- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 21:58:54.10 ID:cIA4jGto0
-
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
家出と云う言葉を聞いて、顔を顰める大人は多いと思います。
家出というものは 軽佻浮薄な夢に溺れる若者たちが、
己の未熟さを棚に上げ、不正な方法で、大人や環境といった過去の柵を超えようとする
軽薄で、愚かしく、嘆かわしい、反社会的インチキ行為で御座います。
そんなインチキ行為を、背を伸ばし、胸を張り、誇りをもって行うのが私、家出ガール。
胸を張って、言葉の矢を放ちましょう。
ζ(゚ー゚*ζ「家出と云うものは、たいへんいけない事だと思われがちですが
それ以上に夢が詰まった素晴らしいエキセントリック行為なのですよ」 と
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- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 21:59:37.12 ID:cIA4jGto0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そんな方向音痴でよく迷い、生き急ぐ、流れ星のような私のお話。
ζ(゚ー゚*ζ星瞬きの家出ガールのようです
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- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 22:04:28.23 ID:cIA4jGto0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
o。ζ(-o- *ζ「んっ……」
なんだか 夢をみていました。
一体なんの夢なのでしょう。 何度か見たことのある気がする夢。
ナントモ、不思議。
目を開けると私は夜道を歩いている最中でした。
嗚呼 思い出しました。
私の名前は家出ガール。 その名の通り、家出の真っ最中。
たしか夜道に迷い 月夜に照らされたふんわり雲が、綿菓子のようで、なんだか美味しそう。
だ、なんて事をぽーっと思いながら ぽてぽて歩いていると
急に襲いきた睡魔にやられてしまい 夜道を歩きながら 寝てしまったのでした。
家出ガールであるのに、家出の最中に寝てしまうだなんて、私は家出ガール失格なのかも
いや、寝ながらも家出をしている点を評するべき?
そんな事を考えながら、私は今日も夜の街を闊歩します。
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- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 22:06:27.18 ID:cIA4jGto0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ふわふわとした夜気をかき混ぜ 夜を溶かし歩いていると、
前方になにやら黒い影が顕れました。
なんだろうと思い 目をジッと凝らして見てみると 黒い影はお巡りさんでした、
お巡りさんは 犬のお巡りさんでした。 とてもぷるぷるしてました。
(´・ω・`)「やあ、僕は見ての通り犬のお巡りさんだよ、何故ぷるぷるしているかって?
当たり前だろう、僕は犬のお巡りさんであると同時に、チワワでもあるからね
チワワは、ぷるぷるするものさ、そうきまっているんだ、当然至極なのだよ」
お巡りさんは小さな体をぷるぷると震わせ ありったけの言葉を早口でまくし立てると
一瞬ふうと大きく息を吐き つぶらな瞳をこちらに向けて 再度言葉を放ちました。
(´・ω・`)「やあやあ、君。家出はいけない事だよ
ご両親が心配で禿げ上がらない内にお帰りなさい」
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- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 22:11:00.11 ID:cIA4jGto0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私もその意見には概ね同意です。
家出は とてもイケナイ事。
ですが イケナイ事をするからこそ
罪悪感と隣合わせの ぴりぴりとくる背徳感を覚えることができるのです。
それに家を出た時の私の決意たるや、からあげせんべえにも引けを取らぬ堅さ。
そして家出ガールとしての矜持と言うものも、ささやかながら持ち合わせております。
ですから、拒絶の意を込めて首を横にふるふると振りました。
(( ζ(-、- ζ )) フルフル
ζ(゚ー゚*ζ「いいえ、私は家出ガール
両親が禿げあがったくらいでは家には帰りません
両親が砕け散ったくらいでないと、両親が液状化するくらいでないと
いえ、それでも私は家に帰らないかも?だって、私は家出ガールですもの」
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- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 22:13:34.87 ID:cIA4jGto0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(´・ω・`)「何故だい?何故そんなに家出に固執する、行きたい所でもあるのかね」
訪ねられ 私は一瞬戸惑いました。
