- 5 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:20:14.96 ID:cpbWT6G4O
- ───────────────
あなたの側に居るのが嫌で、私はそこから逃げ出した。
あなたにつけられた傷、たくさんの傷。
あなたに与えられた痛みも苦しみも屈辱も、忘れた事は一度もない。
耐えていたわ、何をしても無駄だと分かっていたから。
耐えていたわ、いつかあなたに復讐したくて。
だから私は逃げ出した。
あなたの側から逃げ出した。
それがあなたへの復讐。
私が側に居ないあなたは、きっと崩れてしまうから。
足元から、積み上げてきた全てが崩れてしまうの。
私と言う存在で積み上げてきた全てが。
一番陰険なやり方で、あなたを壊すの。
- 8 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:22:08.22 ID:cpbWT6G4O
むかしむかし、表情の少ない少女は、一人で居るのが好きだった。
あの人に傷付けられずに済む、一人の時間。
学校からの帰り道、寄り道をして孤独を貪った。
唯一、自分が自分で居られる時間が好きだった。
そんなある時、少女は子猫を拾った。
雨の日の帰り道、箱に入れられた金色の子猫を見つけたのだ。
少女はそれを見付けて、目の前でしゃがみ込む。
そして小さな頭を指先で撫でて、少し困った顔をした。
家に連れて帰れば、きっとあの人に殺されてしまう。
けれど、みぃみぃと心細げに鳴く子猫を放ってはおけない。
悲しいくらいに声をあげる子猫。
可哀想な子猫。
自分より弱くて小さなそれ。
助けたい。
- 11 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:24:07.53 ID:cpbWT6G4O
少女は子猫を抱き上げて、森の近くに向かった。
雨風をしのげて、誰にも見つからない場所。
無人の神社の片隅、小さな社に、自分のハンカチと子猫を入れた。
すぐに食べ物とタオルを持ってくるわ、呟いて。
出来た物は、少女と子猫の密なる時間。
少しずつ元気になる子猫、一人の時間が一人と一匹の時間に変わった。
一人の時間が好きだった。
けれど、これも悪くない。
少女は満たされる。
あの人に傷つけられても、子猫の存在が少女の心を保たせる。
大丈夫、あの子が居る。
大丈夫、一人じゃない。
大丈夫、大丈夫、私はまだ大丈夫。
大丈夫、言い聞かせる。
- 13 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:26:14.92 ID:cpbWT6G4O
子猫は戸惑う。
自分を助けた人間が、傷だらけで笑う姿に。
弱々しくて、今にも折れてしまいそうな笑顔。
本人は気付いていない、限界まで雪を積もらせた小枝の様な笑顔。
いつ折れるかわからないその笑顔に、子猫は戸惑う。
けれど子猫は子猫でしかなく、
どうすれば良いかも、少女に何が起こっているかも分からない。
日に日に雪を積もらせる小枝。
しなって、軋んで、いつ弾ける様に折れてしまうか分からない。
顔に絆創膏を貼った少女は、それでも笑っていた。
笑顔は少しずつ色を無くして行き、自分と遊ぶ指先には力が無い。
それでも、それでも、少女は笑う。
そしてある日、枝がぱきん、と折れてしまった。
- 15 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:28:10.19 ID:cpbWT6G4O
額から血を流したまま、少女は虚ろな顔でやって来た。
すっかり元気になり、体も少し大きくなった子猫は驚いた。
社から出て境内に転がっていた子猫、その前に現れた少女。
少女は泣き笑いで子猫を抱き上げて、告げる。
「ねぇ、行こう」
どこへ、とは言わなかった。
どうなるかは、分からなかった。
けれど子猫は、頷く代わりに頬をざらりと舐める。
お前について行くと、言葉を口に出来ないから。
子猫はまだ、喋れないから。
- 19 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:30:05.57 ID:cpbWT6G4O
少女は子猫を連れて、歩いていた。
不思議な景色、森の中。
子猫を引き摺る様に連れて、清々しい顔をして。
今まで自分を押さえ付けていた物から抜け出し
解放された少女は、ひどく清々しい気持ちに満たされていた。
そんな少女を襲うのは、反動。
頭を踏みつけられる様にして、全てを押さえ込まれていた。
その押さえ込まれていた全てが、少女と一緒に解放される。
ずっとしたかった事、あの人に対してしたかった事。
傷付けて傷付けて、崩して壊して、蹂躙する。
狭い場所から這い出した欲望は、好き勝手に暴れ回る。
カゴの中から飛び出した少女の胸には、黒くどろどろとした物だけが渦巻く。
- 20 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:32:12.85 ID:cpbWT6G4O
目に映る、全ての物が輝いて見えた。
外の世界、あの人に征服されていない世界は素晴らしい。
だからこそ壊したい。
自分にはない輝き、触れられない輝き。
いくら渇望しても手に入らない煌めく物。
ぐろりぐろりと真っ暗歪む少女には、到底手に入らない物だから。
羨ましくて傷付けた。
妬ましくて傷付けた。
そして笑った、宝かに。
何かを奪われる気分はどうだと、歪んだ矛先を向けて。
少女の目は、片目の彼女達よりも歪んでいる。
