( ・∀・)は隠れ2ちゃんねらのようです

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:03:10.76 ID:doDiOY7i0

  「おはよう、今日は最高の天気だな、迎えに来たぞ、親友!」

        「俺とお前は一蓮托生、2ちゃんねらーとして、戦って戦って戦って死のうぜ」

「2ちゃんねるというのは、この世界に生きる人ならざるものが住むための、もう一つの世界だ」

           「2ちゃんねるを、乗っ取ろうと思う」

  「2ちゃんねらとして、これからも一緒に頑張ろうな、これはそのプレゼント、だよ」


             「これからよろしく、"親友"」
 
 ちょっとまて、ちょっと待てってば、そんな、そんなの……

 ガバッ
(;・∀・)「じょ、冗談じゃねぇええええええええええ!!」

( ・∀・)


(;・∀・)「ゆ、夢?」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:03:54.91 ID:doDiOY7i0






( ・∀・)は隠れ2ちゃんねらのようです





8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:04:55.28 ID:doDiOY7i0

飛び上がった僕の目の前に広がっていたのは、なんてことはない、見慣れたいつもの世界だった
ベッドの前にある本棚、隣にはパソコン、タンス、クローゼット……
そして隣には姿見鏡、中には汗をかいてはいるものの、やはりかっこいい僕の顔が映っている

ここは間違いなく、僕の部屋だ

(;・∀・)「よかった、巻き込まれた僕はいなかったんだ」

心の底から安堵して、大きく伸びをした。カーテンの隙間からは暖かい日の光が差し込んでいる
ああ、今日もいい天気だ

( ・∀・)「ふぅ……下に行くかー、学校行かないとね」

誰に言うでもなく呟いて、一階へと降りていく

もしかしたらギコがまた迎えに来てそのままくつろいでいるかもしれない
制服に着替えて、若干大きめな声で母を呼んだ

( ・∀・)「母さーん、おはよー、朝ごはんはー?」

爪'ー`)y「おう、お早う、朝ごはんならテーブルの上だってよ」

( ・∀・)

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:06:14.95 ID:doDiOY7i0

そのときの僕の悲鳴は、自分でも聞いたことのないくらい大きなものだっただろう
喉が裂けるんじゃないかと思うほどの悲鳴が、家中に響いた

(;・∀・)「うわあああああああああああああああ!!ぎゃああああ! タバコー!!!」

爪'ー`)y「おいおい親友、近所迷惑だぜ、今日の朝ごはんは昨日の夕飯の残りと味噌汁だそうだ、まあ食えよ」

(;・∀・)「のんびり話を進めるな! っていうかなんでお前がここにいるんだよ! 煙草吸うな! ギッコは!?」

爪'ー`)y「朝からテンションが高いな、ギッコってのはお前の友達? 来てないぜ」

(;・∀・)「えっ……」

ど、どうしてギコがいなくて、こいつがいるんだろう
やっぱり昨日のことで、僕の友達でいるのが嫌になってしまったんだろうか……
当然といえば当然だ、こんな変人とちょっとでも知り合いだと思われたら、大抵の人は関わりたくないに決まっている

僕だって実際ギコの立場に立たされたらそうなるかもしれない
そして、昨日のことはやはり夢ではなかったのだと思い知らされ、僕はがっくりと肩を落とした

(  ∀ )「……母さんは……?」

爪'ー`)♀「仕事行ったよ、ほら鍵」

( ・∀・)「……どうやって家に入ったんだよ」

爪'ー`)y「おいおい親友、お前は昨日のことを覚えていないのか? 昨日家まで送ってやっただろ
     モララーくんの親友です、って言ったらすんなり入れてくれたぜ」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:07:31.22 ID:doDiOY7i0

そういってフォックスは僕に家の鍵をくるくると回して渡した
昨日……なんだか記憶が混乱していてあまり覚えていないけど、確かに、僕が家に戻ってこれたのは
フォックスが送ってくれたからなのかもしれない、とてもじゃないけど、まともに帰れるほど落ち着いてはいなかったから

でも母さん、いくらなんでも無用心すぎるよ
こんな得体の知れない奴にうちの鍵を渡さないでくれ

爪'ー`)y「まぁ、飯を食ってからだな、昨日の話の続きは」

( ・∀・)「……とてもとても、ヒジョーに希望的な意見なんだけど」

爪'ー`)y「なんだ?」

( ・∀・)「昨日の話、実は全て嘘でしたっていう、オチは?」

爪'ー`)y「はは、残念ながら答えは"皆無"だよ、親友、嘘偽りの類は一つもない」

にぃ、と笑ってフォックスは今やトレードマークのようなキャビンを吹かす
居間の天井が白く濁ったので、僕はフォックスがくわえていた煙草をもぎ取った
ぶわり、とチョコレートの香が鼻腔をつく

( ・∀・)「うちは禁煙なんだけど」

爪'ー`)「…………」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:09:36.61 ID:doDiOY7i0

フォックスは何も言わず、懐からもう一本煙草を取り出したので、僕も何も言わず、それを奪い取った
しばしの間、睨み合いが続く

( ・∀・)

爪'ー`)

( ・∀・)

爪'ー`)

