('A`)すくわれないようです

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 01:48:18.80 ID:cDm3CR+F0
………

お茶を飲もうと、テーブルの上の湯のみに手を伸ばした

おかしいな

違和感がある。手が 腕が おかしいな

手が上手く動かせない? なんで?

見ると腕や手には 黒い糸がくるくると絡まってる

なんだよこれ、気持ち悪いなあ 引き剥がそうとして気が付く

これは髪の毛だ 人の髪の毛だ

しかし恐怖を感じるより先に、唐突にすぐ近くに横たわっている女の人が目に飛び込んできた

きれいな、黒い髪の人だ。この人の髪の毛?

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 01:49:58.72 ID:cDm3CR+F0
「この髪の毛はあなたの所為ですか?」僕は聞いてみる

女の人は答えない 寝ているのだろうか

「お願いです、取ってください」 

髪の毛は僕の腕に絡んで、絡んで、大変なことになっている

いつの間にか、首にも巻き付いている

苦しい 吸っても 吸っても 息ができない

息ができないと 死んでしまう 

死んでしまう 死んでしまう 嫌だ 死にたくない

嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ

たすけて

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 01:51:27.59 ID:cDm3CR+F0
…………

そこで目が覚めた。

('A`)「…夢だ。いまのは…ただの夢だ」

落ち着け。落ち着け。なんでそんなに怯える必要がある。大丈夫だ。僕は大丈夫だ。
気付けば携帯電話が鳴っている。
カーチャンからだ。一気に気持ちが落ち着く。

J( 'ー`)し「ああ、ドクオ。朝からごめんね、寝ていたかい?」

('A`)「いや、起きてたし、全然大丈夫だよ。」

むしろ、ありがとう。聞き慣れたカーチャンの声は、僕を完全に安心させた。自分がこんなにマザコンだったとは。少し情けない笑いがこぼれる。

J( 'ー`)し「? なんだか楽しそうねえ、仕事は上手く出来てるのかい?ショボンさんとは喧嘩してない?心配になっちゃってねえ」

('A`)「うん、大丈夫。ショボンさんとは上手くやってる。いい人だね。仕事も、上手く…っていうか普通だよ」

ショボンさんは親戚のおじさんで、今僕が働いている居酒屋「バーボンハウス」のオーナーである。引きこもりで高卒だった僕を従業員として雇ってくれた、本当にいい人だ。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 01:52:51.83 ID:cDm3CR+F0
J( 'ー`)し「ドクオは立派だねえ、カーチャンは幸せ者だよ」

('A`)「はは、大げさ。僕は何やっても親孝行なんだね」

J( 'ー`)し「そんなことないわよ。お隣のジョルジュくんなんて大学生になったら遊びほうけちゃって、留年ですって!」

大学生。本当は少しだけ羨ましい響きだった。僕だってまだ19だ。

('A`)「でも、僕は、迷惑かけたから…」

J( 'ー`)し「そんなことは…」

そうだ。家族には、特にカーチャンには迷惑をかけた。辛い思いを、沢山させた。

3年前。高校時代に酷いいじめに会い、さらにある「きっかけ」によって引きこもり状態になった。
部屋に閉じこもり、沈黙したかと思えば時には泣き叫び、物を壊し、自傷行為さえ行ない、カーチャン達をひたすら心配させ、混乱させた。

('A`)「最低だよ。」

いじめ。引きこもり。自傷行為。よくあることだ。それこそ何処にでも、山のように。
だけど、当時のカーチャン達の苦痛を「よくあること」で済ましてしまうのは、許さない。許されない。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 01:55:31.63 ID:cDm3CR+F0
J( 'ー`)し「ドクオ」

J( 'ー`)し「もういいじゃない。今のドクオは立派にやってるんだから。」

たしかに、今の僕は、働いて、そのお金で一人で暮らしている。もっともそれだけのことだが。

J( 'ー`)し「カーチャンは幸せだよ。」

('A`)「…うん。」


その後はトーチャンがどうしたとか、ちょっとした雑談をして、電話を切る。

今日はバーボンハウスは定休日だ。だからカーチャンも電話してきたのだろう。
だらだら寝ていてもいいのだけれど、完全に目が覚めてしまったので、せっかくなので動こう。
溜まった洗濯物を洗濯機へ。布団を干し、部屋を掃除する。
部屋にはパソコンはない。引きこもり時代はネットなしの生活なんて考えられなかったが、やってみればそう難しいものでもない。


