはならないお」

('A`)「いやだから、うちの父さんは」

ガガガガガガガガッ!!

('A`)「銃声!? 連続!?」

(`・ω・´)「ふんっ!」

パチュンパチュンパチュンパチュンパチュンパチュンパチュンパチュン

( ^ω^)「全部……こちらに届く前に破裂した……」

('A`)「父さんそういう人間だから」

( ^ω^)「どういう人間だお」

(´・ω・`)「それより、ヒッキーがマシンガンも所持していることが判明した」

(´・ω・`)「細心の注意を払うんだよ。さすがに近距離で連射されると、ドクオといえども」

('A`)「わかってるよ。んじゃ、行ってくるぜ」タッ!!

587 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 23:53:43.21 ID:SC2BKzwa0
〜〜校舎二階〜〜


('A`)「一階には案の定誰もいなかったが……」

( ^ω^)「二階も引き続き人の気配なしだお」

('A`)「人の侵入できるスペースは大概洗ってみたんだがな」

('A`)「……上がるか」

( ^ω^)「いや、まだ探してない場所があるお」

('A`)「どこだよ」

( ^ω^)「盲点だったお。一階から二階に続く階段は二つある……」

( ^ω^)「僕らはその片側から上がってきたお」

('A`)「そうか、俺たちは二階の『フロア』しか回ってなかったのか!」

( ^ω^)「もう片方の階段を見に行くお!」タッ!

593 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/02(火) 23:58:50.15 ID:SC2BKzwa0
('A`)「推察通りだ、中二階に人影があったぞ!」

('A`)「だけど……二人が床に伏している。血溜まりが見える……」

('A`)「一人はその傍らに立っているな……」

( ^ω^)「合わせて三人……まさか!」タッタッ

('A`)「おまっ、駆け下りるの早すぎ……」

( ^ω^)「……やっぱり……」

('A`)「ハァ、ハァ、やっと追いついた」

('A`)「なんでこの学校無駄に、階と階の間を分厚く作ってんだよ……」

('A`)「デブ対策か……おかげで日本より段数が……ん?」

( ^ω^)「ツン……」

ξ゚听)ξ「……ブーン、どうしてこんなところに来たのよ」

601 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 00:03:02.72 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「お、おい、その倒れてる二人は……」


(  ∀ )

ζ( ー *ζ


ξ゚听)ξ「そうよ。見ての通り、ジョルジュとデレの死体」

ξ゚听)ξ「……ヒッキーに殺されたわ」

('A`)「そんな……クソッ!」

ξ゚听)ξ「どうして悔しがってるのよ」

ξ゚听)ξ「あんたの目的って、ジョックを倒すことなんでしょ?」

ξ゚听)ξ「ジョルジュから聞いたわ。万々歳じゃない」

('A`)「それとこれとは話が違うだろ! 誰も死ねとまで願ってねーよ!」

609 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 00:05:59.79 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「というか……なんで……お前、そんな冷静なんだよ」

ξ゚听)ξ「何がよ?」

('A`)「お前の仲間が殺されたんだぞ?」

ξ゚听)ξ「ああ、それね。私ね。なんだか馬鹿らしくなったの」

( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「私ね、デレとジョルジュと一緒に逃げてたんだけど」

ξ゚听)ξ「アンハッピー。ヒッキーに見つかっちゃってね」

('A`)「そこで……撃たれたのか」

ξ゚听)ξ「違うわ」

ξ゚听)ξ「ジョルジュはね……私をヒッキーのほうに蹴り飛ばして、逃げたの」

( ^ω^)「そんな……!」

618 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 00:11:49.42 ID:t0f8/cFJ0
ξ゚听)ξ「信じられる? ひどい話よね」

ξ゚听)ξ「私のことをおとりにしたのよ」

('A`)「だが……お前は生きてるじゃねぇか」

ξ゚听)ξ「そうよ。私もそれが不思議」

ξ゚听)ξ「銃を構えたヒッキーと一対一。気絶しそうなくらい怖かったわ」

ξ゚听)ξ「でもヒッキーは私に見向きもしなかったの」

ξ゚听)ξ「それで、なんとか立ち上がって、校内をうろうろしてみたんだけど」

( ^ω^)「そんな、危ない……」

ξ゚听)ξ「危ない? 何がよ! もっと危ない目に遭ったのよ」

ξ゚听)ξ「どうなろうと知ったことじゃないわ」

ξ゚听)ξ「私はもう、一度死んだようなものよ」

621 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 00:13:55.57 ID:t0f8/cFJ0
ξ゚听)ξ「で、しばらく歩き回って」

ξ゚听)ξ「ここで、二人の死体を発見したの」

('A`)「あくまで目的はジョルジュだったってことか……」

ξ゚听)ξ「馬鹿ね。私を後回しにしただけよ、きっと」

ξ゚听)ξ「もうじきヒッキーは私を撃ちに来るわ」

( ^ω^)「だったら早く逃げるお!」

ξ゚听)ξ「逃げる? そんなの必要ないわよ」

ξ゚听)ξ「私はここで死ぬの。ヒッキーに殺してもらうのよ」

( ^ω^)「何をふざけたことを言ってんだお!」

ξ゚听)ξ「ふざけてないわ。もう無理。無気力」

ξ゚听)ξ「生きる希望がないわ」

627 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 00:18:10.22 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「なあ……さっきから気になってたんだが」

('A`)「どうしてそんな平然としていられるんだ?」

('A`)「達観しているようにさえ見えるぞ」

ξ゚听)ξ「ああそれ? なぜかしらね」

ξ゚听)ξ「たぶん絶望してるせいだわ。そのせいで何もかも諦めてるの」

( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「だってさ、私の気持ち考えてもみてよ!?」

ξ゚听)ξ「高校に入って、チアリーディング始めて」

ξ゚听)ξ「やっとの思いで女子の花形であるクイーンになれたのに」

ξ゚听)ξ「捨てられたのよ、私! 利用されたの!」

ξ゚听)ξ「馬鹿みたい!」

ξ゚听)ξ「なんだったのよ! 本当に! なんのための努力だったのよ!」

630 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 00:23:34.03 ID:t0f8/cFJ0
('A`)(ま、まずい……)

