- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:33:08.48 ID:JY8aacQj0
- 片思いとともに成長していくブーンのお話です
書き溜めてはいますがかなり長くなります
それでは早速お話に入らせていただきます
1、出会い
”入学式”と書かれた看板が立て掛けられた桜舞う校門の前で
カーチャンに手を引かれながら幼いブーンは心躍らせていました
( ^ω^)(今日からついに小学生なんだお。お勉強に新しいお友達、楽しみなんだお!)
J( 'ー`)し「あなたも小学生ね。お友達100人出来るかしらね?」
( ^ω^)「きっとできるお!100人とかじゃなくて1000人だってできるお!」
J( 'ー`)し「まあ、じゃあウチにお友達を呼ぶときは大変ね」
( ^ω^)「そうだお!だからいっぱいお菓子も用意していて欲しいお!」
J( 'ー`)し(ふふ、この子よりあたしの方が楽しみだわ)
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:34:13.54 ID:JY8aacQj0
- ブーンとカーチャンは入学式を終え、いよいよ教室へと向かいます
( ^ω^)(これが小学校の教室かお!すごいお!ワクワクだお!)
ブーン以外の新入生も驚き、目を輝かせています
やがて先生が来られみんな席に着くよう声をかけました
机には自分の名前がそれぞれ書かれたビニールテープが貼られていました
( ^ω^)(ここがブーンの机かお?ちょっと汚いのが残念だお…)
J( 'ー`)し「ここがあなたの席みたいね。お隣は・・・しぃちゃん、女の子かしらね」
( ^ω^)(い、いきなり女の子と隣同士なんて緊張するお…)
( ^ω^)(でもきっとお友達になるんだお!)
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:35:58.84 ID:JY8aacQj0
- >>3
早速ありがとうございます
がんばります
(*゚ー゚)「よろしくね」
( ^ω^)(!!!!!!!ガッ!)
いきなり声をかけられブーンはびっくりしてしまいました
驚きのあまり机を蹴ったと思ったら脛を足にヒットさせてしまいました
(*゚ー゚)「私のお名前、しぃっていうのよろしくね!」
( ^ω^)「よ、よ、よ、よよどしぐだおうsydgbfys」(足が痛いお…)
(*゚ー゚)「お名前はなんていうの?」
( ^ω^)「ぼ、ぼ、僕はブーンっていうんだお」
(*゚ー゚)「そうなんだ。じゃあブンちゃんって呼ぶね」
( ^ω^)(ぶぶぶ、ぶぶぶぶ、ブンちゃん????)
( ^ω^)(それどころじゃないお、早くあの言葉を・・・)
( ^ω^)「あ、あ、あ、あ、あの、僕とおともd・・・」
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:36:22.58 ID:JY8aacQj0
- (・∀・)「はーい、皆さん静かにしましょうねー。私は皆さんの担任の・・・」
( ^ω^)(あっ・・・)
(*゚ー゚)「・・・」
( ^ω^)(言い損なっちゃったお・・・)
( ^ω^)(でもしぃちゃん可愛いんだお。なんだか胸がドキドキするお)
ブーンは”お友達になってください”という一言がもう一歩でいい損ねてしまいました
しかしブーンの片思いはまだまだ始まったばかりです
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:37:42.14 ID:JY8aacQj0
- 2、憧れ
( ^ω^)(今日も一人でご本を読むんだお・・・)
( ω )(ブーンもお友達とお外で遊びたいお)
ブーンはお昼休みになると一人で本ばかり読んでいました
でもブーンはお勉強は得意だったのですが運動が大の苦手
お友達はいましたが一緒に外で遊んでいるとどうしても足を引っ張ってしまいました
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:38:50.89 ID:JY8aacQj0
- >>9
全力を尽くします
(゚∀゚)「気にしなくていいよ!」
(^u^)「俺がカバーするよ」
( ^ω^)「あ、ありがとうだお・・・」
(*゚ー゚)「・・・」
こんな日が続いていつしかブーンは外で遊ばなくなってしまいました
( ^ω^)「もうここの本はほとんど読んじゃったお」
( ^ω^)「どうしようかお・・・」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:41:46.90 ID:JY8aacQj0
- どうしようかと何することもなくぼんやりしていたその時です
ガラッ
(*゚ー゚)「ブンちゃん!」
( ^ω^)(!!!)