ふと、さっきのカーチャンの嬉しそうな声を思い出す。言葉も思い出す。

「ドクオは立派」

間違ってる。いたたまれない言葉。

('A`)「違う。僕は…。」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 01:56:35.15 ID:cDm3CR+F0
カーチャンは本当は何も知らない。僕は最低なんだ。
この瞬間にもカーチャンを裏切っているんだ。
いや、最低なんてもんじゃないな。それこそ、生きてちゃいけないくらいな、そんな人間なんだ。
だけど卑怯にも生きている。
僕は…

('A`)「僕は…」


ふいに来客を知らせるチャイムが鳴る。なんだろう、勧誘?
僕の部屋に人が来ることなんて、全くない。カーチャンはさっき電話したし…
迷っているうちにもういちどチャイムが鳴り、ドアを叩く音も聞こえる。

「すみませんおー!」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 01:59:23.63 ID:cDm3CR+F0
さすがに無視できないかな、とドアを開く。
見知らぬ男性が2人、立っている。

( ^ω^)「こんにちは、ですお」

一人は、穏やかな顔をした青年

(,,゚Д゚)「少し、お聞きしたいことがありまして…」

もう一人は、30代くらいか、目つきのするどい男性
スーツ姿の2人組、それは自分のイメージする「刑事」そのものだった。


ついに 来た

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 02:03:38.60 ID:cDm3CR+F0

だけど、安心した。これで、解放される。ちゃんと償える。いや、償えるなんてきれいごとだ。僕は楽になりたいだけだ。でも、それでもいい。
そうか。僕はずっと待ってたんだ。彼らが来るのを。

呆然としている僕を前に

( ^ω^)「あの…大丈夫ですかお?」

刑事さんが言葉を発する。顔の通りに、優しい人のようだ。

('A`)「あ、はい……」

そうだ、落ち着け。まず、話すんだ。

('A`)「……その…何を、聞きたいんですか?」

( ^ω^)「3年前、VIP市で起こった素直クールさん殺害事件について、ですお」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 02:04:41.36 ID:cDm3CR+F0
ドクン、と心臓が跳ね上がるのを感じる。
「素直クール」さん。いつだって忘れたことの無い。いや、忘れることなんて出来ないだろう名前。

(,,゚Д゚)「…心当たりが、あるようだな」

僕の反応に気付いて、目つきの鋭い刑事さんが言う。

('A`)「話します、中、どうぞ。お茶、入れます」

刑事さん達を部屋の中に通す。掃除をしておいて良かったな、など見当外れなことを考えている。
急いでお湯を沸かし、お茶を入れようとする。湯のみは…2つあった。良かった。
手が汗で湿っている。湯のみを落としてしまう。



ガチャン



当然のように湯のみは割れた。

('A`)「あ………」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 02:05:55.76 ID:cDm3CR+F0
('A`)「………」

何をやっているんだ。

(,,゚Д゚)「茶は別にいいから、とにかく落ち着け」

( ^ω^)「座って、話しましょうお」

はは、僕の部屋なのに、立場が逆転してしまっている。
そうだ。何やって
緊張している。
動転している。
当たり前だ。



僕はこれから告白する

人を、殺してしまったことを

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 02:11:50.12 ID:cDm3CR+F0

3年前。

僕はいじめにあっていた。いじめ、というよりただの暴力と屈辱。

いじめ

どこにでもあることだ。よくあること。だけど、だけどそれは酷いものだった。
僕は確実に苦しんでいた。

最初のうちは金をせびられていたが、無くなるとあとはただ暴力を受けるだけ、彼らのストレスを発散するためだけの道具となった。
抵抗すればするほど面白がり、盛り上がる彼らを前に、僕は何も出来なくなっていた。
ただ呆然と、殴られ、蹴られ、屈服させられ。
きっと彼らも僕もお互いに、感情とか感覚がおかしくなっていた。

いや、そんなものなかったのかもしれない。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 02:17:19.22 ID:cDm3CR+F0
その日も、夜、人気のない公園の奥で数人のクラスの男子にひたすら暴力をふるわれていた。
もっともそれは「いつものこと」であったのだが、その日は彼らの機嫌が悪かったらしく、いつもより酷い怪我を負っていた。
そして情けないことに、倒れたまま動けないでいたのだった。

そこに

川 ゚ -゚)「そこにいるのは…人…か…?」

川 ゚ -゚)「大丈夫…ではないな、生きているか?」

( A )「…は い…」

そこに通りかかって、助けてくれた女の人がいた。
黒い髪が綺麗な、若い女の人だった。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 02:22:21.86 ID:cDm3CR+F0

