( ・∀・)彼女は星を見たいようです

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 18:41:51.78 ID:hSBtCGUh0


川;゚ -゚)『あれ、お前に渡す物があったんだが』
(;・∀・)「それより!クーまだ着かないの!?」
川 ゚ -゚)『おぉ!あったあった
スマン思った以上に渋滞が酷くてな』
(;・∀・)「どうすんの!このままじゃ僕・・・!」
( ФωФ)「モララー君」

(;・∀・)そ「はいいいっ!」

僕は今、彼女の実家に来ています。
・・・一人で。




8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 18:43:37.00 ID:hSBtCGUh0



( ・∀・)彼女は星を見たいようです



.


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 18:47:53.78 ID:hSBtCGUh0
( ^ω^)「まあモラくん食いねえお!」
( ´∀`)「これうまいモナ!ほれ」
('、`*川「ゆっくりしていってね、モララー君」
( ^ω^)「ほれビールだお!」
(;・∀・)「・・・あ、ありがとうございます」
( ФωФ)「いやあ、こんな田舎まで良くきてくれたのである」

僕の隣に居るのが彼女のお父さん
(フランス人とのハーフらしい)
反対隣には彼の弟さんが二人
正面には彼女のお母さん。
この家の人たちはとてもいい人たちだ。
おかげで先程からとんでもない量の夕飯をご馳走され
僕のお腹は破裂しそうだった。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 18:50:29.02 ID:hSBtCGUh0
(;・∀・)「いえ・・・本当にお腹がいっぱいに・・・」
ちょっとの抵抗
( ^ω^)「んな事ないだろうお!ほれ」
(;・∀・)「あ、あう・・・」
まったく意味が無かった。
僕の取り皿は食べても食べても、決して空にならない。

( ・∀・)「クー早くきてよ・・・」

ちょっぴり涙が出る。
元々は二人で来る予定だったのだ。
彼女の両親にご挨拶をしに。
ところが彼女が今朝になって
川 ゚ -゚)「スマン、教授に用事を頼まれた」
なんて言ってきた。
さらには
川 ゚ -゚)「取り敢えず、君だけでも先に行っててくれ」
という無茶を言われた。
大体彼女の実家に来るのは初めてなのに。
よくあんな地図(クーが書いてくれた)だけで
ここまで辿り着いたなあ・・・と遠い目になる。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 18:53:24.48 ID:hSBtCGUh0
それに加え
('、`*川「あなたがクーの大学のお友達ね」
( ФωФ)「いらっしゃい、よく来たのである」
( *^ω^)「クーちゃんの彼氏だったりするんじゃないんかお?」
(;・∀・)「あ・・・あのd

( ФωФ)「ははっ、もしそうだったら
全力でぶちのめすだけである」


辿り着くなりこの仕打ちである。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 18:55:36.97 ID:hSBtCGUh0
(;・∀・)『言えない・・・!クーの彼氏だなんて言えない!』
僕はチキンなのである。
いや、チキンじゃなくてもこのタイミングは無理。
明らかに無理。

( ФωФ)「・・・くん、モララーくん!」
(;・∀・)そ「はいいっ!」
( ФωФ)「どうしたのであるか、ぼんやりして」
(;・∀・)「い、いえ」

言えません。
言えませんとも。
僕が空瑠さんの彼氏だって言えなくて悩んでました。なんて。

( ФωФ)「ところで君の本名を聞きそびれていたのである」
( ・∀・)「あっ、本当ですね。星野、星野茂等です」
( ФωФ)「星野くん、であるか…」

彼女のお父さん、ロマネスクさんが
・・・何て言えば良いだろう
少し切なそうな、複雑な顔をしている。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 18:58:28.22 ID:hSBtCGUh0
( ФωФ)「ところで母さん。変なにおいがしないであるか?」
('、`*川「・・・やだ!火つけっぱなしできちゃった!」