(*゚ー゚)「ねえねえ、図書室いこうよ」
( ^ω^)「え?え?」
( ^ω^)「で、でもしぃちゃんは運動も学年で一番だから外でみんなと遊べばいいお」
ブーンはしぃちゃんのことを心からスゴイなと思っていました
同時に羨ましいとも思っていました
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:42:49.97 ID:JY8aacQj0
- (;・∀・)「すごーい!しぃちゃんまたかけっこ一番だよ!!」
(゚∀゚)「男子よりも早いなんてすごーい!」
( ^ω^)「それにテストもいつも100点だお」
( ^ω^)「本当にしぃちゃんはすごいお!」
(*゚ー゚)「えへへ」
ブーンにはしぃちゃんは大きな憧れでした
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:43:32.77 ID:JY8aacQj0
- ( ^ω^)「ブーンなんて気にせず外で遊ぶお」
(*゚ー゚)「いいから行こうよ」
しぃちゃんはある日からブーンを誘って図書室へ行くようになりました
たまにしぃちゃんは他の友だちと外へ行くこともありましたがほとんどブーンと図書室へ行きました
図書室とは低学年用の本が並べられた、小さなストーブが置いてある教室でした
(*゚ー゚)「ブンちゃん、どの本が面白い?」
( ^ω^)「こ、この中だと”かいけつワロリンチョ”が面白いお」
(*゚ー゚)「そうなんだ。ありがと!」
( ^ω^)「・・・」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:44:35.24 ID:JY8aacQj0
( ^ω^)(しぃちゃんって何で勉強も運動もできてこんなに優しいんだろう)
( ^ω^)(ブーンもしぃちゃんみたいになりたいお!)
( ^ω^)(でもそういえばなんで図書室に行くんだろう??)
( ^ω^)(ちょっと聞いてみるお)
( ^ω^)「しぃちゃん」
(*゚ー゚)「なーに?」
( ^ω^)「し、しぃちゃんは何でブーンなんか誘ってここへ行くんだお?」
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:45:46.30 ID:JY8aacQj0
- (*゚ー゚)「寒いじゃん」
( ^ω^)「・・・・・え?」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:50:11.75 ID:JY8aacQj0
- (*゚ー゚)「ここはストーブがあって暖かいでしょう?」
( ^ω^)(じゃあ女の子のお友達と行けばいいのにお・・・)
(*゚ー゚)「でもね、ブンちゃんじゃないとダメなんだよ!」
( ^ω^)「ぶ、ブーンじゃないと駄目なのかお?」
(*゚ー゚)「ブンちゃんは本をいっぱい読んで物知りだから!」
( ^ω^)「しぃちゃん・・・」
( ^ω^)「じゃあ、じゃあもっとご本読んで大人になったらブーンは博士になるお!」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:51:06.76 ID:JY8aacQj0
- (*゚ー゚)「ブンちゃんならきっとなれるよ!」
( ^ω^)「ありがとうだお、頑張るお」
( ^ω^)(そしてしぃちゃんよりも”スゴイ人”になってみせるお)
ストーブの小窓からは小さな炎が揺らめいていました
教室の空気もすっかり暖めてくれていましたが
いつの間にやら冷えきっていたブーンの心もぬくもりでいっぱいになっていました
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:54:12.70 ID:JY8aacQj0
- 3、おウチ
月日は流れ、ブーンは5年生になりました
そしてクラス替え
学年のみんなが体育館に集められました
先生が一人づつ誰がどこのクラスになったかを発表していきます
(^<^)「つんちゃんは2組ね、しぃちゃんも2組、ブーンくんは1組、ニダ君は・・・」
( ^ω^)(ああ、しぃちゃんとは別のクラスになってしまったお・・・)
( ^ω^)(でも会えなくなるわけじゃないんだお)
( ^ω^)(他にもお友達はいるから頑張るお!)