何も真っ直ぐには映らない、綺麗なままには見られない。
歪んだ視界、目。
壊れた目。
もう取り戻せないから。
────────────────
- 24 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:34:06.90 ID:cpbWT6G4O
この目にうつる全てのもの
とてもとても大好きで、悲しいくらいにキレイなんだ。
色んな物を見た、本当に色んな物を。
本当はキレイなだけじゃない、色んな物。
でも、それらをキライになるコトは出来なかった。
大事にしたい、でも、壊したい。
この手から逃げて行く、そのマエに。
この目にうつるもの、みんなみんなを抱き壊したい。
- 25 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:36:13.39 ID:cpbWT6G4O
【ミセ*゚ー゚)リ 変な森のようです】
第八話 『ひずむせかいうつるせかい。』
だから遊ぼう、ねぇ遊ぼう。
- 28 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:38:07.02 ID:cpbWT6G4O
てっこらてっこら、森を歩くミセリ達。
ミセリが右目を失って数日が経ち、慣れない片目生活が少し苦になり始めた。
酷使する左目に、溜まる疲れ。
慢性的な頭痛を持つ様になったミセリは、具合の良い時だけ自分の足で歩く。
誰もそれに文句は言わないし、寧ろ気を使って無理に歩くなと言う。
けれど出来る限り、自分の足で歩きたい。
何故か感じる、終わりに近付く旅、残された時間。
土の感触を足で感じ、全てを踏み締めていたい。
誰かに頼るだけなんて嫌。
けれども頭痛は時として酷く、頭を締め潰す様な痛みをもたらす。
その痛みが来ると、歩くどころか立つ事さえ難しい。
結局ネーヨの背に乗り、ゆらゆら揺らされて進む事が多くなった。
自分はなんて弱いんだろう、ミセリを襲うのは自己嫌悪。
- 29 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:40:05.39 ID:cpbWT6G4O
しかし今は調子が良く、自力で歩く事が出来る。
それだけで嬉しくなるのか、ミセリの足取りは軽い。
それに比べて、ニダーの足取りは、ひどく重い。
沈んだ表情、重い足取り、口数少なく俯いたその顔。
どんよりとした何かを背負うニダーに、隣を歩くネーヨは困った顔ばかり。
ニダーはミセリの目の件を、ずうっと引き摺ったままだった。
頭の痛みにミセリが顔を歪める度、がくんと落ちた視力に眉を寄せる度
ネーヨの背中でぐったりと横たわる姿を見る度、胸がひどく痛んだ。
自分の所為でミセリが苦しんでいる。
自分の所為で皆に迷惑がかかっている。
間接的に傷付けた、大事な仲間を傷付けた。
もう傷付けるものかと決めたのに、誰も失うまいと決めたのに。
何で、成長していない。
大人ぶって偉そうな事を言って、結局ミセリを傷付けた。
何で、何でこんなに、この手は誰かを助けられない。
- 31 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:42:08.67 ID:cpbWT6G4O
あの時は混乱しきっていたし、それ以降は気まずくて
きちんと謝罪も出来ていない、胸の辺りをぐるぐると、ごめんなさいが回る。
けれどそのごめんなさいは、何だか軽い。
思い悩んでいる筈なのに、言葉はどこか虚ろになる。
まだ気持ちの整理が出来ていないのか、言葉の中身がどこにもない。
空っぽの、外側だけの言葉。
そんな謝罪に意味はない。
ふと、ニダーが思い出す。
こんな気持ち、前にもあった気がする、と。
そんなに遠くはない、前。
少し前、何年か前に感じた筈。
いや、ずっと感じていた様な気もする。
これは何だろう、このふわふわと落ち着かない胸の中。
言葉に中身がこもらない、前にも感じた事のある何か。
いつ、感じていたんだろうか。
最近は感じていなかった、これは。
- 34 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:44:34.25 ID:cpbWT6G4O
あ、とニダーが口の中で呟いた。
そうだ、これは、のーちゃんに対して口にし続けていた、謝罪。
それと全く同じの、魂のこもらない言葉の軽さ。
ああ、自分は、ずっとこんなだったのか。
ニダーは息苦しそうに顔を歪めて、深く俯く。
魂の無い言葉。
それは、現実を受け入れきれていないから。
どこか遠くで起きた出来事に対して、謝罪をする。
確かに罪悪感は感じているし、後悔もしている。
この謝罪や気持ちに嘘はない。
それは確かだ。
確かだ、けれど。
<ヽ Д >
頭の後ろ側、その奥が、何だか冷たく感じた。
- 36 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:46:26.24 ID:cpbWT6G4O
受け入れられていない、のか。
何もかも、受け入れられていない。
今回の、ミセリの事も。
のーちゃんの、事も。
自分の所為でまた、何かを失ったと言うのに。
現実を受け入れきれていない。
重すぎて重すぎて、現実を遠くから見つめて逃げている。
数年前、のーちゃんを失ったあの時から、今でも。
ずっとずっと、逃げ続けている。
のーちゃんのお墓の前で口にした謝罪、摘んだ花、流した涙。
みんな本物、偽物ではない本当の気持ち。
心の底から絞り出すような謝罪だった。
けどその謝罪に、中身はあったか?
