(  _ゝ)母ノ胎内デ貴方ヲ見テタ ようです( <_  )

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:01:28.10 ID:AZrfxYJV0
(´<_` )「兄者、今日は今まで誰にも話したことの無い、俺の秘密を教えてやろう」

( ´_ゝ`)「なんだそのwktk感半端ない前置きは……」

(´<_` )「実は俺はな」

( ´_ゝ`)「wktk」

(´<_` )「この世に生まれる前、つまり母者の胎内にいた頃の記憶がある」

( ´_ゝ`)

(´<_` )

Σ(;´_ゝ`)「マジか!すげぇ!!」

(´<_` )「マジだ」


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:02:54.10 ID:AZrfxYJV0
(;´_ゝ`)「へー……すごいな。母者の声が聞こえてたとかか?」

(´<_` )「聞こえてたどころか、既に目も見えてたぞ」

( ´_ゝ`)「俺なんか幼稚園あがる頃の記憶ですらさっぱりだというのに」

( ´_ゝ`)「でも赤ちゃんの目が見えるのって、生まれてしばらくしてからじゃないのか?」

(´<_` )「そんな事ない。俺はちゃんと見えてたぞ」

( ´_ゝ`)「なんというスーパーベイビー」

( ´_ゝ`)「それで、何が見えてたんだ?」

(´<_` )「そんなもん決まってるだろう。まず自分の臍の緒と」

∩;´_ゝ`∩「うわー何気なく聞いたけどよく考えたらグロげな予感!」

(´<_` )「それと」


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:04:24.70 ID:AZrfxYJV0


母ノ


     胎内デ

            貴方ヲ


                   見テタ





                            ようです



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:06:03.44 ID:AZrfxYJV0
【覚醒】

あるときとつぜん
なまあたたかい えきたいのなかにうかぶ
じぶんのそんざいをかんじた

わずかにかんじる ふゆうかんと ちょっとした おどろき

しばらく なにをするでもなく
じぶんのからだをかこう きゅうくつなにくのかべと
その くうかんそのものである えきたいの
あたたかさを かんじていた


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:07:50.43 ID:AZrfxYJV0
そうして ただ ねむけと ここちよさのなかで
ぼんやりとした あいまいなときがすぎて

またあるとき ふと なんとなく めがみえるようなきがしたので
おもいきって ふたつのまぶたを ひらいてみた

しろく くろく またはあかく
ひとことであらわすなら それはただまぶしかった

まぶしさといっても それをかんじたのは さいしょのほんのつかのま
あとはただくらい どすぐらい こどくのしんえんがひろがるだけだった


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:09:02.27 ID:AZrfxYJV0
( ・∀・)「ねぇねぇ、兄者と弟者ってアパートで二人暮しなんでしょ?」

( ´_ゝ`)「まあな。だって家から学校遠いもん」

(´<_` )「2人で1部屋の方が安くつくしな」

( ^ω^)「へええ。ご飯とかどっちが作ってるんだお?」

(´<_` )「俺だよ」

( ・∀・)「やっぱり!モロそういうイメージだよね〜」

('A`)「兄者一人放っておいたら、三食ペヤングで済ませそうだしな。
   兄者も弟者の器用さ見習えよ」

(#´_ゝ`)「ムキー!人をタダ飯食いみたいに!
      確かに料理はできないけど、家事はちゃんと分担してやってるんだからな!」

( ^ω^)「疑わしいおwww」


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:10:46.65 ID:AZrfxYJV0
ミセ*゚ー゚)リ「へー……男2人で寮暮らしって大変そうだね」

( ´_ゝ`)「そうでもないぞ。母者の目からも逃れられるしな。
      休日なんてオールで画像収集し放題だ!」

( ・∀・)「それは実家でも同じでしょ!」

(´<_` )「図星だな兄者」

(;´_ゝ`)「何故バレた!モララーは千里眼の持ち主か!?」

( ^ω^)「おっおっwww」

ミセ*^ー^)リ「あははw画像ってなんの画像?」

(;・∀・)「ミセリちゃんは触れないほうがいいよ。感染るよ」

ミセ;゚ー゚)リ「なにが!?」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:13:01.22 ID:AZrfxYJV0
ふと しせんをさげ じぶんの めのまえにある 
あいまいなかたちの わずかながらにとっきのつきでた
みずからのからだのいちぶである それを
ぼんやりとしてたよりない しかいのはしに かくにんすると
いち に さん し
そのとっきが いつつあることをかくにんし いちおうのあんどをおぼえる

それから じぶんのはらからのびる
ぐねぐねとよじれた ぐろてすくなくだを いぶかしげにながめ

このくうかんをみたす あたたかなえきたいの
あじをすこしだけ たしかめてみた


あまい



しばらくそうして じぶんと じぶんをかこう あかぐろいせかいを たんのうしたあと
あまりめまぐるしく なにかをみるのも かんがえるのも あたまがつかれてしまうので
そのままふたたび ふかいねむりについたのだ


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:18:39.30 ID:AZrfxYJV0
(´<_` )「どんだけ爆睡してるんだこいつ。もう知らん、置いていこう」

