- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 22:47:37.46 ID:HqqSCo7qO
- ( ^ω^)「……はあ」
( ´ω`)「今日も車1台も売れなかったお……」
( ´ω`)「今は電気自動車の時代だし、若者の自動車離れも深刻なんだお」
( ´ω`)「上の方針に従って、言われるまま何も考えずにセールスに行っても売れるわけないお」
( ´ω`)「……まあ、そんな事言えないんだけどね」
( ´ω`)「帰ったら子供店長にまた嫌味を言われるお」
( ´ω`)「このままだと君は大人無職だねとか」
( ´ω`)「……はあ」
( ´ω`)グゥー……
( ´ω`)「……お腹空いたお」
( ´ω`)「お昼まだだし、どうせ怒られるならどっかで食べてから帰るかお」
( ´ω`)「といっても、この辺は始めて来たからどこかにいいお店はあるかお」
( ´ω`)「……お?」
──── lw´‐ _‐ノv注文が多い料理店のようです ────
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 22:49:20.70 ID:HqqSCo7qO
- ( ^ω^)「『注文が多い料理店』?」
( ^ω^)「何だお、このお店? 変な名前だおね」
(;^ω^)「何か最後に食べられそうな名前だけど」
( ^ω^)「見た目普通だし、他にお店もないから行ってみるお」
カランカラーン
( ^ω^)(中も普通の喫茶店みたいな感じだお……)
( ^ω^)(客、誰もいないけど……まあ、食事時は過ぎてるしね)
lw´‐ _‐ノv「いらっしゃいませー」
( ^ω^)(店員さんも割りと普通っぽい……?)
( ^ω^)(客いないし、適当に座るお)
( ^ω^)(……)
( ^ω^)(……)
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 22:51:12.21 ID:HqqSCo7qO
( ^ω^)(……店員来ねえ)
( ^ω^)(お冷とかメニューとか出ないのかお?)
( ^ω^)(外回りで汗かいたし、おしぼりもほしいお)
( ^ω^)(あ、メニューはテーブルの上にあるかも)
( ^ω^)(……というか、この不自然にデカい巻物みたいなのは何だお?)
( ^ω^)(目……新……?)
( ^ω^)(目新しい? 何が目新──)
(;^ω^)(これ、ひょっとしてメニューかお?)
(;^ω^)(ツッコミどころが沢山だお)
( ^ω^)(まあ、いいお。取り敢えず見てみるお)
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 22:53:52.01 ID:HqqSCo7qO
- パラッ
(;゚ω゚)(多! メニュー多!)
(;゚ω゚)(何だお、これ? 馬鹿長い巻物にメニューがびっしり書かれてるお)
(;゚ω゚)(……)
(;^ω^)(それで『注文が多い』料理店なのかお……?)
(;^ω^)(……ん?)
(;^ω^)(お冷0円、おしぼり0円、手拭きペーパー2円……)
(;^ω^)(……何でこんなのまでメニューに書かれてるんだお?)
(;^ω^)(……)
(;^ω^)ノ「すみませーん」
スタスタ
lw´‐ _‐ノv「はいはい」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 22:55:10.00 ID:HqqSCo7qO
(;^ω^)「お冷とおしぼりください」
lw´‐ _‐ノv「はい、お冷とおしぼりですね」
lw´‐ _‐ノvφ メモメモ
スタスタ
lw´‐ _‐ノv「どうぞ」
(;^ω^)「どうもですお」
スタスタ
(;^ω^)(戻ってったお)
(;^ω^)(他に注文はとか聞かないのかお?)
