- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:13:54.53 ID:puSs7qXjO
- サンタの存在を信じないでいられる人間は幸せである。
もちろん、純粋にサンタの存在を信じられる子供達はもっと幸せである。
では不幸なパターンとは?
それはわたし、このミセリのパターンに他ならない。
('A`)「おい暇だ。炭鉱節でも踊れ」
ミセ#゚―゚)リ「踊 り ま せ ん !」
――――――本物のサンタが家に居て、信じざるを得ない場合である。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:15:40.52 ID:puSs7qXjO
- 〜('A`)はサンタクロースのようです〜
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:16:52.69 ID:puSs7qXjO
- 世の中が、夢も現も妄想もクリスマスの白と赤とピンク色に染まる12月25日、クリスマス。
わたしの家のサンタは相変わらずゴロゴロとしていた。
サンタにとってのかき入れ時だというのに、準備すらしていない。
ただ狭い家の中をゴロゴロ転がりながら、似合わない紅白の衣装をわたしの網膜に焼き付けるばかりである。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:18:13.57 ID:puSs7qXjO
- 彼の名前は鬱田ドクオ。
年齢はわたしはわたしと同じ20歳前後に見える。
しかしその瞳には、若者特有も輝く光はなく、死んだ魚のように濁った影を移している。
まるでニート、というかニートそのものだ。
なんせわたしの家にやって来てからの半年間、彼が能動的に動いているのをわたしは見たことがない。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:21:05.29 ID:puSs7qXjO
- ミセ*゚―゚)リ「おいそこのバカサンタ」
('A`)「なんだ、あと俺はドクオだ」
彼の言葉に耳を貸さず、話しを続ける。
ミセ*゚―゚)リ「今日はクリスマスです」
('A`)「そうだな」
そうだな、じゃないだろバカサンタ。
ミセ*゚―゚)リ「仕事にいってください」
('A`)「仕事? なんだそりゃ」
腹立たしい。非常に腹立たしい。
だが、内なる怒気をグッと堪える。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:23:25.16 ID:puSs7qXjO
- ミセ#゚―゚)リ「サ ン タ の 仕 事 で す ! もしかして、脳みそが蕩けちゃってるんですか?」
('A`)「あ、いや、そうじゃなくて」
ミセ*゚―゚)リ「?」
('A`)「『仕事』ってなんだっけ」
ミセ;゚д゚)リ「!!!!!?」
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:25:21.66 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「うーん……。単語の響きは懐かしいんだが、できれば思い出したくないかんじがするな……」
ミセ;゚―゚)リ「なにが思い出したくないですか。アンタは人間の屑ですか!?」
('A`)「サンタの屑と言ってくれ」
ダメだ!
コイツはホンマもんの屑や!
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:27:16.45 ID:puSs7qXjO
- ミセ;゚―゚)リ「と、とにかく!、あサンタとしての仕事はきちんとしてください!」
('A`)「俺は誰にも縛られない……」
ミセ;゚―゚)リ「アンタはどこのロックンローラーですか!?」
('A`)「あ、やっぱ縛られるのは大好きだわ」
ミセ;゚―゚)リ「そんな話しをしているわけじゃありません!」
もうやだこのサンタ。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:28:50.92 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「ふむ……」
バカサンタこと鬱田ドクオは、相変わらず部屋の中を転がっている。
非常に鬱陶しい。
なんでこんなヒモの彼氏を心配する彼女のようなことをしなくてならないのだろう。
この世は不条理である。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:30:37.12 ID:puSs7qXjO
- 突然彼は転がるのを止めた。
すると、顔をあげわたしのほうを見ると、
('A`)「……サンタって、どんな仕事をすればいいんだ?」
などとほざいてきた。
ミセ#゚―゚)リ「子供達にプレゼントを配るんですよ! たわけたこと言わないでください!」
('A`)「誰がたわけだこの野郎」
ミセ#゚―゚)リ「アンタはたわけでもお釣りがくるわ!」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:32:11.50 ID:puSs7qXjO
- なんでわたしがこんなに叫ばなくてはならないのだろう
……まぁ叫んでるのはわたしの意思だけど。
ミセ*゚―゚)リ「いいからさっさとプレゼント配ってきてください。可愛い子供達が待ってますよ?」
('A`)「子供は嫌いだ」
ミセ*゚―゚)リ「もうお前サンタ辞めろよ」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:33:50.98 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「馬鹿言うな、子供が嫌いな教師もいる。つまり、そういうことだ」
ミセ*゚―゚)リ「あーはいはいそーですねー」
('A`)「ちなみに俺の担任は大の子供嫌いだった」
