('A`)はエレメントマスターを目指すようです

5 名前: ◆07i/WpNp2k 投稿日:2009/08/14(金) 22:37:09.93 ID:4uvs13wo0

('A`)「うわぁっ!」

川 ゚ -゚)「はは、ドクオは男のくせに弱いな」

('A`)「クーが強すぎるんだろ〜…」

ドクオとクーは、幼馴染であり、許婚でもあった。

クーは女ながら、10代前半で既に大人の男相手に引けを取らないほど剣の腕が立った。

それというのも、彼女の父親がVIP国の騎士団長であり、その才覚を十分に受け継ぐとともに、
幼い頃から厳しい稽古をつけられていたことが大きかった。

一方のドクオは、同世代の男子に比べやや線が細く、体力もない。

しかし、頭は非常に良く、将来は学者を目指して勉強していた。

そんな二人は、とても馬が合い、思春期以降自然とお互いに惹かれあっていった。


〜 ('A`)はエレメントマスターを目指すようです 第1話 〜


7 名前: ◆07i/WpNp2k 投稿日:2009/08/14(金) 22:39:29.92 ID:4uvs13wo0

しかし、二人が18歳のとき、いよいよ結婚の準備という段階になって、ある問題が生じた。

川;゚ -゚)「こ、これは…」

(;'A`)「ああ、『悪魔の紋』だ…」

ドクオの体に浮かび上がった紋様、それはVIP国で『悪魔の紋』と呼ばれるものだった。

VIP国では、この紋を持つものは悪魔の子であり、不幸を呼ぶとして差別を受けていた。

厄介なことに、この紋は生まれたときにはなく、成長してから浮かび上がってくるため、
この紋が浮かび上がったものは、それ以降人生が一変してしまう。

実際は、この悪魔の紋を持っていても普通の人と何ら変わることはないことも知られていたが、
この国では未だにその迷信のイメージが根強く残り、差別が続いていた。

川 ゚ -゚)「もちろん、私はドクオに悪魔の紋があっても、全く気にしない」

川 ゚ -゚)「ただ、父さんが何て言うか…」

川 ゚ -゚)「そうだ、まず姉さんに相談してみよう」


8 名前: ◆07i/WpNp2k 投稿日:2009/08/14(金) 22:40:57.61 ID:4uvs13wo0

ノハ;゚听)「なんだとおおお!!?ドクオに『悪魔の紋』が!!?」

二人が相談した相手は、クーの姉で騎士団の副団長をしているヒートだった。

彼女も類まれな剣の達人で、この若さで副団長を任されているのも決して親の七光りではなく、彼女の実力であった。

また、ヒートは非常に妹思いで、クーやドクオの良き相談相手である。

川 ゚ -゚)「姉さん、声が大きい」

ノハ;゚听)「そ、そうだな、すまん…」

川 ゚ -゚)「で、父さんに相談したら何て言われるかわからないから、まずは姉さんに相談したんだ」

ノパ听)「で、お前のドクオに対する想いは変わらないんだな!?」

川 ゚ -゚)「当然だ。悪魔の紋があったって、ドクオはドクオだからな」

ノパ听)「だったら、答えはひとつだ!お前らは何も悪いことないんだから、正面からぶつかればいいんだ!!」

そう言って、ヒートは部屋を飛び出した。

川;゚ -゚)「お、おい!姉さん!」

(;'A`)「…」


10 名前: ◆07i/WpNp2k 投稿日:2009/08/14(金) 22:42:46.79 ID:4uvs13wo0

(`・ω・´)「そうか、ドクオ君は『悪魔の子』だったか…」

クーとヒートの父シャキンは、厳しい顔でそう言った。

川 ゚ -゚)「父さん、確かにドクオには悪魔の紋がある」

川 ゚ -゚)「だけど、私はドクオを愛してる。悪魔の紋があってもドクオはドクオだ」

川 ゚ -゚)「私は、ドクオと結婚したい」

('A`)「お義父さん…お願いします」

(`・ω・´)「しかし、ドクオ君も知っての通り、我が家は代々騎士の家系だ」

(`・ω・´)「私の騎士団長としての立場もあるし、世間体というものがある…」

(`・ω・´)「二人の婚約は破棄とさせてもらう…分かってくれるね?」


12 名前: ◆07i/WpNp2k 投稿日:2009/08/14(金) 22:44:46.87 ID:4uvs13wo0

ノハ#゚听)「親父、何言ってるんだ!」

ノハ#゚听)「悪魔の紋なんていうのは、ただの迷信だろう!」

ノハ#゚听)「騎士団長だからこそ、悪魔の紋なんていう迷信に囚われない姿を示さないといけないんじゃないのか!?」

川 ゚ -゚)「姉さん…」

(`・ω・´)「ヒート、クー…私だってできることなら二人の結婚を認めたい」

(`・ω・´)「だけど、これもクーを思ってのことなんだ…」

ノハ#゚听)「もういい、親父の顔なんて見たくない!」

そう言って、ヒートは家を飛び出した。

(;`・ω・´)「お、おい、ヒート!」

川 ゚ -゚)「姉さん!ドクオ、追いかけるぞ」

(;'A`)「う、うん…すみません!失礼します!」

クーとドクオも、ヒートの後を追った。


14 名前: ◆07i/WpNp2k 投稿日:2009/08/14(金) 22:47:24.59 ID:4uvs13wo0

(´・ω・`)「そうか、ドクオ君に『悪魔の紋』がね…」

ヒートが来ていたのは、バーボンハウス・ショボンだった。

