( ^ω^)蝿の王のようです('A`)

3 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:14:02.78 ID:V/qu6yVdO


第十話「蝿の王対ティンダロスの猟犬」



5 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:15:29.66 ID:V/qu6yVdO
時刻は二十二時三十分。
ほんの三十分前までは未知の存在との邂逅に恐れを抱きつつ、それでもその恐れの中で言い様のない高揚感を覚えていた俺なのだが…
はてさて、そんな俺が今何をしているのかというと。

( ,'3 )「動くなよ。発砲許可は出ているんだ」

ヾ(;'A`)ノ「武器は持ってません! 非暴力、非服従が俺のモットーですっ!」

( ,'3 )「服従はしとけよそこは!」

会話のやり取りこそ下らないモノだが、それでも俺がいる状況が芳しくないのは事実だ。
俺は今この下らないやり取りをしている男以外に二十人の男に包囲されている。
その各々が青を基調とした制服に身を包み、黒光りする弾丸発射装置、つまり拳銃を向けている。
この男達が所属する組織など言うまでもないだろう。

我が国の誇る治安組織、警察だ。

6 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:17:09.43 ID:V/qu6yVdO
(;'A`)「とにかくこれには深い事情があるんです! 俺を拘束するのは待って下さい!」

(;,'3 )「馬鹿言うな! この騒ぎの関係者が目の前にいるのにみすみす見逃す警官が何処にいる……ってうわっ!?」

警官が何か言いかけていると、轟音と共に地が揺れた。
音のした方角に目を向けると大規模な噴煙が巻き起こり、木々が倒れてゆくのが見えた。
目測ここから五百メートルってところか。

(;'A`)「笑えねー冗談だ…」

無論冗談でも何でもなく、俺がこの状況に陥っているのは現実なのだが…

内藤の野郎め…
俺を置いて人外同士で仲良く学園異能バトルを繰り広げやがって。
それは百歩譲って許そう。
だが何故俺がその蚊帳の外でこんな被害を被らないといけないんだ。
まだ真っ当に戦って名誉の死を遂げた方が格好がつくってもんだろ?

7 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:19:42.03 ID:V/qu6yVdO
何はともあれ、この状況を生み出してしまった三十分の回想をする必要があるだろう。
俺は降伏の意を伝える為に上げた両の手をそのままに、目を閉じて振り返る。

ーーー

('A`)「さっさと死ねよ(お)死に損ない!」(メω^ )

俺達の一声で戦いの火蓋は切られた。

俺達は丸腰の状態で兄者いや、ティンダロスの猟犬へと突っ込む。

対する猟犬は不敵な笑みを浮かべ、 潰れてしまった両目で俺達を見るとニヤリと笑った。

('A`)「笑ってんなよクソワンコッ!」

実際犬のような容姿ではないが、こうなってしまったモノを兄者と呼ぶのは心苦しいものがあったので、こう呼ぶ事にしよう。

走りつつ右腕に力を込める、そして眼前の猟犬に目掛けてその腕を振り抜く。
だがそれは容易く交わされる。
それを確認して俺は追撃を諦め、相手のカウンターを伺いつつも大袈裟に転がり、距離を置いた。

8 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:20:56.43 ID:V/qu6yVdO
俺の代わりに追撃するのは内藤。
蝿を左腕に纏わせ、猟犬の頭を掴もうとする、が…

(メ メ_ゝメ)「がぁぁぁっ!」

猟犬はその腕に自分から頭を突っ込ませ、そのまま噛み付いた。

( メω^)「大人しくしとけお」

その腕は猟犬の歯がふれると同時に蝿になり、分解される。
そして逆の手で球を形成し、叩き込んだ。
当然、噛み付きが外れて体勢が崩れている猟犬にそれを防ぐ術は無い。
そのまま成す術もなく猟犬は爆発を直に浴せられ吹き飛んだ。

( メω^)「ざっとこんなモンかお」

即座に追撃の球を展開、それを展開と同時に放つ。
今日何度目かの噴煙が巻き起こり、猟犬を駆逐する。だが……

(;'A`)「居ない!?」

球が着弾した地点に猟犬の姿は無かった。

9 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:22:25.25 ID:V/qu6yVdO
( メω^)「動くなお」