ははは、と笑い声が響く。
僕も取り敢えず笑っておく。
男だけになったリビングは一通り笑い終えると
静まり返った。

( ´∀`)「モラくん・・・」
( ・∀・)「はい!」

三男の盛成さんだ。
(彼だけ日本の名前なのはこっちで産まれたから、だそうだ)

( ´∀`)「・・・クーちゃんは処女モナ?」
(;・∀・)「はい!?」

盛成さんが突然下世話な事を尋ねてきた。

( ^ω^)「お前それは聞いちゃいかんお!」
( ФωФ)「まったくであるwww」

三人は笑っている。
僕は死にそうだ。

19 名前:>>18 ご指摘ありがとうございます! 投稿日:2009/11/08(日) 19:03:53.12 ID:hSBtCGUh0
( ^ω^)「まあ飲むお!モラくん!」

次男のホライゾンさん(なぜかブーンと呼ばれている)は
しきりにビールを注いでくる。
勘弁してください。

(;・∀・)「す、すいません僕ちょっとトイレ・・・」

( ФωФ)「出てすぐ右である」

(;・∀・)「ありがとうございます・・・」



脱出成功・・・
そう思い、取り敢えず携帯を手に取った時、
廊下のすみに人影を見つけた。

( ・∀・)「黒髪…?」


ロマネスクさん達は皆フランス人らしく、
金髪とオレンジ、金髪と淡いレモン色みたいな色のどちらかであった。
そしてお母さんは台所で新たな料理を生み出している。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 19:08:20.30 ID:hSBtCGUh0

そうなると…

(;・∀・)「…どちら様ですか?」

泥棒だろうか、と僕は構える。
しかし返事はない。
ボサボサの短い黒髪。
上は首周りがダルダルになったTシャツに
下はジャージといったラフな格好である。
首からは黄色い紐が垂れていて、その先には赤いお守りがつけられていた。

( ´∀`)「またドクさんモナか!」

( ;^ω^)そ「いつ入ったんだお!」


('p`)「あーおぅ」

ドクさん、と呼ばれた彼は
だらしなく開いた口の端からだらだらと涎を垂らし、
体育座りでこちらへ振り返る。
そして僕をぼんやり眺めていた。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 19:14:46.63 ID:hSBtCGUh0

(;・∀・)「・・・ドクさん?」

ロマネスクさんがひょいと顔を出す。

( ФωФ)「ドクさんであるか。丁度いい、一緒に飯でも食うのである」

('p`)「あー」

ドクさんと呼ばれたその男はのそりと立ち上がり、
ずるずると音を立てながら部屋に入っていく。
足元に目をやると片方はオレンジ色、もう片方は青色で穴の開いた靴下を履いていた。

(#^ω^)「あーコラ!料理に指つっこむなお!!」

(#´∀`)「ドクさん止めるモナ!」

盛成さんがぽかりとドクさんを殴る。
ドクさんは相変わらず
あー、とかうー、しか言わない。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 19:17:23.55 ID:hSBtCGUh0


( ФωФ)「モララー君」

( ・∀・)「はい」

( ФωФ)「悪い人ではないんである」

( ・∀・)「・・・?」

( ФωФ)「ドクさん、悪い人ではないんであるよ」

( ・∀・)「はあ・・・」

僕はじっとドクさんを見る。
相変わらず盛成さんがドクさんを殴り、
ホライゾンさんがしきりに料理を気にしている。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 19:19:52.03 ID:hSBtCGUh0


( ФωФ)「こら、そろそろいいのである。二人とも」

ロマネスクさんがそう言うと、二人は動きを止め大人しく座る。
そうしてそのまま沈黙が続く。
ドクさんがちょっと変わった味のする煮物をくちゃくちゃと
音を立てながら食べている。

(;・∀・)『うわ・・・どうしよこの空気』

そう思っていた時である。


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 19:45:53.00 ID:hSBtCGUh0


( )『モララー君』

( ・∀・)「・・・?」

( )『応答ガガッせよモララー君、ガガッ私だ』

( ・∀・)「・・・へ?」

( )『早く接続するんだガガガ』

何この急展開!?

