( ゚д゚)食事をするようです

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 02:42:12.89 ID:/YrRmzog0

放課後の教室

窓の外は暗雲が立ち込め、一時間ほど前から突如降り出した豪雨が、窓を強く叩いていた

反対側 ― 廊下からは、グラウンドが使えなくなった運動部が時々駆けて行っていた
全部で四階もある校舎をぐるぐると走り続けているようだ

ここは四階 二年の教室
時々通過する運動部の足音と掛け声を間近に聞き、反対側の開け放った窓から聞こえる豪雨に身を隠していた

廊下側には前後二か所のドアがあり、そのドアの間の太い柱を挟んで四枚ずつの透明なガラスが嵌めこまれていた

廊下から見た教室は無人
電気もついていない 薄暗いただの教室だった

誰も俺達が此処に隠れていることを知らない

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 02:46:47.77 ID:/YrRmzog0



( ゚д゚)食事をするようです


.

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 02:50:49.85 ID:/YrRmzog0

从 ゚∀从「いーっちーに、さんし」

『にーにっさんし、ごーろくしちはち』


また、窓の向こう
正確には壁の向こうを、ハンド部の部員たちが走っていく

俺の目の前にいる奴は肩を竦ませて黙り込んだ
先程から似たようなことが幾度となく繰り返されている
最初は面白がっていたが、こう何度も何度もびくりとして固まられると、こちらとしてはうっとおしい

完全に気配が教室の前から消え、すぐ隣の階段を下りるのを確認してから口を開いた


( ゚д゚)「いい加減慣れたらどうなんだ」

廊下に面した背の低い壁を背にしてしゃがんでいる奴に声をかけた


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 02:54:42.40 ID:/YrRmzog0

( ゚∀゚)「や、普通に無理だろ」

( ゚д゚)「だったら何故此処に留まるとか言い出したんだ」


放課後部活もない生徒は、大概が下校するだろう
遊ぶにしても、近くのファミレスに屯するか、ゲーセンやカラオケ 誰かの家に上がり込むのもありだろう

ましてや今日は大雨で、明日の明け方までやむことはないらしい
コンクリートで舗装されている道路を考えると、道に川ができる前に帰った方がいい
他の生徒達は、まだ雷が鳴る前に早々に帰宅した

二人揃って傘を忘れたクチだが、何度も教室が照らされる程の強い稲光を見ていると、傘なんか持たない方が安全だと思わされた

ジョルジュに提案され教室にいつまでも残っていたが、建設的とは思えなかった
結果、こうして薄暗い教室に二人きりだ

しかも廊下から見えないように、廊下側の低い壁に張り付いている


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 02:58:02.74 ID:/YrRmzog0

( ゚д゚)「しかし、何故あえて学校に残った」

( ゚∀゚)「そりゃおまえ、うち帰ったらこんなこと出来るかよ」


そう言って、ジョルジュはブレザーの左袖をたくし上げた
二学期も始め 残暑の厳しいこの季節に、Yシャツの上にカーディガンなんぞを羽織っているのはこいつくらいのものだった

たくし上げられた袖からは生白い腕が にゅう と覗く
そして肘の少し手前くらいで、ジョルジュは手を止めた

そこには無数の傷がある
掌を上にして、なお内側に メモリのように細かくびっしりと 意図的につけられた切り傷

ジョルジュはその傷を見て、引き攣ったように笑みを浮かべた
ポケットから黒いプラスチックの柄がついた安っぽいカッターナイフを取り出す
その右手は震えていた


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 03:04:15.60 ID:/YrRmzog0

壁に寄りかかるジョルジュの正面に蹲り、その華奢な左腕を手に取った

赤い傷があるのは肘の近くだけだが、よく見ればジョルジュの左腕は、手首から肘までびっしりと白い痕が残っていた

全部、深く切り割った痕だ
左腕の内側を指で撫でるとざらざらぽこぽことしていて、お世辞にも綺麗とは言い難かった
中には赤黒くケロイド状に残った傷もある

自分の左腕がむずむずと疼いた


( ゚д゚)「……」


そっと、手首にくちづける
それを見たジョルジュは、無理矢理口角を吊り上げてカッターナイフの刃を押し出した


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 03:06:42.12 ID:/YrRmzog0

ぢぎぢぎぢぎぢぎっ

雨の音に紛れつつも、鈍色の刃に僅かな光を反射させながら押し出された刃
ジョルジュはそっと、それを左腕に宛てた
呼吸が荒くなっていた

( ゚∀゚)「…………いくぜ」

( ゚д゚)「あぁ」


声を漏らさないように、自分の左腕をジョルジュに噛ませた
そしてジョルジュは、力いっぱい腕に押し当てた刃を横にスライドさせた

ずっ

一瞬で刃が皮膚に潜り込んでいく
左腕にジョルジュの犬歯が食い込み、自分の腕からもぶつりという音が聞こえる


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 03:13:04.92 ID:/YrRmzog0
 _
(; ∀ )「がっ…!!」