さらに懐からもう一本取り出そうとしたので、僕はいい加減に苛んで、彼の襟首を掴んだのだが
しかし、再びあの時のように、彼の体は煙のごとく掻き消えてしまった

何処に行ったのかと思えば、フォックスは居間の真ん中で煙草を吸いながらテレビを見ていた
図々しいことこの上ない

(#・∀・)「…………お前ねぇ」

爪'ー`)y「あまり硬いこと言うなよ親友、これは俺のアイデンティティ、消えたら俺も煙みたいに消えちゃうよ、
     なんてな、ははは」

(#・∀・)「もういい!」

こいつと話していても、会話が進むことはない
振り回されることはあっても振り回すことはできない

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:10:53.34 ID:doDiOY7i0

僕は色々と諦めて、ダイニングテーブルへとついた
カウンターの上にのっているおかずをとって、ご飯を噛締める
こんな面倒くさい奴に絡まれても、あんなにわけのわからない目にあっても、お腹は空くんだから

人間って不思議だ


( ・∀・)「ったく……ところで君、何しにきたの?」
 つU

味噌汁をすすりながら聞くと、フォックスはいつもはギコがいるポジションに座り
目線だけをこっちに投げかけた

爪'ー`)y「昨日は説明が不十分だったからな、説明と、とりあえずのガード」

爪'ー`)y「あと一応言っておくけど親友、お前もう俺と同じ立場になってるから」

(;・∀・)「はぁ?」

爪'ー`)y「俺と同じく、現実世界に出てきた奴ら、まぁここでは"名無しさん"としておくか」

爪'ー`)y「そいつらを狩る奴って、もうあいつらにも認識されてるから」

(;・∀・)

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:12:27.47 ID:doDiOY7i0

爪'ー`)y「だからあいつらには襲われるかもしれないし、もしかしたら怪我とかするかもしれない
     身を守る方法は教えておいた方がいいだろう?」

そこでフォックスは体ごと振り向き、ソファの上にのしかかると薄く笑いながら、再び煙を吐いた
こ、こいつは……!本当、なんだ、あれだよ

死ねばいいのに!

(;・∀・)「し、死ねばいいのに……!」

爪'ー`)y「そうだな、一緒に殺しまくろう」

(;・∀・)σ「お前だお前ーー! ていうか発言が怖いんだよ!!」

爪'ー`)y「そういえば親友、昨日渡した黒丸、ちゃんと持ってるか?」

だめだこいつ、人の話を聞くことが出来ない奴なのかもしれない

(;・∀・)「黒丸って……あのビリヤードの玉みたいな奴? 持ってるけど、多分二階だよ」

爪'ー`)y「持って来いよ」

(;・∀・)「今食事中……」

爪'ー`)y「じゃあ俺が持ってきてやろう、部屋どこだっけ……」

(;・∀・)「やめろ! 僕の部屋に勝手に入るな! わかったよ! 持ってくればいいんだろもう!」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:13:57.90 ID:doDiOY7i0

勝手に他人に部屋に入られるなんて、冗談じゃない
僕は箸を置いて、部屋から昨日渡されたビリヤードの玉みたいな物、"黒丸"を持ってきた
見た目よりも重いその玉は、何で出来ているのかわからないが、熱くもなく、冷たくもなく、変わった感触だった

( ・∀・)「持ってきたけど……」

爪'ー`)y「常に持っておけ、誰かに渡すな、渡したら死ぬと思えよ」

(;・∀・)「お前はなんなんだよ! もう!」

説明しに来たという割には、圧倒的に説明ベタだこいつ
大体、こんな微妙に大きな代物、どうやって持ち歩けばいいんだよ、ポケットに入れるにはでかいし
かといって鞄に入れるには小さいし……ああもう、面倒くさいな

そう思っていると、フォックスが自分の鞄から小さな巾着袋のようなものを取り出した

それに僕が持っていた黒丸を入れると、上についているフックをベルトに引っ掛ける
不思議なことに、持っていると重かったあの黒丸が、この巾着に入れると重さを感じなくなってしまった

( ・∀・)「……何これ?」

爪'ー`)y「お前の黒丸専用、プレゼントだよ」

( ・∀・)「別に嬉しくないけどありがとう」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:17:00.78 ID:doDiOY7i0

爪'ー`)y「なあに、親友のためならこれくらいどうってことないさ。肌身離さず持って置けよ
     …………これから働いてもらうしな」

( ・∀・)「今何か不穏なこと言わなかった?」

爪'ー`)y「いいや? それより親友、早く行かないと授業に遅れるぜ」

(;・∀・)「うおっ!?」

気がつけばもう時計の針は8時を回っていた、このままじゃ確実に遅刻する

(;・∀・)「ああ!まだ僕の顔のチェックが終わっていないのに!!」

僕は食事もほどほどに、洗面所のほうへ走っていった
何をおいても、これだけは欠かせないのだ

フォックスも何も言わず、後ろへくっついてくる

爪'ー`)y「親友は自己愛が強いな」

( ・∀・)「うるさいな、僕は僕の顔が世界で一番大事なんだよ、傷ついたら苛められるかもしれないだろ」

爪'ー`)y「ははは、歪んでる歪んでる、けどその歪みは嫌いじゃあない」

( ・∀・)「何言ってるんだお前バカじゃないの」

人を食ったような笑みを向けるフォックスに対して、僕は大きなため息を吐いた

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:18:45.93 ID:doDiOY7i0




学校につくと、まあある程度予想していたことだけれど、皆が僕のことを遠巻きに見ていて、誰も話しかけてはこなかった
一昨日のことが原因だっていうのはわかっているけど、しかし昨日までは普通に話しかけてくれていた
デレやつー、ギコまで話しかけてこないっていうのは酷いんじゃなかろうか

よく考えたら、せめてフォックスの奴と登校してこなければよかったのに
どうして僕は馬鹿丁寧に一緒に登校してしまったんだろう
なんなの?バカなの?死ぬの?

