- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 16:56:49.79 ID:MP2Jqm7L0
- 世界が巨大彗星で終わるまで後6日となった。
どうせ終末ならば命で遊んでもいいだろう
そう思い巷でうわさのビデオを借りて、自宅で鑑賞したのはほんの数十分前のことだった。
('A`)「・・・・・・」
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
ビデオがまさか本物だとは思わなかったのだけど。
今、目の前には足のない(本来足があろう場所は靄があり後ろが透けて見える感じだ)少女が立っている。
幽霊だ。
('A`)は粗末にするようです
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 17:05:59.78 ID:MP2Jqm7L0
- 世界の終焉のお知らせが来たのは大体一週間前だ。
夏が終わり、段々と秋へと移り変わっていく非常にあいまいな季節だった。
当然ではあるが世界中が阿鼻叫喚であった。
なんでテレビでそんなことを放送したか、その理由は非常にシンプル。
(;´∀`)「もう・・・回避しようがないのです・・・・・・」
諦め、だった。世界各国の長達は絶望し、せめて終末前に悔いの残らないで皆死んでいけるように、
そんなネガティブな理由からだ。
僕の住むボロアパートの周りも数日間は怒号と悲鳴が飛び交っていたと記憶している。
今となっては聞こえるのは隙間風のぴゅうぴゅうと言う音だけだ。
皆絶望して声もでないか故郷に帰っていってしまった。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 17:11:59.45 ID:MP2Jqm7L0
- そんな僕が未だに一人で自宅にいる理由(正確には幽霊も一人いるが)
('A`)「帰る場所がないからここにいるんですがNE!」
いやぁ、実にシンプル。もはやかっこいいよね!
ξ゚听)ξ「え?なにか言った?」
('A`)「いや独り言ですぜうへへ」
ξ゚听)ξ「真顔で言わないでほしい。」
うわさに聞く呪いのビデオの妖精のようなものにしてはやたら常識的なツッコミを入れてくるなぁ、と思った。
存在は非常識極まりないのに・・・
幽霊の外見は十代後半、どこにでもとは言えない整った容姿をした少女だった。
20代後半なのに未だ童貞な僕とは住む世界が違う人間に思えた。いや人間じゃないけど。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 17:19:35.34 ID:MP2Jqm7L0
- さて、その噂の呪いのビデオについて軽く触れておこう。
ブルーレイなんて名前が出る前に公開されていた「○」だか「わっか」とかいう映画のビデオとはちょっと違う。
一週間後に死ぬ、それは変わらない。その呪いのビデオと違う点が少しある。
ひとつ願いを叶えられるそうだ。そしてその呪いを受けて死んだ者、そう終末を迎えなければ僕にあたる者は、
そのビデオの妖精のような物になるだとか。
それがついさっき僕が見た呪いのビデオの噂だ。
('A`)「いやぁ、まさか本当だとはね・・・」
ξ゚听)ξ「ああ、嘘だと思ってたのね」
('A`)「・・・・・・」
僕に相槌を打った彼女を無視して僕は物思いに耽る。
もし噂が全て本当だとしたら彼女はなぜこのビデオを見たのだろうな。
僕などとは違い人生が充実してそうなのに。
そんなことを考えていた。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 17:25:44.85 ID:MP2Jqm7L0
- ξ゚听)ξ「シカト?」
黙々と思考の海に沈んでいると彼女が声をかけてきた。
やたらフレンドリーな幽霊だなおい。
そういえば・・・と思いふと思いついたことを質問してみた。
('A`)「あのさぁ・・・」
時刻は夕暮れ時だ。夕日の光がヘ部屋に入り茜色に染まる。
どこか空気が重さを増し僕に絡み付いていく気がした。
これから言うことはできたら僕も目を背けたいことだから。
('A`)「世界6日後に破滅しちゃうよ」
ξ゚听)ξ「えっ・・・」
あービンゴ。どうやら彼女はまったく世界情勢を理解していなかったらしい。
新聞読め。ニュースを見ろ。まったく最近の若いもんは!!
