- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 18:36:24.68 ID:Ja7FYFfl0
〜 ぷろろーぐ 〜
( ФωФ)「……ツン、ちょっとこっちへ来なさい」
ξ゚听)ξ「なに? お父さん」
( ФωФ)「点数を読み上げなさい」
ξ゚听)ξ「32点」
( ФωФ)「言い訳はあるかな?」
ξ゚听)ξ「言い訳しなきゃ駄目なほど悪くないと思うんだけど」
( ФωФ)「悪いです」
ξ゚听)ξ「悪いですか」
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 18:40:25.81 ID:Ja7FYFfl0
ξ--)ξ「でも、考えてみてよ、お父さん」
ξ゚听)ξ「容姿端麗なこの私。これで勉強までできたら凄い嫌な奴じゃない?」
(;ФωФ)「むむぅ。一理あるのが腹立たしい……」
ξ゚听)ξ「でしょ?」
ξ゚听)ξ「…それに、勉強が苦手なのは遺伝ってことも――」
( ФωФ)「前言撤回。撤回する」
ξ;゚听)ξ「えー」
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 18:43:42.33 ID:Ja7FYFfl0
ξ゚听)ξ「そもそもいいのよ勉強なんて」
( ФωФ)「と言うと?」
ξ゚听)ξ「私、ブーンに養ってもらうから。永久就職」
(;ФωФ)「我が娘ながらなんてふてぶてしい……。ブーン君の好意を利用して……」
ξ--)ξ「妻を養うのは夫の務めでしょ?」
(;ФωФ)「お前は高校卒業直後に結婚する気か……」
( ФωФ)「して、ツン。妻の務めである炊事洗濯はできるのか?」
ξ゚听)ξ「できないけど」
(;ФωФ)「駄目じゃん!一人娘だからって甘やかし過ぎた!!」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 18:46:49.61 ID:Ja7FYFfl0
( ФωФ)「この由々しき事態」
( ФωФ)「そこでお父さんは家庭教師を雇うことにした」
ξ゚听)ξ「少ない給料で?」
(;ФωФ)「そう、少ない給料で……って誰の為にやってると思ってるんだ」
( ФωФ)「まぁいい」
( ФωФ)「取引先のエクストさんのツテだ。凄い優秀らしいぞ、凄い」
ξ゚听)ξ「お父さん、『凄い』連呼すると頭悪く見えるよ」
( ФωФ)「黙れ」
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 18:50:33.60 ID:Ja7FYFfl0
( ФωФ)「――では、カモーン!!」
――家庭教師。
居間の扉が開けられてまず目に入ったのは、機能的なお仕着せ――メイド服。
サブカル的にありがちーな、萌え系のものではなく、がっつり本職用というのが私でも分かるようなものだった。
「ご使命、ありがとうございます」
ホストみたいなことを言いながら、スカートの裾を摘み、“何とか”というお辞儀。
仰々しく頭を下げた。
服装にも吃驚したが、何より驚いたのは――
( ><)「これより期末テストまでの間御奉仕させていただくことになる、メイドガイの天鵞絨です」
ξ;゚听)ξ「…………え?」
――メイド服を着ていたのが、紛れもない男の子だったこと。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 18:53:24.00 ID:Ja7FYFfl0
ξ#゚听)ξ ツンさん家の『メイドガイ』のようです (>< )
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 18:57:01.22 ID:Ja7FYFfl0
〜 第一話 〜
「メイドガイがいる朝」
ξ--)ξ「――ふぁぁ」
ξ;゚听)ξ「……なんか、メイド服着た可愛い男の子の夢見た気がする…………」
ξ^竸)ξ「ありえないありえない。あははー」
ガチャ
( ><)「おはようございます、お嬢様。良い朝ですね」
ξ )ξ「予想はできてたし本当に夢だったら話進まないけど夢じゃなかったー……」
( ><)「お嬢様。ご飯になさいますか? それとも、お召し替えになさいますか?」
ξ#゚听)ξ「――とりあえずこれ見よがしに私の下着を持ち上げるのを止めてそこに置いてそして私の視界から消えてください」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 19:00:33.28 ID:Ja7FYFfl0
〜 第二話 〜
「メイドガイとの朝食」
( ><)「好みが分からなかったので和食と洋食両方用意させて頂きました」
( ФωФ)「気が利くなぁ」
ξ;゚听)ξ「いや、お父さん。『気が利くなぁ』じゃなくて。もっと気にするとこあるでしょ?」
( ФωФ)「?」
ξ;゚听)ξ「男の子がっ!メイド服を!!着てることとかっっ!!!」
( ФωФ)「メイドガイなんだから当たり前だ」
ξ;゚听)ξ「メイドガイという存在が当たり前じゃないということに気づいてっ、お父さんっ!!」