川 ゚ -゚)「酷い怪我のようだが…救急車を呼ぶか?」

( A )「大丈夫です…」

カーチャンや家族に迷惑はかけたくない。
これ以上、心配してほしくないんだ。

川 ゚ -゚)「では病院にいくぞ」

( A )「大丈夫です…やめてください……大丈夫…なんです」

川 ゚ -゚)「…しかしこのまま放っておくわけにも」

( A )「骨は、折れてません。内臓も、たぶん…無事です。」

( A )「奴らは、そういうの、上手いんです。だから、休めば…」

川 ゚ -゚)「奴らは…?」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 02:32:01.75 ID:cDm3CR+F0
川 ゚ -゚)「………ならば、私の部屋に来い。ここから近いぞ。」

( A )「え…?」

川 ゚ -゚)「ここは寒い。無駄に体力を使ってしまう。」

川 ゚ -゚)「私は素直クールだ。別に怪しいものではない。もっとも無理強いはしないが…」

たしかに、こんな状態の人間をこのまま放っておくのは、あまり良い気持ちではないのだろう。
とはいえ今さっき出会った、しかも女の人の部屋に行くというのは、どうなんだ…?
なにか、騙されたり、変なトラブルに巻き込まれたり…しないのか?

だけど結局僕は…

( A )「すみません…行って、いいですか…」

素直さんに支えられ、よろよろと歩く。
しかし、正直助かったのだ。この状態のまま家に帰ったらまた無駄に心配されてしまう。
そして、この素直さんとの出会いで自分が何か変わるかもしれない、と。
そんな甘い期待が、あった。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 02:40:30.32 ID:cDm3CR+F0
素直さんの住むアパートは、本当に公園のすぐそばにあった。
すんなりと、部屋に通される。僕も一応、若い男なわけだが、いいんだろうか?
しかし部屋の広さを考えると、一人暮らしではないようだ。
ルームシェア、というやつだろうか。

川 ゚ -゚)「今、温かい茶を入れる。待っていろ。」

('A`)「ありがとうございます…」

川 ゚ -゚)「そこで寝ていていいぞ。」

部屋の真ん中にある、大きなソファに寝そべる。
良いにおいがして、不覚にもドキリとする。初めて入る、女の人の部屋なんだ…。

とはいえ、別に素直さんに恋愛感情を抱いたわけではない。
ただ、自分を助けてくれた。理解者になってくれるかもしれない。この苦しみを共有してくれるかもしれない。そう思った。

そのとき、僕はただ、ただ辛くて。苦しくて。
ただ、人に慰めてもらいたかっただけなのだ。
甘えたかっただけなのだ。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 02:49:50.54 ID:cDm3CR+F0
………

素直さんに入れてもらったお茶を飲む。

川 ゚ -゚)「落ち着いたか…」

('A`)「はい…体は…大丈夫…だと思います」

川 ゚ -゚)「それは良かった。さて…」

川 ゚ -゚)「君は、暴力を受けていたようだが、」

川 ゚ -゚)「それは、いじめ、というやつか?」

('A`)「…そう…でしょう……ね」

川 ゚ -゚)「詳しく、話してみろ」

('A`)「はい…」

僕は、待ってましたと言わんばかりに話した。
そうだ、待っていたんだ。僕の話を聞いてくれる人を。
彼らにされていた暴力。味わされた屈辱。どうしようもない、この苦しみ。
そして、助けてほしいという甘え。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 02:53:29.65 ID:cDm3CR+F0
だけど




川 ゚ -゚)「そうか…」

僕の話を聞き終えた素直さんが発したのは、

とんでもなくあっけなく、意味の無い、絶望的な問いかけだった。




川 ゚ -゚)「君は、何で抵抗しないんだ?」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 02:54:14.27 ID:cDm3CR+F0
('A`)「は…はは」

なぜだろう、笑いがこぼれてしまう。
あなたは、僕の話を聞いていたのか?
なんで?なんで?なんで、僕を責めるんだ…

川 ゚ -゚)「やられっぱなしで、悔しくないのか?情けなくないのか?」

違う。始めのうちは抵抗した。でもあの数だ、敵うわけがない。何をやっても駄目だったんだ。抵抗するごとにあいつらは面白がって…

川 ゚ -゚)「誰かに相談するとか、助けてもらおうとしないのか?」

言ったよ、恥を捨てて、あいつらの報復に会うのも覚悟で相談したよ。先生にも、カーチャンにも、相談したよ。だけど、この状況を見ろ。
もっと悪くなってる。
もう止めようがないほどに。

そして…あなたに助けてほしかったのに…

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 02:56:45.62 ID:cDm3CR+F0
('A`)「ちがい…ます」

声を出すのがやっとだった。くるしい。

この人はすごい美人で頭も性格も悪くなくて、誰からも好かれて、幸せな生活を送ってきたのだろう。

誰かに悪意を向けられたり、不条理に傷つけられることなんてありえないんだ。

わからないんだ。何も。何も。何も。

川 ゚ -゚)「そんなだから、いじめられるんじゃないか?」

川 ゚ -゚)「君はどうして変わろうとしないんだ?」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 03:00:00.45 ID:cDm3CR+F0
違う。違う。違う。僕がどれだけ努力したと知っているんだ?