そんな僕はネットでこの事実を知ったのだけど。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 17:34:09.38 ID:MP2Jqm7L0
- ξ゚听)ξ「・・・・・・」
相当なショックだったらしい。
しばらく「え?嘘?」だの言って僕に本当か聞いてきたが僕がニュースの動画などを見せると真実と理解したようだ。
そうして黙りこくってしまった。
僕としてはうわさの呪いのビデオがどこまで噂どおりなのか知りたいところだが。
流石に申し訳ない気がしたのでしばらく黙っていた。
外からは何も聞こえない。
いつしか時計の針が夜の8時を告げていた。
('A`)「腹が減ったな・・・」
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
黙る彼女を気にせず夕食の支度をすることにした。
といっても昨日作ったカレーが残っているので今日もカレーなのだけど。
まだまだあるから最後の晩餐もきっとカレーだろう。
キッチンで一人苦笑した。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 17:41:22.53 ID:MP2Jqm7L0
- 温めたカレーを食べていると彼女が声をかけてきた。
ξ゚听)ξ「ねえ、なんでアナタそんなに平然としているの?」
('A`)「んー?」
ナンセンスな質問をする。僕だって相当取り乱した。
泣き喚いて壁をぶん殴ったりした。部屋には本棚を置いて壁を隠しているが穴の開いている部分だってある。
それでもそういった境遇に浸れるのも僕は大体一週間が限度だった。
憂鬱の気分に浸る自分が馬鹿に思えたのだ。
どうせ友人もいない。家族もいない。オマケに童貞である。ああ彼女ほしいな畜生!!
そんなことを考えているうちに今のようにその事実から可能な限り目をそらし続ける自分が完成したのだ。
('A`)「別に取り乱してないわけじゃない」
('A`)「ただそれを知らされたのが結構前だから冷静なだけだよ」
と、簡潔に伝えておいた。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 17:49:16.75 ID:MP2Jqm7L0
- ξ;゚听)ξ「でも友達とかだっているんでしょう?恋人だっ・・・」
恋人について触れようとした瞬間、急に彼女は黙ってしまった。
痛い・・・やさしさが痛い・・・・・・
カレーを食べる手を止めて彼女の方を向いてもう少し詳細に説明してあげることにした。
('A`)「あのねぇ、僕はフリーターなわけですよフリーター
つまりこの年で、あ、僕は26なのだけど、社会的な価値はもうニート直前なんだよ
それで友人もいなければ恋人もいない」
段々ヒートアップしてきた。
(#゚A゚)「学生時代は机に突っ伏して寝たふりしてましたー!
なんか文句あるのかちくしょおおおおお!!!!」
ξ;゚听)ξ「・・・・・・ごめん」
(゚A゚)「よろしい」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 17:53:14.16 ID:MP2Jqm7L0
- ('A`)「まぁ・・・ね。未練が無いと言えばもちろん嘘になるよ」
ξ;゚听)ξ「ああ、そうなの」
('A`)「ある種の諦めだよ、今の僕の状態は」
そういうと再び彼女は黙りこくってしまった。
カレーを食べる作業に戻る。
カレーは少し冷めていた。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 18:00:55.51 ID:MP2Jqm7L0
- 結局その日はそのまま寝ることにした。
彼女はどうやらビデオ?の中にでも入って寝るらしい。
今の流行はブルーレイなのに未だにVHSだなんて古いなぁ・・・と思ったり。
まぁそれを借りた僕も僕だけど。
* * * * * * * * *
('A`)「眠れない・・・」
最近はいつもこうだ。正確には終末を告げられてから。
不安と恐怖に押しつぶされそうになりながら眠ろうとする。
眠った先には悪夢が待っている。
いっそ少し予定を早めて巨大彗星が落ちてくりゃいいのに、そんなことすら思ってしまう。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 18:09:21.77 ID:MP2Jqm7L0
- 少しPCを弄るなりテレビを見るなりしたらいくらか眠くなるかもしれない。
そんなことを思って居間に行くと彼女がテーブルの椅子に座っているのが見えた。
思わず居間に入らず覗いてしまう。
呪いが本当だとして、それで一週間たたなければ危害を加えないとしても幽霊ってのは恐ろしいものだ。
壁│A`) ソーッ
ξ )ξ
部屋の明かりは消えているため彼女の顔は見えなかった。
なにか呟く声が聞こえた。
「・・・・・・−ん・・・・め・・・たのに・・・・・・」
聞こえてくる呟きに必死に耳を傾けているとどうやらなにかを嘆いているように聞こえた。
既に死んだ存在も世界の終わりを嘆くのか・・・・・・
どこか意外だった。
部屋に戻ってそのまま眠りについた。彼女が何を呟いていたかを考えていたためか悪夢は見なかった。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 18:18:20.12 ID:MP2Jqm7L0
- 朝、正確には昼直前に目が覚めた。
以前ならばバイトなどですぐに家を出なければいけなかったがバイト先は既に誰もいない。
皆どこかに帰ったか、終末前に働くなどやっていられなかったのだろう。
僕としてはやることがなく暇をもてあまし、直前となった滅亡に目を向けなくてはいけなくなるのでバイトには続いてほしかったのだが。
('A`)「おはよう」
ξ゚听)ξ「・・・・・・おはよう」
彼女は夜中と同じようにテーブルに座っていた。ひょっとしてあれからずっといたのだろうか?