内藤の声が聞こえたと同時に何かが俺の頭擦れ擦れのところを通り抜けた。
直後に後ろから爆風、俺は反応出来ずにそのまま前のめりに倒れるハメになった。

(;'A`)「何しやがるっ!?」

堪らず声を上げる。
コイツは俺に向かって球を投げるのが趣味なのだろうか。
それに巻き込まれるこっちの身にもなって欲しいもんだ。

( メω^)「ちゃんと警告はしたお。それと後ろ見ろ、そして避けろお」

内藤の言葉を聞くと同時に俺は斜め向きに前転する。
俺の真後ろで猟犬が拳を振り抜いているのが見えた。
それを間一髪で躱し、三歩程後退し、距離を置く。

('A`)「忠告はありがてーがあの状況で後ろ見ろは無いんじゃないのか? お前の言う通りにしてたら今頃脳天ぶち抜かれてるぞ」

( メω^)「注意しとくお」

10 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:23:43.75 ID:V/qu6yVdO
しかし高速移動ってレベルじゃないなこれは。
猟犬が何故俺の真後ろに居たのかは離れて見ればすぐに分かった。
青黒い煙を放ちながらそこに居る猟犬の足元に、先の戦闘で流石兄弟が使っていたナイフが落ちていたからだ。

('A`)「厄介極まりないな……」

そう言いつつも俺は頭の中である戦法を考えつつあった。
これが成功するかどうかは五分五分。
成功すれば確実に決着はつくだろうが、失敗すれば大したダメージは期待出来ないうえにカウンターの危機に晒される事になる、が…

('A`)「やるしかねぇよなぁ」

プランは固まった。
後はそれを行動に移すのみだ。

('A`)「内藤、耳貸せ」

( メω^)「右かお? 左かお?」

(;'A`)「…今すぐ両耳ちぎって俺に差し出せ!」

何故敵前で漫才染みた事をせにゃならんのだ。

11 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:29:00.84 ID:V/qu6yVdO
( メω^)「……そういう事かお」

('A`)「やれるか?」

( メω^)「やるお」

下らないやり取りを終え、何とか内藤にプランを伝える。
内藤が俺の問いに対して、やると答えたのは正直大きな希望になった。

『やれる』ではなく、『やる』

それは事を成し遂げると言うよりも、簡単な作業を簡単に済ませるような、まるで出来て当たり前といったような大きな自信を感じられるような気がした。

('A`)(頼むぞ内藤……)

祈るしか無い。
コイツの働き次第で状況はどうにでも転ぶ。
それが良い方へ転ぶ事を願いつつ、俺は意を決して猟犬へと向き直る。

(#'A`)「っしゃあぁぁっ!!」

覇気を込め、咆哮。
覇道でも王道でもなく、か細い理によって繋ぎとめられた細い糸のような道をゆく。
その先の生への希望を掴む。
ただそれだけだ。

13 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:30:00.26 ID:V/qu6yVdO
俺はじりじりと足を滑らせ、猟犬へと近づく。
猟犬もそれに気付いたようで、俺の出方を探るかのように体勢を低く保ち、俺を睨み付けている。

俺の背後では研ぎ澄まされた殺気が滲み出ている。
俺だけに希望を与えてくれる非生産的感情。
それは爆発する機会を今か今かと待ち続けている。

('A`)「…よしっ!」

決意と覚悟、それと同時に全身のバネを使い、直進。
それに応じて猟犬はその体躯を大きく震わせ、威嚇してくる。

('A`)(そんなモン関係ねぇ!)

威嚇、反撃、追撃、そんなものは想定の範囲内だ。
その為の殺気、それに抗い得るだけの狂気がこっちにはあるんだからな!