ミセ;゚―゚)リ「サンタに担任いるの!?」
('A`)「いるぞ。いい先生だった……。いわば、恩師ってやつだ」
ミセ*゚―゚)リ「へ〜……」
('A`)「……………」
ミセ*゚―゚)リ「……………」
……なんだこの空気。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:35:47.77 ID:puSs7qXjO
- わたしは、寝転がってる彼に飛び掛かり、後ろから締め上げた。
ミセ#゚―゚)リ「い い か ら 仕 事 い っ て こ い !」
('A`)「めんどくさい」
ミセ#゚―゚)リ「なにがめんどくさいですか!」
('A`)「粘土臭い」
ミセ#゚―゚)リ「わたしはきちんとビオレで洗ってます!」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:37:10.73 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「お前……。ビオレって、まだ肌の弱い子供が使うんだぞ?」
ミセ;゚―゚)リ「な、なにが言いたいんですか……」
('A`)「歳、考えろよ、な?」
ミセ#゚д゚)リ「さっさと失せろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
そう言って、わたしは壁に放り投げた。
('A`)「うわー」
そしてそのまま彼は壁を―――
('A`)「あーれー
―――すり抜けていった。
そう、彼は普通のサンタではない。
亡霊サンタなのだ。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:40:51.34 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「ただいまー」
彼は、すり抜けた壁をふよふよと浮かぶながら戻ってきた。
ミセ*゚―゚)リ「お帰りくださいませサンタ様」
いやホント。
('A`)「隣のお姉さんが着替えてた」
ミセ;゚―゚)リ「ごめんなさいお隣りさん!」
('A`)「いやいや、」
川*゚―゚)『ふふ、ドクオへのクリスマスプレゼントだな』
('A`)「って言ってた」
ミセ;゚―゚)リ「え?マジ?ていうかなんで頬染めてんの?」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:42:18.85 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「それにしても、はぁ……」
ミセ*゚―゚)リ「どうかしましたか?」
('A`)「いやな、」
そう言って彼はわたしのほうに歩み寄ってくると、
('A`)「なんでこんなに違うんだろう……、って思っただけだ」
わたしの薄い胸をツンと突くと……は?
ミセ#゚д゚)リ「なにしとんじゃボケぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
(メ)'A`)「ふぐぅ」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:44:02.94 ID:puSs7qXjO
- ミセ# д )リ「ふしゅぅぅぅ…………」
(メ'A`)「痛いじゃないか」
ミセ#゚д゚)リ「テメェは自分のしたことを反省しやがれ!」
乙女の胸を触るなんてサイテーです。
え?こんなことする女は乙女じゃないって?
そこのお前ちょっとこっちこい。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:46:14.32 ID:puSs7qXjO
- 思いっ切り殴ってちょっとスッキリしました。
ミセ*゚―゚)リ「それにしてもお隣りさんも変わってますねぇ……」
('A`)「あー……、多分クーさん俺のこと好きっぽいぞ」
なんてこと言いやがりますかこの変態は。
しかし、変態の容姿は悪くはないので否定できないので悔しいです。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:48:07.35 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「ミセリも俺のことが好きだろ?」
ミセ*゚―゚)リ「それはない」
誰がこの変態を好きになりますかってんだ。
まぁたしかにちょっとカッコイイし、たまに優しくしてくれますけど……。
('A`)「俺はミセリが好きなんだが」
ミセ*゚―゚)リ「ふぇ?」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:50:17.17 ID:puSs7qXjO
- ミセ//―/)リ「え、ちょ、いきなりなに言ってるんでしゅか!」
ヤバッ、噛んだ!
は、今この男はなんと?
好き?
わたしのことが、好きと?
ミセ//―/)リ「えっと、その……」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:52:54.47 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「はぁ……。この程度で赤くなってるようじゃ、一生彼氏は出来んな」
ミセ*゚―゚)リ「え?」
は?どういうこと?
つまり嘘?
今コイツが言ったのは う そ ?
('A`)「どうした? 意識でも飛んだか?」
わたしの中のなにかが弾け飛ぶ音がしました。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:55:23.14 ID:puSs7qXjO
- ミセ# ― )リ「黙れ! ゴミ! カス!」
('A`;)「気でも狂ったか?」
ミセ# ― )リ「うっさい! 死ね! 氏ねじゃなく死ね!」
もうありとあらゆる暴言を吐き続けました。
('A`;)「おいおい、そんなこと言ってると本当に彼氏出来ないぞ?」
ミセ# ― )リ (アンタがヘンなこと言うからだろうが!)