( ФωФ)「メイド服着た家庭教師だろう?」
ξ;゚听)ξ「どう見ても同い年ぐらいなんですけど!!」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 19:04:07.09 ID:Ja7FYFfl0
( ><)「いかにも。私はお嬢様と同じ年齢です」
ξ;゚听)ξ「なんで同い年に勉強教えられなくちゃならないわけ!!?」
( ><)「高校は中退しましたが、高等学校卒業程度認定試験をパスしているからです」
ξ;゚听)ξ「くっ……難しい言葉で惑わそうってわけね……」
( ><)「難しくないです。文字通りの資格です」
( ><)「しかも四割の得点率で合格なので、お世辞にも『頭が良い』とは言えませんね」
ξ゚听)ξ「…………」
ξ;゚听)ξ「え、なんでそんなので家庭教師やってるの?」
( ><)「お嬢様はその程度の人間でも教えられるほど馬鹿だからです」
ξ#゚听)ξ「メイド風情が良い度胸ね……」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 19:08:26.99 ID:Ja7FYFfl0
〜 第三話 〜
「知識量……?」
ξ--)ξ「はぁ……もう、いいや。とりあえず牛乳頂戴」
( ><)「…………」
( ><)「お言葉ですが、お嬢様」
ξ゚听)ξ「なによ」
( ><)「牛乳飲めば胸が大きくなる、とか考えていらっしゃいませんか?」
ξ;゚听)ξ「うっ!」
( ><)「目測ですが、お嬢様の胸のサイズはBに届かない程度……。確かに気にするのは分かります」
ξ#゚听)ξ「気にしてないわよっ!!」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 19:14:30.01 ID:Ja7FYFfl0
( ><)「乳房の増大には一般にマッサージが効果的とされています」
( ><)「どうでしょう。やりましょうか?」
ξ#゚听)ξ「やったら張っ倒すっ!!」
( ><)「……でしょうね」
( ><)「次のプランとしては食生活の改善ですね」
( ><)「牛乳は確かにタンパク質が多く含まれていますが、特に胸が大きくなるわけではありません」
ξ;゚听)ξ「え……そうなの?」
( ><)「はい。むしろ、規則正しい良い食生活。また大豆イソフラボンなどが良いと思います」
ξ゚听)ξ「へぇ……」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 19:19:20.68 ID:Ja7FYFfl0
ξ゚听)ξ「あの、揉むと大きくなる、って言うのも迷信なの?」
( ><)「……ああ。それは、」
( ><)「揉むと、というよりも性活動を行うと、の方が正しいですね」
( ><)「生殖器と比べると乳房の性的感度は七割程度だとか。私は男なので分かりませんし、そもそも人によりけりだとは思いますが」
ξ--)ξ「まぁ……巨乳は感度が悪いって言うもんね」
( ><)「性的な快楽を伴う行動、自慰や性交渉の類を行うと女性ホルモンの分泌量が増大します。すると、副次的な効果として……」
ξ;゚听)ξφ メモメモ
( ><)「――と、言うわけで。異性の私が揉みましょう」
ξ#゚听)ξ「揉ませるかっ!!」
( ><)「普段の生活から、夜の性活までサポートするのがメイドの役目です」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 19:24:33.21 ID:Ja7FYFfl0
〜 第四話 〜
「メイドガイの知名度」
ξ;--)ξ「うぅぅ……」
( *^ω^)「おっお。ツン、どうしたお?」
ξ;--)ξ「おはよう……。ちょっと、あたしんちのメイドガイが……」
( ^ω^)「?」
――説明開始。
経緯と朝の出来事を数分で伝える。
すると、
(;^ω^)「ツンは疲れてるんだお。今日帰りに病院行こう……?」
ξう;)ξ「ええ、そうなると思ったわよっ!!うぁぁぁあんっ!!!」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 19:29:17.09 ID:Ja7FYFfl0
( ・∀・)「あー、ブーンがツン泣かしてるー」
(;^ω^)「ええ、いやっ違っ……!!」
川 ゚ -゚)「いつもは肩パンされて泣かされてるのにな」
(;^ω^)「それは……そうだけど」
ξう;)ξ「うぅ……あのクソメイド……。なんなの、メイドガイって……」
川 ゚ -゚)「……メイドガイ?」
ξ;゚听)ξ「知っているのか雷電!!」
川;゚ -゚)「あ、ああ……。だから、とりあえず鼻水と涙まみれの顔で近づくのは止めてくれ。もうちょっとついたし」
ξ;--)ξ「それはごめん」
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 19:35:05.82 ID:Ja7FYFfl0
川 ゚ -゚)「……多分、あの聖クリストファーみたいな奴だろ?」
ξ;--)ξ「またそうやって難しい言葉を使って私を馬鹿にする……」