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 03:58:09.05 ID:JY8aacQj0
新しいクラスにしぃちゃんはいませんでしたが新しい友達もできました
( ^ω^)(新しいクラスも楽しいお!)
( ^ω^)(カーチャンにも今日のこと教えてあげるんだお)
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:01:36.51 ID:JY8aacQj0
- ( ^ω^)「ただいまなんだお!」
リビングのドアを開けるとミートソースの匂いがしました
カーチャンがキッチンで夕餉の支度をしているところでした
( ^ω^)「おお!今日はブーンが大好きなスパゲッティなんだお!!」
J( 'ー`)し「あらおかえり、そうよ、今日はタバスコが安かったのよ」
( ^ω^)「えっ?タバ・・・スコ???」
J( 'ー`)し「それより新しい学年とクラスはどうだったの?」
( ^ω^)「新しいお友達もできて楽しいお!先生もいい人なんだお!」
J( 'ー`)し「本当!?よかったわね!」
( ^ω^)「うん。でもしぃちゃんとは違うクラスになっちゃたんだお・・・」
J( 'ー`)し「・・・そうなの」
( ^ω^)(今、カーチャンの顔、一瞬・・・)
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:03:30.54 ID:JY8aacQj0
- J( 'ー`)し「あの、ブーン?」
( ^ω^)「なんだお?」
J( 'ー`)し「しぃちゃんとは今も仲良しなの?」
( ^ω^)「もちろんだお!」
J( 'ー`)し「そう・・・」
ブーンは戸惑ってしまいました
( ^ω^)(何でカーチャンはしぃちゃんのことを話すと良くない顔をするんだお?)
( ^ω^)(・・・・・)
J( 'ー`)し「ブーン、ちょっとお話があるわ」
J( 'ー`)し「しぃちゃんとあんまり仲良くするのはやめなさい」
( ^ω^)「!!??」
J( 'ー`)し「しぃちゃんのおウチはね、お母さんがヅfhhcにえうhmrgn・・・・」
( ^ω^)「・・・・・・」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:06:00.65 ID:JY8aacQj0
- ブーンはしぃちゃんの”おウチ”についてカーチャンから聞かされました
カーチャンによればしぃちゃんのお母さんとお父さんは別れていて
”お父さんでないお父さん”と暮らしていること
そしてしぃちゃんのお母さんは少し変わった人だということ
複雑な”おウチ”の事情があるからあまりしぃちゃんと関わってはいけないということでした
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:10:07.34 ID:JY8aacQj0
- ( ^ω^)「なんでそんなこと言うお!酷いお!」
J( 'ー`)し「・・・今のあなたには確かに分からないかもしれないわ」
J( 'ー`)し「でもね、大きくなったらきっとわかるわ・・・」
( ^ω^)「やだおやだおやだお!そんなの間違ってるお!」
ダダダダダッ! バタン!
