- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 17:19:15.49 ID:LfHZrTcY0
- ある日、天から箱が落ちてきた。それは約一メートル四方の真っ赤な立方体で、地球にはない物質で出来ているように見えた。
これは何かと色々なところから群がってくる。
しかし、わかる人は一人もいないのだ。
もちろん、触れることすらできないでいる。
次の日の事である。その箱から、一つの生物か機械か分からない得体のしれないものが出てきた。
まだ、その箱に対する策が練られる前だったので、その情報は簡単に流れ、
すぐにテレビはそれ一食に染まることとなる。
宇宙人か、生物兵器か。以前にして謎は深まるばかりだった。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 17:20:16.58 ID:LfHZrTcY0
|::━◎┥赤い箱のようです
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 17:23:53.77 ID:LfHZrTcY0
- ソレが箱から出てきて、一度その箱の中は皆に見える状態となった。
中も真っ赤ではあったが中はからであった。
|::━◎┥「この箱は、我が星の技術によって作られた箱だ」
出てきて数分後の事である。ソレは、いきなりこの国の言葉を話したのである。
周りにいる人間が驚いている最中、その箱をおもむろに開けると中からひとかたまりの白金が出てきた。
|::━◎┥「この箱から作れないものは何もない」
一度その白金を手に取り上げたあと、ソレはまた箱を閉めた。
再度その箱を開けたときにはもう中には白金のあった痕跡などなかった。
|::━◎┥「さらには中にあったものを一瞬で消すことだってできる」
周りがどよめき始めた。
一体、これを使って何をしようとするのか。
|::━◎┥「これに入るだけの金を入れてさえしてくれれば、この箱をあげよう」
この言葉を聞いて、世界中が動いた。どこからでも金を集めようと奮闘した。
この箱が落ちた国がいち早く金を集めて、国際問題に発展する前に、
一日と経たずしてその国が集めた金でその赤い箱を満タンにした。
|::━◎┥「では、この箱はこの国に譲渡する」
そう言って一度箱を閉じ、中に入れた神々しい金は消えていた。
またその箱にソレも入り、箱が閉ざされた。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 17:26:51.18 ID:LfHZrTcY0
- しかし、一時間たっても半日経っても音沙汰がない。
一週間待っても何も出てこない箱を開けてみると、もぬけの殻だった。
その国はアレがこの箱をくれたのだと大喜びした。
しかし使い方もわからないし、何をしても何も出てこない。
困り果ててその箱は一体何でできているのか調べてみるとただの銅と鉛などの合金に色を塗っただけだった。
一体何だったのかと考えていると一人の女性があることに気づいた。
lw´‐ _‐ノv「もしかして、アレは手品師で私たちは詐欺にあったのでは?」
|::━◎┥赤い箱のようです 終
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 17:31:38.23 ID:LfHZrTcY0
- とある夜。あるビルの屋上ではこの時間にフットサルが行われている。
その一角では即席で作られた五人五人の二チームが楽しみながら、それでも真剣にフットサルをやっていた。
全員上手いのだが、ある一人は傑出して上手いのだ。年齢も他の人よりも秀でてはいるが。
見せものでもなく、また皆フットサルをやりに来ているのにそれを観戦してしまう人がいるほど。
( ><)「とても上手いんです。プロの人かと思ったんです!」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「ああ……そうか。ありがとよ」
試合が終わりこの中で一番若い青年が煙草を吸う彼に話しかけた。
心から褒められてはいるが全く嬉しそうではないのだ。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 17:33:07.80 ID:LfHZrTcY0
_、_
( ,_ノ` )y━・~サッカーは不可能なようです
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 17:35:04.70 ID:LfHZrTcY0
- ( ><)「サッカー、やっているんですか?」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「いいや、ちゃんとやれたことなんて一度もないさ」
( ><)「こんなに強いのにおかしいんです」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「ああ、そうか。そうだよな。おかしいよな」
彼のプレーは卓越したものだった。ドリブルもパスもシュートも。
敵をひきつけ味方をフリーにさせるのが、特にうまかった。
今作ったばっかりのメンバーとは思えないほどに素晴らしいコンビネーション。
プロよりもうまいのではないかと疑った人もいるだろう。
( ><)「なにか事情でもあるんですか?」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「訊きたいか?」
( ><)「是非訊きたいんです」
彼は煙草を携帯灰皿に押し付けた。
闇へと上りゆく紫煙を見ることすら辛そうに下を向きながら話し始めた。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 17:39:04.07 ID:LfHZrTcY0
- ( ,_ノ` )「俺は子供の頃からサッカーをやっていた」
( ><)「やっぱりそうなんです」
_、_
( ,_ノ` )「やっていたと言っても父親の監視の下。園児でやれたのは基礎トレとリフティングだけだ」
( ><)「へぇ」
_、_
( ,_ノ` )「父親は俺に最高のトッププレイヤーになることを期待していた」
( ><)「もう充分そうなんです」
_、_
( ,_ノ` )「俺には確かにその才能があった。小一なのにサッカークラブで上級生と一緒に練習をやるほどに、だ」
( ><)「それはすごいんです」
_、_
( ,_ノ` )「父親はドリブルもまともにできない人たちとやると腐ると言われて一年で辞めさせられた」
( ><)「上級生よりも強かったんですか……」
_、_
( ,_ノ` )「三年のころにはみんな簡単にトッラプに引っ掛かり完全に中学生をただの棒にさせていた」
( ><)「小学三年生で中学生と張り合うなんて驚きなんです!」
_、_
( ,_ノ` )「試合は残念ながら小学生と。試合の時だけクラブに入るんだ。歯ごたえがなさ過ぎて困っていたさ」
( ><)「はぁ」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 17:42:01.69 ID:LfHZrTcY0
- _、_
( ,_ノ` )「勿論ハットトリックなんて毎回のようにやっていた。何度も優勝した」
青年は毎回のように間の手を入れる。それをお構いなしに彼はしゃべり続けた。
_、_
( ,_ノ` )「小五。その辺りで異変が起きた」
( ><)「ケガか何かなんですか?」
_、_
( ,_ノ` )「フィールドにいる奴ら全員の動きが視えるようになったんだ」
( ><)「ふつうはありえないんです!」
_、_
( ,_ノ` )「動きだけじゃない。この人間が何を考えているかが、どう動くかが理解できるようになった」
( ><)「なんという超能力……」
_、_
( ,_ノ` )「他にもフィールド自体を上から眺めた感じがつかめた。そのあたりでサッカーをやめた」
( ><)「どうしてですか? わかんないんです!」
_、_
( ,_ノ` )「いや、父親に一旦やめさせられたんだ。その感覚を磨くために」
( ><)「ひどいお父さんなんです」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 17:46:21.67 ID:LfHZrTcY0
- _、_
( ,_ノ` )「あとは高校まで、ずっと一人で練習やサッカーの鑑賞をさせられたさ」
( ><)「それでそれで」
_、_
( ,_ノ` )「多分試合中ずっと自然にその感覚を掴めているようになったと思ったさ」
( ><)「駄目だったんですか?」
_、_
( ,_ノ` )「その感覚は完ぺきだった。後ろにいる人の手や目の動きまで視えるほどだ」
( ><)「それじゃあ、なんで……」
_、_
( ,_ノ` )「高校に入ってサッカー部に入部。すぐに試合に出る機会があった」
( ><)「話の落ちが体力が衰えていたというのはなしなんです」
_、_
( ,_ノ` )「するとその感覚が暴走した。スタメンで出場したけれど何も動けなくてすぐに交代だ」
( ><)「そんなに頑張ったのにかわいそうなんです!」
_、_
( ,_ノ` )「小学の時よりもはるかに人数が多くて気持ち悪くなったのさ。吐きそうなほど……な」
( ><)「そういうことなんですか……」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 17:50:24.72 ID:LfHZrTcY0
- _、_
( ,_ノ` )「他人の動きが気になってずっと仁王立ちさ。そればっかりに集中してしまって」
( ><)「可哀そうなんです」
_、_
( ,_ノ` )「だから今度は一年間、それを徹底的に修復しようとした。メンタル面を鍛えるしかないんだ」
( ><)「これはまた大変なんです」
_、_
( ,_ノ` )「勿論基礎トレとは別にさ。自分を含めず二十一人、それを視てしまっても大丈夫なよう」
( ><)「……」
_、_
( ,_ノ` )「一年後、やっとそれに成功した。感覚が暴走するからこれ以上の人数が介入すると無理だったけどな」
( ><)「すごいんです」
_、_
( ,_ノ` )「だから、観客のことを把握してしまうのをやめるメンタルトレーニングも頑張った」
( ><)「そんなことまで……」
_、_
( ,_ノ` )「フィールド内だけを感じとる。そうなるように頑張ったんだ」
( ><)「やっぱりすごいんです!」
_、_
( ,_ノ` )「部活のゲーム練習では数年ぶりの大活躍だ! あの時は本当に嬉しかった」
平坦にしゃべっていたがその時だけ声に抑揚があった。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 17:53:47.61 ID:LfHZrTcY0
- _、_
( ,_ノ` )「そして本番、意気揚々としてゲームに臨んだ。それがどうなったと思う?」
( ><)「わかんないんです……」
_、_
( ,_ノ` )「感覚が暴走したんだ」
( ><)「どうしてなんです!?」
青年には理由が分からなかった。なぜ本番になってまた感覚が暴走するのか。
自分を除けば、フィールドにいるのはちょうど二十一人のはずなのに。
ちゃんと練習での試合のときには成功したのに。
ここまで頑張ってきた人に対する神様からの扱いの怒りも口から出ていた。
彼は新しい煙草を手に取り、口にくわえた。
そして火をつけ、一服し、空しそうに今までの独り言を終えた。
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 17:56:39.48 ID:LfHZrTcY0
- _、_
( ,_ノ` )y━・~「審判の事が気になって仕方無かったんだ……」
彼は他の人に一緒に試合をしてくれと頼まれた。
まだ長い煙草を携帯灰皿へと押し付け、彼が一番輝ける場所へと戻った。
皆、彼に対して憧れを抱いていた。
しかし、青年には彼がとても虚しく映っていた――――
_、_
( ,_ノ` )y━・~サッカーは不可能なようです 終
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:02:37.43 ID:LfHZrTcY0
- (=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」
徒歩での帰宅途中、目の前にいきなり現れた生物。
まだまだ落ちない夕日をバックに、手のひらサイズのそれはまさしく妖精。
布の一枚もつけてはいない真っ裸。
これがメスだったら……と思うのは、健全な証拠だろう。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:04:23.45 ID:LfHZrTcY0
(=゚ω゚)ノ確か二倍なはずだったようです
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:08:17.16 ID:LfHZrTcY0
- 目をこすっても消えることはないし、そんな行動をとっている最中に勝手に話し始めた。
(=゚ω゚)「実はお前のことをライバルだと思っている『またんき』に俺が願い事を四つ叶えてやったんだょぅ」
またんきと言われても、別に自分はライバル視しているわけでもなく、
それが何の関係があるのかと言おうとしたが、その妖精はそのまま話を進めていく。
(=゚ω゚)「でもそのかわり、ライバル視している相手に二倍の願いがかなうことになっているんだょぅ」
_
( ゚∀゚)「まじか」
(=゚ω゚)「まじだょぅ」
_
( ゚∀゚)o彡゜「もしあいつがおっぱいを願ったら、俺には二倍のおっぱいがくるわけだな」
(=゚ω゚)「何変なこと言ってるんだょぅ。妖精にとっちゃ二倍ってのが曖昧なんだけれど、多分そういうことだょぅ」
_
( ゚∀゚)「逆に言えば、半殺しを願った場合、俺は死ぬのか……」
(=゚ω゚)「大丈夫だょぅ。やつの一つ目の願いはそんなことじゃないょぅ」
_
( ゚∀゚)「一つ目?」
(=゚ω゚)「やつが一度願いを言うたびに、お前の前に現れるんだょぅ」
だとしたら、四つ目の願いで殺される可能性がある。
今のうちにしたいことと言っても何も思い浮かばない。
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:12:33.28 ID:LfHZrTcY0
- (=゚ω゚)「一つ目の願いは『綺麗で新しい大豪邸が欲しい』だょぅ。だからお前には大大豪邸が貰えてるんだょぅ」
_
( ゚∀゚)「あのさ、お願いがあるんだけど」
(=゚ω゚)「お前の願いなんか聞かないょぅ。すぐに新しい家を見てもらいたいから、ちょっとワープせてもらうょぅ」
せめて、三つ目のお願いは女かおっぱいにしてくれと頼みたかったがそれすらさせてくれないみたいだ。
不意に景色が変わる。軽くジャンプしたかのように少し浮いていたのでバランスを崩しそうになった。
目の前に見えるのは、城のようなもの。しかし小さい。