ξ#゚听)ξ「これだから高学歴は……っ!!」
(;^ω^)「学歴ならまだ一緒だから。落ち着いて」
( ・∀・)「今のはクーが悪い。正教会の人間ぐらいにしか通じない例えだ」
ξ゚听)ξ「……そうなの?」
( ・∀・)「ああ」
( ・∀・)「とりあえず、家に帰ったら訊いてみたら? 『なんでメイドなんかやってるの?』ってさ」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 19:40:07.62 ID:Ja7FYFfl0
〜 第五話 〜
「メイドガイの事情」
( ><)「お帰りなさいませ、お嬢様。シャワーをどうぞ」
ξ--)ξっ「……その前に、」
( ><)「なんでしょう」
ξ゚听)ξ「ビロードさんはなんでメイドなんてやってるの?」
( ><)「…………」
( ><)「――お嬢様のような、可愛い方に会う為ですよ」
ξ///)ξ「えっ……」
( ><)「嘘ですが」
ξ#゚听)ξ「嘘かよっ!私のトキメキ返せっ!!」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 19:44:48.97 ID:Ja7FYFfl0
――むかし、むかし。
ある巨人が農場で働いていました。
( ><)「本当は、」
巨人は農園の主に仕えていましたが、主は王様に税金を払っていることを知り、今度は王様に仕えることにしました。
しかし、旅の末。謁見が許され伝えられたのは一言。
「私は悪魔が恐ろしい。私などより悪魔のほうが偉い」と。
( ><)「僕は、本物を見たいんです」
やがて巨人は悪魔と出会い、共に町を壊して回りました。
けれど悪魔は、「教会だけは壊してはいけない。なぜならそこは最も偉大な王が住む場所だからだ」と忠告をしたそうです。
巨人はその偉大な王に会う為にまた旅に出ることにしました。
( ><)「この世界で一番高い場所にいる人に、会いたいんです」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 19:51:39.72 ID:Ja7FYFfl0
――長い時が流れ。
川べりにいた巨人に、小さな男の子が川を渡りたいと頼みました。
快く引き受けたものの……川を進めば進むほど、子供はどんどんと重くなります。
やっとのことで渡り切った巨人は丁重に名前を尋ねました。
男の子は自らの名を告げました。全世界の人々の罪を一身に負うその名を。
その日から、巨人は「クリストファー」と名乗るようになったそうです。
最も偉大な王を背負った者として。
( ><)「それが、僕の夢です」
ξ゚听)ξ「…………」
ξ;゚听)ξ「(理屈は分かったけど……なんでメイド服?)」
ξ;゚听)ξ「(もしかして私以上に馬鹿なんじゃないだろうか、この人……)」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 19:56:19.92 ID:Ja7FYFfl0
〜 第六話 〜
「お嬢様と幼馴染」
( *^ω^)「おー、おはようだお、ツン」
ξ゚听)ξ「ん。おはよう。――よいしょ、」
(;^ω^)「いってぇっ!意味もなく肩パンするのは止めて欲しいお!!」
ξ--)ξ「愛よ、愛」
( *^ω^)「えへへ……愛かお」
ξ;゚听)ξ「(馬鹿だ、コイツ……。私の成績が上がらないのは馬鹿と一緒にいるからじゃないのか?)」
ξ゚听)ξ「まっ、とりあえずもっと痩せてよね。大事な時に乗りにくいじゃない」
( ^ω^)「乗りにくい……?」
( *^ω^)「それは、どういう……」
ξ--)ξ「想像通りの意味よ変態」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 19:59:28.14 ID:Ja7FYFfl0
- ξ*゚听)ξ「――いいっ!? 私がいつまでもアンタの幼馴染だとは限らないんだからねっ!!」
ξ*--)ξ「口説くなら……早くしなさい」
( *^ω^)「(ツンデレならぬデレデレ頂きましたーっと)」
( ^ω^)「でも、確かにそうだお。ツンは美少女だから……」
ξ*゚ー゚)ξ「やめてよ。事実とは言えテレるじゃない」
( ^ω^)「うっかり誰かに取られる可能性も大いにあるお。王道的にイケメンのライバルが――」
( ><)「おじょーさまーっ!!」
ξ゚听)ξ「――え? ああ、お弁当ね。忘れてたわ、ありがとう」
( ゚ω゚)
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 20:03:28.35 ID:Ja7FYFfl0
〜 第七話 〜
「メイドガイはイケメン様」
( ゚ω゚)
い、今、ありのままに起こったことを話すぜ……
俺の幼馴染がメイド服着た、それがまた妙に似合うイケメンに「お嬢様」とか呼ばれてて。
( ><)「お嬢様は忘れ物の頻度が高すぎです」
ξ゚听)ξ「悪かったって」
( ><)「毎朝起きるのは遅いし、ご飯を抜こうとするし……」
( ゚ω゚)
しかも明らかに 『同棲』 の匂いが漂う会話をしている……ッ!!