(;^ω^)(てか、0円のも伝票に書くんだおね)
(;^ω^)(まあ、いいお。ようやく一息つけるお)
(;^ω^)U ゴクゴク
(;∩ω∩)フキフキ
( ^ω^)+「ふう……」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 22:57:33.37 ID:HqqSCo7qO
( ^ω^)(さて、それじゃあ、何か食べるかお)
( ^ω^)(うーむ……多過ぎて逆に迷うお)
( ^ω^)(煮干し5円、昆布10円とか猫のエサかお)
( ^ω^)(かと思えば満漢全席1万2千円とか極端だお……)
( ^ω^)(うーむ……)
( ^ω^)(まあ、無難にご飯ものにしとくかお)
( ^ω^)(カレー……は匂いがするし、帰った時に嫌味の種を増やすおね……)
( ^ω^)(お、炒飯があるお)
( ^ω^)(これにするかお)
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:00:15.37 ID:HqqSCo7qO
( ^ω^)ノ「すみませーん」
スタスタ
lw´‐ _‐ノv「はいはい」
( ^ω^)「炒飯お願いしますお」
lw´‐ _‐ノv「炒飯ですね」
lw´‐ _‐ノvφ メモメモ
lw´‐ _‐ノv「かしこまりました。しばらくお待ちください」
スタスタ
( ^ω^)(はあ……)
( ^ω^)(愛想のない店員だおね)
( ^ω^)(まあ、いいお。美味いご飯が食べられればそれで──)
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:02:04.22 ID:HqqSCo7qO
- チーン♪
( ^ω^)「チーン?」
(;^ω^)「……今の音はひょっとして」
スタスタ
lw´‐ _‐ノv「お待たせしました」
ドンッ
(;゚ω゚)「……」
スタスタ
(;^ω^)「あの、ちょっと!」
lw´‐ _‐ノv「はい、なんでしょう?」
(;^ω^)「これ、何ですかお?」
lw´‐ _‐ノv「ご注文の炒飯ですが、何か?」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:04:02.75 ID:HqqSCo7qO
(;^ω^)「いや、これ、明らかに冷凍食品ですおね?」
lw´‐ _‐ノv「はい」
(;^ω^)「しかも袋のまま」
lw´‐ _‐ノv「はい」
(;^ω^)「これはひどい」
(;^ω^)「こんなもの、よく客に出せますおね?」
(;^ω^)「てか、せめてお皿に入れろお?」
lw´‐ _‐ノv「ご注文通りだと思いますが」
(;^ω^)「いや、注文通りって……」
(;^ω^)(やべっ、ぼったくりんぐなお店に入っちゃったのかお?)
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:06:04.92 ID:HqqSCo7qO
lw´‐ _‐ノv「注文にない部分はこちらで勝手に判断させて頂きました」
(;^ω^)「注文にない部分?」
(;^ω^)「何だお、それ、よくわからんお?」
(;^ω^)「僕はメニューにある炒飯を頼んだだけで……」
(;^ω^) パラパラ
(;^ω^)「!」
(;^ω^)(丸皿小(貸し出し)0円、角皿小(貸し出し)0円……)
(;^ω^)(……ひょっとしてこれのことかお)
(;^ω^)(よく見たら炒飯の横にも冷凍って書いてあるお……)
(;^ω^)「あの、追加注文とか出来ますかお?」
lw´‐ _‐ノv「はい、出来ますよ」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:08:17.23 ID:HqqSCo7qO
(;^ω^)「これ、キャンセルは流石に無理ですかね?」
lw´‐ _‐ノv「はい、出来ますよ」
(;^ω^)「出来るのかお?」
(;^ω^)「じゃあ、これキャンセルで……」
(;^ω^)「この、海老とグリンピースと玉ねぎと卵の炒飯、塩と醤油ベースのオリジナルと」
(;^ω^)「深皿……炒飯は中で入りますかお?」
lw´‐ _‐ノv「入りますよ」
(;^ω^)「じゃあ、深皿中(貸し出し)と……スプーン(金属・貸し出し)」
(;^ω^)「それでお願いしますお」
lw´‐ _‐ノvφ メモメモ
lw´‐ _‐ノv「かしこまりました。しばらくお待ちください」
スタスタ
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:10:28.71 ID:HqqSCo7qO
( ^ω^)「ふう……」
( ^ω^)「何なんだお、全く……」
( ^ω^)「よくわからんお……」
( ^ω^)パラパラ
( ^ω^)「お箸(貸し出し)0円、割り箸2円……微妙にエコだおね」
( ^ω^)「何でこんなに注文させるんだお?」
( ^ω^)「!」