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:57:45.22 ID:puSs7qXjO
- ミセ# ― )リ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
わたしは沸き上がる怒りを押さえ込み、話しを転換する。
ミセ#゚―゚)リ「で、結局サンタの仕事はどうするんですか!?」
('A`)「それならミセリがやるから安心だ」
ミセ#゚―゚)リ「し ま せ ん !」
(;A;)「うるうる」
ミセ#゚―゚)リ「そんな目をしたって駄目なものは駄目です!」
……泣きたいのはこっちだ。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 20:59:39.79 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「チッ……、めんどくさいが行ってくるか」
舌打ちした?
今コイツ舌打ちしたよね?
('A`)「せーの」
彼は、マジックのようになにもない空間から大きな白い袋を出現させる。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:01:21.57 ID:puSs7qXjO
- ミセ*゚―゚)リ「わぁ……」
やはり本物のサンタなのだ、そう実感させられる。
ただ、
ミセ*゚―゚)リ「なんで袋がぺしゃんこなの?」
そう、どう見たって中身がないのだ。
本当にやる気があるのかコイツは。
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:03:56.42 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「あ、そうだ」
彼はこっちを向くと、
('A`)「ミセリはなにが欲しい?」
そう尋ねてきた。
わたしは迷わず、
ミセ*゚―゚)リ「彼氏!」
こう答えた。
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:06:19.34 ID:puSs7qXjO
- さらに続けて注文をつける。
ミセ*゚―゚)リ「カッコよくて頭がよくて運動神経が抜群でちょっとぶっきらぼうで不器用なんだけど本当はわたしのことを一番に想ってくれてる優しい彼氏!」
ちょっと長かったかな?
けど、女の子はちょっと欲張りなくらいが可愛いのだ。
('A`)「女の子って歳じゃないだろ」
ミセ*゚―゚)リ「うっさいボケ」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:08:34.62 ID:puSs7qXjO
- 目の前の本物エセサンタは長いため息をつく。
('A`)「そんなのいるわけないだろjk」
くそ……。
だがわたしはめげない。
ミセ*゚―゚)リ「じゃあ気品溢れるお金持ちの白馬の王子様!」
('A`)「お前の頭はどうなってるんだ? わがままの子サンタさんは嫌いだぞ? それに、彼氏っていうのはいろいろと困難を乗り越えて出来るからいいんだろ。違うか?」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:10:21.48 ID:puSs7qXjO
- ミセ;゚―゚)リ「うぐぐ……」
珍しく正論を言いやがりますねコイツは……。
('A`)「というかないんだ。諦めな」
ミセ*゚―゚)リ「はいはい、わかりましたよー」
く、悔しい……!
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:12:16.58 ID:puSs7qXjO
- ミセ*゚―゚)リ「ていうか、もしあったらその袋から出てきたの?」
('A`)「あぁ、そうだぞ」
ミセ*゚―゚)リ「どうやって?」
('A`)「にゅるっと」
ミセ;゚―゚)リ「え!? ところてん!? ところてん的な!?」
('A`)「にゅるっと」
ミセ;゚―゚)リ「え、嘘……。そうなんだ……」
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2009/12/25(金) 21:15:09.15 ID:puSs7qXjO
- じゃなくて!
ミセ*゚―゚)リ「わたしが聞きたいのは、何処からプレゼントがくるのかってことです!」
('A`)「なんだ、そうならそうとはやく言え」
いや、勘違いしたのはそっちでしょうが!
('A`)「この袋の中は異世界になっててな、この世のプレゼントが全部安置されてるんだ」
ミセ*゚―゚)リ「へぇ〜……」
('A`)「って大サンタが言ってた」
ミセ;゚―゚)リ「聞いた話しかよ!」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:17:09.67 ID:puSs7qXjO
- まったく、この男は信用できませんね……。
('A`)「安心しろ。俺さサンタ歴30年の中堅だ」
ミセ;゚―゚)リ「いや、中堅ってあんまり安心できない気が……」
ん?
ミセ*゚―゚)リ「そういえば、大サンタって?」
('A`)「あぁ、俺の恩師だ」
ミセ;゚―゚)リ「伏線回収しちゃった!」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:20:28.65 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「あの人はホント子供嫌いだったからな……。幸い俺は幽霊になった時は既に大人だったから嫌われなかったんだ」
ミセ*゚―゚)リ「そんなに子供嫌いだったんですか……」
('A`)「男の子限定でな」
ミセ;゚―゚)リ「それただのロリコンじゃん!」
そりゃショタコンでも嫌だけど。
ていうかサンタには屑しかいないのか?