(=゚ω゚)ノ「これが大大豪邸だょぅ」
そうは言われても、隣の家までぶち壊してでもでかくなっているわけでもなく逆に気持ち小さくなっているような気がした。
_
( ゚∀゚)「小さいんだけど」
(=゚ω゚)「妖精にしてみれば大大豪邸だょぅ」
こう言われれば納得するしかない。呆れて何も言えないのだ。
しかし、こう実際に見てみるとこの家もこの妖精も使えそうにもないわけでもない。
妖精を後三回使えるあいつがうらやましく思えてきた。
(=゚ω゚)ノ「これで一つ目の願いは終わりだょぅ。今から二つ目の願いを聞きに行くから、何でもしててもいぃょぅ」
妖精はすぐに消えた。上から消えたか下から消えたか全部一斉に消えたかなんてわからないほど瞬間的に消えた。
小さな城の前に取り残され、ただポツンとそこにいても仕方がないと思い中へ入ることにした。
芝生の真ん中に生えたようにある石畳を歩き、中へ入った。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:18:32.36 ID:LfHZrTcY0
- 中に入るとそこまで小さいと感じることもない。
イス、机、ベッド、すべてが新しく触ることをためらうほどきれいだった。
そんな中、一番奥の倉庫みたいなところに、今までの家具が哀愁を漂わせる無造作や無秩序とはまた違う置かれ方をされていた。
コンセントはあったが、家電製品のテレビやパソコンなどは無く、処分しなかった妖精に感謝したくなった。
この奇妙なバランスを崩したくなかったが何故か親父の本棚に入っているあるベッドの下に置いていたはずの
エロ本を取り除こうとした時に本棚が倒れたので、どうでもよくなりリビングと思われるところに電子レンジを持って行った。
(=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」
大半の家電製品をリビングに運んだあと、エロ本の処理をしている最中にあの妖精がまた現れた。
_
( ゚∀゚)「何だ?二つ目の願いはなんなんだ?」
四つの願いまで耐性がつかないと思ったが、意外と割り切ればそうでもなかった。
妖精にとってみれば今持っている本なんてなんとも思わないだろう。
(=゚ω゚)「あいつ『築三十五年の大大大豪邸にすればよかった』なんてわめいていて遅くなったょぅ」
_
( ゚∀゚)「それ普通ライバルに教えない方がいいだろ?」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:22:14.90 ID:LfHZrTcY0
- (=゚ω゚)「二つ目の願いは『大量のお札が欲しい』だょぅ」
_
( ゚∀゚)「話聞けよ」
(=゚ω゚)「札の内容については言及しなかったからデノミ以前のジンバブエの札でもあげようと思ったんだょぅ」
_
( ゚∀゚)「ひでーな、お前」
言ってることはよくわからないが、相手を落胆させるようなことをしたという事だけはわかった。
(=゚ω゚)「妥協に妥協して千円札を大量に上げたからお前には二千円札を大量に上げるょぅ」
本の上にいきなり二千円札の束が出てきた。
束のひとつを手にとって見る。
久しぶりに見た二千円札だが、うれしいとは思えない。
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:27:13.21 ID:LfHZrTcY0
- _
( ゚∀゚)「番号おかしくね?」
(=゚ω゚)「……番号の数字も二倍にすればよかったのか?」
_
( ゚∀゚)「そうじゃなくてこの札、全部同じ番号だろう」
(=゚ω゚)「……お前も気づいたか。……もたもたしてる暇ないから、三つ目の願い聞いてくる」
一瞬にしてまた消えた。
語尾に『ょぅ』とつけるのを忘れたところを見ると間違ってしまったのか。それともわざとか。
それにしても、この札束は紙切れならよいが、危ない偽札となっていた。
数枚は警察に持っていき、使えるものに交換してもらい、残りは焼き芋の枯れ葉代わりにでも使おう。
しかし、もう数分後には死んでしまっているかもしれないのだ。
目の前にある表紙が涙でぼやけてくる。
一度だけでも、本物の女のを見てみたい。
せめて三つ目の願いが女かおっぱいであるように祈り続けるしかない。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:32:47.04 ID:LfHZrTcY0
- (=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」
_
( ;∀;)o彡゜「おっぱい! おっぱい!」
(=;゚ω゚)「どうしたんだょぅ? マネでもしてるのかょぅ」
_
( ;∀;)o彡゜「おっぱい! おっぱい!」
(=゚ω゚)「三つ目の願いは『女』だょぅ。詳しく説明すると長いからお前に教えるのはこれだけで十分だょぅ」
_ ∩
( ゚∀゚)彡「キャッホォォゥ! おっぱい! おっぱい!」
⊂彡
(=#゚ω゚)「さっきからうるさぃょぅ。いまから作るょぅ」
エロ本の上の二千円札の束に座っているチェックのワンピースを着た少女が出てきた。胸もそこそこだ。
ミセ*゚ー゚)リ「長岡クン。これからよろしくね」
(=゚ω゚)「ゼロから作ったんだょぅ。近くの子供のいない夫婦の子供の姉としていてもらうことにするょぅ」
_
( ゚∀゚)「大丈夫なのか?」
(=゚ω゚)「他人には擬似記憶を埋め込んだし、女もお前にぞっこんになるょぅ」
_
( ゚∀゚)「凄ぇな」
(=゚ω゚)「今珍しくまともなことをしたと思っていそうだょぅ」
珍しくというよりは、初めてまともなことをしてくれた。
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:37:37.08 ID:LfHZrTcY0
- (=゚ω゚)ノ「じゃ、最後の願いを聞いてくるから、それまで楽しんでろょぅ」
次の願いで、自分は死ぬかもしれない。
しかし、いざとなるとこの娘を抱く気は起きないし、なにか嫌な感覚だけが襲ってきた。
ミセ*゚ー゚)リ「どうしたの?」
立ち上がって、顔をのぞいてきた。
またんきの好みから来ているが、自分の好みでもある。
可愛いと思うにつれ好みがまたんきと似ていると思うと嫌になってくる。
_
( ゚∀゚)「何でもないさ。ところでバストっていくつ?」
ミセ#゚ー゚)リ「そんなこと普通聞く?」
_
( ゚∀゚)「ごめん。じゃあ何歳?」
ミセ*゚ー゚)リ「十六。長岡クンと同い年よ。中学と高校と同じ学校にいるってこと気づいてなかった?」
上手にできたものだ。胸以外のところでも十分に好きになる。
だからと言って何かする気にはなれない。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:40:46.50 ID:LfHZrTcY0
- (=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」
妖精が来た。今となっては悪魔にしか見えないが。
_
( ゚∀゚)「もうちょっとゆっくりしてくれてもよかったのに」
(=゚ω゚)「四つの願いが終わったからお前の家でゆっくりさせてもらうょぅ」
_
( ゚∀゚)「で、四つ目の願いは何だったんだ?」
(=゚ω゚)「四つ目の願いは『人一倍の幸せ』だょぅ」
腰が軽く抜けた。よかった。本当によかった。
これだけで十分な幸せだ。
(=゚ω゚)ノ「どうしたんだょぅ?」
_
(;゚∀゚)「いや、あいつが半殺しでも願っていたらとずっと考えていたからな」
(=゚ω゚)「そういう場合はあいつをぼた餅に、お前を餅にしてたょぅ」
_
(;゚∀゚)「意味わかんねぇ」
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:45:25.68 ID:LfHZrTcY0
- (=゚ω゚)「結局、お前に来るのは人二倍の幸せだょぅ」
_
(;゚∀゚)「言い方はおかしいが、そうなるのか」
結果だけ考えると結構よかったのかもしれない。
家は小さいが新しくなり、金はあれとして女もできた。
そしてまたんきの二倍の幸せが来る。
_
( ゚∀゚)「……」
ミセ*゚ー゚)リ「どうかした?」
_
( ゚∀゚)「確かまたんきの二倍のものが来るんだよな?」
まだ帰りはしない妖精に向かって言った。
(=゚ω゚)「そうだょぅ」
_
( ゚∀゚)「全部の願いが二倍になってるんだよな?」
(=゚ω゚)「さっきから何度もそう言っているょぅ」
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:48:20.44 ID:LfHZrTcY0
- 何度頭を悩ませても理解できない。
また彼女が不思議そうに顔をのぞいてきた。
名前をまだ聞いてはないが、やはり可愛い。
_
( ゚∀゚)「……確か二倍なはずだった……よな?」
ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫?」
_
(;゚∀゚)「電話は、どこに運んだっけな……」
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:50:21.53 ID:LfHZrTcY0
- すぐさま警察に通報した。
次の日からまたんきが学校に来ることはなく、学校では集会が行われた。
彼の犯罪について教えられた。
通貨偽造の罪と児童性的虐待だ――
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:52:44.81 ID:LfHZrTcY0
- その日にあの二千円札一枚でさつまいもとライターを買い枯れ葉代わりに札を使いミセリと一緒に食べた。
被害者はミセリの妹で、もし出所したらまたんきと家族ということになるだろう。
しかし、何故かミセリの妹が監獄の中へ忍び込み、またそういった行いをしていて刑期が伸び、出られる気配はない。
何故人一倍の幸せを持っているのにこんなことになっているのか考えると答えはすぐに出た。
三食食べるものに困らず、毎日死を恐れずに過ごせる生活。規則正しく、健康でいられる。
そんな人間は世界で一体何人に一人なのか。答えはそれだった。
そうだとわかった時、何でもできるようになった。
どれだけ危ないことをしても、次の日には当たり前のように飯が食べられるはずなのだ。
責任という言葉にめったやたら強くなり、いつの間にか出世頭として扱われる。
今はミセリと結婚し、二児のパパ。早くも課長のイスに座っている。
(=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」
そんな時だ。家で会社へ行く支度をしている時、またあの妖精が現れる。
電話をした後に消えていって以来数十年ぶりだ。
顔だけ見れば女だと思ってしまう童顔。
昔の時に会ったままの姿だ。一切成長していない。
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:55:27.04 ID:LfHZrTcY0
- _
( ゚∀゚)「久しぶりだな。今度も俺は誰かのライバルとなってるのか?」
(=゚ω゚)「ちがうょぅ。昔会った時、一度も願いを聞いてやらなかったから一度だけ聞いてあげようと思ったんだょぅ」
安堵のため息をする。
あの時から、よく妖精のことについて考えていた。
しかし、自分の願いを叶えてくれるなんてそうそうあり得ない話だろうと思っていたので心底喜べた。
_
( ゚∀゚)「誰かに二倍されたりするのか?」
(=゚ω゚)「何もないょぅ。ただお前の願いを聞くだけだょぅ。もちろん叶えてやるょぅ」
一つだけ聞いてほしい願いがあった。
『聞く』だけでもいいから、これだけは言おうと思っていた。
(=゚ω゚)「どうだょぅ。お互いずいぶん成長したょぅ」
_
( ゚∀゚)「お前をどう見ても昔と一切変わらないように見えるんだが」
(=゚ω゚)「この良心的な行動こそが成長の証しだょぅ」
_
( ゚∀゚)「逆に言えば昔の行動は良心が一切なかったってことだよな」
(=゚ω゚)「過ぎたことは気にするなょぅ」
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 18:56:53.77 ID:LfHZrTcY0
- _
( ゚∀゚)「で、本当に何でも聞いてくれるんだな?」
(=゚ω゚)「そうだょぅ。早くしないとその質問をカウントするょぅ。」
少しだけ微笑んでしまった。
軽く息を吸い込み、流れる水のように言う――
_
( ゚∀゚)「着てくれないか。服を」
(=゚ω゚)ノ確か二倍なはずだったようです 終
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 19:37:02.97 ID:LfHZrTcY0
- l从・∀・ノ!リ人「姉者ー」
∬´_ゝ`)「ん? なんだい」
l从・∀・ノ!リ人つ□「これよんでほしいのじゃー」
∬´_ゝ`)「『日本製がいいようです』か。まぁ短そうだし読んであげるよ」
l从・∀・ノ!リ人「やったのじゃー」
∬´_ゝ`)「静かにしてなさい。『日本製がいいようです。 あるところに――』」
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 19:39:13.84 ID:LfHZrTcY0
l从・∀・ノ!リ人日本製がいいようです
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 19:42:20.13 ID:LfHZrTcY0
- あるところに、日本製のものが大好きな人がいました。
その人のみにつけているふくは日本製。
その人のいえにあるかぐはすべて日本製。
その人は日本製のものしか持っていません。
なぜならその人は日本製のじゃないとおこるほど日本製が大好きだからです。
たべものはちょうみりょうまですべて日本産です。
会社のコンピュータのマウスもわざわざ日本製のものを買い使います。
その人はできるかぎり周りを日本製にしようとしていました。
ただ、それが本当に日本製なのかわからないのでこまっていました。
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 19:45:22.38 ID:LfHZrTcY0
- そんなあるときです。
会社がえり、ゴミおきばである一つのふしぎなツボにあいました。
その人はふだん、えたいのしれないものにはきょうみも持ちませんでした。
ですがそのツボはその人のきょうみをとてもひいたのです。
日本製好きのその人にとってえたいのしれないものを持ちかえるなんてことはできません。
なので、ずっとそのツボをながめていました。
どれくらいながめていたでしょうか。いきなりツボから人がとびだしてきました。
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 19:48:11.38 ID:LfHZrTcY0
- その人はおどろきました。そしてあなたはだれですか、と聞きました。
