川 ゜-゚)異界に迷い込んだようです

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 21:40:10.75 ID:KlNgrR77O
(*゚ー゚)「クーさん。噂、やっぱり嘘でしたね。」
川 ゜-゚)「あぁ、」

パシャ

川 ゜-【◎】「だが、そんな物だろう?」

パシャ

川 ゜-【◎】「幽霊屋敷…」

パシャ

川 ゜-【◎】「いや、」

川 ゜-゚)「そんな物嘘に決まっている。」
(*゚ー゚)「じゃあ、私、機材を片付けて来ますね。」スタスタ
川 ゜-【◎】「そう、有る訳ないんだ。」スチャ

( ^ω^)

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 21:41:53.89 ID:KlNgrR77O
川;゜-【◎】「ホライゾン?」

パシャ

川 ゜-゚)「本当にホライゾン。君なのか!?」

  。
【◎】

川 ゜-゚)「古い撮影機(カメラ)…」

      。
川 ゜-【◎】スチャ



川 ゜-゚)異界へと迷い込んだようです。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 21:43:02.59 ID:KlNgrR77O
川 ゜-【◎】「何も…」

ぞわっ

¢※〓§℃Αm刀栫ヲ〒*@$∋≒∂◯‡¶∃μ〆々‖〔÷」=&♂∴

川;゜-゚)ノシ⌒【◎】ガシャン

川;゜-゚)「寒い…何だったんだ。今のは」
(*゚ー゚)「クーさん。何してるんですか?」川;゜-゚)「なんでもない。ちょっと中を見てみたくなっただけだ。」
(*゚ー゚)「クーさんにもそんな時が有るんですね。意外です。」クスリ
川 ゜-゚)「そうだな、私らしくもない。しぃ。帰ろうか?」
(*゚ー゚)「はい。でも、そう言う意味じゃあ…」
しぃの話を聞かずにクーは廃屋から出て行く。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 21:44:20.44 ID:KlNgrR77O
私の名前は…内藤、クール。フリーのカメラマンだ。ビデオカメラからアナログの一眼レフまで写すための機械ならなんでも使いこなす自信は有る。
私は、懇意にして貰っている雑誌の編集部からの依頼で「死んだはずの人に逢える」と言う屋敷を訪れていた。
まぁ、実際は有りはしないのだが。しかし、何だったのだろう?今の寒気は…

帰りの車中、私はしぃを無視し続けた。
しぃも私のそう言うひねくれた所や子供じみた性格をわかってくれてる為、二、三必要な事を私に伝えた後は、景色に見入っている。
彼女とは一年近く一緒に暮らしている。仕事を手伝って貰うだけじゃなく私生活も彼女に任せきりであるためパートナーと呼んでも差し支えはない。
年は18だったか、編集部が私に当てた助手だったのだが私が気に入り今は半ば無理矢理に同居させている。



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 21:45:11.14 ID:KlNgrR77O
川 ゚ -゚)「夕食は、何にしようか?」

ハンドルを握りながらしぃに夕食について訪ねる。私たちには暗黙のルールが有る。
それは食事だ。気まずい空気になった時、食事の話を切り出す場合奢るから許してほしいと言う意味が込められるのだ。まぁ専ら私が切り出すのだが…

(*゚ー゚)「え?そうですね。クーさんは何を食べたいのですか?」
川 ゚ -゚)「久しぶりに寿司はどうだろうか?」
(*゚ー゚)「良いですねぇ。私、回らないのが良いです。」クスクス

手痛い出費だが致し方ない。女二人だし大丈夫だろう。
私はハンドルを右にきり回らない寿司屋へと向かった。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 21:47:17.93 ID:KlNgrR77O
家に帰り、シャワーを浴びて居間に戻るとしぃがテレビを見ていた。ニュース番組が天気を伝えている。

川 ゚ -゚)「ふぅ、今日一日お疲れ様。」
(*゚ー゚)「クーさんもお疲れ様でした。肩揉みましょうか?」
川 ゚ -゚)「遠慮する。まだ、私はそこまで老けてないし、何より他人に体を触られるのは…」
(*゚ー゚)「そうでした、私は部屋に戻りますね。おやすみなさい。」

居間に私は一人残される。テレビを見る気にもなれず私も寝室へ向かった。


川 ゚ -゚)「寝れないな…。」

しぃはもう寝てしまっただろうか…


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 21:48:15.28 ID:KlNgrR77O
コンコン

「しぃ…まだ起きてる?」

ガチャ

(*゚ー゚)「どうしました?」
川 ゚ -゚)「いや、その…」

しぃは私の手を取り部屋に招き入れる。テーブルには日記帳が有りそれを書いていたらしい。

(*゚ー゚)「眠れないのですか?」

しぃはベッドに腰を掛け、私を隣に座らせる。部屋の中を見るがやはり年頃の女の子にしては簡素と言うか…シンプル過ぎる。
唯一、目を引く物は実家に有ったという電気式の灯籠と棚にある古いカメラだ。

川 ゚ -゚)「まぁ、な。」

バフ

(* ー )「なら、一緒に寝ますか?…」クス
川 ゚ -゚)「しぃ?」

しぃが私を布団へ押し倒す。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 21:49:35.96 ID:KlNgrR77O
私に覆い被さったしぃは私を抱きしめながら胸に顔を押し付ける。

川 ゚ -゚)「しぃ?」
(*゚ー゚)「もう、クーさんたら、何を期待したのですか?」
川; ゚ -゚)「わっ私は。」
(*゚ー゚)「でも、一緒に寝る位なら構いませんよ。」

日記は明日も書けるから、と彼女は言い手を離す。

川 ゚ -゚)「いや、大丈夫だ。すまなかった。」
(*゚ー゚)「わかりました。おやすみなさい。クーさん。」
川 ゚ -゚)「おやすみ、しぃ。」

私はぼんやりとした気持ちで、寝室へ戻った。

部屋に入ると急に眠気が襲ってくる。私はベッドに倒れ込み目を閉じた。

川 ゚ -゚)「……」

寝入るのにそう時間はかからなかった。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 21:52:48.90 ID:KlNgrR77O
川 ゚ -゚)「寒い…」
川 ゚ -゚)「え?」

寒さを感じ私は目を覚ました。そして周りを確かめる。

川 ゚ -゚)「私は、家で寝ていたはずだ。」

そこは見たことのない場所だった。強いて言うなら日本家屋。それもかなり古い。

川 ゚ -゚)「ご丁寧に服装まで…」

私の服装は紫色のネグリジェからお気に入りの仕事着に変わっている。そして私は一つの答えにたどり着く。

夢だ。と

川 ゚ -゚)「だが…」

( ^ω^)
川 ゚ -゚)「ホライ…ゾン…?」
(    )スタ スタ
川 ゚ -゚)「待って!待ってくれ!私だ!クーだ!」
川 ゚ -゚)「ホライゾン…いかないで…」

彼は屋敷の中をどんどんと進んでいく。私は彼を追い屋敷の中へと進んでゆく。
進んでゆく。進んでゆく。

広い、中庭だろうか?そこで私は彼に追いついた。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 21:55:33.11 ID:KlNgrR77O
川 ゚ -゚)「待って!」
(  ω )「ぬ」
川 ゚ -゚)「ホライゾン!」

私は、彼の手を掴む。もう、彼を失いたくは無かった。

(´ ω `)「うぅぅあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
川;゚ -゚)「ホライゾン…?違…離せ…!?」

(´;;;゚ω゚`;;)「うひぃひぃひひひひ!!」

殺される。そう思った。男はホライゾンではなかったのだ。顔は傷だらけで目玉は腐って落ちる寸前。そんな奴の腕が私の首を強く締め付けてくる。
酸素の供給を絶たれた体が悲鳴を上げる。間違いなく夢ではなかった。


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 21:56:29.96 ID:KlNgrR77O
(´;;;゚ω゚`;;)「あばばばばばば!!」
川#゚ -゚)「離ぁせぇ…!!」

残る力で抵抗を試みるが気道だけでなく動脈も締められたらしい。

川  - )oO(嫌だ。苦しいのは嫌だ。でも死ねば…ホライゾンに逢える?また、…なら…)

バシュウゥ!!