('A`)(今まで抑えつけていた分……感情が一気に発露してる……)

( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「ふふ。久々ね。こうやって顔を合わせて話すの」

ξ゚听)ξ「……ねぇ、ブーン。知ってる?」

ξ゚听)ξ「ジョックやクイーンって、富裕層の子供ばかりなの」

ξ゚听)ξ「そういう集まりだから付き合っていくのにもお金が必要」

( ^ω^)「僕には無縁とはいえ、そういう話は耳にはしてるお」

ξ゚听)ξ「だけど、あまりうちって裕福じゃないから、バイトしなきゃダメ」

ξ゚听)ξ「バイトしすぎたらチアの練習に行けなくなる」

ξ゚听)ξ「手っ取り早く稼がなくちゃいけなかった」

ξ゚听)ξ「だから私、センターフォールドを始めたの」

638 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 00:26:35.80 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「な、なんだそりゃ」

( ^ω^)「……袋とじの……グラビアのことだお……」

('A`)「うわあ……」

ξ゚听)ξ「購入しないと見られないから」

ξ゚听)ξ「通常のグラビアに載るより人に知られるリスクは低いわ」

ξ゚听)ξ「その分、過激なことも要求されるけど」

('A`)「僕はもう何も口を挟めません」

( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「そうまでしてつかんだ地位なのに、この扱いなんだから、爆笑ものよ」

ξ゚听)ξ「笑いなさいよ。ブーン。軽蔑してるでしょう?」

ξ゚听)ξ「でも、もうどうでもいいわ。私はここで死ぬんだから」

651 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 00:33:13.07 ID:t0f8/cFJ0
( ^ω^)「……笑ったりなんかしないし……」

( ^ω^)「それに、死ぬ必要なんかどこにもないじゃないかお!」

ξ゚听)ξ「必要はないわね。けどそれが望みなの」

ξ゚听)ξ「最後くらいクイーンのまま死なせてよ。ジョックの傍らで」

('A`)「ふざけんなよ! まだそんなことぬかしてんのか!」

('A`)「お前はそいつに崖から突き落とされたようなもんなんだぞ!」

ξ゚听)ξ「その記憶ごと消し去ればいいだけよ」

ξ゚听)ξ「最後を飾る時ぐらい、形にこだわらせてくれるかしら?」

ξ゚听)ξ「理想の自分の姿のまま死にたいの」

('A`)(ああ、ダメだ……もう壊れてしまってる)

('A`)(自分が真実だと思って見て、聴いて、肌で触れていた世界が……)

('A`)(まやかしだって、わかっちまったんだもんな……)

657 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 00:37:29.76 ID:t0f8/cFJ0
ξ゚听)ξ「女子高生にとって一番の幸せは」

ξ゚听)ξ「学校のスターであるジョックのそばに常にいること。これだけよ」

('A`)「……馬鹿な思想だよ。女は男の傍らにいることが幸福だとか」

('A`)「どんだけ男尊女卑な考え方だ。日本ですら時代遅れだ」

('A`)「俺はアメリカの女はもっと自立してると思ってたんだがな」

ξ゚听)ξ「説得のつもり? それともただの悪口かしら」

ξ゚听)ξ「どっちにしてもバードソングみたいなものね」

('A`)「……やっぱり、俺の言葉じゃ無理か」

('A`)「ブーン」

( ^ω^)「……」

('A`)「お前が救ってやるんだ」

( ^ω^)「僕も……そのつもりだお」

662 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 00:44:38.30 ID:t0f8/cFJ0
( ^ω^)「ツン」

ξ゚听)ξ「何よ。何を語っても無駄骨よ」

( ^ω^)「君の夢はクイーンになることだったのかお」

ξ゚听)ξ「だからさっきからそう言っているでしょう」

ξ゚听)ξ「ジョックに近づける立場にいることが、私の夢だったの」

( ^ω^)「それは偽りの世界だったじゃないかお」

ξ゚听)ξ「だから、それはなかったことにして……」

( ^ω^)「なかったことになんて出来るかお!」

ξ゚听)ξ「っ……!」ビクンッ

( ^ω^)「いい加減にするお! 現実だと思っていたものが虚構だったことは同情するお!」

( ^ω^)「だけど、君はこの期に及んでもまったく現実を直視していないじゃないかお!」

( ^ω^)「いつまでリアルじゃないものをリアルだと思い込んで逃避してるんだお!」

671 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 00:54:06.37 ID:t0f8/cFJ0
ξ゚听)ξ「何を偉そうに! あんたに私の何がわかるのよ!」

( ^ω^)「子供の頃から知ってるんだお! ツンがおかしいだなんて嫌でもわかるお!」

( ^ω^)「あまつさえ死にたいだなんて、もうとんでもないフールだお!」

ξ゚听)ξ「フール? 今あんた、フールって言ったわね?」

( ^ω^)「そうだお! どう考えてもツンはフーリッシュ極まりないお!」

( ^ω^)「絶望したから死ぬ! ふざけるなお!」

( ^ω^)「落としたら拾う! 欠けたら補う! 失くしたら、また新しく手に入れればいいお!」

ξ゚听)ξ「小馬鹿にするのも大概にしなさい!」

( ^ω^)「気味が馬鹿なことをやめない限り、僕もやめないお!」

ξ゚听)ξ「うるさいわね、黙りなさいよ!」

ξ゚听)ξ「この……白豚!」

( ^ω^)「白豚? 白豚だって!?」

677 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 00:56:35.98 ID:t0f8/cFJ0
( ^ω^)「僕が高校進学してからそう呼ばれたのは通算三回目!」

('A`)(そのうち二度は僕ですが)

( ^ω^)「さすがに三回は許せんお! 堪忍袋の緒が切れたお!」

( ^ω^)「目閉じて歯食いしばって堪える準備決めるお!」

ξ゚听)ξ「……えっ?」


パァン...!