( ^ω^)「すみません、追加注文! 焼き上がりはパラっと、卵はふっくらで!」
<「かしこまりましたー」
(;^ω^)「……こんな細かいとこまで注文出来るのかお」
( ^ω^)「てか、注文しなかったらベチャベチャな炒飯とか出て来そうで嫌だおね……」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:12:08.36 ID:HqqSCo7qO
( ^ω^)「最初に冷凍が出てきたのは、それが一番安いからかお?」
( ^ω^)「その辺は客のことを考えてくれてたりするのかおね?」
(;^ω^)「てか、客の事考えてるなら聞いてくれればいいのに……」
(;^ω^)「不親切な店員だおね。愛想の欠片もないし」
( ^ω^)「はあ……」
( ^ω^)パラパラ
( ^ω^)「スマイル(無料)0円 スマイル(有料)100円」
(;^ω^)「こんなものまであるのかお」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:14:01.32 ID:HqqSCo7qO
- スタスタ
lw´‐ _‐ノv「お待たせしました」
トンッ
(*^ω^)「おお、美味そうだお!」
スタスタ
( ^ω^)「あ、すみませんお」
lw´‐ _‐ノv「はい、なんでしょう?」
( ^ω^)「お冷くださいお。それと……」
( ^ω^)「スマイル(無料)お願いしますお」
lw´‐ _‐ノv「申し訳ございません、スマイル(無料)は現在売り切れ、入荷待ちとなっております」
(;゚ω゚)「売り切れ!?」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:16:08.54 ID:HqqSCo7qO
(;^ω^)「てか、入荷待ちって何だお?」
lw´‐ _‐ノvφ メモメモ
スタスタ
lw´‐ _‐ノv「どうぞ」
(;^ω^)「あ、どうも……」
スタスタ
(;^ω^)「お冷は普通にもらえたけど、よくわからんお……」
(;^ω^)「スマイル売り切れって……」
(;^ω^)「……」
( ^ω^)「まあ、いいお。炒飯食べるお」
( ^ω^)パクッ
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:18:11.36 ID:HqqSCo7qO
(*^ω^)「うめぇwwwwww」
(*^ω^)「これは美味いお!」
(*^ω^)「今までのワケワカメ全部許せるぐらい美味いお!」
(*^ω^)「うめぇwwwwwwマジうめぇwwwwwwww」
(*^ω^)「ごちそうさまでしたお」
(*^ω^)「ふぅ……」
( ^ω^)「何だかよくわかんない店だったけど、美味いご飯が食べられればそれでいいお」
( ^ω^)「さて、行くかお……」
( ´ω`)「帰ったらまたあの小憎らしい顔に嫌味を言われるのかお……」
( ´ω`)「……お」
( ^ω^)「ま、お腹も膨れたし覚悟を決めるお」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:20:22.23 ID:HqqSCo7qO
( ^ω^)「店員さん、お皿とかこの辺おいておけばいいかおね?」
lw´‐ _‐ノv「お客様? それはご注文なされば当方が……」
( ^ω^)「いいお。確かにそれもメニューにあったけど、美味しかったし、店員さんも1人で大変だおね」
( ^ω^)「そんな事注文しなくてもやる事はわかってるし、そのくらいなら自分でやっても問題ないお」
( ^ω^)「あ、食器洗いと、机の上を拭くのは注文しておきますお」
lw´‐ _‐ノv「……かしこまりました」
( ^ω^)「それと、お会計をお願いしますお」
lw´‐ _‐ノv「かしこまりました……が、その前に1つ」
( ^ω^)「お?」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:23:00.56 ID:HqqSCo7qO
lw´‐ _‐ノv「お客様は先ほど『そんな事注文しなくてもやる事はわかってる』と仰いました」
( ^ω^)「お……言ったおね」
lw´‐ _‐ノv「果たして本当にそうでしょうか?」
(;^ω^)「お?」
lw´‐ _‐ノv「あの皿をあの位置に下げたのは正しかったのでしょうか?」
(;^ω^)「おー? 食器だし、洗って使うからあの位置でも問題ないんじゃないかと……」
lw´‐ _‐ノv「あの食器を私が洗うと?」
(;^ω^)「洗いますおね? 飲食店だし」
lw´‐ _‐ノv「使い捨ての可能性もございますが?」
( ^ω^)「それはないと思ったお。そんな無駄にコストがかかることはしないだろうし」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:24:37.47 ID:HqqSCo7qO
( ^ω^)「それにこのお店はエコにも気を配っておられるみたいでしたお」