(メ メ_ゝメ)「っ!」

猟犬が俺の命を刈り取らんとその拳を振るう。
だがその拳が俺に届く事は無い。

14 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:32:09.66 ID:V/qu6yVdO
俺の側を黒い球がギリギリ視覚出来る程の速さで駆け抜けてゆく。

( メω^)「爆ぜろ」

小規模な、爆竹のような爆発。
だがそれは猟犬の動きを止めるには充分過ぎるものだった。
猟犬の慌てる様が見える。
俺は体勢を猟犬より低くし、その足元で輝く銀色の刃に手を伸ばした。

(;'A`)「ぃよしっ!」

掌に無機質の冷たさが伝わる。
この状況を打破する為の一縷の希望、引き金。
それを即座に左手に持ち替え、余る右手を強く握りしめて、ある一点目掛けて振り抜く。

(メ;メ_ゝメ)「ーーーっ!?」

悶絶、狼狽。
それも当然だろう。俺の拳は的確に猟犬の金的を捉えたのだ。

(; メω^)「エゲツねーお…」

おいそこ、引くな。
とはいえ殴りつけた俺自身、下半身がキュンと絞まるものがある。
いくら人外といえど、これでノーダメージというわけにはいかないだろう。

15 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:33:35.29 ID:V/qu6yVdO
だがここからだ。
ここからの俺達の行動、そして猟犬の判断で事態が大きく左右されてくる。
頼むぜ神様、こんな時ぐらい良い目を出してくれよ。

( メω^)「ブリューナク!」

普段の内藤からは想像もつかない程の大きな声から紡がれるのは貫く者の名。
そう、それで良い。
大事なのは猟犬にブリューナクの存在をいち早く認識させる事だ。

(メ メ_ゝメ)「っ!」

('A`)「……っ!」

俺の側に居た猟犬が消えた。
比喩でもなんでもなく、消えたのだ。
鋭角
媒体
顕現

('A`)「そこだ!」

鋭角を媒体にして顕現する。
ならばお前が次に姿を見せるのは、ブリューナクを媒体にする時だろう?

(メ メ_ゝメ)「っ!?」

俺が投げたナイフの軌道の先に、青い煙を纏う猟犬が現れた。
俺はナイフの扱いに長けているわけではない。
だが…頼むから刺さってくれよ!

16 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:36:02.52 ID:V/qu6yVdO
(メ メ_ゝメ)「ぁがっ!?」

俺が投げたナイフは幸いにも猟犬の頬を貫いた。
痛みで何も考えられないだろうよ。
金的を殴っただけで悶絶するような人間らしい化け物なんだ。
頬にナイフが刺さって無事なわけがない。
だが……

( メω^)「それだけじゃない」

引き金は引かれた。
後は成り行きを見守るだけだ。
貫く者の名を冠する漆黒の槍は猟犬を貫き…

( メω^)「爆ぜろ」

駆逐した。
爆発と同時に猟犬の右腕が捩じ切れ、吹き飛んだ。
そして身体は跡形も無く消え去る。

( メω^)「…………」

飛んできた右腕を内藤は無言でキャッチし、興味なさげに俺に向けて投げつけてきた。

(;'A`)「うおっ!? 気持ちわりぃ!」

右腕は持ち主を失ったにも関わらず、まな板の上の魚の様にバタバタと跳ねている。

18 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:37:25.41 ID:V/qu6yVdO
('A`)「まぁ何はともあれ、上手くいって良かったよ」

不気味に存在を主張している右腕を尻目に、俺は内藤に安堵の言葉を投げ掛けた。
そうしないと気持ちが戦いモードから切り替わらない気がするからな。

( メω^)「遠距離からの攻撃手段としてナイフを確保、僕のブリューナクを猟犬に見せつけ、おびき寄せる。そして……」

('A`)「俺のナイフで気を散らしてブリューナクでアボンだ」

口にしてみると簡単に聞こえるがこれが意外に難しい。
まず第一に猟犬の攻撃の矛先が俺に向いていたらどうしようもなかった。
俺と猟犬の間にある距離はほぼゼロ。
内藤がどうこうしようものなら俺まで巻き添えになってしまう。
それに瞬間移動後の猟犬にナイフを刺せたのもはっきり言って運が良かったようなものだしな。

19 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:39:22.31 ID:V/qu6yVdO
( メω^)「まぁ結果オーライってやつだお。後は僕が引き受けるお」

('A`)「?……あぁ事後処理か。任せたよ、俺ぁもう気疲れしちまった」

事後処理はある意味、標的を殺す事よりも重要な事だ。
俺達は社会的に見てごく普通の高校生だ。
これをないがしろにしたがゆえに残りの人生を塀の中で過ごすなんざ御免だからな。

( メω^)「何をだらけてるんだお? 逃げるなり隠れるなりしてくれお」

なんですと?