(;・∀・)「………………」

席についたものの、視線が痛い
いつかのトラウマの箱が開いてしまいそうで、気が気じゃなかった

どうしよう、これが原因で苛められたら
とりあえずフォックスをぶん殴ろう。あ、でもアイツ煙になるんだった、ちくしょう
なんなの、本当

(;・∀・)「お、お早う、デレ」

ζ(゚ー゚;ζ「あー、うん、おはよー……」

隣の席についても、あからさまに目線を合わせない
こんなのってあんまりだ

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:19:55.78 ID:doDiOY7i0

(;・∀・)「つ、つー……」

(*゚∀゚)「おーいジョルジュ、宿題やったかー?見せろ」

(;・∀・)

シ、シカト……!?
これはきつい、本当にきつい!下手に罵られるよりもきついかもしれない

( ,,゚Д゚)「モララー」

( ・∀・)「あ、ギッコ!」

( ,,゚Д゚)「お前、タバコと友達だったの?」

((;・∀・))「えっまさか!」

( ,,゚Д゚)「でもあの後、お前消えちまって、しかも昨日休んだじゃん、俺何回もメールしたんだぜ」

(;・∀・)「ご、ごめん、携帯の充電切れてて……」

( ,,゚Д)「もういーわ」

せかく、話しかけてくれたと思ったのに……そのまま、ギコはプイと前を向いてしまって
僕の方を見ようともしない
完全に孤立してしまったんだ

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:21:35.81 ID:doDiOY7i0

(;・∀・)「…………」

( う∀・)(後でフォックス殴ろう……)

たった一日で、友達がすごい勢いでいなくなってしまった
一昨日までは普通だったのに、どうしてこうなった!どうしてこうなった!
AAが頭の中を過ぎるけれど、今となってはそれすらも忌々しい

( ;∀;)(今日から一人飯か……)

休み時間、机に突っ伏してやり過ごすか、トイレで時間をつぶすであろうことを考えると、涙が出る
くそ、フォックスめ!あの狐野朗!

「あ、あの、モララーくん?」

( ・∀・)「……え?」

そのとき、後ろから聞き覚えのない声が聞こえて、僕は振り返った

川д川

後ろに立っていたのは、クラスでも地味で、あまり目立たない感じの女生徒

貞子さんっていったっけ……、目立たない女子グループの中でも、さらに目立たないって印象だ
黒い長い髪が背中の下のほうまで伸びていて、顔はあまり見えない

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:22:49.06 ID:doDiOY7i0

川д川「こ、お、お早う、いい天気だね……」

( ・∀・)「え? あ、う、うん……」

このクラスになって彼女と喋るのは初めてだったので、正直、非常に戸惑った
他のクラスメートたちは、もう僕の存在なんて忘れたかのように皆好き好きに話していて、誰も僕達が
喋っていることに気づいてもいないようだ

川д川「お、お、一昨日、どうした、の?」

(;・∀・)「え、えっと……」

川д川「タバコって、すごい不良ってき、聞いたから、モ、モララーくんには、合わないんじゃないか、な
    あぶ、ないよ」

( ・∀・)「いや、僕も別に友達ってわけじゃないから……」

川*д川「あ、そ、そうだったの! ならいいの、えへ、えへへ……」

恥ずかしがるようにして顔を赤く染めるその姿は、あまり見ることがない姿だった

( ・∀・)「珍しいね、僕に話しかけるの」

川д川「ふ、普段は、デレさんとか、つーさんが、その、いるから……」

( ・∀・)「ああ……」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:24:36.41 ID:doDiOY7i0

確かに、今まではデレやつーが僕といつも一緒にいたかもしれない
あまり意識はしていなかったけど、彼女達は他の女子を牽制していたのかも
よくよく考えたら、いつもデレやつーばかりの女子と話していたのもおかしな話だし

( ・∀・)「イケメンは罪だなあ」

川д川「えっ?」

( ・∀・)「いや、なんでもないよ」

川*д川「えへへ……あ、そ、そういえばモララーくん」

( ・∀・)「ん?」

川д川「そ、その腰の巾着なあに?」
σ

貞子さんは僕のベルトに引っかかっている巾着を指差して言った
……そうだよなあ、普通こんなところに巾着ぶら下げてたら、誰だって変だと思うよなあ
皆近付かないから、ある意味安心してたんだけど

(;・∀・)「これは、えっと……」

川д川「う、うん?」

(;・∀・)「お、守り、かな」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:26:04.01 ID:doDiOY7i0

川д川

(;・∀・)

間違っては、いないはずだ

川д川「へぇ……そ、そうなんだ……随分、お、大きいね」

(;・∀・)「ま、まあ大きい分ご利益も多いんだよ、多分」

川д川「そう……あ、チャイム」

予鈴がなって、皆ぞろぞろと席に着き始める
貞子さんも自分の席へと戻っていった、戻る前に、僕の方を振り返って、小さく手を振った

川*д川ノシ「ま、ま、また、ね」

( ・∀・)「うん」

よかった、とりあえず、クラス全員にハブられるってことは無さそうだ
顔を磨いておいて良かった

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:27:47.96 ID:doDiOY7i0




しかし、結局他の人にはハブられてるわけで、結局、休み時間は散々だった

授業中はまだいい
昔みたいに僕が発言するたびにひそひそとした笑い声が聞こえるわけでも、後ろから消しゴム投げつけられたり
背中にゴミ箱って張られてゴミ投げられるわけでもないから

