- 3 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:25:44.22 ID:dV8YrpTzO
- 昼はデレの講義、夜はギコさんとの稽古。
そんな日が五日程過ぎた。
日に日に僕の作る傷は減り、今では多少ながらギコさんと互角に打ち合えるようになってきた。
まぁ、それでもこちらは必死だし、向こうは涼しい顔をしていたが。
(,,゚Д゚)「おらおらー、俺の本気の一撃を受けてみろー」
(;^ω^)「普通に棒読みじゃないですかお! わっ、ととっ!」
(,,゚Д゚)「いや、しかし飲み込みは早いぞ。うん」
(*^ω^)「本当ですかお!?」
(,,゚Д゚)「……隙あり」
(;^ω^)「痛っ!」
ちょっと浮かれてたところに一撃が手を直撃した。
思わず武器を手落としてしまう。
- 4 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:27:09.21 ID:dV8YrpTzO
- (,,゚Д゚)「だからっ、隙をっ、見せるなと、言ったろう!」
棒を拾う間もなく降り注ぐ攻撃。
え、いや、タイム。
これ稽古じゃない、リンチですって。
(メ ^ω(#)「痛っ、あだっ、ゲフッ、グゥ」
(,,゚Д゚)「全く、いいか? 少しの油断が命取りになる場合もあるんだ。
何時いかなる時も気を抜くなよ?」
(メ ^ω(#)「わ、わがりまじだお……」
(,,゚Д゚)「じゃあ今日の稽古は終わりだな。
ゆっくり休めよ?」
(メ ^ω(#)「はいですお」
- 5 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:28:15.56 ID:dV8YrpTzO
- ζ(゚ー゚;ζ『今日はこっぴどくやられましたねー』
(メ ^ω(#)『全くだお』
ζ(゚ー゚*ζ『けどそろそろ首都に着きますし、もう終わりも近いですね』
そうなのだ。
あと二日とちょっともすれば、首都VIPに着くらしい。
ギコさんは飲み込みが早いと言ってくれたが、本当のところはどうなのだろうか。
ちょっとデレに聞いてみた。
ζ(゚、゚*ζ『早いとは思いますよ。ただ、私の存在を忘れてはいませんか?』
と、意外にもちょっと不服そうな返答が返って来た。
(メ ^ω(#)『?』
ζ(゚、゚*ζ『いいんですよー、所詮私の能力なんて、戦いには必要ないですもんねー』
- 6 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:30:26.94 ID:dV8YrpTzO
- なるほど、分かった。
結局のところ、彼女は拗ねているのだ。
しかし、彼女にも子供みたいな一面もあるんだな。
(メ ^ω(#)『けど、力を使っても大丈夫なのかお?』
ζ(゚ー゚*ζ『いや、まずいんですけどね』
(メ;^ω(#)『ダメなんじゃ使えないお』
彼女の返答に、僕は思わず突っ込んだ。
ζ(゚、゚*ζ『けど、私だって何か力になりたいんですよ?』
(メ ^ω(#)『うーん、けど、力を使えないとなると、頼ることはできないと思うお』
ζ(゚、゚*ζ『ブー』
- 7 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:31:56.81 ID:dV8YrpTzO
- 翌日も彼女の講義は続いた。
この時だけ彼女の役目があると思ってるのだろうか。
彼女の声はとても楽しげに感じた。
しかし、もしもそう感じてるのなら、それは大きな誤解というものだ。
僕は彼女がいてくれるだけでも、十分に心強く感じてるのだから。
ζ(゚ー゚*ζ『じゃあ今日は、ブーンさんの能力について説明しましょう』
( ^ω^)『お。それは助かるお。己を知り相手を知れば、百戦危うからず、だお』
ζ(゚ー゚*ζ『? まぁ、いいです。それでははじめますね』
- 8 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:33:47.02 ID:dV8YrpTzO
- ブーンさんの能力は主に二つに分けられます。
私の腕から蔓、蔦、花を出す能力と、自然回復力強化の能力です。
それぞれ限度というものはありませんが、量に比例してブーンさんの負担も増加します。
使い過ぎには注意してくださいね?