J( 'ー`)し「ブーン・・・」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:13:36.75 ID:JY8aacQj0
- その日ブーンが部屋から出てくることはありませんでした
( ω )「うっ、うっ、うっ、おおおおお」
( ω )「しぃちゃんはいい子なんだお!ブーンより凄いんだお!」
( ω )「カーチャン・・・なんであんなひどいこと言うお・・・」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:19:57.10 ID:JY8aacQj0
- いくら背丈が伸びて成長したブーンにもなぜいつも優しいカーチャンがそんなことを言うのかわかりませんでした
ブーンは何度かしぃちゃんのお母さんも”お父さん”も見たことがありました
少し痩せていたけどとてもいい人そうにみえました
初めて会ったときはブーンに飴玉だってくれました
(複雑な事情って?”おウチ”ってなんなんだお・・・)
(でも・・・、ブーンはしぃちゃんのこと”好き”だお・・・)
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:29:25.35 ID:JY8aacQj0
4、成長
それは運動会が終わってすぐのこと
いよいよ秋も深くなり校庭のイチョウが美しい黄色の葉を見せた頃でした
(^u^)「と、いうことで、12月にモナー小学校とバスケットボールの交流戦があります」
(^u^)「皆さん練習して頑張ってくださいね」
(゚∀゚)「はーい!」
( ^ω^)(せ、せっかく運動会を乗り越えたのにかお・・・)
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:30:36.85 ID:JY8aacQj0
- ガヤガヤガヤ・・・・・
(;・∀・)「バスケだって!やったことある?」
( ^∀^)「俺はミニバスやってたことあるよ!」
(#^.^#)「じゃあうちのチームは100人力だね」
(;・∀・)「ブンちゃんもいるしね!」
( ^ω^)「えっ?」
( ^∀^)「そうだよ!ブンは背も学校で一番高いしね」
( ^ω^)「えっ?」
(#^.^#)「うんうん、ブンちゃんならゴールも余裕だよね」
( ^ω^)「ワッチュアーユーセイン?」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:34:06.77 ID:JY8aacQj0
- ブーンはなんとよりによって苦手な運動で注目されることになってしまいました
しかしスーパー運動音痴なブーンにバスケットボールなんて狂気の沙汰でしかありませんでした
( ω )(とんでもないことになっちゃったお・・・)
しかしみんな打倒モナー小へ向けてやる気になっているのに水はさせませんでした
だからといって自信はとてもありません
ブーンは途方に暮れてしまいました
(全くブーンは勉強しかできないダメな奴だお・・・)
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:38:46.01 ID:JY8aacQj0
- ブーンはその日、習い事がありました
そこにはしぃちゃんも通っていました
クラスが変わってからはしぃちゃんとたくさん話せるお楽しみでもありました
( ^ω^)「ブーンが運動だなんて、本当に困っちゃうお」
(*゚ー゚)「でもブンちゃんは背も高いしバスケは有利だよ」
( ^ω^)「でも、でもムリだお・・・」
( ^ω^)「ブーンは運動音痴だお、野球のボールをちゃんと投げることすらできないんだお」
(*゚ー゚)「じゃあ諦めるの?」
( ^ω^)「だから困ってるんだお」
(*゚ー゚)「ブンちゃんがバスケ出来たらかっこいいのにな」
( ^ω^)「・・・」
ブーンは生まれて初めて水泳以外の運動の練習を頑張ってみることにしました
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:44:04.83 ID:JY8aacQj0
:(;゙゚'ω゚'):(む、むりだお!やっぱりこんなの難しいお!このまま練習してると干しイモみたいになっちゃうお!!)
(;・∀・)「ブンちゃん!ほら走って!」
:(;゙゚'ω゚'):「ゼエゼエゼエ・・・」(まさしく走ってるじゃないかお!)
( ^∀^)「ブン走ってレイアップシュートだ!」
:(;゙゚'ω゚'):「フヒューヒュー・・・」(経験者だからって調子のるなお!!)
:(;゙゚'ω゚'):(で、でももうやってみるしかないお!)
:(;゙゚'ω゚'):「jhgンhgイウrhgnエルイgfnえrひうhgんr、ピギーーーーーーっ!」
ダッ!
・・・・シュッ
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:47:55.92 ID:JY8aacQj0
- :(;゙゚'ω゚'):(もう、もう勘弁してくれお〜)
パタ・・・
(#^.^#)「ブンちゃんすご〜い!!!」
(;・∀・)「すごいよ!もう少しでリングに手が届くかと思ったよ!」
( ^∀^)「うわ〜、あれは俺でも防げないかもな、凄いぜブン!」
( ^ω^)(み、みんな運動でブーンを褒めてくれてるお?)
( ^ω^)(・・・頑張りたいお)
こうしてブーンは徐々に自信を持つことができました
するとどうでしょう、ドンドン練習が楽しくなってきます
( ^ω^)(しぃちゃんにたまにはいいとこ見せてやるんだお!)
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:50:08.54 ID:JY8aacQj0
- いよいよ本番
ブーンはすっかり自信をつけることができていました
( ^ω^)(あれだけ練習したんだお)
( ^ω^)(もうブーンは昔のブーンじゃないんだお)
( ^ω^)(諦めたらそこで試合終了なんだお!!!)