(´;;;゚ω゚`;;)「ヒギャアアアアア!!」
「クーさんから離れろ!」
川  - )oO(だ…れ…)
(*゚ー【◎】「離れなさい…!!」

視界には吹き飛んだ男に向け撮影機を向けるしぃ。


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 21:57:51.90 ID:KlNgrR77O
(´;;;゚ω゚`;;)「あばばばばばば!!」

男がしぃへと奇声を発しながら襲いかかる。が

(*゚ー゚)))「無駄です。」

しぃは撮影機を下ろしながらクルリとサイドロールを行い男の手から逃れる。
そのままお返しとばかりに撮影機を構え、至近距離からの撮影が男を「襲う」

(*゚ー【◎】

パシャ

(´;;;゚ω゚`;;)「ギャアアア!!」

悲鳴を上げる男から振り返り距離を取る。その際に流れる手つきで撮影機横からフィルムを引き出し地面に落とす。そして再装填。

(*゚ー【◎】「滅…」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 21:58:40.11 ID:KlNgrR77O
バシュウ!!

怯んだ男に容赦なく撮影機から光のような波動が発せられ遂にくず折れる。

(´;;;゚ω゚`.'。.' 「おおおおぉぉぉ…」

粒子のような物を体から撒き散らし、男が消えてゆく。
そして、消えたのを確認してしぃはフィルムを引き抜き、再装填。先ほど落としたフィルムも拾い上げる。

(*゚ー゚)「クーさん。大丈夫でしたか?」

その一言で押さえつけられていた恐怖や痛みが堰を切ったように溢れ出た。

川 ; -;)「しぃ…!!」


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:00:03.30 ID:KlNgrR77O
私はしぃに抱きつき子供の様に泣いた。彼、ホライゾンを失った時に涙はもう枯れたと思ったのに…

川 ; -;)「しぃ…しぃ!!」
(*;゚ー゚)「え?あ?クーさん?」


(*゚ー゚)「でも、間に合って良かったです。」
川*゚ -゚)「うん…。でもあれは何だったんだ?それに…ここはなんなんだ?」
(*゚ー゚)「ここは…多分、異界です。異なる世界、異常な世界。さっきの男の人はここの住民。いわゆる悪霊…です。」

悪霊…言われてみれば納得出来た。だが異界?あまりに話が飛躍してないか?

       。
(*゚ー゚)つ【◎】
(*゚ー゚)「そしてこれは撮影機(カメラ)フィルムに霊的な物を写し込み除霊を行うための…彼らに取って唯一で絶対の武器です。」


川 ゜-゚)「撮影機…しぃ。しぃは何故そんなに詳しいんだ?」
(*゚ー゚)「私は一度、異界に迷い込んだ事があるのです。」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:01:04.39 ID:KlNgrR77O
(*゚ー゚)「クーさん。今から言うことをよく聞いて下さい。異界にはコアと呼べる存在がいます。それを排除すれば脱出する事が出来ます。だから…」
川 ゚ -゚)「待ってくれ、ここにはホライゾンも居るんだ。彼を連れて…」
(*゚ー゚)「クーさん!ホライゾンさんは亡くなったのですよ。」
川 ゚ -゚)「でも居たんだ!」
(*゚ー゚)「ホライゾンさんはクーさんが大学三年の夏に事故で亡くなったのです。よしんば居てもそれはホライゾンさんではないのです…」

諭すようにしぃは話す。確かにホライゾンは死んだ。が

川#゚ -゚)「うるさい!私はホライゾンを探すんだ!」
(*゚ー゚)「クーさん…」

しぃの手を払い、ホライゾンを探しに走り出す。体を動かさないと恐怖で押しつぶされてしまいそうだった。


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:01:44.89 ID:KlNgrR77O
(*゚ー゚)「どうしよう。クーさんは撮影機も持ってないし…でも、」

しぃは考える。この異界は以前しぃが迷い込んだ物より数段強力なのだ。彼女を一人にするのは危険すぎる。

(*゚ー゚)「探さなきゃ。」

しぃはクーが走って行った方向へ向かった。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:02:57.36 ID:KlNgrR77O

チリーン

川 ゚ -゚)「…しぃ、…それよりもホライゾンだ…。だが、どうすれば。」

あてもなく屋敷の中を歩く。幸運か不幸か悪霊には遭遇せず屋敷の中をつぶさに観察できた。
屋敷の感想はひとえに古い。
全て木造でありさらに灯りは所々に有るのだがろうそくの比率が圧倒的に多い。
それ以外は窓からの月明かりだ。
又、水道の類は見つからず…
とにかく後はただただ古い。
恐らく戦後か戦前並みに古い作りの建物のようだった。


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:05:49.43 ID:KlNgrR77O
川 ゜-゚)「ん?これは…」

本。のようだ。問題はその保存状態、誰かが埃を払った形跡が見られた。
恐らく、ここには私やしぃ以外にも生きた、正気の人間が居るようだ。

川 ゜-゚)「周りの埃は払われてない。と言うことは誰かがこの本を読んだ。と言うこと。か?」

ぱらり

綾香が死んでしまった。それも惨たらしい殺され方でだ。これでは界門が開いてしまった時に大変なことになる。どうしたら…

ぱらり

高岡家に養子として出した葉音を使い閉門の儀を行うことにした。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:07:14.82 ID:KlNgrR77O
ぱらりとページをめくってゆく。内容はどうやら界門と呼ばれる何かが起こったこと、綾香と呼ばれる人物…恐らく女性が死んだ事。
そのため閉門の儀…恐らく何かを閉める為の儀式…を葉音…ハインと読むのか?ハオノ?と言う人物で行ったと記述されていた。

川 ゜-゚)「日記帳か…」( ゚д゚ )

川 ゜-゚)   ( ゚д゚ )「ミ゛ル゛ナァァアアアア!!」

川 ゜-゚)「ひっ!」

本を手に持ちとっさに男を突き飛ばす。
周りを見渡すと私は悪霊に囲まれていた。
|w´ _ ノv
ノハ )
( ゚д゚ )
(= ω )ノ

壁を背に真正面に先ほどの男、右側に茶碗を持った少女と焼死体のような女性、そして左には刀のようなものを持った男。
どれも人間の形に近いが決定的に生がなかった。
少女は餓死したのだろう虚ろで餓えた獣のような顔付きで腹部が異常に膨れている。もう一人の女性は見たまま。正面の男は頭に鉈が刺さっており、刀を持った方は首から袈裟掛けに斬られた後がある。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:10:15.51 ID:KlNgrR77O
川  - )「うあ…」

奴らとはあわなかったのでなかった。奴らは私が隙を見せるのを待ってたのだ。
壁から伸びた手が私をつかんだ。逃げなければ…
手から何かが滑り落ちる。それを皮きりに霊たちは私を…

「「「「ウギャアアアアアアアア!!」」」」

死を意識した時だ。私を中心に暴力的な光が発せられ奴らを吹き飛ばす。

川 ゚ -゚)「?」

走りだそうとしたとき足元に何かが有るのに気がついた。

【◎】

撮影機だ。よく見るとシャッタースイッチに本がぶつかった様だった。

川 ゚ -゚)つ【◎】「ッ!?」ガシ
川 ゚ -【◎】「頼む…!私に力を貸してくれ!」

バッシャア!!
「「「「ギャアアア!!」」」」
バッシャア!!バッシャア!!バッシャア!!