蔓は腕輪を始点とする直線や曲線を、蔦は腕輪が接する面を、花は左手が触れた特定の範囲へイメージを膨らませれば実体化します。
今度ちょっとやってみたらどうですか?
( ^ω^)『そうさせてもらうお』
あとは自然回復力強化についてですが、これはもう分かってますよね?
( ^ω^)『もちろんだお』
なら安心です。
- 9 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:34:55.68 ID:dV8YrpTzO
- あとはちょっとした幸運に恵まれる能力もありますが、これはそれほど大したことないので、気にしないで下さい。
( ^ω^)『……』
これまでの幸運さを考えると、相当なものだと思ったのは気のせいだろうか?
(^ω^ )『……』
ζ(゚ー゚*ζ『どうしました?』
( ^ω^)『……何でもないお』
忘れることにした。
- 10 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:37:27.22 ID:dV8YrpTzO
- ( ^ω^)「さて、またもや地獄の時間がやって参りました」
(,,゚Д゚)「……本当に地獄見せてやろうか?」
(;^ω^)「じ、冗談ですお」
それから始めた稽古。
だが内容はもう、始めた頃とは全く違う。
それは自分でもよく分かる程だった。
( `ω´)「……! セイッ!」
(;,゚Д゚)「うおっ!?
今のはちっとばかし危なかったぜ……」
( ^ω^)「くそぅ……」
- 11 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:38:33.09 ID:dV8YrpTzO
- あと一歩だけ足りなかった。
だが、初めてだ。彼に冷や汗をかかせたのは。
それもまじめにやってきたお陰だろう。
(,,゚Д゚)「調子にのるなよ?」
(;^ω^)「わ、わわわあだだだだだ……」
――
――――
――――――
(メメ^ω(#)「……弟子相手にここまで本気でくるのは、正直大人気ないとおもいますお」
(;,゚Д゚)「……スマンかった」
- 12 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:40:30.58 ID:dV8YrpTzO
- (メメ^ω(#)「いただきますお」
(*゚ー゚)「また同じような顔してるねー」
いや、好きでなってませんよ?
そう口にしようとしたが、やめた。さすがに年下相手に大人気ないだろう。
僕はどっかの誰かとは違う。
(,,゚Д゚)「……悪かったって。そう睨んでくれるなよ」
(メメ^ω(#)「いや、別に睨んだつもりはないですお」
そうかと言って、彼は夕飯のカレーみたいな料理を口にした。
彼なりに反省してるのだろう、しばらくはいつもと違って無口だった。
(*゚ー゚)「じゃあさ、明日は私とやらない? ブーンの力、見てみたいなー」
(;,゚Д゚)「お、おいおい。勘弁してくれよ」
しぃちゃんが我が儘を言い出した。
余程珍しいのだろう。
彼は見るからに焦っていた。
- 13 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:43:04.01 ID:dV8YrpTzO
- (*゚ー゚)「ほら、私いつも夕飯係じゃない? たまにはギコにやって欲しいなぁ」
(;,゚Д゚)「え、ほら。俺よりしぃのが飯美味く作るんだからよ? ほら、よく言うだろ? あー……」
(メメ^ω(#)「適材適所?」
そう、それだよ! と、彼は僕を指差して言った。
どうでもいいんですけど、ルーがこっちに飛ぶんですが……。
(,,゚Д゚)「だから、な? こいつは俺に任せとけ」
(*゚听)「えー!? いいじゃない! やりたいやりたーい!」
おねだりしても駄目だと分かると、今度は駄々をこねはじめた。
だからルーが……。アチッ!