(^<^)「それでは交流試合を始めたいと思います」
ピーーーーーーーーーーーーーーっっっっつ!!!!
試合開始の無機質なブザー音が体育館内を鳴り響きます
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:51:39.56 ID:JY8aacQj0
- ダムダムダムダム・・・!
( ^ω^)「そんなガード、抜くなんてちょろいお!」
コートを縦横無尽に駆けるブーンの姿がそこにありました
そして確実にゴールを決めてゆきます
( ^ω^)(ブーンはもう運動音痴なんかじゃないんだお!)
ブーンはもはやかつての運動音痴ブーンではありません
ブーンはそれはそれは大きな成長を自分の中で遂げたのでした
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:53:05.53 ID:JY8aacQj0
- 試合はブーンたちが圧勝して終わりました
学校の先生、友達もみんな特にブーンについて驚いていました
(^<^)「まさかブーン君がこんなになるなんてねwwww」
(゚∀゚)「あれは凄かったよね安西先生!俺もブーンみたいにプレーしてみたいよ!」
(;・∀・)「あ〜あ〜、なんかブーンに運動まで超されちゃったよ」
( ^ω^)「みんな本当にありがとうなんだお・・・、みんなのおかげなんだお!」
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:55:19.32 ID:JY8aacQj0
- しかし喜びに浸るブーンのチームの一方
しぃちゃんのチームは惨敗していました
(*゚ー゚)「・・・・・」
「な、な、な、なんでしぃちゃんが負けちゃったんだお!?」
(*゚ー゚)「だって、私は女の子だし、それに・・・」
「でもでも、しぃちゃんはいつだって1番だったお!」
(*゚ー゚)「もうそんなの3年生くらいまでの話でしょ?男の子にはもうかなわないよ」
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 04:56:27.19 ID:JY8aacQj0
- ・・・・・・・・
(*゚ー゚)「それにしてもブンちゃん凄く格好よかった!あんなにできるようになるなんて思ってなかったよ!」
(*゚ー゚)「もうブンちゃんは勉強も運動も私より全然できるようになっちゃったね、いいな〜」
( ^ω^)「しぃちゃん・・・」
「ありがとうなんだお」
いつの間にかブーンは勉強どころか運動でもしぃちゃんに勝るようになっていました
時と共にその差は広がる一方でした
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:00:03.45 ID:JY8aacQj0
ブーンは気付かないうちに大きく成長していました
しかしブーンにその”成長”は突然に受け入れられませんでした
( ω )(ブーンがしぃちゃんに勝つなんて、そんなはずないんだお)
( ω )(しぃちゃんはブーンの目標だったんだお)
(ブーンにとってしぃちゃんは・・・)
ブーンは一人悩みましたが答えは出せませんでした
そして冬休み、3学期を終えてしぃちゃんと過ごす最後の年が訪れようとしていました
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:04:40.23 ID:JY8aacQj0
- 5、諸行無常
カリカリカリカリ・・・・
キュッ、キュッ
カリカリカリカリカリ・・・・・・ズズー、コトン
( ^ω^)「カーチャンのいれてくれたコーヒー牛乳は本当に美味しいお!」
チラッ
( ^ω^)(・・・もうこんな時間かお)
( ^ω^)(でもブーンならきっとやれるんだお!)