川;゚ -゚)「はぁはぁ」ペタリ

足下には5枚のフィルム。やれば出来るものだ。私はへたり込みながら撮影機のファインダーを覗き周りを見渡す。居ない。全て無理矢理に除霊した様だ。
私はしばらく動けそうに無かった。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:11:10.48 ID:KlNgrR77O
(*゚ー゚)「撮影機か…まさか又、この子のお世話になるなんて…」
(* ー )「あの時、私に勇気さえあればこの子は要らなかったのかな?」

しぃの過去。しぃは以前に異界へ迷い込んだ事があった。姉のつーと共にだ。姉は霊的能力の高く彼らの干渉を受けやすい私の代わりに彼らと戦ってくれた。
そして、最後に私を脱出させて自らは異界に残ったのだった別れ際の彼女は笑っていた。

(*゚ー【◎】「でもね。私は今、貴方に構って居る暇はないの。」スチャ

バシュウ

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:12:19.40 ID:KlNgrR77O
閃光一線。しぃはまるで出てくるのがわかっていたかのように撮影機のシャッターを切る。遅れて聞こえるのは叫び。

(*゚ー゚)「無駄だよ。」

撮影機は持ち手の能力により性能が大きく変わる。
持ち手の霊的な力と撮影センスにより雲泥の差が出るのだ。高い霊能力を持つしぃの力は撮影機の潜在能力を最大限まで引き出していた。
故に並の悪霊では彼女の敵にはなり得なかった。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:13:51.96 ID:KlNgrR77O
(*゚ー゚)「クーさんは何処だろう…」

しぃは鏡の前を通り過ぎる。その時、気がつかなかったのは幸運か不幸か…

从 ∀从 ‖ ((*゚ー゚)

いったいどれだけの時が過ぎたろう?一分にも満たないと思えるが、まるで1日の様にも感じられる。私は脱力した体に鞭を打ち立ち上がる。
しぃの言うとおりなんだろう。恐らくここに生きた人間はいない。
けど、私はホライゾンを…ホライゾンに会いたかった。会って、愛してると言い、彼の死を謝り…そして×××××りたい。

川 - )「ホライゾン。何処にいるんだ?」

先へ、先へと私は進んでいく。それが絶望への片道切符とも知らずに…


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:15:59.71 ID:KlNgrR77O
チリーン

(*゚ー゚)「…界門ね…破戒の事…でしょうね。そして、儀式…」

しぃはクーを探しながら屋敷内を探索していた。
探せば屋敷内はあちこちに使えそうな道具があり、多少の交戦を行っても大丈夫な量のフィルムと薬品を見つける事もできた。
そうして、しぃは書物庫を見つけたのだった。

(*゚ー゚)「屋敷内の結界。その奥に奥の院。そこが恐らく中枢…まずは結界が先ね。」

ここには様々な書物が置かれていた。その中からしぃは屋敷の歴史や構造の書物をあさり脱出の糸口を探していた。

(*゚ー゚)「まだ、足りない。この異界の情報を手に入れないと」

つ   (*゚ー゚)

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:17:03.42 ID:KlNgrR77O
気がついたのは幸運だった。だが、気がつかねば楽に逝けただろう。
しぃの背中に伸びる女の手、それは鏡の中から延びていた。

鏡‖∀从つ  (*゚ー゚))?
鏡‖ニタァ从 ∀从つ Σ【◎】ー゚;)クル

パシャア

女の手が触れる寸前。しぃは異変に気づきとっさに撮影機を構えてシャッターを切る。

从 ∀从ニタァ

だが、効いていない。撮影機の効果は生きていない霊的な存在全てに発生する。しかし、今、彼女には効いていない。そこから生まれる答えは一つ。

(;゚ー゚)「貴女がこの異界を作った…いえ…作るほど強いの存在…」

しぃはそう判断し全力で走り出した。


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:18:39.85 ID:KlNgrR77O
パシャ

从 ∀从

(*゚ー゚)「なんて…!!」

既に広い戦場を確保してから10回目の撮影だ。逃げ出した時からなら17は撮影している。
普通の霊ならとうに成仏している。やはり彼女は普通ではない。
しぃはフィルムを引き抜こうとする。抜けない。いや、引っかかったのだ。

(;゚ー゚)「装填不良!?」

こうなればやることは逃げるしかない。上手く逃げ出さればまける。確か、近くの部屋に押し入れがあった。
あの部屋には鏡も無く中に隠れてから引き戸に突っ張り棒をすれば開くことも無いはず。

从 ゚∀从「タスケテ…オネガイ…タスケテ タスケテタスケテタスケテ」

女が初めて声を出す。それは枯れて掠れた聞き取るのがやっとの物だ。


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:19:41.25 ID:KlNgrR77O
(*゚ー゚)「この…!!」

盛大にフラッシュをたき、しぃは振り返らずに走る。女の目は眩んだ様で直ぐには追ってこない。

ピシャ(;゚ー゚)‖「なんとか、なるかな?」

呟きながら撮影機のフィルムカバーを外しにかかる。

川 (;゚ー゚)‖从 ∀从キョロキョロ

゚川 (;゚ー゚)‖从∀ 从 ジィ

川д゚川「逃げられないよ?」(;゚ー゚)

(;゚ー゚)「いやぁぁあああ!!」


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:21:24.70 ID:KlNgrR77O
『いやぁぁあああ!!』

川 ゜-゚)「しぃ!?」

突然屋敷内に響く悲鳴。それは毎日、寝食を共にしているしぃの物だ。私はその声のした方向へ走り出す。

(*゚ー゚)「あぅ…」

しぃは逃げ込んだ部屋の端に追いやられていた。
押し入れの少女を除霊し彼女との接触をかろうじてかわし押し入れから出たが同じ部屋に居ることは変わらない。
彼女への撮影を繰り返す。


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:24:25.02 ID:KlNgrR77O
パシャ

从 ゚∀从 ニタァ

パシャア!

从 ゚∀゚从 ニヤァ

効かない。撮影機の性能はもはや限界以上に達しているだが効かない。強化機能も効かない。
しぃの攻撃は全て効かなかった。
ずいっと、女の顔がしぃの眼前に迫る。その顔は、はっきりと意志があり、他の霊に比べてとても美しかった。

从 ゚∀从つ「アハハハハハハ!!」ガシ

彼女の手がしぃを掴んだ…同時にしぃの後ろの戸が勢い良く開かれる。

川 ゚ -゚)「しぃ!!貴様!!その手を離せ!!」

バッシャア!!

从 ∀从「ギャアァアアアア!!」

不意打ちに吹き飛んだ霊に再度撮影を行う。片手でカメラを構え、片手はフィルムの引き抜き部に添える。


58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:25:41.73 ID:KlNgrR77O
バッシャア!!バッシャア!!バッシャア!!バッシャア!!

从 ゚∀从「ギャアアア!!」

アアアアアアアアアと長い後を引く悲鳴を残し女の霊は鏡の方へ逃げ出す。
私はそいつよりしぃに駆け寄った。

(* ー )「ク…ーさ…撮影…機…」
川 ゚ -゚)「しぃ!!アイツなら居ない!だから気をしっかり持て!」

しぃの衰弱は目に見えて酷かった。目は虚ろで全身の力が一気に奪われた様になっている。

川;゚ -゚)「しぃ!!死ぬな!」
川 ; -;)「お願いだから!しぃ、君まで私を置いていくのか!?」

「すまない。様子をみせてくれ。」

不意に声をかけられる。振り返るとそこには男がいた。

( ・∀・)


60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:28:44.96 ID:KlNgrR77O
( ・∀・)「これでよし。僕の上着を枕にしたのは我慢してくれよ。」
川 ゚ -゚)「どうなんだ…」
( ・∀・)「だいぶ生気を吸われてる。今、御神水を飲ませてあげたからしばらく休めば大丈夫だと思う。」
川 ゚ -゚)「ありがとう。貴方もここに迷い込んだのか?」
( ・∀・)「あぁ…そんな所さ。それよりもだ。素直君、いい加減気づいてくれ。」川;゚ -゚)「え?は?敵か?」
( ・∀・)「いや、僕、君と一年違いのモララーなんだけど。」

モララー…記憶の戸棚をあさりその名前を調べる。彼は私を素直君と呼んだ。恐らく大学時代から前の知り合いの…

川*゚ -゚)「あ。確か民俗学部の…」
( ・∀・)「そう、君の……恋人。内藤ホライゾンの後輩さ。」
川 ゚ -゚)「言われてみればそんな気もするな。」

モララーはクーの事を気にとめずにしぃを撫でて微笑みながら、

( ・∀・)「さて、彼女が回復するまで、僕が調べた内容を君に伝えよう。」

そう言い手帳の様な物を取り出した。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:31:33.45 ID:KlNgrR77O
この異界、元々は実際に存在した場所なんだ。保存されている書物からもわかる。
恐らく、戦前、何らかの形で異界として形付けられその当時のままなんじゃないかな?
そこで僕は仮定してみた。何故異界となったのか?答えは直ぐにわかったよ。
界門だ。
界門と呼ばれる何か、異世界のゲートがこの家にはあった。僕が思うに界門は黄泉の国とつながっている。
誇張でもなんでもなくね。
その界門が開き穢れきったこの家を世界は『異界』として処理した。
さて、じゃあ次だ。この家の歴史。かな?
実は言うと僕はほぼ事実を知っている。だからそれをまとめて教えよう。
始まりは渡辺家の双子からだった。姉を渡辺綾香。妹に渡辺葉音。
渡辺家はね、かつては辺り一帯を収める豪族だったんだ。だが、それ以外にもある決まり事をしていた。
それが門番だ。界門が開いた時に門を閉める役割を担っていたらしい。そのせいか家の者はかなり霊力が強かったと言う。