('A`)「うお……平手打ちした……」

( ^ω^)「……はあ、はあ……」

ξ゚听)ξ「……」

ξ゚听)ξ「……何するのよ」

( ^ω^)「だからビンタだお。説明しないとわからないかお」

686 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 01:00:54.53 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「なんで二人とも一気にクールダウンしたんですかね」

( ^ω^)「部外者は口を差し挟むなお」

('A`)「スワセン……」

( ^ω^)「頭冷えたかお」

ξ゚听)ξ「痛いじゃない」

( ^ω^)「頬を叩かれたらそりゃ痛いお」

( ^ω^)「どうだお。懐かしいかお。この感覚」

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「僕は君の悪口は大抵許してきたお」

ξ゚听)ξ「……白豚は除いてね」

( ^ω^)「そうだお。それを三回言われた時だけ、僕はブチギレたお」

696 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 01:05:28.01 ID:t0f8/cFJ0
( ^ω^)「そして君にビンタをする。その後、君はどうしたか覚えてるかお?」

ξ゚听)ξ「当然よ」

ξ゚听)ξ「……キエエエエエエエエエ!!」

ベシ! ベシ! ベキ!

('A`)「オー……ジスイズ、ジャパニーズカラーッテー……」

( ^ω^)「ああ……天使が迎えに来てくれたお……」

('A`)「死ぬなよ」

ξ゚听)ξ「あー、スッキリ!」

( ^ω^)「……久々だから耐性薄れてたお」

ξ゚听)ξ「あは、小学校中学校と、ずっとこんな感じだったからね」

( ^ω^)「そうだお。こんなやりとり、高校生になってから初めてだお」

703 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 01:11:08.99 ID:t0f8/cFJ0
ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「君はもう、男を殴ったりだとかしなかったし」

( ^ω^)「逆にチヤホヤされてるから手を上げられることもなかったんだろうお」

( ^ω^)「僕らの日常は痛覚と共にあったのに」

('A`)「誤解を招きそうな言い方だな」

( ^ω^)「どうかお。思い出したかお。この痛み。忘れていた痛み」

( ^ω^)「これが君にとっての現実だったじゃないかお!」

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「これでもまだ、未練があるのかお!」

( ^ω^)「ジョックだとか、クイーンだとか、そんなものにこだわって」

( ^ω^)「なんになるんだお! ツンはツンだお!」

708 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 01:14:56.83 ID:t0f8/cFJ0
ξ゚听)ξ「……そうね」

ξ゚听)ξ「……こんな目に遭っても、まだレンズが曇っていたなんてね」

ξ゚听)ξ「私、馬鹿だったみたい」

( ^ω^)「そうだお。フールだお」

ξ゚听)ξ「あ? まだ殴られ足りないわけ?」

( ^ω^)「丁重にお断りするお……」

('A`)「まあ、そんだけ元気があれば大丈夫だろ」

('A`)「もう死にたいだなんて言わないよな?」

ξ゚听)ξ「言わないわよ。もう自分を覆っていた霧は晴れたもの」

ξ゚听)ξ「私は生きるわ。やり直すの」

ξ゚听)ξ「間抜けなブーンの幼馴染の、ツンとしてね」

( ^ω^)「ツン……」

715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 01:19:04.31 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「よし、じゃあ……廊下の窓を開けてっと」ガラッ

ξ゚听)ξ「何するつもりなのよ」

('A`)「こうすんだ……よっと!」クン

ξ゚听)ξ「えっ? なに、ちょっと、なにこれ? って……」フワフワ

キャー....!

( ^ω^)「おい、もうちょっと丁寧に念動力で降ろせお」

('A`)「俺、父さんみたいにそんな器用に使いこなせないから」

('A`)「で、そっちの要件も済んだし、お前も今から降ろすぞ」

('A`)「その体重じゃ飛び降りるのきついだろ?」

( ^ω^)「……その通りなのがムカつく……」

('A`)「俺はヒッキーを探す」

719 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 01:22:23.11 ID:t0f8/cFJ0
( ^ω^)「決して警戒を絶やすなお」

('A`)「ああ……それと」

('A`)「ジョルジュらのことは……お前から伝えておいてくれ」

( ^ω^)「……承知したお」

('A`)「じゃあな」

( ^ω^)「グッドラック」

フワ....ヒュンッ!!

('A`)「さて……行くか。いよいよホンボシだ」

『ドクオ……聴こえるか……』

('A`)「そ、その声は父さん!」

('A`)「当たり前のように思考に語りかけてこないでくれよ」

724 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 01:26:16.54 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「というか父さんのテレパシー能力って」

('A`)「視線が合ってないと通わせられないんじゃなかったのかよ」

('A`)「共感覚の応用だって」

『いやな、父さん、疑似じゃなくて本物のテレパシーも発現させられたんだ』

『ついさっきドクオと話がしたいなあ、って考えたら、使えるようになっちゃって』

('A`)「もう驚くのもアホらしいから尋ねるけど、なんの用?」

『ああ、そのことだが……まだこのテレパシーは不十分だから長時間使用すると疲れる』

『だから直接話がしたい。どこかの教室に入って、そこの窓から父さんを見下ろしてくれ』

('A`)「わかったよ」

『待ってるぞ。ではな』ピシュン!

('A`)「……なんだってんだ」

729 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 01:30:44.53 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「やってきたわけですが……」

(`・ω・´)「ドクオ! ここだここだ」

('A`)「おお、いたいた。ここからなら普通に声で会話できるな」

('A`)「……肉声以外で会話するってことが、そもそもおかしいが……」

(`・ω・´)「ドクオ、心して聞いてくれ」

('A`)「なんだい」

(`・ω・´)「今、脳内マップの解析を進めてみたんだが……」

(`・ω・´)「あ、ショボンくんにも手伝ってもらったんだがね」

(´・ω・`)「君の父さんに、口頭で内部の様子を述べてもらって、製図して」

(´・ω・`)「僕なりにヒッキーの居場所を探ってみたのさ」

('A`)「もうお前らが親子やれよ」

735 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 01:35:00.68 ID:t0f8/cFJ0
(´・ω・`)「それで、やっとアナライズが終わったんだよ」

('A`)「マジか。どこにいる?」

(´・ω・`)「今身を潜めているのは三階。最上階だね」

(´・ω・`)「ここでほぼ間違いはないはずだ」

('A`)「三階か……」

(`・ω・´)「息子よ、がんばるのだぞ」

('A`)「その前に父さん、せっかくだしさ」

(`・ω・´)「なんだ?」

('A`)「未来視ってやつ、やってくれよ、俺に」

(`・ω・´)「……なぜだ?」

('A`)「俺……やっぱり不安だよ。超能力と銃、どっちが上かなんてわかんねぇもん」

737 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 01:40:03.08 ID:t0f8/cFJ0
(`・ω・´)「確かに……連邦政府が算出したダイヤグラムでは」