- 14 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:44:42.44 ID:dV8YrpTzO
- (,,゚Д゚)「あのな、お前はまだ十三なんだぞ? 他人に教えられるほど」
(*゚ー゚)「むー、ブーンだって私とやりたいよね!?」
(,,゚Д゚)「いや! 別に俺のが遠慮なく出来るからいいよな!?」
なんで大の大人までムキになってるんですか。
そしてそこで何故僕に振るんですか。正直困るんですが。
(;メ^ω(#)「えーっと……」
(,,゚Д゚)(*゚ー゚)「「男ならはっきりする!」」
(;メ^ω(#)「じゃあ、お願いするお」
\(*゚ー゚)/「ヤッター」
(;つД゚)「お前……あ」
- 15 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:45:40.97 ID:dV8YrpTzO
- (メメ^ω(#)「え?」
二者二様の反応を見せた後、ギコさんが一番に気付いた。
彼女の器が本来あるべき場所に無いことに。
(;゚ー゚)「あ」
(;メ^ω(#)「え"?」
気付いた時には遅かった。
既にそれは、眼前にあったのだから。
「……ウギャアアァァァァ!」
「おい! 大丈夫か!?」
「えーっと、……ワーン、どーしよーギコー!?」
「取りあえず水だ!」
「わ、分かったっ!」
「し、ししし染み染みみみみ……」
――
――――
――――――
- 16 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:47:17.21 ID:dV8YrpTzO
- (#)メω(#)、『まだヒリヒリするお……』
ζ(゚ー゚;ζ『なんか、昨日よりも悲惨になってますね』
あれから、僕は彼女の汲んできた大量の水を頭から被ることになった。
おかげで、今テントの外で彼女は大目玉を食らっている。
やり過ぎだとか、食べ物を粗末にするなとか、そんな内容だ。
だけど普通の人ならともかく、僕には回復力強化の恩恵がある。
きっと明日には完治するだろう。
ただ、この痛みの中眠れるかまでは分からない。
ζ(゚ー゚*ζ『子守歌、いります?』
(#)メω(#)『……ダメだったらお願いするお』
――
――――
――――――
ζ('、`*ζ『スー……スー……』
(;#)ω^)(えー……)
- 17 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:49:19.30 ID:dV8YrpTzO
- 翌日、彼女は申し訳なさそうに僕に近付いてきた。
(*゚―゚)「昨日はごめなさい。大丈夫? まだ痛い?」
(メ ^ω^)「まだちょっと残ってるけど、全く問題ないお」
それに出来るだけ朗らかに答えた。
すると、彼女の表情が一気に明るくなる。
(*゚ー゚)「よかったー。もしかしたら怒ってるんじゃないかと思ったよー」
そう言って僕の腕にしがみついて来た。
(メ;^ω^)「わっ!」
(*゚ー゚)「えへへー、今日ギコといるとずっとお説教だから今日はこっちー」
- 18 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:50:48.57 ID:dV8YrpTzO
- 腕輪は見えないとはいえ、触れないという保証は無い。
もしそうなら、多少面倒なことになる。
だが、彼女はそれに一向に気付く気配もなく、僕に話しかけていた。
ζ(゚ー゚*ζ『今日の講義はお休みですね』
(メ ^ω^)『ありがとうだお。
今日はそうさせてもらうお』
(*゚ー゚)「ねぇ、聞いてるー?」
(メ;^ω^)「お? もちろんだお」
(*゚ー゚)「でさ、ギコったらさー」
ζ(゚ー゚*ζ『フフッ』
ひょっとして、数少ない出番を取られて怒ってるのだろうか。妙に笑い声が怖い。
そう感じてビクビクする僕に、しぃちゃんはずっとギコさんの話を続けていた。
- 19 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:52:24.78 ID:dV8YrpTzO
- (*゚ー゚)「じゃあ、よろしくお願いしまーす」
( ^ω^)「よろしくお願いしますお」
お互い挨拶をして、得物を構える。
年下とはいえ、一応兄弟子みたいなものだし、実際強い。
何より彼女の雰囲気が、手加減出来る相手じゃないと教えてくれた。
(*゚ー゚)「ふーっ、……やっ!」
ギコさんの攻撃は、攻撃間隔は長いがその分重いし痛い。