(; ゚д゚)「くっ……」

お互い眉間に皺をよせ、それぞれの痛みに耐える

カッターナイフが引き抜かれた真っ白な左腕はだらりと垂れ下げられ、傷口から白い肉壁が覗いていた
残った右腕で蹲る頭を抱き寄せてやると、ジョルジュはそのまま胸に頭を押し当ててきた

数秒にも満たない間をおいて、ジョルジュの腕から鮮血が粘度をもって浮かび上がってきた
そのままゆるゆると赤線を描き、腕から垂れていこうとする

その前にジョルジュは、その腕を自分の前に差し出してきた


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 03:17:06.88 ID:/YrRmzog0
 _
(; ∀ )「……零すなよ…ほら飲め」

( ゚д゚)「…………すまん」


白い腕に、伝う赤に口付けた
舐め上げ、ぱっくりと開いた傷にざらりと舌を這わせて吸い付いた

ジョルジュが肩を跳ね上げさせて痙攣した

 _
(; ∀ )「ひっ……」


ジョルジュが悲鳴を噛み殺す

噛むのをやめた左腕で、頭を抱いたまま
ジョルジュの血を、傷を貪った


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 03:22:34.88 ID:/YrRmzog0


こんな関係になったのはいつからだっただろうか

『親友』 が 『食糧』 になったのは いつからだっただろうか


何も食せなくなって
ジョルジュでしか命を繋げなくなったのは

一体いつからだっただろうか



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 03:30:32.70 ID:/YrRmzog0

 _
(; ∀ )「あっ…ぐぅっ……」


胸に中で喘ぐジョルジュ

時々 びくり、びくりと跳ね上がる肩
貧血とショックで真っ白な肌
急速に下がっていく体温

抱き締めたまま、味わった
渇き切った喉を、僅かな血で潤した
傷口を噛み、悲鳴をあげるジョルジュを喰らった

口の周りに少しだけ血が付いたのだろう
甘い鉄錆の匂いがする
傷口から溢れる血にかかりっきりで、舐め取る暇がない


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 03:34:45.11 ID:/YrRmzog0

(  д )


無心で舐め取る   しゃぶり尽くす
むっとするほどの血の匂いが、食欲をそそる
目の前が赤くちかちかする
心臓が高鳴る
肩で息をする程、呼吸が荒くなる

 _
(* ∀ )「は、あっ……あうっ……」


苦痛の悲鳴と喘ぎから、熱っぽい吐息へと変わっていく
吐息が お互いを壊していく


あぁ、お前はなんて旨いんだろう


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 03:37:46.15 ID:/YrRmzog0

『食事』


常人からすれば吐き気をも催すだろう 自分の 『食事風景』

自分の体はジョルジュしか受け付けない
他のもの …… 例えばパンや米といった普通の食糧から
ジョルジュ以外の血肉 ― 自らも含む ― を喉に通そうものなら、そのまま吐血してしまう

文字通り ジョルジュなしでは生きていけない体だ

そしてこんなふざけた体の為に、
ジョルジュの傷は増えていく


いつからこんな体になったか、詳しいところは覚えていない
ジョルジュが何か知っているようだが、答えるそぶりは見せない


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 03:44:04.34 ID:/YrRmzog0

一定の周期でこうしてジョルジュを喰らい、日常は世間に合わせて生きている

つまり、普段は学校生活を過ごし、夜になればきちんと家に帰る
傍から見れば、普通の高校生だ


こうしたたまの秘め事は、誰もいない場所で行われる
家でしようものなら声は洩れてしまうし、外でやろうものなら不審者扱いだ
普段は薄暗く防音に優れたカラオケボックスなどで行われる

今回何故教室でことに及んだかというと、たまたま近場で『食事』が出来る場所が
テスト後という解放感とこのどしゃ降りで、他の生徒で埋まってしまったからだった

そして皆が帰った教室で、雨音に隠れて『食事』をする
提案は、少しの背徳感とスリルを求めたジョルジュによるものだった
直前になってビビってしまったジョルジュを、今回は押し切った