ただ、休み時間は本当につらい
特に昼休みなんて、地獄だ
普通の学生なら、休み時間は天国だろうに、今の僕には無用のものだった

(;-∀-)「ハァ……」

一人飯の時間がやってまいりました
お弁当を持って、とうとう便所飯でもしようかという時、教室の扉が開き、フォックスが現れた

爪'ー`)y「よう親友、飯食いに行こうぜ」

( ・∀・)「…………」

爪'ー`)y「どうしたどうした、その目はどうした、何か嫌なことでもあったか?」

( -∀-)「……いや、もういい、僕は色々と諦めた」

鞄ごと引っつかんで、僕達は教室を出ていった

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:29:44.62 ID:doDiOY7i0

後ろからざわめきが襲ったが、もう無視することにしよう
僕が無視したところでフォックスは追ってくるだろうし、それに、このまま一人でいるよりは
誰かと一緒にいた方がマシな気もする

( ・∀・)「何処で食べるの?」

爪'ー`)y「屋上だな」

( ・∀・)「閉鎖されてんじゃん」

爪'ー`)y「ははは、親友は面白いことを言う、閉鎖なんて言葉は、所詮偽者だ」

( ・∀・)「あっそ、もうどうでもいいわい」





川д川「………………」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:31:42.41 ID:doDiOY7i0

・・・・・・・・・・・・・



そして、案の定屋上への扉は硬く閉ざされていた
よく漫画とかで屋上でご飯食べてるシーンとかあるけど、現実に屋上が開放されている高校とか存在するんだろうか?
自殺ホイホイじゃないか

( ・∀・)「閉まってるよ」

爪'ー`)y「わかってる、手をだせ親友」

( ・∀・)つ「?」

爪'ー`)y「ふぅ〜〜〜……」

フォックスは僕の手を掴み、体中を煙に溶かし始めた
そして、手をつながれている僕の体も煙となって溶け始める

(;・∀・)「お、ちょ、おい!」

爪'ー`)y「探し物はなんですかぁ〜、見つけにくいものですかぁ〜♪っと」

何故か歌いながら、それでも体は溶けていく
こいつ頭がちょっとやばい奴なのかもしれない、離そうと思っても、すでにがっちり掴まれていて
振りほどけない

僕のあほ、素直に手を出す奴があるか!

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:33:26.65 ID:doDiOY7i0

(;-∀-)「っ〜〜〜〜!!」

思わず目を瞑る、それは一瞬のことのようにも思えたし、非常に長い時間にも感じた

爪'ー`)y「おい親友」

(;-∀・)「……?」

爪'ー`)y「飯食おうぜ」

(;・∀・)「……あ、あれ?」

しかし、目を開いた時には、僕は風が吹き荒れる屋上の上にたっていた
手すりの向こうにはグラウンド場があって、昼ごはんを食べ終えた生徒達がサッカーしている
高校に入学してから2年、屋上なんて初めて入った

(;・∀・)「な、何したんだ?」

爪'ー`)y「体を煙にして、扉の向こう側に行っただけの話だろ」

(;・∀・)「何を当たり前のように言ってるんだよ」

そんな非日常的なことさらっと言わないで欲しい
僕は普通の人間なんだから
しかしフォックスは別に気にしてもいないようで、柵を背に腰掛けると、僕にも座るよう促した

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:35:49.19 ID:doDiOY7i0

確かに、ここでうろたえていても何も変わらないし、むしろ休み時間も終わるから時間の無駄だ
僕はフォックスの前に腰を落とすと、お弁当を広げた

中身はご飯に玉子焼きにハンバーグ、ひじきの煮物にマカロニのサラダ、僕の好物も入っていて、いそいそと
箸を掴んだ

爪'ー`)y「家庭的な弁当だな」

( ・∀・)「そういうお前は……」

フォックスの手元に視線を落とすと、そこに握られていたのはカロリーメイトとチョコレートだった

( ・∀・)「………………」

爪'ー`)y「どうした?」

( ・∀・)「……一応聞くけど、それがフォックスの食事じゃないよな?」

爪'ー`)y「何かおかしいか?」

(;・∀・)「可笑しいっていうか、もうお前の存在そのものがおかしいけどさ
     それは食事じゃないだろ、お菓子だろ!」

爪'ー`)y「甘党なんだ、俺」

(;・∀・)「その話はもういい、ちゃんとバランスとらないと体壊すぞ」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:37:48.00 ID:doDiOY7i0

爪'ー`)y「おいおい、人間に言うことみたいなセリフだな」

( ・∀・)「…………お前ら、人間じゃないみたいだけど、なら、なんなの? なんで人間みたいな姿してるんだ?」

そのセリフに、フォックスはカロリーメイトをかじりながら、ちょっとだけ目を丸くした
それからにやりと笑うと、良くぞ聞いてくれたと言わんばかりに饒舌に語り出す

爪'ー`)y「いーい質問だぜ、親友、ようやく興味を持ってくれたか」

( ・∀・)「………別に」

爪'ー`)y「俺たちはな、元々2ちゃんねるに棲むやつらだから、実体はない、大抵の奴は、現実世界で暴れるとき
     ――――人間の体を乗っ取るんだ」

(;・∀・)「乗っ取る?ってことは、フォックスの体は元は人間なわけ?」

爪'ー`)y「いいや、乗っ取るのは雑魚がやること、俗に言う"名無しさん"のやるこった」

名無しさん、それは確か2ちゃんねるの世界から飛び出して、現実世界であばれている奴
の、ことだっただろうか

爪'ー`)y「俺は一応ひろゆき直属の、言い方を変えれば幹部みたいなもんだから
     これは俺の、俺自身の実体だ。素敵だろう? 素敵だよな」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:39:46.01 ID:doDiOY7i0