(`・ω・´)「精練が足りないサイコキネシスと素人の扱うマシンガンでは、ほぼ五分」

(`・ω・´)「その先はメンタルの勝負だ」

('A`)「だろ? だから、俺は安心が欲しいんだ」

(`・ω・´)「悲惨な未来が見えてしまったらどうするんだ?」

('A`)「その時は嘘をつくくらいの思いやりを見せてよ」

(`・ω・´)「フッ……なんだ、つまりは」

(`・ω・´)「父親の口から慰めの言葉が欲しい、ということなんだな?」

('A`)「そうだよ。悪いかよ。ガキっぽくてさ」

('A`)「父さんはたった一人の家族なんだから」

('A`)「その口から聞ける言葉が最高にほっとできる呪文だろうさ」

741 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 01:45:39.87 ID:t0f8/cFJ0
(`・ω・´)「……わかった。やってみる」

(`・ω・´)「くっ……ふうう……!」シュインシュインシュイン

(`・ω・´)「……見えたぞ」

('A`)「どうだった?」

(`・ω・´)「父さんとドクオが抱き合っているイメージだ。皆が歓喜に沸いている」

(`・ω・´)「おそらくは、お前の帰還を祝福している構図だろう」

('A`)「そうか、そりゃあ……よかった」

(`・ω・´)「父さんも安堵したよ」

(´・ω・`)「ドクオ。ブーンとツンの二人は先程合流した」

(´・ω・`)「グラウンドにいた学生も全員避難を済ませたとハインから連絡があったよ」

(´・ω・`)「もうヒッキーは、逆に追い詰められている」

(`・ω・´)「頼んだぞ」

('A`)「……ああ!」

748 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 01:52:33.88 ID:t0f8/cFJ0
〜〜校舎三階〜〜


('A`)「……」テクテク

('A`)「どこにいるんだ……」

('A`)「念のため、いつでも回避行動をとれるよう」

('A`)「サイコキネシスを全身に作用させてはいるが……」

('A`)「というか、普通にコントロールできるようになってることにびびるわ」

('A`)「必要は発明の母ってやつか……」

('A`)「とりあえず授業用の教室は全部回ってみた」

('A`)「あとはトイレとかをシラミ潰しに……ん?」

('A`)「ああ、図書室を見てなかったな。こっちから先にやるか」

('A`)「……図書室か……」

753 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 01:56:21.05 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「……まさかそんなことはありえないだろうとは思うけど」

ガララッ

川 ゚ -゚)「……」ペラッ

川 ゚ -゚)「おお、休日に会うのは初めてだな」パタン

川 ゚ -゚)「私は平日休日に関わらず学校の図書室で過ごしているが」

('A`)「アホかお前はああああああああ!!」

川 ゚ -゚)「何を騒いでるんだ。図書室は大声厳禁だぞ」

('A`)「お前……今どういう状況かわかってんのかよ」

川 ゚ -゚)「知ってるよ。ヒッキーが銃を乱射しているのだろう?」

('A`)「そうだ。しかも校舎の三階に立てこもってるそうだ」

('A`)「このフロアだぞ! 早く逃げろ!」

756 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 02:00:49.50 ID:t0f8/cFJ0
川 ゚ -゚)「断る。私には無関係な話だからな」

('A`)「ハァ?」

川 ゚ -゚)「スクールカースト内での揉め事だろう。私には関係ない」

川 ゚ -゚)「階層外にいるブックワームの私に干渉などしてくるはずがない」

('A`)「なに『理論上はそうです』みたいに得意げに言ってんだよ」

('A`)「もうそんな階層なんてとっくにぶっ壊れてんだよ!」

('A`)「俺なんかより……素早くて……強大で……」

('A`)「暴力的な……やり方で!」

川 ゚ -゚)「死人が出ているそうだからな。なるほど効果絶大だ」

('A`)「ジョック以外の人間も撃たれている……ヒッキーは錯乱してしまってる」

('A`)「だから安全の保証なんてどこにもない!」

758 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 02:04:45.60 ID:t0f8/cFJ0
川 ゚ -゚)「壊れたと呼べるのか?」

川 ゚ -゚)「ヒッキーがピラミッドの頂点に上り詰めようとしているだけでは」

('A`)「なわけねーだろ! バカヤロー!」

('A`)「もう上とか下とか外とか内とかいう問題じゃないんだ!」

('A`)「そんな概念きれいさっぱり消滅してんの! 俺らはただの学生だ!」

('A`)「全員同じ、平等で、均等で、対等な、学生!」

('A`)「君と、俺は、一緒だ!!」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「だからさっさと逃げろ。俺がここからサイコキネシスで降下させるから……」


「その必要はないよ」


('A`)「なっ……その声……っ」

763 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 02:09:11.87 ID:t0f8/cFJ0
ガラッ...

(-_-)「……やあ」

('A`)「ヒッキー……」

('A`)(背中にライフル、腰のホルダーに拳銃)

('A`)(右手にはマシンガン……完全武装か……)

(-_-)「ドクオくんの声……大きかったからよく聴こえたよ」

(-_-)「ここにいることもわかったし」

('A`)「どこで息を潜めていたんだ?」

(-_-)「教室の用具入れさ」

('A`)「なっ、そんなとこに……じゃあ」

('A`)「俺が回っていた教室に……既に隠れていたのか……」

(-_-)「あそこにはよく入らされたからね。慣れてたから、落ち着いたよ」

770 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 02:12:52.19 ID:t0f8/cFJ0
(-_-)「図書室は……空気が澄んでるね……」

('A`)(しかし変だ……)

('A`)(ショボンの推理だと、ヒッキーは判断力を喪失して)

('A`)(そのために見境なく狙撃しているという話だったが……)

('A`)(……冷静沈着そのものじゃないか……)