('A`)「双子の兄であるにも関わらず相変わらずの容赦ない発言。
   だが俺も同感だぜ弟者。こいつはもう駄目だ捨てていこう」

( ^ω^)「2人とも冷たいお!こういう時は…」

( ゚ω゚)「ラリアットかまして起こしてあげるのが友情ってもんだお!」

( ゚_ゝ゚)「うごぉ!!?」

('A`)「おはよう変態」

( ゚_ゝ゚)「おはようございます!」

( ^ω^)「早く行くお兄者!
      早くしないと今月のおすすめメニュー、トマトカレーが無くなっちゃうお!」

(;゚_ゝ゚)「トマトカレーの妖精さんが……ミニスカフリルの妖精さんが見えるよ!?」

(´<_` )「いつまで頭の中の妖精と戯れてるつもりだ兄者。さっさと行くぞ」


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:20:25.30 ID:AZrfxYJV0
【遭逢】

しばらくなんども ねむり すこしおきては またねむりを くりかえし
ゆったりゆったりとすぎるじかんのなかで なにか へんかしているものはないかをさがし
あいまいな いつつのとっきも ぐろてすくなくだも
とくに なにもかわったところがないので つまらないな とおもい
ただ ねむるだけの たいくつなじかん がすぎた

そのころになると さいしょはぼんやりとしかみえず すべてがいったいとかしていた
しゅういのにくへきや ちのくだが
せんめいにとはいかないが おぼろげに それぞれぶんべつできるまでになった

そのときはじめて めのまえにうかぶ じぶんとおなじくらいのしつりょうの かたまりが
まわりをかこむ にくのかべと どういつのものではなく まるみをおびた りったいぶつであり
じぶんとおなじく いきているらしい ということに きがついたのだ

のっぺりとした かお とおもわれるぶぶんに
ところどころある ちいさなきれめや あな 

どうやらそれは じぶんとおなじ いきもののなりかけのようだった


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:22:00.95 ID:AZrfxYJV0
(`・ω・´)「流石兄者!弟者!」

( ´_ゝ`)ノ「はいはいはい!」

(´<_` )「はい」

('A`)「ギリギリだぞお前ら」

( ´_ゝ`)「間に合えばいいんですぅ」

( ^ω^)「兄者はともかく、弟者までギリかお」

(´<_` )「こいつが授業サボりたいとかぬかすから無理矢理引きずって連れてきたんだ」

('A`)「相変わらずだなー。それで自分まで遅刻したら元も子も無いじゃんか。
   俺なら確実に置いてく」

(´<_` )「馬鹿言え、それで兄者が単位落としたりしたら母者から制裁くらうのは俺なんだ」

( ´_ゝ`)「苦労人だな、弟者!」

(´<_`;)「苦労させてる本人が言うか…」

( ^ω^)「なんだかんだ言って弟者は優しいおねー」

(`・ω・´)「はいそこ静かに!授業始めるぞ!」

( ´_ゝ`)(´<_` )『はーい』( ^ω^)('A`)


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:25:06.11 ID:AZrfxYJV0

いったいこれは どういうことだと けげんなおもいをいだきつつ
しげしげと あまりよくはみえない めをつかって それを かんさつする

ふたつの めとおもわれるぶぶんを うっすらとおおう うすいまぶたは
とじられたまま ぴくりとも うごかず
その いきもののなりかけ からは なにかしらの はんのうはおろか
いしとおもわれるものは なにひとつとして かんじられない



どうやら それはまだ ねむっているらしかった


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:26:27.72 ID:AZrfxYJV0
( ・∀・)「あれ、みんな残るの?課題?」

( ´_ゝ`)「いや、後期からの専攻説明会。一応興味あるの全部見ときたいからな」

( ´ω`)「グラフィックとWebで迷うお〜」

('A`;)「えっ、ブーンお前web専行く気なの?普通にグラフィックだと思ってたわ」

( ^ω^)「何を隠そう、webデザイナーは昔からの憧れなんだお!
      でも、クラスで行く人ほとんどいない感じだお……」

( ・∀・)「あー、なんとなく躊躇しちゃうんだよねー、webって」

( ´_ゝ`)「モララーは?」

( ・∀・)「僕?エディトリアルだけど」

( ^ω^)「おー!なんかかっこいい!」

( ・∀・)「未来の編集長様とお近づきになりたいなら今のうちだよー」

( ´_ゝ`)「ははっ、わろす」

(´<_` )「兄者、グラフィックの専攻説明始まるぞ」

( ´_ゝ`)「おう!ドクオ、ブーン行こうずー」

( ・∀・)「じゃ、お先ー。おつかれー」


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:28:32.07 ID:AZrfxYJV0
【視力の発達】

いくどか めをさますも まわりのけしきと かんきょうに これといったへんかはなく
それでも めのまえの じぶんとおなじきょうぐうである いきもののなりかけと
みずからのからだに ちゅういぶかくめをむけると
すこしずつ すこしずつ そのたよりないとっきはせいちょうし てのひらがけいせいされ
ぜんたいに よりはっきりとしたりんかくが かたちづくられていくのがわかる