(;・∀・)「へぇ、……ていうか、ひろゆきって何? 
     ひろゆきはもう2ちゃんねるの管理人じゃないんじゃなかったっけ?
     ドイツに権利を渡したとかなんとか……」

爪'ー`)y「ひろゆきはただのボスの総称だ、2ちゃんねるを司る"ひろゆき"に仕えているわけで
     別にクチビルお化けそのものががボスってわけじゃねえさ」

(;・∀・)「や、ややこしいなあもう……じゃあボスはなんなのさ」

爪'ー`)y「さーねぇ」

そういってフォックスはタバコの煙で輪っかを作り出して、ぷかりと浮かせた
子供とかにやったら喜ばれるあれだ

その輪っかは形を変えて、あるものは食べ物の形に、またある物は動物の形に姿を変えて、空を飛んでいく
その光景はどこか幻想めいていた

(;・∀・)「…………」

爪'ー`)y「で、俺たちはこういう力を使って、その名無しさんを退治しているわけだ」

爪'ー`)y「その力の源が、お前に渡したその黒丸、敵に襲われたときはそれに限る」

フォックスが僕の腰を指差して言う
そこでようやく、僕はその腰の巾着の存在のことを思い出した

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:41:00.21 ID:doDiOY7i0

(;・∀・)「ああ、これ……どうでもいいけど、これ恥ずかしいよ、もっと人目につかない方法ないの?」

爪;'ー`)y「……は?」

そこで僕は、初めてフォックスが困る表情を見た気がした

( ・∀・)「いや、だから、これ指摘されて恥ずかしかったから、目立たないように持つ方法教えて欲しいんだよ」

爪'ー`)y「それはジョークか、親友、ジョークだよな」

( ・∀・)「僕はお前にジョークは言わない、楽しませる義理もない」

爪'ー`)y「ははは、まったくお前は面白いよ、なぁ親友、それは俺の特製でね、普通の人間には見えないんだ」

(;・∀・)「…………は?」

爪'ー`)y「その袋が見える奴は、俺たち側の奴だけだよ、お前、それ…………誰に指摘されたんだ?」

(;・∀・)「だ、だれって……」


    川д川


(;・∀・)「……冗談?」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:42:33.93 ID:doDiOY7i0

爪'ー`)y「残念ながら、本気だね」

(;・∀・)「……………………」

あの時、確かに貞子さんは僕の巾着をさして何かって聞いた
他に何か指摘されるようなものは身に着けていなかったはずだし
彼女にはしっかりこの巾着が 見えて いたんだろう

爪'ー`)y「クク、ははは、しかし親友、お前」

( ・∀・)「な、なんだよ」

爪'ー`)y「……早いなあ、接触が、流石のフォックスも驚きさ」

(;・∀・)「はぁ……?」

爪'ー`)σ「後ろ、見てみろよ」

出入り口の方を、フォックスが指差す
釣られて振り返ると、そこに立っていたのは

(;・∀・)「さ……」

川д川

キィキィと、閉ざされていたはずの屋上の扉が壊れて外れていた

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:43:35.27 ID:doDiOY7i0

青いスカートをひらひらと揺らし、俯き加減で佇んでいる貞子さん
僕達には聞こえない程度の小声で何か呟いているようにも見えた
風のせいで赤いスカーフがたなびいている

(;・∀・)「どうしてここに……ていうか、どうやって入ったの……?」

川д川「モ、モ、モララー……、くん、私、い、いったよね……ハァ」

(;・∀・)「えっ……?」

川д川「タバコみたいやなや、奴と、つ、付き合うとろくなことが、ないって」

爪'ー`)y「おいおい、俺も嫌われたもんだな」

川д川「ど、どうして、聞いてくれないの? そ、そんな奴とつきあ、ってたら
    モララーくん、までだ、ダメになっちゃう、んだか、らね?」

(;・∀・)「さ、貞子さん、落ち着いて……」

なにやら妙に興奮しているようで、僕の言葉は耳に入っていないようだ
彼女を落ち着かせるために、僕はゆっくり立ち上がり、彼女の方へと向かう、しかし

爪;'ー`)y「近付くな!!」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:44:48.41 ID:doDiOY7i0

チッ
(- ・∀・)「えっ?」

(т・∀・)

頬を、何かがかすった
手で触ると、ぬるりとした赤い液体が指にへばりつく、これ…………血?
僕の顔が傷ついたのか? もしかして

(т・∀・)「…………血」

:川д川:「モララーくんは、モ、モララーくんは、わた、私が最初にみつけ、たんだから……
 つと  変なアバズレが、消えて、ば、万々歳だと思ったのに……どうして、どうして……」

爪'ー`)y「ヤレヤレ、……面倒だな、とりあえず下がってろよ
     なぁに、心配することはない、俺はフォックス、化かして煙に巻いてやるさぁ」

(; ∀ )「血……僕の顔が……」

昔、苛められたおことがある、オタクっぽいって、前髪がうざいとか、存在がキモイとか、散々罵られた
だから、外見が気持ち悪いから苛められるのかと思って、頑張って、自分を磨いた

もうキモイとか言われないように、外見を磨きに磨いた
磨いたら皆いじめてこなくなった、この姿は僕の誇り
今の僕の姿は気に入ってる、大好きだ、この顔だけが僕の全て

爪;'ー`)y「…………聞いてないみたいだな」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:46:41.79 ID:doDiOY7i0

川゚д川「どうして邪魔するのよぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」

(  ∀ )

それを傷つけられた
この顔を傷つけられた、傷つけられたら僕はどうなる? また苛められるのか?
あの頃、みたいに? そんなの嫌だよなあ、嫌だいやだ、ぜったいにゴメンだ
だけど、でも傷つけられちゃった、僕の顔……

傷つけられた? 傷つけられた! 傷が! 傷が!
僕のこの顔に傷があああ、ああああああああ!!