(-_-)「クーさんもいるんだね」

川 ゚ -゚)「私はいつもここにいる。一人だろうと、他に誰かがいようとも」

(-_-)「それが許される君のスタンスが羨ましかったよ」

川 ゚ -゚)「そうか。すまんな」

(-_-)「別に謝らなくてもいいよ。僕の勝手な嫉妬だから」

('A`)「……おい」

771 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 02:17:00.91 ID:t0f8/cFJ0
(-_-)「なんだい」

('A`)(隙が見当たらない……)

('A`)(いつでもマシンガンの銃口を向けることが出来る体勢)

('A`)(先制パンチとばかりに念動力を発動させたとしても……)

('A`)(即座にそれに反応してトリガーを引けば……奴の勝ちだ)

('A`)(こちらからは攻められない。なら……今は会話を繋ぐしかないか)

('A`)「どうしていじめっ子以外も撃った」

(-_-)「ああ、そのこと」

('A`)「ジョックじゃない連中はお前に危害は加えなかっただろ?」

(-_-)「そうだね。ナードたちは僕に何もしてこなかった」

(-_-)「何も……しなかった」

780 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 02:24:57.33 ID:t0f8/cFJ0
(-_-)「……ドクオくん」

('A`)「なんだ」

('A`)(ってかこの状況でよく読書を続けられるな、クーの奴……)

(-_-)「君は自分たちよりさらに下の人間について考えたことがある?」

('A`)「ターゲットはナードの下、か」

(-_-)「そうさ。僕は最下層。学校でもっとも権利がない奴」

(-_-)「はっきり言ってね、そんな僕にとっては、ジョックもクイーンも」

(-_-)「ワナビーもプレップスもメッセンジャーもナードも、全部同じにしか思えないんだよ」

(-_-)「上は上……自分よりも下位の人間を持ち、安寧を得られる者」

(-_-)「僕はみんなみんな憎いんだよ」

(-_-)「一ランク上も、二ランク上も、三ランク上も、一緒なんだ」

(-_-)「僕の左側にだけ不等号ががないんだ」

783 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 02:29:58.03 ID:t0f8/cFJ0
(-_-)「そして……もう耐え忍ぶことができなくなった」

(-_-)「幸いにも、ドクオくんとジョルジュくんが決闘するって話になって」

(-_-)「学校中の生徒が集うイベントが催されたね」

('A`)「お前……その機を利用したのか」

(-_-)「そうさ」

(-_-)「だけど正直言うと、僕は君を撃ちたくない」

('A`)「なんでだ。俺も憎悪の対象じゃないのか」

(-_-)「一度きりとはいえ、僕の昼食を守ってくれたからね」

(-_-)「他に手を差し伸べてくれた生徒なんてフサくんくらいさ」

(-_-)「彼は見えないところでは僕を気遣ってくれた」

('A`)「……」

790 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 02:34:37.49 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「なあ」

(-_-)「どうかしたかい」

('A`)「あれ、別にお前の飯だからやったわけじゃねぇぜ」

('A`)「ただ床とか周りの人間が汚れないようにしただけだ」

(-_-)「……」

('A`)「だから思う存分憎んでくれよ。俺も所詮は傍観者だ」

(-_-)「どうして……そんなことを話す必要があったんだい?」

(-_-)「君にとって不利に働くことはあっても、有利には絶対にならない……」

('A`)「そりゃあ……お前に嘘なんて吐きたくなかったから」

('A`)「あと勘違いはやめてよね的なツンデレ風振る舞い」

(-_-)「ジョークかい? 笑えないジョークは、ただの罵倒だよ」

('A`)(やば、冗談で場を和まそうとしたのに、結構イラっときてるな……)

793 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 02:40:16.31 ID:t0f8/cFJ0
(-_-)「じゃあ……遠慮は一切いらないんだ」チャッ

('A`)「お、落ち着け。一旦息を整えるんだ。それから話し合おう」

(-_-)「落ち着いてるよ……凄く。冷静さ」

(-_-)「ヘロインをキメてきたからね……」

('A`)「んなっ……?」

('A`)(じゃあ普段怯えたように震えてるのって……ただの禁断症状か?)

(-_-)「知ってるかい? スクールカーストの外にはギャングがいるんだ」

(-_-)「学校のはみ出し者たちさ」

(-_-)「ふふふ……彼らは意外とよくしてくれるんだよ」

(-_-)「落ち込む僕にいいものを教えてくれたからね……」

('A`)「……マジかよ」

800 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 02:45:46.17 ID:t0f8/cFJ0
(-_-)「武器を流してくれたのも彼らさ」

(-_-)「金さえ払えば……望むものはなんでもくれた……」

('A`)(こいつ……薬だけじゃなく、いろんなものに依存してやがる!)

('A`)「優しく接してくれる人間が欲しかったんだな」

(-_-)「そうだね……たぶん、そういうことかな」

(-_-)「でも今更間に合わないよ」

(-_-)「これからは優しくしてやるとか、そういうことでも言い出すつもりなんだろう?」

(-_-)「遅いよ。知らないかい? 学校での銃乱射事件は」

(-_-)「どれも犯人の自殺で幕を閉じるのさ」

('A`)「じゃあ、お前も……」

(-_-)「当たり前さ……たくさん人を殺しちゃってるから、もう戻れない」

(-_-)「僕も死ぬしかないんだ……・」

807 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 02:50:45.59 ID:t0f8/cFJ0
(-_-)「どうやら……もう包囲網が出来あがってるみたいだし……」

(-_-)「君たちが最後のターゲットだよ、ドクオくん、クーさん」

(-_-)「それが終わったら、僕は屋上に上がって、衆目の前で派手に散ろう」

川 ゚ -゚)「え、本当に私も狙われるのか?」

(-_-)「もちろんだよ」

川 ゚ -゚)「やばいわー、心の準備とかまったくしてなかったわー」

('A`)「なに呑気なこと言ってんだよ! もっと緊張感を持て!」

(-_-)「それじゃ……グッド・バイ」カチャッ

('A`)(やばい! 引き金に指がかかった!)

('A`)(まだサイコキネシスを自分の身体から解除していないぞ……相手に何も出来ない)

('A`)(……ここから回避することは可能だ。ただ……)

('A`)(そうすると……クーに弾丸が命中する……!)