しりょくもいくぶんか はったつし よりまわりの さまざまなてんが はあくできるようになった
ああ めのまえの それ のすがたも かおだちもよくみえる

のぺりと ほぼたいらなその ひょうめんに じぶんとおなじかたちをした めはなくち
わずかにかんじるこどう そこに いきづくいのちがみえる

じぶんがこうして あらゆるかんせいを じょじょにはったつさせ
せいちょうの すいいに よろこびをかんじているというのに
めのまえでいぜん ねむりつづける この にくのへやのどうきょにんは
いっこうにめをさまし おなじよろこびを きょうゆうしようという けはいはない

なんて もどかしいことか


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:31:16.74 ID:AZrfxYJV0
わずかにうごかせる うでをのばし
ちとくだのすきとおる そのはだのしょっかんさえ たしかめてみたいとはおもうが
いまだ けいせいされきっていない よわよわしいきんりょくと
このせまくるしいへやのなかでは それもかなわない

ただ めのまえの それ の めざめだけがまちどおしい

このうえないほどもどかしく またこのゆうきゅうの くうかんのなか
それだけがゆいいつのたのしみであり
それだけをかてとして くるべきときをまちのぞんだ


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:33:28.94 ID:AZrfxYJV0
( ^ω^)「しかし2人とも、兄弟で同じ専攻行く気なのかお?」

('A`)「驚くなよブーン、こいつら小学生の時から部活とか習い事も全部一緒だったんだぜ。
   ソースは小学生の時から幼馴染のこの俺」

(;^ω^)「マジかお。きもちわるっ」

( ´_ゝ`)「きもちわる言うな!弟者が俺の真似してくるんだよ。小さいときからずーっと」

(´<_` )「馬鹿言え。俺がなにかやりたくなったら
      何故か毎回この馬鹿も同じことをやりたがるっていうだけだ」

( ´_ゝ`)「えー逆だろー」

(;^ω^)「はー。ま、流石は双子ってとこですかお」

('A`)「これじゃいつまで経っても兄者は弟者離れできないなw」

( ´_ゝ`)「だから逆だって!こいつが俺離れできないのー!」

(´<_` )「言っとけ。ほら行くぞみんな」


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:35:29.27 ID:AZrfxYJV0
【聴力の発達】

あたらしい おどろきがあった



「―――〜〜〜―〜〜―-」



あたまに ひびく ざつおんは じょじょに ふたつのしゅるいにぶんべつされていった

ひとつは おと
このへやぜんたいに ひびくこどう
みずからのいきづかい ちがけっかんをめぐる どくどくというおと
へやのむこうがわから きこえてくる さまざまな のいず

そして もうひとつは このぼたいから がいかいから ゆるやかにひびく
せいたいをとおしてはっせられる ひとのこえ


「〜〜――〜―〜―-」


それは じぶんが このいのちをじっかんし はじめてきいた こえ だった


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:37:09.50 ID:AZrfxYJV0
そして ふしぎなことに そのこえのぬしが
じぶんと めのまえの かれに ちとにくとえいようをあたえ
このいのちをみごもる ぼたい であり じぶんたちのははおやであるということを
なぜだか はじめからしっていた


はじめは ひどくふたしかで まわりのおとと くべつのつかなかった
ははおやのこえ だが

ときがたつにつれ だんだんとめいりょうさをましていき
なんどもよびかけられる そのふたつのたんごを ききとれるようになっていった


「兄者、弟者、待ってるからね」

「2人とも、元気に生まれてくるんだよ」

「兄者、弟者ー、お父さんだよーただいまー」


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:38:09.79 ID:AZrfxYJV0



あにじゃ おとじゃ



それは このにくのへやのなか たんじょうした ひとつのせいめいとして
じぶんと めのまえのかれ にあたえられた

なまえなのだ



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:40:14.94 ID:AZrfxYJV0
( ^ω^)ノ「おいすー」

('A`)「おーブーン。おつかれ」

( ´_ゝ`)「どだった?web初日」

( ^ω^)「今日は簡単な操作説明だけだったけど、やっぱ面白そうだお!
      3組のジョルジュとかも一緒だったし、上手くやってけそうな気がするお」

( ´_ゝ`)「手応えありか。良かったなぁ」

( ^ω^)「お?グラフィックは手応え無かったのかお?」

( ´_ゝ`)「そんなこた無いけど。まあ、これからどんどん難しいこと教えられるんだろうな」

( ^ω^)「なるほど、PCスキル上級者の兄者様には物足りなかったってことですかおw」

( ´_ゝ`)「んなこた言ってないだろが」


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:44:13.75 ID:AZrfxYJV0
( ^ω^)「あれ?そいえば弟者は?」