その言葉に、魂はこもっているのか?
こもっていない、空っぽだ。
スカスカの、スポンジみたいな言葉だ。
- 39 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:48:12.63 ID:cpbWT6G4O
ぴたり、とニダーの足が止まる。
数歩前へ歩いてから、ネーヨがそれに気付いて振り返る。
項垂れるニダーは猟銃を抱き締めて、微かに震えている。
ネーヨは一度、前を歩くミセリ達を見てから、ニダーの元へ戻ってきた。
( ´ー`)「…………どしたヨ?」
<ヽ Д >「ぁ……」
( ´ー`)「大丈夫、かヨ? 顔、真っ青だヨ」
ネーヨの長い尾が、帽子越しにニダーの頭を撫でる。
カタカタと震えるニダーにとっては、その優しさが悲しい程に痛く感じた。
こんな自分に、優しくしないでくれ。
こんな腰抜けに、ちゃんと謝る事も出来ない自分に。
大きくて優しくて、でも厳しいネーヨ。
たまに見せる、みんなみんな包み込むみたいな優しさは、とても暖かい。
その長い首にしがみついて、泣きたかった。
でもそんな事は出来やしない。
- 42 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:50:17.87 ID:cpbWT6G4O
大きくて優しい旅の仲間、とても頼りになる仲間。
その頭の上に乗ってたビコーズが、心配そうに覗き込む。
小さくても好奇心旺盛で、歯車王を相手に逃げる事なく威嚇した。
見知らぬ相手にも平気で近付ける、小さいのに強くて勇敢な妖精。
その強さが羨ましい、全てを真っ直ぐに見据える、澄んだつぶらな目。
こんなに小さいのに、小さいのに、自分よりずっと強い。
そんな心配そうに見ないでくれ。
痛くて痛くてしょうがない、涙が滲んでしまう。
( ノAヽ)「んぁ? どしたノーネー?」
( ∵)「ゴェゴェェ」
( ノAヽ)「わからんノーネ」
( ´ー`)「んー、ニダー大丈夫かヨ? 乗るか?」
( ノAヽ)「ニダーぐあいワルいノーネ? ムリすんなノーネ」
- 44 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:52:04.56 ID:cpbWT6G4O
二人が後ろをついてきていない事に気付いたノーネが、引き返してくる。
一緒にミセリもやって来て、心配そうな顔をしていた。
誰も許さない、何も許せない。
ヒト嫌いだったノーネは、我が儘ですぐに拗ねる、子供っぽい性格だった。
けど今のノーネは、誰かを気遣う事が出来るし、我が儘も言わなくなった。
レモナの件から立ち直ったノーネは、
会った時に比べると、ずいぶん大人っぽくなった。
成長している、前を向いて、ちゃんと。地面に足をつけて進んでる。
止めてくれ、そんな、こんな自分を見ないでくれ。
どこにも進めていない自分を。
ミセ*%ー゚)リ「ニダーどしたの? 調子悪い?」
( ノAヽ)「このへんできゅーけーするノーネ?」
ミセ*%ー゚)リ「そだね、んじゃネーヨ、あっちの方に広いとこあったから」
( ∵)
( ´ー`)「はいヨ」
- 47 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:54:05.29 ID:cpbWT6G4O
( ノAヽ)「ノーネにもつおろすノーネ、だから乗せてけ」
( ∵)
( ´ー`)「あーはいはいヨ」
ミセ*%ー゚)リ「先行っといてー」
( ノAヽ)「ミセリは大丈夫なノーネ?」
ミセ*%ー゚)リ「ミセリ今日は具合いいもーん」
( ノAヽ)「ぬっへっほぅ、んじゃ先いくノーネ」
ミセ*%ー゚)リ「うーい、ほらニダー行こ? 大丈夫?」
傷だらけの小さな白い手が、緑の手を優しく握って引く。
その手のひらの暖かさが、堪らなく涙を誘い出す。
しゃがんで顔を覗き込むミセリ。
右目を覆う黒い眼帯に、小さい傷だらけの顔。
綺麗な透き通る茶色をした、くりくりと大きな左目。残された片方の目。
木々の隙間から差し込む光、透かされる茶色の髪に、違和感を覚えた。
- 50 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:56:06.61 ID:cpbWT6G4O
<ヽ Д >「ミセ、リ……?」