するとわたしはマジンだと言うではありませんか。
その人はおどろきをかくせません。
その人を見てマジンは言います。一つねがいごとをかなえてあげましょう。
その人はさらにおどろき、もうそれをかくすことなどもうしません。
その人はよろこんで言います。
<ヽ`∀´>「ウリの身近にある日本製以外のものを消し去ってくれニダ」
( `ハ´)「わかったアル」
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 19:50:44.69 ID:LfHZrTcY0
- <ヽ`∀´>「本当にいいニカ!?」
( `ハ´)「けど心配アル。この効力がどれくらいのものかわからないアル。服が消えてしまう可能性も――」
<ヽ`∀´>「大丈夫ニダ。ウリの服は完全に日本製ニダ」
( `ハ´)「ネジが消えて家自体が壊れたり、朕も消えてしまう可能性も――」
<ヽ`∀´>「そんな事はケンチャナヨ!」
( `ハ´)「わかったアル。やってみるアル」
<ヽ`∀´>「頼むニダ」
( `ハ´)「アイヤーーー!――――
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 19:55:35.79 ID:LfHZrTcY0
- ∬´_ゝ`)「あれ? 次のページが白紙……落丁じゃないな。これで終わりか」
l从・∀・ノ!リ人「どうしたのじゃ?」
∬´_ゝ`)「こういう終わり方なんだ。解説を見るとどうやら作者が日本人じゃ無かったらしい」
l从・∀・ノ!リ人「よくわからないのじゃー」
∬´_ゝ`)「ほら、真っ白のページだろ。仕方ないさ。もう寝よう」
l从・∀・ノ!リ人「このつづきかいていいのじゃ?」
∬´_ゝ`)「別にいいと思うよ」
彼女は最後のページににこやかに笑う彼と一緒にこうかきました。
『まわりのもそのひともきえなかったのじゃ。だってそのひとのこころはにほんじんだったからじゃ』
- 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:00:29.49 ID:LfHZrTcY0
- l从<=(・∀・ノ!リ人「どうじゃ?」
∬ ´_ゝ`)「子供ってのはおもしろいものだね」
l从<ヽ`∀´>!リ人「やったのじゃー!」
=(・∀・)
∬ ;`_ゝ´)「何してるアルカ! お面がとれているアル!」
l从< ;ヽ`Д´> !リ人 「しまったニダ! って、そういう宗主様もかつらがずれて化粧が崩れてるニダ」
(#`ハ´)「何言ってるアルカ。お前がお面を落としたからアル。さっさとかつらをとるアル!」
<#ヽ`Д´>「きっとこんなお面は日本製に決まってるニダ! この会社に謝罪と賠償を要求するニダ!」
(#`ハ´)「全く、在日の風当たりを弱くしようと弱くしようと頑張ったのに失敗アル」
< ;ヽ`Д´> 「このお面メイドインチャイナって書いてあるニダ……」
(#`ハ´)「中国が悪いと言ってるアルカ? そんな駄犬にはお仕置きが必要アル!」
< ヽ;Д;>「アイゴー。やっぱり物は日本製がいいニダー!」
l从・∀・ノ!リ人日本製がいいようです 終
- 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:07:49.74 ID:LfHZrTcY0
- 地球のある山奥に自然と一切調和していなさそうな家に住む男がいた。名はモララー。
見た目は年齢より若いが、それでももう髪の大半が白髪となっている。
彼は昔、定理の証明を行い結果として失敗に終わったがとある賞を獲得するまでに至り有名となった。
彼は今、発明家として生きている。
( ・∀・)「やれやれ、ついに出来たな」
もう誰も彼のことを思い出す人間はいないだろうが、そんなことはお構いなしに生きている。
彼は今、とんでもないものを作り出した。
新型兵器なんて比ではないもの。人間なら誰もが憧れる機械。
そう、タイムマシンだ。
(;・∀・)「……調子に乗って二個作っちゃった……」
そして天才ではあるが、彼のネジは一本外れている。
作り終えたと同時に、彼は脱力感に襲われた。言うなれば睡魔だ。
これを作るにあたって、彼はここ数カ月まともに眠っていないのだ。
三日三晩起きていることは当たり前、時には一週間眠たさに気付かずに起きていたこともあった。
朝日が昇るが、とりあえず寝よう。彼が布団に潜り込み、そして夢を見るまでそう時間がかからなかった。
- 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:09:56.48 ID:LfHZrTcY0
( ・∀・)ブリッジを封鎖するようです
- 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:12:37.77 ID:LfHZrTcY0
- 彼は三日間眠ったままでいた。
目覚めたときにはタイムマシンのことなんて考えてはいなかった。
ただ尿意と空腹の二つを感じ、そのどちらを先に解決するか迷った末、トイレへと向かう。
( ・∀・)「……何でタイムマシンなんて作ったんだろう……」
便座に座りながら、自分がタイムマシンを作ったことを思い出す。
しかし、彼が作ったのにはそれなりの理由や経緯があったわけではない。
ただ興味本位で考え没頭し、作ってしまっただけにすぎない。
彼はもう地位や名誉はいらないと思っている。
だから何か大げさに発表しようとは思わない。
また、私事に使う気もない。
そこまでして改ざんしたい過去があるわけではない。
作ってしまった後の夢を喪失したやるせなさを感じ、すっかり意気消沈してしまった。
タイムマシンは作れないものであってほしかったのだろう。
そんな中でも彼は本能のままに食を作る。
だが今の彼に作れるものは、卵をかき混るスクランブルエッグ程度しかなかった。
- 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:17:11.98 ID:LfHZrTcY0
- 彼はテレビを付けた。山奥だろうが彼にとって電波を受信をさせることはたやすい。
受信料を払わなければならない番組でもこんなところにわざわざ来る人はいない。
味気なく、少し腐った卵を食べながら、そんな番組を見ていた。
('、`*川「こんにちは。十二時四十五分になりました。ニュースの時間です」
食卓テーブルに椅子が一つ。彼の目の前には大きなスクリーンがある。
そして、それがテレビの放映をやってはいたが見向きをするそぶりはなかった。
始めは、政治的なニュースばかりをやっていた。彼にとっては一番興味のないニュースである。
そしてそんなニュースも終わり、自分の気をひくものはないかと、顔をあげテレビをまじまじと見る。
('、`*川「一昨日の夕方に起きた『ゴールデンブリッジ』の崩壊による救助により二十一歳無色の男性が助かり……」
彼が寝ている間に橋が崩壊したなどなかなか起きない事故が国内で起きていた。
橋が崩壊するなんて極稀な事、もちろん彼の目をひいた。
('、`*川「この事故により正午現在死者三十三名、行方不明者六十九名と今世紀最大ともいえる……」
( ・∀・)「物騒だな」
('、`*川「現在この橋を造った会社による調査が進められていますが、未だに原因は不明とのこと……」
なかなか面白い話だと思いながら、他に同じような番組はやっていないかとチャンネルを回す。
彼がこの事故に関わる話を見つけるのは簡単だった。それほど多くの番組がこの件のことを報道していたのだ。
- 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:20:56.92 ID:LfHZrTcY0
- ( ^^ω)『世の中!狂ってんだよ!狂ってんだよ!』
J( 'ー`)し 『たけしは、本当にいい子だったんです。それなのに、どうして……』
从 ∀从『この日、彼とつまらない事で喧嘩して……あの日に戻れるなら戻りたい』
( <●><●>)『久しぶりに休暇が取れたから家族と一緒に遊ぶ予定で。どうして自分だけ助かってるのか』
このような事が話がいくつもいくつも流れる。
彼は感極まってスクリーンが見えなくなるほど涙が出てきてしまい、もう見れないとチャンネルを回す。
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:24:13.84 ID:LfHZrTcY0
- ( ´∀`)「間近で見ていましたが、本当にCGのようにすごかったモナ」
川 ゚ -゚)「……」
( ´∀`)「遊園地のジェットコースターやお化け屋敷から聞こえる以上の悲鳴が聞こえたモナ」
川 ゚ -゚)「……」
( ´∀`)「この時グロい夢でも見ているんじゃないかってくらいだったモナ」
川 ゚ -゚)「……」
( ´∀`)「今予言するモナ。これは地球からのメッセージだと思うモナ。環境破壊を止めろという……」
川 ゚ -゚)「もう一切このテレビ局には出られませんよ?」
(;´∀`)「……いや、でもこの橋が壊れる前に不思議な事が起きたんだモナ」
川 ゚ -゚)「またその話ですか」
(;´∀`)「それほど凄いことだったモナ。百人強の死者が出たことよりこちらの方が凄いことだったモナ!」
川 ゚ -゚)「いきなりですが、一旦CM入ります」
彼にでもわかるほど妙な番組ならしい。涙はもう消えていて、不機嫌そうにまたチャンネルを回す。
- 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:26:15.97 ID:LfHZrTcY0
- その橋は吊り橋で観光名所の一つだったこと。
崩壊したのは全部ではなく、上り方面の道路が壊れた。
壊れた原因は未だに不明だということ。
下では河が流れていてそこから落ちれば普通は即死だということ。
また、橋を造ったのは今北産業という何故か産業会社で
『橋崩壊
それは おじさんの きんのたま!
ゆうこうに かつようして くれ!』
と、意味不明な言動を繰り返し、原因は未だに不明とのこと。
彼は不意に立ち上がった。
( ・∀・)「発明とは人の役に立たせるものだ! 今こそその成果を発揮しないで何になる!」
- 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:32:37.14 ID:LfHZrTcY0
- 食べ終わった後の皿もコップのそのまま、すぐさま彼は過去へと行く準備をする。
もう誰も見ていないスクリーンでは先ほどと一変してアロマグッズの特集をしていた。
さっきの無表情な顔をしていたキャスターも一変して楽しそうに相槌を打っていた。
彼は持てる限りのお金を持ち、できる限りの身なりを整え、体臭はしないだろうかと体を嗅ぎ、
靴擦れするほど小さな靴を履き、準備万端、意気揚々とした素振りでタイムマシンに乗り込む。
過去へ行くには雷一発ほどの電力が何秒も必要になる。
放電の時間を無理に長くさせて何発もの雷から電力を取り、
その保持に成功したが、今は保持できた最大の電力の約半分を使うことになる。
そしてこれにより電力がほぼ完全に無くなるが、なんらためらいが無さそうだ。
彼が作ったタイムマシンというのは、誰もが分かるとおり過去へと行く機械だ。場所を指定し、過去へと向かう。
彼の考えでいくと過去へといけるのはタイムマシンの中だけで機械そのものは、消えてしまう。
タイムマシンの中は二畳ほどの大きさ。つまり、一度、二畳分の物質だけ過去へと持っていけるのだ。
しかし、これだとタイムパラドックスという矛盾が起こる。どうなるかはやってみないとわからない。
( ・∀・)「流石にちょっと怖いな……」
勢いでここまできたものの、やはり失敗することがあるのではと思い、臆する。
行きたい過去のいけなかったらどうしよう、変なところに着いたらどうしよう。
過去を目の前にして今まで考えてこなかった問題が次々と彼の頭に浮かんできたのだ。
しかしそれよりも強く大きく被害に会った人の事を思い浮かぶ。
( ・∀・)「いくか」
- 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:35:35.20 ID:LfHZrTcY0
- 彼らは一体どのような人間だったのだろう。
たくさんの人々が泣きじゃくるほど悲しむほどの人たち。
なぜそんな人たちがこんな事故にあわなければならないのか。
このような人たちのためにこそ、こういった機械があるのだ。
このタイムマシンはタッチ式の画面があり、きれいな合金や樹脂といったものでできていて、
レバーやスイッチ、ボルトなどといったアナログチックなものはないような物だが、
一つだけ雰囲気作りにボタン式のスイッチがあった。
彼は、そのスイッチを強く押した――
不意に中が揺れだした。
当たり前のように明かりは消え、何も見えないままただこの震動が止まるのを待つだけだが揺れが一層強くなっていく。
目をつぶってただ、この揺れがおさまるのを待った。
彼にとって数分に感じただろうか。その揺れがおさまった。
- 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:38:03.76 ID:LfHZrTcY0
- (;・∀・)「失敗か?」
恐る恐るドアを開ける。眩しいと思えるほどの光が入ってこない。
開ければそこは真っ暗、ただ少しばかし金平糖より小さな点々の光が見える。
彼は異世界に飛ばされたのではないかと一瞬我を失った。
だが、すぐに我に返り携帯電話のような小型GPSを手に取った。
目を瞑ると止まっていたりする時計や、受話器から耳を話すとコールをしていなかったりする電話などといった、
そういった錯覚とはまた違うが、見られていないと思っていたかのように役目を果たしてなく、
未来の情報を提示していたそれが彼の手に取られた瞬間驚いたように場所と時間を変更し、その数秒後エラーの文字が出た。
場所は着く予定だった家から数キロも離れていない場所、時間は三日前の夜だったようだ。
電波や磁場、放射能その他さまざまなテストを簡単に行った。
機械も一緒に過去へ行くなどの想定の範囲外な事や多少の誤差はあったが、
彼の作ったタイムマシンは成功していたのだ。
だが彼はタイムマシンが成功したことに感動してはいなかった。
彼が感動するのはこの機械を使ったおかげで人助けができた瞬間。
そんな素振りで彼は明日に起こる橋の崩壊への準備をし始める。
彼は一旦家へと帰る。部屋は真っ暗。だが、そこにはぐっすりと眠っている彼がいるはずだ。
彼は明かりを付けて、少し眩しそうに顔をしかめて眠っている自分自身を遠くから眺めた。
眠っているのを起こされた記憶はないので、無理に自分を起こそうとするのはしなかった。
- 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:41:12.21 ID:LfHZrTcY0
- そして次の日の夕方。まだその橋が崩壊する前。しかし、もう直前となっている最中、彼は一台のトラックに乗っていた。
ラッシュアワーとなり、下りはたくさんの車が固まっているが、彼のいる上りはゆっくりと進んでいる。