何故なら 私には固執する理由の材料になるような記憶も過去も名前も無いからです。
私が 私の事で認識しているのは 私が家出ガールであると云う事だけです。
多くの方は 自己認識がそれだけでは余りに少なすぎる と云うかもしれませんが。
私はそれだけで十分に思います だって十分足り得る程 濃く深い確信ですもの。
ζ(゚ー゚*ζ「長年家出をしていると、お巡りさんのように
何故家出をしているのか?とお尋ねになる方がたくさんいます。
ですが、私は家出ガール。
詩人が愛を謡い、鳥が空を飛び、犬がワン!と鳴くように私は家出をするものなのですよ
先程チワワさんは‘チワワは、ぷるぷるするものさ、そうきまっているんだ、当然至極なのだよ’
と 仰いました それときっと同じです。
家出ガールは家出をするもの。 そう決まっているのです。 当然至極。
それが家出ガールの しからしむところなのです。」
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- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 22:20:59.12 ID:cIA4jGto0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(´・ω・`)「ふうむ、ふむ。そうかそうか。
よくわからないが大層硬い決意と熱い思いを胸に秘めているんだねえ」
チワワのお巡りさんは 震えながらジッと検討するような熱い視線を送ってきました。
思わず目をそらしたくなるほど 熱く、力強い視線でしたが
ここで目をそらしてしまうと なんだか負けちゃ気がします。きっとそうです。
なので私は ギヌッと視線を返し「だってそれが家出ですもの」「だってそれが家出なのですもの!」
と お巡りさんに負けないくらい体を震わせ 大きな声で言い返しました。
そんな私の様子をみて
一人しきりに「ウン、ウン」と お巡りさんはなにやら納得を始めます。
そうして、輝くような笑顔を放ち、体のぷるぷるを、強くしていくじゃありませんか。
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- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 22:28:07.42 ID:cIA4jGto0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
::((´^ω^`))::
怪しく輝く笑顔を振りまきながら
お巡りさんはぷるぷるぷるぷると、どんどん強く震えていきます。
ζ(゚ー゚;ζ「わっ」
その震えは、地に伝い立っていられない程の地震を起こします。
私は側にあった電柱に なんとか捕まりますが その電柱も震えに耐えきれず折れてしまう始末。
ストンと尻餅をついてしまう わたくし。
チワワのお巡りの震えにより 巻き起こった地震で崩壊し往く町を見上げながら
私はひとり静かにζ(゚ー゚*ζ。c(大変なことになってしまったなあ) と思ったのでした。
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- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 22:36:01.42 ID:cIA4jGto0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お巡りさんの振動は さらに増し増し。
街は震えに耐えきれず、ついに液状化してしまいました。
それでも、なんとか震えに耐えている私。
これもきっと家出ガールの しからしむところところなのでしょう。
私はドロドロになってしまった夜街に思いを馳せながら お巡りさんを見続けました。
街が液状化するほどの振動であるというのに、まだ震えるのをやめないチワワのお巡りさん。
成程 これがチワワであるが故の“矜持”というものなのですね。
私も 見習わないといけません。
そんな事を思っていると お巡りさんの振動が、ついに空間をも切り裂く程になったのか
お巡りさんを中心に 振動で空間にヒビが走っていきます。
次元の亀裂はジグザグとお巡りさんを中心に どんどん縦横無尽に連鎖し、やがて世界を覆います。
そして、お巡りさんがピタッと振動をやめたのと同時に、一斉にパリンと割れました。
割れ砕け、きらきらと輝きながら舞い散る世界の欠片を
私は、まるで雪のようで綺麗だな、と思いました。
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- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 22:43:56.06 ID:cIA4jGto0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
砕け散った世界の中には 真っ白な世界がありました。
世界の中にまた世界があるだなんて どこまで切っても金太郎な金太郎飴みたい。
真っ白な世界に存在するのは 私と 震えるのを止めたチワワさん
それと何時の間にやら現れた 大きくて、赤い、列車だけなのでした。
(´・ω・`)「乗ってみるかい?大きくてピカピカだよ」
ζ(^ー^*ζ「それに、とっても赤いですしね!」
私 実は赤という色が大好きなのです。
生々しくて、艶めかしくて なんだか生命を感じる不思議な色。
見てて、なんだかドキドキするんですもの。
私は笑顔で チワワのお巡りさんと一緒に列車に乗り込みました。