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:32:41.43 ID:KlNgrR77O
だからだろうね。撮影機なんて物が二つも有るのは。

そう言いモララーは自身の撮影機を見せる。
川 ゚ -゚)「二つ?私のとモララーの物か?」
( ・∀・)「違うよ。僕のと棚に飾られた撮影機だ。素直君のは…分からないな。彼女…しぃさんだったかな?彼女は自前だろう。」

そう言いまたモララーは話を続ける

まぁ、簡単に言えば門が開いたら若い娘か童貞を生け贄として差し出し、門を閉じたらしい。
詳しくは分からないが閉門の儀と呼ばれる儀式だったみたいだ。
して、本筋に戻ろう。渡辺家は古来より双子は認めなかった。
霊力が半分に落ちると考えられていたらしい。そのため昔は生まれた赤子を…間引いたりもしたが綾香と葉音は違ったらしい。
母親の強い希望で二人は育てられた。二人は6才位まで一緒に育ったと記述されてた。
だが、ある日、最近力を付け始めた高岡家から養子が欲しいと言われてね。
当時の当主は葉音を高岡家に養子にだした。
そこで葉音は随分窮屈な暮らしを強いられたらしい。だが転機が訪れる。

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:34:18.47 ID:KlNgrR77O
渡辺家で起きた殺人事件だ。

川 ゚ -゚)「その話なら知ってる。確か綾香が何者かに殺されたのだろう。」
( ・∀・)「そう、それも強姦され女陰をぐちゃぐちゃに壊されて失血死だ。しかも死んだ後まで犯された形跡が有ったらしい。」
川;゚ -゚)「………!!」
(;・∀・)「あ…すまない。配慮が足りなかったね。」
( ・∀・)「そして綾香は死んでしまった。それが呼び水だったんだろう。界門はすぐに開いてしまい渡辺家は焦った。」
川 ゚ -゚)「そこで葉音に白羽の矢がたった……」
( ・∀・)「そう、渡辺家は葉音を高岡家から連れてきて閉門の儀を行った。結果はこれだ。」

そう言いモララーはため息をつき一言「水もタバコも無いんだ。息が詰まる」とぼやく。そんな物をこの場に求めるのもおかしな話だ。

川 ゚ -゚)「脱出は…どうすれば良い?」
( ・∀・)「単純に脱出するならこの異界の元凶を叩けば良い。だが問題はどうやってそれを見つけるかだな。」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:35:30.41 ID:KlNgrR77O
「この屋敷の構造上、恐らく奥の院と呼ばれる場所…その最深部です。」

声はモララーの手の先、しぃからだった。彼女は気持ちよさそうにモララーの手を頬に当てている。

(*゚ー゚)「私は、元凶はその門と先の彼女…綾香さんだと思います。」
( ・∀・)「まだ寝ているんだ。顔が青いよ。」
(*゚ー゚)「そうも言ってられません。奥の院には結界が張られています。それをなんとかしないと…」

よろよろとしぃが立ち上がるが力が無い。まだ回復仕切ってないのだ。

( ・∀・)「結界か…素直君?」
川 ゚ -゚)「何だ?」
( ・∀・)「手分けして結界を解除しよう。僕はしぃ君を連れて北側を素直君は南側を探索してくれ。」
(*゚ー゚)「場所なら…わかっています。」

そう言いしぃは書物庫からくすねた地図を取り出す。

(*゚ー゚)「ここと、ここ。北側二階の陽の間、南側地下の陰の間…」

しぃは指で場所を示す。正直、私は行きたくなかった。地下だろう?絶対に何かある。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:36:52.38 ID:KlNgrR77O
川 ゚ -゚)「なら。しぃはここにいて私とモララーが一緒に…」
( ・∀・)「しぃ君を置いていく訳にはいかないだろう。更に言うなら戦力的に君がしぃ君を守りながら封印を解除するのは難しいはずだ。」
川 ゚ -゚)「ですよねー……」

ダメらしい。確かに分かる話だが……

川 ゚ -゚)「なら、私が北側へ行きたいんですが……」
(*゚ー゚)「モララーさんがさっき言ったように、守りながら戦う場合、地下は厳しいんです。見て分かるように入り組んだ地形で…」
(*゚ー゚)「大丈夫です…クーさんの撮影機は私やモララーさんのより強い力が有るみたいですし、」

お前らグルだろう。思わず口に出かけたが飲み込み観念する。そんな私にモララーは何かを差し出す。

( ・∀・)「気付け薬とフィルムだ。僕の手持ちの中だと一番霊力が強いから君の撮影機と撮影センスなら使いこなせるはずだよ。」
川 ゚ -゚)「良いのか?」
( ・∀・)「危険が高いのは君だからね。」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:38:06.09 ID:KlNgrR77O
川 ゚ -゚)「…貰っておく。じゃあ、封印を解除したら中庭に集合で構わないか?」
( ・∀・)「気をつけて」
(*゚ー゚)「封印の解除より自分の身を守る事を優先して下さいね。」

私達はそれぞれの目的のため歩き出した。

ギシッギシッ…

川 ゚ -゚)「この音は…床が腐りかけているのか…」

歩く度になる床、辺りは暗く壁には人の顔のような染みまである。
余裕か耐性か、私はこの環境に慣れ始めていたが、一つ問題が発生した。
この屋敷は全体的に恐怖を煽るのだ。今まではホライゾンの事やしぃの事で気がつかなかったが小さな物陰や曲がり角さえもが恐怖の対象になる。

川 ゚ -゚)「…行くしかあるまい…。」

ゆっくりと角を曲がる。もちろん霊は居ない。一人で行動し始めてから気づいた事がある。撮影機は霊や、それに準ずるものに対し共鳴し震えるのだ。
つまり、霊的なレーダーの役割もあるらしい。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:40:58.74 ID:KlNgrR77O
川 ゚ -゚)「ここか…」

何かを呟かねばプレッシャーに潰されそうだ。そこには地下への階段があり、撮影機も反応していた。

∀从   川 ゚ -゚)「撮影で封印を解除…」
階段を開ける扉の封印を解き、扉を開ける。湿った埃臭い地下の匂いが鼻を突く…懐中電灯…これが必要なのは明白だ。

∀从   川 ゚ -゚)「ろうそくか何かを探すしかないな…」

コロン

川 ゚ -゚)「あ…」

カランカラン カタン

音源は足元に転がる懐中電灯…明らかにこの場所に不釣り合いな新しい物だ。

川 ゚ -゚)≡(゚- ゚ 川キョロキョロ
川 ゚ -【◎】スチャ
川 ゚ -゚)「怪しい…」

だが、懐中電灯からは霊的な物はなにもなく周囲も霊が居る気配はない。私は二、三ためらったが懐中電灯を拾うことにした。

カチリ

川 ゚ -゚)「さて、鬼がでるか蛇が出るかだな…」

ギシリギシリと嫌な音のする階段を降り始めた。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:42:26.15 ID:KlNgrR77O
( ・∀・)「あの時、何故、素直君の撮影機だけが彼女を撃退できたのだろうね?」
(*゚ー゚)「分かりません。ただ、クーさんの撮影機は凄く、簡素な気がしませんか?」
( ・∀・)「確かに、フラッシュ機能、強化機能は無いし、作り自体が簡単に出来てる気がするよ。」

しぃをおぶりながら二階へ向かうモララー、途中、モララーはしぃへ様々な疑問を投げかけていた。

(*゚ー゚)「もしかしたら、クーさんのは撮影機じゃあないのかも知れません。」


(*゚ー゚)「あの…すみません。私、重たいでしょう?」
( ・∀・)「ん?あぁ…大丈夫だよ。君、40位しか無いだろう?上手く体重を分散させてくれてるし重たくはないよ。」
(*//ー//)「あの…やっぱり自分で歩きます。」