ミセ*%ー゚)リ「うん? どったの?」
<ヽ Д >「ミセリ、髪の……色、」
ミセ*%ー゚)リ「ん? なんか変か……な…………あれ?」
<ヽ Д >「…………みどり、ニダ?」
ミセ;%ー゚)リ「だ……ね、これ…………え、えぇぇぇ……ヤバいぜおい……」
顔の横に流れる髪の束をつまんで、よくよく見つめる。
すると髪の毛は、少し色が変わっていた。
茶色い髪に、緑の塗料を塗った様な色。
ぱっと見はその変化に気付かないが、よく見たら、確かに色がおかしい。
茶と緑を混ぜた様な、少し灰色にも見える緑。
毛先をよく見れば、かなり緑色に近付いている。
やべーな、とミセリが呟く。
髪の変化の意味に気付いているのか、困ったように笑っていた。
笑って、いた。
- 51 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 20:58:04.85 ID:cpbWT6G4O
- <ヽ Д >「……」
ミセ*%ー゚)リ「ま、いっか」
<ヽ Д >!?
ミセ*%ー゚)リ「緑になったもんはしょーがないし、まだぱっと見はわかんないし」
<;ヽ Д >「で、でも、ミセリ……」
ミセ*%ー゚)リ「ん? 森もミセリを認めたのかなー、嫌われてたのにね」
<;ヽ Д >「なん、で……そんな、笑える、ニダ……?」
ミセ*%ー゚)リ「だって、なっちゃったんだからしょうがないでしょ?」
<;ヽ Д >「そ、だけど……」
ミセ*%ー゚)リ「別に好きでこーなったわけじゃないけどさ、
今さらどーこー言っても、こうなった事はかわんないもん」
<;ヽ Д >「ッ!」
ミセ*%ー゚)リ「だから、いっそ気にしない! これはこれで悪くない色だし、
過ぎた事をずっと気にしててもね、時間もったいないし」
<;ヽ Д >「……」
ミセ*%ー゚)リ「どーせ時間つかうなら、今を楽しむべき、でしょ?」
- 52 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:00:07.28 ID:cpbWT6G4O
それは、自分が言った事。
残された時間、いっぱい楽しもう。
そう、自分が言ったんだ。
なのに、その事を忘れていた。
自分は逃げるのに精一杯で、人に言った事すら出来ていない。
大人でも何でもない。
子供、ひたすらに、子供だ。
何も出来ない受け入れられない、そう、泣くばかりの。
ミセ*%ー゚)リ「ニダー、行こ? みんな待ってるよ?」
ミセリが手を引く。
子供が、大人ぶる子供の手を引く。
何故だろう、こんなに、悲しい。
- 56 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:02:08.38 ID:cpbWT6G4O
ふらふら、とミセリに引かれながらニダーが歩く。
少し先には荷物を降ろして、お茶の用意をするノーネ達の姿があった。
近付いてきた二人を見付けて、ノーネが二人の元へと駆け寄る。
そして、
_,, パーン
( ノAヽ)
⊂彡☆))Д >そ
<;#)Д >「ぇ……え?」
(#ノAヽ)「遅い! ちゃっぱどれかわからん!」
<;#)Д >「あ、ご、ごめんニダ……」
ミセ;%ー゚)リ「あーもー、ミセリがお茶いれるからー」
(#ノAヽ)「ヌン!」
- 59 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:04:10.30 ID:cpbWT6G4O
(#ノAヽ)
( ノAヽ)
( ノAヽ)「ニダ」
<;ヽ Д >「ニダ?」
(( )Д r>"そ ムギュ
つ
( ノAヽ)「……はよ行ってお茶のむノーネ、飲んだらきっとすっきりなノーネ」
<ヽ Д >「ぁ、ぅ……ニダ……」
( ノAヽ)「気にしすぎんじゃねぇようばーろぃなノーネ」
<ヽ Д >「…………アイ……ゴー」
- 62 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:06:14.21 ID:cpbWT6G4O
ぎゅう、とニダーを抱き締めたノーネは、
ぷいと顔をそらして、ネーヨ達の元へと戻って行った。
叩かれた頬を撫でながら、ニダーがゆっくり皆の元へと足を運び。
i メ
i| ゴ
‖| ッ
‖|i !