812 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 02:55:46.43 ID:t0f8/cFJ0
('A`)(ならここは動くわけにはいかない!)

('A`)(クーの盾になるしかない!)

('A`)(幸か不幸かヒッキーはマシンガンではなく拳銃を構えた)

('A`)(一回の射撃で飛んでくる弾は一発だけ……)

('A`)(外れるなんてことはあまり期待しないほうがよさそうだが……)

('A`)(それでも……父さんの未来視が真実なら……)

('A`)(何が起きようとも……)



バーンッ!!



('A`)「俺は……死なない!」

816 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 03:00:12.81 ID:t0f8/cFJ0
シィン......

('A`)「……」

('A`)「……はっ! どうなった!」

('A`)「お、俺は生きてるぞ、生きてる! クーは……」クルッ

川 ゚ -゚)「あ、ああ……」

('A`)「無事……か。外傷もなさそうだ」

('A`)「じゃあ一体、どうなったんだ? どういう現象が起きたんだ?」

川 ゚ -゚)「ドクオ……前を向け……覚悟を決めてだ……」

('A`)「え……」クルッ...


(`・ω・´)「ぐっ……さすがに鉛弾は……堪えるな……」


('A`)「父……さん……?」

823 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 03:05:35.13 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「父さん、父さん! どうしてここに!?」

('A`)「銃弾が当たってるじゃないか!」

(`・ω・´)「父さん……お前と最後に会った時」

(`・ω・´)「腕にまじないのような紋章を見つけてな……」

('A`)「サダコが描いたやつか……」

(`・ω・´)「塗料とうまいこと波長が合って、視覚をリンクさせる媒介に出来たんだ」

(`・ω・´)「そのマークを通じて、見ていたよ……ドクオ」

(`・ω・´)「女の子を身を呈して守るだなんて、はは、男になったな……」

('A`)「どうやって……ここまで……」

(`・ω・´)「父さん、お前が撃たれそうになる場面を見て、助けようと強く願ったんだ」

(`・ω・´)「そうしたら瞬間移動のチャンネルが開いたんだよ……本当に、よかった……」

832 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 03:12:53.96 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「よくない、全然よくなんてねぇよ!」

('A`)「あんた、地上最強だろ! こんなちっぽけな鉛弾なんかで」

(`・ω・´)「父さん、こと攻撃に関しては」

(`・ω・´)「『マス・デストラクション』とNASAの研究所で称されているほどだが……」

(`・ω・´)「防御能力に目を向けると、障壁めいたことは超能力で可能とはいえど」

(`・ω・´)「本体の抵抗力は並の中年男性と同じレベルでな……」

('A`)「なら、今回も銃弾を破裂させたらよかったじゃないか!」

(`・ω・´)「咄嗟のことでね、頭がうまいこと回転しなかった」

(`・ω・´)「父さん、認知症の恐れがあると、渡米前から社内検診で宣告されてたんだ……」

(`・ω・´)「黙っていてすまない…・・」

('A`)「治癒できる能力はないの!?」

(`・ω・´)「凍結のチャンネルを使えば……だかもう、そんな余力は残っていない……」

(`・ω・´)「体力も並の中年男性レベルだからな……」

839 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 03:18:39.18 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「そうだ、父さん、俺に未来視を行ってくれたじゃないか」

('A`)「あのヴィジョンはなんだったんだよ! 嘘だって言うのか?」

(`・ω・´)「はは……嘘じゃないよ……」

(`・ω・´)「今……まさに……ドクオは父さんを抱き寄せているじゃないか……」

('A`)「嘘じゃないか! 歓喜の輪はどうなったんだよ!」

(`・ω・´)「それより……涙をぬぐって、正面を向くんだ」

('A`)「正面?」グイ

(-_-)「あ……あ……」

('A`)「ヒッキーの奴……愕然としてやがる」

(`・ω・´)「撃たれたと同時に、あの子の持っているガンすべてに負荷を与えた」

(`・ω・´)「もう内部パーツの金属が磨滅して使い物にならないだろう……彼は無力だ」

(`・ω・´)「だから……もうこの事件は終幕だ。安心だな……」

845 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 03:25:06.25 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「全然安心なんてできない!」

('A`)「父さん、しっかりするんだ!」

(`・ω・´)「ああ……視界が霞んできたよ」

(`・ω・´)「父さん、目の良さだけがウリだったんだがな……」

(`・ω・´)「もうドクオの瞳が見られない……ドクオの考えていることもわからなくなった……」

(`・ω・´)「だけど……父さんの手の甲に落ちる、ドクオの涙の温度はよくわかるよ……」

('A`)「父さんに弱音なんか似合わないよ!」

(`・ω・´)「ドクオ、元気でやるんだぞ」

('A`)「寂しいこと言うなよ。やめろよ……」

(`・ω・´)「父さんは……母さんの元へ……行ってくるよ……」ガクッ

('A`)「……父さん?」


(` ω ´)「……」


('A`)「父さああああああああああん!!」

855 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 03:30:26.80 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「うう……ぐす……ひっく、ぐす……」

('A`)「父さん……父さん……」

('A`)「誰も父さんを殺すことなんて出来ないと思ってたのに……」

川 ゚ -゚)「ドクオ……」

('A`)「……泣いてばかりもいられない」

('A`)「父さんもそんなことは望んでいないはずだ」

('A`)「クー、ここを出よう。みんなに報告しねぇと」

川 ゚ -゚)「ヒッキーはどうする?」

('A`)「あいつはもう……無害だ。後は警察が始末してくれるだろう」

('A`)「行こう。よいせっと……」

('A`)「父さん、アメリカ来て少し太ったんだね。ちょっと重いよ」

川 ゚ -゚)「君の父さんを背負っていくのか? 超能力とやらで運んだ方が」

('A`)「いや……おんぶしていきたいんだ」

川 ゚ -゚)「……そうか」

871 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 03:36:01.69 ID:t0f8/cFJ0
〜〜校舎前〜〜


