ノハ^竸) 時間に潰されない為の暇潰しのようです

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 20:22:29.02 ID:+rMPGr7Z0

「人助けって良いことだよね」

――本当に?


「当たり前じゃん」

――本当に?


「そうだよ。世界で一番いいことだと思うよ」


――本当に、そう?



ノハ^竸) 時間に潰されない為の暇潰しのようです



2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 20:25:17.05 ID:+rMPGr7Z0


―― 暇潰しパターンその一 ――



キーンコーン カーンコーン

( ФωФ)「今日の掃除当番は三班。それ以外は、気をつけて帰るのである」

ミセ*゚ー゚)リ「(三班って……)」


「 三班 → ミセリ 」


ミセ*゚д゚)リ「(私かよ!!)」

ミセ;゚ー゚)リ「うぅぅぅ……」

ノハ^竸)「どうしたのだ?」

ミセ;゚ー゚)リ「あっ、ヒーちゃん。あの……」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 20:28:56.50 ID:+rMPGr7Z0

                            (@∀@-)ヒョコ


ノパ听)「……ああ。彼氏との待ち合わせがあるのだな」

ミセ//ー/)リ「かっ、彼氏なんかじゃないよっ!!」

ノハ*゚听)「またまたテレちゃって。……では、行ってらっしゃい」

ミセ*゚ー゚)リ「へ?」

ノハ*^竸)「掃除当番なのだろう? それぐらいは私がやっておくから」

ミセ;゚ー゚)リ「そんな……悪いし」

ノハ^竸)「気にするな。私はどうせ暇だし。それに、掃除も大好きだしな」

ミセ;-ー-)リ「ぅぅぅ……ごめんねっ!!」

ノハ*゚听)「らぶらぶしてこいよー」

ノハ--)「…………さて、やりますか」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 20:32:56.42 ID:+rMPGr7Z0


―― 暇潰しパターンその二 ――


キーンコーン カーンコーン

(゚、゚トソン「今日の授業はここまで。ですが先週渡したプリントの提出日なので、前回の授業で出してない人は前まで出しにくるように」


(;'A`)「(うおっ、すっかり忘れてた……)」

(;'A`)「(ヤベェな。数学の都村先生って容赦ないからなぁ。こうも連続で出さないと欠点になる恐れが……)」

ノパ听)「………」

ノパ听)っ「……おい、ドクオ君」

('A` )「え? あと俺の名前は徳男だから。ドクオじゃないから」

ノパ听)っ□ 「はい。ドクオ君」

('A`;)「ああ、プリント? 今から写しても無理だって。諦める。あと隣の席なんだから名前ぐらい覚えてくれ……」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 20:36:18.48 ID:+rMPGr7Z0
ノパ听)「違うぞドクオ君」 ゴシゴシ

('A` )「わざとやってるだろ……」

ノハ^竸)「うん」 カキカキ

ノパ听)っ□「――で、ドクオ君、これ。私のやつに代わりに君の名前を書いておいたから、提出してくるがいい」

('A`;)「なるほど妙案――って、ええぇ!そりゃ流石に駄目だろ!!」

ノハ*^竸)「いいからいいから」

('A`;)「ぬぅぅ……」




(;'A`)っ□「………先生」

(゚、゚トソン「おや。ドクオ君が宿題を出してくれるなんて珍しいですね」

(;'∀`)「あはは……。あと僕の名前は徳男です……」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 20:39:44.17 ID:+rMPGr7Z0
(-、-*トソン「先生はとても嬉しいです。これまでの教師生活で一番嬉しい気持ちだと言っても過言ではありません」

(;'A`)「(そりゃ先生教師生活二年目ですからね……)」

(゚、゚*トソン「しかも、こんなに丁寧な字で。まるで別人のようです。これからも是非頑張って下さいね」

(;'∀`)「あはは……(罪悪感で死んでしまいそう……)」




('A`*)「……ありがとう」

ノハ*^竸)「ああ。次からは気をつけるようにな」




ノハ*゚听)「せんせー!忘れてしまったので明日でいいかなっ!?」

(゚、゚トソン「またですか。仕方ないですね」

(-、-トソン「(真面目で良い子なのにたまに忘れるのは何故なんだろう……。記憶力が悪い訳でもないでしょうに)」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 20:42:21.87 ID:+rMPGr7Z0


―― 暇潰しパターンその三 ――


ガシャァァァン!!