(# ∀ ) 

爪'ー`)y「ヤレヤレ、恋する女は怖いねえ……怖い怖い」

スゥー
爪-ー-)y-・

 プッ
爪'3`)y =三―・

ジュッ
-・川;д川「熱っ!」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:48:19.16 ID:doDiOY7i0

爪'ー`)「……よーう親友、御機嫌よう、調子はどうだ? 絶好調か? 絶好調だよなあ、なんせお前は」


  爪'ー`)y「俺の親友、2ちゃんねらなんだから」


(#゚∀゚) カッ

考える暇もなく、僕は貞子さんに体当たりをしていた、何か取り出そうとしていた貞子さんは
その小柄な体系のせいか、あっけなく倒れる
普段女の子に手を上げない、というか手を上げる機会はない僕だけど、今回は話が別だ

(#・∀・)「切れた!」

(#・∀・)「切れた! 切れたさ! 僕の顔に傷をつけた、それだけでお前は極刑確定だ!」

爪'ー`)y「ははは、お前のそのナルシストっぷりは気持ち悪くて嫌いじゃないぜぇ」

川;д川「モ、モ、モララーくん……?」

(#・∀・)「名無しさんだかなんだか知らないけどな! そんなもん僕はどーうでもっいいんだ!
     自分さえよければそれでいい! 文句あるか!」

爪'ー`)y「いい感じに悪役だ親友、傑作、傑作」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:50:14.09 ID:doDiOY7i0

茶化すフォックスは無視して、足元で震える貞子さんに言い放つ

(#・∀・)「だから、僕のことをなんとかしようと思うなら、それはもう全力でお断りだ!
     僕はこのタバコ野朗に協力する気もないけどね! 君も、僕の顔を傷つけるなら敵だ!」
 
:川д川:「痛……わ、わたし……、そ、そんなつもりじゃ……ただ……モララーくんが……」

目の前で貞子さんがガタガタと震えだす、しかし僕にはもうそんなこと問題じゃなかった
問題なのはこの顔が傷つけられたことと、僕もこの妙な戦いにに巻き込まれていることだけだ


(#・∀・)「そもそもの原因はお前だ! フォックス! この借りはいずれ返すぞ!」

爪'ー`)y「そいつぁ楽しみだ」

:川д川:「タ、タバコの……タバコのせいだ……絶対……タバコの、あいつのせいで……モララー君がこんなに
     なっちゃったのよ……だ、だって、モララーくんが私に冷たいわけ、な、な、ないもん……」

爪'ー`)y「………………親友」

(#・∀・)「なんだよ!」

爪'ー`)y「黒丸、手に持っておけ」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:51:50.74 ID:doDiOY7i0

(#・∀・)「はぁ!?」

:川д川:「モララーくん、は、わ、私のお、王子さまなんだから……だから……」

爪'ー`)y「名無しさんってのはあくまで名称でね、名無しさんでも、色々種類があるのさ……こいつは」

僕は言われたとおりに腰についていた巾着から黒丸を取り出し、手に持った
鈍い光を放つそれは、袋から出したとたんに重量が増した気がする

:川д川:「嘘だよ、嘘だね、嘘だ、うそうそ、大丈夫、だ、大丈夫だからね、モララーくん……操られてるのよね……
     今わ、私がその手モ、モララーくんを……す、す、救って……」

爪'ー`)y「数ある名無しのうちの一人……」

:川д川:「救ってあげるぅううう!!」

(;・∀・)「なっんだこの風……!?」


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:52:45.50 ID:doDiOY7i0





   川゚д川「呪……ます……!"コトリバコ"!」





爪'ー`)y「"本当にあった怖い名無しさん"、だ」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:54:58.28 ID:doDiOY7i0

(;・∀・)「!?」

瞬間、爆発したような破裂音が響き渡った

貞子さんが、どこから取り出したのか、木製の箱を空に掲げた瞬間、怖気が走るような冷たい空気が屋上に流れる
ビリビリと肌に突き刺さるような、この空気

(;・∀・)「な、なんだ……っ!?」

爪'ー`)y「やれやれ……親友、ちょっとそこを動くなよ」

(;・∀・)「!?」

爪-ー-)y スゥ

 ポッ
爪'兪)y 〜3

3(;・∀・)「な、何やってんだよ?」

隣でフォックスが、煙を吐いた
するとその煙は、僕の体を覆うようにまとわりついてくる、まるで服のように

3(;・∀・)3「うわ、わ!?」

妙な感覚だ、空気に溶けず、そのまま残る煙っていうのは

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 16:57:32.54 ID:doDiOY7i0

爪'ー`)y「ガードだよ、ガード。…………来るぞ」

(;・∀・)「っ!!」

川゚д川「み、みんな、お願ぁああい! モララーくんをた、た、すけてねぇええええええええええ!」

飛び込んできたのは貞子さん自身ではなく、貞子さんが掲げた箱から出てきた"モノ"だった
それは一直線にフォックスの方へと向かっていく
妙なうめき声を上げながら突進するそれが、僕にはなんなのかわからない、赤黒いそれは、体の一部にも見える