‖||
| U| 从//
( ∵);<
<ヽ Д >そ
上空から、何かが降ってきた。
- 65 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:08:06.99 ID:cpbWT6G4O
Ω" ズキズキ
:<;ヽ Д >:「あぁぁぁぁぁいごぉぉぉぉぉぉ……っ!!」
( ∵)「ゴェ!」
Ω
<;ヽ Д >「び……ビコー……ズ……?」
( ∵)「ゴェゴェェゴエ!」
Ω
<;ヽ Д >?
( ∵)っ◎
降ってきたのは、木の枝から飛び降りたビコーズだった。
固い何かが頭に当たって出来た、たんこぶを撫でていると
ビコーズがその何かを差し出す。
固い殻の木の実、食べるのに難儀するが美味しいそれ。
どうやら、ニダーの頭に当たったのはその木の実らしい。
少しだけ殻にヒビが入っていた。
- 68 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:10:06.08 ID:cpbWT6G4O
Ω
<;ヽ Д >「ウリ……に?」
( ∵)「ゴェ!」
Ω
<;ヽ Д >「あ……ありがと、ニダ」
( ∵)「ゴェゴェェ」
ニダーが木の実を受け取ると、ビコーズはとことこと皆の元に走って行った。
それと入れ違いに、今度はネーヨがやって来る。
痛そうに頭を押さえるニダーを見て、心配そうな顔をした。
(;´ー`)「……大丈夫かヨ?」
Ω
<;ヽ Д >「だ……大丈夫、ニダ……」
(;´ー`)「無理すんなヨ、乗ってけ」
- 69 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:12:06.43 ID:cpbWT6G4O
ひんやりとした、ゴムっぽい手触りの尾がニダーの頭を撫でる。
そして、ひょいとニダーを持ち上げて自分の背中に乗せた。
少しの距離ではあるものの、ネーヨに揺らされて進む。
のんびりした足取りと振動が、心地よい。
みんなに気を遣わせている。
いつもより優しい皆の行動に、ニダーは俯く。
気にするな、元気出せ、無理するな。
そんな気持ちを強く感じれば感じるほど、
ニダーは、穴にでも入りたくなってしまう。
ミセリを傷付けて、気を遣わせて、自分は何をしているんだ、と。
ぺたんと俯せに倒れ、ネーヨの首にしがみつく。
低い体温が、気持ちよかった。
- 73 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:14:04.92 ID:cpbWT6G4O
考えれば考えるほど、泥沼にはまって行く。
自分の悪い所と人の良い所ばかりが見えて、羨ましくて悲しくてしょうがない。
誰も逃げてない、現実に向き合って受け入れて前に進んでいる。
ミセリ達の言葉はとても素直で、心から発せられたものばかり。
中身のある言葉、前を向ける勇気。
自分に無くて皆にある物。
ああ、もう。
もう、どうしようもないほどに落ち込んでしまう。
どうすれば良いんだろう、どうすれば。
ミセ*%ー゚)リ「お茶入ったよー」
( ノAヽ)「おちゃうめー」
( ∵)「ゴェェ」
ミセ;%ー゚)リ「ちっとは待とうよ……」
- 75 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:16:06.99 ID:cpbWT6G4O
ネーヨがミセリ達の元に辿り着き、ニダーを地面に降ろす。
お茶ではなく、木に生える葉をもしゃもしゃ口にしている。
そんなネーヨを見てから、ニダーは少し離れた位置に座った。
何となく、皆の側には居づらい。
ミセリがお茶をカップに注いでいる。
ビコーズが荷物の中からお茶請けを出している。
ノーネがそれをつまみ食いしている。
ネーヨがそれを咎めている。
その輪に、入れない。
帽子を脱いで胸に抱き、それをぼんやりと見るしか出来ない。
無性に寂しい。
でも輪には入れない。
悲しいくらい、遠く見える。
ニダーが俯いて帽子の鍔を噛んでいると、何かが近付くのを感じた。
ふと顔を上げれば、そこにはミセリの笑顔があった。
- 77 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:18:12.75 ID:cpbWT6G4O
ミセ*%ー゚)リ「お茶、飲もうぜ?」
<ヽ Д >「ミセリ……」
ミセ*%ー゚)リ「そんなとこに居ちゃ飲めないよ、こっち来なよ?」
<ヽ Д >「……ウリは、良い、ニダ……」
ミセ*%ー゚)リ「そんな事言わないで、ね?」
<ヽ Д >「……良い、ニダ」
ミセ*%ー゚)リ「む、強情な」
<ヽ Д >「ごめんニダ……でも、」
_,,
ミセ*%Д゚)リ「わたしの茶が飲めねぇってか!」
<;ヽ Д >!?