('A`)「ああ、俺ら終わった時まだ授業やってたよな」

( ^ω^)「あ、そか。グラフィックは人数多いからAクラスとBクラスに分かれたんだおね。
      弟者は2人とクラス違うのかお」

('A`)「そだよ。その分こいつのお守が大変だよ」

( ´_ゝ`)「人を問題児みたいな言い方するのやめてくれます?」

( ^ω^)「ドクオ、心中察するお……」

( ´_ゝ`)「ブーンまでか!お前ら、俺をなんだと」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、いたいた。流石くーん!」

( ´_ゝ`)「へ?」


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:45:27.52 ID:AZrfxYJV0
('A`)「あれ……園原さん?」

ミセ*゚ー゚)リ「よかったぁ、まだ帰ってなくて。教室に傘忘れてたよ!はい」

(;´_ゝ`)「お、おお!わざわざ持ってきてくれたの?ごめん!ありがとう!」

ミセ*^ー^)リ「いいってそんな畏まらなくても。たまたま気づいただけだし。
       今日夕方から降るって言ってたし、傘無いと流石くん困るでしょ?」

(*´_ゝ`)「マジありがとう!駅から家まで遠いし、ほんとに困るとこだったわ」

ミセ*゚ー゚)リ「せっかく同じグラAになれたんだし、困った時はお互い様だよ。
       前期から一緒のクラスで今更なんだけど、忘れ物ついでに、これからもよろしくね〜」

(*´_ゝ`)「うん、俺こそよろしく!課題とか頑張ろうな」

ミセ*^ー^)リ「えへへ、流石くんソフトの扱い抜群だし、頼りにしてるよ!」


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:48:09.83 ID:AZrfxYJV0
(*´_ゝ`)「え〜そんなことないって。
      ……そだ、せっかくだし、これからは俺のこと、流石じゃなくて兄者って呼んでよ。
      苗字だと弟と区別つきにくいしさ」

ミセ*゚ー゚)リ「あ……そ、そか!そだね。じゃあ、兄者くんって呼ぶよ。
       ……だったら私のことも、ミセリって呼んでねっ」

(*´_ゝ`)「おう!ミセリちゃん、改めてこれからよろしく」

ミセ*^ー^)リ「よろしく!」

(*´_ゝ`)「傘ありがとう。じゃ、また明日な!」

ミセ*^ー^)リノシ「うん!じゃあね〜」

(*´_ゝ`)ノシ


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:49:18.01 ID:AZrfxYJV0
(*´_ゝ`)ノシ

(*´_ゝ`)ノ

(*´_ゝ`)

(*´_ゝ`)「……はぁ……」

( A ) (  ω ) ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …

Σ(;´_ゝ`)「!?」


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:51:25.82 ID:AZrfxYJV0
( A )「……おやおやぁ?見せつけてくれますね兄者さん?」

(  ω )「目の前で可愛い女子といちゃこらコミュ力フル発動たぁ……
     いい度胸ですおね、非モテ同盟一番隊隊長兼・非リア会代表流石兄者さん?」

(;´_ゝ`)「俺そんな不名誉な肩書き2つも背負った覚え無い!!」

( A ) 「確かにおめーの『非リアオタ充感』は外見的にも女子からも見えねえし、わからねえ……
    ……だから」

(゚A゚)「俺が裁くッ!!」

( ゚ω゚ )「これもこれもこれも!喪男の分だーーーッ!!!」

(;゚_ゝ゚)「あぎゃああああああああーーーっっ」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:52:32.86 ID:AZrfxYJV0

よぶなまえは ふたつあるのに
どうしてだか めのまえの かれ が あにじゃで じぶんが おとじゃ だと
すでにりかいしていて とくに ぎもんをもつことはなく
みずからを おとじゃ めのまえの かれを あにじゃと ていぎした

なぜだかわからないが きっとそれは
このせかいがはじまるまえから ひつぜんてきに きまっていたことなのだとおもう

だから そのことについて それいじょうかんがえるよりも
おれはその あにじゃという よびなを 
めのまえのかれにたいし つかってみたいとおもったのだ


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:56:35.67 ID:AZrfxYJV0

ほかに することもないし
もしかしたら そとのせかいから とおくよびかける ははおやのこえよりは
より きょりのちかい この にくのへやのなかで
まぢかにいる じぶんのよぶこえにはんのうし そして めをさますかもしれないとおもい

じぶんも いまだめをさまさない めのまえの かれ にたいし
なまえを よびかけてみることにした


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 22:58:25.55 ID:AZrfxYJV0
ミセ;゚ー゚)リ「ちょっ、や、やた、やったよナベちゃあああん!」

从'ー'从「やったねミッちゃん!かなり好感触じゃない!?」

ミセ;゚ー゚)リ「かなり心臓やばかったよー!うあーまだバクバクいってる!」

从'ー'从「よかったねーきっと神様が流石くんの傘をミッちゃんに授けたんだよ!
      これはグイグイいくしかないよー」

ミセ;゚ー゚)リ「しかも、しかも聞いた!?『流石じゃなくて兄者って呼んでよ』だって!
      兄者くんからだよ!?もう私死んでもいい!!」

从'ー'从「うんうん聞いた聞いた。
      よかったねミッちゃん、入学した時からずっと気になってたんでしょ?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん……!最初、一緒のクラスになっただけでも奇跡と思ったのに
      その上同じ専攻、同じAクラスになるなんて夢みたいだよ!」