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- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 22:49:13.13 ID:cIA4jGto0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
乗り込むと同時に 列車はグングンと上昇を始めました。
真白な世界を追い越して 宇宙に飛び出る真っ赤な列車。
ガタン、ゴトン、と流れ星のレールに乗って列車が進みます。
まあ、真っ赤なだけでもエキサイティングなのに
それだけじゃなく、宇宙を走るだなんて、なんて素敵な列車なのでしょうか。
高級感を湛えながらも、それでいてきちんとかわいさも併せ持っている
ウッディを基調とした、真っ赤な車内装飾を私はたいへん気に入りましたし。
優雅でいて、どこかノスタルジックな雰囲気が漂う、
やさしい光を投げかけてくる、小振りでも存在感のある照明もなんだか素敵。
座椅子も、体に吸い付くような潤いを感じるほどに、もっふり柔らかです。
否が応なしに、私の乙女テンションは上がります。
そして、なによりも窓から見えるこの景色。
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- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 22:51:14.44 ID:cIA4jGto0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ミルクのようにやわらかい白い光を放つ、小さくて可愛い星。
怒声が聞こえてきそうなほど、紅く怒りを主張する太陽。
何を急いでいるのか、蒼い淡い光筋を残し、去り行こうとする流星。
色とりどりの光を投げかける星たち。
星空の、ミルキーウェイ。
多種多様な光を投げかける星々に、私は感情を揺さぶられます。
点々と灯る星たちのナントモ云えない味わいある灯り、
なんだか散らかったまま、時間が凍ってしまった宝石箱のような静謐な美しさを感じます。
気がつくと、私は涙を流していました。
哀しいような、苦しいような、苛立つような、共鳴するような......
星たちを見ていると、どうも心の中をかき乱されるのです。
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- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 22:54:03.06 ID:cIA4jGto0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そんな私の涙をぬぐい去るように窓から星屑に乗った風が流れてきました。
星風が、やさしく私の頬を撫でます。心を温められるような、心地よい風。
星風に慰められた私は、涙を拭い、頭をふり、前を向きました。
泣く事なら、どこでもできます。
それこそ、きっと家出をする前の私にだって
(勿論、私には家出をする前の記憶など、残っていませんが)
くつくつと沸く不思議な浮揚感と高揚感、この非現実に今は浸ろうじゃありませんか。
今日こそ、なんだか目的地が見つかる気がします。
ζ(゚ー゚*ζ「それにしても、宇宙というものはホントウに綺麗で、広大ですね」
呟いた一言が、星風に乗って、宇宙の中に溶けていきます。
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- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 23:06:13.60 ID:cIA4jGto0
- すみません、ちょっとお風呂にいってきますね。
半ながらなので投下遅いです、すみません。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 23:29:51.81 ID:cIA4jGto0
- 戻りました、続きいきます。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 23:34:25.92 ID:cIA4jGto0
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「そう、綺麗で広大なのさ
そしてそれ以上に、宇宙は孤独で哀しさに満ちているんだ」
私の言葉に呼応したのか、ポツンと後ろから声が聞こえて来ました。
振りかえると、チワワのお巡りさんがが立っていました。
(´・ω・`)
お巡りさんは先程の警官・ルックではなく
ぶかぶかの靴と手袋と帽子を被って車掌らしくなっていました。
ζ(゚ー゚*ζ「孤独で哀しい?」
(´・ω・`)「そう、孤独で哀しいんだ」
そう呟くチワワさんも、なんだか古びた校舎のように、哀しそうなのでした。
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- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 23:39:02.86 ID:cIA4jGto0
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ζ(゚ー゚*ζ「嗚呼、でもわかります。言われてみると.........
綺麗でいて、広大でいて、そしてそれ以上に、孤独で哀しい......」
ζ(゚ー゚*ζ「星の光たちを見ていると、そんな事を、感情の隙間のところで感じます
一見美しく、絶対的な星光たち、でも......なんだか.....