なんだこの展開……?
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 20:10:20.11 ID:Ja7FYFfl0
(;^ω^)「オーケイ。落ち着いた。事情を聞こう……その某隣人部のメイド男の娘っぽい子は、誰?」
ξ゚听)ξ「我が家のメイドよ」
( ><)「正しくはメイドガイです」
(;^ω^)「……へ、へぇー。先日の会話は冗談じゃなかったんだー」
( ><)「住み込みで働いています」
(;゚ω゚)「嘘だと言ってくれっ!お願いだから!!」
ξ゚听)ξ「何焦ってるの?」
(;^ω^)「そりゃ好きな人の家に見知らぬ男がいたら焦るおっ!!!」
ξ゚听)ξ「…………」
ξ///)ξ カァッ
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 20:16:32.19 ID:Ja7FYFfl0
( ><)「――なるほど」
( ><)「お二人は両想いなのですね」
ξ///)ξ「ああああ、はっきり言うなっ!恥ずかしい!!」
( ><)「(さっきは下ネタ言ってたくせに……)」
( ><)「……ですが、それならば二人で勉強すればいいのではないですか?」
ξ゚听)ξ「あ、それは無理だわ。ブーンは私より成績悪いし」
( ><)「それは残念」
( ^ω^)V 「いぇい」
( ><)「いばられても反応に困ります」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 20:22:13.89 ID:Ja7FYFfl0
〜 第八話 〜
「家庭教師の成果」
ξ;゚听)ξ「ぐぬぬ……ついに、この日がやってきたわね」
川 ゚ -゚)「頑張れバカ」
ξ#゚听)ξ「バカ言うな」
川*д川「テスト終わったらテニミュ行きましょーね、バカさん」
ξ#゚听)ξ「行かねーよミーハー。あとバカ言うな」
( ・∀・)「……実はお前の為にカンニングペーパーを用意してあるぞバカ」
ξ#゚听)ξ「そんなの使ってまで良い点取りたくないわよ。あとバカ言うな」
ミ,,-Д-彡「もし分からない問題があった時は、落ち着いて、素数を数えるんだぞバカ」
ξ#゚听)ξ「バカって言うな。まず素数が何なのか分からないわよ」
(;^ω^)「(バカじゃん)」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 20:26:48.53 ID:Ja7FYFfl0
ハハ ロ -ロ)ハ「はーい。皆さん着席して下さいー。携帯の電源切りましたかー?」
ハハ ロ -ロ)ハ「……よろしいですね。――では、始め」
カリカリカリカリ……
ξ;゚听)ξ「(よし……まず一問目を)」
ξ;゚听)ξ「(……あれ?)」
ξ*゚听)ξ「――凄い!分かる!問一がすんなり解けたのって何年ぶりだろっ!!」
ハハ ロ -ロ)ハ「ツンさん、うるさいです」
ξ*--)ξ「すいませえへへへへへ……」
ハハ ロ -ロ)ハ「謝り切る前に笑い出すのは止めて下さい」
ξ*゚听)ξ「(うわー。うわー、ありがとう、ビロードさん!!)」
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 20:30:15.83 ID:Ja7FYFfl0
〜第九話〜
「ひ・さ・く」
ξ;゚听)ξ「さて、今度は一番苦手な英語」
ξ--)ξ「でも確か朝に……」
( ><)『お嬢様、この袋をお持ち下さい』
ξ゚听)ξ『これは?』
( ><)『お助けアイテムです。ドラえもんで言うところの「ウソ800」です』
ξ゚听)ξ「最終回かよっていう」
ξ;--)ξ「でも、ここは頼るしかない……。頼んだよビロードさん」