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:22:24.76 ID:puSs7qXjO
- 世界中の子供達の夢を返せ。そして死ね。
('A`)「というわけで俺もいろいろ苦労したんだよ……。わかったかい、ワトソン君」
ミセ*゚―゚)リ「え、あ、まぁ……」
('A`)「よかったよかった。それじゃあ俺は寝る、おやすみ」
ミセ#゚―゚)リ「おい待て馬鹿野郎」
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:31:30.56 ID:puSs7qXjO
- わたしは悩んでいた。
いったいどうやったらこの怠けサンタを追い出せるのか。
幽霊だから食費は要らないスペースも取らないのだが、そういう問題ではない。
わたしのプライベートに関わる問題なのだ。
コイツが居ると安心して着替えもできない(過去に着替え・風呂を覗かれた経験アリ)。
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:33:10.37 ID:puSs7qXjO
- ストレスの溜まる生活はもうウンザリだ。
だからわたしは、あの変態サンタが出ていった後、高名な霊媒師『プリンセス・シュー』から買ったお札を部屋中に張り付けて二度と入ってこれないようにする作戦を立てた。
そして、あの堕落サンタが自発的且つ長時間外出するのはクリスマスに他ならない。
わたしは今日この日に、全てを賭けているのだ。
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:35:11.01 ID:puSs7qXjO
- ミセ*゚―゚)リ「というわけでさっさと行ってきてください」
('A`)「だが断る」
ミセ;゚―゚)リ「なんでそんなに嫌がるの!? アンタ本当にサンタ!?」
('A`)「信じられないなら証拠を見せよう」
ミセ*゚―゚)リ「へ? 証拠?」
いったいなにをするつもりだろう。
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:36:28.87 ID:puSs7qXjO
- 彼は壁をすり抜けどこかへ向かう。
先程とは反対側の部屋だ。
確かそっちは……、都村……トソンさんだったっけ。
べ、別に記憶力がないわけじゃない。
隣人との関わりが薄いだけだ。
それはそれでいけないのかもしれないが。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:39:23.51 ID:puSs7qXjO
- 今のうちにお札を張り付けておこうか、と考えている間に彼は戻ってきた。
('A`)「これが証拠だ」
そう言ってサンタ袋を突き出してくる。
ミセ*゚―゚)リ「ん?」
よく見ると、先程まではぺしゃんこだったサンタ袋が不自然な膨らみを見せている。
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:42:38.63 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「ちゃんと見てろよ」
彼は、袋の中に手を伸ばし中を探る。
('A`)「お」
彼は膨らみ発生源を掴むと、勢いよきそれを引っ張り上げた。
('A`#)「おらぁぁぁ!!!」
にゅるっ
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:45:02.54 ID:puSs7qXjO
- そこに現れたのは、なんの変哲もない長方形の箱。
だがそれは、綺麗に包装され、真っ赤なリボンで装飾されている。
それを持つ彼は、なかなか様になっている。なんかムカつくが。
('A`)「どうだ、信じたか?」
ミセ*゚―゚)リ「いったいなにを信じろと」
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:47:54.32 ID:puSs7qXjO
- 今彼がしたのは袋から箱を取り出しただけ。
なんの証拠にもなっていない。
('A`)「馬鹿野郎、これは隣の子から貰ってきたんたぞ? どうだ、凄いだろ」
ミセ#゚―゚)リ「それは泥棒って言うんだよぉぉぉ!!!」
サンタと泥棒は紙一重というが、コイツはただの泥棒だ。
即刻警察に突き出さなくては。
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:50:31.25 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「勘違いするな。これは隣の子へのプレゼントなんだ」
ミセ#゚―゚)リ「嘘つけ! 今自分で『貰ってきた』って言ってじゃんか!」
いったいコイツはどれだけ隣人さんから貰うつもりなんだ。
ヒモか?
コイツはヒモなのか?
コイツはわたしからも何かたかるつもりか?
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:52:55.94 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「やれやれ……。お前は人の話しを聞かんやつだな」
彼はラッピングされた箱をこちらへ投げ寄越した。
('A`)「俺がトソンさんから貰ったのはモノではなく『願い事』だ」
ミセ*゚―゚)リ「願い事……?」
('A`)「開けてみろ。その中にトソンさんの欲しいものが入っている」
俺も中身は知らないが、と付け加える彼。
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:55:54.00 ID:puSs7qXjO
- わたしは、お隣りさんのプレゼントであることに若干戸惑ったが、すぐにラッピングを開封する。
中身を見てわたしは驚愕した。
ミセ;゚―゚)リ「ドクオ……人形……?」
('A`)「しかも1/1サイズだな」
しかもそれだけでは終わりません。
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 21:58:16.94 ID:puSs7qXjO
- ミセ//―/)リ「ピンクローターに、バイブまで……」
('A`)「ご丁寧にバイブは俺のアレのサイズだな」
ドクオのってこんなに大きいの!?