しぃがじたばたと暴れ始めた為、モララーは仕方なく下ろす。途中バランスを崩しかけたが何とか無事にしぃを下ろすことが出来た。

( ・∀・)「そんなに、体重の話は嫌かい?」
(*゚ー゚)「当たり前です!」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:44:48.92 ID:KlNgrR77O
( ・∀・)「そうは言うけどさ。素直君よりは軽いはずだよ。」
(*゚ー【◎】「クーさんですか?」
( ・∀【◎】「そう、素直君はああ見えて出る所は結構出てるからね。多分50台だ。」

( 、‖鏡川

ミセ ー )リ  ( ・∀・)「撮影機が反応している。まだ居るな。」
(*゚ー゚)「モララーさん!後ろ!」

ミセ ー )リつ(・∀・;)「マズい。」

後ろに現れた女の手がモララーに近づく。だが触れる直前、女は姿を消す。

( ・∀・)「…フェイント…しぃ君?」
(*゚ー゚)「はい。背後はお願いします。」
(゚ー゚*)( ・∀・)ピタ

二人は互いに背後を預けながら周りを見渡し、姿を探し始めた。

チリーン

川 ゚ -゚)「ここか。」

地下の目的地へとたどり着いた私だが、若干安堵していた。明るかったからだ。
一定間隔毎のろうそくにより地下は明るさが保たれていた。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:45:39.27 ID:KlNgrR77O
川 ゚ -゚)「…扉?」
霊的な物は感じられない…扉が奥にあった。
封印を解くのとは関係がなさそうだが調べてみることにした。

川 ゚ -゚)つ‖キィ
川 ゚ -゚)「…部屋…?か。」

なにもない部屋…閉めようとした時に異変はおこった。


80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:47:30.87 ID:KlNgrR77O
ザザ…ザザザ

『良い体してやがる。』
『次は二本差しにしようぜ。』
『たまんねぇぜ…へへ』

これは誰…違う。誰かが私に何かを見せている…

『お楽しみはその辺にしてくれない?この…雌犬は私がなぶり殺しにするんだから。』
『あっハァハァ…葉音ちゃん?』
『ふふ。久しぶり。お姉様…どう?たくさんの穢らわしい男達に犯された感想は?』
『葉音ちゃん…何を…』
『あぁん?アンタは薄汚い雌犬らしく喘いでれば良いんだよ!』
『ア…アァン!!葉音ちゃ!止めアァン!!』

パシン パシン

『あぅ…イイのぉ…』
『殴られてよがるなんてね…』
『姉御…それは…』

これって…綾香が…

『うるさいな。ほら綾香お姉様の大好きな棒きれだよ!!』

ガリ!グチャ

『ひぃ…』
『…。このまま一晩中回せ。死んでもだ。』

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:48:39.90 ID:KlNgrR77O
『私から何もかも奪った罰だ…独男兄様はアンタなんかに穢させない…』

え?…これは…

『独男兄様…待って下さい…』
『そんなにかしこまんなよ。ほら手だせよ。』
『え?』
『握ってりゃあ嫌でもペースをあわせなきゃならねぇだろ。』
『はい…』

記憶だ。それに嬉しい?優しくしてくれる人がいて…そうか。彼女は彼が好きなんだ。

ザー

川; - )「げほっげほっ!…今の…撮影機!!」

今、霊に襲われたら確実に死ぬ…私は撮影機を構え周りを見渡す。反応は無かった。

∀从 川 - )「そうか…葉音が綾香を殺したのか…」

扉を閉め、そのまま扉に背を預け座り込んでしまう。休まねば動けそうに無かった。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:50:35.79 ID:KlNgrR77O
「モララーさん。そっちに…」【◎】ー゚*)( ・∀【◎】「このっ」

ミセ ー )リ
( 、 川

しぃの方に短髪の女性が正面からせまり反対側のモララーには長髪の女性が真上から墜ちてくる。
それをモララーは前に走りかわす。しぃも邪魔にならないように短髪の霊を引きつけながら離れる。

ゴシャ

女性の首が90°に曲がるが…彼女はお構いなしに立ち上がる。

( ・∀・)「もらい。」

パシャ

( 、 川 「うふふ…」

ダメージは薄いようだが…これで戦いやすくなった。

( ・∀・)「生前は美人だったろうに…スタイルもなかなかだし、非常に残念だよ。」
( ・∀・)「しぃ君!これで1対1だ。少しの間引きつけてくれ。」

少し離れた位置でしぃは短髪の霊の後ろから返事をする。

(*゚ー゚)「先に仕留めますよ。」
( ・∀・)「ならば競争だね。」

モララーは撮影機を構え、彼女の分析を始めた。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:52:35.47 ID:KlNgrR77O
地下、私はかつてここで行われた事実を知った。
確信は無いがそうおもう。あれは綾香が見せた彼女の記憶…。
川 ゚ -゚)「早く、しないとな。」

川 ゚ -゚)「え?」
从 ∀从

そこにはあの女が、綾香がいた。

川;゚ -゚)「綾香…」
从 ∀从
川 ゚ -゚)「違う…のか?」
从 ∀从 スタ スタ

ゆっくりと彼女は歩いてゆく、まるで私をどこかへ誘うように…

川 ゚ -゚)「葉音か?」
从 ー从

彼女は振り向きこちらをみた。その顔は…笑顔。

从 ∀从σ

彼女が指を指す。その先には小さな祠がある。そして彼女はうっすらと消えてゆく。

川 ゚ -゚)「君は…」
从 从

彼女は消えてしまった。彼女が何をなそうとしたのかは分からないが、敵意は無いのだけは分かった気がした。

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:54:35.59 ID:KlNgrR77O
瞬間移動で目の前に現れる長髪の霊。目の前に首が直角に折れた女が現れるだけでも怖いが、
それ以上に彼女自身が怖かった。

( ・∀・)「やるね…」

パシャ

至近距離から見た彼女は両目に五寸釘の様な物が突き刺さり、更に体中にかなりの長さの針が大量に突き刺さって居るのだ。

(メ、メ 川「うふふ…」

ゆったりと歩いてくる彼女。どうにも旗色は芳しくない。

( ・∀・)「困ったな。全くモテる男は辛いさ。」
(メ、メ 川「一緒になりましょう?」
( ・∀・)「それも良いかもしれないな。」
(メ、メ 川「もう…離さないわ…」

女がモララーを抱きしめようとしたとき、女の胸に何かが当たる。

( ・∀・)「強化機能『撃』」

強化機能。撮影機にあらかじめ決められている機能の他に強化機能という機能が有る。
使い手の余暇霊力を撮影機に与え、機能を強化する物だ。使える強化機能は撮影機により様々でおそらく撮影機の霊力容量に比例する物だ。

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:55:45.94 ID:KlNgrR77O
そして強化機能「撃」は

(メ、メ 川「…いやぁああああ!!」

撮影対象に打撃を与えるように吹き飛ばし、一定時間麻痺させる物だ。

( ・∀・)「すまないね。僕はツルペタ派なんだ。」

パシャ

( 、 川「アアアアアア!!」

(*゚ー゚)「それ、どういう意味ですか?」

撮影を終えた後、しぃがやって来る。
どうやら彼女も除霊し終わったらしい。失言だったかもしれない。

( ・∀・)「しぃ君が可愛いって話さ。」
エルボーを貰った。

(*・∀・)「いや。そのだね。僕はけしてやましい気持ちが有った訳じゃないんだ。」
(*゚ー゚)「そうですか。モララーさんの人柄はよーくわかりましたから黙れ。」
( ・∀・)「でも嘘じゃないんだよ?…っと、アレか?」

モララーの目の先には小さな祠が有った。おそらくあれが結界を張っているのだろう。

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:56:51.40 ID:KlNgrR77O
川 ゚ -゚)oO(しぃ達はまだみたいだな。)

私は、祠を取り除き結界を解除すると集合地点に移動した。
残念ながらしぃ達はまだ解除出来てないらしく私は中庭で待つことになる。
その間に、先のことをまとめたかった。


私達が綾香と思っていた人物は葉音だった。なぜか私は襲われず、それ所か彼女は私を助けた。又、綾香を殺したのは葉音である。…
多分、葉音は渡辺家をおわれた理由を綾香に押し付けたのだろう。だが独男とは誰だろうか?
モララーに聞くことが増えてしまった。