(;・∀・)「接続って何を!?」

(;ФωФ)そ「どうしたであるかモララー君」

(;・∀・)「いや何でも!」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 19:47:56.42 ID:hSBtCGUh0


( )『モララー君!かけてる眼鏡をテーブルに置きたまえ!』

(;・∀・)「え!?はい!」

( )『接続!』

途端、ブォンという機械音が脳にダイレクトに響く。

(;ФωФ)「だから何であるか!?モララー君!」

(;・∀・)「何でも無いですスミマセン!」

そうして謎の通信が始まった。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 19:49:57.65 ID:hSBtCGUh0


('A`)『初めましてモララー君、僕の名前はドクオ』

(;・∀・)『ドクさん・・・なんですか?』

('A`)『うん。僕の首の後ろにある機械を通して
   君の思考と接触している。時間が限られているけどね』

何だそれ・・・
僕の思考は取り敢えず彼の次元に追いつこうとする努力をやめた。
だって理解できないし、まぁいいや。と思った。

( ・∀・)『それで何の用ですか?』


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 19:51:41.75 ID:hSBtCGUh0


('A`)『ずばり、君,空瑠ちゃんの彼氏だね』

(;・∀・)そ「なっ何で分かったんですか!!!」

(;^ω^)そ
(;ФωФ)そ「「「!?」」」
(;´∀`)そ

(;・∀・)「あっ・・・スミマセン」


(;^ω^)「いやあ・・・最近の若いもんが突然叫びだして・・・怖いもんだお」ヒソヒソ

(;´∀`)「全くモナー・・・」ヒソヒソ

二人のヒソヒソ話が心に突き刺さる。
違う!僕は変な人じゃない!!

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 19:57:23.56 ID:hSBtCGUh0


(;・∀・)『何で分かったんですか!?』

('A`)『空瑠ちゃんを小さい頃から知ってるからね』

( ・∀・)『・・・そうですか』

少しムッとする。

('A`)『・・・怒らないでくれ、もうずっと昔の話だよ』

( ・∀・)『怒ったりなんかしてません』

('A`)『話を戻そう、君、お父さんたちに苦戦中だろ』

( ・∀・)『・・・まあ、そうですね。』


ロマネスクさんよりも、その兄弟に、といった感じではあるが。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 19:58:50.27 ID:hSBtCGUh0


( ・∀・)『でもそろそろクーも到着するでしょうし・・・』

('A`)『クーちゃんの現在地
…ピピッ!
・・・まだ暫くかかるね』

(;・∀・)『アンタ何したんすか!?』

('A`)『クーちゃんの現在地の検索』

(;・∀・)『・・・ドクさん意味分からねぇ・・・大体何で眼鏡が』

('A`)『あの場で意思を反射させて君の脳に伝えられそうな物が眼鏡しかなかったんだよ』

( ・∀・)『どんな仕組みだよ・・・』


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:04:11.10 ID:hSBtCGUh0


('A`)『あと僕と、さっき君が変な顔をしながら食べていた煮物の材料は蛙の肉だ』

(;・∀・)『ええええええおええええええええええええええ!!!』

最悪だ。
僕は蛙の肉を苦笑いしながら食っていたのか。
しかも大量に。

( ・∀・)『死にたい・・・』

('A`)『それ僕の専売特許なんだけど』

( ・∀・)『へ?』

('A`)『いや、こっちの話』


何がなんだか。


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:08:20.23 ID:hSBtCGUh0

('A`)『で、お父さんに君は何を言いたいのかな』

( ・∀・)『え、それは・・・』

( ・∀・)『お父さんに('A`)『解除』

( ・∀・)「クーさんと真剣に御付き合いさせていただいてます・・・って」


ん?僕は今
とんでもないことをやらかした気が・・・
変な汗が出てきたぞ!