その美しさの裏で......儚げな、とてつもなく儚げな
心を奪われてはいけない寂しさのような......そんな“かけら”のようなもの
そんなものが、彷徨っている気がします。まるで、それぞれ宛もなく家出をしているみたい
藻や屑みたいに空虚で寂しい。そんなかけらを伴った寂しい旅の途中のようです」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、だけど」
ζ(゚ー゚*ζ「いえ、だからこそ」
ζ(゚ー゚*ζ「とても、綺麗に思います」
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- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 23:45:48.31 ID:cIA4jGto0
- ___________________________________
柄にも無く しんみりとしてしまいました。
でも、それほどに 星の光たちは儚く美しいのです。
そんな私の様子をチワワさんは 若干のぷるぷるをたたえつつ見つめ
口をもごもごさせ、色んな、言いたい事を、口の中で転がして吟味し、そして私に声をかけます。
(´・ω・`)「孤独なのも当然至極だよ
僕が震えるように、君が家出をするように、人の心は孤独であるものだからね
あれは星じゃないよ、マア、星だけどさ、星であると同時に人の心なのさ、心の燈明さ、感情の光」
ζ(゚ー゚*ζ「心の燈明?」
(´・ω・`)「ああ、そうさ、惑星と云うのは、人の心でもあるのさ」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ、こんなに小さな人の心が、こんなに大きな惑星と云うのですか?
ナントモ不思議、でも星の光があれほど綺麗で儚いのは、
人の心だと云われるとなんだか納得してしまいます」
(´・ω・`)「見た目の大きさに囚われちゃいけないな
人間の心というのはね......君たち人間が考えているものより、
ずっとずっと偉大で神秘的で綺麗で、それでいて......孤独なものなのさ」
___________________________________
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 23:51:38.63 ID:cIA4jGto0
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そう一気に捲くし立てると、チワワさんは困ったように微笑みました。
そして、懐から煙草を取り出すと、ぷうん、といい匂いのする煙を吐きながら、話を続けます。
(´・ω・`)「......生きているとね、様々な感情が心に湧き上がる、人間はそう出来ているから
そして、湧き上がった感情同士が、互いを求め合い、重なりあって、融合していく
その時......生じた感情が強い光となって、訴えかけるんだ
己はこうだ、誰かわかってくれ、寂しいぞ、って それが心の燈明、星の光」
(´・ω・`)「でもね、ダメなのさ、みんな、湧き立つ感情を吐し
自分の寂しさを紛らわすことばかりに躍起になって、光を放っても、受け取る事はしないのさ」
(´・ω・`)「60億もの星がありながら、だれも他の星の光を受け取ろうとしない、自分勝手に求めるだけ。
互いが互いに独立しあい、孤独で居続ける。
もう少し、自分以外を受け入れて、解ろうとする余裕があれば、
或いは誰も孤独にならず済むかもしれないのにね、
まったく、人間と云う奴はどこまでも身勝手で、どこまでも寂しい奴さ
......星々を見ていると、よくわかるだろう?」
___________________________________
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 23:56:04.57 ID:cIA4jGto0
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ζ(゚ー゚*ζ「でも、でも、でもでも!あそこを見てください!
あの2つの星、あんなに仲良く、並んでいるじゃありませんか
互いの光が重なりあって、ナントモ云えない美しい艶然とした光の縞を作り出しています
星が放つ光が、心の燈明と云うのなら、あの2つの星は織り重なって、解り合い、新しいものを生み出している
私にはそう見えます、決して彼らは孤独ではない
そう、こんなに広い宇宙ですもの、
ただただ60億もの孤独が、浮かんでいるはずだけのない、私は、そう思います。」
ζ(゚ー゚*ζ「私には、学は無いけれど,あれはたしか、双子座を成すポルックスとカストル」
(´・ω・`)「近くにいるように見えるだろ?