lw´‐ _‐ノv「よく見ていらっしゃる」
lw´‐ _‐ノv「ですが、あれはあのままで後で業者に洗わせる可能性も考えられます」
(;^ω^)「それは流石に、コストも、あと場所の占有のの面からも割に合わないお」
lw´‐ _‐ノv「場所に関しては、この閑散とした店内を見る限りではさほど気にする問題でもないかと思われます」
(;^ω^)「自分で言うのかお……いや、まあ、確かに流行ってる印象は受けなかったけど……」
lw´‐ _‐ノv「コストに関しては、そうですね、例えば、私が水洗いの出来ない体質だったらどうしますか?」
(;^ω^)「そんな体質あるのかお?」
lw´‐ _‐ノv「譬え話です」
(;^ω^)「うーん……その場合は余計なことをしたのかも知れないおね。すみませんお」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:26:26.05 ID:HqqSCo7qO
lw´‐ _‐ノv「いえ、譬え話ですので、謝って頂く必要はございません」
lw´‐ _‐ノv「むしろ、こちらがお礼を言うべき話です」
(;^ω^)「だったら何でそんな話をしたんですかお?」
lw´‐ _‐ノv「どうしてご注文されなかったのですか?」
(;^ω^)「え……それは……うーん……特に理由はないというか、炒飯が美味かったんでそのお礼みたいな……」
lw´‐ _‐ノv「お礼なら料金を払って頂ければ当方はそれで済む話です」
(;^ω^)「……お」
lw´‐ _‐ノv「失礼、お客様を責めているわけではございません」
lw´‐ _‐ノv「むしろ感謝しているくらいなのですが」
(;^ω^)「……ですが?」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:28:42.10 ID:HqqSCo7qO
lw´‐ _‐ノv「少々予定が狂ってしまいましたので」
(;^ω^)「予定?」
lw´‐ _‐ノv「……お客様はこのお店をどう思われましたか?」
(;^ω^)「え……どうって……最初はちょっと、いや、すごく変なお店かなと……」
lw´‐ _‐ノv「どこが変だったのですか?」
(;^ω^)「どこって……、いちいち細かいとこまで注文させるのがよくわからんかったお」
lw´‐ _‐ノv「どうしてですか?」
(;^ω^)「どうしてって、こういうお店はまず店員さんが来て、お冷とかおしぼり置いて……」
(;^ω^)「それから注文聞くか、決まったら呼んでくれとか言って……」
(;^ω^)「後はお皿とか注文しなくても普通に付いてくるお」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:32:05.69 ID:HqqSCo7qO
lw´‐ _‐ノv「普通ですか?」
(;^ω^)「普通だお」
lw´‐ _‐ノv「本当に普通ですか?」
(;^ω^)「飲食店なら普通はそうじゃないかお?」
lw´‐ _‐ノv「失礼ですが、お客様は当店は初めてですよね?」
(;^ω^)「そうだお。この辺自体が始めて来たお」
lw´‐ _‐ノv「では、何故、全く知らない店、知りもしない人が自分の思うように動いてくれるとお考えですか?」
(;^ω^)「え、それは……飲食店なら普通に……」
lw´‐ _‐ノv「普通ですか?」
(;^ω^)「うんお……」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:35:16.09 ID:HqqSCo7qO
lw´‐ _‐ノv「それは誰の普通ですか?」
(;^ω^)「僕の普通だお」
lw´‐ _‐ノv「ええ、そうですね。そしてそれは私の普通ではない」
(;^ω^)「……何が言いたいんだお?」
lw´‐ _‐ノv「失礼、前置きが長くなってしまいましたね」
lw´‐ _‐ノv「世の中には、言わなければわからない事もある」
lw´‐ _‐ノv「本当はただそれだけの話でした」
(;^ω^)「おー……」
lw´‐ _‐ノv「何でも相手が勝手に補ってくれるコンビニエンスな感覚に慣らされすぎているのではないかと」
(;^ω^)「それはそうかもしれないお……でも」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:37:29.40 ID:HqqSCo7qO
lw´‐ _‐ノv「勿論、それが悪い事ばかりであはありません」
lw´‐ _‐ノv「手間やコスト、そういった面から見ても多くの無駄が省かれています」
lw´‐ _‐ノv「それ自体は問題ないどころか、むしろ褒めるべき点です」
lw´‐ _‐ノv「この店で、いちいち注文するのはわずらわしいと思われたでしょう?」
(;^ω^)「それは思ったお」
lw´‐ _‐ノv「私もです」
(;゚ω゚)「お前もかよ!」