もっとも僕に確かめる手段は無いのだが。
彼女の瞳が少し赤くなっているように見えた。
幽霊でもなくんだなぁ・・・としみじみ思ったりもしてみた。
('A`)「朝食、たべる?」
ξ゚听)ξ「いらないわよ、幽霊だし、それともう昼よ」
時刻は11時だった。感覚が違う。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 18:24:17.71 ID:MP2Jqm7L0
- 昨日と同じカレーを再び食べながら彼女に質問してみることにした。
('A`)「ちょっと聞きたいのだけど」
ξ゚听)ξ「なによ」
やたらとツンツンした反応だ。
まぁ昨日のような反応の方が幽霊としてはおかしいのだけれど。
('A`)「噂ってどこまで本当?」
ξ゚听)ξ「噂?」
('A`)「ほら、君のビデオの。みたら願いがかなうけど一週間で死ぬってやつ」
彼女からその質問の答えが発せられるまで少しの間があった。
そうして彼女の答えは。
ξ゚听)ξ「全部」
うわさの全肯定だった。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 18:31:32.24 ID:MP2Jqm7L0
- ('A`)「そうなのか・・・」
しかしまいった。噂が全て本当だとして僕に今更願うことは無いのだから。
どうせデタラメだろうと高を括っていたのだ。
なにも僕は願いについてなんて考えちゃあいなかったのだ。
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
ふと、彼女の方に目をやる。
噂が本当なら彼女はなぜビデオをみたのだろう?
完全な決めつけだが彼女はそういう噂話を信じない、という関わろうとしないタイプに見えた。
それは僕の好奇心を少し刺激した。
('A`)「あのさぁ・・・」
ξ゚听)ξ「私がビデオを見た理由は答えないわよ」
おや感づかれてた。先手を打たれてしまった。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 18:39:39.78 ID:MP2Jqm7L0
- ('A`)「・・・・・・いやぁ」
無理やりに別の質問を探す。何かあったかな。
考えた結果思いついたのはこの状況なら誰でも思いつきそうなことだった。
('A`)「例えば彗星が衝突しないってのを願い事にした場合は?」
正直人類のために死ぬなんて真っ平ゴメンだが。
ちょっと気になったのだ。
ξ゚听)ξ「多分・・・できる・・・・・・」
ξ゚听)ξ「実際私も成功するかはわからないけど出来る、気がする」
('A`)「なるほど・・・ね」
この発言がコンビニで廃棄を漁る僕のようなフリーターの言葉なら無視していたが幽霊が言うならば信じられる。
そんな気がした。
再び沈黙がやってきた。台所の換気扇の回る音だけが響いていた。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 18:48:08.59 ID:MP2Jqm7L0
- * * * * * *
('A`)「・・・・・・」
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
('A`)「・・・・・・」
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
かれこれ数時間無言の状態が続いていた。
暇だ暇だと思いながらDVDを見たりPCを弄ったりしていた。
しかしこうも長時間無言の状態が続いた部屋にいると気が滅入る。
いくら相手が呪いのビデオの妖精のような幽霊で、まったく話すことが無かったとしてもいやなものだ。
('A`)「ちょっと散歩にいってくるから家にいてくれる?」
ξ゚听)ξ「逃げても呪いは続くわよ」
('A`)「それより先に世界が滅びるさ」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 18:58:26.86 ID:MP2Jqm7L0
- 外は長袖のパーカーにジーパンという格好では少し肌寒かった。
しかし夕方前にも関わらずどこにいっても人っ子一人いやしない。
ひょっとして彗星ってのはドッキリで世界ぐるみで僕をだましているんじゃないか。
ビデオの彼女も実はドッキリの仕掛け人の一人なんじゃないかなんてことを妄想する。
('A`)「ねーよ・・・」
ありえない。そう自嘲気味に笑う。
そんな自分は大層な人間じゃない。
よくクラスに一人はいるであろう顔を見た覚えはあるけど名前を知らない、僕はそんな人間だ。
少し悲しくなった。
多くの人にはそれぞれ大切な人がいてきっとそれは親であったり友人であったり恋人であったりして、
そういった人がいる場所へ皆帰ったのだろう。
僕にはそういったものが無い。何も無い。
いつもなら「リア充しね!!」だの叫んでいたが状況が状況だけにやたら気持ちは沈んでいった。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 19:05:52.94 ID:MP2Jqm7L0
- ('A`)「・・・・・・」
(;A;)「・・・・・・」
泣けてきた。はらはらと涙が目から零れ落ちてくる。
俯いて泣いた。落ちた涙はアスファルトへと染み込んでいった。
どうして僕は何も作らなかったのだろう。
最初は人が嫌いなわけでも怖かったわけでもなかったはずなのに、
いつからか人との付き合いに嫌気が差して、形だけのコミュニケーションしか取れなくなっていた。
アルバイト先ですら人との関わりはあったはずなのに。