しかし、当たったらまずい、ってことだけは、なんとなくわかった


(;・∀・)「フォックス! あ、危なっ……!」

爪 ー )y「邪ぁ魔」

ふぅ、と吐いた煙が、まるで意思を持ったように、そのモノたちに突き刺さった
耳障りな声と共に、そいつらが消える、まるで煙のように

(;・∀・)「………………」

                、、、、 
爪'ー`)y「おいおい……、ショボイぞ、名無しさん」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 17:01:09.27 ID:doDiOY7i0

川゚д川「………………!」

爪'ー`)y「がっかりさせないでくれよ、この俺を! いや、ガッカリさせるために、お前らは生まれてきたのかな? はは
     所詮"名無しさん"なんてこんなものか」

川#д川「っ……!!」

一瞬で、貞子さんの怒りが沸騰したのが、僕にはわかった
長い髪を揺らめかせて、そのまま一直線に突進してくる

川#д川「こっ……こぉのおおお!! 邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔! アンタ邪魔なのよぉおおお!
    トミノちゃん! 口裂け! 殺しちぇぇえ!!」

(;・∀・)「ひぃっ!」

今度は箱の中から、二人の女性が出てきた
一人は着物姿の童女、もう一人は、顔を覆うマスクを貼り付けて笑う女性
どっちの名前も、僕には聞き覚えがある

オカルト板はあまり行かないけれど、VIPでもその存在は割と有名だ

爪'ー`)y「怖いなあ、怖い怖い」

口裂け、と呼ばれたほうが、フォックスの腕に食らいついた
人間ならばそのまま毟り取られていただろう、腕が伸びて、腹を突き破ろうと包丁が光るが
残念ながら、フォックスは煙になってそれをかわしてしまった

川#д川「………………!」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 17:06:28.51 ID:doDiOY7i0

川д川「…………」

川д川「…………モ、モララーく、ん」

(;・∀・)「は、はいっ!?」

かわされたその姿を見て、貞子さんは怒るかと思いきや、意外にも静かになり、僕のほうへと向き直った
な、なんだ……?
僕は使い方も解らないくせに黒丸を握り締める

川*д川「わ、私、ね、一年の頃から、も、モララーくんの事が、好き、でした」

(;・∀・)「えっ……?」

川д川「モ、モララーく、んは、もう覚えてない、かも知れないけど……私がち、遅刻しそうになったとき
    じ、自転車の後ろに乗せてくれたことが、あ、あったの」

( ・∀・)「…………」

そのことは、僕自身も覚えていた
一年生のとき、必死に走っている女の子がいたので、人助けのつもりで後ろに乗せてあげたのだ
でも、それがまさか貞子さんだったなんて

川*д川「すごく、すごく、う、嬉しかったです……」

川*д川「私、こ、こんなだから……男の人とまともに、は、話せなくて……」

( ・∀・)「…………」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 17:13:48.13 ID:doDiOY7i0

川*д川「で、でも、モララーくんだけは、ま、まともに話してくれて……私、その時からずっと……
    好き、でした……」

爪'ー`)y「…………」

屋上での告白、こんな展開じゃなければそりゃあもうロマンチックなものになったかもしれない
だけど、ロマンチックを語るには、彼女が持つ箱は禍々しすぎた
しかし彼女は話を続ける

川*д川「だから、ね、モララーくん……私、モ、モララーくんが、欲しい、んです」

川*д川「でも、タ、タバコが、邪魔する、か、から……だから……手に入らないなら……せめて」
  OO

( ・∀・)「…………」



  川∀川「手に入らないなら、せめて一緒に死んで下さい」



(;・∀・)「えっ……あれ?」

爪;'ー`)y「親友っ!!」

体が、宙を舞っていた
空ってこんなに青かったっけ? いや、そうじゃない、そんなことを考えている場合じゃない

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 17:19:14.63 ID:doDiOY7i0

重力にしたがい、ゆっくりと落ちていく体

宙に浮くって言うのは、初めての感覚だ

空を飛ぶってこういうことなのか?

ああ、グラウンド場が見える、てことは、ここ、もしかしてフェンスの向こう側なのかよ?

おい、マジかよ、冗談きついって

爪;'ー`)y「――――――っ!!――――っ!」

フォックスが何か叫んでいる
何、お前、何言ってるのか聞こえないんだけど

川*д川「好きですモララーくん! 大好き! え、えへへっわた、私もすぐにそ、そっちに行きますから
    これで一緒!永遠に、い、一緒!」

貞子さんが下でけたたましく笑っている

笑いけど、リアルヤンデレは怖いんだよ

( -∀-)

僕はこのまま死ぬんだろうか

まだ16なのに、人生これからって時に、僕は死んでしまうの?

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 17:22:25.15 ID:doDiOY7i0

嫌だなぁ、死にたくない

死にたくないよ、だって僕は、まだ全然人生を楽しんでない

苛められていた時と比べたら、まだ苛められていた時代の方が長いくらいだ

そんな悲しい人生のまま死ぬなんて、嫌だ、絶対に嫌だ


爪;'ー`)y「――ゆぅっ――! し――ゆうっーーー!」

フォックスが何か叫んでいる

チクショウ、こうなったのもお前のせいだ、責任とりやがれこのタバコ野朗、狐目

だいたい、なんなのこの黒丸って、まったく役に立たないんだけど

ああ、くそ

落ちる


落ちる


落ち



89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 17:26:03.57 ID:doDiOY7i0


爪;'ー`)y「黒丸使え親友! 頭に思い浮かんだ2ch用語! なんでもいい、叫べ! それがお前のっ――」


(  ∀ )


黒丸を使えって、お前、説明今かよ

もっとあっただろ、説明する時間他にさ


何を、叫べって


何? 2ch用語?