普段何も口にできない身としては、限界に近かったのだ


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 03:55:18.13 ID:/YrRmzog0

この食事の危険なところは、 『食糧』 が生きていることである

生き血や吐息は甘く、芳香な香りが頭をおかしくする

白い肌 甘い香りのする、真っ赤な生き血
温度と共に気化した血の匂いは神経を高ぶらせ、ある種情動に似た衝動が胸に湧き上がる

生きた食糧は甘い息を吐き出す
制御が効かなくなると、貪りついてしまうのだ

冷たく感じるほど温度が下がるジョルジュは、唯一熱をもった傷口を さらに熱い舌で貪られる
抑えようのない怖気と、背筋を 神経を駆け巡る電気信号が、ジョルジュまでも壊してしまう

瞼が触れ合う程密接した状態で、自分達は大概その情動に負けてしまうのだ


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 04:00:59.94 ID:/YrRmzog0
 _
(; ∀ )「…は、……ぐっ……」

(  д )「はっ、……ふぅ……」


傷口に牙を立て貪るのをやめ、腕から顔を上げる
溢れてくる血だけを、そっと舐め取った

 _
(; ∀ )「ぁ゙っ……」


びくり とジョルジュの肩が揺れ、吐息が零れる
そちらからする甘い匂いに、虚ろになった目を向ける
表情は窺えないが、肩はがくがくと震え、耳は真っ赤になっていた


(  д )「はっ…は……ジョルジュ……?」


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 04:09:34.88 ID:/YrRmzog0

声は出ない 吐息だけで呼びかけて頭を抱いてやれば
腕の中でぐったりとしているジョルジュは僅かにこっちを向く

そしてその唇からは、抑えることが出来ない程の甘い ジョルジュの匂い

(  д )「…………ぁ…」


抱き込むように、その唇に貪りつく

ジョルジュそのものが 『食糧』
つまりは、その蕩けそうな唇の奥にある唾液もまた、自分にとっては蜜なのだ

 _
(  ∀ )「…んっ」

(  д )「はっ…」


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 04:12:23.02 ID:/YrRmzog0

呼気が、頭の芯をじんわりと痺れさせていく
噛み締められて冷たくなった唇を弄るように舐め回し、熱で熟れたら舌を入れる
色情を誘うような吐息が漏れる

舌で掻き回して蜜を絡め取る
擦り合わせた舌を甘く噛む
歯をざらりと舐めてやれば、ジョルジュは眉根を寄せて切なそうに喘ぐ

嬌声をあげるジョルジュは、もうすぐ力尽きるだろう

廊下の奥から走って来る声と足音に、どうしようもないほどの背徳感を感じてしまう
せり上がってくる 衝動


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 04:18:43.57 ID:/YrRmzog0

(,,゚Д゚)「ラスト一周―」

( ^Д^)「しゃーぁってこーぜぇ!!」

『おーう!!』


壁の向こうから聞こえるクラスメイトの声

 _
(  ∀ )「ぁ…!」


途端、目を見開き 身を捩るジョルジュ
体を引くので、そのまま壁に押し付けてやった


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 04:24:33.27 ID:/YrRmzog0
 _
(  ∀ )「やっ、ミル……」

(  д )「黙ってろ 見つかる」

(  ∀ )「っ……!」


俯いていやいやと首を振るジョルジュの長い前髪を掴み上げ、乱暴に壁に押し付けた


(  ∀ )「あっ」


唇を塞いで黙らせる

まずいことに、廊下の足音が後ろのドアの前辺りで止まった


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 04:30:19.30 ID:/YrRmzog0

( ^Д^)「今、声しませんでした?」

(,,゚Д゚)「? でも、誰もいねぇぜ」

( ^Д^)「おっかしいなぁ……」


(; д゚)(…………)