感情は僕の血管の血流に乗り体を駆け回る。
気がつくと僕は大声で叫んでいた。
どうして、どうして僕はこうなのか。
(;A;)「うああああ!!!」
もはや言葉にはならない叫びになっていた。
聞く人は、誰もいない。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 19:11:13.67 ID:MP2Jqm7L0
- 誰もいない、はずだった。
「おおおお!?」
後ろで誰かが倒れる音がした。
もう泣き顔を見られるのが恥ずかしいなどの羞恥心も特に無かった。
どうせ世界は終わるんだ。仮に助かっても僕は死ぬ。
後ろにそのままの顔で振り返る。
(;A;)「・・・・・・」
( ×ω×)「おお・・・」
小太りで学ランを着た少年がいた。
僕がこの一週間で初めて遭遇した人間だ。
もっとも死者となら遭遇したが・・・
(;A;)「・・・・・・誰?」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 19:18:41.94 ID:MP2Jqm7L0
- 涙を拭い手を差し出して彼を起こした。
「ありがとうだお!!」なんて言われた。
変な語尾だなと思いながらもそれについては触れないことにしておいた。
別にそんなに興味をそそられる話題でもない。
名前は内藤というらしい。
( ^ω^)「あだ名はブーンだお!」
('A`)「そうか、内藤君は田舎にいったりはしなかったのか?」
( ^ω^)「おまwwwwwあだ名で呼んでwwww」
('A`)「うるせえ」
( ^ω^)「スマンコ」
そんなやり取りがあったのが少し前のことだ。
僕は内藤と近くの公園のベンチに座っていた。
互いに町中で人と会うのは珍しかったのもあるしどこか人と話したかったのもあるかもしれない。
公園にはやはりというかなんというか、誰もいなかった。ベンチはところどころペンキが剥げていた。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 19:49:40.36 ID:MP2Jqm7L0
- 話はたわいもない話だった。
家のカレーは美味いだとか天気がいいだとか。
人と話すのはこんなに簡単で楽しいことだと今になって気づいた。
だいぶ馴染んできて自然とあだ名で呼ぶようになった。
あたりが暗くなり夕日も見えなくなってきたころだ。
そろそろ帰ろうか、となりふとブーンに聞いてみた。
('A`)「ブーンは家に帰るのか?」
(;^ω^)「お・・・・・・」
そこで急にブーンは黙ってしまった。
さっきまでは「ちょwww」だとか「さむいおwww」とか言っていたのに。
('A`)「ひょっとして、家に誰もいないとか・・・」
(;^ω^)「・・・・・・だお」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 19:56:45.36 ID:MP2Jqm7L0
- 簡単な話だ。家に招きいれた。
ちょっと散歩をするつもりが数時間にも及ぶ散歩になってしかも人まで連れての帰宅となった。
('A`)「ただいま」
( ^ω^)「おじゃましますおー」
普段は誰もいない家で「ただいま」なんて言ったりしないがまぁ幽霊も一応いるしいいだろう。
居間に行くと彼女がいた。
こちらを見た瞬間、両目を大きく開いてこっちを凝視してきた。
人を連れてきたのが珍しいのだろうか。
('A`)「ただいま」
ξ;゚听)ξ「・・・・・・」
( ^ω^)「お?ドクオは部屋に入ってただいま、だなんて変わってるおね?」
('A`)「・・・・・・」
なるほど、ブーンにコイツは見えないのか。まぁそりゃそうか。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 20:03:09.91 ID:MP2Jqm7L0
- 家での会話も公園の延長線だった。
こんなものがごくごく普通の日常なのだと、そう思った。
夕食にはブーンにカレーを振舞った。
予想以上にブーンは食べた。大盛りなのに3杯は軽く平らげてしまった。
どうやら最後の晩餐はカレーにはならないようだ。
('A`)「ちょwwお前食いすぎだろwww」
( ^ω^)「カレーうめぇwwwwハフッwwハフハフwww」
('A`)「落ち着いて食えよwwww」
( ^ω^)「うめえwwwww」
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
たびたび彼女がこちらを見てきたがブーンもいる手前何も聞くことは出来なかった。
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 20:09:53.76 ID:MP2Jqm7L0
- すっかりと夜も更け、既に日が変わるかどうかといった時間になっていた。
空を見るとやたらと光る星が見えた。
彗星か、そんなことに気づき少し憂鬱になったがそれを補って余りうるほど僕は楽しい気分になっていた。
('A`)「帰るのか?」
( ^ω^)「流石にそこまでお世話になるのは申し訳ないお」
('A`)「そーかそーか」
( ^ω^)「明日も遊びに来るお!」
('A`)「おーこいこい」
( ^ω^)ノシ
('A`)ノシ
ブーンを玄関で見送って居間に戻ると彼女はこちらをキッっとにらめつけてきた。
そういえばすっかり忘れて放置してしまっていた。
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 20:17:32.70 ID:MP2Jqm7L0