しかし、その上りも急に固まる。橋はまだ壊れてない。
橋の手前、一台のトラックが片側二車線を完全に遮ったからである。
彼は天才ではあるが、人生をうまく生きるにあたってのいろいろなものが欠けている。
学習力、適応力、察知力、記憶力、判断力、応用力、注意力、回避力、忍耐力、観察力、分析力、処理力。
だから、考え付いた行動はこうなってしまう。しかし、それはそれでよかったのかもしれない。
これよりももっといい案が考え付いたとしても、時間を過ぎれば意味がない。
( ´∀`)「おーい。何やってるモナ」
( <●><●>)「故意でやった行動なのはわかってます」
彼は出来るだけたくさんのお金を過去へと持って行き、そのお金で中古のトラックを買う。
そうして、ここまで何とかたどりつきわざと事故を起こして通行できなくした。
事故といっても大それたものではない。何か煙が出るほどのことでもなく、
ただトラックが真横になって通行を妨げているだけにしか見えないのである。
- 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:45:36.50 ID:LfHZrTcY0
- (`Д)「はやくそこどけろぉ!」
ξ゚听)ξ「マジ迷惑なんですけどー」
( ∵)「……」
トラックを降りた彼に降りかかるのは罵声の嵐。
しゃべろうとした口は、あいただけで言葉を発せず、塞げもしない。
マト#・д・)メ「ここはどうぶつえんじゃないのか……」
(<●><●> )「まだ着かないんです。気長に待ってください」
マト#゚д゚)メ「朝からずっとそれ言ってんじゃねーか!」
実は彼はこの行動をとりたくはなかった。失敗する可能性が高いとみたからだ。
彼はこの行動をとりたくなかった理由の中に被害にあった人のモラルについて考えたからだ。
きっとこんな事故を起こしても誰かが助けてすぐに通れるようになってしまうのでは、と。
( ´∀`)「じゃまモナ。さっさとどかすモナ。それが無理ならトラックごと河へと落ちて欲しいモナ」
ξ#゚听)ξ「チョームカツク」
- 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:52:58.68 ID:LfHZrTcY0
- 出来るだけそんな行動をとらないでほしい。彼は行動前にそう思っていた。
(’e’)「なぁなぁ、こんな時にだけど、お前味噌汁の上にご飯ぶっかけるよなぁ?」
(`Д)「おい! どーなってんだ!」
確かに彼の思っていた悪い方向へは行かなかった。
( ・∀・)「すいません。あの……」
( ´∀`)「おい、ジジイ。さっさとどうにかしろモナ」
マト#;д;)メ「いつになったら着くんだよ」
(<●><●> )「この人がどうにかしてからです。泣かないでください」
マト#;д;)メ「泣いてねぇよ。悲しいんだよ」
遠くのクラクションの音がヤジの音をかき消す。
彼の頭の中であの時に聞いた被害者遺族の言葉の数々がシャボン玉のように割れていった。
- 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:55:58.46 ID:LfHZrTcY0
- ( ・∀・)「こんな変な事故を起こしちゃって……」
(’e’)「ご飯の上に味噌汁はやっぱりおかしいだろ」
ξ#゚听)ξ「早くしてよ!」
彼はもう耐えることができなくてついに言ってしまった。
( ・∀・)「実はこの橋、今崩壊するのです!」
しかし、静寂が訪れることもなくますます台風の目に向かい罵声が起こる。
- 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 20:57:55.04 ID:LfHZrTcY0
- (`Д)「それマジで言ったん?」
マト#゚д゚)メ「詭弁を吐くな詐欺師が!」
(*<●>・・<●>)=3「ハァハァ……いいんです。その調子で私にも罵ってください!」
マト#>д<)メ「ばかばかばか死んじゃえ」
(;・∀・)「……」
(’e’)「卵焼きにも醤油しか使わないしさ……」
(`Д)「ソースあんならすぐ出せ」
もう居た堪れない。彼はもう一度トラックに入る。説明するのも阿呆臭くなる。
彼は今更気づいたのだ。一時は自分が死んでも彼らを助けようとした。
それがどれほどの愚かな行為というものかを。
- 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 21:00:20.03 ID:LfHZrTcY0
- トラックはゆっくり、歩く程度に前へと進んでいく。
トラックから素早く降りた彼はそれを静かに見つめた。
トラックが河へとダイブするのを見送りながら彼は二度とタイムマシンを作らない決意をした。
( ・∀・)「どうもご迷惑をおかけました。申し訳ありません」
( ∵)「……」
幾人か驚いた表情を見せたが彼に対する怒りの方が上だ。
彼はそれを腑に落ちない顔ととらえ、それがまた怒りに戻る前に今まで来た道を戻った。
もしまた怒りが起ろうがそのときには多分河の中だ。
ちょっとして彼の後ろから悲鳴が起こった。
だが、彼は振り向いて見ようとも聞こうともしなかった。
- 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 21:08:15.13 ID:LfHZrTcY0
- ただボーっと、ずっと変わらないペースで歩いていた。いつの間にか繁華街へ出ていた。
我に返ると強烈な睡魔が襲ってくる。タイムマシンのせいで起こった時差ボケだ。
開発中は何日も起きてはいられたがそれはまた別だ。
まだ有り余る金でビジネスホテルに泊まることにした。
ふっと大型ビジョンが目に入った。
橋が崩壊したニュースが流れている。
川 ゚ -゚)「また、セントジョーンズ賞を唯一この国で受賞したモララー氏の死亡が確認されています」
彼は驚いた。自分の名前呼ばれ、そして死亡者の一人に加えられているのだ。
川 ゚ -゚)「円周率は三によってバルキスの定理は完結すると解いたゆとりの法則は現在も数学界で使用されており……」
何故だ。今ここで生きているのは何なんだ。そう思っているが、体は一切動かない。
傍から見ればただ立ち尽くしているだけの老人だ。
あそこに映されている顔写真が彼の過去の顔だとはだれも気づかない。
川 ゚ -゚)「……現在救急隊員による必死の救助活動がおこなわれています」
いつのまにか彼が一番このビジョンに目をやっていた。
- 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 21:11:02.59 ID:LfHZrTcY0
- 川 ゚ -゚)「今回、この局で良く出演されております環境問題でお馴染み、科学者のモナー氏が実際現場に」
( ´∀`)「凄かったモナ! あんなもの一切見れないと思うモナ!」
川 ゚ -゚)「最後まで言わせてください。モナー氏が実際現場に遭遇し」
( ´∀`)「もう言葉では絶対表せないモナ!」
川 ゚ -゚)「話聞け、このエセ科学者」
( ´∀`)「実は事故に遭う前にこのモララーに会ったんだモナ!」
川 ゚ -゚)「ほぅ」
( ´∀`)「彼はこの橋が崩壊すると予言したんだモナ。それで皆を止めようとした」
川 ゚ -゚)「それでそれで」
( ´∀`)「でも結局だぁれも聴こうとしないで、その橋を通ったモナ。だから彼は去ってしまったモナ」
- 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 21:14:26.59 ID:LfHZrTcY0
- 彼もここまでは記憶にあった。
しかし、
( ´∀`)「なのに彼はもう一度橋の上に立っていたモナ」
どういうことかさっぱりわからない。
もし彼が死んでいるとしたら、ここにいる彼は何者なのか。
もし彼が生きているとしたら、発見された彼は何者なのか。
川 ゚ -゚)「そんな話誰も信じませんよ」
( ´∀`)「いやいや、本当モナ。多分これは環境問題のせいだとわかって予言したはずモナ」
川 ゚ -゚)「おい、仕事舐めてんのか」
彼は一気に目が覚めた。何時間も起きているのに、その中でいちばん目が覚めている。
どういうことかもう一度確かめたい。そう願った。
すると、彼はその願いがすぐにかなったかのようにあることを一瞬で思い出した。
タイムマシンが二つあることに。
- 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 21:19:05.66 ID:LfHZrTcY0
- もう一度過去に戻れば、それが理解できる。
ホテルに泊まるのに使うはずだったお金をタクシーに使った。
道順を教えないといけないのでやっぱり眠れないが、寝る気は元からさらさらなさそうだ。
( ・∀・)「さて、始めるか」
自宅に着けば一日前の彼が付けたままにしていた蛍光灯が出迎えてくれた。
少し強い光の中でもう一人の彼は夢を見ている。
明るい中で寝るのはあまり良くないだろうと思い、彼は蛍光灯を消した。
彼の眼はすぐに暗闇に慣れた。
特にタイムマシンの外で行う仕事もなく、ただほぼ満タンになっている電力を確認するだけだ。
二つあるタイムマシンの右側に彼は乗り込んだ。
中へ入れば彼の瞳孔は縮小し、数秒もすれば程よい条件下で過去へ行く作業ができる。
死んだ人間たちがどのような人だったのかは理解できている。
たくさんの人々が泣きじゃくるほど悲しむほどの人たちではなかった。
そんな人たちがこんな事故にあわなければならない理由も理解できる。
ただ今は自分自身を確認するために、こういった機械があるのだ。
過去の時間を橋の崩壊する直前、場所を橋の手前にした。
前回の誤差を修正したので大きなミスが起こることはありえないだろうと彼は確信する。
死ぬことはないとわかって、彼は特に緊張もせずにボタンを押した。
これから起こる揺れも何もかも理解しているので怖くはない。
- 128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 21:22:08.83 ID:LfHZrTcY0
- 揺れが始って十数秒でおさまった。
彼が過去へと戻ってすぐに直した小型GPSを手に取る。
場所は橋の上、時間は……丁度彼がヤジを飛ばされている最中だった。
ドアを開けると明るい太陽が目に差し込んできた。
橋の上に車がなく無事に被害もなく過去に着いた。
彼は自分の後ろ姿を見つけ、まじまじとながめているとトラックを河に落とし始めた。
そして、彼の眼に映る彼は視界から立ち去って行った。
( ・∀・)「なんだ。やはり死んでいないじゃないか」
一台の車が、彼の前でとまる。
- 129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 21:23:44.16 ID:LfHZrTcY0
- ( ´∀`)「どうしたモナ? あれ? どうしてここにいるモナ」
( ・∀・)「どうやら生きてたみたいだ」
( ´∀`)「やっぱりおかしい人モナ。はやくその機械もどかしておかないと怒られると思うモナ」
( ・∀・)「そうだ。昔の自分に伝えないと……」
車が発進した。普通の人ならここで気づくだろう。この危機的状況に。
しかしやはり彼は気づかない。なぜなら大事なネジの一本が外れていたから。
こんな状況下で彼は過去の自分に自分は死んでなどいなかったと伝えようとしている。
- 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 21:25:00.09 ID:LfHZrTcY0
- しかし、もう伝えることはできないのだ。そうはさせない。
膨大なタイムパラドックスなんて起こさせるわけにはいかないのだ。
どうにか、橋を壊すだけのエネルギーで済みそうだ。
蓄えられた電力をほぼゼロにできた。これであの機械を消滅させなくても大丈夫になった。
あの家を壊し、タイムマシンを消すよりこの橋を壊す方が容易いのだ。
また、誰かにこの存在を伝えていなくてよかった。
これでこの宇宙までもを脅かすタイムマシンをまた作られるのはまだまだ先だろう。
彼は、彼に対する憎悪と一緒に沈んでしまった。
最後の最後までこんな風に死ぬなんて予想もできない阿呆だったみたいだ。
- 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 21:28:02.70 ID:LfHZrTcY0
- 数日後の彼を不愉快にさせた番組はその後も幾人かの目にとまっていたようだ。
川 ゚ -゚)「モナー氏は急な用事が入ったため退席なされました。代わりにその手の事に本当にお詳しい……えっと」
( ∵)「ビコーズです」
川 ゚ -゚)「ビコーズさん、あなたの目から見てこれはどう思いますか?」
( ∵) 「まぁ環境問題がどうというよりはなんだかもう宇宙の問題が関係していそうな事故ですね」
川 ゚ -゚)「あー、そうですか。もう結構です、ありがとうございました」
その誰もが簡単に受け流してくれているであろう言い方をした。
全く、タイムマシンもそうあるべきだと思うのだが。
( ・∀・)ブリッジを封鎖するようです 終
- 139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 22:02:04.56 ID:LfHZrTcY0
- 木曜 12:56
(*゚ー゚)「はぁー」
ζ(゚ー゚*ζ「どうしたの? ため息何かついて」
ノパ听)「そうだぞぉぉぉ! あたしたちにできることならなんだってするぞぉぉぉ!」
(*゚ー゚)「実はちょっと悩んでて……」
从'ー'从「なになにー? ピーマンさんが食べれないとか? 好き嫌いはダメだよぉ」
(*゚ー゚)「違うの。そんなのじゃなくて……」
ζ(゚ー゚*ζ「私たちは友達でしょ。あなたの事なら何だったするわ」
(*゚ー゚)「うん。ありがとう。でも……」
ノパ听)「心配するなぁぁぁ!」
(*゚ー゚)「……わかった。じゃあみんなに話すね」
女の集団心理ほどおかしなものはない。
ここまでの話だけでも男が突っ込みたくなるところはいくらでもある。
だが、今回はなにも介入せず、ただじっくりとこの女の恋の果てを見てみよう。
- 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 22:03:29.83 ID:LfHZrTcY0
(*゚ー゚)惚れ薬をもらったようです
- 141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 22:05:00.19 ID:LfHZrTcY0
- ζ(゚ー゚*ζ「しーちゃんが作ったものを食べてくれなかった!?」
(*゚ー゚)「うん……」
从'ー'从「やっぱり好き嫌いはよくないよぉ」
(;゚ー゚)「いや、そうじゃなくてね」
ζ(゚ー゚*ζ「でもどうして?」
(*゚ー゚)「仕方ないよ。弁当作ってくるなんて言わなかったし、それにまだ付き合ってもないし」
ノパ听)「単刀直入に告白したらどうなんだぁぁぁ!」