从^ー^从「神様が背中を押してくれてるんだよ。頑張ってねミッちゃん、応援するよ!」

ミセ*^ー^)リ「ありがとうナベちゃーん!」


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:00:29.93 ID:AZrfxYJV0
从'ー'从「あ……!あれっ、兄者くん?」

ミセ;゚ー゚)リ「えっ!ええっ!」

ミセ;゚ー゚)リ「……って!違うよナベちゃん、あれは弟者くんだよぉ。
      Bクラスの教室から出てきたじゃない」

从'ー'从「あ……だよねぇ。今ラウンジにいたのに、おかしいと思った」

ミセ*゚ー゚)リ「今Bクラスの授業が終わったから出てきたんだよ。
      兄者君達と帰るんじゃないかな」

从'ー'从「そっかぁ。じゃ、私達もそろそろ帰ろ。明日が楽しみだね、ミッちゃん」

ミセ*^ー^)リ「えへへ……」




(´<_` )「……」


58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:02:14.94 ID:AZrfxYJV0

あにじゃ


あにじゃ


まだ めをさまさないのか
はやくおきないと おれはたいくつだぞ


あにじゃ


なんども なまえをよんでみる
その なまえをよぶたび なぜだか たのしくうれしく おもう


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:05:16.46 ID:AZrfxYJV0
このにくのへやのなかで いのちをもち めざめてから
いままで おどろきや けんたいなどといった かんじょうは たびたびかんじてきたが
こういった あたたかな かんじょうを このくらくせまい とざされたへやのなかにあって
あじわうことができるのは なかなかに しあわせなこととおもう

このひ あにじゃは めをさまさなかったが
この せまく なにもすることがない くうかんのなかで
みずからと あにじゃ の せいちょうのけいかをかんさつすることのほかに
あたらしく するべきことができたので

かれのめざめをゆめみ まんぞくしたおもいで
ふかく ここちよい ねむりについたのだ

はやく こちらから よぶだけでなく
その とじられたままのくちから おとじゃ とよんでほしいものだ


65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:06:53.59 ID:AZrfxYJV0
('A`)「このメンツで帰んのなんか久しぶりだなー」

(´<_` )「金曜日は帰る時間みんな一緒だからな」

( ´_ゝ`)「今は特に残ってやるような課題も無いし。
      せっかくだからパーッと放課後エンジョイしちゃいますか!」

(´<_` )「金も無いのに調子乗るなばーか」

( ^ω^)「遊びたい時に好きなだけ遊べる、それが学生様の特権だお!
      いっちょラウンドVipででも……おっ?」

( ´_ゝ`)「どした?ブーン」

( ^ω^)「今何か動い……」

(,,゚Д゚)「ニャー」

(*^ω^)「お、猫だお!おいでおいでー」


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:07:56.25 ID:AZrfxYJV0
(;´_ゝ`)「あ」

('A`)「あー、あの猫見たことある。学生がよく餌やるから住み着いてるんだな」

(;´_ゝ`)「……」

(´<_` )「……」

(*^ω^)「おっ、こっち来たお!」

('A`)「めっちゃ人慣れしてるな」

(*^ω^)「かわいおー写メ撮るお!きゃーこっち向いてー」

('A`)「女子かよ」

('A`)「……ん、どした?兄者」

(;´_ゝ`)「え?あ、いや、別に…」


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:10:16.61 ID:AZrfxYJV0
( ^ω^)「お……どしたお?なんか顔色悪いお」

(´<_` )「兄者は猫が苦手なんだよ」

( ^ω^)「えっ、そうなのかお?アレルギーとか?」

(´<_` )「いや、単純に猫自体苦手なんだ」

( ^ω^)「おー……」

('A`)「……え?でも兄者、小学生の時にみんなで拾った野良猫可愛がってたじゃんか」

(;´_ゝ`)「!」

('A`)「ほら、家じゃ飼えないからって、校舎裏で毎日世話してたろ?」

(;´_ゝ`)「そ……そんなこともあったな」

('A`)「俺らの中で兄者が一番可愛がってたよなー。
   毎日給食の残りをこっそり袋に詰めて、校舎裏に持ってくのよく見たよ」


70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:11:29.20 ID:AZrfxYJV0
(´<_` )「そんな事までよく覚えてるなドクオ」

('A`)「まぁな。そういえば、あの猫どうなったんだ?いつの間にか見なくなったけど」

(´<_` )「ああ、逃げちゃったんだよ。ある日突然。
      俺と兄者と2人で探したけど見つからなかったんだ。な、兄者」

(;´_ゝ`)「ああ」

('A`)「ふーん。まぁそんな事だろうと思ったけど……」

( ^ω^)「もしかして、それで猫苦手になっちゃったのかお?」

(;´_ゝ`)「あー、うん……そんなとこだ」


73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:13:35.73 ID:AZrfxYJV0
('A`)「ま、猫なんか気まぐれな生き物だししょうがないよな」