- 79 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:20:05.99 ID:cpbWT6G4O
- <;ヽ Д >「ぁ、や、違っ、その」
ミセ*%ー゚)リ「まあそれは冗談として、はいきょーせーれんこー」
<;ヽ Д >「アイゴー!?」
ミセ*%ー゚)リ「わたし空気読むの下手だから、ニダーをほっとくとか出来ないの
なんたってほら、ミセリだから」
<;ヽ Д >「ぇ、ぁ、あうあう」
ミセ*%ー゚)リ「セフセフ。はいお茶どーぞ」
ミセリにがっしと持ち上げられて、そのままノーネ達の元へと連れて行かれる。
そして荷物の側に降ろされ、すぐにお茶の入ったカップを差し出された。
目の前に突き付けられたお茶を咄嗟に受け取り、
ニダーはがくりと、諦めた様に肩を落とした。
( ノAヽ)「さすがミセリなノーネ」
ミセ*%ー゚)リ「痺れて憧れる?」
( ノAヽ)「ぜんぜん」
_,,
ミセ*%ー゚)リ「分かってたけどムカつくわー」
- 81 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:22:16.23 ID:cpbWT6G4O
( )´ー`))゙「つーかヨ、ニダー」
<ヽ Д >?
( ノAヽ)「悩みすぎなノーネ」
<ヽ Д >!
( ´凵M)=3「げふ。本人が気にしてねー事、いつまで引きずってんだヨ」
( ノAヽ)「むしろミセリはガンタイカッケー! とか言ってたノーネ」
(;´ー`)「アホじゃねーかヨ」
( ∵)゙
( ノAヽ)「まったくもってアホミセリなノーネ」
_,,
ミセ#%Д゚)リ「あんたら耳ひっこぬくぞ!!」
∩∵)
( ´ー`)「ビコーズ耳どこだヨ?」
- 84 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:24:16.52 ID:cpbWT6G4O
<ヽ Д >「……」
( ノAヽ)「ま、なんにせよオマエは悩みすぎなノーネ」
<ヽ Д >「で、でも、その、」
( ノAヽ)「しかも一人で」
<ヽ Д >「あ、ぅ……」
( ノAヽ)「アホ」
( ´ー`)「アホ」
( ∵)「ゴェェ」
<ヽ Д >「……アイゴー……」
( ノAヽ)「そーだん出来ないほどノーネ達はタヨリナイノーネ?」
<ヽ Д >「っ!」
( ´ー`)「あーあ、恐竜ショックー」
( ノAヽ)「ノーネもショックー」
( ∵)「ゴェェゴェェェ」
- 86 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:27:12.01 ID:cpbWT6G4O
- <;ヽ Д >「あ……ぅ……」
ミセ*%ー゚)リ「……ニダー、わたしが言ったの、覚えてる?」
<;ヽ Д >?
ミセ*%ー゚)リ「ミセリはへーきだから、大丈夫だからって、言ったじゃん」
<;ヽ Д >「……あ」
ミセ*%ー゚)リ「だいたい、アレはわたしの不注意もあったんだから」
<;ヽ Д >「でも、ウリが、」
ミセ*%ー゚)リ「もしニダーのせいだとしても、事故なんだよ?」
<;ヽ Д >「……」
ミセ*%ー゚)リ「事故なんていつどうやって起きるかわかんない
しかもあんなの、起きるなんて思いもしない事故だもん」
<;ヽ Д >「で、でも、」
ミセ*%ー゚)リ「誰も悪くない事故を、全部しょいこむのはやめて」
<;ヽ Д >「ッ!!」
- 89 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:30:06.04 ID:cpbWT6G4O
ミセ*%ー゚)リ「ミセリ、無理してじゃなく、ホントに大丈夫なんだよ?
それなのに、そんなに思い詰められたらミセリも困っちゃうよ」
<;ヽ Д >「……ぅ」
ミセ*%ー゚)リ「だからニダー、それでも自分が悪いって思うなら
ミセリのために、悩むのをやめて」
<;ヽ Д >「ミセ、リ、」
ミセ*%ー゚)リ「忘れないのは大事だけど、引きずるのは大事じゃないんだよ?