(*゚ー゚)「そんなの無理だよ……」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、そんな状況ってつらいよね」
从'ー'从「そうだよね」
ノパ听)「そうだよなー」
(*゚ー゚)「みんな私の気持ちがわかるの? ありがと。嬉しい……」
- 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 22:08:24.67 ID:LfHZrTcY0
- ζ*゚ー゚)ζ「……」
(;´_ゝ`)( ,,゚Д゚) (´<_` )(・ω・´)ワイワイガヤガヤ
ζ(゚ー゚*ζ「……でもギコ君になんて断られたの?」
(*゚ー゚)「……『えっ、ゴメン。今日はちょっと』だって」
ノパ听)「ひどい男だな」
从'ー'从「そうだよね。ひどいよねー」
ζ(゚ー゚*ζ「かわいそうなしぃちゃん。私が慰めてあげる」
(*゚ー゚)「その言葉いやらしいよー」
ノパ听)「どうしてギコ君の事が好きなんだ?」
(*゚ー゚)「小学校からずっと一緒でね」
ζ(゚ー゚*ζ「幼馴染なんだ。いいなー」
(*゚ー゚)「ううん。ただ学校が一緒なだけ。でもずっと格好いいと思ってたんだ」
ノパ听)「そんな恋心に気づかないあいつはおかしいなー」
- 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 22:11:19.64 ID:LfHZrTcY0
- 从'ー'从「で、つまりしぃちゃんは好き嫌いの多いギコ君に弁当を食べさせたいわけね」
(*゚ー゚)「一応そうなるね」
从'ー'从「そしたらいいもの持ってるよぉ」
ζ(゚ー゚*ζ「なになに?」
从'ー'从つ0「ジャーン!」
(*゚ー゚)「それは何?」
从'ー'从「確か惚れ薬って言うんだよぉ」
ノパ听)「惚れ薬だとぉぉぉ!?」
ζ(゚ー゚*ζ「ヒーちゃん声おおきいよ」
(*゚ー゚)「本物なの?」
从'ー'从「そうだよぉ。先祖代々から伝わるものでね。家に原液があるんだよぉ」
- 144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 22:12:50.50 ID:LfHZrTcY0
- ζ(゚ー゚*ζ「使ったことはあるの?」
从'ー'从「うん。いつも使うから常に持ち歩いているんだよぉ」
ζ( ー *ζ「……だから渡辺こんなにもてるのか」
从'ー'从「え? 今なんて言ったの? 聞こえなかったよぉ」
ζ(゚ー゚*ζ「何でもないよナベちゃん」
(*゚ー゚)「どれだけの効果があるの?」
从'ー'从「その液を一滴あるものに仕込ませて食べると嫌いでも普通になって」
(*゚ー゚)「うんうん」
从'ー'从「二、三滴垂らすとどんなのでも好きになっちゃうんだ」
ノパ听)「ほほぉ」
从'ー'从「でね、五滴垂らすと一時的にだけどそれがないと生きていけないくらい大好きになるんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「へぇ」
从'ー'从「もちろん時が経っても完全には元に戻らないよ。普通好きになればそのままでしょ?」
ノパ听)「それは凄いぞぉぉぉ!」
- 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 22:13:46.27 ID:LfHZrTcY0
- ζ(゚ー゚*ζ「いいの? そんなのあげちゃって……」
从^ー^从「もちろん。だって友達でしょ」
(*゚ー゚)「ナベちゃん……ありがと」
从'ー'从「どういたしまして」
ζ(゚ー゚*ζ「私にもいつか貰える?」
从'ー'从「いいよぉ」
ζ(^ー^*ζ「ありがと! ナベちゃん!」
- 149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 22:27:34.25 ID:LfHZrTcY0
- 木曜 13:03
(;´_ゝ`)「おい、本当なのかその話」
(´<_` )「さっきあいつらに見られた気がしたがそのはなしに感づいたわけじゃないだろうな」
( ,,゚Д゚) 「大丈夫じゃね?」
(`・ω・´)「でも、お前なんで驚かないんだ?」
( ´_ゝ`)「俺一切気付かなかったぞ」
(´<_` )「いや、気づけよ。わかりやすいだろ……」
- 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 22:28:47.26 ID:LfHZrTcY0
- 木曜 13:11
(*゚ー゚)「五滴で大好きになるって言ってたよね……」
(* ー )「十滴ほど入れちゃってもいいかな……」
- 151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/09(日) 22:30:58.69 ID:LfHZrTcY0
- 木曜 13:14
(*゚ー゚)「ギコ君、ギコ君」
( ,,゚Д゚) 「ん? 何だ?」
(*゚ー゚)「喉乾いてない?」
( ,,゚Д゚)「一応」
(*゚ー゚)「あのね、コーヒー缶間違えて買っちゃって、だれも飲んでくれないからあげるね」
( ,,゚Д゚)「ああ、ありがと……」
(`・ω・´)「なんだ。缶貰ったのか」
( ´_ゝ`)「おい、プルタブ開いてるぞ」
(´<_` )「いつもの事じゃないか」
( ,,゚Д゚)「まぁ、別にいいだろ」
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 18:31:49.94 ID:/ir96TFK0
- 木曜 12:56
(*゚ー゚)「はぁー」
ζ(゚ー゚*ζ「どうしたの? ため息何かついて」
ノパ听)「そうだぞぉぉぉ! あたしたちにできることならなんだってするぞぉぉぉ!」
(*゚ー゚)「実はちょっと悩んでて……」
从'ー'从「なになにー? ピーマンさんが食べれないとか? 好き嫌いはダメだよぉ」
(*゚ー゚)「違うの。そんなのじゃなくて……」
ζ(゚ー゚*ζ「私たちは友達でしょ。あなたの事なら何だったするわ」
(*゚ー゚)「うん。ありがとう。でも……」
ノパ听)「心配するなぁぁぁ!」
(*゚ー゚)「……わかった。じゃあみんなに話すね」
女の集団心理ほどおかしなものはない。
ここまでの話だけでも男が突っ込みたくなるところはいくらでもある。
だが、今回はなにも介入せず、ただじっくりとこの女の恋の果てを見てみよう。
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 18:33:57.91 ID:/ir96TFK0
(*゚ー゚)惚れ薬をもらったようです
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 18:36:50.48 ID:/ir96TFK0
- ζ(゚ー゚*ζ「しーちゃんが作ったものを食べてくれなかった!?」
(*゚ー゚)「うん……」
从'ー'从「やっぱり好き嫌いはよくないよぉ」
(;゚ー゚)「いや、そうじゃなくてね」
ζ(゚ー゚*ζ「でもどうして?」
(*゚ー゚)「仕方ないよ。弁当作ってくるなんて言わなかったし、それにまだ付き合ってもないし」
ノパ听)「単刀直入に告白したらどうなんだぁぁぁ!」
(*゚ー゚)「そんなの無理だよ……」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、そんな状況ってつらいよね」
从'ー'从「そうだよね」
ノパ听)「そうだよなー」
(*゚ー゚)「みんな私の気持ちがわかるの? ありがと。嬉しい……」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 18:39:39.23 ID:/ir96TFK0
- ζ*゚ー゚)ζ「……」
(;´_ゝ`)( ,,゚Д゚) (´<_` )(・ω・´)ワイワイガヤガヤ
ζ(゚ー゚*ζ「……でもギコ君になんて断られたの?」
(*゚ー゚)「……『えっ、ゴメン。今日はちょっと』だって」
ノパ听)「ひどい男だな」
从'ー'从「そうだよね。ひどいよねー」
ζ(゚ー゚*ζ「かわいそうなしぃちゃん。私が慰めてあげる」
(*゚ー゚)「その言葉いやらしいよー」
ノパ听)「どうしてギコ君の事が好きなんだ?」
(*゚ー゚)「小学校からずっと一緒でね」
ζ(゚ー゚*ζ「幼馴染なんだ。いいなー」
(*゚ー゚)「ううん。ただ学校が一緒なだけ。でもずっと格好いいと思ってたんだ」
ノパ听)「そんな恋心に気づかないあいつはやっぱりおかしいなー」
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 18:43:31.03 ID:/ir96TFK0
- 从'ー'从「で、つまりしぃちゃんは好き嫌いの多いギコ君に弁当を食べさせたいわけね」
(*゚ー゚)「一応そうなるね」
从'ー'从「そしたらいいもの持ってるよぉ」
ζ(゚ー゚*ζ「なになに?」
从'ー'从つ0「ジャーン!」
(*゚ー゚)「それは何?」
从'ー'从「確か惚れ薬って言うんだよぉ」
ノパ听)「惚れ薬だとぉぉぉ!?」
ζ(゚ー゚*ζ「ヒーちゃん声おおきいよ」
(*゚ー゚)「本物なの?」
从'ー'从「そうだよぉ。先祖代々から伝わるものでね。家に原液があるんだよぉ」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 18:46:04.11 ID:/ir96TFK0
- ζ(゚ー゚*ζ「使ったことはあるの?」
从'ー'从「うん。いつも使うから常に持ち歩いているんだよぉ」
ζ( ー *ζ「……だから渡辺こんなにもてるのか」
从'ー'从「え? 今なんて言ったの? 聞こえなかったよぉ」
ζ(゚ー゚*ζ「何でもないよナベちゃん」
(*゚ー゚)「どれだけの効果があるの?」
从'ー'从「その液を一滴あるものに仕込ませて食べると嫌いでも普通になって」
(*゚ー゚)「うんうん」
从'ー'从「二、三滴垂らすとどんなのでも好きになっちゃうんだ」
ノパ听)「ほほぉ」
从'ー'从「でね、五滴垂らすと一時的にだけどそれがないと生きていけないくらい大好きになるんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「へぇ」
从'ー'从「もちろん時が経っても完全には元に戻らないよ。普通好きになればそのままでしょ?」
ノパ听)「それは凄いぞぉぉぉ!」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 18:48:10.52 ID:/ir96TFK0
- ζ(゚ー゚*ζ「いいの? そんなのあげちゃって……」
从^ー^从「もちろん。だって友達でしょ」
(*゚ー゚)「ナベちゃん……ありがと」
从'ー'从「どういたしまして」
ζ(゚ー゚*ζ「私にもいつか貰える?」
从'ー'从「いいよぉ」
ζ(^ー^*ζ「ありがと! ナベちゃん!」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 18:52:34.14 ID:/ir96TFK0
- 木曜 13:03
(;´_ゝ`)「おい、本当なのかその話」
(´<_` )「さっきあいつらに見られた気がしたがそのはなしに感づいたわけじゃないだろうな」
( ,,゚Д゚) 「大丈夫じゃね?」
(`・ω・´)「でも、お前なんで驚かないんだ?」
( ´_ゝ`)「俺一切気付かなかったぞ」
(´<_` )「いや、気づけよ。わかりやすいだろ……」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 18:55:33.79 ID:/ir96TFK0
- 木曜 13:11
(*゚ー゚)「五滴で大好きになるって言ってたよね……」
(* ー )「十滴ほど入れちゃってもいいかな……」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 18:58:03.84 ID:/ir96TFK0
- 木曜 13:14
(*゚ー゚)「ギコ君、ギコ君」
( ,,゚Д゚) 「ん? 何だ?」
(*゚ー゚)「喉乾いてない?」
( ,,゚Д゚)「一応」
(*゚ー゚)「あのね、コーヒー缶間違えて買っちゃって、だれも飲んでくれないからあげるね」
( ,,゚Д゚)「ああ、ありがと……」
(`・ω・´)「なんだ。缶貰ったのか」
( ´_ゝ`)「おい、プルタブ開いてるぞ」
(´<_` )「いつもの事じゃないか」
( ,,゚Д゚)「まぁ、別にいいだろ」
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 19:00:33.32 ID:/ir96TFK0
- 木曜 18:16
从'ー'从「今日も学校面白かったな。さーて、原液から薄めてまた惚れ薬を作っ……」
从'ー'从「あれれー? 原液がないよぉ?」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 19:03:43.48 ID:/ir96TFK0
- 木曜 19:12
( ,,゚Д゚)「よぅ」
(*゚ー゚)「どうしたの……こんな時間に……」
( ,,゚Д゚)「いや、ちょっと聞きたいことがあって」
(*゚ー゚)「よく私の家がわかったね。それで、聞きたいことって何?」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 19:07:09.91 ID:/ir96TFK0
- 金曜 08:33
(*゚ー゚)「おはよー」
ζ(゚ー゚*ζ「おはよー。しぃちゃん今日もかわいいね」
(*゚ー゚)「デレちゃんもかわいいよ」
ノパ听)「おっはよぉぉぉ!」
(*゚ー゚)「おはよう。ヒーちゃん。今日もかわいいよ」
ノパ听)「どうしたんだぁ? 今日はやけに機嫌がいいなぁぁぁ!」
ζ(゚ー゚*ζ「そういえば、もう飲ませたの? 惚れ薬……」
(*゚ー゚)「うん」
ζ(゚ー゚*ζ「成果はあったの!?」
(*゚ー゚)「うん」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 19:10:00.87 ID:/ir96TFK0
- ノパ听)「機嫌がいいのはそのせいかぁぁぁ!」
从'ー'从「寒いよぉ。そのギャグ」
(*゚ー゚)「おはよう。ナベちゃん。今日もかわいいね」
从'ー'从「ありがとぉ」
ζ(゚ー゚*ζ「で、成果はあったの!?」
(*゚ー゚)「うん。昨日ギコ君が家に来てね……」
ζ(゚ー゚*ζ「本当!? すごいなぁ、惚れ薬の効果……」
(*゚ー゚)つ0「昨日はありがとうね。これ、返すよ」
从'ー'从「あ、昨日間違えてしぃちゃんに、原液のほうを渡しちゃったのぉ」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 19:13:07.51 ID:/ir96TFK0
- (*゚ー゚)「え?」
从'ー'从「水で千倍ほどに薄めないといけないのに……」
(*゚ー゚)「え?」