(´<_` )「そうだな。しょうがない」

('A`)「あ、猫逃げた」

( ^ω^)「おー、猫ちゃんバイバイおー」

(,,゚Д゚)「ニャー」





(´<_` )「……さっきの猫、あの時の猫に似てたな。兄者」

(; _ゝ)「……うん」


75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:17:40.96 ID:AZrfxYJV0

「弟者ほら!昨日公園でモナー達と拾ったんだ」

「ニャー」

「……野良猫?」

「うん。可愛いだろ?親猫とはぐれたみたいなんだ。
でも、みんな家では飼えないって……」

「うちでも飼えないぞ」

「分かってるよ。……だから考えたんだけど
俺、こいつを飼ってくれる人が見つかるまで、ここで育てる!
餌は家から持ってきたり、給食の残りをあげたりさ。
どうだ、いい考えだろ?」

「……そうだね。いいんじゃないかな」

「だろ!名前は何にしようかなー……」


77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:20:49.35 ID:AZrfxYJV0

「兄者、ここにいたんだ」

「あ、弟者!」

「昼休みなのに、何してるのさ」

「弟者ほら、こいつやっとご飯を食べるようになったんだ」

「?」

「こんなに痩せてるのに、怖がって何にも食べなかったんだよ。よかったぁ」

「……それ給食の残り?そんなに残したら、後でお腹すくじゃんか」

「チビの方がお腹へってるからいいもん」

「あっそ。それより、モナー達が探してたぞ。遊びにいこうよ兄者」

「チビが食べ終わるまで待ってるよ。
寂しくなったら、また食べなくなるかもしれないだろ」

「兄者ったら、まるでお母さんだね」


80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:22:06.16 ID:AZrfxYJV0

「兄者、一緒に帰ろう」

「あ……ごめん弟者。今日一緒に帰れない」

「なんで?何か用事あんの?」

「チビがなんだか元気ないんだ。だから今日は、暗くなるまで一緒にいてやりたいんだ」

「チビ?……ああ、あの猫……」

「母者にも遅くなるって言っといて。じゃあな!」

「……」



「わかった。あんまり遅くならないようにな」


83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:24:46.64 ID:AZrfxYJV0

「おいでチビ。
ご飯もってきたよ」

「ニャー」

「よしよし。
俺がいなくて寂しかった?」

「ミィ」

「いい子だな。
ふふ……」

「あはは」

「は」







「俺と兄者の区別もつかないなんて」

「馬鹿な猫」


86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:27:23.55 ID:AZrfxYJV0

ガチャ

「……」

「あ、おかえり兄者」

「……」

「……兄者?」

「……」

「どうかした?」

「……弟者……」

「?」

「弟者……チビが……チビ、が…………」


87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:28:33.18 ID:AZrfxYJV0

あにじゃはまだ めをさまさない
きゅうくつそうに おりまげられた あしのうえに りょううでを ちからなくおいて
まるで しんでしまったかのように ねむったままだ

まだうまれてもいないのに しんでしまうなんてこっけいだ

そうだ
あにじゃはこのにくのへやのなかでうまれかわるのだから
しんでしまったままなんて それはとてもこまる


91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:33:19.94 ID:AZrfxYJV0

「兄者?」

「兄者、どうしたの」

「あの子猫がどうかしたの」

「……兄者、ねぇ、兄者ってば」

「兄者?」

「……」

「……が……」

「え?」

「……チビ、が……」







「箱の、なかで……っぐちゃぐちゃに……ッ!!」


96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:35:06.50 ID:AZrfxYJV0

あにじゃ


あにじゃ


これだけよんでいるのに
どうしてめをさまさないのだろう

おきたらびっくりするだろうか

おれのなまえをよぶだろうか

たのしみだ


98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:37:57.07 ID:AZrfxYJV0

もうおれも この せいちょうしたうでをのばし
あにじゃ にふれることができるというのに
そのかおをなでることも からだにさわることだって

ああ でも こうして
そのすがたと ねがおを ながめているだけで

「兄者」

そとのせかいから おんなのこえがきこえた

うるさいなあ


99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:39:48.75 ID:AZrfxYJV0

受信トレイ
from:園原ミセリ
sub:こんばんは☆
―――――――――――――――――
兄者くんこんばんは♪
同じチームになれてよかったね!
短い間だけど、メンバーとしてよろしく♪

さっそくだけどリーダーの杉浦さんから伝言だよ〜
明日の昼12時半、ラウンジの机で集合!
今後の方針とか役割を決定するらしいよ。それと、杉浦さんにアドレス渡してね。

せっかく同じチームになれたんだし、みんなでがんばっていこう!o(*^ー^)o





受信トレイ
from: 兄者
sub:無題
―――――――――――――――――
チーム課題YABEEEEEE!
今日もギリギリまで残るわ。
みんなでサイゼ行くから夕飯いらない。


101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:41:07.57 ID:AZrfxYJV0

受信トレイ
from:園原ミセリ
sub:おつかれ☆
―――――――――――――――――
やっほー!おつかれo(^‐^)o
企画のプレゼンまであと1週間だね〜
兄者くんソフトの扱い慣れてるからすっごく助かったよ!
なんか私頼りっぱなしでごめん;;
ラストスパート、みんなでがんばっていこうね!☆



104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:43:22.03 ID:AZrfxYJV0

from:園原ミセリ
sub:相談なんだけど…
―――――――――――――――――
あのさ
プレゼンの仕上げ、うちでしない?
前話したよね、学生アパートだから学校からすごく近いの。

最後まで完璧に仕上げたいし
学校閉まった後、機材とかパネル持っていって…。


あ、もちろんメンバーみんなでだよ!
どうかな…?