ミセ;゚―゚)リ「いやいやそうじゃなくて」
なんかもういろいろと複雑な気分になりました。
トソンさん……あなたって人は……。
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:02:40.63 ID:puSs7qXjO
- わたしは光速を超えるスピードで中身を戻して、彼に問う。
ミセ;゚―゚)リ「ちょ……、これ本当にトソンさんが……? もしかしてまたわたしをからかってるんですか……?」
だってこんな……ねぇ……。
('A`)「そんなことして俺になんのメリットがある。ていうかさすがの俺もビビったぞ」
これは嘘をついてるかんじではない。
いろいろと近所付き合いを考えなくては。
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:04:32.01 ID:puSs7qXjO
- ミセ;゚―゚)リ「と、とりあえず、これトソンさんに届けてきてください」
あいにくわたしはこういうものに耐性がない。
ほとんどの読者はミセリ=ビッチと考えているようだが、それは誤解だ。
夢見る少女なのだ。
('A`)「残念だが、それはできない」
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:06:46.33 ID:puSs7qXjO
- ミセ;゚―゚)リ「はぁ!?」
サンタがプレゼントを届けずしていったい誰がプレゼントを届けるというのだ。
('A`)「このサンタ袋から取り出した時点でそのプレゼントは現実化した。俺のように壁をすり抜けることはできない」
ミセ;゚―゚)リ「じゃ、じゃあ直接渡せば……」
('A`)「幽霊の俺がどうやってプレゼントを渡すんだ?」
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:10:50.64 ID:puSs7qXjO
- 忘れてた……。
コイツは『一般人にも見ることができ、触ることもできる。だが自分から触れることはできない』というご都合主義の幽霊なのだ。
例えば、このプレゼントを投げつけたら当たるが、持つことはできない。
彼が持つことができるのは幽霊の所持品とサンタの所持品のみ(ドクオ談)。
まったくもって面倒な幽霊サンタだ。
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:12:49.40 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「というわけで」
彼はドアを指差す。
ミセ;゚―゚)リ「……わたしが行くの?」
('A`)「That's light」
英語UZeeeeeeeee!!!!!!!!!!!!
ていうかスペル違うし!
中学生レベルでしょそれ!
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:16:54.14 ID:puSs7qXjO
- ミセ;゚―゚)リ「えー……」
どうしよう。
ただでさえ感情の起伏がなく近寄りづらいトソンさんなのに、こんな衝撃的なものを見せられたのだ。
はっきり言って断りたい。
だが、悩んでるわたしに彼は言う。
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:19:28.21 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「サンタとして頼む」
―――あの人に夢を届けてくれ、と。
ミセ* ― )リ (その顔は反則でしょ……)
彼が真剣な眼差しをこちらに向けたのだ。
だがわたしはわからないことがあった。
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:21:59.99 ID:puSs7qXjO
- そんなにプレゼントを渡したいのなら、わたしなんかみ見せなければよかったのに。
そうすれば、そっと枕元に置いてくることができただろう。
彼の真意がわからない。
半年も一緒にいるのに、わたしはこの幽霊サンタのことが何一つわかっていない。
ミセ*゚―゚)リ「わかりましたよ……。そのかわり、これっきりですからね?」
わたしは言った。
彼がなにを考えてプレゼントを託したのか、それを知りたくて……。
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:24:28.66 ID:puSs7qXjO
- 玄関を出る。
ミセ*- -)リ「うぅ寒……」
雪はまだ積もっていないが、肌を刺す冷たい空気がわたしを襲う。
たかがマンションの隣に行くだけだというのに、我ながら情けない。
わたしは自分のか弱さを自嘲しつつ、隣の家の呼び鈴を鳴らす。
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:27:42.48 ID:puSs7qXjO
- 「どちら様でしょうか」
すぐに見知った顔の女性が顔を出す。
(゚、 ゚トソン「あぁ、貴女ですか。ここは私の家ですが、もしかして酔ってらっしゃいます?」
ミセ; ― )リ (あれ? わたしってそんなイメージなの?)