从 ∀从 ポワン
川 ゚ -゚)「葉音…」

人魂の様に彼女は唐突に現れた。返事が来るとは思わないが、私は疑問を口にしようとする。が

从 ∀从 ニゲテ
川 ゚ -゚)「逃げる?」

聞こえるかどうかのかすれた小さい声。
彼女はそれを口にするとゆっくり消えてゆく。確かに彼女は逃げろと言った。

川 ゚ -゚)「…なんなんだ。」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:58:21.47 ID:KlNgrR77O
ぼんやりと彼女の言葉の意味を咀嚼する。分からない。何から逃げるのか?そもそも逃げろで有っているのか?そんな意味のない問答を繰り返していた時だ。

ギシ
ガチャリ
ギシギシ

( ・∀・)「なんと、素直君の方が早かったなんてね。」
川 ゚ -゚)「モララー、終わったのか?」
(*゚ー゚)「私の淡い恋も終わりましたけどね。」
( ・∀・)「手厳しいな。全く。これで結界は解除された。この先はより厳しいが大丈夫かな?」
川 ゚ -゚)「待ってほしい。モララー、君に聞きたいことが有るんだ。」
( ・∀・)「なんだい?」
川 ゚ -゚)「独男。という男を知らないか?」
( ・∀・)「高岡独男かい?それなら渡辺綾香の許嫁じゃないか?」
その瞬間、私の中で全てが繋がる。
川 ゚ -゚)「そうか…葉音…」
( ・∀・)「?」
川 ゚ -゚)「聞いてくれ。新しい事実が分かった。」


92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:59:58.16 ID:KlNgrR77O
私は陰の間で葉音と遭った。そして彼女は私に有る物を見せたんだ。それは過去の出来事。
葉音は渡辺家を憎んでいた。自分から自由と渡辺の名前を取り上げた相手だからな。実際には色々な思惑としきたりが絡んだんだろうが…
だが、葉音には救いが有ったんだ。
独男。彼だけは葉音に優しく接した。葉音は独男が好きだったんじゃないかな。

( ・∀・)「…そして、独男が…綾香の許嫁か…」
川 ゚ -゚)「それを知った葉音は…」
(*゚ー゚)「……悲しい…ですね。その結果葉音さんは人柱にされて、こんな結果で…」
川 ゚ -゚)「葉音は私に助けを求めた。だから私は彼女を…出来るなら解放してあげたい。」
偽り無い本心だった。彼女の心を知った私には彼女を見捨てるなんて出来なかったからだ。

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 23:01:38.18 ID:KlNgrR77O
川 ゚ -゚)「わがままだと…笑うか?」

最初に声をあげたのはしぃだ。

(*゚ー゚)「…賛成です。だってクーさんの言うことが正しかったら、そんなの悲しすぎます。」
( ・∀・)「まぁ、おそらく彼女…いや、彼女達とは戦うだろうからな。その時に除霊してしまおう。」
川 ゚ -゚)「ありがとう…さぁ」

「行くの?」

その言葉に全員が振り返る。そこには

从 ー 从

綾香が居た。彼女は葉音と違い、半裸…いや全裸に近い服装で佇んでいた。
その体は痛々しく全裸に近いにも関わらず性的興奮などしえない状態だ。

(*゚ー゚)「彼女が綾香……あの、クーさん。」
川 ゚ -゚)「しぃ?」
(*゚ー゚)「先に行って下さい。彼女は私が足止めします。」
( ・∀・)「良いのかい?」
(*゚ー゚)「構いません。モララーさん。後はお願いします。」

しぃが撮影機を構える。モララーは私の手を握り扉を開け放つ。

川 ゚ -゚)「モララー!しぃを見捨てるのか!?」
( ・∀・)「そんな事有るもんか。彼女が気を引いている間に全てを終わらせる!」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 23:02:56.07 ID:KlNgrR77O
モララーは苛立たしそうに叫び私を無理矢理引っ張りこむと扉を締め切ってしまった…

川 ゚ -゚)「モララー…」
( ・∀・)「恨んでくれて構わない。早く行こう。」

扉の向こう。奥の院は神社や寺のようであった。
正面に鳥居がありその向こうに建物が、左側にも何らかの建物がある。

川 ゜-゚)「あぁ。」

敷石のある道を私達は進む。そして鳥居を過ぎようとしたときだ。

つ川 ゚ -゚)と 「な!?モララー!」
( ・∀・)「素直君!?今撮影機で!」
゚)つ「モララー!」

私を引っ張るたくさんの腕、それが私の自由を奪い左側の建物に引きずり込んでしまう。
遠くからモララーが撮影機を使うのが分かったがどうしようもなかった。
そのまま為すすべもなく私は建物に閉じ込められてしまった。

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 23:04:06.14 ID:KlNgrR77O
川#゚ -゚)「いい加減に…離せッ!」

バッシャア!

私はようやく腰に掛けていた撮影機のシャッターに手をつけられた。そしてそのままシャッターを切る。
他の撮影機に比べて激しく攻撃的なフラッシュと共に私の体にまとわりついていた者が吹き飛ぶ。見渡せば私は蔵の様な場所で霊達に囲まれていた。

ΩΩΩΩΩΩΩΩ「……」

川 ゚ -゚)「意識すら無くした存在達か…だが…!」

私はシャッターを切り続ける。残りのフィルムが40枚を切った時だ。有ることに気づいた。
奴らの数が減ってないのだ。一体一体は大したこと無いが数が多すぎる。しかも増え続けて居る気配まであった。
その上に霊体であるため地形を無視して殺到するのだ。いくら私の撮影機が強くとも直に捕まってしまう。

川 ゚ -゚)「どうする…!」
(゚- ゚ 川「あれは…洞窟?違うな地下道か……やむを得ないな。」

私は地下道へと駆け込む。

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 23:07:20.46 ID:KlNgrR77O
タッタッタッタッ

地下道に入った。周辺からは霊は現れなくなったが今度は後方から雪崩のごとく追ってくる。

【◎】- ゚;川「ッの!」

バッシャア!

撮影を行い、その後にまた走り出す。この繰り返しで霊達から逃げ続ける。
フィルムを確認するが残りは24。モララーから貰ったフィルムも使い切りいよいよもって絶望的になってくる。

川;゚ -゚)「はぁはぁ…はぁ…」

かなりの距離を走った上に空気の少ない地下道だ。私はもう体力の限界で足がもつれそうになる。

ズシャァ

川;゚ -゚)「くっ…来るなぁ!!」

バッシャア!バッシャア!

ΩΩΩΩΩΩΩΩΩ「「「「…………せッ…ろせッ!…殺せ!!」」」」

川;゚ -゚)「嫌だ!死にたくない!離せ!!離せッ!」
    _
(*゚∀【○】「良く言ったね!!」

ィィィィィン ズヴァァアアン!!

閃光。いや、爆発に近い光が地下道を照らし出す。

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 23:08:39.30 ID:KlNgrR77O
(*゚∀゚)「そこに、助けを求める者あらば!!」
(*゚∀゚)「そこに、生きることを望むか弱き者が居るならば、」
(*゚∀゚)「あたしは全力で助けるよッ!」

キンキンと地下道内を反響する強い意志のこもる声。彼女は絶望的な数の悪霊達に宣言する。

(*゚∀゚)「あたしの名はつー!異界ジェノサイダー・つーちゃんだぁぁあああ!!」
異界ジェノサイダー…。彼女は宣言し撮影機…と言うには凶暴すぎる獲物を構える。

川;゚ -゚)「……君は…?」
(*゚∀゚)ノシ「つーちゃんで〜す。ここはあたしに任せるのだ!」
川;゚ -゚)「いや…だが、」

つーちゃんって、それよりも彼女…どうすれば…

(´<_` )「すまないな。彼女はちょっと頭が弱くて、気にしないで欲しい。」
川 ゚ -゚)「あの、貴方は」
(´<_` )「異界ジェノサイダー・弟者!って所さ。さぁ、気にせずに行きたまえ。」

突然現れた男女。迷うような視線を二人に投げかけ、頭を下げると私は壁に手をつきながら歩いてゆく。後ろからはアヒャヒャヒャと言う声と爆発音が聞こえた。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 23:09:47.77 ID:KlNgrR77O
キィと出口を開けるとそこは、奥の院中庭だった。つまり私はグルリと一回りしてきたのだ。