lw´‐ _‐ノv「調子に乗って焼き上がりとか細かいとこまで注も付けやがりますし」
(;゚ω゚)「メニューにあったじゃねーかお! 嫌なら書くなお!」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:39:12.33 ID:HqqSCo7qO
lw´‐ _‐ノv「とまあ、冗談はさておき……」
lw´‐ _‐ノv「世の中にはそれを忘れている人が多い」
lw´‐ _‐ノv「何も言わず、受動的にしか動けない人の多いこと」
lw´‐ _‐ノv「お客様にも、何か思い当たる点はございませんか?」
(;^ω^)「お……」
(;^ω^)「言われてみれば確かに……」
(;^ω^)「上の言われるままに車売り歩いて、それで売れなくて、売れない理由もわかってるのに……」
(;^ω^)「上が方針を変えないとそのまま何も変えず……」
(;^ω^)「それでいて内心は上に愚痴ってたお」
lw´‐ _‐ノv「誰しもそういう点があるのです」
lw´‐ _‐ノv「私とて、お客様がおしぼりで顔を拭かれるのを見て、おっさんくせーという言葉は飲み込みましたし」
(;^ω^)「それはそのまま飲み込んでおけお!」
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:41:03.25 ID:HqqSCo7qO
lw´‐ _‐ノv「とにかく、人は誰しもそういう点があり、その事に気付いていない人が多いのです」
(;^ω^)「……」
lw´‐ _‐ノv「が……」
(;^ω^)「が?」
lw´‐ _‐ノv「お客様は全く反対の行動をされましたね」
(;^ω^)「お?」
lw´‐ _‐ノv「言われずともやる、先ほど申し上げましたコンビニエンス的な行動ですね」
lw´‐ _‐ノv「本来ならばお店がやるべき事を」
(;^ω^)「食器の話かお?」
lw´‐ _‐ノv「はい」
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:43:02.50 ID:HqqSCo7qO
lw´‐ _‐ノv「それも、炒飯が美味しかったからそのお礼という、自分の思った通りの行動、意思で」
(;^ω^)「それは、そんな大げさなものじゃなくて、自然に……」
lw´‐ _‐ノv「自然に、心から、ですね」
(;^ω^)「お……」
lw´‐ _‐ノv「結論から申し上げれば、あなたにこのお店は必要なかった」
(;^ω^)「必要なかった?」
lw´‐ _‐ノv「あなたはちゃんと自分がわかっている人でしたから」
(;^ω^)「どういうことだお? よくわからんお」
lw´‐ _‐ノv「そのままの意味です」
lw´‐ _‐ノv「あなたは自分で答えを出せる人。このお店は、必要がなかったという事です」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:45:38.14 ID:HqqSCo7qO
lw´‐ _‐ノv「あなたは相手のことを思って行動できる人です」
lw´‐ _‐ノv「後は、あなたが本当に相手のことを思ってるならそれを言うだけの事」
(;^ω^)「相手の事……」
lw´‐ _‐ノv「良薬は口に苦いもの。耳が痛い話でも、ちゃんと聞かせることが必要になる事もあるのです」
(;^ω^)「……」
( ^ω^)「……そういうことかお」
( ^ω^)「僕は会社の言われた通り仕事してたお」
( ^ω^)「それじゃ売れないのはわかってても、それを会社に伝える事はしなかったお」
( ^ω^)「どうせ言っても聞いてくれないと、勝手に判断してたお」
( ^ω^)「会社の言う通りやってたら、失敗しても会社のせいに出来るって心のどこかで思ってたお」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:47:19.89 ID:HqqSCo7qO
( ^ω^)「でも、それじゃ駄目なんだおね」
( ^ω^)「伝えるべき事はちゃんと伝える。自分から提案して仕事を改善する」
( ^ω^)「そんな当たり前の事をやらずに愚痴ってばかりだったお」
( ^ω^)「……僕は馬鹿だったお」
lw´‐ _‐ノv「きちんと自分に向き合える人は馬鹿ではありません」
( ^ω^)「ありがとうだお」
( ^ω^)「それじゃあ、改めてお会計……の前に1つ聞いていいかお?」
lw´‐ _‐ノv「ご注文ですか?」
( ^ω^)「いえ、聞きたいだけなんで答えたくないなら答えなくていいですお」
( ^ω^)「何でそんな話を僕にしてくれたんですかお?」
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:49:25.13 ID:HqqSCo7qO
lw´‐ _‐ノv「ご注文だからです」
(;^ω^)「お? 僕はそんな注文はしてないお?」
lw´‐ _‐ノv「お客様ではございません」