軽くへこんだ。
それもとても真面目で冗談を言わないようなトソンさんなら尚更。
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:30:14.45 ID:puSs7qXjO
- わたしは気を取り直して、
ミセ*゚―゚)リ「いえ、先程サンタが来て、プレゼントを間違ってわたしのところに置いていっちゃったんです」
いかん、これは頭がおかしい人と思われる。
ていうかいい年して『サンタが〜』なんて異常だろう、常識的に考えて。
- 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:33:23.47 ID:puSs7qXjO
- しかし、わたしが予想していた反応とトソンさんの反応180゚違った。
トソンさんは、わたしとラッピングされた箱を交互に見つめ、それから嬉しそうに箱を受け取る。
そして、すぐに中身を見定め、トソンさんはその場で小躍りした
(^―^*トソン「ありがとうございます! これ、凄く欲しかったんです!」
ミセ;゚―゚)リ (やっぱり中身を確認しててよかった……)
中身はドクオ人形(1/1)+ピンクローター+バイブ(ドクオサイズ・本人談) 。
そうでなければ今頃こんな顔ミセ;゚д゚)リをしてただろう。
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:36:15.55 ID:puSs7qXjO
- (^―^*トソン「これで寂しい時も……、ふふふ……♪」
意外だった。
トソンさんがこんな顔するだなんて(もちろんこんなもの欲しがってたこともだが)。
きっと、彼はこのことを伝えたかったのだろうか。
わたしが知らないだけで、トソンさんもこんな無垢な笑顔を見せる。
わたしが避けていたから知らなかったのだ。
- 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:40:15.83 ID:puSs7qXjO
- そんなことを考えていると、トソンはポツリポツリと語りはじめた。
(゚―゚トソン「私、旦那が死んでからずっと一人でしたから……」
ミセ;゚―゚)リ「あ……」
そういえば聞いたことがある。
三ヶ月程前に、都村さんが亡くなったって。
わたしはそういうことにまったく興味がなかったため、すっかり忘れていた。
- 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:43:50.20 ID:puSs7qXjO
- (゚―゚トソン「旦那の死を悲しんで、ずっと引きこもってた私に声をかけてくれたのがドクオさんでした」
そういえばいつか、珍しく彼の帰りが遅い日があった。
その時は『可愛い幼女がいたから遊んでた』とか言ってたけど……。
子供嫌いのアイツがなんで?と、疑問はあったけど、わたしはまったく気にしなかった。
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:46:42.62 ID:puSs7qXjO
- (゚―゚トソン「『お前の旦那はこんなことを望んでるのか』って、私を叱ってくれました。そしてその晩、死んだ旦那が現れたんです」
わたしは黙ってトソンさんの話しを聞く。
(゚―゚トソン「そこで旦那も同じことを言ってました……。『俺はこんなお前を見たくない。俺はちゃんと見守ってるから』と」
ミセ*゚―゚)リ「いい旦那さんなんですね……」
(゚―゚トソン「はい、とても……。そして翌朝、濡れた枕元に一枚のクリスマスカードが置いてあったんです。『一足早いサンタさんからのクリスマスプレゼントだ』って……」
なーにキザなことしてんのよアイツ……。
- 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:50:54.52 ID:puSs7qXjO
- (^―^*トソン「恥ずかしながら、そこでドクオさんに惚れてしまったんです」
若干頬を赤らめながらトソンさんは言った。
普段から美人だとは思ってたけど、この笑顔のトソンさんは同性のわたしからもとても魅力的な女性だ。
ていうかアイツ何本フラグ立ててるのよ……。
きっとわたしの知らないところでも耐震偽装のフラグがあちこちに立っているのだろう。
- 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:54:17.81 ID:puSs7qXjO
- トソンさんは、少しイタズラな笑みを浮かべて、
(^―^トソン「ドクオさんには貴女がいますからね」
なんてこと言い放った。
ミセ;゚―゚)リ「ちょ、違いますよ! 彼はそんな……」
(゚、 ゚トソン「ツンデレは貴女のキャラじゃないと思いますが」
ミセ; ― )リ「急にその顔に戻らないでください!」
トソンさんも随分と壊れちゃってるだろう……、などと考えながら、わたしはいいことを思い付いた。
- 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 22:57:06.71 ID:puSs7qXjO
- ミセ*゚―゚)リ「トソンさん、わたしの家で一緒にクリスマスパーティーしませんか?」
(゚、 ゚;トソン「い、いえ、さすがにそこまでお世話になっては……」
やはりトソンさんは断ってきたか……。
まぁトソンさんの性格を考えたら当然の結果だろう。
だがわたしは諦めない。
- 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:02:19.69 ID:puSs7qXjO
- ミセ*゚―゚)リ「わたしはみんなとクリスマスを過ごしたいんです。……いいですか?」
わたしは誠意を込めて彼女に言う。
トソンさんは少し苦笑する。
(-、 -;トソン「負けました……」
けど、トソンさんは一度そう言うと、
(^ー^*トソン「ぜひお邪魔させていただきます♪」
満面の笑みでそう答えた。
- 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:06:06.85 ID:puSs7qXjO
- ミセ*゚―゚)リ「すみませーん」
わたしが次に訪れたのはクーさんのお宅。
トソンさんは『戸締まりをして参ります』と言っていたのでわたし一人だ。
「ちょっと待っててくれー」
クーさんはそう言うと、両手いっぱいに袋を携えて現れた。
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:11:14.71 ID:puSs7qXjO
- ミセ;゚―゚)リ「あ、あの、クーさん? その荷物は……」
川 ゚ -゚)「でぃーすいーずサーケー」