それが事故なら、なおさらだよ」
ずん、と、ミセリの言葉が頭に響いた。
いつの間にこの少女は、こんな言葉を口にする様になったのか。
いつの間に、こんなに成長していたのか。
小娘が口にするには重すぎる言葉が、ニダーの胸をつつく。
またずきずきと痛み出した胸を押さえて、俯いた。
- 91 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:32:07.17 ID:cpbWT6G4O
誰も悪くない、不慮の事故。
これほど扱いづらい物は無い。
ミセリは手にしていたカップをノーネに渡して、ニダーを抱き上げる。
そして自分の膝に乗せ、頭を撫でた。
ミセ*%ー゚)リ「ねぇ、ニダー」
<;ヽ Д >「……」
ミセ*%ー゚)リ「こーゆー時はね、自分が悪いって思うより
自分は悪くないって思う方が、むずかしいんだよ」
<;ヽ Д >「……ニダ」
ミセ*%ー゚)リ「だからねニダー、そのむずかしい、乗り越えてみようよ
ミセリと一緒に、みんなと一緒にさ」
<;ヽ Д >「…………」
ミセ*%ー゚)リ「ミセリも乗り越えるから、一緒に頑張ろうよ」
- 92 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:34:14.33 ID:cpbWT6G4O
<;ヽ Д >「ミセリ、も……?」
ミセ*%ー゚)リ「うん、ミセリも」
<;ヽ Д >「何でミセリ、も、ニダ?」
ミセ*%ー゚)リ「だってミセリはたくさん殺してきた、守れなくて殺してきたから
ミセリがもっと強かったら助かったのに、ミセリが弱いから死んだ」
<;ヽ Д >「ぁ、っ」
ミセ*%ー゚)リ「だからミセリは、強くなるって決めたの
ミセリは悪くないってみんな言ったけど、それじゃ嫌だったから」
脳裏に浮かぶ、妖精の集落。
みんなが傷だらけになっても、守りきれなかった妖精達。
それに対して強い強い後悔を持つミセリの、今の力強さの理由。
ああ、一緒、じゃないか。
- 95 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:36:07.16 ID:cpbWT6G4O
後悔して後悔して、泣いて謝って、後悔して。
それを道にしたミセリの、強さ。
忘れてはいない、けれど引きずってる訳じゃない。
自分は悪くない、でも弱かったから、良い方の可能性を潰した。
だからもう悲しい方を選ばないで済む様に強くなりたい。
みんな助けられる様に、強くなる。
だから、ミセリは笑えるんだろう。
ぎゅ、とミセリの胸にしがみついた。
とくん、とくん。
小さな心臓の音が、はっきりと聞こえる。
そうだ、強くなれる筈だ。
みんな、強くなれる筈なんだ。
強くなれないのは、逃げてばかりいる奴だ。
- 98 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:38:12.06 ID:cpbWT6G4O
<ヽ Д >「…………ミセリ……」
ミセ*%ー゚)リ「うん?」
<ヽ Д >「ひとつ、聞いて……良い、ニダ?」
ミセ*%ー゚)リ「ん、なに?」
<ヽ Д >「何で、ミセリ……そんなに、笑えるニダ? 強い、から、?」
ミセ*%ー゚)リ「んなわけないじゃん、ミセリ弱いもん」
<ヽ Д >「ぇ……」
ミセ*%ー゚)リ「笑うのにはね、強がるの
例えば怪我したとき、痛くないしへーきだって強がって笑うの」
<ヽ Д >「強、がって……」
ミセ*%ー゚)リ「うん、そしたらミセリ単純だから、強がりがホントになる」
<ヽ Д >「…………それだけ、ニダ?」
ミセ*%ー゚)リ「そんだけ」
(;ノAヽ)(ハナシだけ聞いてたら、ミセリ生粋のアホなノーネ……)
- 101 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:40:14.26 ID:cpbWT6G4O
ミセ*%ー゚)リ「腕がとれても、目がとれても、髪の毛が緑になっても
強がって笑ってりゃ、ホントにどーでも良くなんの」
<ヽ Д >「ミセリ……」
ミセ*%ー゚)リ「まーミセリがバカなだけだと思うけど」
(;´ー`)(自覚あったヨ……)
ミセ*%ー゚)リ「でも、バカは楽だよ?
痛いのも苦しいのも、すぐにどーでも良くなるから」
(;ノAヽ)(アホの権化なノーネ……)
ミセ*%ー゚)リ「いっそみんなバカになっちゃえば楽なのにねー」
(;´ー`)(増殖するミセリ……)
(;ノAヽ)(しーきゅーホラー……)
_,,
ミセ#%ー゚)リ「さっきから何かムカつくデンパ感じるわー」
(´ー` )(ノAヽ )
- 105 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:42:07.19 ID:cpbWT6G4O
ミセ*%ー゚)リ「だから、ね? ニダー」
<ヽ Д >「ニダ……?」
ミセ*%ー゚)リ「いっぱい笑おう、でしょ?