从'ー'从「原液がほんの少しでも混入したなら中毒症状おこしちゃうよぉ」
(;゚ー゚)「え?」
从'ー'从「でも、見た限り大丈夫そうだねぇ。しぃちゃんが中毒症状起してる様子ないし」
(;゚ー゚)「へ?」
ζ(゚ー゚;ζ「え?」
ノハ;゚听)「は?」
从'ー'从「ん?」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 19:16:36.17 ID:/ir96TFK0
- 金曜 08:44
(`・ω・´)「ギコ来ねぇな。休みか」
( ´_ゝ`)「そう言われてみればそうだな……」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 19:20:20.75 ID:/ir96TFK0
- 金曜 12:44
(*゚ー゚)「昨日はギコ君が家に来て、昨日あげたコーヒーの名前だけ聞いて帰ったの……」
ζ(゚ー゚*ζ「それだけ?」
(*゚ー゚)「うん。それだけ。メアドの交換しようと思ったけど、すぐ帰っちゃった……」
ノパ听)「奥手すぎるだろ」
(*゚ー゚)「でも、普通の液でいったら一万滴ほど入れたことになるんだけど……」
从'ー'从「自分には使わなかったの?」
(*゚ー゚)「うん、あたりまえじゃない」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 19:23:21.33 ID:/ir96TFK0
- 从'ー'从「じゃあギコ君そのコーヒーが離せないくらい中毒になってると思うよぉ」
(*゚ー゚)「え?」
从'ー'从「だって、一緒に食べた物を好きになる薬で惚れ薬でしょ?」
ノパ听)「ん?」
ζ(゚ー゚*ζ「しぃちゃんの事を好きになるんじゃなくて?」
从'ー'从「うん。そうだよぉ」
(*゚ー゚)「はぁー」
从'ー'从「あ、原液じゃなくて、ちゃんとした惚れ薬持ってきたからあげるね。デレちゃん」
ζ(゚ー゚*ζ「いや、やっぱりいいや」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 19:25:48.73 ID:/ir96TFK0
- 人から人への感情を薬で変えようなどすることなんて無理なのだ。
いや、この薬を唾液と一緒に飲ませれば何とかなるかもしれないが、
そんなこと出来る関係なら惚れ薬はいらないだろう。
そうそう、この話には二つのちょっとした蛇足がある。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 19:28:30.35 ID:/ir96TFK0
- 月曜 08:33
(;`・ω・´)「おい、あの話本当か!?」
(´<_`;)「あの話ってギコの話か」
(;´_ゝ`)「どうやらマジらしいぞ」
(`・ω・´)「でも、どうして死んだんだ!?」
( ´_ゝ`)「ああ、どうやらコーヒーの飲みすぎだとよ」
(´<_` )「致死量以上のカフェインと摂取してしまったらしい……」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 19:30:20.83 ID:/ir96TFK0
- 木曜 12:50
(*´_ゝ`)「ああ、渡辺さん。今日もかわいいな……」
( ,,゚Д゚)「そうか」
(`・ω・´)「……あのさ、その渡辺って人なんだけどよ」
(´<_` )「どうした? お前も好きなのか?」
(`・ω・´)「いや、あいつさ俺の幼馴染なんだけどさ、小学の時と全然性格が違うんだ」
(;´_ゝ`)「はい?」
(`・ω・´)「最近になって凄いキャラ作りしてきたっていうかさ」
( ,,゚Д゚)「まぁそんな感じだよな」
(#´_ゝ`)「うるさい! いつも弁当持ってこなくたって昼には困らないお前には関係ない!」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 19:31:41.11 ID:/ir96TFK0
(`・ω・´)「たまに家で遊ぶんだけど、その時の素が凄く怖いんだ。他人の悪口ばっかり言って……」
( ´_ゝ`)「……」
(`・ω・´)「でもこの前『家でもこんなキャラになってしまって、自分が乗っ取られるんじゃないかって怖い』って……」
(´<_` )「まるで素人の書く小説だな……」
(;´_ゝ`)「おい、本当なのかその話」
(´<_` )「さっきあいつらに見られた気がしたがそのはなしに感づいたわけじゃないだろうな」
( ,,゚Д゚) 「大丈夫じゃね?」
(`・ω・´)「でも、お前なんで驚かないんだ?」
( ´_ゝ`)「俺一切気付かなかったぞ」
(´<_` )「いや、気づけよ。わかりやすいだろ……」
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 19:35:10.86 ID:/ir96TFK0
一体何がギコを殺したことになるのか。答えはない。
コーヒーに惚れ薬を仕込ませた女性は死んだ原因が分からずただ泣くだけである。
キャラを作っている女性たちも同様、まったく関係のない他のクラスの女性までオイオイと、
ただ鳴くだけである。
(*゚ー゚)惚れ薬をもらったようです 終
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:03:17.23 ID:/ir96TFK0
- 死語に自宅警備員というのがあるらしい。
自宅警備員というのは成人で働く気のない人間、俺はこれに当てはまらないが行動はだいたい一緒のようだ。
いつも本を読むかエロゲなどをして大人しく暮らしている。近所じゃこれを真面目な子と言っているようだ。
そんな中、常に充電中の携帯がほこりを払い飛ばした。旧友からの電話だ。
( ^ω^)「おいすー。久しぶりだお。ドクオ」
('A`)「驚いた。何だ急に……」
( ^ω^)「実は直接話したいことがあって電話したんだお」
('A`)「まぁ暇だからいいけど。で、何をだ?」
( ^ω^)「それはついてからのお楽しみだお。一時間後『バーボンハウス』に来いお」
('A`)「いいけどまだあそこやってんのか?」
( ^ω^)「大丈夫だお。このブーンにまかせるといいお」
そう言うと電話がすぐ切れた。
何か引っかかるところがあったけれどもとりあえずは行かないといけないと感じたので三日ぶりに着替えた――
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:05:09.39 ID:/ir96TFK0
( ФωФ)幸運を呼ぶ招き猫のようです
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:10:29.70 ID:/ir96TFK0
- 淡白な店の前の道路に堂々と右ハンドルの車が置かれている。
直感で、これは内藤のだと理解できた。
(´・ω・`)「ようこそ、バーボンハウスへ」
内藤の言ったとおりこの店はまだやっていた。
彼はもうここに着いていて、ずっと待っていたようだ。
気づくのに時間がかかった。
店の中にはショボンともう一人しかいなかったが、その人間の恰好があまりにも昔の内藤と違っている。
(;'A`)「内藤……お前なんでそんな恰好しているんだ?」
( ^ω^)「これかお?」
高校時代の時と背格好は変わらないが彼の身にまとっているものはすべて白だった。靴から腕時計まで。
しまむらやユニクロなんてものではないのはすぐに分かった。全てが光り輝いている。
普通ならセンスが悪いと思うがそうとは一切感じさせなかった。
店のラジオから流れる曲と妙にマッチしていた。
(´・ω・`)「数日ぶりに店を開いたら……まさか鬱田と内藤に会えるとは思いもしなかったよ」
席に着くとショボンがそう言って近づいてきた。
高校時代の親友だが、こんな時代になってしまったのだからここ数年、話そうとも思わなかった。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:13:40.70 ID:/ir96TFK0
- ('A`)「俺もだよ。しかし、ショボンも内藤も全く変わらないな」
( ^ω^)「ドクオは吹き出物がかなりできてるお。相変わらず二枚目とは程遠い顔だお」
(´・ω・`)「それにちょっと老けたように見えるね」
('A`)「今ものすごく涙が出そうなんだけど、お前らが気持ち悪くなるだろうからやめとく」
(´・ω・`)「自虐出来るようになるなんて成長したね。でも正直その通りなんだ。すまない」
(;A;)「……」
(;^ω^)「気持ち悪いお」
久しぶりに会っても昔と変わらない雑談は続く。
この机が高校の時のショボンの教室机のように思えた。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:17:30.91 ID:/ir96TFK0
- ('A`)「久しぶりに学校以外の場所に来たな。着替えたのだけでも数日ぶりだ」
( ^ω^)「汚ね」
(´・ω・`)「学校へは食料配布? 今は学校に避難しないの? 避難所でしょ」
('A`)「いや、自宅だ。安全でもやりたいことが出来ないからな」
( ^ω^)「ドクオのことだからどうせエロゲだお」
('A`)「それぐらいしかやることないだろ。夜に電気制限されて何もできないから寂しくなるけど」
(´・ω・`)「でも規則正しく清潔な生活は送れるね。うん」
( ^ω^)「数日間着替えないくせにかお」
('A`)「まぁ少なくとも学校じゃあ無理だろ。安全だか何だか知らないが俺は行かないね」
( ^ω^)「あそこはもう安全じゃないお。この前暴動が起きたお」
(´・ω・`)「あ、あれ参加したよ。何か活気づけるための祭りだと思って」
( ^ω^)「あるある」
('A`)「ねーよ」
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:21:05.03 ID:/ir96TFK0
- ( ^ω^)「でも仕方無いお。女どもが男が嫌だとか言って排斥するから、自業自得だお」
('A`)「被害少なかったんだろ。二人だけだっけ?」
(´・ω・`)「あ、それボクがやったやつだ。二人とも」
(;'A`)「おいおいおい」
(´・ω・`)「大丈夫、被害相手男だよ。だってその人たち誰とやってもいいって言うから……」
(;^ω^)「どちらにしたって、流石にひくお」
(´・ω・`)「何故か場が白けちゃってさ。誰も好きな人としないんだ」
(;'A`)「俺ら狙うなよ」
(;^ω^)「それよりもよくその状況下で第二ラウンドしようと考えれるんだお?」
(´・ω・`)「もうその二人の精神に逝かれちゃってね。でもそれも自業自得でしょ?」
(;'A`)「……」
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:23:55.76 ID:/ir96TFK0
- (´・ω・`)「そうだ。何か頼む? テキーラぐらいならサービスで出せるけど」
('A`)「あ、じゃあそれ――」
( ^ω^)「金はあるからここにある一番高い酒が飲みたいお」
(´・ω・`)「大丈夫? 六十万ぐらいするけど」
俺の言葉を断ち切って内藤は悠々と話した。
ショボンが聞き入れたのは内藤の話で、俺の言葉は空を切ったらしい。
('A`)「ワインか?」
(´・ω・`)「うん。売るために仕入れたわけじゃないから、特別に。相場の三割増だけど」
( ^ω^)「大丈夫だお。あとショボンも飲んでいいお」
自信満々で答える内藤のせいで言葉が止まってしまった。
ショボンはその言葉を冗談と思ったような顔を一切見せず、そのワインをとりに行った。
(;'A`)「おい。本当に大丈夫なのか?」
( ^ω^)「モチのロンだお」
('A`)「後でウォンだったとかペリカとかなしだぞ」
( ^ω^)「大丈夫だお。ちゃんとしたこの国の金だお。滅んだ国の紙幣でも顎長の漫画でもないお」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:26:57.09 ID:/ir96TFK0
- (´・ω・`)「まぁ騙されていてもいいんだけどね。この国はインフレなんて起きてないけど金なんてもう意味がないから」
左手の指の間に三つのグラスを持ち、右手にワインを持って現れた。
雑に見えたが均等にワイングラスに盛られ前に置かれた。
('A`)「ワイングラスなんてあったのか」
(´・ω・`)「少し埃がかぶっていたけどね」
('A`)「ほかのもだろ」
( ^ω^)「これは、ロマネコンティってやつかお?」
(´・ω・`)「そんなところかな。でも仮に騙されていたって、大損じゃないんだろ」
( ^ω^)「そうだお」
内藤は一気に飲もうとして気道にでも入ったのかむせていた。
俺は通らしいようにグラスを回して匂いを嗅いで飲んでみたが、何が素晴らしいのかわからなかった。
( ^ω^)「まるで小鳥たちがさえずりながら踊っているようだお」
('A`)「凄いのか? これ」
(´・ω・`)「分かりやすく言えば賞味期限ぎりぎりのボンレスハムってところだよ」
( ^ω^)「ショボンのせいで養豚所で優雅に鼻を鳴らしている豚がみえてきたお」
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:30:33.30 ID:/ir96TFK0
- ('A`)「そうだ。話したいことって何だったんだ?」
( ^ω^)「よくぞ聞いてくれたお。今バーボンハウスがやっているのも、こんなに気前がいいのも関係あるんだお」
(´・ω・`)「なんだか気になる話だね」
ワイングラスを脇に退け、多分高価なブランドらしきバックから一つのものを取り出した。
( ^ω^)「この『幸運を呼ぶ招き猫』のおかげだお」
( ФωФ)
白色ばかり身につけている人にはあるまじき黒い招き猫が置かれた。
内藤はそれを出して満面の笑みをしている。
('A`)「なんだ。宗教に入っただけか」
最近の大不況、おかしな気候。予言者は一年後に世界は滅びると言い、さらには科学者までもがそう言った。
自転が止まる。重力がなくなる。大洪水が起こる。隕石が衝突する。太陽が大爆発を起こす。
何が起こって滅びるかは皆考えが違うがとりあえず一年後には滅んでいるらしい。
そんな中、変な宗教に入る人や自殺する人、暴れる人は急速に増えていった。
感染する病気だとか大地震とかそんな事も言われている最中、働く人はほとんどいない。
俺のようにただじっと自宅警備員をやっているだけでいい人。
ショボンのように自営でも仕事をやっている人は生真面目。
内藤はもちろん一般人。助かってはいるが食料配布などのボランティアなんてやってたら、大バカ者だ。
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:33:46.50 ID:/ir96TFK0
- ('A`)「で、どんな宗教なんだ?」
( ^ω^)「ロマ教という宗教だお。この招き猫を握ったら一気に幸運になるんだお」
(´・ω・`)「……」
( ^ω^)「別にその宗教に入ったわけじゃないお。その宗教の偶像を盗んで偽物と交換してきたんだお」