そしてクーさんは、ニカッと笑う。
川*゚―゚)「今日は朝まで飲むぞ?」
……こんな美人なのに彼氏がいない理由が、何となくわかった気がする。
- 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:17:38.96 ID:puSs7qXjO
- それからもう我が家はどんちゃん騒ぎ。
トソンさんとクーさんと彼のショットガン対決(なぜかわたしも巻き込まれた)。
彼はどこから酒を取り出したのか、『俺の酒は108式まであるぞ』などと言い、普段を見ることのできない楽しそうな表情をしていたし、
トソンさんは『ギャハハハハハ!』というアニメでしか聞いたことのない笑い声をあげ、クーさんはいきなりポロポロと泣きはじめ……、いろいろとカオスな空間だった。
- 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:21:03.62 ID:puSs7qXjO
ミセ*^―^)リ川*゚д゚)(゚ヮ゚*トソン('∀`*)
けど、本当に楽しかった。
こんなに笑ったのは何時振りだろう、というくらいに。
もし彼がプレゼントをわたしに託さなかったたら、陰鬱なクリスマスを過ごしていたのかもしれない。
今回ばかりはこのバカサンタに感謝だ。
- 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:25:18.43 ID:puSs7qXjO
- ミセ*- -)リ「ふぅ……」
クリスマスパーティーの余韻の残るわたしの部屋。
そこら中に散らかっている空き缶空き瓶ツマミの空。
騒ぐだけ騒いで遊ぶだけ遊んだ。
もう部屋を片付ける気力もない。
- 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:29:04.08 ID:puSs7qXjO
- (- -*トソン「すー……すー………」
川*- -)「むにゃむにゃ………」
トソンさんとクーさんは完全に寝入っている。
まだクラクラする頭を押さえ、わたしも床に寝転がる。
すると、不意に声をかけられる。
- 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:29:55.91 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「だらし無いな、生身の人間のくせに」
彼のほうは酔いが覚めきっているようだ。
ミセ*- -)リ「うるさいなぁ……、これが普通の人間なんですよ……」
顔を向ける気力も残っていない。
- 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:31:09.92 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「じゃあ幽霊にでもなるか?」
ミセ*- -)リ「お断りですよー……」
('A`)「幽霊も案外楽しいもんだぞ?」
ミセ*- -)リ「彼氏が出来るまでは死ねませんー……」
('A`)「生きてる間は無理だから諦めろ」
ミセ#- -)リ「余計なお世話だこんちくしょー……」
- 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:32:12.15 ID:puSs7qXjO
- それにしてもサンタ業界も大変だろう。
幽霊がサンタをしなければならないほど人材難だというのだから。
それもこんな男を。
ミセ*- -)リ「てゆーか、生きてる間に無理なら死んでも無理でしょ常識的に考えて……」
('A`)「……もし死んだら俺が彼氏になってやるよ」
思わず顔を上げる。
ミセ*゚―゚)リ「え?」
どうせまた嘘なのだろう……、わたしはそう思っていた。
- 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:33:59.60 ID:puSs7qXjO
- が、彼は真剣な眼差しで、
('A`)「俺がなんで半年もここにいると思ってるんだ」
そう言う。
そしてさらに追い撃ちをかける。
- 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:35:31.47 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「お前に惚れてるからに決まってんだろう、ばーか」
ミセ////)リ「〜〜〜〜〜!」
カァッと顔が熱くなるのを感じる。
そんなことも気にせず、彼はわたしのほうに顔を近づけてくる。
ミセ//―/)リ「ちょ、ま、まだ心の準備が……!」
そして顔と顔の距離がゼロになる直前、
('A`)「……ま、こんなもんか」
彼は顔を離していった。
- 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:39:37.12 ID:puSs7qXjO
- その一言で頭シュッと冷静になる。
そんなわたしを見て、彼はわたしに意地悪な笑みを寄越した。
('∀`)「お前へのプレゼントだ、『彼氏が欲しい』っていうな……。ま、俺はお前みたいな彼女はゴメンだが」
男はケタケタと笑い声をあげる。
わたしは、この男への怒りよりも、一度ならず二度までも期待してしまった自分が恥ずかしくなった。
- 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:42:09.28 ID:puSs7qXjO
- ミセ//―/)リ「この変態サンタ! 嘘つき! 地獄に堕ちろ! 閻魔様に舌を抜かれてしまえ!」
わたしは恥ずかしさを誤魔化すため、彼を罵倒する。
だが彼は知らんぷりだ。
その仕草に腹が立ち、落ちているものを投げつけまくる。
- 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:44:35.36 ID:puSs7qXjO
- ミセ//―/)リ「このバカ! 本気で期待したのに! もういなくなれ!」
なんか墓穴を掘ったようだが気にしない。
('A`)「お気に召さなかったようだな」
ミセ//―/)リ「当たり前だ!」
('A`)「それより……」
ミセ//―/)リ「誤魔化しは通用しませんからね!」
- 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:46:08.54 ID:puSs7qXjO
- ('A`)「いい加減静かにしろ。まだ二人は寝てるんだぞ?」
彼はなんとも真っ当な意見を口にした。
ミセ;゚―゚)リ「え、あ……。ごめんなさい」
なんでわたしが謝ってるんだ?