川 ゚ -゚)「モララーは…先に行ったか…」

('A`)

こちらを見る人影がいた。彼は私達が最初に入ってきた扉の前からゆっくりと鳥居をくぐって行く。そして本殿へと消える。

川 ゚ -゚)「どうなって、居るんだ?」

だが、考えてもまとまらない。私は本殿へと足を入れる。

ギィィィ

本殿の中は文字通り神社や寺、そのままだった。強いていうなら所々に布が被されてる点か…

('A`)

また、あの男の人…彼は、何かを探す素振りで、布裏へ向かう。

川 ゚ -゚)「…後戻りは出来ないんだ。手がかりになるのなら…」

私は彼を追い、布を捲りながら進む。そこには通路が、そして進んで行く足跡があった。

川゜-゚)「モララー…だろうか?」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 23:13:21.15 ID:KlNgrR77O
もしかしたら引き返せない所まで来たのかもしれない。モララーもしぃも本当は既に死んでいて…弱気から来る嫌な考えが頭を巡る。その時だ。

【◎】

何かにつまずく。撮影機…モララーの物だ。…え?
何故、ここにモララーの撮影機が有るのだろう?
答えは考えれば直ぐにわかる。だが認めたくなかった。拾い上げる。フィルムは残り0枚。……

川 - )「…モララー…」

('A`)

川 - )「また、君か?」

男はゆっくりと奥へ進んで行く。私は憑かれた様に後を追い始める。

世界の色が変わる。そして声が聞こえた。

『当主様…私は、どうなるのでしょう?』
『儀式を終えれば、再び高岡の家へ戻ってもらう。』
『はい。』

私はゆっくりと螺旋階段を下る。ゆっくりと、

从 ∀从 川 ゚ -゚)

穢れを落とし、生贄として。全てを終わらせ、彼女を解放するため。

从 ∀从 川 ゚ -゚)

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 23:15:29.17 ID:KlNgrR77O
螺旋階段が終わる。螺旋階段が終わる。

从 ∀从 つ‖川 ゜-゚)つ‖

扉に手をかける。扉に手をかける。

ザザー

('A`)「ここに葉音が…」

又、見覚えの無い映像。彼は独男兄様…?ゆっくりと…扉を開ける彼。

('A`)「やぁ。葉音…君に会いに…」

嫌…いやぁあああ!!

ー 从('A`)

ザザー

川 ゜-゚)「……綾香…が独男を…。そうなのか…葉音。すまなかった。また辛い物を、見せてしまったね。」

从 ∀从

葉音は頷く事も、否定もしない。多分、これは私が知らなければならない物語の全て…

扉の向こうは鍾乳洞の様になっており私は独男に続いて進んで行く。

从 ∀从 川 ゜-゚)「例えばこの地の底で君が生きているのなら、私は何処までも君を追い堕ちて行こう。」
从 ∀从 川 ゜-゚)「例えばこの海の底に君が居るのならば、私は足を切り、海へと潜り魚になろう。」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 23:16:20.19 ID:KlNgrR77O
これは葉音がこの道を通った時に口ずさんだ詩。聞いたこともないのに、私の口からは自然とあふれ出す。

从 ∀从 川 ゜-゚)「逢いたい。ただそれだけなのに、許されない。…か。」

そして、最後の扉が見える。
私は扉に手をかける。葉音は扉に手をかける。

そして

ギギギギギ

そこは空洞だった。広い広い空洞。
そこの一番奥になにかしらの建物があり、おそらくそこに界門はある。
だが、

从 ー 从

綾香が居た。

川 ゜-゚)「もはや、問答無用と言う訳か…」
川 ゜-【◎】「始めようか、私は君も解放するからな。」スチャ

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 23:18:01.83 ID:KlNgrR77O
从 ー 从「あれれ〜私の体がないよぅ?」

空中に浮かぶ生首。消えた体は…

川 ゚ -゚)「後ろから!」

背後から来る綾香の体をとっさにすり抜けてかわす。
綾香の攻撃は消えたりする事が多く、又、人魂を使っての距離を感じさせない戦い方が主流だった。
相手側が離れていては撮影機の力をうまく発揮できない…

川 ゚ -【◎】「この!」

バッシャア!

残り17枚。直感を信じ走り抜ける。
振り向くと6つの人魂が一直線に向かって来る。

バッシャア!

川;゚ -゚)「残り16…!くッ!」

ファインダーは綾香を捕らえている。
川 ゚ -゚)「頼む!」

(無駄じゃよ。)
え?声が…誰?
(儂か?)
そう。貴方だ。貴方は誰だ?
(儂の名は荒巻…君の持つ撮影機、その本来の持ち主にして、撮影機をこの世にもたらしたただの爺じゃよ。)

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 00:00:47.98 ID:5vVlsF4yO
川 ゚ -゚)「荒巻…」
/ ,' 3「そう。儂が荒巻じゃ。」
川 ゚ -゚)「貴方が撮影機を作った人物…教えてくれ、私は綾香に勝てない。のか?」 / ,' 3「今のままではな。渡辺綾香…」
/ ,' 3「彼女の霊力は葉音に匹敵しておる。否、越えているだろう。それに対してついさっき、撮影機を持った素質だけの娘が勝てる訳有るまい…」
川;゚ -゚)「ダメだ。私は葉音の…いや、私の事を信じてくれたみんなの為に…勝たなければ、」
川 ゚ -゚)「この悲劇を終わらせなければならないんだ。」
/ ,' 3「ふぉふぉ。では聞く。お前さんは何者だ?」
川 ゚ -゚)「私は…カメラマン。内藤…いや、素直クール。「素直」クールだ!」

/ ,' 3「言いおったか。なら、カメラマンとして綾香と対峙するのじゃ。」
/ ,' 3「戦うな。彼女の心を撮影機で写せばいい。彼女の心を…未練を、悲しみを写せばいい。お前さんになら出来る。」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 00:04:52.05 ID:5vVlsF4yO
川 ゚」-゚)「戦うな。か…。綾香…」
从 ー 从
川 ゚ -゚)「確かに君は」
スッ
川 ゚ -゚)「強いかもしれない。がそれは君の恨みの強さなんだ。だから私は」

川 ゚ -【◎】「君と対峙する。君の心。それを私に見せてくれ。」

消えた綾香は私が撮影機を構えると同時に私の目の前に現れる。やっと…彼女の顔を見れた。

从パー゚;;从

彼女の顔は殴られ青あざが浮き、形も幾分か変わって居る。しかし…私には彼女がスーパーモデルの様に見えた。彼女は…私の被写体だ。

バッシャア!

从 ー ;从「あ、れぇ…」
从 ー ;从「痛い…痛いよぉ…」
川 ゚ -゚)「それは君の心の痛みだ。綾香…もう良いんだ。終わりにしよう。」
从 ー 从「私ね。葉音ちゃんの事、好きだったんだよ?でも、葉音ちゃんは独男さんが好きで…」
从 ー 从「私は嫌われていて、でも葉音ちゃんは好きで…だから、私から葉音ちゃんを奪う独男さんが悪いんだ。」
川 ゚ -゚)「違うよ。葉音は君も好きだった。けど独男を愛してしまったんだ。悲しいけどすれ違いだった。」

言葉が上手く紡げない。だから彼女に一言だけ紡いでもらう。

从 ∀从 川 ゚ -゚)「ごめんなさい。もう良いんだよ。姉様…」

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 00:07:39.94 ID:5vVlsF4yO
从ハ;ー;;;从「う…あぁああああ!」
从 ∀从 川 ゚ -【◎】「おやすみ。姉様。」

バッシャア!