('A`)「どちらにしても人間として終了だろ」
( ^ω^)「この猫はずっと拝まれっぱなしだったお。それは宝の持ち腐れってものだお」
('A`)「だからってなぁ……」
( ^ω^)「この猫だってずっと拝まれるより握られることの方が嬉しいに決まっているお」
昔から罪になることは何一つしなかった人間がこのざまだ。
だが、その人間を軽蔑視はしなかった。多分できないのだろう。この招き猫のせいで。
( ФωФ)
今にも鳴きそうな気がする。
見ても何か誘われるというものは感じないが、話を聞けば気味悪く感じる。
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:35:54.24 ID:/ir96TFK0
- ( ^ω^)「実はこれをドクオやショボンに握ってもらいたくて持ってきたんだお」
('A`)「盗んだものをか?」
(´・ω・`)「これって握ってからすぐに幸運になるのかい?」
( ^ω^)「そうだお。握って三日でここまでの運を掴んだお」
(´・ω・`)「そうだな……じゃあボクは鬱田の逆にするよ」
('A`)「何だそれ」
(´・ω・`)「鬱田が握るならボクは握らないし、握るならボクは握る」
('A`)「変な考えだな」
妙にプレッシャーを感じた。
だが、少し酒を飲んだせいでもあるのか頭の中で葛藤と言うものは起きなかった。
裏があるなんて考えない場合、どちらの方にメリットがあるかなんてすぐにわかる。
ワインを一口飲み、答えた。
('A`)「じゃあ、握ることにするよ」
( ^ω^)「それは嬉しいお」
酒の勢いでその手を握った。
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:38:42.89 ID:/ir96TFK0
- ( ФωФ)「ニャー」
(;'A`)「おい! 今鳴き声が聞こえなかったか」
( ^ω^)「聞こえたお」
(´・ω・`)「ボクもだよ」
('A`)「よかったー」
空耳で俺の脳内にしか聞こえない様になっているのかと思って驚いたが、違ったようだ。
(;'A`)「ってよくねーよ!」
(´・ω・`)「何が?」
( ^ω^)「多分仕様だお。ブーンが握った時もなったお」
これで、内藤が言うにはおれは幸運になるらしい。
全く実感がわかない。
この後、内藤のおごりでまたワインを飲んだ。
何事もなかったかのように懐かしい過去に三人で思いふけた。
ラジオから生まれてきた赤ちゃんの生命線が一切ないなんて話をやっている。
一週間後に滅んでいいよ、なんて中学生レベルのツッコミを入れたりして笑いあった――
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:42:43.20 ID:/ir96TFK0
- 目が覚めるとベッドで寝ていた。酔いつぶれていたのだろう。ふかふかのベッドに身を包んでいる。
隣にテレビがあり、アニメが流れていた。心地よいから起き上がる気がしない。
*(‘‘)*「おはよー」
('A`)「ん、おはよう」
同じベッドの中に、女が寝ていた。
それに何故か俺はパンツ一丁だ。
('A`)「……女?」
*(‘‘)*「?」
('A`)「ここはどこだ?」
*(‘‘)*「きおくそーしつになっちゃった? 私の家だよ」
驚いて授業中眠っていた生徒のように立ち上がってしまった。彼女はピンク色のパジャマを着ていた。
斜光カーテンから少しだけもれる光。嗅いだ事のない甘い匂い。布団をもう一度戻し、彼女は小さく言う。
*(‘‘)*「寒いよー」
もう一つのほうも立ち上がるかと思ったがそんなことはなかった。
ただ、純粋に驚いた。
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:45:29.63 ID:/ir96TFK0
- 彼女と俺は服を着た。彼女は新しい服を俺は昨日も来ていた服を。どうやらいつのまにか一日が過ぎていたみたいだ。
覚えているのは内藤がショボンに対してパンパンの財布から札束を出したところまでだ。
どうやら、その後強姦されそうになっていた彼女を完全に酔っていた俺が数人の若者から助けたそうだ。
その後、何故かこうなったらしい。記憶がないのが残念だが、それ以上にこの展開の驚きのほうが上だ。
('A`)「まねき猫か……」
*(‘‘)*「どうしたの?」
('∀`)「フヒッ、フヒヒ」
服を着た彼女をベッドに押し付けた。
もうやることは決まっている。
カップラーメンが出来上がるよりも早く終わったが十分だった。
今までのやりたかったことが全部できる気がしてきた。
彼女の名前を知らないまま、去る挨拶もせずにアパートを出た。
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:48:19.41 ID:/ir96TFK0
- 外に出るとたむろしている若者数人に会った。
メンチか何かを切ってくるがどうとも思わない。
臆することもなく、目の前を通った。
( ´ー`) 「おい、無視してんじゃネーヨ」
横切った時に一人の若者が立ち上がった。俺よりも十数センチも高く一瞬驚いたが、彼はまた座った。
( ^Д^) 「どうしたんだ?」
( ´ー`) 「足しびれたんダーヨ」
m9( ^Д^) 「お前それはねーよ」
たむろしていた連中は笑いあっている。
空気のような存在となった俺は簡単に切り抜けられた。
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:52:37.93 ID:/ir96TFK0
- 多分内藤からもらったであろうお金が財布の中に入っていた。
交通手段が徒歩しかなく、タクシーが呼んでも来るものだろうか不安になった。
お金があっても使い道がないから大通りをトボトボと歩いて行く。
通る車もなくあまりにも静かなので大通りのど真ん中を歩いてみた。
飛ぶスズメもいなければ、馬を使う武将もいない。
確か鳥は北極に、霊は教祖様じゃないと見えないものだったか。
俺が最高の運をつかんだという実感が薄れてきた。
( ゚д゚ )「おーい」
声がした方向を向くと、薬でもやっているような怖い顔をした中年がこちらをじっと見つめてきた。
('A`)「は?」
( ゚д゚ )「おーい」
彼はそう言って一つの店に入っていく。どうやら美術展の看板が立っている。
妙にその店が気になった。金もあることだと思い、その中へと入っていくことにした。
さっきまで歩いていた車道を大型トラックが高速で走っていった。
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 20:56:25.02 ID:/ir96TFK0
- | ^o^ |「こーらおいしいです」
中は真っ暗だった。奥へと続く道は電光がないため、先が見えない。
壁には和紙にでかでかと丁半賭博と書かれている。
さっきの呂律がおかしかった中年はその和紙に敬礼をしていた。
| ^o^ |「さっそくそうびしていくかい」
醤油をずっと飲んでいる。意味がわからない。
ミ,,゚Д゚彡「なんだ? 初めての人か」
奥から出てきたのは耳にピアスの穴があいている青年だった。
どうやら彼はちゃんとした言語を話せるようだ。
('A`)「この店は何ですか?」
ミ,,゚Д゚彡「ただの丁半賭博だよ。金があるならやっていけばいいさ」
何も言うことはない。
ただ持っている金を全額差し出す。
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:11:01.69 ID:/ir96TFK0
- 中に入れば運のありそうな人たちが数人いた。
だが、数回やっていくと金魚のフンのように俺と同じ様に張っていくのだ。
('A`)「……これぐらいでやめたほうがいいな」
三枚だった木札というチップがいつの間にか三桁の枚数になっていた。
やっと俺が幸運だとわかってきた。
彡,,゚p゚ミ「おぱちゅにてぃー」
耳にピアスの穴が開いた若者も遂には目が逝っていた。
多分オレをカモにする予定でもあったのだろうが。
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:12:30.79 ID:/ir96TFK0
- あの日から三日が経つ。
もうこれからの贅沢三昧は表せないものだろう。
どこかに行けば、来場者数のべ何万人となり賞金がもらえる。
不人気のサイトのキリ番すらとったことのない人間だったのに。
行こうとした場所がやっていない店だったなんてこともあれ以降もちろんない。
一日に三回、一度に三人の違う女を抱ける。
抱いた女は逆にいくらか金を落としていく。
中学生を抱けるチャンスがあったがさすがに断った。
料理店に行って不味いと言って投げた皿が無銭飲食で逃げた男に当たる。
もちろんお礼にお金はいらないと言われた。
歩けば歩くほど金が増えていく。
減らそうと頑張っても無理なのだ。
何かムカつく人間だと思った矢先にそいつに雷が直撃することもあった。
地球がいつでも滅んでもいいから、こんな絶頂の中で地球が滅んでも死ぬわけがないと考えが変わってきた。
そろそろ権力もほしい。
新興の宗教でも作ればロマ教をも追い抜ける気がする。
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:15:27.40 ID:/ir96TFK0
- そんな最中、公衆電話から電話がかかってきた。車内で女を抱いている最中だ。
(ヽ´ω`)「つ、繋がったお。おいすー。ブーンだお。会って話がしたいお」
('∀`)「なんだ。内藤か。どうしたんだ? 大丈夫か?」
(ヽ´ω`)「大丈夫じゃないけど大丈夫だお。それよりも――」
やつれた声から内藤の顔が想像できた。
精力を使い果たしたすほど性を営んでいたのかと思ったがどうやら違うみたいだ。
(;'A`)「……じゃあどこにする?」
(ヽ´ω`)「よく高校の時にあったラーメン屋の近くにボロボロのファミレスがあるんだお。そこに行くお」
('A`)「いや、俺がおごるから何かいいところにでも行こう」
(ヽ´ω`)「交通手段が何もないんだお。そこで待っているから来てくれお」
電話が切れた。何か不安になって仕方がない。
女にその場所まで送ってもらうことにした。
- 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:17:53.00 ID:/ir96TFK0
- 荒れ果てた駐車場までなら内藤が選んだ理由がわかるが、そこは車が止まるスペースもない店だった。
ポケットに入るだけの金を持って、女の車から降りた。
女は車に残していった大金を教えてくれることもなく、去って行った。
(*゚∀゚)「……いらっしゃい」
ボロボロのドアを開けていたのは若い女性。
さっき抱いていた女よりずっと綺麗だった。
内藤が抱いた女かと思ったが、陳腐な服を見る限り違うとわかった。
陳腐な店。テーブルは埃で白く、それに同化したかのように端で内藤が座っていた。
('A`)「よぉ、どうしたんだ?」
俺は全身を黒で身にまとっていた。内藤は茶色のトレーナーを着てパジャマのような格好でいた。
この前に会った時と身なりが逆になっている。
とりあえず、ラーメンがあったのでそれを注文し、席に座った。
( ФωФ)
テーブルには、最初からあの招き猫が置かれている。
あの招き猫をみると嫌な予感がした。
(ヽ´ω`)「実は最近不幸なことが続くんだお」
(;'A`)「もしかしてこの猫のせいなのか?」
(ヽ´ω`)「多分そうだお」
(;'A`)「詳しく教えてくれ」
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:19:23.67 ID:/ir96TFK0
- 内藤は今の俺のように豪遊していたらしい。
俺に簡単にお金をあげられるほど。
その後も女を抱いたり酒を飲んだり――
奪われないようにと常に鞄を持ちその中にあの招き猫を入れていた。
異変が起きたのは昨日のこと。株の話をしていた時に急に電波が届かなくなった。
そしてあの猫が触れてもないのに鞄の中から泣きだした。電波が戻った時はその株は大暴落した後だった。
お金は全部、それにつぎ込んでいた。戻る金もなく無一文に。
服を売ってなんとかラーメンを食べられるほどのお金を手に入れた。
携帯電話は完全に充電されていたはずだったのに、いきなり充電切れが起こり、近くの公衆電話へ。
記憶をたどって何とか覚えている俺の元へ連絡し数時間後に繋がった。
(ヽ´ω`)「できればあの時に貸した金を返して欲しいんだお」
(;'A`)「ちょっと待て。俺も不幸になるならこの金はやれない」
(ヽ´ω`)「そうかお。確かにそれも当り前だお」
(;'A`)「やけに聞き分けがいいな」
- 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:38:10.35 ID:/ir96TFK0
- (ヽ´ω`)「車は奪われ頭に糞が落ち、犬の糞を踏んだ靴をずっとはいていれば、自然にそうなるお」
(;'A`)「俺もそうなるのか……」
(ヽ´ω`)「奪おうとする気もないお。あの招き猫の運の強さはわかってるお。ドクオは運がついてるお」
何も言えなかった。この招き猫の強さに圧倒されていた。
(ヽ^ω^)「……さっきからギャグ言っているのに一度も突っ込んでくれないお」
('A`)「……」
(ヽ^ω^)「いつもなら『お前も運がついているじゃないか。茶色いやつだがな』って言っているはずだお」
('A`)「お前、昔からそういうところ変わらないよな」
内藤はどんな状況になっても根本的な何かが変わっていなかった。
何故だかよくわからないが、心が穏やかになった。
- 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:39:44.33 ID:/ir96TFK0
- ('A`)「金を返すよ。お前もいま大変だろう」
(ヽ^ω^)「お?」
何故だかはわからない。全くわからない。
だが、手には十数枚の紙を握って内藤の前に差し出した。
(ヽ^ω^)「いいのかお?」
('A`)「まぁな」
(*゚∀゚)「ラーメンお待ちー」
女を気にもせず、内藤はとても素晴らしい笑みをした。
手に取りそれを掲げて、皮肉なほど――
一瞬目に熱いものが入る。
反射で目を閉じ、開いたときには
内藤の紙と顔面にラーメンがかかっていた――
(ヽ川ω川)「……」
(*゚∀゚)「……」
(;'A`)「……」
- 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:43:32.36 ID:/ir96TFK0
- (ヽ;ω;)「ブーンは、ブーンはもう金すら持てなくなっちゃったんだお」
('A`)「俺もしばらくしたら、こうなるのか」
紙幣はもう使い物にならなくなっていた。
もう一度ラーメンが来るまで、他にどのような不幸があったのか話してくれた。
少しあとに観光名所にはたくさん人がいた、自分の抱いた女の方がかわいいなど、そんな話もした。
悲しくなってくるが、内藤にはかすかに笑顔になっていた。