(;゚∀゚)「うぉぉおお!やっべぇぇええ!!」

<_;プー゚)フ「ガラスがっ、これでもかと言うぐらいにっ、粉砕ぃぃぃいい!!」

(゚∀゚;)「やっぱ屋内キャッチボールは無理だったんだよ!」

<_;プー゚)フ「硬球でやればこうなるのは分かってたのに……なんで誘いに乗っちゃったんだろう、俺」

(;゚∀゚)「停学かな?」

<_プー゚)フ「弁償だけでは済まないだろうな……」


<_プー゚)フ「「――割といつものことだしねっ!!」」(゚∀゚ )

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 20:46:23.55 ID:+rMPGr7Z0
ノパ听)「ありゃりゃ、悪ガキめ」

( ゚∀゚)「……おっす。どうした?」

ノハ*^竸)「おーっす!ガラスの割れる音がしたから来てみた。多分、そのうちモラ先生が来るぞ」

<_;プー゚)フ「そりゃヤベェな……。時代錯誤なリアル鉄拳制裁が下んぞ」

ノパ听)「そうか……」

ノハ^竸)「――そうだ。私が肩代わりしてやろうか?」

(;゚∀゚)「え、マジで? そんなことされたら俺、お前に惚れちゃいそうなんだけど」

ノハ--)「存分に惚れるがいい。応える可能性はほぼゼロだが」

(;゚∀゚)「良いおっぱいなだけにショック!!……んじゃ、悪ィけど頼んだわ」

ノハ^竸)「請け負ったぞ。今度美味しいものとか奢ってくれると嬉しいな」

<_プー゚)フノシ「任せとけ!この恩は忘れない、多分っ!!じゃあなっ」

ノハ^竸)ノシ「……多分なのかよ」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 20:49:41.10 ID:+rMPGr7Z0


ノパ听)「……さて、どうするかな……」

ノハ--)「うんと……雑巾ぐらいで誤魔化せるかな?」

ノパ听)「モラ先生はアホの子だし大丈夫だろ。教師になれたのが奇跡みたいな人だからな」

ノパ听)「あとは、っと……」



グシュッ



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 20:52:20.49 ID:+rMPGr7Z0
( ・∀・)「誰か窓ガラス割ったかー? 決め付けるのはアレだが、どうせジョルジュかエクストだろー」

ガララ……

( ・∀・)「怒らないか――いや、怒るけど殴らないから大人しく出て来ーい」



ノハ;;)「グズッ……ぜんぜぇ゛……」

(;・∀・)「アレ、ヒート!? そしてなんで手ぇ真っ赤!!?」

ノハ;;)「わ゛だじ……ぞうぎんで、転んで……グスッ………」

(;・∀・)「あーもう喋るな、今止血してやるからっ!!見てるこっちが痛ぇ!」

ノハう;)「わたしが……うぅ、うぁぁぁああん!!」

(;・∀・)「落ち着け。怒らないし、大丈夫だから。事故なら仕方ない。大丈夫だ」

( ・∀・)「お前高校生だろ? ……子供じゃないんだし辛いだろうけど我慢しろ。さ、保健室行こう。な?」

ノハう;)「うん……」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 20:56:54.50 ID:+rMPGr7Z0


―― 暇潰しパターンその四 ――


('、`;川「はわ、わわわ……」

(  Д)