( ^ω^)「あっ、ドクオたちだお! ドクオがシャキンさんおんぶしてこっちに来るお!」

川д川「うふふ……さすが私の守護印……」

( ><)「その横に女の子もいるんです!」

(゚、゚トソン「あれは」

ミセ*゚ー゚)リ「クーさん?」

从 ゚∀从「あのブックワーム、まだ残っていたんかい……ようやるわ」

(-@∀@)「一件落着……かな。これで」

(´・ω・`)「急にシャキンさんが消えた時はびっくりしたけど……」

( ^Д^)「仲睦まじい親子だな! 息子が父親を慰労してるぜ! かー!」

(*゚ー゚)「シャキンさん……疲れただろうからね……」

886 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 03:40:25.85 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「……よう、お前ら」

( ^ω^)「ドクオ! 心配したお!」

ξ゚听)ξ「……ヒッキーは!? ヒッキーはどうなったの!?」

('A`)「ああ、あいつは……衰弱状態だ……」

('A`)「警察の皆さんに、突入してくれって伝えてくれ……」

(´・ω・`)「それより、シャキンさんは疲れて寝てるのかい?」

('A`)「いや……そうじゃないんだ……」

(*゚ー゚)「あれ、これ……血!?」

('A`)「父さんはな……俺をかばって……撃たれたんだ……」

('A`)「もう目を覚まさないんだ……」

(-@∀@)「そっ……」

从 ゚∀从「そんな……おい、タチの悪いジョークなんだろ!?」

893 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 03:45:06.82 ID:t0f8/cFJ0
('A`)「ジョークだったら……どんなにいいか……っ!」

(´・ω・`)「ドクオ……」

('A`)「……俺、このまま帰るよ」

('A`)「父さんを早く休ませたいんだ……」

( ^ω^)「……そうかお」

('A`)「じゃあな……」テク...

「おいドクオ」

('A`)「なんだい父さん」

(`・ω・´)「父さんな、臨死体験を通じてヒーリングのチャンネルを開いたよ」

('A`)「そう。今日の夕食はボンゴレビアンコにするよ……って」

('A`)「……え?」

905 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 03:48:17.26 ID:t0f8/cFJ0
( ^Д^)「えっ」

( ><)「えっ」

(´・ω・`)「なにこれ? ミラクル? 不条理なんだけど」

('A`)「と、父さん!? どういうこと!?」

('A`)「え、なにこの瞬発力ありすぎな復活劇は!?」

川д川「蘇る死者……禁忌……うふふ……」

(`・ω・´)「なんだ、ドクオ、気づいてなかったのか」

('A`)「なにがだい」

(`・ω・´)「お前、父さん以上の能力に覚醒してるぞ」

('A`)「へ?」

(`・ω・´)「おめでとう。史上初の蘇生能力者だ」

919 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 03:52:50.68 ID:t0f8/cFJ0
(`・ω・´)「父さんの死がチャンネル開放のキーになったんだなあ」

(`・ω・´)「父さん、お前の背中にずっと触れているうちに、生き返っちゃったよ」

('A`)「なんか久々にこのぼんやりした感覚ゲットしたわ」

(`・ω・´)「ドクオ、お前は今日から史上最高位の能力保持者となったんだ」

(`・ω・´)「だが最強の座は譲る気はないぞ!」

('A`)「いらねぇよ」

( ^ω^)「というか、あのー……」

('A`)「なんだよ」

(-@∀@)「一応……感動の再会なんだけど……」

('A`)「ああ、なんかもう……どうでもよくなってきた」

('A`)「これが現実なら非現実はどんだけ恐ろしいんだよ」

927 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 03:56:48.48 ID:t0f8/cFJ0
(゚、゚トソン「でしたら……」

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんが喜ばないなら……」

从 ゚∀从「アタシらが存分に!」

( ^Д^)「うおおおお! シャキンさああん! おかえりいいいい!」


WAAAAAAAAAAAAAHHH!!!!


(`・ω・´)「こらこら、復活したてなんだから、そんなに乱暴に飛びつかないでくれよ」

ξ゚听)ξ「あんたもハグしてきたら?」

('A`)「いや、俺はいいよ……アホらしくなってきた」

('A`)「俺の心配はなんだったんだ……」

川 ゚ -゚)「よくわからんがお前の親父さんは超越種か何かなのか?」

('A`)「俺もたった今その仲間入りを果たしたところだ」

936 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 04:00:47.40 ID:t0f8/cFJ0
( ^Д^)「おいドクオ! そう遠慮するな!」

(´・ω・`)「思春期特有の恥じらいかもしれないね」

从 ゚∀从「そりゃよくない。思い切っていけ!」

('A`)「ちょ、お前ら、押すな!」

(゚、゚トソン「まあまあ」

ミセ*゚ー゚)リ「そう言わずに!」

('A`)「だからってなあ……」

(`・ω・´)「ドクオ、そんな照れなくてもいいぞ」

(`・ω・´)「こんな時ぐらいスキンシップを図るのも悪くない」

('A`)「……じゃあ……」

('A`)「……五秒だけな!」

ワァァァァァァアアアアア!!!

946 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 04:04:37.10 ID:t0f8/cFJ0
ワイワイ

从 ゚∀从「ヒュー! 親子の熱い抱擁だ!」

(-@∀@)「これはいい画が撮れる!」

ガヤガヤ


('A`)「……なあ」

(`・ω・´)「なんだ?」

('A`)「ぶっちゃけ、このヴィジョン見えてたんだろ?」

(`・ω・´)「さあ、どうかな」

('A`)「未来視を信頼して動いてたな……」

(`・ω・´)「それより、今日の夕食はボンゴレなんだろう? 楽しみだな」

('A`)「ああ、腕によりをかけて作るよ」

951 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 04:08:32.59 ID:t0f8/cFJ0
〜〜一ヶ月後〜〜


('A`)(あの後……)

('A`)(俺の蘇生能力によって、死者は皆復活した)

('A`)(無論、ジョルジュもだ)

('A`)(なんだか神様にでもなった気分だった)

('A`)(NASAの人は神を超えた能力と言っていたが、それはちょっと畏れ多い)

('A`)(その後は父さんが前もって言っていた通り)

('A`)(マインドクライムの保持者によって)

('A`)(あの日のすべての記憶がデリートされた)

('A`)(俺と、父さんと、NASA関係者と)

('A`)(……・ヒッキー以外)