- ξ゚听)ξ「どうして連れて来たの」
いやな声のトーンだった。
なにか僕が悪いことをしたとでも言いたげな調子。
昨日の彗星で終末を迎えることを告げたときとは方向性こそ違うが同じくらい感情が動いているようだった。
('A`)「別に、ただ散歩していたら遭遇して話したら気が合ったから家に招いただけだよ」
ξ゚听)ξ「どうして町にいるのよ」
('A`)「知らないよ、一人暮らしとかなんじゃないかな」
ξ#゚听)ξ「そんなわけないじゃない!!」
怒号。
急に大きな声を上げられたので今度は僕が大きく目を開いてしまった。
何があったというのか、彼女はブーンについてなにか知っているとでもいうのだろうか。
(;'A`)「・・・・・・」
ξ#゚听)ξ「・・・・・・」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 20:27:07.85 ID:MP2Jqm7L0
- ξ#゚听)ξ「・・・・・・」
(;'A`)「・・・・・・」
いったいどれくらいそうしていたのか。
彼女が怒った表情を戻し僕に背を向ける時にはもう深夜2時を回っていた。
そうして彼女は、いった。
ξ )ξ「彼に、ツンって子を知ってるか聞いてみるといいわ」
('A`)「・・・・・・」
もやもやとしたものを持たされてしまった。
いったい彼女とブーンの関係はなんなのか。
窓から空を見るとあざ笑うように彗星が輝いていた。
お前のせいだ。畜生め。
そのことについて悩んでいたせいかどうかはわからないがその日も悪夢は見ることが無かった。
・・・・・・睡眠時間は短かったが。
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 20:34:48.89 ID:MP2Jqm7L0
- ('A`)「・・・・・・」
昼過ぎに目を覚ました。
ひょっとしてブーンが来ていたのに気づかなかったんじゃないか。
少し不安に思っていると彼女が声をかけてきた。
ξ゚听)ξ「内藤なら」
自分から声をかけてくるとは、珍しい。
出会ってわずか三日目にも関わらずそんなことを思ってしまうのもやや軽率かなと思いつつ感謝する。
('A`)「そうか、ありがとう」
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
その後はまた無言だったが。
適当に掃除をしてすごした。
もともと簡素な部屋だったのでそんなに散らかってもいなかったが細かいところまで掃除していた。
暇をつぶすのにもいい、友人(とはいえ5〜6歳は年が違うが)を招くってのはこういう気分なのか。
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 20:44:03.36 ID:MP2Jqm7L0
- ちょうど片付けを終わった時だった。
ブーンがやって来た。手土産にとポテトチップスをもって来てくれた。
そんなんだから太るんだなどと軽口を言い合いながら部屋へとはいった。
( ^ω^)「お邪魔しますお!」
('A`)「おうおう」
それからはそれほど説明することもない。
昨日と同じようにしてすごした。
カレーは予想以上の速度で減っていきおそらく終末の前日ごろにはなくなりそうな様子だった。
('A`)「・・・・・・」
( ^ω^)「お?どうしたお?」
聞いてみようか、聞いてみようと思いながらブーンが帰る時間となった。
だめだ、聞かなくては。
初めての友人と言える存在だったからかもしれない、なんとしても聞かなくてはいけないといった衝動に駆られていた。
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 20:51:03.13 ID:MP2Jqm7L0
- ('A`)「あのさー」
( ^ω^)「なんだお?愛の告白かおwwwきめえwwww」
('A`)「ちげえよwww」
( ^ω^)「なんだお?」
('A`)「・・・・・・」
どこか声が出しづらい。
喉の内側が引っ付きそうだ。
それでもむりやりに声を出して、聞いた。
('A`)「ツンって女の子しってるか?」
(;^ω^)「えっ・・・」
明らかにブーンに動揺が見えた。
('A`)「あ、知ってるn(;^ω^)「ど、ドクオごめんだお!急用で帰らせて貰うお!」
僕が言葉を発する前にブーンは走っていってしまった。
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 20:59:32.69 ID:MP2Jqm7L0
- (;'A`)「なんなんだ・・・」
人には触れちゃあいけないものがあるっていう。
それは小さなときの寝小便だったり犯罪の記録だったりと様々だ。
ひょっとしたらそれに僕は触れてしまったんじゃないか。
そんなことを考え不安を覚えた。
あわてながら部屋に戻り彼女を問い詰める。
('A`)「どういうことなんだ・・・」
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
彼女は黙ったままだ。
わからない。何か自分の知らないことが二人にはある、気がする。
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 21:04:23.75 ID:MP2Jqm7L0
- ξ゚听)ξ「・・・・・・」
それでも無言。
少しイライラしてしまう。
なにか操られているような感覚が嫌だった。
少しの間。
嫌気が差しながらもう一度聞いてみた。
('A`)「なんなんだよ・・・」
ξ゚听)ξ「彼はね・・・」