(; ∀ )「っ…………」


( ^Д^)「…あれ?窓開いてますよ」

(,,゚Д゚)「お?ほんとだ 閉めてかなきゃな」


(; д゚)「っ!?」


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 04:36:21.19 ID:/YrRmzog0

まずい

中に入って来られたら終わる
色々終わる

血が付いた口のまわりも
こんなところで二人して蹲っている理由も

ジョルジュは多分立てないだろう
立てたとしても、逃げ道はない

がたり
後ろのドアに手をかける音


(; ゚д゚)「っ!」


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 04:41:52.70 ID:/YrRmzog0

思考がまとまらない
パニックを起こしている場合ではない
熱に揺蕩っていた脳が一気に冷めていく

どうずれば
どうすれば


(; ゚д゚)「!!」


咄嗟の行動
一か八か


ドアの鍵に手を伸ばした

… …   が ん っ … ―--


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 04:42:57.10 ID:/YrRmzog0

( ^Д^)「……あれ?」

(,,゚Д゚)「どうした?」

( ^Д^)「鍵…閉まってるんですけど」

(,,゚Д゚)「は?」


もう 二度
がん がん

引き戸を引っ張る音がするが、鍵をかけたドアは開かない

後ろのドアを引かれているうちに、しゃがんだまま壁のすぐ近くを移動し、前のドアの鍵も閉めた

前後のドアを何度か引いてから、クラスメイト達は諦めた


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 04:48:21.06 ID:/YrRmzog0

(,,゚Д゚)「もう時間も時間だしな。守衛さんが鍵閉めて回ったんだろ」

( ^Д^)「じゃあ、帰りに窓開いてましたって言って帰りましょうか」

(,,゚Д゚)「だな。よーし最後ダッシュで行くぞー」

( ^Д^)「階段滑んなよー」

『おーう』


掛け声をかけて、また走り出す
全員分の足音が聞こえなくなったのを確認して、やっと息を吐いた

(; ゚д゚)「……心臓に悪すぎる」

( ゚∀゚)「高校生活詰むと思ったら萎えちまった。 ミルナ―、包帯とってー」


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 04:53:15.59 ID:/YrRmzog0

髪をがしがしと掻き回しながら、ジョルジュはぐったりとしていた
身体に悪いことをしてしまったかもしれない

しかし、今はそれどころではない


( ゚д゚)「あとで消毒して巻いてやるから、今はガーゼだけにしておけ
     逃げるぞ」


自分の中からも先程の冗談のような熱は消えている
まだ少し疼くものがあるが、食事さえ終わればジョルジュをそういう目で見ることもない

鞄からガーゼを取り出して、ジョルジュに手渡した
そのまま問答無用で立たせる
まだ少し貧血で眩暈がするらしいが、そんなことは気にしていられなかった
二人分の鞄を担いで、教室から脱出した


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 05:00:17.37 ID:/YrRmzog0

教室から出てきたジョルジュが、不満そうな顔をしながら隣に並んだ

 _
( ゚∀゚)「前々から思ってたんだけどよ、お前食事の後冷たすぎやしないか?」

( ゚д゚)「なんだ 続きが欲しいのか
     悪いが、そういう趣味までは常時持っているつもりはない」
 _
( ゚∀゚)「へーへー。どーせ俺はお前の飯ですよっ」

( ゚д゚)「その点については感謝しているさ」
 _
( ゚∀゚)「お前、それ 家畜に『おいしいごはんをありがとう』って言ってるようなもんだぞ」

( ゚д゚)「……」
 _
(;゚∀゚)「待て お前まさか本当にそう思ってんじゃ……」

( ゚д゚)「さて、どこで手当てを……」


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 05:01:13.80 ID:/YrRmzog0
 _
(#゚∀゚)「供給やめんぞ畜生!!」

( ゚д゚)「そう言うなら、何故俺がこうなったのか説明してもらおうか
     このままでは餓死してしまうからな」
 _
(#゚∀゚)「開き直んな」

( ゚д゚)「知っているのに何も話さないお前が悪い
     今日の傷も相当深いだろう。無茶する前に説明をしろ」
 _
(#゚∀゚)「…………チッ」


ジョルジュは語らない
こうなってしまった原因を
何故そうしてまで『食糧』であり続けるのかを


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 05:02:21.43 ID:/YrRmzog0

学校を出て、そのままジョルジュの家に上がり込んだ
あとは手当だけだから、家を使っても平気だ


ジョルジュの部屋にお邪魔し、鞄に入れている『ランチセット』を取り出す
中身は縫合用の針や糸
ガーゼに包帯 脱脂綿や消毒液
要は救急箱だ

ちなみに、これを『ランチセット』と皮肉ったのは、ジョルジュだ
最近はもう違和感がないから少し困る


( ゚д゚)「腕を出せ」

( ゚∀゚)「うーい。今日縫合必要?」

( ゚д゚)「多分な」


ジョルジュは顔を顰めた


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 05:03:35.54 ID:/YrRmzog0

縫合までいくほど切ることは滅多にない
今回は力いっぱい切っていたから、もしかしたら と思う

 _
( ゚∀゚)「あー……切り過ぎたか」

( ゚д゚)「体は大切にな」
 _
( ゚∀゚)「前回はひと月とちょっと前だったろ。お前目ぇこえーんだもん」


そう
前回『食事』をしたのは、確か五週も前のことだ
確かに飢えてはいたかもしれない
日常生活に差し支えるようになってきたので、仕方なくジョルジュに頼み込んだ

『食事中』の自分は嫌いだ
少しでも回数を減らす努力はしている


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 05:04:50.55 ID:/YrRmzog0

*  *  *

吸血鬼
生と死の狭間に立つもの
諸説あるが、死者が甦るひとつのかたち

または 黄泉戸喫
黄泉の食べ物
『あちら』のものを口にすると 『あちら』の存在に成る


( ゚д゚)食事をするようです 前編・了



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