だが、彼女の攻撃は全くの逆だった。
(;^ω^)「くっ……」
防戦一方。彼女の攻撃には全く隙がないのだ。
流れるような軌跡、鳴り止まぬ剣撃。
僕はなんとか受け止めるといった感じだ。
完全に向こうのペース。このままは不味い。
敵の攻撃を上手く弾いたところで、一度距離を取って態勢を立て直した。
今度はこっちの番だ。
- 20 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:54:01.15 ID:dV8YrpTzO
- 飛び掛かりからの袈裟切り。
当然向こうは回避行動に出るだろう。
そこを叩く筈だった。
しかし彼女は回避しなかった。
受け流し。ギコさんは使わなかったが、彼女が使ったのは正にそれだった。
そして、僕の武器が地を叩いた所を踏み付けて、自分のを僕の首筋へとあてがった。
(*゚ー゚)「まず一本、かな?」
(;^ω^)「グッ」
- 21 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:55:02.94 ID:dV8YrpTzO
- 完全に負けた。
いや、僕の心に僅かに慢心があったのも事実だ。
年下だからとか、僕も修行したからとか。
だが、それは全くの間違いだったのだ。
間違いなく彼女の方が上だ。
(*゚ー゚)「そりゃーねー。年季が違うよー」
しかも心まで読まれた。
彼女、実は侮れないのかもしれない。
(;^ω^)「まだだお! もう一回お願いするお!」
(*゚ー゚)「いーよー」
- 23 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:56:45.70 ID:dV8YrpTzO
- (,,゚Д゚)「んで、負けた訳だ。一回も勝てずに」
( ´ω`)「はいですお……」
(,,゚Д゚)「しぃは手加減てもん知らないからなぁ。
あれか? やはり精神的に来たろ?」
黙って頷いた。
もう喋る気力さえ残されていなかった。
(;゚ー゚)「えー、だってブーン十分強かったもん! 手加減なんか出来る訳ないじゃん」
(;,゚Д゚)「お前なぁ……」
- 24 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:58:13.82 ID:dV8YrpTzO
- 嘘だ。
その証拠に僕の体には一つも傷はない。
理由は簡単。
受けきれなかった攻撃は全て彼女が寸止めしていたから。
しかも彼女の連撃中など、する必要のない所でもするのだ。
これなら滅多打ちにされた方が遥かにマシというものである。
(,,゚Д゚)「だから俺の方が良いと言ったんだ。
おーおー、しぃはこいつのプライドズタズタにしたなぁ」
(;゚ー゚)「えっ、本当? ごめんねブーン」
あ、止どめきた。
今まで辛うじて原形とどめてたけど、今ので終わった。
(;,゚Д゚)「あーあ、……まぁいい、飯にすんぞ」
- 26 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 01:59:38.09 ID:dV8YrpTzO
- ご飯ということで、僕はギコさんの料理は何かとちょっと期待していた。
まぁ、しぃちゃんほど綺麗なものじゃないだろう。
それは十二分に覚悟していた。
だが、まさかここまでないだろうと思ってた一線を彼は軽く超えていた。
( ^ω^)「これ……何ですかお?」
(,,゚Д゚)「あ? まさか知らねぇのか? この辺りにいた猪だけど?」
( ^ω^)「いやいや、そうじゃなくて……」
(*゚ー゚)「わー、久しぶりに食べるなぁ。猪の丸焼き」
(,,゚Д゚)「おう! ちゃんと火は通ってるからな。気にせず食えよ!」
(;^ω^)(……えー)
- 28 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 02:01:31.53 ID:dV8YrpTzO
- 料理も豪快だが、分け方も豪快だ。
胴の部分という円柱を、通る串を中心に三等分に割ったよ、この人。
(*゚ワ゚)「いただきまーす」
そしてこの子は、普通にかぶりついてるし。
あれ? これ僕が間違ってるのか?
ζ(゚ー゚*ζ『大丈夫。私はブーンさんの味方ですから』
( ^ω^)『デレ……』
ζ(゚ー゚*ζ『やるなら輪切りにしないといけないですよね!』
(;^ω^)『……』
ああ、これがカルチャーショックというものか。
そう僕は自分に言い聞かせた。
決して僕は間違ってない。
間違って……ない、よな?