えーっと



(  ∀ )「………………ぬるぽ」


94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 17:33:36.12 ID:doDiOY7i0

川д川「ガッ!!!!」



(;・∀・)「………………あれ?」

手の内の黒丸が熱くなり、物凄い引力に引っ張られたと思えば、僕の体は
気がつけば元の屋上に戻っていた

( ・∀・)「何だ……これ?」

笑っていたはずの貞子さんは倒れていて、僕の手にはなんだか細長い槌のようなものが握られている
持ち手の部分は赤く、肝心の頭部は割と小さめで、頭部は金色に光っていた

( ・∀・)「………………フォックス?」

爪゚ー゚)y「ブラボー、親友」

( ・∀・)「…………これ」

爪'ー`)y「それがお前の黒丸だよ、規制効果もあるみたいだな」

( ・∀・)「規制……?」

川д川「あっ、あぁぁああ!な、んで動けないの!ばかぁ!」

倒れた貞子さんは、意識はあってもどうやら動けないらしい
この槌のせいだろうか

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 17:40:37.52 ID:doDiOY7i0

爪'ー`)y「さぁて、こっから先は俺の仕事だ、それはまだ目覚めたばっかりだし、長くは持たないだろう」

( ・∀・)「え、あ?うん……?」

フォックスが、倒れたまま動けないでいる貞子さんの方へと近付いていった
僕は何もせず、ただその場でことの成り行きを見守っている

川;д川「離せ!離せ!モ、モララーくん、お、お願い、やだよ、わ、私モ、モララーくんが
     好きなだ、だけなの、本当、だよ!」

( ・∀・)「…………」

爪'ー`)y「"本当にあった怖い名無しさん"、俺はあんたを、規制する」

( ・∀・)「規制って……?」

爪'ー`)y「二度と現実世界に出てこれなくする、永久規制だ」

( ・∀・)「…………」

川;д;川「やだぁあああ! やだあぁあ!! モララーくんにもう会えないなんて、そんなのやだぁああ!」

爪'ー`)y「残念」

フォックスがタバコを口にくわえ、その息を吹きかける
規制って、どういうことなんだろう、あの息を吹きかけたら、それでお終いなんだろうか

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 17:45:54.28 ID:doDiOY7i0

白い煙の輪が貞子さんに迫る

爪'兪)y「じゃあな、名無しさん」

(  ∀ )「――ま、待った!!」

爪'ー`)y「あん?」

川;д川「…………?」

(;・∀・)「こ、こうしないかな……?」

僕の提案に、フォックスは笑い、人を食ったように目を細めたあと、ブラボーな心意気だ、とだけ呟いた
貞子さんは涙ぐんで、僕に頭を下げる

僕自身、ちょっとだけお人好しかもしれないと感じてしまったけど
そもそも彼らは人じゃあない

これでいいんだ、もう





100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 17:51:03.47 ID:doDiOY7i0




翌日から、僕の家には"自称"親友と、"自称"ゆくゆくは彼女が迎えに来るようになった

爪'ー`)y「よう親友、お早う」

川*д川「お、おは、ようご、ございますっ……!」

(;・∀・)「……どうして当たり前のようにくつろいでるかなー」

もはや、一階に降りてこいつらがいても慣れてしまった自分に、普通に驚く

爪'ー`)y「固い事言うなって、今日の朝ご飯は作る時間なかったから適当に食べろってさ」

(;・∀・)「か、母さーん!」

川д川「ああああああの! モ、モララーくん! わ、私お弁当作ってきた、んで、す!よ、よかったら……!」

朝ごはんなしかと思っていると
貞子さんはどこから取り出したのか、三段重ねのお弁当をテーブルの上に広げた

爪'ー`)y「重箱かよ、重い愛だな」

(;・∀・)「あ、ありがとう……」

川*д川「え、えへへ、……が、頑張りましたっ……」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 17:57:23.95 ID:doDiOY7i0

中身は色とりどりで美味しそうだけど、前に出されたコトリバコを思い出してしまったのもまた事実
それとももしかして、意識したんだろうか?
だとしたら少し怖い

川д川「モ、モララーさんがた、助けてくれたから、わ、私、datの海に行かずにす、すみました!
    これからはモララーさんのた、ために、頑張りますね!」

(;・∀・)「う、うん……」

爪'ー`)y「つっても、規制はさせてもらうけどな」

あの後、彼女は結局フォックスに永久規制ではなく、半規制のようなものをさせられた
むやみやたらに能力を振りかざせない代わりに、僕らのことに協力すること
datの海に落とされなかったことがよほど嬉しかったのか、貞子さんは何度も僕にお礼を言った

川*д川「えへへっ……」

(;・∀・)(やれやれ……)

爪'ー`)y「親友も大変だな」

( ・∀・)「お前が言うな」

少しだけ、2ちゃんねるに棲む彼らがどんなもので、どんな奴らなのかわかった気がする
だけど、今はとりあえずおいて置こう

人間、何をしていてもお腹が空くんだから、一先ず、朝ご飯だ

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/25(金) 17:58:09.69 ID:doDiOY7i0

( ・∀・)

( -∀-)「いただきます」
  OO



二話、終わり


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