そうして彼女は、ぽつりぽつりと
言葉をつむぎだして言った。
どこか息苦しさを覚える雰囲気だった。
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 21:10:25.50 ID:MP2Jqm7L0
- ξ゚听)ξ「彼・・・内藤は・・・・・・」
('A`)「・・・・・」
なんと言おうか。そう考えているような表情だった。
その反応からうすぼんやりと、彼女の現在の状態の理由がわかるような気がした。
そして・・・・・・
ξ゚听)ξ「ブーンはね・・・」
ξ--)ξ「私の幼馴染で」
私が呪いのビデオを見た理由だった―――――
- 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 21:19:59.06 ID:MP2Jqm7L0
- 翌日、終末の3日前、僕はブーンの住むアパートに来ていた。
(;'A`)「・・・・・・」
ξ#゚听)ξ「・・・・・・」
かれこれ1時間近く内藤とネームプレートが貼られた部屋の前にいる。
どうにもインターホンを押しづらいのだ。物理的にではなく心理的に。
物理的に無理な彼女、ツンはイライラと僕を見ていた。
ああ、視線が痛い。
ξ#゚听)ξ「さっさとしなさいよ・・・」
(;'A`)「ああ・・・わかりましたって」
なんでまた自分の命を奪うかもしれなかった存在の言うことを僕は聞いているのか。
・・・・・まぁ自分が純粋に気になっているのもあるが。
意を決してインターホンを押した。
ぴーんぽーん、ありがちな音が鳴った。
- 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 21:28:18.14 ID:MP2Jqm7L0
- (;^ω^)「は、はいだお・・・・・・」
おずおずとブーンが出てきた。
ある程度覚悟というか僕が来るだろうと予想していたのだろう。
思ったよりも早く、というよりもすぐにブーンは扉を開けてくれた。
大体の話はツンに聞いた。今はその正否を確認したいのだ。
('A`)「ブーン・・・僕はツンの知り合いだ」
( ^ω^)「・・・・・・」
名前を出したときにどこかブーンの表情が緩んだ。
緊張がほぐれたという感じか。
ツンが呪いのビデオを見た理由。それは
('A`)「・・・・・・交通事故にあったんだって?」
( ^ω^)「・・・・・・」
ブーンの治療の為だった。
- 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 21:36:09.41 ID:MP2Jqm7L0
- ( ^ω^)「・・・・・・そうだお」
( ^ω^)「僕は交通事故にあって・・・植物人間状態だったと、聞いたお」
('A`)「・・・・・・」
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
ブーンは表情こそ特段変わっているようには見えなかったが声がどこか震えていた。
昨日の夜に僕が声をひねり出す様子もこんな感じだったんだろうか。
そんなことを考えた。
( ^ω^)「それが、高校1年の時、2年前だお」
('A`)「・・・・・・」
ブーンは眠っていた。ツンが呪いを使って目覚めさせるまで。
・・・・・・奇しくも彗星についてのことが、公表された日とそれは同じ日だった。。
彼は、眠っていたのだ。
ずっと、ずっと。ただひとりで。いや、ツンが見守るなか一人で。
- 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 21:47:45.00 ID:MP2Jqm7L0
- 少しづつ、少しづつブーンは話してくれた。
( ^ω^)「僕がおきた時、周りはとても騒がしかったお」
('A`)「・・・・・・」
彗星について公表された直後だ、おそらく一番世界がパニックに陥った時だろう。
ブーンの両親は既にいなかったらしい。2年の歳月が血縁すら断ち切ったのか。それはわからない。
周りの人々からブーンは少しずつ情報を集めていったと聞いた。
パニックの中情報を集めるのは相当な労力を費やしたであろう。
そのなかでも少しづつブーンは現在の情報と自分の見舞いに通いつめたツンの話を聞いたのだという。
( ^ω^)「最初は、といってもまだなまってるのだけれど体が動かなくて大変だったお」
( ^ω^)「まさか散歩中に泣き喚く声が聞こえるとはwww」
('A`)「・・・・・・」
ブーンが町中を歩いていたのはそういった状態からのリハビリ的なものだったりしたらしい。
- 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 21:53:58.78 ID:MP2Jqm7L0
- ( ^ω^)「まぁ・・・それと出歩いてた理由としては・・・・・・」
('A`)「・・・・・・」
ξ )ξ「・・・・・・」
( ^ω^)「ツンと会えたらなぁなんて思っていたんだお」
そうか・・・探してたんだ、ブーンはずっと。ずっと。
('A`)「・・・・・・」
( ^ω^)「まぁ・・・こんな状況だし多分田舎にでも・・・」
( A )「違う!!」
(;^ω^)「え?」
違う、彼女は田舎にも帰っていなければブーンを見捨てたりもしていない。
彼女は、ツンは・・・・・・
( A )「ツンは・・・」
( ^ω^)「・・・・・・」
- 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 22:00:00.09 ID:MP2Jqm7L0