周りのみんなはいつものように遊んでいる中で
ブーンは一人忙しい日々を送っていました
毎晩毎晩、遅くまで勉強の日々です
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:06:24.83 ID:JY8aacQj0
小学校6年生の夏休み
ブーンは進学塾に通わないかとトーチャンカーチャンから言われました
J( 'ー`)し「でも本当にキツイと思うからあなたの好きなようにしなさい」
(゜д゜)「ああ、行くかどうかはお前に任せるよ」
( ^ω^)「・・・行ってみたいお」
(自分の力を試してみたいお)
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:06:59.93 ID:JY8aacQj0
- それからというもの、今までゲームに明け暮れてデジモンを育てて過ごしていたブーンの毎日は一変しました
週に3日習い事、残り4日は塾で休みはなし
宿題も学校、塾の分の両方をこなせねばなりません
さらに塾の予習もあります
それでもブーンは負けずに頑張っていました
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:11:36.17 ID:9wrWWRLV0
( ^ω^)(今日は習い事の日だからしぃちゃんに会えるかもしれないお)
( ^ω^)(今日は会えるかお・・・・)
しぃちゃんとは殆ど会えなくなっていました
時間の都合で会えてもせいぜい週に2回くらい
運が悪いと2週間も3週間も会えなかったりしました
でも学校と違って習い事の教室では終わればたくさんおしゃべりできました
ブーンにとって幸せな時間のひとつでした
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:12:37.80 ID:9wrWWRLV0
- ( ^ω^)(あっ!しぃちゃん来てくれたお!)
( ^ω^)(今日は久しぶりにしぃちゃんとお話できるお)
・・・・・・・・・・・・
( ^ω^)「しぃちゃん!」
(*゚ー゚)「ブンちゃん!元気にしてる?久しぶりだね」
( ^ω^)「ちょっと大変だけど頑張れてるお」
( ^ω^)「だいぶ塾の人たちにも追いつけたお」
(*゚ー゚)「やっぱりブンちゃんはスゴイなー」
( ^ω^)「しぃちゃんだって塾にくればブーンなんてあっという間に抜いちゃうお」
( ^ω^)「しぃちゃんも塾に来ればいいお」
(*゚ー゚)「・・・うん」
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:15:02.39 ID:9wrWWRLV0
- ピタ
( ^ω^)「・・・・・」
(*゚ー゚)「・・・・・あったかいね」
((((;゚ω゚))))
( ω )「ぶ、ぶ、ぶ、ブーンはしゅしゅしゅsyすyす、宿題をしなくちゃいけなななな、いんだおおおお」
(*゚ー゚)「・・・・・」
( ω )「そそそそ、そうやってててて、ひひひひ、引っ付かれたらでででで、できないお・・・・」
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:15:49.62 ID:9wrWWRLV0
- 教室には二人以外にいませんでした
「ブ、ブーンはあったかいかお?」
「うん」
「それはしぃちゃんが風邪をひかなくて何よりだお」
「ねえ、ブンちゃん」
「なんだお?」
「ブンちゃんは違う中学校に行くの?」
「・・・分からないお、まだ入試も受けてないんだお」
「じゃあ合格したら行くの?」
「・・・・・多分、行くんだお・・・・、でも・・・」
「そっか、頑張ってね」
「もちろん・・・だお」
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:16:43.68 ID:9wrWWRLV0
- (*゚ー゚)「ブンちゃん、またね!」
( ^ω^)「うん、また今度だお!」
ブーンはいつもの歩道橋を渡ってしぃちゃんを家まで送ったあと
暗い帰り道をトボトボひとり帰ってゆきました
雨は降っていないはずなのに頬を水が伝ってゆくのが分かりました
夏には茂っていた葉っぱを悪魔のように狩り落とした風がブーンの顔にゴオッと強く吹き付けます
水は余計に冷たく感じました
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:18:41.57 ID:9wrWWRLV0
- (どうしてこんなに色々が変わってしまったんだお)
(ブーンには分からないお、答えが欲しいお・・・)
しかし、その答えはいくら教科書、塾のテキストをひっくり返しても見当たりません
だからといってカーチャンやトーチャンに聞くのも何か違う気がしました
モヤモヤはブーンの心の中で大きくなるだけでした
(今日はなんだか幸せだったけど疲れちゃったお)
(宿題が終わったら早く寝るお)
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:21:41.12 ID:9wrWWRLV0