( ФωФ)「・・・それは本当であるか。モララーくん」


俺ピンチ、超ピンチ。
ロマさんが怖い。無駄に笑顔なのが恐怖を煽る。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:14:04.96 ID:hSBtCGUh0


(;・∀・)そ「何やってんすかドクさん!!」

( ;^ω^)「最近の若者は怖いお・・・叫んだと思ったらとんでもない事言い出したお」

(#´∀`)「クーちゃんの処女を奪ったモナか!」

あぁ何が何だか・・・

(#^ω^)「挙句兄さんの機嫌が悪くなったからって
      ドクさんのせいにしようとしてからに、だお!」

('A`)ピピッ『ゴメンね☆ワザとだけど』

(;・∀・)「ドクさーん!!!!」

(#゜ω゜)「だからドクさんのせいにするんじゃねーお!」

(#´∀`)「ドクさんがちょっと頭変だからって最低モナ!処女返せモナ!」


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:19:38.88 ID:hSBtCGUh0


一瞬は驚いたような顔を見せていたロマネスクさんだが
(小声でこのタイミングであるか、とは呟いてたが。)
ふぅ、と息を吐くと落ち着いて言った。

( ФωФ)「二人とも、ちょっと席を外して欲しいのである」

(;・∀・)「え?」

(#゜ω゜)「何でだお兄さん!」

(#´∀`)「そうモナ!処女が!」

( ФωФ)「いいから下がってるのである!」


( ^ω^)「・・・分かったお」

( ´∀`)「・・・・・・処女」

(;・∀・)「え、あ、あの」



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:22:50.70 ID:hSBtCGUh0

再びドクさんからの電波が入る。

('A`)『じゃあ僕もおいとまするかな・・・
   機械もそろそろ寿命だし、コレが最後の交信かな』

( ・∀・)「へ?何ですかドクさん?」

('A`)『あとは君の力で頑張りたまえ、僕は協力はしたよ。』

('∀`)『…ザザッ・・・の・・・とた・・・ガッ・・・つに・・ピピ・・・ね』


( ^ω^)「じゃあ、ちょっと散歩にでも行ってくるお」

( ´∀`)「ドクさんも一緒に行くモナ」

('p`)「あうー」

( ФωФ)「いや、ドクさんはそこに居て欲しいのである」

('p`)「あーうあーうー」


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:27:34.68 ID:hSBtCGUh0


そうして二人が去るのを見送ってからロマさんは重い口を開いた。

( ФωФ)「モララーくん。さっき言ったことは本当であるか」

(;・∀・)「えっと」

僕は少しだけ迷ってから、答えた。
ドクさんがせっかくくれたチャンスを生かしたかった。

( ・∀・)「・・・はい。空瑠さんと、真剣にお付き合いさせて頂いています」

( ФωФ)「それなら、少し・・・昔話に付き合って欲しいのである」

( ・∀・)「・・・?」


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:29:58.82 ID:hSBtCGUh0


( ФωФ)「ドクさん、あれ、貸して欲しいである」

('p`#)「うーあー!!!」

( ФωФ)「すぐに返すである」

('p`)「・・・うー」

ドクさんがぎゅっと握り締めたお守りを受け取ったロマネスクさんは、
その中から少し黄ばんだ古い紙を取り出した。

( ・∀・)「・・・それは?」

( ФωФ)「これは・・・ラブレターである」

( ・∀・)「え」

( ФωФ)「空瑠がドクさんに書いた、ラブレター」


あれは空瑠が小学校四年生くらいの時であるかな。
そう呟きながら、くしゃくしゃと音を立て手紙を開いていく。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:32:52.61 ID:hSBtCGUh0




はいけい
星野 どくおさま

このまえは いっしょに お星さまを 見にいってくれて
ありがとうございました
すぐに 雨がふりだして あまり お星さまは 
見れなかったけど
おへやで 見せてくれた ぷらねたりーむは
すごく きれいでした

どくおは もうすぐ トーキョーに
いくって お父さんに ききました
わたしは すごく かなしいです
また お休みの日には 帰ってきて
いっしょに お星さまを 見てください