('、`;川「やっちゃった。やっちゃったよぉ……」

(;、; 川「制服も血でベットリだし、包丁は私の手にあるし……」

(う、; 川「誤魔化し様なく、犯人私だし……」

(、 川「終わった……。かんっぺきに、終わった……。私の人生ストーカーで終わった……」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 21:00:25.39 ID:+rMPGr7Z0
ノパ听)「――ペニちゃん」

('、`;川「ヒーちゃん、なんでここに!!?」

ノパ听)「ストーカーの被害にあってると聞いたからな。一緒に帰ろうと追いかけてきてのだ」

ノハ--)「……遅かったのかな」

('ー`;川「はは……。正当防衛でも殺しちゃったら駄目だよね」

(ー 川「お医者さん、なりたかったなぁ……。お母さん、悲しむだろうなぁ……」

(;、; 川「ふあ、うぁぁああ……」



ノハ--)「…………」

ノパ听)「ペニちゃん。あのな――」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 21:03:19.79 ID:+rMPGr7Z0


―― 恒久的な暇潰し “時間に潰されない為の暇潰し” ――


数日後。


ξ゚听)ξ「……ここね」

コンコン

ξ--)ξ「入るわよ」



ノハ^竸)「――こんにちわ、弁護士さん」

ξ゚听)ξ「ええ。こんにちは、ヒートさん」

ξ゚听)ξ「聞いているとは思うけど、貴女の弁護を担当する津出よ」

ξ--)ξ「今日は顔合わせのようなものだから。力を抜いてね」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 21:06:31.11 ID:+rMPGr7Z0
ξ゚听)ξ「まず、最初に質問なんだけれど」

ノハ^竸)「なんだ?」

ξ゚听)ξ「本当に貴女が刺したの?」

ノハ--)「……ああ。護衛のつもりで一緒に帰ってたら、包丁を持ったあの人が襲ってきて……」

ノハ )「それで揉み合いになってるうちに……」

ξ゚听)ξ「…………そう。正当防衛、ってわけね」

ノハ )「うん……」

ξ--)ξ「(証言通り、と)」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 21:11:05.63 ID:+rMPGr7Z0
ξ--)ξ「制服」

ノパ听)「……え?」

ξ--)ξ「サイズ的に、胸がキツそうだけど?」

ノパ听)「ああ、あれはわざと小さいのを着ていたのだ」

ξ゚听)ξ「どうして?」

ノパ听)「そうすれば胸がおっきく見えるからな。最近の私達の流行だったのだ」

ξ--)ξ「(これも証言通り、か。クラスぐるみで口裏合わせているわけじゃないだろうし……)」


ξ゚听)ξ「(品行方正、成績優秀、運動神経も抜群……)」

ξ゚听)ξ「(特定の部活には属さず主に助っ人参加。それでいて、謙虚で優しい)」

ξ--)ξ「(悪い評判なんて少しもない。気持ち悪いぐらいの善人ね)」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 21:13:24.74 ID:+rMPGr7Z0
ξ゚听)ξ「――もう一つ、いいかしら」

ξ゚听)ξ「友達のこと……好き?」

ノハ*゚听)「!」

ノハ*^竸)「当たり前だぞっ!!」


ノハ*゚听)「ミセリちゃんはとっても努力家なんだ。好きな先輩に振り向いてもらう為に色んな努力をしてるんだぞ」

ノハ*--)「ドクオ君は私の隣の席で、根暗だけど実は真面目で優しいんだ。前の文化祭の時の一番の功労者」

ノハ*^竸)「ジョルジュやエクストは先生からの評判は良くないけど、電車で席を譲ったりだとか年配の方の荷物を持ってあげたりだとか……」

ノハ*゚听)「そしてペニちゃんはお医者さんが夢で、いつか必ず病気のお母さんの治療をするって言ってたぞ!!」


ξ--)ξ「……自慢の友人なのね」

ノハ*^竸)「ああ!みんな、大好きだ!!こんなのじゃ全然話し足りないぞ!」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 21:16:32.51 ID:+rMPGr7Z0
ξ゚听)ξ「じゃ、家族は?」