- ('A`)「彼女は・・・ブーンを、内藤ホライゾンを見捨てちゃいない・・・」
( ^ω^)「・・・・・・」
('A`)「きっと・・・ずっとお前のことを思っていたはずだ・・・今だって・・・・・・」
('A`)「細かいことは・・・説明できないけど・・・」
( A )「それだけは、信じてほしい・・・」
じゃなきゃ、じゃなきゃ彼女が救われない。
僕の言葉はどこか懇願するような声色になっていたような気がする。
ぴゅうぴゅうと風の音が聞こえた。
( ^ω^)「・・・・・・・ドクオ」
( A )「・・・・・・」
( ^ω^)「ありがとうだお、それだけで僕は十分だお」
( ^ω^)「ツンにはなにかあったのかもしれない、ドクオはなにか僕に隠しているのかもしれない」
( ^ω^)「でも、」
( ;ω;)「僕はそれでいいお、それがいいお、その言葉で、僕にはそれで、十分すぎる」
- 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 22:08:31.75 ID:MP2Jqm7L0
それから、二人、正確には三人で、少し泣いた。
どうしてこんなことになってしまったのかなんてことを嘆いたり
たわいも無い話をして
時間はすぎていった。
空の彗星は未だに輝いている。
- 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 22:19:04.06 ID:MP2Jqm7L0
- ('A`)「あと、二日だ」
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
彗星落下までの時間。
もう誰もそれを嘆くものなんていやしない。
一週間ぶりくらいにネットを見てみようとしたけれどどこにも繋がらなかった。
絶望的状況、そういえるかもしれない。
でも僕には、まだひとつだけ、ただひとつだけあった。
('A`)「僕が願えば彗星は消える?」
ξ )ξ「多分ね・・・」
ツンはそれをいいたくないように見えた。
ほとんどはなしちゃいない、彼女と出会ったのはほんの数日前でブーンと出会ったのはもっと最近だ。
それでもどこか互いを理解できていた。
危機的状況からの錯覚か、だからこその結びつきの速さか。
それとも元々似たもの同士だったのか。
- 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 22:25:43.35 ID:MP2Jqm7L0
- ('A`)「僕はねツン」
ξ )ξ「・・・・・・」
彼女は僕が何を考えているのかわかっているのだろう。
いいんだ。
僕は数日の間に今までの人生を肯定できるだけの何かを手に入れることが出来た。
('A`)「僕はきっと彗星が消えて皆が助かるのを願うよ」
ξ )ξ「・・・・・・」
('A`)「でも、それは直前、明日が終わるほんの少し前までまってほしいんだ。」
('A`)「形の上だけでも保留ってことで」
ここまで来て情けないがもしもこの状況で彗星が消え、ブーンとの距離が出来て、そのまま死ぬなんて想像をしてしまうのだ。
だから、最後の最後で願いを叶えてほしい。
そうして僕自身の最後の一日は家族に会うだとか適当なことを言って去るんだ。
きっと、それが一番いいのだ。
本当はツンも一緒に助けられればいいのだけど。
- 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 22:28:31.16 ID:MP2Jqm7L0
そうして最後の一日
- 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 22:38:34.87 ID:MP2Jqm7L0
- ( ^ω^)「おはようだお」
('A`)「らっしゃい」
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
特にイベントなんて作らなかった。
ただ会ってだらだらと話そう。
それくらいだけだった。
そうして時間が過ぎていく。
少しづつ
ゆっくりと
ゆっくりと
('A`)「・・・・・・」
- 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 22:45:35.04 ID:MP2Jqm7L0
- ('A`)「そういえば夕食はどうしようか」
すっかり忘れていたがカレーはもうなくなっていたんだった。
余り物なんてろくに残っちゃあいなかった。
( ^ω^)「ふふふ・・・僕が持ってきているお!」
('A`)「おお!すげえ!」
ありがたいことの野菜から冷凍されているとはいえ肉まである簡単なものしか作れないだろうけど食事としては十分だ。
その材料でサラダとを作り肉はシンプルに焼いた。
カレーだけを食べ続けた舌には贅沢なくらいだった。
ふたりして「うめえwうめえwwww」なんていいながら食べ尽くした。
('A`)「ふう・・・」
( ^ω^)「うまかったお!」
('A`)「あー上出来だった・・・」
- 144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 22:49:31.89 ID:MP2Jqm7L0
- ('A`)「ブーンありがとう」
( ^ω^)「wwwwどうしたんだおwwww急にwww」
('A`)「別にたいしたことじゃあないさ、ただ感謝したくなっただけだよ」
( ^ω^)「wwww・・・僕も感謝してるお」
('A`)「・・・・・・」
( ^ω^)「ドクオと友達になれて僕は楽しかったお」
('A`)「ありがとう・・・」