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:36:20.25 ID:hSBtCGUh0

お父さんに トーキョーには 
きれいな人が たくさんいるから
くうるのことなんて すぐに わすれてしまうと いわれました。

でも くうるのゆめは
どくおの およめさんに なることです。

くうるは どくおが すきです
だから はやく 帰ってきてね
どくおが ずっと すきだからね

                  すなお くうるより




51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:41:57.25 ID:hSBtCGUh0


( ・∀・)「ドクさん・・・」

読み終えると、彼はそっとそれをたたんで
それから僕に向かって語りかけた。

( ФωФ)「もう字なんて読めないくせに、いつまで経っても持ってるのである」

( ・∀・)「・・・」

( ФωФ)「彼はね、それは頭が良かったのである。
 神童なんて呼ばれてたし、模試では必ず10番以内に入っていたそうである。
 そんな彼は幼い時から星を見るのが好きだったである。
 いつも『僕の名前にあるものは何てきれいなんだろう』
なんて言っていたのである」


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:47:41.30 ID:hSBtCGUh0

彼は話を続ける。

( ФωФ)「彼の両親は既に他界していて
     彼は自分の親が残した物を愛していたのである。
     それが天体望遠鏡と星である。
 
     そういえば彼の親は偶然にも、二人とも苗字が星野であった。
     そんなこともあってかな、彼の星への思いは募り
     宇宙に行くことと星を調べることが彼の夢になっていたのである。
     完全に星オタクである」

そう言ってふっと笑ってみせる。

('p`)「あー」

ドクさんは蛙の煮物をボロボロと溢しながら食べている。
彼から伝えられる嘗ての姿は、今やどこにいってしまったのか。


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:50:12.11 ID:hSBtCGUh0

( ФωФ)「彼は東京への進学を希望した。天文学の出来る学校。
      難関大学ではあったが、彼にとっては何てことはなかったである」

けれど

そこで少し間をおいてドクさんをちらりと見た。

('p`#)「うー!」

( ФωФ)「あぁ、すまないのである。ちゃんと返すである」

お守りの中に再び手紙をしまう。

( ФωФ)「・・・彼は自殺にした。そして失敗したのである。
      きっと、彼にとって最初で最後の失敗である」


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:57:36.95 ID:hSBtCGUh0


自殺、失敗。

僕は頭が真っ白になった。
彼は何を思って自殺しようとしたのだろうか。
そしてなぜ、優秀であった彼は
自分を殺しきれなかったのだろうか。


( ・∀・)「なぜ」

( ФωФ)「それは私たちには分からないのである」



( ФωФ)「ただね、星野くん」

視線を真っ直ぐ向けて、ロマネスクさんが僕に語りかける。



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:01:37.08 ID:hSBtCGUh0


( ФωФ)「空瑠は確かに、ドクさんが好きだったのである。
それは事実でなのである」


( ・∀・)「・・・はい」

僕は少しだけ微笑んだ。
彼はそれを見て同じように微笑み返してくれた。

( ФωФ)「星野くん。
      君と空瑠がどんなお付き合いをしているか
      私は知らないし、知る気もないのである。
 
      ただ、これだけは覚えていて欲しい。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:08:43.50 ID:hSBtCGUh0


( ФωФ)「空瑠がここへ帰ってくるのは
      ドクさんと星を見るためである。
      夜、二人で星を見に行くのである。

      それだけは、どうか許してやって欲しいのである」


お父さんが頭を深く下げていた。
僕もそうする。


川 ゚ -゚)「お父さん、ただいま」

玄関からクーの声がした。

( *ФωФ)「おお、帰ってきたのである!」

いそいそと玄関に向かうお父さんを見つめる。


59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:12:17.71 ID:hSBtCGUh0


気が付くとドクさんが隣に立っていた。

( ・∀・)「ありがとう、ドクさん」


するとドクさんは満面の笑みで、こう言った。

('p`*)「うう!おーう!」





今夜も星が綺麗だ。









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