でも実際は星と星の間って凄く離れているのさ
同じ太陽系に所属し、各々が求め合って公転してる星々も、決してお互い触れ合う事はない
近づきすぎると、お互い求めあいすぎて、互いの情愛に耐えきれず崩壊しちゃうからね」
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- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/31(月) 23:58:26.89 ID:cIA4jGto0
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(´・ω・`)「光が混ざり合い、互いに解り合っているように見えるかもしれないけれど
それは、彼らが互いに「解り合っている」ように思い込んでいるだけさ
互いが己の都合の良いように、相手の感情や、己放たれた光を解釈、希釈し
そして解りあった気になっているんだ。」
(´・ω・`)「そして、なにより哀しい事に彼らは‘思い込んでいるだけ’というのを自ら理解している
‘思い込みあっているだけ’偽りの共感。相互理解。
頭のどこかで偽物だとわかりながらも、その偽りすら無くなってしまうのが怖いからね
彼らは‘思い込みあっているだけ’の状態を壊さないように、互いの役割を演じきる
そうして決して紛れる事の無い寂しさに想いを馳せながら公転し、狂々と回るのさ。滑稽だよね
互いに想いの重力で干渉し合い、束縛しあっているけれど
決してお互い直接触れ合おうとはしない。
もし触れてしまうと、共感が幻想だという気付いてしまい、
絶対的孤独を突き付けられるという事を知っているからね
もし触れてしまうとどうなるかって?そうだね
幻想に気付いた後でも、人間は、互いを求め合う事を決してやめない。寂しいからね
幻想が真になるように、真を修正しようとする
そして、お互い求めあいすぎて、互いの寂しさ情愛の重力に耐えきれず崩壊するんだ。」
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- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/01(火) 00:03:41.42 ID:Fiq8jiFQ0
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(´・ω・`)「孤独から、開放される唯一の瞬間は、もしかしたらそこかもしれないね
互いに衝突しあって、崩壊し、いっしょに消え往くその瞬間……」
ζ(゚ー゚*ζ「そんなの……寂しすぎます」
(´・ω・`)「そうだね、寂しいし、哀しい
でも、人間っていうのはそういう風に作られてしまっているから、仕方が無い事なのさ」
なんだか泣きたい気持ちになった、私は
60億もの孤独な光を浴びて 列車と共に 星空を渡ります。
家出というものは、孤独なものです。
しかし、そこには遊興があり ドキドキがあり
追い求めているものをいつか探し当てる という希望があります。
ですが、今の話がホントウであるならば
人は一生孤独にひしめき合うだけじゃないですか
そこにはなんの遊興も、楽しみもありません あるのはただただ空虚な孤独。
受け取ってくれるはずもない、寂しさの光を、
みなさん どのような気持ちで吐き出しているのでしょう。
酷く脆くて、酷く淡くて、酷く美しい 心の光。
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- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/01(火) 00:14:47.75 ID:Fiq8jiFQ0
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孤独に打ちひしがれていると、
隣の部屋から ドンドン という大きな音が聞こえてきました。
それと同時に奇声を発しながら 男が私の居る車両に乗り込んできました。
男はとても興奮した様子で、唾を飛ばしながら、言葉を投げつけてきます。
('A`)「やい、そのの阿呆ども雁首そろえて何してやがる
嗚呼、嫌だ嫌だ、阿呆臭い
何故この世界の阿呆どもネコも杓子もすべて完璧な阿呆ときているのだ。
救いがたい。全くもって救いがたい事だ。勿論私もその阿呆の一人ではあるが 、
その阿呆の私に対して見当はずれな能書き垂れている連中はもっと完璧な阿呆だ。
前者である私は自分が阿呆なのを知っているが、
後者は気付かないでいようと、気付かれないでいようと、内心はらはらどきどき しながら、
取り繕ってばかりいやがる、そして、莫迦百言をのたまって居るんだ。嗚呼、まったく阿呆だらけだ」
驚く私を無視しながら、男は更に怒声を浴びせます。
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- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/01(火) 00:35:38.25 ID:Fiq8jiFQ0