('A`)「おいおい。また津出 麗子の時みたいな事やらかすつもりかよ。そんな事しなくてももっとあんだろーが…」

( メω^)「もしかして……もう事が終わったとでも思ってるのかお?

('A`)「……はい?」

直後、俺の隣を何かが通り抜け、地面に突き刺さる。

何の細工もないただの木の枝。今の速度は…

(;'A`)「おいおい。何だ今のは!?」

20 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:42:14.34 ID:V/qu6yVdO
この木の枝が俺の頭に向かっていたら、今頃俺の脳天はもれなく出血大サービス中だっただろう。
堪らず俺は振り返った。

(;'A`)「うっ……」

(メ メ_ゝメ)「…………」

振り返った先には猟犬がいた。
右腕があったであろう箇所から夥しい量の血を流しながら、それはそこに居た。

( メω^)「手負いでまだ馬鹿正直に攻めてくる根性は認めるお」

俺が恐怖を感じているのをよそに、内藤は猟犬に近付きながら言う。

( メω^)「だけどそれは僕に言わせればあまりに無謀。動物的本能で分からないのかお?」

(;'A`)「…っ?」

言葉を紡ぐ内藤の背から何かがバリバリと音を出しながら現れてゆく。
俺はこれに似た光景を見た事があった。これは…

( メω^)「今のお前じゃ僕には勝てない」

蝶の羽化を早送りにして途中で止めたような光景。
内藤の背に禍々しい羽が生えた。

21 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:44:38.82 ID:V/qu6yVdO
それは羽と呼ぶにはあまりに頼りないほど薄く、透き通っていて…
それには羽と呼ぶにはあまりに禍々し過ぎる黒い髑髏の模様があった。

( メω^)「後は僕が引き受けたお。ふふっ…いやそれとも……」

言いかけて止める。
コイツが勿体ぶって何か言う時は大抵ろくな事が起きない。
まぁ現時点でろくな事など起きる気配ではないが、それでも俺はコイツの含み笑いに更なる未知への恐怖を感じていた。

( メω^)「後は君に任せたと言うべきかお?」

内藤は俺の方へと振り返り、お得意の不気味スマイルを浮かべた。

('A`)「あ……?」

呆気にとられる俺をよそに猟犬は例の瞬間移動で姿を消し、内藤は羽を使って飛び去っていった。

('A`)「何なんですか全く……」

一人取り残された俺は溜め息をつくしかなかった。

22 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:46:05.16 ID:V/qu6yVdO
こうなってしまった以上、俺に出来る事は無い。
だが状況が状況なだけに家に帰るわけにもいかないし、この場でのんびりとしているわけにもいかない。
さて……

('A`)「どうしたもんかねぇ…」

嘆息−

やる事も無いので首を失った弟者の死体を観察してみる。

(;'A`)「うぉ…えっぐいな」

弟者の死体は所々が抉れ、焦げていた。
恐らく蝿の爆発によるものだろう。
だが蝿が爆発した際に炎らしきものは見えなかった。
その事から火を伴う爆発というより、水の中でダイナマイトを起爆したような爆発をイメージしていたがそれは間違った解釈のようだな。

('A`)「ふぅん……」

死体一つ取っても色んな事が分かる。
その知識がこれからの戦いに反映されるのなら、この時間も無駄にするべきじゃないな。

24 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:48:56.42 ID:V/qu6yVdO
弟者の死体を眺めていてふと我に返った。

('A`)「ははっ…何処の解剖医だよこりゃ」

同時に言い様の無い自分に対する嫌悪感が芽生えた。

いつの間にか俺は人の死を目前にして動じない人間になったようだ。
いや、或いは最初からか?
津出 麗子を殺した時も、死体を見た時に若干の動揺こそしたものの、だからといって大した背徳感も悲壮感も無かった。
後に津出 麗子が夢に出てきた時には俺にも人間味のある感情があるのかと思ったが…
それも今となっては死体をジロジロと観察するまでになっている。
どうやら俺の中の良心は既にブラジル辺りに旅立ってしまったみたいだ。
グッバイ、俺の中の良心。
ハロー、俺の中の狂気。