- 最終章:幸せ
ただ君を思い 幸せを願い 暮れゆく黄昏の中にいた
〜YUKI、「二人のストーリー」より〜
ブーンがバスを降りると見慣れた街並みは暖かなオレンジ色に包まれていました
よく友だちと遊びに行った小さな公園
カーチャンと買い物に出かけたスーパー
昔好きだった女の子と渡った歩道橋
田んぼだった土地が駐車場になっていたりした部分を除いて
ブーンが巣立った街は殆ど形を変えていませんでした
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:23:11.62 ID:9wrWWRLV0
- ( ^ω^)「久しぶりにここへ帰ってきたお」
( ^ω^)「相変わらずこの道路は人が多くて困るお」
( ^ω^)「カーチャン達や友達は元気にしてるかお」
( ^ω^)「・・・・・」
カン、カン、カン、カン、カン、カン、・・・・
( ^ω^)「いつの間にか色が塗り直されてキレイになってるお」
カン、カン、カン、カン、カン、カン、・・・・
歩道橋の階段を昇ると街が見渡せました
ブーンは小学生の頃からここから見える風景が大好きでした
ブーンは歩道橋のちょうど真ん中で立ち止まりました
太陽は半分まで沈んでいるのが遠くに見えました
( ^ω^)「うんうん、やっぱりここから見る夕焼けは最高なんだお!」
( ^ω^)「あったかいんだお・・・、うん?」
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:23:48.24 ID:9wrWWRLV0
- チラッ
ブーンの後ろで小さな女の子の声がします
その声はブーンの思い出の女の子に声がよく似ていました
思わずブーンは振り向きました
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:24:33.62 ID:9wrWWRLV0
- ( ^ω^)「・・・・・」
・・・・・・・・
そこに居たのは黄色い帽子をかぶった女の子と
年齢はブーンと同じくらいであろうお母さんと思しき女の人でした
お母さんの顔は帽子で隠れているのと下の方をむいているので見えませんでした
(*゚∀゚)「今日ね、漢字のテストで100点とったんだよ!すごいでしょ!」
「まあ、本当!?じゃあお父さんからも褒めてもらわなくちゃね」
(*゚∀゚)「うん!それでね、いーっぱい遊んでもらうの!」
「あ母さんは帰ったらとっておきのお料理作ってあげるわね」
(*゚∀゚)「ヤッター!!!」
・・・・・・・
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:26:06.57 ID:9wrWWRLV0
- やがて親子はブーンの後ろを通り過ぎてゆきました
( ^ω^)「とても幸せそうだったお」
( ^ω^)「ブーンもあんな家族が欲しいお!うらやましいお!」
( ^ω^)「・・・・・・」
「今、あの人は何をしてるんだろうかお・・・」
黄昏の中でブーンは独りでした
昔は二人でしたが今はもうその人は横にはいません
とたんにブーンの目から大粒の涙が溢れ出しました
( ω )「な、な、なんで泣いちゃうんだろうお」
( ω )「ブーンもいい年だお、社会人なんだお・・・・」
「”幸せ”って・・・なんだお・・・・」
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:26:49.38 ID:9wrWWRLV0
- ブーンはあれから故郷を離れ、一流の大学に進学して
一流の会社に勤め、たくさんの給料をもらって
ブーンにはたくさん女の人が近づいてきました
そして周りの人からブーンはたくさん
「幸せ者だ」
と言われました
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:28:04.36 ID:9wrWWRLV0
- けれども・・・
ブーンは自分が”幸せ”と思ったことなんてこれっぽちもありませんでした
楽しいことをやってもそれは楽しいに終わるだけで
心の底から”幸せ”を感じることはできませんでした
いつもブーンの心には大きな穴がぽっかり空いたままでした
原因は解っているのだけど
ブーンにもうその穴を埋める術はありませんでした
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/26(月) 05:34:09.09 ID:9wrWWRLV0
- しばらくブーンは歩道橋の上に立っていました
気が付くともう日は沈んで辺りは薄暗くなりコウモリが飛んでいました
涙もすっかり夜風で乾いていました
空を見上げます
しかし夜空に浮かぶのは輪郭のぼやけたお月様だけ
黒く、重いスーツケースを引っ張りながらブーンは再び歩き始めました
街にはブーンの引くスーツケースのゴロゴロという音と
大通りの車の走る音だけが響いていました
おわり
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