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(´・ω・`)「否定することしか、できなくなった男だね」
チワワさんはボソッと漏らします。
(´・ω・`)「この列車には、ある一つの目的で集まったたくさんの人がいるからね
彼もその一人だろう。己を否定され続けた結果、卑屈になることさえ出来なくなり
否定され、見下される前に、自分以外を見下し、否定することで
なんとか自我を保っているようなかわいそうな男さ」
男はチワワさんにも、私にも構わず
虚空に向けてブツブツと文句を言い続けます。
___________________________________
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/01(火) 00:46:59.25 ID:Fiq8jiFQ0
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バタン、と今度は対面の扉が開きました。
('、`*川
中からは、酷く疲れた様子の中年の女の人が。
眉間に皺を寄せ、難しそうな顔をしています。
私は知っています。
こういうコチコチに頭が硬い、真面目な人間が家庭や、社会を回しているのだと。
けれど 眉間に皺をよせて重々しく考える振りをする人よりも、
軽く笑い飛ばしてふわふわしたやつらが世の中を楽しくしていると私は信じているので
私はこういう人間は......あまり好きじゃありません。
女性はため息まじりに、ゆっくりと足を地に摩りながら
怒声を放つ男に近寄っていきました。
___________________________________
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/01(火) 01:05:08.20 ID:Fiq8jiFQ0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
('、`*川「あなた......いい加減にしてよ、さっさと働いてよ
私にばかり働かせるつもり?」
('A`)「あぁ?!文句あるのか、この阿呆が」
('A`)「お前は働いているだけだろう、まだイイ
おれはな......日々戦っているのだに苦痛と別種の退屈さを感じながら
昨今に氾濫する「透明的な阿呆ども」との接触に更に退屈し
人間の矮小さを自覚し、ほとほと嫌気がさしてきている......」
('A`)「いいか、これはお前も同じだ、嗚呼嫌だ嫌だ、この阿呆
顔も見たくない」
('、`*川「何また意味のわからない事言ってるのよ......
貴方がそんなのだから娘の●●は......!」
('A`)「なんだと!おれだけのせいだっていうのかよ!
●●が●●●●になったのは、おれだけじゃなくてお前も......
もういい、お前と●●を殺して俺も......」
二人は罵詈雑言を言い合いながら、どんどん距離を縮め
そして、ぴったりとくっつき、混ざり合いました。
ぐんにゃり、ぐにゃぐにゃ。
チョコレート・アイスクリームとバニラ・アイスクリームが溶けて交わるような。
私はその光景を、とても寂しく、哀しいものだと感じました。
何故なら、二人は死んでしまった父と母だからです。
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- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/01(火) 01:11:25.33 ID:Fiq8jiFQ0
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混ざり合い、融け合う二人を起点に、
空間が融け合っていき、私もそこに吸い込まれます。
混ざり合い、1つになったすべて。それはとても心地が良い事。
そうして、私は少しだけ思い出しました。
家出ガールである前の私の事。
忘れていた、いや、無理やり忘れようとしていた事。
家出をしていたのは、ただの逃げ。
ほんとは、わかっていました。
どこにも逃げる場所なんてないのに。
どこにも行くところなんて無いのに。
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- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/01(火) 01:12:41.10 ID:Fiq8jiFQ0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私が家出をしつつ、いつも迷っていたのは地図が無いからではありません。
目指すべき場所 そのものがないからなのです。
どこかに行きたかったのではなく
あるはずの無いもので満ちている、行く宛無き、‘どこか’に行ってしまいたかっただけ。
意味も無く、さまよっていただけなのです。
家出なんかしたって、意味があるはずなかったのです。
そこには遊興や、希望なんてやはり無い。
チワワさんのいう通り。
60億の孤独の中をあてなくさまよい歩いていた、だけ。
還るべき場所は、求めているものがあるのは、
自分の心にしか無いのですから......