- 29 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 02:03:22.93 ID:dV8YrpTzO
- (,,゚Д゚)「いよいよ明日だな」
( ^ω^)「そうですおね」
食事のあと、僕とギコさんで焚火を囲んで話していた。
しぃちゃんは疲れたらしくもう寝ているようだ。
(,,゚Д゚)「俺らは、首都についたら、すぐ港から出る。
お前はどうするんだ?」
( ^ω^)「……情報を集めようかと思いますお」
(,,゚Д゚)「なんのだ?」
( ^ω^)「異世界の技術について、ちょっと」
(,,゚Д゚)「なるほどな」
そう言って、彼はしぃちゃんのいるテントをチラリと見た。
- 31 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 02:04:24.73 ID:dV8YrpTzO
- (,,゚Д゚)「お前も、異世界の技術を探してるんなら、ついでに頼みたいことがある」
そしてこちらを見ると、そう切り出してきた。
何時にも増して真剣な雰囲気だ。
( ^ω^)「なんですかお?」
(,,゚Д゚)「俺達も、あるかは分からんが、ある異世界の技術を探してるんだ。
もし見つけたら教えて欲しい」
( ^ω^)「なんの技術ですかお?」
(,,゚Д゚)「死人と会う。もしくはとある時間まで時を遡らせる技術だ」
それは、確かにあるかは分からない。本当にそんなレベルのものだった。
( ^ω^)「……そんな技術を?」
(,,゚Д゚)「ああ……ちょっと訳ありでな。
どうだ? ついででいいんだ。頼まれてくれないか?」
- 33 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 02:05:51.36 ID:dV8YrpTzO
- 答えなど決まっている。
僕はしっかりと頷いた。
(,,゚Д゚)「ありがとうな」
( ^ω^)「ギコさん達には大きな借りがありますお」
それに、
( ^ω^)「困ってる友人達は放ってはおけないですお」
(,,゚Д゚)「友人……か」
サンキュな。
そう言って、彼もまた、テントへと入っていった。
その時の彼の表情は、どこか悲しげに見えた。
- 35 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 02:07:48.64 ID:dV8YrpTzO
- ζ(゚ー゚*ζ『それにしてもいいんでしょうか』
( ^ω^)『何がだお?』
ζ(゚ー゚*ζ『そんな技術になると、相当難しいものになりますよ。多分ですが相当なクラスに該当します』
( ^ω^)『? クラス分けなんかあるのかお?』
ζ(゚ー゚*ζ『まぁ、それは後々話すことにします。
それより、もう遅いですし私達も寝ましょう』
( ^ω^)『そうするお』
テントに入る時、首都の方を見た。
ここから見える首都は、未だ爛々と輝きを放っていた。
- 37 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 02:08:45.41 ID:dV8YrpTzO
- その日の目覚ましは彼女の声だった。
ζ(゚ー゚;ζ『起きてください! 二人がいないんです!』
慌てて外に出て僕は唖然とした。
僕のテントと荷物を残して、確かに彼等は忽然と姿を消していた。
書き置きが焚火跡近くに残されていた。
だが、異世界の言葉は発音だけでなく、文字も違うらしい。
僕では分からないので、彼女に読んでもらった。
ζ(゚ー゚*ζ『では、読みますね』
( ^ω^)『お願いするお』
- 38 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 02:09:57.51 ID:dV8YrpTzO
- ブーンへ
突然、黙って出て行くことを悪いとは思ったが許して欲しい。
俺達と一緒に街に行くのはお互い良いことはないからだ。
どうしても理由が知りたいのなら冒険者センターにでも行けばわかる。
そこでお前がどう取るかは自由だ。
俺の頼みも忘れてくれたって構わない。
正直言うと、しぃがお前に懐いたのは驚いたが、納得した自分もいた。
お前にはどこかそういった雰囲気があったからな。
人を惹きつけるような、そんなものが。
あと、お前は十分強くなったと思う。
だが、まだ免許皆伝じゃないからな。
次にまた会って、それでも俺達を友人と呼んでくれるのなら、またしごいてやるからな。
じゃあ長くなったが、ここでお別れだ。
お前に精霊神の加護がありますように。
ギコ
- 40 名前: ◆F3K21PdX56 投稿日:2009/04/18(土) 02:10:41.68 ID:dV8YrpTzO
- ζ(゚ー゚*ζ『以上で終わりです』
( ^ω^)『ありがとうだお』
手紙には、色々と謎の多い事が書き連なっていた。
だが、聞こうにも肝心の彼等はもういない。
仕方ないが、ここは冒険者センターとやらに行って確認する方が速いだろう。
手紙を仕舞い、僕も早々にその場を後にした。
こんな時に限って、皮肉にも晴れやかな天気だった。
第六話
完
第七話へ続く→
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