大事な事は忘れないで、今はいっぱい笑おうよ」
<ヽ Д >「わら、う……」
ミセ*%ー゚)リ「重い物は、引きずるより背負う方が楽なんだから
重いのを引きずって何か言っても、気持ちがそっちに向かないよ」
<ヽ Д >「……ミセリは、時々、大人ニダ」
ミセ*%ー゚)リ「普段は?」
( ∵)「ゴェェ」
_,,
ミセ*%ー゚)リ「なんとなくムカつく事言ったのは分かるぞー?」
(∵;)
_,,
ミセ*%Д゚)リ「ズボシかい!」
- 110 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:44:05.82 ID:cpbWT6G4O
( ノAヽ)「アホなコドモ?」
( ´ー`)「ちょっと惜しい」
( ノAヽ)「アホの子?」
( ´ー`)「ちょっと惜しい」
( ノAヽ)「アンポンタン?」
( ´ー`)「正解」
( ノAヽ)「ビコーズなかなかやるノーネ」
( ∵)「ゴェ」
_,,
ミセ#%Д゚)リ「あんたらねぇっ!!」
( ノAヽ)「わーアンポンタンが来たノーネー」
( ´ー`)「にーげろー」
_,,
ミセ#%Д゚)リ「待てこらぁっ!!」
- 112 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:46:07.90 ID:cpbWT6G4O
ニダーを膝から降ろして、ノーネと追いかけっこを始めるミセリ。
怒っているのか楽しんでいるのか、ミセリもノーネも、次第に笑顔に変わる。
ぽん、と頭に何かを乗せられる。
その何かを見上げると、ネーヨの尾っぽが乗っていた。
膝の上に飛び乗るビコーズと、頭を撫でるネーヨ。
追いかけっこをするミセリとノーネに、何だか、笑ってしまった。
<ヽ`∀´>「……ホルホルホル」
( ´ー`)「おー笑った笑った」
<ヽ`∀´>「ホルホル、ご迷惑お掛けしましたニダ」
( ´ー`)「かけられた記憶がネーヨ」
<ヽ`∀´>「……ウリも、逃げるのやめるニダ」
( ´ー`)「あん?」
<ヽ`∀´>「ちゃんと全部受け入れて、もっと、ちゃんとした謝罪するニダ」
( ´ー`)「……おうヨ」
- 114 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:48:07.26 ID:cpbWT6G4O
<ヽ`∀´>「もう少し時間がかかるかも知れないニダ
でも、ウリもバカになってみるニダ」
( ´ー`)(それは向かないと思うヨー……)
<ヽ`∀´>「中身のある謝罪を出来るように、頑張るニダ!」
( ´ー`)「ほー」
<ヽ`∀´>「よし、取り敢えず……ミセ」ゲシッ
( #)「ゴェ!?」
<;ヽ`Д´>「アイゴー! ビコーズごめんニダ! 大丈夫ニダ!?」
( #)「ゴェェ……」
( ´ー`)=3(……あるじゃんヨ、中身)
- 115 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:51:24.00 ID:cpbWT6G4O
- <;ヽ`Д´>「ごめんニダ、ビコーズ……」
ミセ*%ー゚)リ「あ、ニダー復活してる!」
<ヽ`∀´>「ニダ! 復活ニダ!」
ミセ*%ー゚)リ「よしよし、んじゃお茶いれて! 冷めた!」
<ヽ`∀´>「把握ニダ!」
( ノAヽ)「茶菓子もぷりーずなノーネ」
<ヽ`∀´>「把握ニダー!」
( ∵)
ミセ*%ー゚)リ「やっぱニダーのお茶のが美味しいもんねー」
( ´ー`)「あーやれやれ」
( ノAヽ)「オッサンお疲れなノーネ」
(#´ー`)「燃やすヨ」
- 117 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:53:11.32 ID:cpbWT6G4O
やっと戻ってきた、和気あいあいとした賑やかな空気。
ニダーがなんとなく、小さな壁を越える事が出来た。
それはミセリだけではなく、皆のお陰でもある。
けれどニダー以外、誰もそれには気付かない。
だからこそ、ニダーの胸は暖かくなる。
子供ばかりの仲間達。
けれど時々大人っぽくて、ひどく鋭い事を言う。
でも普段は明るくて、賑やかで、優しくて。
とんでもなく、お人好しな仲間達。
着いてきて良かったなあと、
ニダーはカップにお茶を入れながら、心からそう思った。
みんながみんな、旅をして良かったと思う事が出来る。
それは、とんでもなく幸せな事だった。
- 119 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/06/07(日) 21:55:19.86 ID:cpbWT6G4O
- 追いかけっこ、お喋り、お茶。
のんびり穏やか、それでも賑やか。
そんな、いつも通りの空気の中。
いつも通り、それを壊しにやって来る。
赤い群れが、静かに草むらに潜んでいた。
誰も、まだそれには気付かない。
じわりじわりと迫り来る、赤い狂気。
ぎらり、無数の刃物が光を放つ。
穏やかな空気を血に染めようと、
赤い群れが甲高く笑いながら、勢い良く草むらから飛び出した。
( ゚∀゚ )「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!!」
八話 前編、おわり。
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