ノパ听)「え?」

ξ゚听)ξ「ご両親のことは、好き?」

ノハ )「…………」

ノパ听)「……好きだぞ」

ノパ听)「お父さんは頭がすっごく良くて、大学の教授をやってて憧れの的だ。全国レベルの学会へしょっちゅう出てるんだ」

ノパ听)「お母さんは客室乗務員だ。外国語がペラペラで、美人で、世界中を飛び回っている」

ノパ听)「それで……」

ξ--)ξ「――もういいわよ。ありがとう」

ノハ*^竸)「どういたしましてだ!」

ξ--)ξ「(そういうことか……)」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 21:19:20.68 ID:+rMPGr7Z0


――多分、この子は両親にロクに構ってもらえなかったのだろう。
家ではいつも一人ぼっち。することがないから、あるいは、褒めてもらう為に勉強し続けた。
虐待ではないから周りは気がつかない。随分としっかり者らしいし。

「自分はいてもいなくても同じだ」
心の何処かでそんなことをいつも思ってる。
かと言って問題を起こすことなどできず、誰にも相談もしない。自殺なんてもっての他。


ノハ^竸)


だから、
友達に「ありがとう」と言われるのが嬉しくてたまらない。
人の役に立てば、それだけでそこに存在して良い理由が生まれるから。

「生きている」と実感する為の手段が人助け。
それほど頭が良くても、運動が出来ても、何がどうであろうとも――彼女は“何かが足りてない”のだ。

彼女は、自分以外の全ての人間が羨ましい。
自分のような『代用品』ではない、『代用品』にしかなることのできない自分とは違う全ての人々が。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 21:22:21.76 ID:+rMPGr7Z0
ξ--)ξ「(寂しいと一言、誰かに言えば良かったのに……)」


……いや、違う。
言い出せなかったのだろう。嫌われるのが怖くて。
「迷惑をかけたら構ってもらえなくなるんじゃないか」と、そんな感じかな。

こんなのは善人とは呼べない。ただの――そう、可哀想な『異常者』だ。
少しの善意も僅かの好意も、勿論悪意も敵意も何もない。無視無欲かつ純粋至極な混沌そのもの。
孤独に対する恐怖だけで動く人間を模した機械人形。


ノパ听)「ああ、そうそう弁護士さん」

ξ--)ξ「何かしら」

ノパ听)「どれくらい時間がかかるものなんだ?」

ξ゚听)ξ「そうね……結構かかると思うわよ」

ノハ--)「そうか」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 21:25:52.96 ID:+rMPGr7Z0



ノハ ー)「くすっ。……そうか、結構かかるのか」



ξ;゚听)ξ「(っ!!この子……)」


――ああ、そっか。今やっと分かった。
この子は機械なんかじゃない。それはあまりに不適切な比喩だった。
人間だ。人間なんだ。人間で人間で、人間だ。間違いもなく紛れもなくどうしようもなく――心を持った、人間。


ξ゚听)ξ「……ねぇ、貴女にとって『生きる』って何?」

ノパ听)「ん?」

ξ゚听)ξ「貴女にとっての人生って、何? 何を感じて何を求めて何に焦がれて生きてるの?」

ノハ--)「そんな難しいことは分からない。けど、生きる目的ならずっと昔から分かってるぞ」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/04/08(木) 21:28:48.30 ID:+rMPGr7Z0


ただ、
年頃の少女にありがちな行為を遠回りに、それも本気で行っている。
口にも出さず、ひたすらに。正攻法で、地道に。



ノハ*^竸)「――時間に潰されない為の暇潰し、だぞっ!」



――この子はただの自殺志願。
孤独な時間を潰していくだけの早送り人生、か。





<<以上、暇潰し終了>>
                                                        異常、暇潰し終了……?




戻る

inserted by FC2 system