それを、その努力さえ楽しんでたんだあいつらは。何をやっても、馬鹿にされ、笑われ、最後には

この人は、そんなこともわからないのか?

川 ゚ -゚)「君は誰かに助けてもらうことばかり考えて、甘えているんじゃないか?」

('A`)「あなたは、僕に生きるなっていうんですか…?」

川 ゚ -゚)「?………なんでそうなるんだ。言っていることがわからないぞ」


('A`)「………」

僕は、絶望していた。結局、素直さんにはわからない。何も。
あげくの果てには、お前が悪いと責められる。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 03:02:03.97 ID:cDm3CR+F0
('A`)「っ…はっ…ははは…はははははは」

もう、笑うしかなかった。

川 ゚ -゚)「?」


キョトンとした素直さんの顔。
その顔を見た途端、僕が今まで忘れていた感情、感覚が一気に溢れ出した。





悪意。

憎しみ。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 03:03:31.22 ID:cDm3CR+F0
…………

('A`)「気がついたら、素直さんの首を、手で押さえて…」

('A`)「力を入れて…抵抗されたけど…」

(;A;)「素直さんは、苦しそうにして、でも僕はそのまま」

(;A;)「殺した。殺しました。素直さんを、殺したんです」

素直さんの首を締めたとき、彼女の黒くて長い髪が、手に絡まったのを思い出す。

そうだ。

今朝の夢。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 03:09:21.11 ID:cDm3CR+F0
(,,゚Д゚)「…そうか」

( ^ω^)「………」

(;A;)「ごめんなさい」

( ^ω^)「話してくれて、ありがとうだお」

(;A;)「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

どうしてこんなことを、僕はずっと隠してこれたのだろう。
僕は、こんな、人を殺しておいて、平然と生きて、
バーボンハウスで楽しく仕事したり、カーチャンと電話なんかして、

どうして、こんな…

人を、ころしておいて…

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 03:13:29.88 ID:cDm3CR+F0
(;A;)「ああああああああああああああああ」

( ^ω^)「大丈夫だお、落ち着くお」

(;A;)「あああああ………」

(;A;)「僕は、僕は僕は、人ごろしで…ころして…ころして…」

(,,゚Д゚)「…落ち着け、おい」

(;A;)「け、け刑事さん…」

そうだ。聞かなくちゃ、刑事さんに、聞かなくては。

(;A;)「僕は、ちゃんと、つ、つ……罪を償え、ま、すか…。罪を…」

許してもらえるのか。卑怯な僕は、まだそんなことを気にしている。
だけど、だけど、だけど、

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 03:15:24.66 ID:cDm3CR+F0

( ^ω^)「大丈夫だお」

それは、力強い言葉だった。

(;A;)「…」

(;A;)「ああああ、ありがと、うございます……ああ、あああ」

( ^ω^)「大丈夫だお」

刑事さんの笑顔は、どこまでも優しかった。
僕は、すくわれた。

(;A;)「ああああああ」

そう思った。


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 03:16:38.51 ID:cDm3CR+F0
だけど次の瞬間、刑事さんの言った言葉の意味が、わからなかった。




( ^ω^)「そんな必要、無いんだお」




そんな必要?

罪を償う…必要?が…ない?

(;A;)「え………?」

償う必要が……ない?

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 03:18:27.07 ID:cDm3CR+F0
「償う必要がない」

(;A;)「?……」

その言葉の真意を考えていると、刑事さんが内ポケットに手を入れて何か取り出す。

それは手錠かと思った。

だけど、違った。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 03:20:35.89 ID:cDm3CR+F0
(,,゚Д゚)「お前は一つ、勘違いをしているぞ」

( ^ω^)「僕らが刑事だなんて、一言も言ってないお?」





それは何故か、大きな、ナイフだった

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/03/27(金) 03:22:20.33 ID:cDm3CR+F0
( ^ω^)「クーを殺した犯人。ずっと探してたんだお」

刑事さんではない彼は、笑顔のままだった。

( ^ω^)「僕とクーは恋人同士だったお」

大きなナイフが、ゆっくりとこちらに向けられた。








すくわれないようです ('A`)編

終わり


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