107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:45:08.85 ID:AZrfxYJV0


受信トレイ
from: 兄者
sub:無題
―――――――――――――――――
チーム課題の仕上げ
友達の家泊まるわ。
そのまま学校行く。鍵閉めといて


110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:46:08.00 ID:AZrfxYJV0



あにじゃがめをさました

ああ ずっと まちわびていたんだ


おはよう


おれはやさしくほほえんだ





112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:49:09.36 ID:AZrfxYJV0


受信トレイ
from:園原ミセリ
sub:やっほー
―――――――――――――――――
今日学校来なかったね。
風邪でもひいたの?大丈夫??
兄者くんがいないと教室すっごく静か(笑)
明日は来れるよね?待ってま〜す(^0^)/





受信トレイ
from:園原ミセリ
sub:おーい
―――――――――――――――――
生きてる?(笑)
流石に3日連続無断欠席はまずいよ〜(^_^;)
ドクオ君達にも連絡取ってないみたいだし
何かあったの??




113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:50:04.24 ID:AZrfxYJV0

あにじゃ はすこし おどろいたようすで

おれとすうびょう めをあわせたあと あたりをみわたして

ここは どこだ

とおれにきいた

どこだときかれても なんとこたえたらいいか わからない

なにせ おれじしん いしというものをもって まだまもない
いきもののなりかけに すぎないのだから

だから おれはあにじゃに やさしくこういったんだ



ここはあんぜんなところさ
ここにはおれとあにじゃしかいないし
ここにいるかぎり なにも きずつくことも よごれることだってないんだ


あにじゃはここからうまれて きれいなからだになるんだよ



115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:51:56.30 ID:AZrfxYJV0

('A`)「あれ、兄者?」

(´<_` )

('A`)「久しぶりだな!最近どうしたんだよ、授業にも全然出てないらしいじゃんか」

('A`)「ブーンとかに聞いても全然知らないって言うし。チーム課題終わってから急に」

(´<_` )「違うぞドクオ。俺は弟者だ」

('A`;)「えっ、あ……!悪ぃ、間違えた」

(´<_` )「いいさ。兄者ならいつものサボり癖だよ」

('A`)「そっか。ったく、しょうがないなあいつ。
   ……でも、そろそろヤバくないか?」

(´<_` )「ああ。そろそろ、ヤバいかもな」

('A`)「このまま単位落としたら洒落にならないぞ。なるべく来るように言っといてくれよ」

(´<_` )「そうだな。落っこちたら、大変だ」


119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:53:46.73 ID:AZrfxYJV0

きっと よろこぶものとおもったのに
あにじゃはどうにも うれしくなさそうな こんわくしたような おびえたような
そんな あまりおれのすきでない ひょうじょうをした

なんで そんな めで おれをみるんだろう

ああそうか きっと あにじゃは
せまくてくらいところが にがてだからだな
だいじょうぶ すぐになれるよ


なにせきょうからずっと ここで おれと ふたりだけですごすんだ
たのしみだな


120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:56:34.24 ID:AZrfxYJV0

受信トレイ
from:園原ミセリ
sub:どうしたの?
―――――――――――――――――
最近急に学校来なくなっちゃったね。どうしたの?
メールしても返信してくれないし…。
私、何か変なことしちゃったかな?

ひょっとして、あの夜のこと気にしてる…?

だったらごめんなさい。謝るから…。
クラスのみんなも心配してるよ。
お願い。悩みがあるなら相談して。





受信トレイ
from:園原ミセリ
sub:無題
―――――――――――――――――
メール届いてる…よね??
本当にどうしたの?心配だよ…。
お願いだから返信下さい。

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/20(金) 23:57:28.68 ID:AZrfxYJV0

ぐねぐねとよじれた ぎんいろの
ぐろてすくな へそのお を がちゃがちゃいわせて あにじゃがあばれる

あにじゃ それをちぎってしまったらだめだ
それがちぎれてしまったら きっとあにじゃも おれもしんでしまうのだ

それに そんなにあばれて
おっこちたらたいへんじゃないか


ここからでたい とあにじゃがいう


どうしてだろう
ここはこんなにここちいいのに


124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/21(土) 00:00:28.30 ID:BUGGBbIb0

ぐろてすくできれいであかくてくろくて
あにじゃとおれだけ ほかにはなにもない
きたないものもあにじゃをよごすものもなにもない
それでいいじゃないか

なのになぜあにじゃは ないているのだろう


「兄者」


そとのせかいから げひんなおんなのこえがきこえた

みみざわりだなぁ


127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/21(土) 00:01:32.00 ID:BUGGBbIb0