(;^ω^)「僕じゃない? じゃあ、誰が……?」
lw´‐ _‐ノv「お客様の前のお客様です」
(;^ω^)「僕の前?」
lw´‐ _‐ノv「お客様と同じようにお悩みだったお客様に、同じようなお話をしました所、最後にご注文なされて帰られました」
lw´‐ _‐ノv「自分と同じように悩んでいる客が来たら、同じように話してあげてくれと」
( ^ω^)「おー……」
( ^ω^)「では、すみません、お会計の前にもう1つだけ追加注文いいですかお?」
lw´‐ _‐ノv「はいはい」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:51:14.40 ID:HqqSCo7qO
( ^ω^)「このお店に僕と同じように悩んでる人が来たら、さっきのようなお話をしてあげてもらえませんかお?」
lw´‐ _‐ノvφ メモメモ
lw´‐ _‐ノv「かしこまりました」
(*^ω^)「ありがとうですお。それでは、今度こそ本当にお会計お願いしますお」
lw´‐ _‐ノvφ メモメモ
lw´‐ _‐ノv「かしこまりました」
lw´‐ _‐ノv「600円になります」
(;^ω^)「随分安くないかお?」
(;^ω^)「てか、炒飯の値段だけなんですね」
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:55:29.95 ID:HqqSCo7qO
lw´‐ _‐ノv「ご注文通りですよ」
( ^ω^)「……みたいですね。それじゃあ、これ」
lw´‐ _‐ノv「はい、600円丁度ですね」
lw´‐ _‐ノvφ メモメモ
lw´‐ _‐ノv「レシートのお返しです」
( ^ω^)「お」
lw´‐ _‐ノv「ありがとうございました」
( ^ω^)「こちらこそ、ありがとうございましたお」
カランカラーン
lw´‐ _‐ノv「またどうぞ」
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:57:03.35 ID:HqqSCo7qO
こうして僕は不思議な『注文が多い料理店』を出た。
今考えてもおかしな出来事で、狐か狸にでも化かされたんじゃないかと思う事もある。
この辺りを回った事のある同僚達に聞いても、誰もお店の事は知らなかった。
やはり僕は何かしら、不思議な事に遭遇したのだろう。
でも、あの日受け取ったレシートは今でも葉っぱに変わる事もなくちゃんと残ってる。
払った値段の割には随分と長いレシートの最後には、スマイル(無料)0円と書かれていた。
全く笑ってたようには見えなかったけど、多分笑ってくれていたのだろう。
あの後、職場に戻ってから子供店長とガチのケンカをした。
最後はチョークスリーパーで落とされたけど、お互いの健闘を称え合って握手した。
今では少し意見も言えるようになった。
僕は新しく自分で考慮した販売プランを持って、あのお店があった町に来ている。
まだ一台も売れてないけど、ほんの少し手応えは感じている。
絶対売ってやる。
そんな気持ちを胸に僕はこの町を歩き回った。
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/07(土) 23:58:22.95 ID:HqqSCo7qO
(;^ω^)「……とは言ったものの」
( ´ω`)「売れないおねー……」
( ´ω`)グゥー……
( ´ω`)「お腹空いたお……またあのお店の炒飯食べたいお」
( ´ω`)「でも、きっともうないおね。僕には必要ないって言われ──」
( ゚ω゚)「!」
(;^ω^)「何であるんだお? こういのって普通、一度きりってのが……」
(;^ω^)「!」
( ^ω^)「……それは僕の普通の感覚なんだおね」
( ^ω^)「行ってみるお」
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 00:00:08.93 ID:HqqSCo7qO
- カランカラーン
lw´‐ _‐ノv「いらっしゃいませー」
( ^ω^)「おいすー」
( ^ω^)「注文の前に1つ聞いていいかお?」
lw´‐ _‐ノv「はいはい」
( ^ω^)「何でこのお店に僕はまた入れたのかお?」
lw´‐ _‐ノv「何故と申されましても……お客様が必要となされたからとしか思えませんが」
( ^ω^)「お……? でも、僕はもう必要な──」
( ^ω^)「!」
(*^ω^)「必要でしたお! 炒飯、海老とグリンピースと玉ねぎと卵の炒飯──」
ここはごく普通の、でも、ちょっとだけ不思議な料理店。
お客様の注文が絶える事のない料理店。
注文が多い料理店なのです。
lw´‐ _‐ノv「かしこまりました」
──── lw´‐ _‐ノv注文が多い料理店のようです おわり ────
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