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- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/01(火) 01:17:35.90 ID:Fiq8jiFQ0
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(´・ω・`)「起きなよ」
o。ζ(-o- *ζ「んっ……」
融け合った意識が、チワワさんの声で目覚めました。
そこは真っ赤な列車でなく。
黒く、内に内にひしめきあう、不気味な光を放つ星でした。
ζ(゚ー゚*ζ「ここは......?」
(´・ω・`)「目的地さ、列車というのは、目的地を目指して走っているものだからね
その目的地、君の心についたんだ」
(´・ω・`)「みてごらん」
チワワさんが指差す方を見てみると、大きな井戸がそこにはありました。
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- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/01(火) 01:21:32.93 ID:Fiq8jiFQ0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(´・ω・`)「[星の井戸]さ、君は知らなかっただろうけど、
ずっと此処を目指して家出をしていたのだよ
さあ、早く覗いてご覧、この星はもう崩壊して、ブラックホールになろうとしている
そこにはきっと、君が求めるすべてがあるからさ」
ζ(゚ー゚*ζ「.........」
チワワさんに言われるがまま、私はゆっくりと身を乗り出し
[星の井戸]を覗き込みました。
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- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/01(火) 01:22:17.35 ID:Fiq8jiFQ0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
体を脱力させ 眼を瞑り 深呼吸し、井戸を覗き込みます。
自分の中へ、深く潜り込むように。
自分の中に、収縮されていくイメエジを浮かべて。
そうすると、心がぷかぷかと浮かび
心臓の鼓動がいつもより熱く、強くなり
私の中で、私という存在がどんどん大きくなってくるのです。
息をせず、集中し 私は、私の中の私に意識を向けます。
この時 大事な事が一つ御座います。
けっして、気づかれてはいけません。。
私は、たいへん臆病でありますから、気付かれてしまうと私は私にすぐ嘘をつき、繕うとします。
私は、そんな私を見るが為に潜っているのではありません。
だから見つからないように、慎重に動かなければならないのです。
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- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/01(火) 01:27:02.08 ID:Fiq8jiFQ0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
暗い海を潜るように 慎重に意識を探っていますと
ドクドクと波打ち揺蕩う 鼓動の中心部に 私はいました。
小さなジャングルジム・だれもいないのに揺れるブランコ・主も居ないのに地を泳ぐ無数の影
そんなシロクロの小さな公園の中央にある、砂場に私はいました。
私は、今時分の姿でなく、幼少期の私の姿をしていました。
赤や青、白や黄色、色とりどりで、輝きを放つ砂にまみれながら
私は泣きじゃくり 色々なものをつくろうとしています。
ですが、うまく作ることができません。
いびつな人形泥人形。
形になる前に崩れ去ってしまう砂のケーキ。
それもそのはずです、私には両手がないからです。
背後には顔の無い両親が立っていました、彼らは罵り合うと
黙り合った一瞬の間を合図に、互いを殺し合います。
そして、残された私も、砂を飲み、自ら命を経つのです。
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- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/01(火) 01:30:59.88 ID:Fiq8jiFQ0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ζ(;ー;*ζ
私は自然に、涙を流していました。
[星の井戸]から色とりどりの、私がたくさん這い出てきます。
.........嗚呼、心と云うものは、チワワさんが云うように惑星と同じなのですね。
湧き上がる感情を制御しきれず、寂しさが他を求めすぎて、強い重力と化し
自分で消化しきれなくなって、溢れて、溢れて、はじけ飛んで、爆発してしまって
そして感情の重力が、これ以上孤独にならないようにって、裡に裡に、ってひしめきあって、
求め合って、くっつきあって、融け合って、互いにその重さを支えあえなくなって、崩壊していくのですね。
ぶつけ合う感情を押し止める力がなくなり、永遠に自分自身の裡に落ち込んでいく。
「自分」に向かって永久に収縮し続けて、そして、そして......
ブラックホールと云う名の[完全なる孤独]
壊れ諦めた心は、こんなにも心地良い。
だって、なにも届かない、なにも訴える事が出来ないのですから。
何も求めずに済む。何も期待せずに済む。[自分]だけで完全に完結している。完成している。
[自分]にのみ帰結できるのです。嗚呼、なんて素晴らしいのでしょう。
ごめんね、私の中で私だけ、なにかを期待して家出をしてしまって。
帰るべきは、此処だったのですね。
さあ、共に回帰致しましょう、自己に。
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- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/01(火) 01:38:34.95 ID:Fiq8jiFQ0
私たちは、腕を絡み合い、頭を押し付け合い求め合い、収縮していきます。
各々自分の内部に向かって凝縮しながら、
しかし、執拗に体を擦り付け合って一つになっていく。
発せられる光は、色とりどりで、混乱を示しているものの。
確かに、己という暗黒に引っ張られて、消化されていきます。
そうして、最後には、完全に一つになって、何も発さずにいられるようになるのです。
完結した私は目を閉じて、眠りにつきます。
意識を己の闇に溶け込ませば、夢の中で王で在り続ける事が出来るのですから。
そこには長年の知己ともいえる沈黙が存在します。
一個の生命として、完結するのです。
唯一で、最大の完結。
おわり
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