ああそうか

これが このこえが あにじゃをおかしくさせるんだ

このにくのへやにいらないものがひとつ
それさえとりのぞけばあにじゃもここもきれいなまま
あにじゃはえがおでおれもしあわせ



そうだ きれいにしなくちゃ


128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/21(土) 00:04:43.96 ID:BUGGBbIb0





from:流石兄者
sub:無題
―――――――――――――――――
ミセリに今すぐ会いたい
アパートの部屋まで来てくれないかな






130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/21(土) 00:06:07.37 ID:BUGGBbIb0

「兄者くん、どうしたの?最近全然連絡つかないから心配してたんだよ」

「……」

「何か悩みでもあるの?何でもいいから私に話してみてよ。
辛い事あったら、2人でなんでも相談しようって言ったじゃない。ね?」

「悩みなんか無いよ」

「本当に?ならいいけど……。でも私、兄者くんのこと心配で」

「本当になんでもないんだ。ちょっと学校に行きたくない気分だっただけ」

「そんな……せめて私に連絡くらいしてくれたら良かったのに」

「ごめん。俺も、ミセリに会いたかったよ。心配かけてごめんな」

「うん……」


132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/21(土) 00:09:00.29 ID:BUGGBbIb0
「ミセリ」

「え?」

「え、兄者くん?どうし……」

「わ……ちょっと」

「は、恥ずかしいよ、いきなり、こんな……」

「……」

「……」

「……え?」




「君」






「あ゙」



133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/21(土) 00:09:54.59 ID:BUGGBbIb0



















135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/21(土) 00:11:37.32 ID:BUGGBbIb0

ち まみれのてを あ にじゃの しろい かおにのばす
これでもう けがら わしいものはいなくなったのだ と
ここは ちとにく で できたへや なのだ おれたちはふたりとも ちにまみれている
なのにあにじゃはおびえて ふるえ ひっしにきょりをおこうとする まるで
まるでおれがきたないものにでも なつてしまつたかの よう に
どうしてそんなめでみるのだろうどうしてかおをゆがめるのだろう
ああそうかこれはけがれたおんなのち あにじゃのきらいなきたないきたないおんなの
きよめなければあにじゃにふれられない ああ どうしたら
きよめなければ…



136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/21(土) 00:12:10.28 ID:BUGGBbIb0








「人殺し……!!」












138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/21(土) 00:13:48.23 ID:BUGGBbIb0
あにじゃがへそのおをちぎってしまった
ちがどばっとでてあにじゃがしんでしまう

じゆうになったあにじゃがにくのへやをでていってしまう
おれひとりおいてでていってしまう

びにーるしーとにつつんだままのにくかいをあにじゃはみつけてしまった

くずれおち うずくまり さけび ふるえ なき くるう

ひとごろし
ひとごろし
どうして

いみのわからないことばをわめきながら けがらわしいにくかいにほおをよせる

にくへんにすがりつき なきごえをあげるあにじゃは
げひんなおんなのちとにくにまみれながらそれでもきれいなあにじゃのまま


からだじゅうにはりをさしめをつぶしてみみをそいでてあしをもいでうえからふみつけ
ないぞうをはれつさせにくしみをこめてぐちゃぐちゃになるまでふみつぶしにくかいへとかえた
かつてこねこだったにくのかたまりをみてあにじゃはおなじようにそれにすがりつきないた

くつのうらでにくがつぶれほねがくだけるこきみよいかんしょく
ちへどをはいてくるしみにもだえるあわれでけがらわしいいきもの
おれのあにじゃをうばったおれのあにじゃをひとりじめした
にくい こねこ にくいにくいにくいにくいにく い

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/21(土) 00:15:21.39 ID:BUGGBbIb0


どうしてそんな つみぶかいにくかいにすがりついてなくんだ
どうして おれからにげるんだ あにじゃ


そうかおれのてがいやらしいちでけがれているからだ
そうだ はやくきよめなければ
きよめなければ…




147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/21(土) 00:29:17.49 ID:BUGGBbIb0
【出生】



あにじゃのくびからちがどばっとでてあにじゃがしんでしまう

しんでしまう?

いいやうまれるんだ
ひとはちにまみれたんじょうしちだまりのなかでうぶごえをあげる


あにじゃのちでおれのけがれがきよめられる
ああ やっとあにじゃにふれることができる



149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/21(土) 00:31:00.24 ID:BUGGBbIb0

ちだまりによこたわりただそのあおじろいかおをみていた
うすくひらいたままもうとじられることのないひとみはおれだけをみつめている

ああ こころがみちたりていく


なかなくてもいい


ちみどろだってあなたはきれいだ




いつまでも いつまでも そのかおをみていた
ちだまりのなかでうぶごえをあげるあなたをみていた…





150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/21(土) 00:31:30.06 ID:BUGGBbIb0



母ノ胎内デ貴方ヲ見テタ ようです

Fin.




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