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 20:34:16.34 ID:Ja7FYFfl0
ξ*゚听)ξ「今週のビックリドッキリメカ!!」
カラコロ……
・フリスク
・数字付きの鉛筆(「ストライカー・シグマX」)
・お守り(「SHARPENS YOU UP」と書いてある)
ξ#゚听)ξ「――あの野郎ッ!最終的には運任せってか!!」
ξ#゚听)ξ「なにこれフリスクのCMかなんかなのっ!!しかも英語の意味分からないし!」
ξ#゚听)ξ「さっきキュンと来た私がバカだった!死ねっ、ダメイドガイ!!」
ハハ ロ -ロ)ハ「ツンさん、うるさいですよ」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 20:39:39.13 ID:Ja7FYFfl0
〜第十話〜
「バカなご主人様」
( ^ω^)「で、結局どうだったんだお?」
ξ*゚ー゚)ξ「教えてあげないよ、じゃん♪」
( ^ω^)「そんなこと言わずに」
ξ*゚听)ξっ□「ほらほら〜。取れるもんなら取ってみなさい〜?」
( *^ω^)「おっしゃ任せるお!」
イチャイチャ
キャッキャッウフフ
( *^ω^)「――取ったお!」
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 20:43:03.49 ID:Ja7FYFfl0
ξ;゚听)ξ「あっ、バカッ!!車道に飛び出るな――――!!!?」
――交通事故の時とかは、脳がリミッターを外して処理速度が上がる、という話。
クラスメイトが話すそんなウソっぽい雑学を聞きながら「人間って便利にできてるんだな」って思った。
まさか自分が体感することなるとは思ってなかったけど。
(;^ω^)「えっ……?」
迫ってくるワゴンや、驚いた運転手の顔。
全部が止まってるように見えた。
でも、私はそんなことはどうでもよくて――、
ξ;゚听)ξ「――ブーン!!」
心配なのは、バカな幼馴染のことだけで。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 20:46:41.84 ID:Ja7FYFfl0
――同じように飛び出して、思い切り、蹴り飛ばす。
なんの容赦もない飛び蹴りだった。骨とかイッたんじゃないかなぁ、なんて。
乙女の努力の甲斐あって、ブーンは狭い車道を越して、向こう側の歩道まで飛んだ。
当然、
ξ;゚听)ξ「――ってこれじゃ私が身代わりになっただけじゃん!!」
私が――轢かれることになるんだろう。
その時、私が思ったのは。
死ぬんだろうなぁでも痛いかなぁでも生まれ変わりってあるのかなでも神様に会えたりするかなでもなく――、
ξ ー)ξ
ああ、やっぱり私はこの人が好きだったんだ。
それだけだった。
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 20:50:13.04 ID:Ja7FYFfl0
〜第十一話〜
「バカなご主人様の輪をかけて更にバカなメイドガイ」
ξ;--)ξ
――痛くない?
痛くない、痛くない……
骨が砕けたみたいな凄い音したけど……
「――本当に、バカなご主人様なんです」
ξ;゚听)ξ「……っ!?」
「頑張って口調直してたのに元に戻っちゃったんです。お嬢様のバカ振りは、『バカ』通り越して『酔狂』なんです」
人間は、凄い。
本当に凄いと思う。本日二度目の実感だ。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 20:55:26.00 ID:Ja7FYFfl0
( ><)「――ブーンさん、大事にした方がいいんです」
ξ;゚听)ξ「ビロードさん!!」
――走って来る車を、真正面から腕で止めることができるなんて!!
この人、思いの他凄かった!!