962 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 04:12:14.94 ID:t0f8/cFJ0
('A`)(ヒッキーは現在NASAが引き取り)

('A`)(精神的治療を受けさせているらしい)

('A`)(……すべての記憶を忘却させるそうだ)

('A`)(たぶん別の人間としてやり直させるんだろうなぁ)

('A`)(さて、ジョルジュとの件だが)

('A`)(結局マインドクライムの保持者……長いからマイちゃんにする)

('A`)(マイちゃんに頼んで、俺と正攻法での殴り合いを繰り広げ)

('A`)(接戦の末かろうじて俺が勝ったという記憶を植え付けることにしてもらった)

('A`)(そう、俺の超能力に関する記憶も削除してもらったのだ)

('A`)(代償はでかかったが……まあ仕方あるまい)

('A`)(ともあれ、これにより、)計画の全てが成し遂げられたことになった

975 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 04:16:58.33 ID:t0f8/cFJ0
('A`)(思惑通り、ジョックたちは散り散りばらばら)

('A`)(だが俺とジョルジュがお互いを認め合ったせいで)

('A`)(観ていた学生たちの間に、平等という概念が芽生えたそうだ)

('A`)(ジョックもナードもないってな)

('A`)(マイちゃんがそんなシナリオにしてくれたようで)

('A`)(そしてスクールカーストという風習は、この高校では終わった)

('A`)(ヒッキーが起こしたかった崩壊とは、全然違うけどな……)

('A`)(ただブーンには悪いことをした)

('A`)(せっかくの一世一代の告白だったのにな……)

('A`)(ま、時間はある。ゆっくりやっていけばいいさ)

('A`)(クイーンとナードの垣根はきえたんだから)

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 04:29:28.41 ID:t0f8/cFJ0
('A`)(ただ……それは良かったんだが……)

(`・ω・´)「おおドクオ。用意は済ませたかい」

('A`)「あ、うん、終わったよ。終わったから駐車場にいるの」

(`・ω・´)「そうか。では車に乗り込むんだ。行くぞ」バタン

('A`)「了解っと」バタン

('A`)「……」ブロロロロロ...

('A`)(結局俺はあの学校を辞めることになった)

('A`)(なんかショボンが送信してきたメールによれば)

('A`)(俺は日本から来た風雲児……カミカゼボーイとかって呼ばれてるらしい)

('A`)(今時このネーミングセンスはないと思う)

('A`)(……気のいい奴らばかりで、楽しかったんだが……)

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 04:33:45.63 ID:t0f8/cFJ0
キキィ!

(`・ω・´)「到着したぞ。降りなさい」

('A`)「はいよっと」バタン

(`・ω・´)「今日からお前の仕事始めだからな。しっかりやるんだぞ」

('A`)「人間関係が怖いわ……俺より年上ばっかだろ?」

(`・ω・´)「能力なんて何歳からでも発現する。ドクオより若い子もいるんだから」

('A`)「そりゃ安息もんだよ」

('A`)(そう……俺は転校すると皆には告げていたが……)

('A`)(実際のところは父さんと一緒に)

('A`)「ここ……NASAの研究対象として勤務することになったんだよな……」

('A`)「それがマイちゃんとの約束だった……でかい貸しだ」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 04:39:02.34 ID:t0f8/cFJ0
('A`)(そして……)

ゴッ...ボォォォォォン!!!

('A`)「な、なんだ今の爆風!? そして人人人? 前方に人の群れ?」

(`・ω・´)「やや、これは困ったな」

(`・ω・´)「ドクオの勤務初日、その日程のリークでもあったようだ」

(`・ω・´)「CIAか連邦のエージェントが嗅ぎつけたに違いないな。暇な連中だよ」

('A`)「もうちょい焦ろうぜ」

(`・ω・´)「こんなところで管巻いてはいられない! 行くぞ、ドクオ!」

('A`)「行くってどこへだよ。研究所の入口封鎖されてんぞ」

('、`*川「こっちよ、二人とも!」

('A`)「マイちゃん!」

('、`*川「誰ですかそれは。ペニサスです」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 04:44:23.39 ID:t0f8/cFJ0
('、`*川「とにかく地下へ!」ガコン

('A`)「うお、凄い設計だなこの施設……」

('、`*川「研究所内なら安全ですから……はっ、いけない!」

(`・ω・´)「どうかしたか」

('、`*川「先程の爆発の衝撃で、地下道の支柱が倒壊してます! ルートD、進行不可能!」

('A`)「おい、どうすんだよ。中に入るための経路がないんだけど」

('、`*川「ならば……」

(`・ω・´)「正面突破しかないな」

('A`)「なんとなくそう答えると思ったよ」

(`・ω・´)「行くぞ、息子よ!」

('A`)「そうだね。お昼はサブウェイのサンドイッチにしよう」

(`・ω・´)「いい提案だな」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 04:49:08.28 ID:t0f8/cFJ0
('、`*川「私の一対多における戦闘能力は大したものではありません」

('、`*川「フォローお願いします!」

('A`)「まあ……死んでも余裕あるんだけどな、俺いるし」

('、`*川「さすが最高の能力者ですね」

('A`)「あんま嬉しくないけどな」

(`・ω・´)「……でえええええいっ!!」

ズッ...ドォォォォォォンヌッ!!!!

(`・ω・´)「半数近くは片付いたか」

('、`*川「一撃でこれですか……感嘆するばかりですよ、最強の能力者には……」

('A`)「帰りたい」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/03(水) 04:54:24.91 ID:t0f8/cFJ0
('、`*川「これなら一点突破の成功率は現実的な数値です!」

(`・ω・´)「行くぞ!」

('A`)「はいはい、走りますよ……念動力使って」

('A`)(そう……俺はリカバリースキルを保有する、最高の能力者)

('A`)(地球上最強の称号をほしいままにする父さんと共に……)

('A`)(全生命体ヒエラルキーにおける……ジョックになったのだ)

('A`)(これまではそういった層をぶっ飛ばすことに全力を傾けていたが)

('A`)「これからは……自分がぶっ飛ばされる立場……」



('A`)「あああああ!! 日本に帰りてえええ!!」






             〜('A`)がジョックどもをぶっ飛ばすようです END〜



 

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