( ^ω^)「なにこの雰囲気wwwwww元気出すおwwww元気www」
('∀`)「そうだなwwwww」
( ^ω^)「なんだwwwそのwww顔はww」
('∀`)「うっせwwwうっせwww」
- 146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 22:54:25.01 ID:MP2Jqm7L0
- ( -ω-)
('A`)「・・・・・・寝たか」
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
本当なら、きっとここでブーンの人生ってのは終わりなんだろう。
このまま寝たまま世界が終わって。
それでさよなら。
('A`)「でも僕はそうしたくないんだ」
ξ゚听)ξ「・・・・・・後は願いごとを言えばいいわ。」
ξ゚听)ξ「それだけでおしまい」
('A`)「・・・・・・」
その時だ。ちょっとした疑問が出てきた。
('A`)「ちょっと聞きたいんだけどさ」
ξ゚听)ξ「・・・・・・なあに?」
- 153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 23:04:42.54 ID:MP2Jqm7L0
- ('A`)「例えばさ、」
('A`)「彗星からの衝突をさけるってのは色々な人の命を救うわけで」
('A`)「それもひとつの願いに含まれるの?」
ξ゚听)ξ「多分・・・ね、きっとその願いに内抱されているんだと思う」
そこまで、範囲を広められるなら・・・
それなら・・・・・・
('A`)「ツン、願いごとをいうよ」
ξ゚听)ξ「・・・・・・私たちなんかのために・・・使うの?」
('A`)「いいんだ」
('A`)「社会的な価値はもうニート直前」
('A`)「数日前に言った言葉だ。
でも実際家族すらいない僕の価値なんて社会的にも、
ほかの要素を加味したところでニートにすら届かないものだった」
('A`)「君とブーンのおかげだと思う、終末をこんな気分で迎えられたのは」
- 155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 23:07:26.53 ID:MP2Jqm7L0
- ('A`)「だから、いいんだ」
ξ゚听)ξ「・・・・・・・」
最後に簡単な頼みごとをツンにした。ある意味きついかもしれないが多分やってくれるだろう。
ブーンの寝息が聞こえる。よかったな。
明日は衝撃的な目覚めになるぞ。
そうして僕は願ったのだ。
僕、以外の誰もが、幸せに終わってくれることを。
- 157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 23:11:59.35 ID:MP2Jqm7L0
それから少し後の話
- 158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 23:14:38.41 ID:MP2Jqm7L0
- ξ゚听)ξ「・・・・・・」
世界は落ち着きを取り戻し始めた。
彗星はぶつからなかったのだ。
彼、ドクオは非常に曖昧な、自分の望みを全て内包した願いごとにした。
賭けと言えるものだったかもしれない。
けれどもそれが幸を制した。
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
( ^ω^)「おーいツン!ツン!」
私もこうしてブーンと話す日常がある。
申し訳ないくらいの幸せがここにあった。
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
私の手にはビデオがある。
彼が入ったビデオだ。
- 161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 23:18:18.55 ID:MP2Jqm7L0
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('A`)「僕の入ったビデオを見つけて」
ξ゚听)ξ「・・・・・・」
('A`)「壊してしまってほしい、見れないように、もう誰も見ないように」
ξ゚听)ξ「でも・・・」
('A`)「いいんだそれで、それがハッピーエンドなんだ」
('A`)「それが、一番いい」
('A`)「たのんだよ」
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- 162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 23:23:33.26 ID:MP2Jqm7L0
- ξ;凵G)ξ「・・・・・・ごめんんさい」
(;^ω^)「お、ツン、どうしたんだお?」
私はテープを
軽いビデオテープに確かな重さを感じながら
地面へとたたきつけました。
テープは壊れて
もう、見れないほどに壊れてしまいました。
ξ;凵G)ξ「・・・・・・」
(;^ω^)「ど、どうしたんd」
( ^ω;)「あ、あれ」
( ;ω;)
私も泣いて、ブーンも泣きつづけていました。
それ以降、ビデオテープの噂はなくなったとか。
- 164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/15(木) 23:25:43.02 ID:MP2Jqm7L0
('A`)は粗末にするようです
終
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