( ><)「メイドたる者、これぐらいできなくてどうします」
ξ*゚听)ξ「凄い!凄い凄い凄い!!見直したよ、ビロードさん!!」
(;><)「全世界の人間の罪の重さに比べればこれぐらい……なんてことは……」
ドサッ
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 20:59:20.85 ID:Ja7FYFfl0
〜第十二話〜
「それでは、それでは」
――それは。
出会いが突然だったように、別れも突然だ。
( ><)「では、お世話になりました」
ξ゚听)ξ「え?何が?というか退院早いわね。本当に人間?」
( ><)「メイドガイです。期末テストが終わったので……」
ξ゚听)ξ「え?だから?」
( ><)「ごほーししゅーりょー、みたいな……」
ξ;゚听)ξ「…………マジで?」
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 21:02:14.55 ID:Ja7FYFfl0
ξ;--)ξ「マジでか……忘れてたよ」
( ><)「お嬢様がバカなのは勉学だけではなくナチュラルボーンでですね」
ξ#゚听)ξ「おいお前なんつった?」
( ><)「いえ、何も」
( ФωФ)「寂しくなるな」
( ><)「僕は清々し――別れが辛いです。両腕粉砕で体も辛いです。治療費は誰持ち?」
ξ#゚听)ξ「ねぇ今『清々する』って言いかけたわよね?意味は知らないけど、悪い意味ってことは知ってるわよ」
( ><)「……お嬢様もバカなままですし」
( ФωФ)「……そうだな」
ξ#゚听)ξ「二人して遠い目をするなー!!!」
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 21:07:16.52 ID:Ja7FYFfl0
( ><)「そんなに寂しそうな顔をしないで下さい」
ξ#゚听)ξ「してねぇよ。怒ってるんだよ」
( ><)「また何処かで会えますって。多分」
ξ;--)ξ「多分なんだ……」
( ><)「――まぁ、その時は、別のご主人様のメイドでしょうけど」
ξ )ξ「……そっか」
ξ゚听)ξ「ねぇ、一つ聞いていい?」
( ><)「なんでしょう」
ξ゚听)ξ「なんで――メイド服着てたわけ?」
( ><)「ああ、」
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 21:11:14.58 ID:Ja7FYFfl0
- ( ><)「――趣味です」
ξ#゚听)ξ「ただの趣味かよ!何か深い理由を期待してたワクワクを返せっ!!」
( ><)「はっはっは。そんなものがあったところで、『主人』に話すわけにはいきませんよ」
ξ゚听)ξ「…………」
ξ )ξ「……ねぇ。私はそんなに凄い人間じゃないから、あなたの主人にはなれないよね?」
( ><)「……残念ながら」
ξ )ξ「だから次にもし、会えたらさ……」
ξ゚ー゚)ξ「――私と『友達』になりましょう。そしたら、メイド服の理由も話してよね」
( *><)「それは……、――喜んで」
( ><)「それでは、それでは」
ξ゚ー゚)ξ「うん。またいつか」
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 21:14:49.00 ID:Ja7FYFfl0
〜えぴろーぐ〜
ξ*゚听)ξ「まさか私が大学に入れるとは!!」
川 -)「私も同じ大学に入られてしまうとは思ってもなかった。私、秀才キャラだったはずなのにな……」
ξ#゚听)ξ「遠い目をするな」
( ^ω^)「まあまあ。努力の成果が出たってことで」
( ^ω^)「ところででいきなり大学だお?進学しないーって言い続けてたのに」
ξ )ξ「…………ふん」
ξ゚听)ξ「ただの、気紛れよ」
( ^ω^)「……そうかお」
( ><)「本音では僕に会いたかったからですよね?」
ξ///)ξ「ないとは、言い切れないわ」
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 21:17:53.92 ID:Ja7FYFfl0
……アレ?
ξ#゚听)ξ「――なんで私の人生のレギュラーキャラみたいな顔して隣にいる?」
( ><)「レギュラーじゃないのでイレギュラーに登場してみました」
ξ#゚听)ξ「くっ、ちょっと上手いのが悔しい……」
( ><)「大体僕が何処に行こうが自由でしょう。このご時世、大学ぐらい出てないとやってけませんよ」
ξ#゚听)ξ「存在自体が非常識な奴に常識的なことを言われるのがこんなに腹立たしいとは……ッ!!」
( ><)「そんな風に思われてたんですか……ショック」
ξ#゚听)ξ「メイド服着てる男の子みたら誰でも思うわ」
( ><)「似合ってるでしょ?」
ξ#゚听)ξ「似合ってればいいってもんじゃないわよ」
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/04(火) 21:21:07.02 ID:Ja7FYFfl0
( ><)「――さて、」
( ><)「じゃ、メアド交換でもしましょうか」
ξ゚听)ξ「え?」
ξ゚ー゚)ξ「ああ、そうだったわね……」
ξ*゚ー゚)ξ「ではこれからもよろしく。――ビロード」
( ><)「こちらこそ。――ツンさん」
ツンさんの家のメイドガイはいなくなっちゃったけど、
――代わりに、ツンさんにはメイドガイの友達ができましたとさ。
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