25 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:50:16.59 ID:V/qu6yVdO
「手を上げろ!」

相手の敵意を伺う際の典型的な台詞が聞こえてきた。

('A`)「ぅえっ!?」

物思いに耽っていた為、かなり間抜けな声を出してしまう。
反射的に振り返ると、そこには青を基調とした服に身を包み、拳銃を構えた初老の男がいた。

( ,'3 )「手を上げろと言っている!」

男はしがれた声で罵声を浴びせてくる。
俺はこれまた反射的に両手を上げ、敵意と武力の皆無を伝えた。

ヾ(;'A`)ノ「内藤〜、たぁすけてくれ〜い…」

男に聞こえないように呟く。
だがそれが内藤に伝わる事は無い。
それどころか林の影から同じ服を着た男達が続々と現れ、事態はもっと悪くなっていった。

27 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:52:28.52 ID:V/qu6yVdO
以上、長ったらしい回想終わり。

まさに事態は八方塞がり。
ここ最近で不本意にも常人の一生分の経験値を獲得してしまった俺だが、この状況ははっきり言って笑えない。
地味に、かつ慎ましく生きる事を良しとしてきた俺が警察のお世話になった事は、ガキの頃にスーパーで万引きした時ぐらいだからな。

(;'A`)「っておぃ!」

(メ メ_ゝメ)「グルルルッ……」

俺が警察の男との掛け合いを終え、漠然と突っ立っていると、男の目の前に猟犬が現れた。

(メ メ_ゝメ)「ガッ!」

咄嗟に身構えたが猟犬は何をするでもなく、例の瞬間移動で姿を消した。

(;,'3 )「ひぃっ!?」

男は拳銃を投げ捨て、その場にへたりこんだ。
なるほどね。拳銃のパーツの一部に鋭角があったんだろうな。

28 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:53:30.96 ID:V/qu6yVdO
先ほどとは打って変わって冷静に事を分析していると、俺の真横をヤツが通り抜けた。
そしてそのまま警官の男の頭へ…

( ,゚3 )「ぐぇっ」

着地、いや着人か?
どうもコイツらは俺の死角を通り抜けるのが好きらしい。

( メω^)「十分、いや五分くらいぶりだおね?」

正直どうでも良い。
だがこの状況でコイツが来てくれたのは助かる。

('A`)「状況は分かんだろ? とっとと連れ出してくれよ。それとそろそろ足退けてやれ」

( メω^)「足? …おっおっ、これは失礼」

思ってもない事を言いやがる。

( メω^)「これはこれは国家の犬の皆さん。無駄足ご苦労様だお!」

それは思ってても言うな!
ほれ見た事か。
警官の皆さん(特に若い連中)の目が血走ってきてるぞ?

('A`)「笑えねー冗談だ…」

29 名前: ◆4KLmqjbvG6 投稿日:2010/02/21(日) 00:55:08.78 ID:V/qu6yVdO
( メω^)「それとドクオ…」

(;'A`)「なんだよ」

まだ何か言うつもりか?
それならとっととその口にチャックを閉めて失せやがれ。

( メω^)「君はもうちょいここでお留守番だお」

('A`)「え?」

俺が言葉を発する前に内藤は再び飛び去ってゆく。
ぽつりと残された俺は辺りを見渡してみるがそこには血気盛んな警官の方々。
これじゃあ状況は何一つ変わっていない。
いや、それどころかあの馬鹿、さらに状況を悪くして行きやがった。

( ,'3 )「やりやがったな若造…」

しがれた声でドスを利かせながら内藤に踏み付けられた警官が立ち上がる。
いや、俺は何もしてませんよ?
というかお巡りさん、今の貴方は警官というよりその道の御方にしか見えませんよ?

(;'A`)「内藤カムバーック!!!」

今度は大声で内藤に助けを求める。
だがその声も伝わる事は無かった。


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