この店のマスターであるショボンは、シャキンの弟であり、ヒートやクーの叔父にあたる。

ノハ#゚听)「親父は頭が固いんだ…!」

(´・ω・`)「うーん、確かにヒートちゃんの言うことも一理あるけど、兄さんの言い分も分からなくはないな…」

ノハ#゚听)「おじさんまで…そんなこと…!」

(´・ω・`)「残念だけど、悪魔の紋に対する悪いイメージはこの国の人々に強く根付いてる」

(´・ω・`)「もしこのままドクオ君とクーちゃんが結婚したら、兄さんの立場も危ういだろうからね」


15 名前: ◆07i/WpNp2k 投稿日:2009/08/14(金) 22:49:42.16 ID:4uvs13wo0

ノハ#゚听)「もうお前ら駆け落ちしろ!うん、それがいい!」

川 ゚ -゚)「姉さん、落ち着け」

(;'A`)「そ、そうですよヒートさん…俺のためにクーにそんなことさせられませんよ」

(;'A`)「クーには騎士としての未来があるわけですし…」

ノハ;゚听)「あ、ああ、そうだったな…すまん」

川 ゚ -゚)「だけど私だって、もし父さんがこのまま結婚を認めないなら、駆け落ちするくらいの覚悟はあるぞ」

(;'A`)「クー…」

(;´・ω・`)「ま、まあ、クーちゃんも落ち着いてよ…」


16 名前: ◆07i/WpNp2k 投稿日:2009/08/14(金) 22:51:38.21 ID:4uvs13wo0

(´・ω・`)「クーちゃんがそこまで考えてるんだったら…ひとつ僕に考えがあるよ」

川 ゚ -゚)「本当か!?おじさん」

ノパ听)「それを先に言えよ!」

(´・ω・`)「要するに、悪魔の紋があったって、そんなの関係ないくらいの大きいものをドクオ君が持ってればいいんだ」

(;'A`)「はぁ…」

(´・ω・`)「つまり、『エレメントマスター』になることができれば…兄さんも結婚に反対しないはずさ」

(;'A`)「…!」

ノハ;゚听)「な、何だって!?」

川;゚ -゚)「ドクオが…エレメントマスターに…」


18 名前: ◆07i/WpNp2k 投稿日:2009/08/14(金) 22:54:00.76 ID:4uvs13wo0

エレメントマスターとは、6体の守護精霊と契約を結んだ者の称号である。

守護精霊は全部で6体いるが、契約すると、その力を借りることができる。

その全てと契約できた者は『エレメントマスター』と呼ばれ、このVIP国では英雄として称えられる。

川;゚ -゚)「確かに、エレメントマスターなら悪魔の子という汚名もかすむほどの称号だな…」

ノハ;゚听)「だけど、エレメントマスターには、並みの精神力じゃなれないって話だぞ…」

今までエレメントマスターを目指して旅立った者は多くいたが、そのほとんどは無事帰ってくることはなかった。

過去にエレメントマスターになることができたのは、約400年前にVIP国を建国した初代国王ただ一人だと言われている。

('A`)「俺…やるよ」

川;゚ -゚)「ドクオ!」


19 名前: ◆07i/WpNp2k 投稿日:2009/08/14(金) 22:55:55.42 ID:4uvs13wo0

('A`)「このままじゃさ、どっちにしてもクーと結婚できないんだし…」

('A`)「やるだけ、やってみるよ」

クーは、ドクオがこれだけはっきりと自分の意思を主張するのを初めて見た。

川 ゚ -゚)「じゃあ、私もついていくぞ!」

('A`)「それは駄目だよ…クーは、騎士団で頑張るんだろ?」

川 ゚ -゚)「でも…ドクオ一人じゃ!」

('A`)「それにさ…俺、ちょっと今まで自分が情けなくてさ…」

('A`)「クーはすごい強いのに、俺は全然弱いから…」

('A`)「だから、きっと…クーにふさわしい男になって、帰ってくるよ!」


20 名前: ◆07i/WpNp2k 投稿日:2009/08/14(金) 22:57:47.40 ID:4uvs13wo0

そして…旅立ちの日。


(´・ω・`)「ドクオ君…本当に1人で大丈夫なのか?」

('A`)「ショボンさん…これは俺自身の戦いなんです。誰かの力を借りたらいけない気がするんです」

(´・ω・`)「そうか…」

(´・ω・`)「北のラウンジ国に、守護精霊に詳しい人物がいるらしいから、行ってみるといい」

('A`)「はい、ありがとうございます」


ノパ听)「ドクオ!!気合と根性を忘れるなよ!!」

(;'A`)「は、はい…頑張ります」


21 名前: ◆07i/WpNp2k 投稿日:2009/08/14(金) 22:59:24.91 ID:4uvs13wo0

(`・ω・´)「ドクオ君…君がエレメントマスターになることができたなら、喜んで君とクーの結婚を認めよう」

(`・ω・´)「これは私からの餞別だ…少ないが、旅の資金にしてくれ」

('A`)「ありがとうございます。必ず、エレメントマスターになってみせます」


川 ゚ -゚)「ドクオ…生きて帰ってきてくれよ…」

('A`)「ああ…!」



〜 ('A`)はエレメントマスターを目指すようです 第1話 fin 〜



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