('A`)「そういやこの猫は盗まれないな」
(ヽ^ω^)「多分この招き猫は幸運や不幸の影響を受けないんだと思うお」
('A`)「この猫を持っているから不幸な目に会うってことは?」
(ヽ^ω^)「無いとは言い切れないお。試すことができないんだお」
('A`)「罰が当たっただけじゃないの?」
(ヽ^ω^)「……そうかもしれないお」
('A`)「そうだ。俺が不幸になるまで一緒にいたほうがいいんじゃないか?」
(*゚∀゚)「ラーメンお待ちー」
- 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:45:05.73 ID:/ir96TFK0
- 振り向くとあの女性は両手に物を持っていた。
右手に包丁、左手にラーメン。
(*゚∀゚)「そぉい!」
右に見えるラーメンだけが見えたらなんて考えていたら内藤の頭の上にラーメンがかけられた。
(ヽ川ω川)「バルスゥ!」
(#゚∀゚)「アヒャ」
一度変な鳴き声をあげてから、内藤はしゃべることもなくその場で悶えていた。
そして、テーブルの上にまだ置いてある招き猫。あの猫がとうとう
( ФωФ)「ニャー」
鳴いた――
- 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:46:48.71 ID:/ir96TFK0
- (#゚∀゚)「今持ってる金を俺によこせ!」
(;'A`)「へ?」
(#゚∀゚)「さっきポケットの中にたくさん入ってただろ! あれをよこせ! ブサ面!」
( ゚A゚)「はい!」
(#゚∀゚)「あんなもの見せつけられたら誰でも奪うだろうが! 出せ! 早く!」
- 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:48:24.37 ID:/ir96TFK0
- 何が起こったのか、さっぱりわからなかった。
我に帰った時にはもう店の外に出ていた。
ラーメンで漏らしたように見えるほど濡れている内藤が連れてってくれたようだ。
(;'A`)「驚いた……」
車道の真ん中で眩しい太陽を見た時は、死んでしまったのかと思ってしまう。
汚い女体の落書きがされているアスファルトを見てまだ死んでないことが確認できた。
(ヽ^ω^)「大丈夫かお?」
(;'A`)「ああ」
(ヽ^ω^)「ついに、ドクオにも不幸が訪れたみたいだお」
(;'A`)「笑って言うなよ」
(ヽ^ω^)「不幸な時こそ笑ってないとだめだお」
幸も来ないのに、ずっと笑ってないといけないのかと言おうとしたがやめておいた。
(ヽ^ω^)「一緒に過ごそうなんて言ってたけど、どうするお?」
('A`)「やめておいた方がいいだろ。嫌な共鳴してしまう」
残念そうに下を向きだした。眼の先を猫に移してからまた言った。
太陽の光を濁った眼が気持ち悪い程度に反射してくる。
- 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:50:40.32 ID:/ir96TFK0
- (ヽ^ω^)「……この猫、渡すお」
('A`)「いいのか?」
(ヽ^ω^)「いいお。持っていたらさらに不幸になる気もするお。返してくれたおかねのお礼だお」
('A`)「ああ」
放置しておいてもよかった気もしたが、俺にとってはこれが近くにあることで少しは幸運になれる気がした。
握ったことはあったが持ち歩いたことはない。
それが幸運を未来から持ってくる招き猫だと知らなければ何ら不吉には思えないかもしれない。
でも、これでよかった気がするのだ。もうこれ以上の幸福はいらないだろう。
多分猫に遭わなければこの先は幸運が一つもないと思い、小さな幸福も気付けずに過ごしていたのだろう。
それよりはずっとましだ。最高の数日間だった。
- 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:51:57.40 ID:/ir96TFK0
- ('A`)「そういやさ、内藤。お前が不幸になったのっていつからだっけ?」
(ヽ^ω^)「昨日だお」
('A`)「奪って握ったのはいつだっけ?」
(ヽ^ω^)「一週間ほど前だお」
( A )「あのさ。なんかさ……」
本当に、
( ゚A゚)「俺より長くね!?」
最高の数日間だった。
- 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:54:31.30 ID:/ir96TFK0
- 内藤とは、その後にすぐ別れた。
変ないちゃもんを内藤がつけられている時、俺もまた別の人にいちゃもんをつけられ、離されもう連絡は取れない。
充電切れの前に、携帯電話の金を払っていなかったので、とうとう電話もできなくなった。
*(‘‘)*「はい。あの人です。抱かないし、お金あげるから一晩だけ彼女の振りをしてくれと言って強姦してきたやつ」
| ^o^ |「ごーかんはのみものですか? いいえけふぃあです。だからたいほします」
(゚д゚ )「お前、警察だったのか」
| ^o^ |「かみがさだめました」
(゚д゚ )「俺は定めてないぞ」
( ´ー`) 「お決まりのセリフダーヨ」
ミ,,゚Д゚彡「紙なんてこんなものだ。金なんて髪なんだ。あいつの髪を毟れ!」
( ´ー`) 「ついに見つけたんダーヨ。早く捕まえるんダーヨ。俺を鼻で笑いやがって」
m9( ^Д^) 「お前が捕まえろよ」
| ^o^ |「わたしのおしりにはべれったがはいります。そのべれったでやつをうつのです」
( ゚д゚ )「そいつは俺の中でも爆発したのさ。今度は俺のマグナムを奴に突っ込んでやる!」
- 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 21:56:54.57 ID:/ir96TFK0
- 時間が経てば経つほど災難に襲われる。
黒の服はいるはずもなかったカラスの糞で白くなり、股間の部分が黄色になる。
またどれだけひどいことが起こるか分からないが車を奪い、今のうちだけでも逃げた。
補助席には汚れのつかない招き猫が上品に座っていた。
内藤には悪いけど、もう死のう。そう決意した。
走馬灯が駆け巡る暇もないのだ。
こんな招き猫、握らなければよかったとつくづく思う。
あの不幸が始ってまだ半日も経っていない。
これから一体何が起きるのか。
今のところ電気モーターが切れそうな感じはしないし、パンクなどが起きそうな気もしない。
想像するのはもっとひどい災難だ。
海へと行き、飛び降り自殺をしよう。
まずはそう考えて車を奪ったはいいが、一向に着く気配がない。
- 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 22:00:34.26 ID:/ir96TFK0
- 後ろから何か聞こえてきた。
ミラーに見える何台ものパトカー。
捕まるのならそれでいいが、何故か銃声が何発も聞こえ、左のドアミラーが壊れ、車体から置き去りにされた。
頭に当たれば一発で死ねるからいいが、そんなふうにはいかないだろう。
(;'A`)「後輪パンクしてないか?」
そう小さく言って、確認するために窓から顔を出した時、またも銃声。
驚いて顔を戻した時に、髪の毛の一部分がなくなっていた。
もう少し顔を出していればと後悔し、でも怖いから車を止めて出ることはしようとしない。
また銃声、今度は別の変な音がした。
('A`)「ん――――」
- 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 22:03:52.50 ID:/ir96TFK0
- 一瞬、何が起きたのかよくわからなかった。
気づいた時には、うつぶせに倒れていて、まわりすべてが真っ赤に燃えていた。
背中に違和感があり、体の至る所から血が出ていた。
乗っていた車が爆発したみたいだ。
パトカーも巻き添えを喰らったのか何台か燃えている。
不必要な不幸中の幸い。いくつかの死体が見える中、俺は助かったのだ。
拳銃を見つけたのでとろうとしたが、熱くて触れやしない。
ずっとここにいても仕様がない。
一台の片方のドアが壊れているだけですんでいるパトカーを見つけ、気絶している警察官をどけて乗った。
エンジンが簡単にかかった。多分大丈夫だろう。
どちらに進めばいいか分からないが、ここから脱出するため、一番火の少ない所に猛スピードで走らせた。
- 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 22:06:52.23 ID:/ir96TFK0
- ( ФωФ)「ニャー」
隣から声が聞こえた。助手席の下にあの招き猫が転がっていた。
どうしてこんなところにと考えている間にもっと驚くことが起きた。
火が車を避けるように引いていき、車体の一切に火が当たらなかった。
あの爆発した場所から数十メートル離れた場所でようやく安心できた。
しかし、何が起こるかわからない。何が起こるか分からないが、この猫は必ず俺のところについてくる。
爆発したときに飛んできたのか。見える限りではまだ無傷だ。
いろいろと考えている内に、痛みは消えていた。
('A`)「……どうして」
思わず口に出してしまったが、その後に続く言葉はいくつでもある。
なぜ猫が鳴いたのか、何故火が避けたのか、どうして猫がここにいたのか。これは幸運ではないのか。
そして、車を走らせる中、一つの結論に至った。
『招き猫が車を握った』
- 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 22:08:33.07 ID:/ir96TFK0
- これを持つことで俺の運気が上がるのでは、という考えは間違っていなかった。
無機物にも使えるとわかった今は、俺の身の回りを幸運にしていけば、
この半日のような不幸とはおさらばできる。
俺はこのパトカーを世界最大に運のいい車だと信じ、勢いよくアクセルを踏んだ――――
- 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 22:10:22.75 ID:/ir96TFK0
- 一番初めに見えたのは酸素マスク。そして白い天井。
聞こえてくるのはテレビの音。
(´・ω・`)「やぁ。目が覚めたかい。」
口が開かない。ああ、ここはベッドの上だ。まだ死ねちゃいない。
何があったか、記憶を辿る。あんな絶頂から一体何があったのか。
(´・ω・`)「しかし、よく助かったね。あんなところから」
そうだ、思い出した
――
――――
- 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 22:12:35.22 ID:/ir96TFK0
- 海が見えてくる。しかし、死ぬ気はもうない。俺はまだ生きられるのだ。
目をつぶっても強風が吹いて、車体が勝手に動く。これ以上壊れる事なんてない。
サイレンを鳴らしながら、気持ち的には音速を超える勢いでかっ飛ばす。
十五メートルほどの崖の下に見える壮大な青を眺めながら、突き進む。
だが目の前に大きな岩壁があり、流石にこれにはハンドルを切らなければと思いしぶしぶ前を見る。
そして豪快にハンドルを切る。
ここまではよかったのだ。
今までかなりのひび割れを見たが、道路が、土砂崩れのせいでなくなっていたなんてことはなかった。
落石した岩が道の八割をふさいでいたのだ。ガードレールは無くなっていて、この車でも通り抜けることは不可能だ。
このスピードで岩に衝突したら、確実に大破する。
身の危険を感じ、海側の壊れたドアの方から猫を持って、飛び出そうとしたのだ。
するといきなり車が止まる。車は急に止まれないなんて嘘のように慣性の法則を無視してぴたりと止まった。
でも、ドアから出ようとした俺の勢いは止まらず猫を抱えた俺は車から追い出されるように車外に出て、
そして宙に舞った。
海へと落ちていく瞬間、あのパトカーを見た。
もうボロボロなのにとても美しく見え、まるで母なる海へ帰される俺へのレクイエムのようにサイレンが鳴り響く
――――
――
- 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 22:15:15.53 ID:/ir96TFK0
- (´・ω・`)「岩をどけようとしたボランティアが反対側から落ちていくのを見て何とか助けられたみたいだよ」
麻酔がかけられているのか痛みは感じないが体が重い感じがする。
一、二歩近づいて顔を覗いてくる。高校時代とまだ変わらない。ショボンはいたって元気そうだ。
(´・ω・`)「その幸運はどっから来たのか。気になるね。あの猫を握っておいて」
不幸しか来ないはずなのにと続くような皮肉交じりの言い方。
何故、それを知っているのか。内藤は連絡を取っていないはずだ。
(´・ω・`)「実はボクね。ロマ教を信仰していたんだ。幸せになりたくてね」
驚いて立ち上がろうとするが体が動かない。
(´・ω・`)「ある信仰者が握ってその人の行く末を見たらみんなが祟りと言って。もうバカバカしくてやめたけど」
- 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 22:17:57.39 ID:/ir96TFK0
- ショボンはいろいろ話してくれた。どうやらその時から自分の未来から呼んでくるものだとわかっていたらしい。
俺が握った時は、その当時の運に任せて決めてみるのも面白いから。いたってショボンらしかった。
内藤とは、最近連絡が取れたらしい。この病院内にいて、ドジっ子ナースに殺されかけてるとのこと。
でも、今の俺にとってはどうでもいいんだ。
(´・ω・`)「それで、あの招き猫はどこに行ったんだろうね?」
招き猫は、どこに行ったんだろう。でも、そんなことはどうでもいい。
(´・ω・`)「そういえば、最近好景気で、しかも一年後地球がなくなるなんてのは嘘だったって言っているよ」
頭が回らないし、クラクラする。
それがいったいどうしたのか?
(´・ω・`)「わからない?」
だめだ。それがどうしたのか?
(´・ω・`)「さっきパトカーが爆発したってこのテレビでテロップが流れたけど、今別の事件で特番を組むよ」
あのあり得ない頻度で流れる速報か。テロップも特番どうせCMみたいに誰の目にも止まらなくなったな。
もう聞こえづらくなった。テレビが見れないが聞こえる。確かに特番のようだ。
あの、テレ東が特番を組んでいる――
- 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/10(月) 22:19:43.78 ID:/ir96TFK0
- 『ただいま、中国の朝鮮半島から世界各地に向けて十三個の核ミサイルを誤射したとのこと……』
もうだめだ。
終わった。
そんな些末なことなんてどうでもいいから……
早く……お願いだからそのチューブから足をどけてくれ……ショボン――――
そんな中、海の奥底から地球を握った猫が鳴く――
( ФωФ)「ニャー」
俺があの招き猫を握ってから一週間後のことだった。
( ФωФ)幸運を呼ぶ招き猫のようです 終
戻る