ミセ# ― )リ (いつか殺す! 絶対殺す!)
心の中で呪詛を呟いている最中に、ふと考えが頭を過ぎった。
- 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:47:29.52 ID:puSs7qXjO
- ミセ*゚―゚)リ「もしかして、もうわたしへのプレゼント渡したりしてます?」
わたしは見た。
彼が一瞬ピクッとしたところを。
(A`)「な、なにを言っているんだワトソン君」
そう言いつつも、彼は思いっ切り目を逸らしている。
わたしはちょっと驚いた。
- 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:48:34.43 ID:puSs7qXjO
- ミセ*゚―゚)リ (こんな顔もするんだ……)
何時も表情が掴めない彼の、明らかな同様。
けど、それでわかった。
ミセ* ヮ )リ (なーんだ、そういうことだったんですか……♪)
彼はもう、わたしにプレゼントをくれていたのだ。
- 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:49:51.71 ID:puSs7qXjO
- 彼がわたしに用意した本当のクリスマスプレゼント。
わたしが本当に欲しかったもの。
それは、彼氏でもなく、白馬の王子様でもない。
……わたしは寂しかったのだ。
寂しさを埋めてくれる存在が欲しかったのだ。
- 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:50:34.94 ID:puSs7qXjO
- わたしは、今日あった二人の隣人の顔を見る。
クーさん。 川*-ヮ-)
トソンさん。 (-、 -*トソン
そしてもちろん。
('A`;)「な、なんだよ……。じっと見ても何もやらんぞ」
全然素直じゃない捻くれ者の、……だけど本当は優しいサンタも含めて。
- 118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:53:27.36 ID:puSs7qXjO
- わたしは怪訝な顔をする彼に思いっ切り飛びついた。
('A`;)「ば、やめろ! 離せ!」
ミセ*^―^)リ「やーですよー♪」
わたしは腕に込める力を強める。
('A`*)「だ・か・ら・離・れ・ろ・!」
彼は頬を赤くしながらジタバタする。
ミセ*゚―゚)リ「全然素直じゃありませんねー」
わたしは、小悪魔のように口端を吊り上げる。
- 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:57:09.79 ID:puSs7qXjO
- ミセ* ヮ )リ「こーんな素直じゃない口は塞いじゃいましょう♪」
そう言って、強引に唇を奪う。
彼は何か言っているようだが気にしない。
テレビの見よう見真似で舌を搦め捕る。
(//A//)「…………」
唾液で濡れた口元を拭い、わたしは林檎よりも真っ赤になった彼の耳元でそっと囁く。
ミセ*^―^)リ「メリークリスマス……♪」
ミセ*゚―゚)リ「大好きですよ、ドクオさん……♪」
- 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/25(金) 23:59:55.55 ID:puSs7qXjO
- サンタを信じないでいられる人達を幸せである。
サンタを信じられる子供はもっと幸せである。
では、どういう場合が幸せではないのか。
それは、サンタを信じたいのに信じられなくなった人だと、今のわたしは思う。
少なくともわたし、ミセリは幸せのようだ。
なぜならサンタを信じざるを得ないのだから。
信じられなくなるなんてことは、きっと永遠に訪れないのだから――――――。
〜('A`)はサンタクロースのようです・Fin〜
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