終わった。綾香は無事にたどり着けたろうか?私は、最後の締めを行うために界門へ向かう。
从 ∀从「ごめんなさい。貴女に全てを押し付けてしまって…」
川 ゚ -゚)「私の命でこの悪夢が終わるなら…安いさ。」

突然、ぐらぐらと足元が揺れる。私は地面に手をつけ持ちこたえる。

川 ゚ -゚)「んだ…あれは…」
Ω「オォオオオオオ!!」

それは例えるなら悪意。悪意そのものだ。それが空中に浮かんでいる。

川;゚ -゚)「冗談じゃないぞ!あんな物。撮影機でも浄化出来るものか!」
从 ∀从「行って下さい。」

葉音がすぅとそれに近づく。

从 ∀从「後は、お願いします。」

葉音は悪意に手をかざし、押さえつける。

从 ∀从「私が、私でいられる内に…」
川 ゚ -゚)「止めろ!」

葉音の体が光の粒子に変わっていく。

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 00:09:22.16 ID:5vVlsF4yO
/ ,' 3(お前さん。こんな結末で良いのか?)
川 ゚ -゚)(良い訳ないだろう!葉音を助けなければ…)
/ ,' 3(じゃが…手がない。クールよ。この爺の頼みを聞いてくれるか?)
川 ゚ -゚)(頼み?)
/ ,' 3(葉音と独男。彼女達に安らかな眠りを与えてやってほしい。儂にはついぞ叶わんだ事じゃった。)

川 ゚ -゚)「撮影機に霊力が…荒巻…?荒巻!」

私の持つ撮影機に急激に霊力が集まり始める。と同時に撮影機内の存在が消えて行く。
おそらく荒巻が自らの霊力で持って撮影機を強化しているのだ

从 ∀从(もう持ちません。早く…)
川 ; -【◎】「出来ない。…」
从 ∀从(大丈夫。さぁ私ごと…)
川 ; -【◎】「何を…言うんだ!ここで君ごと除霊したら…」
从 ∀从(私はもう死んだ人間です。だから…)

川 ; -【◎】「うわあああああぁぁぁぁ!」

葉音の体が消え、光が私を包み始める。
それと同時に私はシャッターを切った。

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 00:10:31.73 ID:5vVlsF4yO
撮影機から出た光も私を包む。光の粉が降り注ぎ、悪意を飲み込んで行く。

ファインダーに移る悪意。それに対し撮影機は「祭」の一文字で無に返す。
祭…私の持つ撮影機の強化機能だ。祭は災を砕き、再をもたらす。

これで全てが終わった。

川 ; -;)「ぁあああああ!」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 00:15:21.78 ID:5vVlsF4yO
エピローグ


私は船を押す。船の中には一組の男女がいた。

(-A-)
从 -∀从

界門、その向こうには湖が、地底湖が存在していた。界門の中で彼女達を見つけた私は、地底湖にあった船へ運んだ。

川 ゚ -゚)「…」

彼女達の手を強く握らせる。もう、離れることの無いように。

川 ゚ -゚)「いってらっしゃい。」

押し出す。船はゆっくりと進んで行く。
安らかに眠ってほしい。そう思いながら私は彼女達を見送る。

ザザ ザザー 

一瞬の目眩の後…風が吹く。そして…

船が浮かんでいた。いくつもいくつも…
その一つ一つに灯りが付いており灯籠流しの様にも見える。

('、`*川 (´・ω・`)|w´ - _ - ノv 川ー川 ノパ听)

川 ゜-゚)「あの屋敷の人々…」

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 00:16:20.29 ID:5vVlsF4yO
とても、幻想的な光景だった。あの明かり一つ一つが多分…人の命…帰るんだ。
きっと彼らが本来居るべき場所に…

川 ゜-゚)「…」

私はここにいるはずの人を三人探す。見つからない…居る筈なんだ。
結局、私は、何一つ出来なかった。けど、だから何かを、ごめんなさいでも、ありがとうでも良かった。彼女に言いたかった。

川;゜-゚)「葉音!どこだ!!独男!綾香!!」

どこからも返事は来ない。私は必死に探す…そして彼女の代わりに、私は思いがけない人と再会した。

( ^ω^)

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 00:17:06.62 ID:5vVlsF4yO
( ^ω^)「やぁ、クー。」
川 ゜-゚)「え…あ…?」
川 ゜-゚)「何だ…これ…ホライゾン…」
( ^ω^)「はいですお。」
川 ゜-゚)「泣きたいのに……泣けないんだ。たくさん…言いたい事や……有るのに」
川 ゜-゚)「なんで…泣けないんだ……」
( ^ω^)「決まってるお。笑いたいからだお。」
川 ゜ー゚)「笑いたい…か……ホライゾン……私は、今…どんな顔だ?」

泣きそうな…かすれ声で私は彼に聞く。彼はあの頃の様に笑いながら…

( ^ω^)「とても良い笑顔だお。」

彼が消える。

( ^ω^)「クー。君には生きてほしいお。僕の分まで、そして、この屋敷の人達の分も…」

彼の声が雑音で消える。

( ^ω^)「さぁ。君を待つ人が居るよ?」

振り向くと、しぃとモララーが浜辺で仲良く寝むっている。
私は振り返らずに、しぃ達の下へ向かった。

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 00:18:58.68 ID:5vVlsF4yO
(*゚ー゚)「おはようございます。」

いつもと変わらぬ。朝…
あの事件から1ヶ月ぐらいたった。変わらぬ日々…いや、少しは変わったか。

一つは家の標識を「素直」にした事、一つは私の髪が伸びた事…あぁそうだ。
この間、しぃが朝帰りをしたな…なんと相手はあのモララー。日曜の朝にデートに出て、月曜の朝にそっと帰宅していたな。

川 ゚ -川「おはよう。しぃ…そろそろ髪を切るべきかな…とも思うよ。」
(*゚ー゚)「切ってあげましょうか?」
川 ゚ -川「いや、美容院に行くよ。」
(*゚ー゚)「…そうですか。クーさんの髪って綺麗だから羨ましいです。」
川 ゚ -川「延ばし放題でもかな?」

クスクスと二人で笑う。私は鏡を見て髪を軽くセットする。

从 ゚-从 ‖ 川 ゚ -川

川 ゚ -゚)「さて、じゃあそろそろデートに行く?」
(*//ー//)「デデデ!」
川 ゚ -゚)「大王?」
(*゚ー゚)「違います!」
川 ゚ -゚)「わかってるさ。じゃあ着替えてくるから。」

本当に変わりない毎日…、机の上の撮影機が無ければ夢にも思えるが、撮影機が現実と教えてくれる。


129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 00:20:03.88 ID:5vVlsF4yO
( ・∀・)「お嬢様がた?用意は出来ましたかな?」

私が着替えを終えて下に下りるとモララーがすでに来ていた。
実は今日、モララーの依頼で有る場所に行くのだ。
そこは…旧渡辺邸跡地。かつて私が写真を取りに行った場所があの場所だったとは皮肉な話だった。

川 ゚ -゚)「黙れ。この変態紳士め。しぃに何をしたんだ?あ?」
( ・∀・)「ふふふ。秘密さ。」
(*゚ー゚)「えっと…その…」
( ・∀・)「じゃあ、僕が運転するから、君達は後ろに乗ってくれ。」

そして、私達は再びあの地を足にする。

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 00:44:54.55 ID:5vVlsF4yO
( ・∀・)「…感慨深いな。素直君?」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
( ・∀・)「君…体重は50台?」

私の左側をしぃの華奢な右腕が通り過ぎる。モララーは顔面にエルボーを貰い頬をさすっている。

(*゚ー゚)「モララーさん?今夜…分かってますよね?」

しぃの背中から発されるゴゴゴゴゴと言うオーラが全てを物語っていた。若いっていいな…

そして中庭につく。

川 ゚ -゚)「二人とも…ここから先は私一人で行きたいんだ…」
( ・∀・)「構わないよ。行っておいで。」
(*゚ー゚)「私はここで待ってますね。」


扉は風化しており私はそのまま進んで行く。鳥居を越え…本殿へ…

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 01:01:31.97 ID:5vVlsF4yO
本殿の扉から螺旋階段をつたい地下へ。あの時と変わらぬ姿だが、今は何も感じない…

川 ゚ -゚)「…」

そして鍾乳洞を越え、あの場所にたどり着いた…

ザザー…ザザー

地底湖はあの時と変わらずに存在していた。ただ、あの時に感じた感覚はもう感じられない。
寄せては返す水面を見つめる。ふと、撮影機で覗いてみたくなった。
私は再び、あの世界が見えることを本当に僅かだが期待して…シャッターを切る。

パシャ

川 ゚ -゚)「ははは…姉様、独男兄様…ここにいたんだ。」

そう呟き、写真を水面に浮かべる。


そこにはこちらに笑いかける。綾香と独男が…そして水面には

从 ゚∀从

私の代わりに葉音が映っていた。

END


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